JP4144956B2 - 注出口 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙容器等の容器に取り付ける注出口に関し、特に超音波シールを利用して容器に取り付けるのに好適な注出口に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、紙容器に樹脂製の注出口を取り付けることが広く行われている。その注出口には、大別して、注出口に形成しているフランジを紙容器の外面に接着して取り付けるもの(外付注出口)と、紙容器の内面に接着して取り付けるもの(内付注出口)の二種類がある。
【0003】
従来、外付注出口を紙容器外面に取り付ける方法は、一般的にヒートシールによる溶着が主流であり、ヒートシールを効率良く実施するために、注出口のフランジの紙容器に貼り付ける面に、三重に形成した細いリング状のリブ(リング状突起)からなるダイレクターを形成している(例えば、特開平9−12025号公報参照)。そして、ヒートシールを行うには、加熱した熱線に注出口を近づけてダイレクターを溶かし、次いで紙容器の外面に圧着する方法が採られていた。
【0004】
しかし、かかるヒートシール方法ではダイレクターを薄くして加熱、溶着しやすくしているにもかかわらず、ダイレクターの加熱、溶融に時間がかかり(例えば、数秒乃至数十秒)、このため生産能力に限界があり、また、生産能力を上げるには装置が大きくなって、価格が高くなるとか、充填機内にインラインで組み込むことが困難である等の問題があった。更に、溶融ムラ、圧着時における圧逃げ等の問題があり、シールの安定性がないといった問題もあった。
【0005】
そこで、ヒートシールに代わる方法として、超音波シールを行うことが提案されており、例えば、特公平7−98371号公報に記載されている。この公報に記載されている注出口は、紙容器に対して取り付けるフランジ面が平坦に形成されており、そのフランジを紙容器の外面に超音波ホーンで強く押し付け、超音波振動を加えることでフランジの紙容器に対する接触面を摩擦、発熱させ、溶着していた。この超音波シール方法は、ヒートシールに比べるとはるかに早く溶着可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のフラットなフランジを用いた注出口では、超音波ホーンで超音波振動を加え始めてから紙容器に接触しているフランジ表面が溶融し始めるまでに時間がかかり(例えば、1〜2秒程度)、且つその際に大きいピーク出力を必要としており、一層の高速化を図ることが困難であると共に発振器の容量を大きくする必要があり、装置が大型化してコスト高となるという問題があった。
【0007】
また、超音波シールに供する注出口として、従来ヒートシールに用いていたダイレクター付の注出口を用いることも考えられる。ところが、超音波シールでは、フランジを一定の圧力で押し付けてから発振、溶融が始まるため、薄いダイレクターが押圧に耐えきれず、座屈状につぶれることがあり、溶融しない等の問題のあることが判明した。ダイレクターのつぶれを防止するには、超音波ホーンによる押圧力を低くすればよいが、その場合には溶融に時間がかかるとか、振動の振幅を大きくしなければならないといった問題が生じる。一般に、超音波シール条件としては、押圧力、時間(超音波振動の印加時間)、振幅があるが、押圧力が低く制限されるため、結局、振幅、時間の二つの条件しか選択できず、自由度が少ないといった問題があった。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、注出口のフランジを容器に対して敏速に且つ発振器の容量を大きくすることなく超音波シールすることの可能な、またシール条件のファクターを多くすることの可能な注出口を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる問題を解決するため、注出口のフランジに、溶融して接着させるためのダイレクターとして一重のリング状突起を形成し且つその断面を幅が先端に向かって狭くなる台形状とすると共にその高さを根元の幅以下とするという構成としたものである。本発明はこの構成により、フランジの超音波シールに際し、フランジを加圧した時に、ダイレクターを構成するリング状突起がつぶれることがなく、従って大きい押圧力を加えることが可能となり、しかも、先端の面積が小さいので、その小さい先端に集中的に超音波振動が加わり、きわめて敏速に溶融が開始すると共に溶融が直ちに根元に進行し、このため、溶融開始時のピーク出力を小さく抑えることができ、容量の小さい発振器を用いて極めて敏速に(例えば、0.25秒程度で)溶着させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、容器に取り付けるためのフランジを備えた樹脂製の注出口において、該フランジの容器に取り付ける面に、溶融して接着させるための、一重のリング状突起からなるダイレクターを設け、且つそのリング状突起の断面を、幅が先端に向かって狭くなる台形状とすると共に高さを、リング状突起の根元の幅以下としたことを特徴とする。本発明の注出口に使用する樹脂材料としては、超音波シール可能なものであれば任意であり、取り付ける対象の容器材質に応じて適宜定めれば良く、紙容器用の注出口には多くの場合、低密度ポリエチレンが用いられる。注出口を取り付ける対象の容器も、超音波シール可能なものであれば任意であるが、多くの場合、紙容器が使用される。注出口の形態は、注出口のフランジを容器外面に取り付ける外付タイプのもの、フランジを容器内面に取り付ける内付タイプのもののいずれとしてもよい。注出口のフランジ以外の構造も任意であり、必要に応じ、注出口部の内側に、特開平9−12025号公報に記載しているような開封用の突刺し具を配置するとか、開封用のプルタブを設けた構成とすることができる。
【0011】
前記したリング状突起の断面の頂角は、30〜150°とすることが好ましい。この構成とすると、超音波シール時にリング状突起がつぶれにくく且つ先端から効率よく溶融させることができる。
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1(a)は本発明の実施形態による注出口1を、一部を断面で示す概略側面図、図1(b)はその注出口の下面図、図1(c)はその注出口の一部を拡大して示す概略断面図である。この注出口1はフランジを紙容器外面に取り付ける外付タイプのものであり、取付用のフランジ2と注出口部3を一体に備えた樹脂製のものである。このフランジ2の、注出口部3とは反対側の面、即ち紙容器に対して接合する面2aには、一重のリング状突起5からなるダイレクターが設けられている。リング状突起5は、フランジ2を紙容器に対して超音波シールする際に溶融して接着させるためのものであり、シールに要する樹脂量が確保できる大きさに作られている。更に、このリング状突起5は、ヒートシール用の注出口に設けているものとは異なり、厚みを厚く且つ高さを低くしており、これによって耐圧強度を上げている。また、そのリング状突起5の断面形状は、幅が先端に向かって狭くなる台形状としている。
【0013】
上記構成の注出口1を超音波シールするには、図2(a)に示すように、アンビル11で支持されている紙容器12の外面に、キャップをかぶせた状態の注出口1のフランジ2を超音波ホーン13で押し付け、その超音波ホーン13でフランジ2に超音波振動を加える。これにより、図2(b)で拡大して示すように、リング状突起5の先端5aが紙容器12に押圧された状態で超音波振動して敏速に摩擦熱を発生し、溶融する。そして、その溶融がリング状突起5の全体に急速に広がり、リング状突起5全体が溶融してフランジ2と紙容器12とを接合させる。この超音波シールの際にリング状突起5が超音波ホーン13で加圧されるが、リング状突起は低く、太い形状をしているのでつぶれることがなく、従って大きい加圧力を加えて超音波シールすることが可能であり、しかも、先端5aの面積が小さいので、その先端5aの単位面積当たりの押圧力がきわめて大きく且つその先端5aに集中的に超音波振動が加わり、きわめて敏速に溶融が始まる。一般に超音波シールを行う場合、溶融開始までに大きいエネルギーを必要とし、特に、フラットなフランジを紙容器に押し付けて超音波ホーン13で超音波シールを行う場合、接触面積が大きいため広い面積に押圧力が分散し且つ広い面積が振動するため、振動エネルギーが必ずしも有効に利用されるとは限らず、溶融開始までにかなりの時間とエネルギーを必要とする。これに対し、本実施形態では、溶融開始する先端5aを小面積としたことで、きわめて敏速に且つ小エネルギーで溶融を開始できる。樹脂が溶融を開始した後は、比較的敏速に且つ小エネルギーで溶融が進行するため、結局、リング状突起5全体を短時間(例えば、0.25秒程度の超音波振動印加)で溶着させることができ、且つ使用エネルギー量並びにピーク値も低くできる。かくして、容量の小さい発振器を用いて極めて短時間で超音波シールを行うことができる。
【0014】
ここで、前記したリング状突起5の形状としては、加圧時につぶれることがないように太く、低くすることが必要であり、このため、リング状突起5の高さhをリング状突起5の根元の幅w以下とする。この範囲に設定すると、通常に使用する超音波シール条件においてリング状突起5に座屈状のつぶれがほとんど生じることがなく、良好な超音波シールを行うことができる。リング状突起5の断面形状は、先端を小面積として敏速に溶融を開始できればよいので、図示したように、幅が先端に向かって狭くなる台形状とする。なお、リング状突起5は三角形断面でも超音波シールは可能であるが、三角形とした場合のようにリング状突起5の先端面積がきわめて小さくなる場合には、紙容器に押し付けて加圧した際に押圧力が円周方向に大きくばらつくことがあるので、先端は或る程度平坦面としておくことが望ましく、そのため台形状を採用する。リング状突起5の断面の頂角θは、30〜150°程度に設定することが好ましく、更には、30〜90°程度に設定することが一層好ましい。
【0015】
【実施例】
図1に示す、断面台形状のリング状突起5を一重に備えた注出口1(実施例)を製造した。材質は低密度ポリエチレン、リング状突起5の根元の幅wは1.5mm、高さhは1.0mm、頂角θは60°とした。この注出口1を用いて耐圧強度テストを行ったところ、荷重30、60、90、120、150kgf/cm2 のいずれにおいてもつぶれは発生せず、広い荷重に対して耐えることが確認された。従って、この注出口1は超音波シール時の押圧力を広い範囲で設定可能である。
【0016】
比較のため、従来、ヒートシール用に用いられていた三重のリング状突起(幅は0.7mm、高さは1.7mm)を備えた注出口(比較例)について同様な耐圧強度テストを行ったところ、荷重30kgf/cm2 ではつぶれは発生しなかったが、60、90kgf/cm2 ではつぶれが生じていた。従って、超音波シール時には押圧力を低く設定することが必要である。
【0017】
次に、上記実施例の注出口1と比較例の注出口についてそれぞれ100個の超音波シールを行い、シールに必要なエネルギーを測定した。シール条件及びエネルギー値(平均値)は表1に示す通りであった。なお、比較例のシール条件は、低い押圧力でも良好なシールを行うことができるように設定したものである。
【0018】
【表1】
【0019】
表1から良く分かるように本実施例の注出口1では、シール時間が大幅に短縮され、しかもエネルギー値が比較例に比べて約23%減少しており、効率アップが確認できた。
【0020】
【発明の効果】
以上のように、本発明の注出口は、ダイレクターを構成するリング状突起の耐圧強度が大きくなっており、このため超音波シールを行う際の押圧力を高くしてシールすることが可能であり、しかもリング状突起の先端を小面積としたことにより、その先端を効率よく超音波振動させて発熱させ、敏速に溶融させることができ、生産性よく且つエネルギー消費を小さくして良好なシールを行うことができるという効果を有している。また、溶融開始時に必要とされる発振器のピーク出力を小さくできるので、発振器の能力を小さくでき、装置を小型化してコストダウンを図ることができるという効果も有している。更に、耐圧強度が高くなった結果、超音波シール条件に、時間、振幅のみならず押圧力を加えることができ、従って、3つの条件変更が可能となり、シール条件の幅が広がり、注出口の仕様に応じて最適なシール条件を選択できるという効果も有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施形態による注出口1を、一部を断面で示す概略側面図
(b)はその注出口の下面図
(c)はその注出口の一部を拡大して示す概略断面図
【図2】(a)は注出口1を超音波シールする状態を示す概略断面図
(b)はその注出口の一部を拡大して示す概略断面図
【符号の説明】
1 注出口
2 フランジ
3 注出口部
5 リング状突起(ダイレクター)
11 アンビル
12 紙容器
13 超音波ホーン
Claims (3)
- 容器に取り付けるためのフランジを備えた樹脂製の注出口において、該フランジの容器に取り付ける面に、溶融して接着させるための、一重のリング状突起からなるダイレクターを設け、且つそのリング状突起の断面を、幅が先端に向かって狭くなる台形状とすると共に高さを、リング状突起の根元の幅以下としたことを特徴とする注出口。
- 前記リング状突起の断面の頂角を、30〜150°としたことを特徴とする請求項1記載の注出口。
- 前記注出口がフランジを紙容器の外面に取り付ける形態のものであることを特徴とする請求項1又は2記載の注出口。
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1999
- 1999-01-20 JP JP01247699A patent/JP4144956B2/ja not_active Expired - Fee Related
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