JP4144724B2 - 無機繊維ブロック - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主にアルミナ繊維からなるブロックに関し、特に耐熱性および耐食性に優れた無機繊維ブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、工業炉の炉壁材として、無機繊維で形成したマット、ブランケット又はフェルトを積層して作られた無機繊維ブロックが多く使用されている。
【0003】
このブロックを構成する無機繊維としてはアルミナシリカ繊維が多く用いられている。最近では、より高温で使用できるアルミナ繊維の使用も増加している。この用途で主に使用されているアルミナ繊維はAl23を70重量%以上含有する多結晶の短繊維である。
【0004】
この種のブロックは、主に次の方法で製造されている。
【0005】
ブランケットを同じ大きさに切断して小片とし、これらの小片を積層して、積層体とする。また、細長いブランケットを葛折りにして積層体とする。このようにして得られた積層体を圧縮しつつ、バンド締めや縫製によって所定の形状に固定してブロックとする。
【0006】
無機繊維ブロックを炉壁材として用いる際には、ブランケットの切断面あるいは折り曲げられた部分の端面が炉の内面側にくるように、炉の側壁や天井に取り付けられる。
【0007】
しかし、無機繊維ブロックは、長時間高温に晒されると、徐々にブロックの継目(目地)が開いて、性能が低下する。
【0008】
この目地開きを防ぐ対策の一つとして、無機繊維ブロックの嵩密度を大きくすることが提案されている。例えば、特開昭63−256575号公報は、ブランケットを積層圧縮して嵩密度を0.08〜0.16g/cm3にした無機繊維ブ ロックを製造することを開示している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この様にして製造された無機繊維ブロックであっても、1350℃以下で使用されるのが一般的であった。種々の理由で1500〜1600℃の高温では従来の無機繊維ブロックは、使用できなかった。
【0010】
このような高温で使用する無機繊維製の断熱材としては、無機繊維を結合材とともに湿式成形したボードが使用されていた。
【0011】
しかし、ボードは製品の密度が高く、繊維が短く切断されているために、炉内に発生するアルカリ不純物と反応して、亀裂が発生しやすい。亀裂が発生すると、天井に使用された場合には、落下の恐れがあり、重大な事故となる可能性がある。
【0012】
本発明の目的は、1600℃の高温でも十分な耐熱性を有し、アルカリなどの不純物に対する耐食性に優れた、安定して使用できる無機繊維ブロックを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の好ましい解決手段は、前掲の請求項1乃至3に記載の無機繊維ブロックである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、ショットを少なくすると共に、繊維密度を大きくすることにより、1600℃の耐熱性を有し、耐食性に優れた無機繊維ブロックを実現したものである。
【0015】
たとえば、本発明は、繊維に含まれるショットを少なくして、繊維密度を大きくし、復元性を持たせたアルミナ繊維製のブロックを提供するものである。このブロックを炉の内張に使用すると目地開きを抑制するとともに、耐食性を改善し、1600℃の高温でも安定して使用できる。
【0016】
本発明のブロックの繊維密度は、0.13〜0.20g/cm3が好ましい。 この繊維密度の範囲内において、高温でも復元性に優れた断熱材として使用できる。繊維密度が0.20g/cm3より大きいと、繊維が短くなって復元性が乏 しくなる。また、繊維密度が0.13g/cm3より小さいと、復元性および耐 食性に劣る。
【0017】
無機繊維には、その製造方法に起因してショットと呼ばれる繊維にならなかった粒子が含まれている。本発明でいう繊維密度とは、粒径が45μm以上のショットを除いた重量から算出した密度である。本発明のブロックに含まれるショットの量は、粒径が45μm以上のショットが15重量%以下が好ましい。
【0018】
ショットを少くすることにより、繊維含有量を多くすることができる。繊維含有量が多いと、復元性が大きくなって、炉壁材として使用した際に、目地開きが小さくなり、その結果、耐熱性が向上する。また、繊維含有量が多いと、表面積が大きくなって、耐食性が向上する。
【0019】
粒径が45μm以上のショットの含有量を15%以下とすることにより、所望の復元性を有し、侵食量の少ないブロックが得られる。粒径が45μm以上のショットとは、目開きが45μmのフルイを通過しないショットである。
【0020】
アルミナ繊維の集合体は、マットまたはブランケットの形にすることが好ましい。マットは短繊維が二次元或るいは三次元に絡み合ったシート状のものであり、ブランケットはマットにニードリンクしたものや糸で縫製したものである。これらを構成する繊維は、比較的長いので、マットやブランケットは復元性に富んだものとなる。
【0021】
加熱収縮率は1%以下が好ましい。収縮率が1%を越えると、安定して使用することが難しくなる。1600℃で24時間加熱したときの収縮率が1%以下であれば、1600℃に安定して使用可能である。
【0022】
【実施例】
繊維密度およびショット含有量の異なるAl23が72重量%であるアルミナ繊維のブランケットを、厚さ25×300×300mmの大きさに切断して厚さ方向に複数枚積層した。この積層体を圧縮して、縫製することによって固定した。その状態で、大きさが300×300×300mmであった。このような実施例1及び2のブロックを作った。
【0023】
次に、各ブロックの特性を試験した。試験の方法を示す。
【0024】
アルカリとの反応は次の方法で試験した。ブロックの上にNa2CO3の試薬5gを7cm角の面に均一に乗せ、1200℃で24時間加熱した。加熱後のブロックと試薬の反応を観察した。
【0025】
亀裂の有無は次の方法で試験した。ブロックを炉の天井に取り付けて、1600℃に加熱して、その温度で8時間保持し、その後室温まで冷却し、再度加熱することを10回繰り返した。加熱および冷却の速度は10℃/分とした。この処理により発生した亀裂の有無を観察した。
【0026】
加熱収縮率は次の方法で試験した。ブロックを1600℃で24時間加熱した後、積層体の圧縮方向の寸法変化を測定した。
【0027】
次に比較試験を行った。比較例1について実施例1〜2と同じ手順でブロックを作り、同様の試験を行った。比較例2は、ブランケットに代えてボード(東芝モノフラックス社製17Rボード厚さ50mm)を6枚積層して、接着剤で固定してブロックを作り、実施例1〜2と同様の試験を行った。
【0028】
実施例1〜2と比較例1〜2のブロックの構成及び特性を表1に示す。表1のショット量は粒径45μm以上のショットの含有率を示す。
【0029】
【表1】
Figure 0004144724
【0030】
【発明の効果】
本発明の無機繊維ブロックは、耐食性、耐熱性に優れており、1600℃の高温の炉にも安定して使用できる。そのような高温の炉で長期間使用しても亀裂を生じないので、落下の危険がない。従って、本発明のブロックを炉壁材として使用すれば、炉を安全に長時間使用できる。

Claims (3)

  1. Alの含有量が70重量%以上であるアルミナ繊維のマットまたはブランケットを積層して圧縮して、バインダーを添加せずに縫製あるいはバンド締めすることによって固定したブロックであって、粒径45μm以上のショットの含有量が15重量%以下であり、繊維密度が、0.13g/〜0.20g/であり、1600℃で24時間加熱したときの収縮率が1%以下であることを特徴とする無機繊維ブロック。
  2. 加熱、冷却速度が10℃/分で、1600℃に加熱して、8時間保持し、その後室温まで冷却し、再度過熱する処理を10回繰り返しても、亀裂の発生がないことを特徴とする請求項1に記載の無機繊維ブロック。
  3. 請求項1または2に記載の無機繊維ブロックの、炉壁材としての使用。
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