JP7530497B1 - 耐熱複合材料及び該耐熱複合材料を用いた炉壁 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]耐熱性材料である質量比でアルミナを70%以上含む高アルミナ含有ファイバーの集積体と、加熱炉の内張り炉材として用いられている六面体の定形耐火物が複合化されて一体化されてなる複合体である、耐火用・断熱用の内張り炉材として用いられる耐熱複合材料であって、
前記六面体の定形耐火物の1つの側面と2つの平面が、前記集積体で覆われ、且つ、他の3つの側面が露出した状態で複合化されており、且つ、前記集積体で覆われた1つの側面以外の3つの側面において、前記集積体の端面と前記耐火物の端面とが面一の状態で突き合わされて同一平面を形成してなることを特徴とする耐熱複合材料。
[2]さらに、前記複合体が複数積層された積層構造を有するブロック状の耐熱複合材料であって、前記積層構造が、前記平面を覆う集積体同士が重なる方向で積層されて、積層方向に前記集積体からなる層と前記定形耐火物からなる層が連続して形成され、且つ、前記集積体で覆われた前記定形耐火物の1つの側面以外の3つの側面において、前記集積体の端面と前記耐火物の端面とが面一の状態で突き合わされて同一平面を形成してなり、積層方向の長さが150mm以上である上記[1]に記載の耐熱複合材料。
[3]前記集積体の使用温度が1600℃以上であり、前記定形耐火物の使用温度が1600℃以上である上記[1]又は[2]に記載の耐熱複合材料。
[4]前記集積体が、嵩密度が200kg/m3以下の高アルミナ含有ファイバーからなるブランケットであり、且つ、前記の定形耐火物の嵩密度が2000kg/m3以下である上記[1]~[3]のいずれか1に記載の耐熱複合材料。
[5]前記定形耐火物が、室温から1600℃以上の加熱状態を経て室温状態に戻るまでの焼成過程で高い残存線膨張率(即ち、熱膨張する)を示す、加熱で膨張する材料である上記[1]~[4]のいずれか1に記載の耐熱複合材料。
[6]前記複合体の材料構成が、体積比で、前記高アルミナ含有ファイバーが30~70%であり、前記定形耐火物が30%~70%である上記[1]~[5]のいずれか1に記載の耐熱複合材料。
[7]前記複合体の形状が、縦50~350mm、横50~350mm、厚み50~300mmである上記[1]~[6]のいずれか1に記載の耐熱複合材料。
[8]さらに、前記複合体が複数積層された積層構造を有するブロック状の耐熱複合材料から前記定形耐火物が脱落することを防止するための脱落防止ピンが設けられており、該脱落防止ピンは、複数積層された前記複合体を構成している前記集積体と前記定形耐火物の両方を貫通した状態で配置されている上記[2]~[7]のいずれか1に記載の耐熱複合材料。
[9]耐火用・断熱用の内張り炉材からなる炉壁であって、前記耐火用・断熱用の内張り炉材として上記[1]~[8]のいずれか1に記載の耐熱複合材料を複数用いてなり、且つ、炉内側に前記集積体が配置されるように構成されていることを特徴とする炉壁。
[10]前記複数の耐熱複合材料が、前記積層体を構成する定形耐火物が垂直方向の一直線上に配置され、或いは、隣接する耐熱複合材同士における前記積層体を構成する定形耐火物の位置が、垂直方向と水平方向が交互に配置されている上記[9]に記載の炉壁。
本発明では、複合化して形成した耐熱複合材料の耐熱性の観点から、耐熱性材料であるアルミナを質量比で70%以上含む高アルミナ含有ファイバー(繊維)の集積体を使用する。上記構成としたことで、最高使用温度が1600℃以上の炉内に露出する部分での使用にも耐え得る、高い耐熱性のセラミックブランケットとすることができる。最高使用温度の上限は特に限定されないが、製造コストを考慮すると最高使用温度が1800℃以下のセラミックブランケットを使用することが好ましく、1700℃以下のセラミックブランケットを使用することがさらに好ましい。
本発明を構成する定形耐火物は、加熱炉の内張り炉材として用いられている一般的な六面体の定形耐火物(耐火れんが)である。本発明を構成する定形耐火物も、先に述べたセラミックブランケットと同様に、耐熱性の観点から使用温度が1600℃以上であることが好ましい。また、本発明を構成する定形耐火物を炉材に適用することに鑑み、炉材の低熱容量化の観点から、本発明を構成する定形耐火物は嵩密度が2000kg/m3以下のものであることが好ましい。さらには、嵩密度が1500kg/m3以下であることがより好ましい。
添付の図面に、図1A及び図1Bとして例示した本発明の耐熱複合材料(複合体)は、70質量%以上のアルミナを含む高アルミナ含有ファイバーの集積体(セラミックブランケット)1と、加熱炉の内張り炉材として用いられている六面体の定形耐火物2が複合化されて一体化されている。本発明の耐熱複合材料は、図1A及び図1Bにある通り、六面体の定形耐火物の1つの側面と2つの平面が、前記セラミックブランケット1で覆われ、且つ、セラミックブランケット1の他の3つの側面が露出した状態で複合化されており、且つ、前記セラミックブランケット1で覆われた1つの側面以外の3つの側面において、前記セラミックブランケット1と前記六面体の定形耐火物2とが面一の状態で突き合わされて同一平面を形成していることを特徴とする。本発明の耐熱複合材料(複合体)の材料構成としては、体積比(体積%)で、前記高アルミナ含有ファイバーが30%~70%であり、前記定形耐火物が30%~70%であることが好ましい。本発明者らの検討によれば、体積比で、セラミックブランケット(高アルミナ含有ファイバー)が60%~40%であり、定形耐火物が40%~60%であることがより好ましい。さらには、セラミックブランケットが60%~50%であり、定形耐火物が40%~50%であることがより好ましい。この点については後述する。
さらに、図3に示したように、本発明の耐熱複合材料は、例えば、図1Aに例示したような複合体を複数使用して積層することでブロック状の耐熱複合材料とすることが可能である。具体的には、積層構造は、定形耐火物の前記平面を覆うセラミックブランケット同士が重なる方向で本発明の耐熱複合材料が積層されて、積層方向に前記セラミックブランケットからなる層と前記定形耐火物からなる層が連続して形成され、且つ、前記セラミックブランケットで覆われた1つの側面以外の3つの側面において、前記セラミックブランケットと前記定形耐火物とが面一の状態で突き合わされて同一平面を形成しており、さらに積層方向の長さが150mm以上となるように作製されたものが挙げられる。
本発明の耐熱複合材料の好ましい形態としては、図2に示したように、例えば、図1Aに示した形状からなる単体の複合体を複数積層して、ブロック状の積層体3とすることが挙げられる。その場合に、図3Bに示すように、積層物であるブロック状の積層体3から定形耐火物2が脱落することを防止するため、積層体3に脱落防止ピン5を備えた構造とすることが好ましい。その場合に図3Bに示したように、脱落防止ピン5は、セラミックブランケット1と定形耐火物2の双方を貫通するように配置され、脱落防止ピン5が両端で固定された状態となるようにすることがより好ましい。即ち、脱落防止ピン5を、定形耐火物2だけでなく、セラミックブランケット1にも通して固定することで、例えば、定形耐火物2に亀裂が発生することが起きた場合でも、炉内に破片が脱落(落下)することが有効に防止される。従って、上記のように構成すれば、加熱炉の天井に耐熱複合材料を適用することが可能となり、加熱炉の天井に施工された耐熱複合材料の耐久性の向上が図られる。
図4は、本発明の耐熱複合材料3を加熱炉の内張り炉材として使用する場合の一例である。複数の耐熱複合材料を加熱炉の缶体4の内壁全体に沿うように配置することで炉壁として使用される。また、本発明の耐熱複合材料は、図5に示したような積み方にすることが可能である。図5に示した積み方の場合は、耐熱複合材料3を構成するセラミックブランケット1と定形耐火物2が、それぞれ垂直方向の一直線上に配置されて積まれた状態で壁炉を構成する。本発明の耐熱複合材料3は、図6に示したような積み方をすることが可能である。図6に示した積み方の場合は、隣接する耐熱複合材3同士における積層体を構成する定形耐火物2の位置が、垂直方向と水平方向が交互に配置された状態で壁炉を構成する。上記したように、本発明の耐熱複合材料3の炉材としての積み方は、構成する定形耐火物2の材質や加熱炉の操業条件によって適宜に使い分けることが可能であり、特に限定されるものではない。
本発明の耐熱複合材料の製造方法の一例について、図を参照しながら説明する。本発明の耐熱複合材料の単体は、図1A及び図1Bに示したように、一般的な耐火物製造方法で作製された六面体の定形耐火物2の1つの側面と2つの平面を、シート状のセラミックブランケット2でそれぞれ覆い、且つ、定形耐火物2の他の3つの側面が露出した状態となるようにして複合化する。このようにすることで、図1A及び図1Bに示したように、セラミックブランケット1で覆われた1つの側面以外の定形耐火物2の露出した3つの側面において、セラミックブランケット1の端面と前記定形耐火物2の端面とが面一の状態で突き合わされて同一平面を形成する状態になる。上記した構成の本発明の耐熱複合材料の単体を簡便に得るためには、シート状のセラミックブランケット2の幅を、六面体の定形耐火物2の平面の縦或いは横の辺の長さと同じにする必要がある。
本発明の耐熱複合材料は、耐火用・断熱用の内張り炉材として好適であり、例えば、1600℃以上に加熱される加熱炉の炉壁の材料として、効果的に使用できる。
実施例1として、図1Aに示した単体の耐熱複合材料が4つ積層されてなる、図2に示した積層構造を有するブロック状の耐熱複合材料を作製した。上記で用いた単体の耐熱複合材料は、セラミックブランケット1と定形耐火物2を、表1に示した体積割合になるように設計し、図1Aに示したようにして複合体を作製した。この際に用いた定形耐火物2は、縦300mm×横300mm×厚み25mmである平板状のものを用いた。また、セラミックブランケット1として、厚みが25mmの、上記定形耐火物2の縦300mm×横300mm2つの平面と、300mm×25mmの1つの側面を覆うことができる形状(サイズ)のシート状材料を用いた。上記で得た積層構造を有する耐熱複合材料の、セラミックブランケット1と定形耐火物2の材料構成は、体積比で、セラミックブランケット1が70%、定形耐火物2が30%をそれぞれ占める。
実施例2~5では、実施例1の積層構造を有するブロック状の耐熱複合材料の製造で用いた、先に述べたセラミックブランケット1と定形耐火物2と同様の特性の材料をそれぞれ用いた。そして、セラミックブランケット1と定形耐火物2の厚みを変えた以外は実施例1で行ったのと同様にして、セラミックブランケット1と定形耐火物2の材料構成が、体積比(体積%)で、60:40、50:50、40:60、30:70であるブロック状の耐熱複合材料をそれぞれ作製した。これらを実施例2~5の積層構造を有するブロック状の耐熱複合材料とした。
比較例1では、実施例1で用いた定形耐火物と同様の特性(材質)の、300mm×325mm×300mmの形状の定形耐火物のみからなる材料を用いた。
先のようにして作製した実施例1~5の耐熱複合材料を加熱炉の炉材として、図6に示した積み方で、試験用の加熱炉の炉壁を施工した。また、比較例1の定形耐火物のみのものを炉材とし、実施例の場合と同様に炉壁として加熱炉に施工した。各実施例及び比較例の材料を炉材としてそれぞれに用いて加熱炉の炉壁を施工後、それぞれの炉内を約32時間かけて1600℃まで加熱し、1600℃で4時間温度保持、約40時間かけて室温まで冷却した。そして、実施例ごとに加熱に要した燃料使用量を測定し、比較例1の炉材を施工した加熱炉において測定した燃料使用量を基準として算出した相対的な燃料使用量の指標を表1中に示した。また、それぞれの加熱炉内に施工されている配置が同じ4箇所の炉材について、実施例1~5の各耐熱複合材(炉材)については、加熱前後における上記4箇所に配置されている各耐熱複合材料の積層方向の厚みをそれぞれ測定した。比較例1の定形耐火物のみからなる炉材については、実施例の炉材と同様の方向の厚みをそれぞれ測定した。そして、測定した4箇所の炉材の平均寸法から寸法変化率をそれぞれ算出して、その結果を表1に示した。収縮をマイナスの数値で示し、膨張をプラスの数値で示した。
2:六面体の定形耐火物
3:積層構造を有するブロック状の耐熱複合材料
4:加熱炉の缶体
5:脱落防止ピン
Claims (10)
- 耐熱性材料である質量比でアルミナを70%以上含む高アルミナ含有ファイバーの集積体と、加熱炉の内張り炉材として用いられている六面体の定形耐火物が複合化されて一体化されてなる複合体である、耐火用・断熱用の内張り炉材として用いられる耐熱複合材料であって、
前記六面体の定形耐火物の1つの側面と2つの平面が、前記集積体で覆われ、且つ、他の3つの側面が露出した状態で複合化されており、且つ、前記集積体で覆われた1つの側面以外の3つの側面において、前記集積体の端面と前記定形耐火物の端面とが面一の状態で突き合わされて同一平面を形成してなることを特徴とする耐熱複合材料。 - さらに、前記複合体が複数積層された積層構造を有するブロック状の耐熱複合材料であって、前記積層構造が、前記平面を覆う集積体同士が重なる方向で積層されて、積層方向に前記集積体からなる層と前記定形耐火物からなる層が連続して形成され、且つ、前記集積体で覆われた前記定形耐火物の1つの側面以外の3つの側面において、前記集積体の端面と前記定形耐火物の端面とが面一の状態で突き合わされて同一平面を形成してなり、積層方向の長さが150mm以上である請求項1に記載の耐熱複合材料。
- 前記集積体の使用温度が1600℃以上であり、前記定形耐火物の使用温度が1600℃以上である請求項1又は2に記載の耐熱複合材料。
- 前記集積体が、嵩密度が200kg/m3以下の高アルミナ含有ファイバーからなるブランケットであり、且つ、前記定形耐火物の嵩密度が2000kg/m3以下である請求項1又は2に記載の耐熱複合材料。
- 前記定形耐火物が、室温から1600℃以上の加熱状態を経て室温状態に戻るまでの焼成過程で高い残存線膨張率を示す、加熱で膨張する材料である請求項1又は2に記載の耐熱複合材料。
- 前記複合体の材料構成が、体積比で、前記高アルミナ含有ファイバーが30~70%であり、前記定形耐火物が30%~70%である請求項1又は2に記載の耐熱複合材料。
- 前記複合体の形状が、縦50~350mm、横50~350mm、厚み50~300mmである請求項1又は2に記載の耐熱複合材料。
- さらに、前記複合体が複数積層された積層構造を有するブロック状の耐熱複合材料から前記定形耐火物が脱落することを防止するための脱落防止ピンが設けられており、該脱落防止ピンは、複数積層された前記複合体を構成している前記集積体と前記定形耐火物の両方を貫通した状態で配置されている請求項2に記載の耐熱複合材料。
- 耐火用・断熱用の内張り炉材からなる炉壁であって、前記耐火用・断熱用の内張り炉材として前記請求項1又は2に記載の耐熱複合材料を複数用いてなり、且つ、炉内側に前記集積体が配置されるように構成されていることを特徴とする炉壁。
- 耐火用・断熱用の内張り炉材からなる炉壁であって、前記耐火用・断熱用の内張り炉材として前記請求項1又は2に記載の耐熱複合材料を複数用いてなり、炉内側に前記集積体が配置され、且つ、該集積体で覆われた定形耐火物のそれぞれが垂直方向の一直線上に配置されるように構成されているか、或いは、隣接する耐熱複合材料同士における該集積体で覆われた定形耐火物の位置が、垂直方向と水平方向が交互に配置されるように構成されていることを特徴とする炉壁。
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