JP4144543B2 - ハイブリッド変速機のモード遷移制御装置 - Google Patents
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Description
[ハイブリッド変速機の駆動系]
図1は実施例1の走行モード選択装置が適用されたハイブリッド変速機を示す全体システム図である。実施例1におけるハイブリッド変速機の駆動系は、図1に示すように、動力源として、エンジンEと、第1モータジェネレータMG1と、第2モータジェネレータMG2と、を有する。これらの動力源E,MG1,MG2と出力軸OUT(出力部材)とが連結される差動装置は、第1遊星歯車PG1と、第2遊星歯車PG2と、第3遊星歯車PG3と、エンジンクラッチECと、ローブレーキLB(油圧ブレーキ)と、ハイクラッチHCと、ハイローブレーキHLB(油圧ブレーキ)と、を有する。
実施例1のハイブリッド変速機における制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、油圧制御装置5と、統合コントローラ6と、アクセル開度センサ7と、車速センサ8と、エンジン回転数センサ9と、第1モータジェネレータ回転数センサ10と、第2モータジェネレータ回転数センサ11と、第3リングギヤ回転数センサ12と、油温センサ13(油温検出手段)を有して構成されている。
実施例1のハイブリッド変速機は、下記の特徴を持つ。
・変速機の出力軸OUTをエンジン出力軸と同軸上に一致させることができることから、FF車(フロントエンジン・フロントドライブ車)に限らず、FR車(フロントエンジン・リヤドライブ車)に搭載できる。
・共線図上で内側に配置される2つの要素の一方にエンジンEからの入力を、他方に出力軸OUTをそれぞれ割り当てると共に、両外側2つの要素にそれぞれ両モータジェネレータMG1,MG2を連結する構成を採用することで、エンジン出力に対して2個のモータジェネレータMG1,MG2側が負担するトルクをより小さくして小型化を図れると共に、2個のモータジェネレータMG1,MG2を通過するエネルギーがより低減することから駆動装置としての伝達効率が向上する。
・無段変速モードとして1つの走行モードで常用変速比域をカバーするのではなく、ロー側無段変速モードとハイ側無段変速モードとに分担して常用変速比域をカバーするようにしているため、2つのモータジェネレータMG1,MG2による出力分担率は、エンジンEが発生する出力の約20%以下に抑えることができる。
図6にEVモード関連のEV-Lowモードの共線図、EV-Low-iVTモードの共線図、EV-2ndモードの共線図、EV-High-iVTモードの共線図、EV-Highモードの共線図をそれぞれ示す。図7にHEVモード関連のHEV-Lowモードの共線図、HEV-Low-iVTモードの共線図、HEV-2ndモードの共線図、HEV-High-iVTモードの共線図、HEV-Highモードの共線図をそれぞれ示す。
図8は実施例1の統合コントローラ6において実行されるモード遷移制御処理の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する(モード遷移制御手段)。なお、図8に示すフローチャートは、ハイローブレーキHLBの解放もしくは締結を伴い、固定されていない側のモータジェネレータが第2モータジェネレータMG2であるHEV-Lowモード(第1変速モード)からHEV-Low-iVTモード(第2変速モード)へのモード遷移時、または、HEV-Low-iVTモード(第2変速モード)からHEV-Lowモード(第1変速モード)へのモード遷移時における制御処理を示す。
ハイブリッド変速機において、油圧ブレーキの締結または解放と、モータジェネレータのトルク変更と、を伴うモード遷移時には、下記に述べる課題がある。
これに対し、ハイローブレーキHLBと両モータジェネレータMG1,MG2は、それぞれ異なったトルク応答性を持ち、電気信号のみによって制御される両モータジェネレータMG1,MG2のトルク応答性は、電気信号を油圧に変換し、変換された油圧にて作動するハイローブレーキHLBのトルク応答性に比べて速い。
このため、図10のブレーキトルク特性と、図11の第2モータジェネレータMG2の従来トルク特性(点線特性)との対比から明らかなように、ハイローブレーキHLBが完全に解放となる時点t1の前の時点t'で第2モータジェネレータMG2のトルクが正から負へと変更されることになり、図12の点線特性に示すように、駆動力の抜けが発生し、モード遷移時に引き込みショックが出てしまうことになる。
これに対し、実施例1では、油圧ブレーキの締結または解放と、モータジェネレータのトルク変更と、を伴うモード遷移時には、モータジェネレータのトルク応答を油圧ブレーキのトルク応答に同期させる制御を行う。
実施例1のハイブリッド変速機のモード遷移制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
図13は実施例2の統合コントローラ6において実行されるモード遷移制御処理の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する。なお、図13に示すフローチャートにおいて、ステップS24及びステップS30を除くステップS21〜ステップS35のそれぞれは、図8に示す実施例1のフローチャートのステップS1〜ステップS15のそれぞれと対応するので、説明を省略する。
ここで、所定時間は、モード遷移開始時からハイローブレーキHLBのブレーキトルクが設定トルクだけ低くなるまでの時間により決める。なお、所定時間は、予め行った実験等により設定時間(固定値)として決めても良い。
ここで、所定時間は、モード遷移開始時からハイローブレーキHLBのブレーキトルクが設定トルクだけ高くなるまでの時間により決める。なお、所定時間は、予め行った実験等により設定時間(固定値)として決めても良い。
例えば、HEV-LowモードからHEV-Low-iVTモードへのモード遷移時、ハイローブレーキHLBの解放指令と同時に、ハイローブレーキHLBにより固定されている側の第1モータジェネレータMG1が正トルクを出し始める。よって、ハイローブレーキHLBのブレーキトルクがある程度低くならないと駆動力の飛び出しが発生するため、飛び出しが発生する時間、つまり、低トルク応答であるハイローブレーキHLBが締結トルク容量を持っている時間だけは第2モータジェネレータMG2のトルクを小さくする必要がある。
なお、他の作用については、実施例1と同様であるので、作用説明を省略する。
実施例2のハイブリッド変速機のモード遷移制御装置にあっては、実施例1の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
・ローブレーキLBが締結されるHEV-2ndモード(固定変速モード)を第1変速モードとし、ローブレーキLBが解放されるHEV-High-iVTモード(無段変速モード)を第2変速モードとするモード遷移制御。
・ハイローブレーキHLBが締結されるHEV-Highモード(固定変速モード)を第1変速モードとし、ハイローブレーキHLBが解放されるHEV-High-iVTモード(無段変速モード)を第2変速モードとするモード遷移制御。
・ローブレーキLBが締結されるHEV-Low-iVTモード(無段変速モード:図9(b))を第1変速モードとし、ローブレーキLBが解放されるHEV-High-iVTモード(無段変速モード:図9(c))を第2変速モードとするモード遷移制御。
MG1 第1モータジェネレータ
MG2 第2モータジェネレータ
OUT 出力軸(出力部材)
PG1 第1遊星歯車
PG2 第2遊星歯車
PG3 第3遊星歯車
EC エンジンクラッチ
LB ローブレーキ(油圧ブレーキ)
HC ハイクラッチ
HLB ハイローブレーキ(油圧ブレーキ)
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 インバータ
4 バッテリ
5 油圧制御装置
6 統合コントローラ
7 アクセル開度センサ
8 車速センサ
9 エンジン回転数センサ
10 第1モータジェネレータ回転数センサ
11 第2モータジェネレータ回転数センサ
12 第3リングギヤ回転数センサ
13 油温センサ(油温検出手段)
Claims (6)
- 共線図上に4つ以上の入出力要素が配列される差動装置を有し、前記入出力要素のうちの内側に配列される2つの要素の一方にエンジンからの入力を、他方に駆動系統への出力部材をそれぞれ割り当てると共に、前記内側の要素の両外側に配列される2つの要素にそれぞれ第1モータジェネレータと第2モータジェネレータとを連結したハイブリッド変速機において、
変速モードとして、油圧ブレーキの締結による第1変速モードと、油圧ブレーキの解放による第2変速モードと、を設定し、
前記第1変速モードから第2変速モードへのモード遷移時、または、第2変速モードから第1変速モードへのモード遷移時、モード遷移が開始されてから前記油圧ブレーキのトルクがモード遷移後の目標値になるまでの間、固定されていない側の前記モータジェネレータのトルクの変化率を、前記油圧ブレーキのトルクの変化率に追従させるモード遷移制御手段を設けたことを特徴とするハイブリッド変速機のモード遷移制御装置。 - 請求項1に記載されたハイブリッド変速機のモード遷移制御装置において、
前記油圧ブレーキの作動油の温度を検出する油温検出手段を設け、
前記モード遷移制御手段は、油温検出値が高いほど前記油圧ブレーキのトルクの変化率が高いと推測し、モード遷移時、固定されていない側の前記モータジェネレータのトルクの変化率を、油温検出値により推測される前記油圧ブレーキのトルクの変化率に追従させることを特徴とするハイブリッド変速機のモード遷移制御装置。 - 請求項1または請求項2に記載されたハイブリッド変速機のモード遷移制御装置において、
前記油圧ブレーキのブレーキ圧を検出するブレーキ圧検出手段を設け、
前記モード遷移制御手段は、ブレーキ圧検出値を監視することにより前記油圧ブレーキのトルクの変化率を推測し、モード遷移時、固定されていない側の前記モータジェネレータのトルクの変化率を、ブレーキ圧検出値により推測される前記油圧ブレーキのトルクの変化率に追従させることを特徴とするハイブリッド変速機のモード遷移制御装置。 - 共線図上に4つ以上の入出力要素が配列される差動装置を有し、前記入出力要素のうちの内側に配列される2つの要素の一方にエンジンからの入力を、他方に駆動系統への出力部材をそれぞれ割り当てると共に、前記内側の要素の両外側に配列される2つの要素にそれぞれ第1モータジェネレータと第2モータジェネレータとを連結したハイブリッド変速機において、
変速モードとして、油圧ブレーキの締結による第1変速モードと、油圧ブレーキの解放による第2変速モードと、を設定し、
前記第1変速モードから第2変速モードへのモード遷移時、または、第2変速モードから第1変速モードへのモード遷移時、固定されていない側の前記モータジェネレータのトルクを正から負、または負から正へ切り替えると共に、モード遷移開始後、前記油圧ブレーキのトルクがモード遷移後の目標値になる時点と、固定されていない側の前記モータジェネレータのトルクがゼロになる時点とを一致させるモード遷移制御手段を設けたことを特徴とするハイブリッド変速機のモード遷移制御装置。 - 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載されたハイブリッド変速機のモード遷移制御装置において、
前記モード遷移制御手段は、モード遷移開始から所定時間が経過するまでは、固定されていない側の前記モータジェネレータのトルクを高い変化率で変化させるトルク制御を実行し、モード遷移開始から前記所定時間の経過後、前記モード遷移制御を開始することを特徴とするハイブリッド変速機のモード遷移制御装置。 - 請求項5に記載されたハイブリッド変速機のモード遷移制御装置において、
前記モード遷移制御手段は、前記所定時間を、前記油圧ブレーキのトルクがモード遷移開始時の値から設定トルクだけ変化した時点までとすることを特徴とするハイブリッド変速機のモード遷移制御装置。
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