JP4144128B2 - 硬化性組成物及び回路基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細金属配線層を有する基板用に適した硬化性組成物、該硬化性組成物を用いた回路基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品を実装するプリント配線板は、金属配線を有する内層基板上に絶縁材料を積層し、その上に金属配線回路を形成することにより多層構造をなしている。ノルボルネン系重合体などの環構造含有重合体は、電子部品の絶縁材料として優れた特性を有しており、このようなプリント配線板の絶縁層用の材料としての用途が提案されている。
国際公開WO/98/56011号公報には、ノルボルネン系重合体と硬化剤とからなる硬化性樹脂組成物をプリント配線基板用の絶縁材料として使用すると、低吸水性、誘電特性に優れ、耐熱性や耐薬品性、配線との密着性にも優れたプリント配線基板が得られることが記載されている。
【0003】
しかしながら、電子機器の高速処理化及び小型軽量化の要求に伴い、プリント配線基板の金属配線層の配線幅が細くなり、配線間の距離が短くなり、また、金属配線層間の層間絶縁層も薄くなるにつれ、絶縁材料には、従来以上の配線に対する耐剥離性、高温高湿度下などの苛酷な環境で長期使用した場合の絶縁抵抗性等が要求されるようになってきているが、上記の硬化性組成物では限界があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、苛酷な環境での絶縁抵抗性、耐剥離性に優れ、微細金属配線層を有する基板への積層性にも優れた硬化性組成物、金属配線層を有する基板上に該硬化性組成物層を形成させてなる回路基板及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討の結果、(1)極性基を有する特定分子量の脂環式構造含有重合体に、特定の硬化剤、特定の硬化促進剤、及びトリアジンチオールなどのトリアジン多価チオール化合物を配合すると、苛酷な環境での絶縁抵抗性、従来以上に高度な耐剥離性に優れた回路基板が得られることを見出した。また、該組成物は微細配線に対しても、積層の際に気泡等を発生させず、空隙部分なく配線間を埋め込むことができるといった優れた積層性を有していることも見出した。本発明は上記これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0006】
かくして、本発明によれば、(A)重量平均分子量が5,000〜1,000,000で、ヘテロ原子又はヘテロ原子を有する原子団からなる極性基を有する脂環式構造含有重合体100重量部、
(B)イオン性硬化剤5〜150重量部、
(C)アリール基及びアラルキル基から選ばれる環構造含有の置換基を有する置換イミダゾール化合物からなる硬化促進剤0.001〜30重量部、並びに
(D)トリアジン多価チオール化合物0.001〜30重量部
を含むことを特徴とする硬化性組成物;該硬化性組成物が、(E)炭化水素系溶媒と極性溶媒との重量比5:95〜95:5の混合有機溶媒中に、固形分濃度5〜80重量%で分散又は溶解していることを特徴とするワニス;該硬化性組成物又はワニスを用いて得られる成形物;回路基板とその製造方法などが提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
脂環式構造含有重合体
本発明に使用される脂環式構造含有重合体は、特定な分子量を有し且つ脂環式構造を有することを特徴とする。脂環式構造含有重合体中の環構造の結合位置は、主鎖及び/又は側鎖のいずれでもよいが、耐熱性や耐薬品性などの観点から、主鎖にあることが好ましい。環構造としては、例えば、芳香環構造、脂環式構造などの炭化水素環が挙げられるが、絶縁抵抗性、耐薬品性の観点から、脂環式構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造がより好ましい。また、脂環式構造としては、単環、多環、縮合多環、橋架け環、これらの組み合わせ多環などが挙げられる。脂環式構造を構成する炭素原子数は、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個であり、この範囲であると配線埋め込み性や耐熱性などに優れる。
【0008】
脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量以上%である。脂環式構造を有する繰り返し単位の割合が過度に少ないと、絶縁抵抗性や耐熱性に劣る。脂環式構造を有する繰り返し単位以外の残部は、格別な限定はなく、使用目的に応じて適宜選択される。
【0009】
かかる脂環式構造を有する重合体の具体例としては、例えば、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル環状炭化水素系重合体、(5)これらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、絶縁抵抗性や耐薬品性の観点から、ノルボルネン系重合体及びその水素添加物、環状共役ジエン系重合体及びその水素添加物などが好ましく、ノルボルネン系重合体及びその水素添加物がより好ましい。
【0010】
(1)ノルボルネン系重合体
ノルボルネン系重合体としては、格別な制限はなく、例えば、特開平3−14882号公報や特開平3−122137号公報などで開示される方法によってノルボルネン系モノマーを重合したもの、具体的には、ノルボルネン系モノマーの開環重合体及びその水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加型重合体、ノルボルネン系モノマーとビニル化合物との付加型共重合体などが挙げられる。これらの中でも、絶縁抵抗性、耐熱性、耐薬品性の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加型重合体、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なビニル化合物の付加型共重合体が好ましく、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物が特に好ましい。
【0011】
ノルボルネン系モノマーは、上記各公報や特開平2−227424号公報、特開平2−276842号公報などに開示されている公知のモノマーを使用することができる。
【0012】
ノルボルネン系モノマーの具体例としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
【0013】
トリシクロ[4.3.0.12,5 ]デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.4.0.12,5 ]ウンデカ−3,8−ジエン、トリシクロ[4.4.0.12,5 ]ウンデカ−3−エン、5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
【0014】
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5
.17,10]−ドデカ−3−エン;
【0015】
テトラシクロ[7.4.0.110,13 .02,7 ]トリデカ−2,4,6,11−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.0.111,14 .03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンともいう)、ペンタシクロ[6.5.13,6.02,7 .09,13]ペンタデカ−3,10−ジエン、ペンタシクロ[7.4.0.13,6.110,13 .02,7 ]ペンタデカ−4,11−ジエン、シクロペンタジエンの4量体以上の付加物、5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、テトラシクロ[6.5.0.12,5.08,13]トリデカ−3,8,10,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[6.6.0.12,5 .08,13]テトラデカ−3,8,10,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンともいう)などの極性基を有さないノルボルネン系モノマーが挙げられる。
【0016】
ノルボルネン系モノマーとしては、また、極性基を有するものであってもよい。極性基としては、例えば、ヘテロ原子、又はヘテロ原子を有する原子団などを挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、珪素原子、ハロゲン原子などが挙げられるが、酸素原子や窒素原子が、耐剥離性が向上して好ましい。かかる極性基の具体例としては、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、カルボニルオキシカルボニル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられる。
【0017】
かかる極性基を有するノルボルネン系モノマーの具体例としては、例えば、5−メトキシ−カルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン; 5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル−2−メチルプロピオネイト、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル−2−メチルオクタネイト、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−i−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン; 5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸イミド、
【0018】
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−カルボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
【0019】
これらのノルボルネン系モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。ノルボルネン系重合体は、ノルボルネン系モノマーと、それと共重合可能な他のモノマーとの共重合体であってもよい。ノルボルネン系重合体中のノルボルネン系モノマー結合量の割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上であると、耐熱性、耐薬品性に優れる。
【0020】
共重合可能なビニル化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。
これらのビニル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
ノルボルネン系モノマー又はノルボルネン系モノマーと共重合可能なビニル系化合物との重合及び水素添加は、公知の方法に従って行うことができる。
【0022】
ノルボルネン系モノマーの開環重合体は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの金属のハロゲン化物、硝酸塩、又はアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系;あるいは、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒系を用い、溶媒中又は無溶媒で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kg/cm2の重合圧力で開環重合させることにより得ることができる。
【0023】
水素添加は、常法に従い、水素添加触媒の存在下に、重合体の主鎖又は側鎖に存在する炭素−炭素不飽和結合を部分的又は全面的に水素化することにより行う。芳香環を含有する重合体の場合、芳香環を水素化してもよいし、主鎖及び側鎖の非芳香族炭素−炭素不飽和結合のみを選択的に水素添加してもよい。
【0024】
ノルボルネン系モノマーとビニル系化合物との付加型共重合体は、例えば、モノマー成分を、溶媒中又は無溶媒で、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒系の存在下で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kg/cm2 の重合圧力で共重合させる方法により得ることができる。
【0025】
(2)単環の環状オレフィン系重合体
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、特開昭64−66216号公報に開示されているシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系モノマーの付加(共)重合体を用いることができる。
【0026】
(3)環状共役ジエン系重合体
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、特開平6−136057号公報や特開平7−258318号公報に開示されているシクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系モノマーを1,2−又は1,4−付加重合した(共)重合体及びその水素添加物などを用いることができる。
【0027】
(4)ビニル環状炭化水素系重合体
ビニル系環状炭化水素系重合体としては、例えば、特開昭51−59989号公報に開示されているビニルシクロヘキセンやビニルシクロヘキサンなどのビニル環状炭化水素系単量体の重合体及びその水素添加物、特開昭63−43910号公報や特開昭64−1706号公報などに開示されているスチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体の重合体の水素添加物などを用いることができる。
【0029】
本発明においては、脂環式構造含有重合体のなかでも極性基含有の脂環式構造含有重合体を用いることで、絶縁抵抗性、耐剥離性がより向上する。該極性基の具体例及び好ましいものは、前述の、極性基含有ノルボルネン系モノマーの有する極性基の具体例、及び好ましいものと同等なものを例示できる。
【0030】
かかる極性基を有する脂環式構造含有重合体としては、例えば、前述の極性基含有ノルボルネン系モノマーを重合したものを用いてもよいが、変性反応で極性基を導入した変性脂環式構造含有重合体が、配合する硬化剤やチオール化合物との相溶性、絶縁抵抗性、耐剥離性に優れる。
【0031】
このような変性脂環式構造含有重合体としては、例えば、脂環式構造含有重合体の塩素化物、クロロスルフォン化物、及び極性基含有不飽和化合物のグラフト変性物などが挙げられ、なかでも、絶縁抵抗性、耐剥離性の観点で、グラフト変性物が好ましい。
【0032】
グラフト変性に使われる極性基含有不飽和化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリジルメタクリレート、p−スチリルカルボン酸グリシジル、エンド−シス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸、エンド−シス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2−メチル−2,3−ジカルボン酸、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、o−アリルフェノールのグリシジルエーテル、m−アリルフェノールのグリシジルエーテル、p−アリルフェノールのグリシジルエーテル等の不飽和エポキシ化合物;アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸、メチル−エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸化合物;無水マレイン酸、クロロ無水マレイン酸、ブテニル無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水シトラコン酸などの不飽和無水カルボン酸化合物;マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどの不飽和エステル化合物;
【0033】
アリルアルコール、2−アリル−6−メトキシフェノール、4−アリロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、3−アリロキシ−1,2−プロパンジオール、2−アリルシフェノール、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オールなどの不飽和アルコール化合物;クロロジメチルビニルシラン、トリメチルシリルアセチレン、5−トリメチルシリル−1,3−シクロペンタジエン、3−トリメチルシリルアリルアルコール、トリメチルシリルメタクリレート、1−トリメチルシリロキシ−1,3−ブタジエン、1−トリメチルシリロキシ−シクロペンテン、2−トリメチルシリロキシエチルメタクリレート、2−トリメチルシリロキシフラン、2−トリメチルシリロキシプロペン、アリロキシ−t−ブチルジメチルシラン、アリロキシトリメチルシランなどの不飽和シラン化合物;などが挙げられる。これらの中でも、配合する硬化剤やチオール化合物等との相溶性、絶縁抵抗性、耐熱性等の観点で不飽和エポキシ化合物や不飽和無水カルボン酸化合物が好ましく、特に不飽和無水カルボン酸化合物が好ましい。
【0034】
グラフト変性は、ラジカル開始剤の存在下に行うことが好ましい。ラジカル開始剤としては、例えば、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン−3,1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルベルフェニルアセテート、tert−ブチルペルイソブチレ−ト、tert−ブチルペル−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピパレート、クミルペルピパレート及びtert−ブチルペルジエチルアセテートなどの有機ペルオキシド; アゾビスイソブチロニトリル及びジメチルアゾイソブチレートなどのアゾ化合物を挙げることができる。
【0035】
これらのラジカル開始剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。ラジカル開始剤の使用割合は、未変性脂環式構造含有重合体100重量部に対して通常0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.1〜2.5重量部の範囲である。グラフト変性反応は、常法に従って行うことができる。反応温度が、通常0〜400℃、好ましくは60〜350℃で、反応時間が、通常1分〜24時間、好ましくは30分〜10時間の範囲である。
【0036】
脂環式構造含有重合体のグラフト変性物のグラフト変性率は、使用目的に応じて適宜選択されるが、重合体中の総モノマー単位数を基準として、通常1〜100モル%、好ましくは5〜50モル%、より好ましくは20〜40モル%の範囲である。変性脂環式構造含有重合体のグラフト変性率がこの範囲にあると、配合する硬化剤やトリアジン多価チオール化合物との相溶性に優れ、硬化物の絶縁抵抗性、耐剥離性、耐熱性、及び耐薬品性が高度にバランスされる。グラフト変性率は、下式(1)で表される。
グラフト変性率(モル%)=(X/Y)×100 (1)
X:グラフトした不飽和化合物による重合体中の変性基の全モル数
Y:重合体の総モノマー単位数
Xは、グラフトモノマー変性残基全モル数ということができ、1H−NMRにより測定することができる。Yは、重合体の重量平均分子量(Mw)/モノマーの分子量に等しい。共重合の場合には、モノマーの分子量は、モノマーの平均分子量とする。
【0037】
本発明に使用される脂環式構造含有重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、トルエンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、より好ましくは20,000〜250,000の範囲である。脂環式構造含有重合体の重量平均分子量(Mw)が過度に小さいと耐剥離性等が低下し、逆に、過度に大きいと微細配線に対する積層性や硬化剤、チオール化合物との相溶性に劣る。また、該脂環式構造含有重合体のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されるが、耐熱性、加工性等の観点から、通常50〜400℃、好ましくは70〜350℃、より好ましくは80〜300℃である。
【0038】
硬化剤
本発明に使用される硬化剤としては、前記脂環式構造含有重合体を硬化させるものであり、例えば、イオン性硬化剤、ラジカル性硬化剤等があるが、絶縁抵抗性、耐熱性、耐薬品性、及び脂環式構造含有重合体との相溶性の観点でイオン性硬化剤が好ましい。
【0039】
イオン性硬化剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族ポリアミン化合物;ジアミノシクロヘキサン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカン;1,3−(ジアミノメチル)シクロヘキサン、メンセンジアミン、イソホロンジアミンN−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環族ポリアミン化合物;4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフォン、メタフェニレンジアミン、メタキシシリレンジアミンなどの芳香族ポリアミン化合物;
【0040】
4,4′−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、4,4′−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4′−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4′−アジドベンザル)−4−メチル−シクロヘキサノン、4,4′−ジアジドジフェニルスルホン、4,4′−ジアジドジフェニルメタン、2,2′−ジアジドスチルベンなどのビスアジド化合物;無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ナジック酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどの酸無水物;フマル酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ハイミック酸などのジカルボン酸化合物;1,3′−ブタンジオール、1,4′−ブタンジオール、ヒドロキノンジヒドロキシジエチルエーテル、トリシクロデカンジメタノールなどのジオール化合物;1,1,1−トリメチロールプロパン等のトリオール;フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどの多価フェノール;ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン−11、ナイロン−612、ナイロン−12、ナイロン−46、メトキシメチル化ポリアミド、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンイソフタルアミドなどのポリアミド化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物;
【0041】
フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、レゾール型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールF型エポキシ化合物等のグリシジルエーテル型エポキシ化合物;脂環式エポキシ化合物;グリシジルエステル型エポキシ化合物;グリシジルアミン型エポキシ化合物;イソシアヌレート型エポキシ化合物などの多価エポキシ化合物などが挙げられる。これらの中でも、ジオール化合物、多価フェノール化合物、多価エポキシ化合物などの硬化剤、特に多価エポキシ化合物が好ましい。
【0042】
ラジカル性硬化剤としては、例えば、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、オクタノイルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、ペルオキシジカーボネートなどの有機ペルオキシドなどが挙げられる。
【0043】
硬化剤の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50〜4,000、好ましくは100〜3,500、より好ましくは500〜3,000の範囲であり、この範囲にあると、脂環式構造含有重合体との相溶性に優れる。
【0044】
これらの硬化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合割合は、脂環式構造含有重合体100重量部に対して、通常5〜150重量部、好ましくは15〜110重量部、より好ましくは30〜100重量部の範囲である。
【0045】
脂環式構造含有重合体と硬化剤との硬化性をさらに高めるために、硬化促進剤や硬化助剤を使用することもできる。硬化促進剤は、脂環式構造含有重合体と硬化剤との硬化反応を促進させるものであれば限定はなく、硬化剤が多価エポキシ化合物の場合には、第3級アミン系化合物や三弗化ホウ素錯化合物などがあげられる。なかでも、第3級アミン系化合物を使用すると、微細配線に対する積層性、絶縁抵抗性、耐熱性、耐薬品性が向上する。
【0046】
第3級アミン系化合物の具体例としては、例えば、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリベンジルアミン、ジメチルホルムアミドなどの鎖状3級アミン化合物;ピラゾール類、ピリジン類、ピラジン類、ピリミジン類、インダゾール類、キノリン類、イソキノリン類、イミダゾール類、トリアゾール類などの化合物が挙げられる。これらの中でも、イミダゾール類、特に置換基を有する置換イミダゾール化合物が好ましい。
【0047】
置換イミダゾール化合物の具体例としては、例えば、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、ビス−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−メチル−2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどのアルキル置換イミダゾール化合物;2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール,1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−エチル−4−メチル−1−(2’−シアノエチル)イミダゾール、2−エチル−4−メチル−1−[2’−(3”,5”−ジアミノトリアジニル)エチル]イミダゾールなどのアリール基やアラルキル基などの環構造を含有する炭化水素基で置換されたイミダゾール化合物などが挙げられる。これらの中でも、環構造含有の置換基を有するイミダゾールが脂環式構造含有重合体との相溶性の観点から好ましく、特に、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールが好ましい。
【0048】
これらの硬化促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。硬化促進剤の配合量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、脂環式構造含有重合体100重量部に対して、通常0.001〜30重量部、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.03〜5重量部である。
【0049】
硬化助剤は、特に限定されるものではないが、特開昭62−34924号公報等に開示されている公知のものでよく、例えば、キノンジオキシム、ベンゾキノンジオキシム、p−ニトロソフェノール等のオキシム・ニトロソ系硬化助剤;N,N−m−フェニレンビスマレイミド等のマレイミド系硬化助剤;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系硬化助剤;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のメタクリレート系硬化助剤;ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼンなどのビニル系硬化助剤等が例示される。
【0050】
これらの硬化助剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合割合は、硬化剤100重量部に対して、通常1〜1000重量部、好ましくは10〜500重量部の範囲である。
【0051】
チオール化合物
本発明に使用されるチオール化合物は、分子中に少なくとも一つのチオール基を有するものであり、絶縁抵抗性、耐剥離性をより向上させるためには、分子中に少なくとも二つのチオール基を有する多価チオール化合物が好ましく、分子内にヘテロ環構造を有するものがより好ましい。ヘテロ環構造としてはトリアジン環構造が好ましい。かかるトリアジン多価チオール化合物としては、例えば、式(1)で表わされるものを用いることができる。
【0052】
【化1】
【0053】
(式中R1及びR2は−NR'2、−R'、−SM、を示す。R'は同一又は相異なる水素;アルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、シクロヘキシル基などの炭化水素基(水素原子の1部が−OH、−COOH、−NH2等で置換されたものを含む。)であり、MはNa、K、H、アミン類である。また、−NR'2のR'は互いに結合して環を形成していてもよい。)
【0054】
上記式(1)で表わされるものの中でも、R1又はR2のいずれか一つが−SMであるものが、耐剥離性に優れるために好ましく、R1又はR2の残りが、−NR’2のものが、さらに脂環式構造含有重合体との相溶性に優れる。
【0055】
このようなトリアジン多価チオール化合物の具体例としては、例えば、
R1が−SM、R2が−NR'2のものとして、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−モルホリル−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−モノラウリル−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、などのトリアジンジチオール化合物;などが挙げられる。
R1,R2のいずれもが−SMのものとして、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン−モノソデイウムソルト、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン−トリソデイウムソルトなどのトリアジントリチオール化合物;などが挙げられる。
【0056】
上記これらのトリアジンチオール化合物中でも、配線埋め込み性の観点で、トリアジンジチオール化合物が好ましい。
【0057】
本発明に使用されるチオール化合物の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常40〜2000、好ましくは70〜1000、より好ましくは100〜500であり、この範囲にあると脂環式構造含有重合体との相溶性に優れ、硬化物の絶縁抵抗性、耐剥離性に優れる。
【0058】
これらのチオール化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、脂環式構造含有重合体100重量に対して、通常0.001〜30重量部、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の範囲である。配合量が少なすぎると、絶縁抵抗性、耐剥離性が向上せず、配合量が多すぎると、耐熱性、耐薬品性が低下する。
【0059】
その他成分
硬化性組成物は、所望に応じて、その他の成分を配合することができる。その他の成分としては、脂環式構造含有重合体以外の重合体や配合剤などが挙げられる。
【0060】
脂環式構造含有重合体以外の重合体としては、例えば、ゴム質重合体や樹脂を挙げることができる。ゴム質重合体は、通常30℃以下のTgを有する重合体であり、具体例としては、例えば、天然ゴム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・イソプレン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエン・イソプレン三元共重合体ゴムなどのジエン系ゴム;これらのジエン系ゴムの水素添加物;エチレン・プロピレン共重合体等のエチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・その他のα−オレフィン共重合体などの飽和ポリオレフィンゴム;エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、α−オレフィン・ジエン共重合体、イソブチレン・イソプレン共重合体、イソブチレン・ジエン共重合体などのα−オレフィン・ジエン系重合体ゴム;ウレタンゴム、ポリエーテルゴム、アクリルゴム、プロピレンオキサイドゴム、エチレンアクリルゴムなどの特殊ゴム;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン・イソプレンの水素添加物・スチレンブロック共重合体ゴムなどのスチレン系熱可塑性エラストマー;ウレタン系熱可塑性エラストマー;ポリアミド系熱可塑性エラストマー;1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー;などが挙げられる。
【0061】
樹脂としては、環構造を有さない重合体が挙げられ、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのポリオレフィン;ナイロン66などのポリアミド;エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリイミドなどが挙げられる。
【0062】
これらの重合体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。その他の重合体の配合割合は、脂環式構造含有重合体100重量部に対して、通常100重量部以下、好ましくは70重量部以下、より好ましくは50重量部以下であり、その下限は0重量部である。
【0063】
配合剤としては、フィラー、難燃剤、難燃助剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、乳剤などが挙げられ、その配合割合は、本発明の目的を損ねない範囲で適宜選択される。
【0064】
硬化性組成物
本発明の硬化性組成物は、前記の脂環式構造含有重合体、硬化剤、硬化促進剤、及びトリアジン多価チオール化合物を必須成分として含有し、必要に応じて、硬化助剤、その他の配合剤を含有するものであり、使用形態は、格別限定されないが、好ましくは(1)該硬化性組成物を有機溶媒に溶解又は分散させたワニス、又は(2)該硬化性組成物を成形してなる成形物(特に溶液流延法によるフィルム又はシート)である。
【0065】
(1)ワニス
ワニスの調整に使用する有機溶媒の具体例としては、例えば、非極性溶媒として、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶媒などが挙げられ、極性溶媒としては、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒などを挙げることができる。
【0066】
これらの溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明のワニスは、例えば、金属配線層を有する基板上に直接塗布したり、溶液流延法によりフィルムやシートを成形する目的で使用される。
有機溶媒のなかでも、微細配線への埋め込み性に優れ、気泡等を生じさせないものとして、芳香族炭化水素系溶媒や脂環族炭化水素系溶媒などの炭化水素系溶媒と極性溶媒とを混合した混合溶媒が好ましい。これらの炭化水素系溶媒と極性溶媒の混合比は適宜選択できるが、重量比で、通常5:95〜95:5、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは20:80〜80:20の範囲である。
【0067】
有機溶媒の使用量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、固形分濃度が、通常5〜80重量%、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは20〜60重量%である。
【0068】
硬化性組成物の有機溶媒中への分散又は溶解方法は、常法に従えばよく、例えば、攪拌子とマグネチックスターラーを使用した攪拌、高速ホモジナイザー、ディスパージョン、遊星攪拌機、二軸攪拌機、ボールミル、三本ロールなどを使用した方法などで行うことができる。
【0069】
(2)成形物
成形物としてはフィルム又はシートが好ましく、通常の溶液流延法により、例えば、上記ワニスを支持体に塗布した後に、溶媒を乾燥除去して行うことができる。塗布方法は、例えば、デイップコート、ロールコート、カーテンコート、ダイコート、スリットコートなど任意の方法を用いることができる。溶媒の除去乾燥条件は、有機溶媒の種類により適宜選択されるが、乾燥温度が、通常20〜300℃、好ましくは30〜200℃、乾燥時間が、通常30秒〜1時間、好ましくは1分〜30分である。
【0070】
フィルム又はシートの厚みは、通常0.1〜150μm、好ましくは0.5〜100μm、より好ましくは1.0〜80μmである。
フィルム又はシートを基板上に積層する場合には、支持体上にフィルム又はシートを形成し、一体で積層した後、支持体を剥離する。
【0071】
支持体としては、通常樹脂フィルム又は金属箔が用いられる。 樹脂フィルムとしては、通常、熱可塑性樹脂フィルムが用いられ、具体的には、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネイトフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアリレートフィルム、ナイロンフィルムなどが挙げられ、耐熱性や耐薬品性、積層後の剥離性などの点からポリエステルフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等が好ましい。金属箔としては、特に限定はなく、例えば、銅、アルミ、ニッケル、クロム、金、銀などの箔が用いられ、導電性が良好で安価である点で、電解銅箔や圧延銅箔などが好適である。支持体としての樹脂フィルム又は金属箔の厚みは、格別な限定はないが、作業性等の観点から、通常1μm〜150μm、好ましくは2μm〜100μm、より好ましくは3〜50μmである。
【0072】
回路基板
本発明の回路基板は、金属配線を有する基板(内層基板)上に前記硬化性組成物を硬化させてなる硬化物の層(硬化物層)が積層されていることを特徴とする。積層方法としては、格別限定はないが、例えば、前記ワニスを内層基板に塗布した後に有機溶媒を除去乾燥して硬化性組成物の層を形成した後に硬化させる方法、フィルム又はシートを加熱圧着等により積層した後に硬化する方法などが挙げられる。
【0073】
内層基板としては、プリント配線基板、シリコンウェハー基板などが使用できる。内層基板の厚みは、通常50μm〜2mm、好ましくは60μm〜1.6mm、より好ましくは100μm〜1mmである。
【0074】
内層基板の金属配線層表面は、密着性向上のための処理をすることができる。処理方法としては、アルカリ性亜塩素酸ナトリウム水溶液や過マンガン酸などを接触させて表面を粗化する方法、アルカリ性過硫酸カリ水溶液、硫化カリ−塩化アンモニア水溶液などにより表面を酸化した後に還元する方法、及び金属配線層表面にメッキを析出させ粗化する方法などが挙げられる。本発明の硬化性組成物を用いると、金属配線層が上記処理されてなくても、絶縁抵抗性、耐剥離性に十分に優れる。金属配線層がこのような表面粗化処理されていない場合には、回路基板を形成したときの低ノイズ性が向上する。
【0075】
内層基板上にフィルム又はシートを積層する場合には、通常、加圧ラミネータ、プレス、真空ラミネータ、真空プレス、ロールラミネータなどを使用して加熱圧着する方法が用いられる。加熱圧着は、配線への埋め込み性を向上させ、気泡等の発生を抑えるために真空下で行うのが好ましい。加熱圧着時の温度は、通常30〜250℃、好ましくは70〜200℃、圧力は、通常0.1〜200kg/cm2、好ましくは1〜100kg/cm2、圧着時間は、通常30秒〜5時間、好ましくは1分〜3時間、真空度は通常760mmHg vac.〜0.01mmHg vac.、好ましくは300mmHg vac.〜0.1mmHg
vac.である。
ワニス塗布後及びフィルム積層後の硬化条件は、硬化剤の種類に応じて適宜選択されるが、硬化温度は、通常30〜400℃、好ましくは70〜300℃、り好ましくは100〜200℃であり、硬化時間は、通常0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間である。
【0076】
本発明の回路基板は、内層基板上に硬化物層を形成し、次いで該硬化物層上に新たな金属配線層を形成して得ることができる。
新たに金属配線を形成する方法としては、メッキによる方法や、スパッタリングによる方法などが挙げられる。また、メッキやスパッタリングにより金属配線層を形成する前には、硬化性組成物層表面を過マンガン酸やクロム酸などの粗化処理液によって、あるいはプラズマ処理などによって粗化し、金属配線層との密着性を改善することができる。
一方、前記支持体が一体になったフィルム又はシートを配線層を有する基板に積層させた場合は、支持体が樹脂フィルムのときは該樹脂フィルムを除去後に金属配線層を形成させるが、支持体が金属箔の場合は該金属箔層を一部又は全部残して、そのまま金属配線としてもよい。
【0077】
回路基板は、絶縁層である硬化物層で仕切られた金属配線層同士を層間接続ビアで接続して使用される。ビアの形成方法は、ドリルによる方法、レーザーによる方法、硬化性樹脂を光硬化性にしたフォトリソグラフィーによる方法等が挙げられるが、絶縁層の特性を低下させず、より微細なビアを形成するためには、炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー、UV−YAGレーザー等のレーザーによる方法が好ましい。
【0078】
また、上記回路基板において、金属配線層の一部を、該配線層よりも広い面積を有する金属電源層や金属グラウンド層、金属シールド層に置き換えてもよい。
【0079】
用途
以上のようにして製造された回路基板は、コンピューターや携帯電話等の電子機器において、CPUやメモリなどの半導体素子、その他の実装部品を実装するためのプリント配線板として使用できる。特に、微細配線を有するものは高密度プリント配線基板として、高速コンピューターや、高周波領域で使用する携帯端末の配線基板として好適である。
【0080】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、実施例中、〔部〕は、特に断りのない限り〔重量部〕のことである。
【0081】
評価及び測定方法
(1)分子量は、特に断りのない限り、トルエンを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として測定した。
(2)水素化率及びカルボキシル基含有率は、1H−NMRにより測定し、カルボキシル基含有率は前述の式により算出した。
(3)ガラス移転温度(Tg)は、示差走査熱量法(DSC法)により測定した。
(4)積層時の配線埋め込み性は配線板を切断し、走査型電子顕微鏡にて空隙の有無を観察した。評価は配線100本につき空隙を生じてないものを◎、空隙が1ヶ所以上3ヶ所以内のものは○、空隙が4ヶ所以上6ヶ所以内のものは△、空隙が7ヶ所以上のものは×とした。
(5)積層時の気泡の発生は配線板の硬化物層を上面より目視観察し、気泡の有無を確認した。100mm各エリア内で気泡が全く観察されないものを○、1ヶ所以上5ヶ所以内のものを△、6ヶ所以上10ヶ所以内のものを×として評価した。
【0082】
(6)絶縁抵抗性試験は配線板の2層目の絶縁層上に、配線間距離50ミクロン、配線幅50ミクロンの櫛形電極を形成した後、直流電圧50Vにて、120℃、飽和水蒸気条件下に放置し、該櫛形電極間の絶縁抵抗試験を行い、300時間後の抵抗値を測定した。抵抗が109オーム以上のものは◎、108オーム以上で109オーム未満のものは○、108オーム未満で短絡してないものは△、短絡しているものは×と評価した。
(7)耐剥離性の試験は、配線板の内層配線層と絶縁層のピール強度を120℃、飽和水蒸気条件下に300時間放置の環境試験前後で比較し、保持率として評価した。保持率は(環境試験後/環境試験前)×100%で表され、保持率が90%以上のものは◎、80%以上で90%未満のものは○、70%以上で80%未満のものは△、70%未満のものは×として評価した。
(8)耐熱性試験は配線板を120℃、飽和水蒸気条件で12時間処理した後、260℃のハンダ浴に60秒間浸漬し外観を検査し、膨れや剥がれの発生のないものを○、膨れや剥がれのあるのもを×として評価した。
(9)耐薬品性試験は、配線板を1mol/l濃度、温度80℃の苛性ソーダ水溶液に15分間浸漬したのち、層間の密着をJIS K5400に準じて碁盤目試験にて評価した。切り傷の交点と正方形の一目一目に、絶縁層の剥がれがないものを○、切り傷の交点にわずかな剥がれがあって、正方形の一目一目に剥がれがなく、剥がれた部分の面積が全正方形面積の5%以内のものを△、5%以上のものを×として評価した。
【0083】
[製造例1](開環重合体水素添加物の製造)
特開平4−363312号公報記載の公知の方法によってテトラシクロドデセン(TCD)50モル%と8−メチルテトラシクロドデセン(MTD)50モル%を用いて開環重合及び水素添加反応を行い、数平均分子量(Mn)=31,200、重量平均分子量(Mw)=55,800、Tg=158℃のTCD/MTD共重合体を得た。得られたポリマーの水素化率は99%以上であった。
得られた重合体28部、無水マレイン酸10部及びジクミルパーオキシド3部をt−ブチルベンゼン130部に溶解し、140℃で6時間反応を行った。得られた反応生成物溶液を300部のメタノール中に注ぎ、反応生成物を凝固させた。凝固したマレイン酸変性重合体を100℃で20時間真空乾燥しマレイン酸変性開環重合体水素添加物(ポリマーA)を28部得た。この重合体水素添加物の分子量はMn=33,200、Mw=68,300でTgは170℃であった。この重合体水素添加物のマレイン酸基含有率は25モル%であった。
【0084】
[製造例2]
変性反応に使用する無水マレイン酸の量を5部、ジクミルパーオキサイドの量を2部に変えた以外は、製造例1と同様の方法によりマレイン酸変性開環重合体水素添加物(ポリマーB)を得た。この重合体水素添加物の分子量はMn=32,100、Mw=65,200でTgは165℃であった。この重合体水素添加物のマレイン酸基含有率は10モル%であった。
【0085】
[実施例1]
(硬化性組成物のワニスの製造)
製造例1で得られたポリマーA15部と2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン(分子量272.4)を0.2部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:アラルダイトAER8049:旭チバ株式会社製:重量平均分子量760)を7部、硬化促進剤として1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールを0.02部、5酸化アンチモン(商品名:NA−1030 二酸化学工業株式会社製)を2部、液状エポキシ化合物(商品名:シェルブロック:油化シェルエポキシ株式会社:重量平均分子量320)を2部、シリコンレジン(商品名:トスパール120:東芝シリコーン株式会社製)を1.5部を、キシレン25部とシクロペンタノン15部の混合溶媒にそれぞれ溶解させて固形分濃度約41重量%のワニスを得た。
【0086】
(ドライフィルムの製造)
得られたワニスを孔径3ミクロンのテフロン製精密フィルターでろ過した後、ダイコーターを用いて、300mm角の厚さ75ミクロンのポリエチレンナフタレートフィルム(商品名:テオネックス:帝人株式会社製 )に塗工し、その後窒素オーブン中で120℃で210秒で乾燥させ樹脂厚み35ミクロンのキャリアーフィルム付きドライフィルムを得た。
【0087】
(逐次多層配線板の製造)
配線幅及び配線間距離が75ミクロンで導体厚みが18ミクロンの導体配線層と、直径0.2mmのメッキスルーホールが形成された、厚さ0.8mmの内層基板を、1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液で洗浄して基板上の不純物等を除去した以外は特別な粗面化処理や酸化処理を行わず、配線層表面が平滑なまま準備した。
上記内層基板に、前述のキャリアーフィルム付きドライフィルムを、樹脂面が内側となるようにして両面に重ね、真空ラミネーターを用いて、真空度1mmHg vac.にて、温度150℃、圧力5Kgf/cm2で30分間加熱圧着して積層板を得た。得られた積層板をラミネーターから取り出した後、ポリエチレンナフタレートフィルムのみを剥がし、積層板を窒素オーブン中で180℃60分加熱して樹脂を硬化させて絶縁層を形成した。
得られた積層板の、ドライフィルムを積層した部分に、UV−YAGレーザーを用いて直径30ミクロンの層間接続のビアホールを形成した。
【0088】
(1)ビアホールの形成された基板を銅スパッタ処理し、ビアホールの壁面及び積層板表面全面に厚さ0.1ミクロンの銅の薄膜を形成した。
(2)その後この積層板表面に市販の感光性ドライフィルムを熱圧着して貼り付け、さらに、このドライフィルム上に所定のパターンのマスクを密着させ露光した後、現像してメッキレジストパターンを得た。次にメッキレジスト非形成部分に電解銅メッキを施し厚さ12ミクロンの電解銅メッキ膜を得た。
(3)メッキレジストを剥離液にて剥離除去した後、レジスト膜下のスパッタ膜を塩化第二銅と塩酸混合溶液により除去して配線パターンを形成し、多層回路基板を得た。
(4)得られた回路基板両面にさらにキャリアー付きドライフィルムを重ね、以降は同様な操作を繰り返して両面合計6層の逐次多層プリント配線板を得た。
得られた積層板を前述の方法にて評価した結果を表1に記載する。
【0089】
【表1】
【0090】
[実施例2]
(樹脂付き金属箔の製造)
実施例1で用いたワニスを、300mm角で厚さ18ミクロンの表面が平滑な圧延銅箔(株式会社ジャパンエナジー製 IPC GRADE7:アニール箔)上にダイコーターを用いて塗工し、その後窒素オーブン中で120℃で210秒で乾燥させ樹脂厚み35ミクロンの樹脂付き銅箔を得た。
【0091】
(逐次多層配線板の製造)
上記の樹脂付き銅箔を、樹脂面が内側となるようにして上記実施例1に使用した内層基板の両面に重ね、真空プレス機中で、常温にて1mmHg vac.まで真空とした後、毎分10℃で120℃まで昇温し、120℃に到達した時点でプレス圧力30Kgf/cm2で30分間保持した。その後プレス圧力は30Kgf/cm2のままで毎分10℃で180℃まで昇温し、180℃に到達した時点で60分間保持して積層板を得た。
過硫酸アンモニウム250g/lの水溶液に、積層版を50℃で2時間浸漬し、基板表面の銅箔を全面剥離し、次いで積層板を水で洗浄、乾燥した。積層した樹脂層の部分に、UV−YAGレーザーを用いて直径30ミクロンの層間接続用ビアホールを形成した。
【0092】
(1)ビアホール壁面を表面粗化処理した後、ビアホール壁面及び基板表面全面に無電解銅メッキを施して厚さ1ミクロンの無電解銅メッキ膜を形成した。
(2)その後この積層板表面に市販の感光性ドライフィルムを熱圧着して貼り付け、さらに、このドライフィルム上に所定のパターンのマスクを密着させ露光した後、現像してレジストパターンを得た。次にメッキレジスト非形成部分に電解銅メッキを施し厚さ12ミクロンの電解銅メッキ膜を得た。
(3)メッキレジストを剥離液にて剥離除去した後、そのメッキレジスト膜下部にあった無電解メッキ膜部分を硫酸と過酸化水素水の混合溶液で除去し、無電解銅メッキ膜と電解銅メッキ膜とからなる配線パターンを形成した。
(4)得られた配線パターン付き積層板の両面に、さらに(1)上記同様の2枚の樹脂付き銅箔を重ねて上記同様の方法により真空加熱圧着し、(2)上記同様の方法により表面に配線パターンを形成して逐次多層積層板を形成した。さらに(1)及び(2)の操作を4回繰返し、内層基板の両面に合計6層の積層が形成された逐次多層プリント配線板を得た。
実施例1と全く同様の方法により配線板の特性を評価した。結果を表1に記載する。
【0093】
[実施例3]
実施例1で得られたワニスを、実施例1で使用した内層基板に、ダイコーターを用いて塗工して、100℃15分予備乾燥した。この操作を両面に内層基板両面に準じ行った後に、積層板を窒素オーブン中で180℃60分加熱して樹脂を硬化させて絶縁層を形成した。絶縁層の形成を上述の方法で形成する以外は、実施例1と全く同様の方法により逐次多層プリント配線板を作成して特性を評価した。結果を表1に記載する。
【0094】
[実施例4]
製造例2で得られたポリマーBを用いたこと以外は、実施例1と全く同様の方法により逐次多層プリント配線板を製造して評価を行った。結果を表1に記載する。
【0095】
[実施例5]
トリアジンチオール化合物として、2,4,6−トリメルカプトーS−トリアジン(分子量177.3)を用いたこと以外は実施例1と全く同様の方法により逐次多層プリント配線板を製造して評価を行った。結果を表1に記載する。
【0096】
[実施例6]
トリアジンチオール化合物の配合量を0.6部に変えた以外は実施例1と全く同様の方法により逐次多層プリント配線板を製造して評価を行った。結果を表1に記載する。
【0097】
[比較例1]
トリアジンチオール化合物、液状エポキシ化合物、及びシリコンレジンを配合しなかった以外は、実施例1と全く同様の方法により実施例1と全く同様の方法により逐次多層プリント配線板を製造して評価を行った。結果を表1に記載する。
【0098】
[比較例2]
開環重合体水素添加物に変えて、エポキシ樹脂(商品名:エピコート1001:油化シェルエポキシ株式会社製:重量平均分子量1300)を使用しジシアンジアミドを3部加えたこと以外は実施例1と全く同様の方法により固形分濃度は約43%のワニスを作製した。このワニスを実施例1と全く同様な方法でフィルム化して逐次多層プリント配線板を製造して評価を行った。結果を表1に記載する。
【0099】
【発明の効果】
本発明によれば、絶縁抵抗性、耐剥離性、耐熱性、及び耐薬品性等に優れた回路基板を作製することができる。さらに本発明によれば、微細金属配線層を有する基板への積層性にも優れた高密度かつ小型の逐次多層積層板が提供できる。
Claims (9)
- (A)重量平均分子量が5,000〜1,000,000で、ヘテロ原子又はヘテロ原子を有する原子団からなる極性基を有する脂環式構造含有重合体100重量部、
(B)イオン性硬化剤5〜150重量部、
(C)アリール基及びアラルキル基から選ばれる環構造含有の置換基を有する置換イミダゾール化合物からなる硬化促進剤0.001〜30重量部、並びに
(D)トリアジン多価チオール化合物0.001〜30重量部
を含むことを特徴とする硬化性組成物。 - 前記の極性基を有する脂環式構造含有重合体が、
(1)ノルボルネン系重合体及びその水素添加物、
(2)単環の環状オレフィン系重合体、
(3)環状共役ジエン系重合体及びその水素添加物、並びに
(4)ビニル環状炭化水素系単量体の重合体とその水素添加物、及びビニル芳香族系単量体の重合体の水素添加物からなるビニル環状炭化水素系重合体
から選ばれる脂環式構造含有重合体に、変性反応によって極性基を導入したものである請求項1記載の硬化性組成物。 - (A)重量平均分子量が5,000〜1,000,000で、ヘテロ原子またはヘテロ原子を有する原子団からなる極性基を有する脂環式構造含有重合体100重量部、
(B)イオン性硬化剤5〜150重量部、
(C)アリール基及びアラルキル基から選ばれる環構造含有の置換基を有する置換イミダゾール化合物からなる硬化促進剤0.001〜30重量部、並びに
(D)トリアジン多価チオール化合物0.001〜30重量部
を含む硬化性組成物が、
(E)炭化水素系溶媒と極性溶媒との重量比5:95〜95:5の混合有機溶媒中に、固形分濃度5〜80重量%で分散又は溶解している
ことを特徴とするワニス。 - 請求項1又は2記載の硬化性組成物を成形してなる成形物。
- フィルム又はシートである請求項4記載の成形物。
- 金属配線を有する基板上に請求項1又は2記載の硬化性組成物を硬化させた硬化物を積層させてなる回路基板。
- 金属配線を有する基板上に請求項1又は2記載の硬化性組成物からなる層を積層した後、硬化させることを特徴とする回路基板の製造方法。
- 硬化性組成物からなる層を積層する工程が、該硬化性組成物を炭化水素系溶媒と極性溶媒との重量比5:95〜95:5の混合有機溶媒中に、固形分濃度5〜80重量%で分散又は溶解したワニスを塗布した後に、有機溶媒を除去するものである請求項7記載の製造方法。
- 硬化性組成物からなる層を積層する工程が、フィルム又はシートを加熱圧着するものである請求項7記載の製造方法。
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