JP4144084B2 - 超音波流量計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波流量計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の超音波流量計は、特開平9−133560号公報に示すものが一般的であった。この構成は、図7に示されているように、流体の中に配置し超音波を送受信する1対の超音波振動子(超音波振動子1、超音波振動子2)と、送信側の超音波振動子を駆動する送信回路1と、被測定流体を伝搬した超音波を受信する受信側の超音波振動子の出力信号から受信判定し送信回路1に出力する受信回路2と、超音波振動子3、4と送受信回路1、2の接続を送受切り替えることによって送受の方向を切り替える切り替え器5と、切り替え器5を制御し送受の方向を交互に切り替え測定開始信号を送信回路3に出力する制御部6と、超音波の送信から受信そして帰還までの繰り返しの回数を計測するカウンタ7と、1回目の超音波の送信開始から繰り返しの回数が所定回数に達するまでの時間を計測する第1のタイマ8と、第1のタイマ8の値から流量を求める演算部9と、超音波の送信から伝搬時間より短い時間ON信号を出力する第2のタイマ10と、第2のタイマ10のON出力によって受信回路5の電源をOFFする電力制御部11とを備えていた。
【0003】
つぎに動作を説明する。まず制御部6が切り替え器5を制御し超音波を伝搬させる方向を決める。ここでは超音波は超音波振動子1から超音波振動子2に伝搬させる。その後制御部6は測定開始信号を送信回路3に出力する。測定開始信号を受けた送信回路3は超音波振動子1を駆動し、超音波振動子1は超音波を送信する。超音波振動子2は被測定流体を伝搬してきた超音波を受信し受信信号を受信回路4に出力する。受信回路4は受信判定を行い超音波の受信を確認した場合送信回路3に出力を行う。受信回路4の出力を受けた送信回路3は再度超音波振動子1を駆動する。カウンタ7はこの超音波の送信から受信の回数を数え、この回数がカウンタ7の設定値(N回)に達した場合タイマ8を停止させる。タイマ8は測定開始からの時間を計測しており、この時のタイマ8の値t1は超音波の伝搬時間のN倍となる。次に制御部6は超音波の伝搬させる方向を超音波振動子2から超音波振動子1に切り替える。そして前回の測定と同様な動作をさせt2を測定する。この値をもとに演算部9は次の計算によって流量を求める。
【0004】
超音波の伝搬距離をL、被測定流体の流れる断面積をS、被測定流体の静止時の音速をC、被測定流体の流速をV、上流から下流方向への伝搬時間をt1、カウンタ7の設定値とした場合の流量Qを求める計算式を(式1)に示す。
【0005】
Q=SL[(1/t1/N)−(1/t2/N)]……【式1】
電力制御部11は1回目の超音波の送信、または超音波を受信回路4による受信判定と同時にOFF信号を出力し受信回路の電源をOFFする。第2のタイマ10は受信回路の電源OFFと同時に動作し、超音波の送信から超音波の伝搬時間より短い時間の後に電力制御部11にON信号を出力する。その信号によって電力制御部11は受信回路5の電源をONする。この動作によって電力消費を少なくしていた。
【0006】
また、計測流量と真の流量との比を補正係数として演算部9に保持し演算で求めた流量を補正係数で補正することにより流量を算出していた。
【0007】
また、流量ゼロの時の計測流量をオフセット値として初期調整時に演算部9保持し演算によってずれを補正していた。
【0008】
また超音振動子の送受信感度は流体、温度によって大きく変動し、この変動の吸収を送信出力変更、受信回路の定数変更などによって行っているものもあった。
【0009】
また前記制御部6が伝播した超音波を前記第2の超音波振動子で受信するタイミングだけ前記受信回路を受信判定可能とし、超音波の受信信号以外での誤検知を防止しているものもあったが、受信判定可能とするタイミングは固定されていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の流量計測装置では、被測定流体の流路内での流速分布は被測定流体の粘性と流速によって決定するので、被測定流体の粘性が変化する要因である温度や被測定流体の種類が変化した場合に流速分布が変化し、測定した伝播時間と流量の関係が同じではなくなるため正確な流量を求めることができない。
【0011】
また、被測定流体の温度が変化することによって、被測定流体を伝搬させる超音波の波長が変わり流路壁で反射した超音波の干渉条件が変化するため、さらには回路の動作が温度変化によって変化するために測定値のオフセットが変動するため正確な流量を求めることができない。
【0012】
また、被測定流体の温度が変化することによって、被測定流体の音速が変化し伝播時間が変化する。このため送信の後に受信信号を受信可能とすべきタイミングが被測定流体の温度によって変化するので一定のタイミングで受信回路の動作を制御していたのでは、伝播時間が長い場合では誤検知の確率が高くなり、伝播時間が短い場合では受信判定ができないということが生ずる。このため高精度の流量測定をするためには調整した温度から一定温度変動するごとに再度調整を行う必要があった。また被測定流体の種類が変わるごとに設定を変更する必要があった。
【0013】
そこでこれらの問題を解決し、温度変化や被測定流体の変化があっても再調整をすることなく流量を正確に測定できる超音波流量計を実現するという課題があった。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願発明は上記課題を解決するために、温度検知手段の出力とタイマの値から、流体判定部により流体を特定し、流量と流体判定手段の判定出力とに応じて、演算中が参照する補正係数テーブルを変更するようにしたものである。
【0015】
上記発明によれば超音波の伝搬時間が被測定流体の温度と相関があるため、前記タイマの出力と補正係数の関係をあらかじめ設定し、前記タイマの出力と流量に応じて補正係数を変更するようにしているため、測定中の流体の流量分布を考慮した補正係数を参照することができ、正確な流量を算出することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1にかかる超音波流量計は,超音波を送信する第1の超音波振動子と、前記第1の超音波振動子を駆動する送信回路と、被測定流体を伝搬した超音波を受信する第2の超音波振動子と、前記第2の超音波振動子の出力信号から受信判定する受信回路と、前記第1の超音波振動子から前記第2の超音波振動子までの超音波の伝搬時間を測定するタイマと、前記タイマの値から流量を演算によって求める演算部と、演算部が演算中に参照する複数の補正係数テーブルを有する超音波流量計において、温度検知手段と、前記温度検知手段の出力とタイマの値から流体を特定する流体判定部を有する。
【0017】
そして、演算部が補正係数テーブルを前記流体判定手段の判定出力と算出した流量に応じて選択し、タイマの値と選択した補正係数テーブルから流量を算出するため、ガス種に適合した補正係数テーブルを選択することができ、ガス種が変わった場合でも再調整をすることなく正確な流量測定ができる。
【0018】
本発明の請求項2にかかる超音波流量計は超音波を送信する第1の超音波振動子と、前記第1の超音波振動子を駆動する送信回路と、被測定流体を伝搬した超音波を受信する第2の超音波振動子と、前記第2の超音波振動子の出力信号を増幅する増幅回路と、前記増幅回路の出力信号から受信判定する受信回路と、前記第1の超音波振動子から前記第2の超音波振動子までの超音波の伝搬時間を測定するタイマと、前記タイマの値から流量を演算によって求める演算部と、前記タイマの出力に応じて前記増幅回路の増幅率を制御する制御部を有する。
【0019】
そして、前記制御部が前記増幅回路の増幅率を前記タイマの出力に対応して設定する。つまり被測定流体の伝播時間に対応した被測定流体の種類に最適なアンプゲインを設定するので、被測定流体が変わったとしても再調整を行うことなく正確な流量測定をすることができる。
【0020】
本発明の請求項3にかかる超音波流量計は超音波を送信する第1の超音波振動子と、前記第1の超音波振動子を駆動する送信回路と、被測定流体を伝搬した超音波を受信する第2の超音波振動子と、前記第2の超音波振動子の出力信号から受信判定する受信回路と、前記第1の超音波振動子から前記第2の超音波振動子までの超音波の伝搬時間を測定するタイマと、前記タイマの値から流量を演算によって求める演算部と、前記タイマの出力に応じて前記受信回路が受信判定可能なタイミングを制御する受信制御部を有する。
【0021】
そして、前記受信制御部が受信回路を前記タイマの出力から所定の時間だけ短い時間受信判定不可能とする。このため被測定流体の種類の変化、あるいは温度変化のため超音波の伝播時間が変化した場合であっても、前記受信回路が受信判定する最適なタイミングで受信判定不可の状態を解除するので、再調整をすることなく正確な流量測定をすることができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0023】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1の超音波流量計を示すブロック図、図2は同超音波流量計の補正係数の図である。
【0024】
図1において、12は超音波を送信する第1の超音波振動子、13は第1の超音波振動子12を駆動する送信回路、14は被測定流体を伝搬した超音波を受信する第2の超音波振動子、15は第2の超音波振動子14の出力信号から受信判定する受信回路、16は第1の超音波振動子12から第2の超音波振動子14までの超音波の伝搬時間を測定するタイマ、17はタイマ16の値から流量を演算によって求める演算部、18は演算部16が演算中に参照する複数の補正係数テーブルである。
【0025】
次に動作、作用について説明すると、 図2に示すように流量と被測定流体の温度によって適正な補正係数は変動する。そこで演算部17は被測定流体の温度と相関のある伝搬時間と補正係数の関係をあらかじめ補正係数テーブル18に設定し、タイマ16によって測定した伝搬時間と演算によって求めた流量とによって流量係数を決定し、流量の補正を行う。このようにして被測定流体の温度に適合した補正係数で流量を演算する。
【0026】
(実施例2)
図3は本発明の実施例2の超音波流量計を示すブロック図である。
【0027】
本実施例2において、実施例1と異なる点は温度検知手段19と、温度検知手段19の出力とタイマの値から流体を特定する流体判定部20を有する点である。
【0028】
なお、実施例1と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【0029】
次に動作、作用を説明すると、演算部17が補正係数テーブル18を流体判定手段20の判定出力と算出した流量に応じて選択し、タイマ16の出力と選択した補正係数テーブル18から流量を算出する。
【0030】
(実施例3)
図4は本発明の実施例3の超音波流量計を示すブロック図、本実施例3において、実施例1と異なる点は、演算部17が演算中に参照する複数のオフセット値21を有しているところである。
【0031】
なお、実施例1と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【0032】
次に動作、作用を説明すると、演算部17がタイマ16の出力に応じて参照するオフセット値21を変更するため、伝播時間に応じたオフセットつまり音速に対応したオフセットを流量演算に使用する。
【0033】
(実施例4)
図5は本発明の実施例4の超音波流量計を示すブロック図、本実施例4において、実施例1と異なる点は超音波流量計は、第2の超音波振動子14の出力信号を増幅する増幅回路22と、増幅回路22の出力信号から受信判定する受信回路15と、第1の超音波振動子12から前記第2の超音波振動子14までの超音波の伝搬時間を測定するタイマ16と、タイマ16の値から流量を演算によって求める演算部17と、タイマ16の出力に応じて増幅回路22の増幅率を制御する制御部23を有するところである。
【0034】
なお、実施例1と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【0035】
次に動作、作用を説明すると、制御部23が増幅回路22の増幅率をタイマ16の出力に対応して設定する。つまり増幅回路22の増幅率を被測定流体の伝播時間に対応した被測定流体の種類に最適な値に設定する。
【0036】
(実施例5)
図6は本発明の実施例5の超音波流量計を示すブロック図である。本実施例5において、実施例1(または2)と異なる点は、タイマ16の出力に応じて受信回路15が受信判定可能なタイミングを制御する受信制御部24を有する点である。
【0037】
なお、実施例1と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【0038】
次に動作、作用を説明すると、受信制御部25が受信回路15をタイマ16の出力から所定の時間だけ短い時間受信判定不可能とする。このため被測定流体の種類の変化、あるいは温度変化のため超音波の伝播時間が変化した場合であっても、受信回路15が受信判定する最適なタイミングで受信判定不可の状態を解除する。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明から明らかのように本発明の超音波流量計によれば、演算部が補正係数を前記流体判定手段の判定出力と算出した流量に応じて選択し、タイマの値と選択した補正係数テーブルから流量を算出するため、ガス種に適合した補正係数テーブルを選択することができ、ガス種が変わった場合でも再調整をすることなく正確な流量測定ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における超音波流量計のブロック図
【図2】 同超音波流量計の流体温度をパラメータとした補正係数の特性図
【図3】 本発明の実施例2における超音波流量計のブロック図
【図4】 本発明の実施例3における超音波流量計のブロック図
【図5】 本発明の実施例4における超音波流量計のブロック図
【図6】 本発明の実施例5における超音波流量計のブロック図
【図7】 従来の超音波流量計のブロック図
【符号の説明】
12 第1の超音波振動子
13 送信回路
14 第2の超音波振動子
15 受信回路
16 タイマ
17 演算部
18 補正係数テーブル
20 流体判定手段
22 増幅回路
23 制御部
24 受信制御部
Claims (3)
- 超音波を送信する第1の超音波振動子と、前記第1の超音波振動子を駆動する送信回路と、被測定流体を伝搬した超音波を受信する第2の超音波振動子と、前記第2の超音波振動子の出力信号から受信判定する受信回路と、前記第1の超音波振動子から前記第2の超音波振動子までの超音波の伝搬時間を測定するタイマと、前記タイマの値から流量を演算によって求める演算部と、前記演算部が演算中に参照する複数の補正係数テーブルを有し、前記演算部が参照する補正係数を前記タイマの出力と算出した流量に応じて変更する超音波流量計において、
温度検知手段と、前記温度検知手段の出力とタイマの値から流体を特定する流体判定部を有し、演算部が参照する補正係数テーブルを算出した流量と前記流体判定手段の判定出力とに応じて変更する超音波流量計。 - 超音波を送信する第1の超音波振動子と、前記第1の超音波振動子を駆動する送信回路と、被測定流体を伝搬した超音波を受信する第2の超音波振動子と、前記第2の超音波振動子の出力信号を増幅する増幅回路と、前記増幅回路の出力信号から受信判定する受信回路と、前記第1の超音波振動子から前記第2の超音波振動子までの超音波の伝搬時間を測定するタイマと、前記タイマの値から流量を演算によって求める演算部と、前記タイマの出力に応じて前記増幅回路の増幅率を制御する制御部を有した超音波流量計。
- 超音波を送信する第1の超音波振動子と、前記第1の超音波振動子を駆動する送信回路と、被測定流体を伝搬した超音波を受信する第2の超音波振動子と、前記第2の超音波振動子の出力信号から受信判定する受信回路と、前記第1の超音波振動子から前記第2の超音波振動子までの超音波の伝搬時間を測定するタイマと、前記タイマの値から流量を演算によって求める演算部と、前記タイマの出力に応じて前記受信回路が受信判定可能なタイミングを制御する受信制御部を有した超音波流量計。
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JP31426798A Expired - Lifetime JP4144084B2 (ja) | 1998-11-05 | 1998-11-05 | 超音波流量計 |
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-
1998
- 1998-11-05 JP JP31426798A patent/JP4144084B2/ja not_active Expired - Lifetime
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