JP4143814B2 - 漂白性組成物及び衣類の損傷及び退色抑制方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、漂白性組成物に関し、より詳しくは、誤使用時の過酷な高濃度条件下においてもより効率的に衣類などの損傷、退色を抑制し、着色も生じずに高い漂白力を有すると共に、衣類の風合いを維持することができる酸素系漂白性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸素系漂白剤は、色柄物に使用できるといった特徴を有しているため、衣料用漂白剤の主流となってきている。一方、酸素系漂白剤は、漂白力の点で塩素系漂白剤に劣っており、その改善が必要といえる。
【0003】
これまでも酸素系漂白剤の漂白力を向上させるために、有機過酸を利用する漂白活性化剤や金属原子を含有する漂白活性化触媒など、多くの研究がなされている。
【0004】
漂白活性化剤は、過酸化水素と反応することにより、有機過酸に変換され、シミ汚れに高い漂白力をもたらすことはよく知られている。
【0005】
一方、漂白活性化触媒を利用する方法は、Nature,VOL.369(1994)637〜639頁やJ.Am.Chem.Soc.,VOL.115(1993)1772〜1773頁に報告されており、洗浄液中で錯体が触媒的に過酸化水素を活性化し、シミ汚れに高い漂白効果をもたらすメカニズムが提唱されている。そのため、少量の錯体で効率的に高い漂白力を得ることができる。
【0006】
しかし、これらの技術は、高い漂白力が得られる反面、衣類の洗浄を繰り返し行ったり、組成物が直接生地に高濃度で接触した場合には、生地が薄くなったり、穴があくといった問題点や着色衣料を退色させるといった問題点が知られている。
【0007】
この生地の損傷や退色の原因としては、過酸化水素の異常分解によって生じる酸素活性種によるものと考えられている。
【0008】
これら生地の損傷や退色は、桶などを用いてつけ置き漂白をする際に、粉末漂白剤が十分溶解されずに、衣類の上に溶け残った場合などに、高濃度の漂白剤や漂白活性化剤、漂白活性化触媒が生地に接触した場合に顕著になる。
【0009】
漂白活性化剤や漂白活性化触媒の生地の損傷や退色抑制については、特開平06−057297号公報に、漂白活性化剤と酸性白土やベントナイトなどの鉱物性物質を密着混合させることによる抑制技術、特表平09−511774号公報に、触媒とジブチルヒドロキシトルエンやモノ−t−ブチルハイドロキノンなどのラジカルトラップ剤との組み合わせによる抑制技術、特開平09−137196号公報に、触媒と結晶性層状シリケートとの組み合わせによる抑制技術、特開平09−025499号公報に、触媒と粘土鉱物の組み合わせによる抑制技術が開示されている。
【0010】
しかし、これらの技術では、高い漂白力を発揮しながら、着色を生じずに効率的に衣類などの損傷を抑制するには不十分であった。即ち、ラジカルトラップ剤を用いた抑制技術は、発生した酸素活性種を不活性化し、損傷や退色を抑制する技術であるが、一方で酸素活性種と反応したラジカルトラップ剤が衣類に着色し、汚してしまうという課題がある。一方、鉱物性物質や結晶性層状シリケート、粘土鉱物などの水不溶性物質を用いて漂白活性化剤や漂白活性化触媒と造粒することで衣類との距離を保ち、接触の機会を物理的に減少させる方法では、溶け難く、溶解性が十分に確保されず、十分な漂白効果が発揮されないことがある。また、十分に溶解されず、衣類に長時間接触している間に、漂白活性化剤や漂白活性化触媒が徐々に溶け出し、衣類近傍で高濃度になり、損傷や退色を生じる場合もあり、抑制効果としても不十分であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、誤使用時の過酷な条件下においてもより効率的に衣類などの損傷、退色を抑制し、着色も生じずに高い漂白力を有すると共に、衣類の風合いを維持することができる酸素系漂白性組成物を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、漂白性組成物中に特定の水不溶性又は水難溶性繊維パウダーを添加することによって、誤使用時の過酷な条件下においても、より効率的に衣類などの損傷、退色を抑制し、着色も生じずに高い漂白力を有すると共に、衣類の風合いも維持することが可能となることを見出た。
【0013】
即ち、本発明者らは、特定の水不溶性又は水難溶性の繊維パウダーが漂白活性化剤や漂白活性化触媒と衣類との物理的な距離を保ち、更に、衣料の損傷や退色の原因である酸素活性種を不活性化するといった異なる効果を併せ持つことによって、効率的に衣類の損傷や退色を抑制できることを確認し、本発明を完成するに至った。なお、風合いに関しては明らかではないが、特定の水不溶性又は水難溶性繊維パウダーが洗濯液中に存在することで、繊維と繊維との間にパウダーが入りこみ、特に洗濯時の機械力によるごわつきを防止し、衣類の風合いを維持するものと思料する。
【0014】
従って、本発明は、(a)水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物、(b)粉末セルロース、シルクパウダー、ウールパウダー、ナイロンパウダー、ポリウレタンパウダーから選ばれる水不溶性又は水難溶性繊維パウダー及び(c漂白活性化触媒を含有することを特徴とする漂白性組成物を提供する。ここで、上記漂白性組成物が、上記(b)成分と、上記(c)成分と、界面活性剤及び/又はバインダー化合物とを含む複合粒子を含有するものであると、より好適である。また、(a)水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物、及び(c)漂白活性化触媒を含有する漂白性組成物に、(b)粉末セルロース、シルクパウダー、ウールパウダー、ナイロンパウダー、ポリウレタンパウダーから選ばれる水不溶性又は水難溶性繊維パウダーを配合することを特徴とする衣類の損傷及び退色抑制方法を提供する。
【0015】
以下、本発明をより詳細に説明する。本発明の漂白性組成物は、(a)水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物、(b)特定の水不溶性又は水難溶性繊維パウダー及び(c)漂白活性化触媒を含有し、粉末、顆粒、タブレット、ブリケット、シート又はバー等の固体状漂白性組成物として調製されるものである。
【0016】
ここで、本発明の漂白性組成物の(a)成分は、水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物である。(a)成分の具体例としては、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム・3水和物などが挙げられ、使用時の溶解性を考慮すると、過炭酸ナトリウムなどを用いるのが好ましい。特に過炭酸ナトリウムは、経時安定性を改善するために特許第2918991号公報に記載されているように、ホウ酸水溶液とケイ酸アルカリ金属塩水溶液を噴霧して用いたり、非危険物化のために種々の無機物などと造粒して用いるのが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0017】
本発明の漂白性組成物における上記(a)成分の含有量は、特に制限されるものではないが、組成物全量に対して2質量%以上が好ましく、より好ましくは20〜90質量%、更に好ましくは40〜90質量%の範囲である。2質量%未満では十分な漂白効果が得られない場合がある。
【0018】
本発明の(b)成分は、粉末セルロース、シルクパウダー、ウールパウダー、ナイロンパウダー、ポリウレタンパウダーから選ばれる水不溶性又は水難溶性繊維パウダーである。ここでいう水不溶性又は水難溶性繊維パウダーとは、25℃脱イオン水100gに対する溶解度が0.1g未満の繊維パウダーであって、上記繊維をそのまま用いたり、凍結させたり、溶媒に分散させたりして粉砕機などを用いて粉砕、破砕したものである。
【0019】
ここで、粉末セルロースとは、針葉樹や広葉樹などの木材、麻類やミツマタ、コウゾ、ガンピ、ワラ、バガス、タケなどの葉繊維、茎繊維、ジン皮繊維、モメンやキワタ、カポックなどの種子毛繊維などを精製して用いたり、必要に応じて部分的に加水分解して用いたり、綿、麻、レーヨンなどといった加工繊維を用いるものであり、非結晶性部分を有するものである。よって、旭化成工業(株)製のアビセルやセルフィアなどのように、粉砕処理を行わず、加水分解のみでパウダー化することで、非結晶性部分を取り除いた微結晶セルロースは、本発明の(b)成分には含まれず、後述する比較例に示すように、衣類の風合い改善効果は発現するが、衣類などの損傷、退色抑制効果が不十分である。この現象のメカニズムは明らかではないが、結晶性部分に比べて非結晶性部分の方が、過酸化物との相互作用が強いためであると推測している。また、セルロース分子中の官能基をカルボキシメチル基やヒドロキシエチル基などの各種官能基で化学修飾して水溶性を高めたカルボキシメチルセルロース(CMC)やヒドロキシエチルセルロース(HEC)、その架橋タイプである架橋型カルボキシメチルセルロース(Ac−Di−Sol)などのセルロース誘導体は、水不溶性であっても、水溶性であっても本発明の(b)成分には含まれず、本発明の効果は得られない。即ち、本発明で用いられる粉末セルロースとは、第七版食品添加物公定書解説書(1999年、廣川書店)D−1083頁に記載されている微結晶セルロースやセルロース誘導体は含まれない。
【0020】
上述したものの中でも、天然繊維の粉末セルロース、シルクパウダー、ウールパウダーが好ましく、粉末セルロース、シルクパウダーがより好ましく、中でも粉末セルロースがとくに好ましい。
【0021】
本発明における好適な水不溶性又は水難溶性繊維パウダーの具体的な例としては、日本製紙(株)製KCフロック、レッテンマイヤー社製アーボセル、出光石油化学(株)製出光シルクパウダーや大東化成工業(株)製シルクパウダー、Elf Atochem社製2002EXDNATCOS Type−Sなどとして市販されているものが挙げられる。
【0022】
本発明において、上記水不溶性又は水難溶性繊維パウダーの大きさ、長さは、特に制限されるものではないが、平均粒径又は平均繊維長は、150μm以下のものが好ましく、100μm以下のものがより好ましい。上記範囲を超えるとパウダーが繊維と繊維との間に入りこめず、衣類の風合い維持効果が十分でない場合がある。なお、平均粒径、平均繊維長の下限は、特に制限されるものではないが、衣類の風合い維持効果を考慮すれば、5μm以上が好ましく、特に10μm以上が好ましい。ここで、本発明において、上記平均粒径、平均繊維長の測定方法は、特に制限されるものではなく、例えば、レーザー光散乱方式の粒度分布測定装置を利用して測定したり、日本薬局方に記載された粒度の試験に準じた篩い分けによる粒度分布から算出したり、電子顕微鏡法によって測定するなどによって確認することができる。また、上記大きさの繊維パウダーは、市販品の中から上記範囲に含まれる品を選別してもよく、また、上記大きさになるように、粉砕したり、篩い分けなどをしてもよい。
【0023】
本発明の(b)成分としては、上記水不溶性又は水難溶性繊維パウダーを1種単独で用いてもよいし、複数の水不溶性又は水難溶性繊維パウダーを任意の割合で混合して用いてもよい。
【0024】
更に、本発明において、上記(b)成分は、単独で漂白性組成物に配合してもよいし、(b)成分を含有する造粒物として組成物に配合してもよい。特に、(b)成分の種類によっては粒径又は繊維長が小さいものがあり、この場合、粉立ち抑制のためにポリエチレングリコール#1500〜#20000(重量平均分子量500〜19000)や重量平均分子量1000〜100000のポリアクリル酸やその塩などを用いて造粒したり、界面活性剤や香料、溶剤などを吸収させる吸油単体として用いるのが好ましい。界面活性剤を吸収させる場合にはノニオン界面活性剤を用いるのが好ましい。
【0025】
また、衣類の損傷や退色をより効率的に抑制するためには、上記(b)成分に適宜成分を加えた造粒物、又は更に後述する(c)成分を含有する造粒物として用いることがより好ましい。
【0026】
本発明の漂白性組成物に上記(b)成分を造粒物として配合する場合、造粒物中の(b)成分の含有量は特に限定されるものではないが、好ましい含有量は0.1〜90質量%、なかでも0.1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。含有量がこの範囲未満では損傷や退色抑制効果をより向上させる効果が十分得られない場合があり、この範囲を超えると造粒物の硬度が低下し、造粒した効果が小さい場合がある。
【0027】
本発明の漂白性組成物における上記(b)成分の含有量は、特に限定されるものではないが、上記(b)成分を単独又は(c)成分を含まない造粒物として用いる場合には、組成物中に5〜40質量%含有することが好ましく、より好ましくは20〜30質量%の範囲であり、(b)成分と(c)成分とを含有する造粒物を用いる場合には、0.01〜3質量%含有することが好ましく、より好ましくは0.1〜1質量%である。上記範囲より少量では生地の損傷や退色の抑制には不十分となる場合があり、上記範囲を超えてもそれ以上効果が高まらず、不経済となる場合がある。
【0028】
本発明の(c)成分は漂白活性化触媒である。本発明の(c)成分として用いる漂白活性化触媒は、銅、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、クロム、バナジウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、タングステン、モリブデンなどの遷移金属原子と配位子とが、窒素原子や酸素原子などを介して錯体を形成するものであって、遷移金属としては、コバルト、マンガン等が好ましく、特にマンガンが好ましい。
【0029】
本発明における好ましい配位子としては、特開2000−144188号公報や特開2000−54256号公報、特開2000−34497号公報、特表2000−508011号公報、特表2000−500518号公報、特開平11−57488号公報、特開平11−106790号公報、特開平11−171893号公報、特開平11−342341号公報、特表平11−507689号公報、特表平11−515049号公報、特表平11−507923号公報、特開平9−194886号公報、特開平8−231987号公報、特開平8−067687号公報、特表平8−503247号公報、特公平7−065074号公報、特公平7−068558号公報、特開平5−17485号公報、WO94/11479号公報、WO93/15175号公報に開示されている配位子等を挙げることができ、より具体的には、カルボキシレート含有コバルトアミン、ビス及びトリス−(μ−オキソ)−ジ−マンガン錯体、1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナンやこれに類似する化合物、ポルフィンやポルフィリン、フタロシアニン及びそれらの骨格を有する水溶性又は水分散性誘導体、2,2’−ジピリジル誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、コバルトアミン、(トリス(サリチリデンイミノエチル)アミン)−マンガン錯体、(N,N’−エチレンビス(4−ヒドロキシサリチリデンイミネート))−マンガン錯体などが挙げられる。本発明においてより好ましい金属触媒としては、トリス−μ−オキソ−ビス〔(1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン)マンガン(IV)〕ペンタフルオロりん酸塩、(トリス(サリチリデンイミノエチル)アミン)−マンガン錯体、(N,N’−エチレンビス(4−ヒドロキシサリチリデンイミネート))−マンガン錯体などであり、より好ましくは(トリス(サリチリデンイミノエチル)アミン)−マンガン錯体である。
【0030】
本発明における漂白活性化触媒の好ましい遷移金属原子と配位子とのモル量の比率は、1:1〜1:4であり、この比率より配位子の割合が少ないと、錯体を形成していない遷移金属原子により過酸化水素が分解され、漂白効果の低下をもたらす場合がある。一方、この比率より配位子の割合が多くても漂白効果はそれ以上高まらず、不経済となる場合がある。
【0031】
上記漂白活性化触媒は、単独で漂白性組成物に配合してもよいし、漂白活性化触媒を含有する造粒物として組成物に配合してもよいが、漂白活性化触媒は、貯蔵中に過酸化物を分解したり、漂白活性化触媒の種類によっては、溶解性が低いものや微粉が舞ったりすることを考慮すれば、例えばポリエチレングリコール#1500〜#20000(重量平均分子量500〜19000)や重量平均分子量1000〜100000のポリアクリル酸やその塩、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤などと造粒して用いるのが、より好ましい。また、溶解性の低い漂白活性化触媒については、エチレングリコールやヘキシレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルといったグリコール系溶剤に溶解した後に、上記(b)成分などに含浸又は噴霧して造粒して用いるのが好ましい。
【0032】
本発明における漂白活性化触媒の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましい含有量は0.001〜1質量%であり、より好ましくは0.05〜1質量%であり、更に 好ましくは0.1〜1質量%である。この範囲未満では漂白効果の向上には不十分となる場合があり、上記範囲を超えてもそれ以上効果が高まらない場合がある。
【0033】
本発明の(c)成分として漂白活性化剤及び漂白活性化触媒を用いることが好ましい。本発明で用いる漂白活性化剤は、有機過酸前駆体であり、過酸化水素などの過酸化物によって有機過酸を発生する化合物である。漂白活性化剤の具体的な例としては、テトラアセチルエチレンジアミン、ペンタアセチルグルコース、オクタノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ウンデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタノイルオキシ安息香酸、ノナノイルオキシ安息香酸、デカノイルオキシ安息香酸、ウンデカノイルオキシ安息香酸、ドデカノイルオキシ安息香酸、オクタノイルオキシベンゼン、ノナノイルオキシベンゼン、デカノイルオキシベンゼン、ウンデカノイルオキシベンゼン、ドデカノイルオキシベンゼンなどが挙げられ、これらの中でも好ましい漂白活性化剤としては、デカノイルオキシ安息香酸、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられ、中でも漂白効果の点から4−デカノイルオキシ安息香酸、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
【0034】
本発明における漂白活性化剤の含有量は特に限定されるものではないが、好ましい含有量は0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%であり、0.1質量%未満では漂白効果が十分に得られ難くなる場合があり、10質量%を超えてもそれ以上漂白効果が高まらず、不経済となる場合がある。これら漂白活性化剤は単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
【0035】
ここで、上記漂白活性化剤は、貯蔵中に漂白剤中のアルカリ成分と水の存在により加水分解を起こして、その機能が失われることが知られている。そこで、本発明において、上記漂白活性化剤は、このような分解を防ぐために、ノニオン界面活性剤や重量平均分子量1500〜20000のポリエチレングリコール、アニオン界面活性剤、フィルム形成性重合体、脂肪酸、ゼオライトなどと混合して造粒物として配合することがより好ましい。造粒物として使用する場合、造粒物中の漂白活性化剤の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましい含有量は1〜90質量%、なかでも20〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましい。含有量がこの範囲未満では、漂白活性化剤自身の溶解時間が遅く、効果が不十分な場合があり、またこの範囲を超えると造粒した効果が十分に得られ難くなる場合がある。
【0036】
本発明中の(c)成分としては、上記漂白活性化触媒が使用されるものであり、中でも上記漂白活性化触媒と上記漂白活性化剤との併用が漂白力の点で好ましく、特に衣類の損傷や漂白力の点から併用する場合には、漂白活性化触媒である(トリス(サリチリデンイミノエチル)アミン)−マンガン錯体と漂白活性化剤である4−デカノイルオキシ安息香酸又はノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムとの組み合わせが特に好ましい。
【0037】
ここで、本発明において、上記(c)成分による生地の損傷や退色の抑制、貯蔵時における過酸化物の分解抑制をより向上させるには、上記(c)成分と上記(b)成分とが同一造粒物中に存在すると、より効果的である。そのためには、上記(b)成分及び上記(c)成分に、更に、界面活性剤及び/又はバインダー化合物を添加し、造粒した複合粒子として用いるのが特に好ましい。また、上記(c)成分の溶解性を向上させ、効率的に高い漂白力を発揮させるために、上記(c)成分を溶剤等に溶解させた後、上記(b)成分に含浸又は噴霧し、造粒しても好適である。
【0038】
上記(b)成分、上記(c)成分を、更に、上記界面活性剤及び/又はバインダー化合物を含有する複合粒子として用いた場合、上記(b)成分と上記(c)成分との混合割合は、特に限定されるものではないが、好ましい混合割合は9/1〜1/9、特に4/1〜1/4である。この範囲以外では造粒した効果が小さかったり、高い漂白効果を得るために十分量の(c)成分を配合するために、多量の造粒物を配合する必要が生じる場合がある。
【0039】
上記造粒物に用いる界面活性剤の例としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤のいずれからも選ぶことができ、これらは単独でも複数混合して用いてもよい。特に好ましい界面活性剤としては、炭素鎖長12〜15でエチレンオキサイド平均付加モル数5〜25のポリオキシエチレンアルキルエーテル及び炭素鎖長14のα−オレフィンスルフォン酸ナトリウム、炭素鎖長12〜16でエチレンオキサイド平均付加モル数5〜30の脂肪酸メチルエステルエチレンオキサイド付加物等である。造粒物に用いるバインダー化合物の例としては、ポリエチレングリコール#1500〜#20000(重量平均分子量500〜19000)や重量平均分子量1000〜100000のポリアクリル酸やその塩などを用いることができ、特に融点50〜65℃のポリエチレングリコール#4000〜#6000(重量平均分子量2600〜10000)がより好ましい。また、上記(c)成分の溶解性を向上させるためには、界面活性剤及びバインダー化合物を両方用いるのがより好ましい。
【0040】
造粒方法は、一般的な造粒方法を用いることができるが、押し出し造粒や粉砕造粒、転動造粒などが好ましい。また、上記造粒物の粒子径は、特に制限されるものではないが、300〜1000μmが好ましく、より好ましくは500〜1000μmである。粒子径が小さすぎると、造粒し難い場合があり、大きすぎると、十分な溶解性が得られ難くなる場合がある。
【0041】
本発明の漂白性組成物は、そのpHが特に制限されるものではないが、高い漂白力と共に、水不溶性又は水難溶性繊維パウダーによる生地の損傷、退色抑制効果を高めるためには、1質量%水溶液におけるpHが8以上であるように調整されるのが好ましく、1質量%水溶液におけるpHが9〜11であると、より好ましい。この範囲未満では、漂白効果が十分でない場合がある。
【0042】
pHを制御するための技術としては、通常アルカリ剤によってpH調整が行われており、アルカリ剤としては、デンス灰や軽灰と総称される炭酸ナトリウムのほか、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、メタ珪酸ナトリウム、珪酸ナトリウム1号、珪酸ナトリウム2号、珪酸ナトリウム3号などの非晶質のアルカリ金属珪酸塩、リン酸水素2ナトリウムなどのアルカリ金属リン酸塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられ、これらは単独で用いても2種類以上を併用して用いてもよい。水への溶解性及びアルカリ度の点から珪酸ナトリウムと炭酸ナトリウム、水が55/29/16の比の混合物であるNABION(ローディア社製)を用いるのが好ましい。
また、pHが高くなりすぎることを防止するために、酸などを用いて上記pHの範囲に調整することもできる。酸としては、金属捕捉剤も用いることができる。その他、リン酸2水素カリウムなどのアルカリ金属リン酸2水素塩や乳酸、コハク酸、リンゴ酸、グルコン酸又はそれらのポリカルボン酸、クエン酸、硫酸、塩酸などを使用することができる。また、洗浄時に衣類の汚れに由来する酸成分によるpHの低下を防止するための緩衝剤の使用も可能である。
【0043】
本発明の漂白性組成物には、漂白効果や生地の損傷・退色抑制効果を高めるため、必要に応じて、更に金属イオン捕捉剤、ホウ素化合物、フェノール系ラジカルトラップ剤も含有することができる。
【0044】
金属イオン捕捉剤は、漂白効果をより高めると共に、水道水中の微量金属イオンを捕捉し、漂白処理中における過酸化物の安定性を高める効果を示す。金属イオン捕捉剤としては、エチレンジアミン四酢酸やニトリロ三酢酸、グリコールエチレンジアミン6酢酸等のアミノポリ酢酸類、ポリアクリル酸などのポリカルボン酸やその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)やエタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸等の有機ホスホン酸誘導体やその塩、ジグリコール酸やクエン酸、酒石酸、シュウ酸、グルコン酸等の有機酸類やその塩、ポリアクリル酸、アクリル酸−マレイン酸共重合体やその塩等の高分子化合物などが挙げられ、これらの中でも好ましくは、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)3ナトリウム、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)4ナトリウムやエチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)ナトリウムなどであり、より好ましくは、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)4ナトリウムである。
【0045】
本発明の漂白性組成物に上記金属イオン捕捉剤を配合する場合、その好ましい含有量は、0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%であり、0.01質量%未満では漂白効果を十分向上させることが困難となる場合があり、5.0質量%を超えてもそれ以上漂白効果を向上させることが困難となる場合がある。これら金属イオン捕捉剤は単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよいし、潮解を抑制するために、ノニオン界面活性剤や重量平均分子量1500〜20000のポリエチレングリコール、重量平均分子量1000〜100000のポリアクリル酸やその塩、(b)成分、アニオン界面活性剤、フィルム形成性重合体、脂肪酸などと混合して、造粒物として配合してもよい。
【0046】
本発明の漂白性組成物は、更に、ホウ素化合物を添加することで、漂白効果をより高めると共に、ホウ素化合物が過酸化水素及び遊離金属に作用し、漂白処理液中の過酸化水素の安定性を更に高めることができる。ここで、ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、4ホウ酸ナトリウム、4ホウ酸カリウム、4ホウ酸アンモニウムなど、分子中にホウ素を含有する化合物が使用することができ、これらの中でも、特に4ホウ酸ナトリウムが好ましく、粉末漂白性組成物の場合は、水和物として含有してもよい。
【0047】
本発明の漂白性組成物に上記ホウ素化合物を配合する場合、その含有量は、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜5質量%であり、0.1質量%未満では漂白効果を十分に向上させることが困難となる場合があり、20質量%を超えてもそれ以上の漂白効果の向上及び過酸化水素の安定性の向上が得られ難くなる場合がある。これらホウ素化合物は、単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
【0048】
本発明の漂白性組成物に、更に、フェノール系ラジカルトラップ剤を含有させ、上記(b)成分の水不溶性又は水難溶性繊維パウダーと併用すると、生地の損傷・退色の抑制により高い効果を示し、フェノール系化合物の酸化物による衣類への着色も生じないので、より好適である。フェノール系ラジカルトラップ剤としては、フェノール性水酸基を有する化合物又はフェノール性水酸基のエステル誘導体、エーテル誘導体等が挙げられる。このような化合物として、より具体的には、クレゾール、チモール、クロロフェノール、ブロモフェノール、メトキシフェノール、ニトロフェノール、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,6−ジ第3ブチル−p−クレゾール、ナフトール、ピロガロール、フェノキシエタノールなどが挙げられる。
【0049】
これらの中でより好ましい化合物としては、G.E.Penketh,J.Appl.Chem.,Vol7,512〜521頁(1957)に記載されている酸化還元電位(O.P.)0(25℃)が1.25V以下の化合物であり、より好ましくは0.75V以下の化合物である。
【0050】
また、粉末漂白剤でつけ置き漂白処理をする時のような小さい機械力でも、速やかに溶解するラジカルトラップ剤がより効果的であり、溶解性を示す疎水性パラメーターであるlogP値が3以下のものが特に好ましい。ここで言う疎水性パラメーターとは、対象とする化合物の性質を示すパラメーターとして一般的に用いられている。logP値におけるP(分配係数)は、水とオクタノールとの間における平衡状態での物質の活動度の比としてP=Co/Cwとして表される(ここでCoはオクタノール中の濃度、Cwは水中の濃度である)。
【0051】
疎水性パラメーターについての詳細は、例えば科学の領域増刊号122号(1979年)、第73頁に記載されている。分配係数の測定方法としてはFlask Shaking法や薄層クロマトグラフ法、HPLCによる測定法が知られているが、Ghose,Pritchett,Crippenらのパラメーターを用いて計算によって算出することもできる。(J.Comp.Chem.,9,80(1998))
【0052】
酸化還元電位及び溶解性、過酸化物と共存したときのラジカルトラップ剤の安定性の点を考慮すれば、上記化合物の中でも、特に4−メトキシフェノール、4−ヒドロキシ安息香酸が特に好ましい。これらフェノール系ラジカルトラップ剤は単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
【0053】
本発明の漂白性組成物において、上記フェノール系ラジカルトラップ剤は任意の量を添加できるが、好ましい含有量は0.001〜3質量%、より好ましくは0.01〜1質量%の範囲で、0.001質量%未満では併用効果が十分に得られない場合があり、3質量%を超えてもそれ以上生地の損傷・退色効果は高まらない場合がある。また、上記(b)成分と同質量%以下の量であることが好ましい。上記(b)成分と同質量%を超えると衣類への着色を生じる場合がある。更に、フェノール系ラジカルトラップ剤は、上記(b)成分や上記(c)成分と同一粒子に存在することで、より効果的に衣類の損傷や退色が抑制できるので好ましく、その場合も造粒物中に上記(b)成分と同質量%以下の割合であることが好ましい。
【0054】
本発明の漂白性組成物は、上記成分に加えて、必要に応じて更に下記の補助成分を本発明の効果を妨げない範囲で含有することができる。
【0055】
(1)界面活性剤
界面活性剤としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1個有する界面活性剤、又は、炭素数8〜24のアルキル基で置換されたアリール基を少なくとも1個有する界面活性剤が好適であり、具体的には、アニオン界面活性剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石鹸、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、脂肪酸α−スルホメチルエステル、α−オレフィンスルホン酸塩、脂肪酸メチルエステルエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、アルキルグリコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、脂肪酸モノグリセライド、アミンオキサイド等が挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボベタイン、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタイン等を挙げることができ、これらは単独で用いても、2種以上併用して用いてもよい。
【0056】
上記界面活性剤の中でも、特に炭素数14のα−オレフィンスルホン酸ナトリウム及び/又はノニオン界面活性剤が好ましく、ノニオン界面活性剤としては、特公平6−15038号公報に記載の方法で得られるノニオン界面活性剤、つまりエチレンオキサイド平均付加モル数nに対してエチレンオキサイド付加モル数の分布がn±2の範囲に80%以上含まれるものであれば、アルキル鎖長12〜15でエチレンオキサイド平均付加モル数が3〜20のもの、又は通常のアルカリ触媒によって得られるものであれば、アルキル鎖長12〜15でエチレンオキサイド平均付加モル数が7〜25のものを用いるのが好ましい。また、特に本発明の漂白性組成物がlogP値が2以上のラジカルトラップ剤を含有する場合については、速やかにラジカルトラップ剤を水に溶解させるために、炭素数14α−オレフィンスルホン酸ナトリウム及び上記ノニオン界面活性剤のうち、アルキル鎖長12〜14、エチレンオキサイド平均付加物が3〜7のものを用いることがより好ましい。
【0057】
(2)香料
香料として使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、「合成香料 科学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)及び「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994 )、「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)及び「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)でみられ、それぞれを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。
【0058】
代表的な香料としては、脂肪族炭化水素、テルペン炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素類、脂肪族アルコール、テルペンアルコール、芳香族アルコール等のアルコール類、脂肪族エーテル、芳香族エーテル等のエーテル類、脂肪族オキサイド、テルペン類のオキサイド等のオキサイド類、脂肪族アルデヒド、テルペン系アルデヒド、水素化芳香族アルデヒド等、チオアルデヒド、芳香族アルデヒド等のアルデヒド類、脂肪族ケトン、テルペンケトン、水素化芳香族ケトン、脂肪族環状ケトン、非ベンゼン系芳香族ケトン、芳香族ケトン等のケトン類、アセタール類、ケタール類、フェノール類、フエノールエーテル類、脂肪酸、テルペン系カルボン酸、水素化芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の酸類、酸アマイド類、脂肪族ラクトン、大環状ラクトン、テルペン系ラクトン、水素化芳香族ラクトン、芳香族ラクトン等のラクトン類、脂肪族エステル、フラン系カルボン酸族エステル、脂肪族環状カルボン酸エステル、シクロヘキシルカルボン酸族エステル、テルペン系カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル等のエステル類、ニトロムスク類、ニトリル、アミン、ピリジン類、キノリン類、ピロール、インドール等の含窒素化合物等々の合成香料及び動物、植物からの天然及び合成香料、天然及び合成香料及び/又は合成香料を含む調合香料の1種又は2種以上を混合し使用することができる。
【0059】
より具体的には、アルデヒドC6〜C12、アニスアルデヒド、アセタールR、アセトフェノン、アセチルセドレン、アドキサール、アリルアミルグリコレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、アルファダマスコン、ベータダマスコン、デルタダマスコン、アンブレットリッド、アンブロキサン、アミルシンナミックアルデヒド、アミルシンナミックアルデヒドジメチルアセタール、アミルバレリアネート、アミルサリシレート、イソアミルアセテート、イソアミルサリシレート、オウランチオール、アセチルユゲノール、バクダノール、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルサリシレート、ベルガミールアセテート、ボルニルアセテート、ブチルブチレート、パラターシャリーブチルシクロヘキサノール、パラターシャリーブチルシクロヘキシルアセテート、オルトターシャリーブチルシクロヘキサノール、ベンツアルデヒド、ベンジルフォーメート、カリオフィレン、カシュメラン、カルボン、セドロアンバー、セドリルアセテート、セドロール、セレストリッド、シンナミックアルコール、シンナミックアルデヒド、シスジャスモン、シトラール、シトラールジメチルアセタール、シトラサール、シトロネラール、シトロネロール、シトロネリルアセテート、シトロネリルフォーメート、シトロネリルニトリル、シクラセット、シクラメンアルデヒド、シクラプロップ、キャロン、クマリン、シンナミルアセテート、デルタC6〜C13ラクトン、ジメチルベンジルカービノール、ジヒドロジャスモン、ジヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、ジメトール、ジミルセトール、ジフェニルオキサイド、エチルワニリン、ユゲノール、フルイテート、フェンチールアルコール、フェニルエチルフェニルアセテート、ガラキソリッド、ガンマーC6〜13ラクトン、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ミルセン、β−カリオフィレン、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ゲラニルニトリル、ヘディオン、ヘリオナール、ヘリオトロピン、シス−3−ヘキセノール、シス−3−ヘキセニールアセテート、シス−3−ヘキセニールサリシレート、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘキシルサリシレート、ヒヤシンスジメチルアセタール、ハイドロトロピックアルコール、ヒドロキシシトロネラール、インドール、イオノン、イソボルニルアセテート、イソシクロシトラール、イソEスーパー、イソユゲノール、イソノニルアセテート、イソブチルキノリン、ジャスマール、ジャスモラクトン、ジャスモフィラン、コアボン、リグストラール、リリアール、ライムオキサイド、リナロール、リナロールオキサイド、リナリルアセテート、リラール、マンザネート、マイヨール、メンサニールアセテート、メンソネート、メチルアンスラニレート、メチルユゲノール、メントール、アルファメチルイオノン、ベータメチルイオノン、ガンマメチルイオノン、メチルイソユゲノール、メチルラベンダーケトン、メチルサリシレート、ミューゲアルデヒド、ムゴール、ムスクTM−II、ムスク781、ムスクC14、ムスコン、シベトン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデセノン、シクロペンタデカノリド、アンブレットリド、シクロヘキサデカノリド、10−オキサヘキサデカノリド、11−キサヘキサデカノリド、12−キサヘキサデカノリド、エチレンブラシレ−ト、エチレンドデカンジオエ−ト、オキサヘキサデセン−2−オン、14−メチル−ヘキサデセノリド、14−メチル−ヘキサデカノリド、ムスクケトン、ムスクチベチン、ノピルアルコ−ル、ノピルアセテ−ト、ネリルアセテ−ト、ネロ−ル、メチルフェニルアセテ−ト、ミラックアルデヒド、ネオベルガメート、オークモスNo.1、オリボン、オキシフェニロン、パラクレジールメチルエーテル、ペンタリッド、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルアセテート、アルファピネン、ルバフラン、ローズフェノン、ローズオキサイド、サンダロア、サンデラ、サンタレックス、スチラリールアセテート、スチラリールプロピオネート、ターピネオール、ターピニルアセテート、テトラハイドロリナロール、テトラハイドロリナリールアセテート、テトラハイドロゲラニオール、テトラハイドロゲラニールアセテート、トナリッド、トラセオライド、トリプラール、チモール、ワニリン、ベルドックス、ヤラヤラ、アニス油、ベイ油、ボアドローズ油、カナンガ油、カルダモン油、カシア油、シダーウッド油、オレンジ油、マンダリン油、タンジェリン油、バジル油、ナツメグ油、シトロネラ油、クローブ油、コリアンダー油、エレミ油、ユーカリ油、フェンネル油、ガルバナム油、ゼラニウム油、ヒバ油、桧油、ジャスミン油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、レモングラス油、ライム油、ネロリ油、オークモス油、オコチア油、パチュリ油、ペパーミント油、ペリラ油、プチグレン油、パイン油、ローズ油、ローズマリー油、しょう脳油、芳油、クラリーセージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スパイクラベンダー油、スターアニス油、タイム油、トンカ豆チンキ、テレピン油、ワニラ豆チンキ、ベチバー油、イランイラン油、グレープフルーツ油、ゆず油、ベンゾイン、ペルーバルサム、トルーバルサム、チュベローズ油、ムスクチンキ、カストリウムチンキ、シベットチンキ、アンバーグリスチンキ等が挙げられる。
【0060】
更に、香料の溶剤又は保留剤としては、エタノール、アセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート)、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコールDPG−FC(ジプロピレングリコール)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト−5(1,2−ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA−2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA−4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。
【0061】
これら溶剤又は保留剤の配合量は、香料組成物中に0.1〜99質量%配合されるが、好ましくは、1〜50質量%配合される。
【0062】
また、香料安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンEとその誘導体、カテキン化合物、フラボノイド化合物、ポリフェノール化合物等が挙げられ、香料組成中に0.0001〜10質量%配合されるが、好ましくは、0.001〜5質量%配合される。これらの中で、好ましい安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエンである。
【0063】
なお、香料組成物とは、前記の香料成分、溶剤、香料安定化剤等からなる混合物である。本発明の漂白性組成物に上記香料組成物を配合する場合、香料組成物は好ましくは0.001〜20質量%配合され、より好ましくは、0.01〜10質量%配合される。
【0064】
本発明の漂白性組成物に上記香料成分を配合する場合、これら香料成分は上記(b)成分に含浸させて用いることができる。含浸させることにより、過酸化物による香料の劣化を抑制したり、含浸された香料が徐々に放出されるため長期間の貯蔵後でも一定の香気が保持される。
【0065】
(3)色素
組成物の外観を良好にするために、各種色素を用いることができる。漂白性組成物に用いられる色素としては、染料や顔料が挙げられるが、中でも顔料が好ましく酸化物など耐酸化性を有するものが特に好ましい。好ましい化合物としては、酸化チタン、酸化鉄、銅フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、紺青、シアニンブルー、シアニングリーンなどが挙げられる。また、これら色素は、錯体と一緒に造粒するのが好ましく、この場合、ポリエチレングリコール(PEG)などのバインダー成分に色素を溶解又は分散したものを用いるのが好ましい。更に、青み付剤として、群青などの青色顔料を硫酸ナトリウムや炭酸ナトリウムなどに噴霧して、造粒して用いたり、本発明の漂白性組成物に噴霧して、用いることもできる。
【0066】
(4)蛍光剤
本発明の漂白性組成物は、蛍光染料として、4,4’−ビス−(2−スルホスチリル)−ビフェニル塩、4,4’−ビス−(4−クロロ−3−スルホスチリル)−ビフェニル塩、2−(スチリルフェニル)ナフトチアゾール誘導体、4,4’−ビス(トリアゾール−2−イル)スチルベン誘導体、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジルスルホン酸誘導体、ホワイテックスSA(住友化学社製)、チノパールCBS(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等を含有することができる。これらの中ではチノパールCBS、ホワイテックスSAがより好ましく、配合量としては、0.01〜1質量%が好ましい。これらは単独で用いても、2種以上併用して用いてもよい。
【0067】
(5)酵素
酵素(本来的に酵素作用を洗浄工程中になす酵素である)としては、酵素の反応性から分類すると、ハイドロラーゼ類、オキシドレダクターゼ類、リアーゼ類、トランスフェラーゼ類及びイソメラーゼ類を挙げることができるが、本発明にはいずれも適用できる。特に好ましいのは、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ及びペクチナーゼ等である。プロテアーゼの具体例としては、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、コラーゲナーゼ、ケラチナーゼ、エラスターゼ、スプチリシン、BPN、パパイン、プロメリン、カルボキシペプチターゼA及びB、アミノペプチターゼ、アスパーギロペプチターゼA及びBなどであり、市販品として、サビナーゼ、アルカラーゼ(ノボインダストリー社)、API21(昭和電工(株))、マクサカル(ギストプロケイデス社)、特開平5−25492号公報記載のプロテアーゼK−14もしくはK−16等を挙げることができる。エステラーゼの具体例としては、ガストリックリパーゼ、バンクレアチックリパーゼ、植物リパーゼ類、ホスホリパーゼ類、コリンエステラーゼ類及びホスホターゼ類等を挙げることができる。リパーゼの具体例としては、リポラーゼ(ノボインダストリー社)、リポサム(昭和電工(株))等の市販のリパーゼ等を挙げることができる。また、セルラーゼとしては市販品のセルザイム(ノボインダストリー社)、特開昭63−264699号公報の請求項4記載のセルラーゼ等を挙げることができ、アミラーゼとしては市販のターマミル(ノボインダストリー社)等を挙げることができる。酵素は別途安定な粒子として造粒したものを、洗剤生地(粒子)にドライブレンドした状態で使用すると好適である。
【0068】
(6)酵素安定剤
本発明の漂白性組成物は、酵素安定剤として、カルシウム塩、マグネシウム塩、ポリオール、蟻酸、ホウ素化合物等を配合することができる。これらの中では、4ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム等がより好ましく、配合量としては、0.05〜2質量%が好ましい。これらは単独で用いても、2種以上併用して用いてもよい。
【0069】
(7)その他のポリマー類
高密度化する場合におけるバインダーや粉末物性剤として、さらには疎水性微粒子に対する再汚染防止効果を付与するため、重量平均分子量が200〜200,000のポリエチレングリコールや重量平均分子量1000〜100000のアクリル酸及び/又はマレイン酸のポリマー、ポリビニルアルコールなどを配合することができる。また、色移り防止効果を付与するため、ポリビニルピロリドンを配合することができる。これらの中では、重量平均分子量1500〜7000のポリエチレングリコールが好ましく、配合量としては0.05〜5質量%が好ましい。これらは単独で用いても、2種以上併用して用いてもよい。
【0070】
(8)ケーキング防止剤
ケーキング防止剤として、パラトルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酢酸塩、スルホコハク酸塩、タルク、微粉末シリカ、粘土、酸化マグネシウム等を配合することができる。
【0071】
(9)消泡剤
消泡剤としては、従来より知られている例えばシリコーン/シリカ系のものを挙げることができ、この消泡剤は、次に説明する特開平3−186307号公報4頁左下欄に記載の方法を用いて製造した消泡剤造粒物としてもよい。まず、日澱化学株式会社製マルトデキストリン(酵素変成デキストリン)100gに消泡成分としてダウコーニング社製シリコーン(コンパウンド型、PSアンチフォーム)を20g添加し混合し、均質混合物を得る。次に、得られた均質混合物50質量%、ポリエチレングリコール(PEG−6000,融点58℃)25質量%及び中性無水芒硝25質量%を70〜80℃で混合後、不二パウダル株式会社製押出し造粒機(型式EXKS−1)により造粒し、造粒物を得る。
【0072】
本発明の漂白性組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、更に、一般に衣料用洗浄剤、漂白剤に配合される成分であれば必要に応じて配合することができる。
【0073】
また、本発明の組成物中には、フェノール系ラジカルトラップ剤の酸化反応によって生成する化合物が0.0001〜1質量%入ることがある。これら化合物の例としては、ギ酸、酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、マロン酸、リンゴ酸、シュウ酸等を挙げることができる。
【0074】
本発明の漂白性組成物の形態は、上述したように、粉末、顆粒、タブレット、ブリケット、シート又はバー等の固体であり、より好ましくは粉末である。本発明の漂白性組成物の調製法は、特に限定されず、例えば上述したように、必要に応じて上記成分を適宜造粒したり、複合化する以外は、各形態の常法に準じて調製することができる。また、製品化の際は、それぞれの使い勝手や安定性などを考慮した容器が使用されるが、特に湿度や光による過酸化物の分解への影響が少ない容器を選ぶことが好ましい。
【0075】
本発明の漂白性組成物は、その被漂白物、使用方法が特に制限されるものではなく、例えば衣類、布巾、シーツ、カーテンなどの繊維製品、木材パルプなどの紙製品、食器やガラス、洗濯槽などの硬表面などに通常の漂白性組成物と同様に使用することによって、これらについたしみ、有機物汚れ、黄ばみ物質、ステイン、カビなどを漂白することがでる。
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、誤使用時の過酷な条件下においてもより効率的に衣類などの損傷、退色を抑制し、着色も生じずに高い漂白力を有すると共に、衣類の風合いを維持することができる酸素系漂白性組成物が得られる。
【0077】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、各例における%はことわりのないかぎりいずれも質量%であり、表9〜11に示す各成分はそのまま配合した。
【0078】
[実施例1〜20及び比較例1〜
表10及び表11に示す組成に従って、粉末漂白性組成物の常法に準じて実施例1〜20及び比較例1〜の粉末漂白性組成物を調製した。各漂白性組成物について、下記方法により、漂白力、生地の損傷、着色、生地の退色、衣類などの風合いを評価した。結果を表10及び表11に併記する。
【0079】
また、表中の略称成分は、以下の意味を有する。
【0080】
パウダー1:粉末セルロース(商品名:Arbocel FD600/30、レッテンマイヤー社製)
パウダー2:シルクパウダー(商品名:出光シルクパウダー K−50、出光石油化学(株)製)
パウダー3:結晶セルロース(商品名:アビセル PH−302、旭化成工業(株)製)
パウダー4:カルボキシメチルセルロース(商品名:ダイセル1130、ダイセル化学工業(株)製)
触媒1:トリス−μ−オキソ−ビス〔(1,4,7−トリメチル−1,4,7トリアザシクロノナン)マンガン(IV)〕ペンタフルオロリン酸塩(Journal of the American Chemical Society 1998年 110巻 7398〜7411ページに従って合成を行った。)
触媒2:(トリス(サリチリデンイミノエチル)アミン)−マンガン錯体。合成法を下記に示した。
触媒3:(N,N’−エチレンビス(4−ヒドロキシサリチリデンイミネート))−マンガン錯体。合成法を下記に示した。
触媒4:トリス((2−ピリジル)メチル)アミン−マンガン錯体。合成法を下記に示した。
漂白活性化剤1:テトラアセチルエチレンジアミン(商品名:Peractive AN、クラリアントジャパン(株)製)
漂白活性化剤2:4−デカノイルオキシ安息香酸(三井化学(株)製)
漂白活性化剤3:ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(三井化学(株)製)
漂白活性化剤4:ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム。合成法を下記に示した。
PEG:ポリエチレングリコール(商品名:PEG#6000M、ライオン(株)製)
過炭酸ナトリウム:三菱化学(株)製(商品名:SPC−Z、有効酸素:10.9)
4−メトキシフェノール:川口化学工業(株)製 (商品名:MQ−F)
BHT:ジ−t−ブチル−ヒドロキシトルエン 日揮ユニバーサル(株)製(商品名:BHT−C)
炭酸ナトリウム:トクヤマ(株)製(商品名:ソーダ灰デンス)
4ホウ酸ナトリウム:4ホウ酸ナトリウム・5水塩(商品名:Neobor、Borax社製)
NABION:珪酸ナトリウムと炭酸ナトリウム、水が55/29/16の比の混合物からなるアルカリ剤(ローディア社製)
HEDP−4Na:1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸4ナトリウム(商品名 デイクエスト2016D、ソルーシア・ジャパン(株)製)
エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)−Na:ALBRIGHT&WILSON社製 (商品名 BRIQUEST(登録商標)422)
POE−AE(1):ノニオン界面活性剤(アルキル鎖長12〜14、エチレンオキサイド平均付加モル数が5であり、エチレンオキサイド3〜7モル付加体が全体の90%以上のもの。(純分:90%)ライオン(株)製)
POE−AE(2):ノニオン界面活性剤(アルキル鎖長12〜15、エチレンオキサイド平均付加モル数が15のもの。(純分:90%)ライオン(株)製)
LAS−K:直鎖アルキル(C10〜C14)ベンゼンスルホン酸カリウム(ライオン(株)製)
α−SF−Na:炭素鎖長14〜16 α−スルホ脂肪酸メチルエステルナトリウム(ライオン(株)製)
AOS−Na:炭素鎖長14 α−オレフィンスルホン酸ナトリウム(ライオン(株)製)
AOS−K:炭素鎖長14〜18 α−オレフィンスルホン酸カリウム(ライオン(株)製)
酵素:ノボザイム社製(商品名:デュラザイム8.0T)
香料組成物:香料組成物A〜Dは、表1〜7に示す配合にて得られる混合物を用いた。
【0081】
触媒2:(トリス(サリチリデンイミノエチル)アミン)−マンガン錯体の合成
材料としてトリス(2−アミノエチル)アミン(東京化成工業(株)製 試薬)、サリチルアルデヒド(東京化成工業(株) 試薬)、塩化マンガン・4水和物(関東化学(株)製 試薬)、メタノール(関東化学(株)製 試薬)、エタノール(甘糟化学産業(株)製 試薬)を用い、以下の方法で合成を行った。
トリス(2−アミノエチル)アミン48.7g(0.333mol)を反応容器に入れメタノール300mlで溶解し、0℃に冷却した。これにサリチルアルデヒド121.9g(0.998mol)をメタノール100mlで溶解した溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後さらに0℃で1時間攪拌した。攪拌終了後、0℃で3時間放置後、析出した黄色の結晶を桐山ロートを用いてろ過した。得られた結晶を500mlのエタノールで再結晶を行ない精製しトリス(サリチリデンイミノエチル)アミンの結晶143gを得た。
上記で得られたトリス(サリチリデンイミノエチル)アミンの結晶1.0g(0.002moL)をエタノール100mlに溶解し、この溶液に塩化マンガン・4水和物0.43g(0.002mol)を室温下で添加した。減圧下エタノールを約50mlになるまで濃縮した後、5℃下で24時間放置した。析出した深緑色の結晶をろ別し(トリス(サリチリデンイミノエチル)アミン)−マンガン錯体(触媒2)の結晶1.1gを得た。
【0082】
触媒3:(N,N’−エチレンビス(4−ヒドロキシサリチリデンイミネート))−マンガン錯体の合成
材料として、エチレンジアミン(東京化成工業(株)製 試薬)、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(関東化学(株)製 試薬)、塩化マンガン・4水和物(関東化学(株)製 試薬)、メタノール(関東化学(株)製 試薬)、エタノール(甘糟化学産業(株)製 試薬)を用い、以下の方法で合成を行った。
エチレンジアミン30.1g(0.501mol)を反応容器に入れメタノール300mlで溶解し、0℃に冷却した。これに2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド138.1g(1.000mol)をメタノール100mlで溶解した溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後さらに0℃で1時間攪拌した。攪拌終了後、0℃で3時間放置後、析出した黄色の結晶を桐山ロートを用いてろ過した。得られた結晶を500mlのエタノールで再結晶を行ない精製しN,N’−エチレンビス(4−ヒドロキシサリチリデンイミネート)の結晶135gを得た。
上記で得られたN,N’−エチレンビス(4−ヒドロキシサリチリデンイミネート)の結晶1.0g(0.003mol)をエタノール100mlに溶解し、この溶液に塩化マンガン・4水和物0.66g(0.003mol)を室温下で添加した。減圧下エタノールを約50mlになるまで濃縮した後、5℃下で24時間放置した。析出した茶色の結晶をろ別し(N,N’−エチレンビス(4−ヒドロキシサリチリデンイミネート))−マンガン錯体(触媒3)の結晶1.0gを得た。
【0083】
触媒4:トリス((2−ピリジル)メチル)アミン−マンガン錯体の合成
材料として、2−(クロロメチル)ピリジン塩酸塩(シグマアルドリッチ(株)製 試薬)、2,2’−ジピコリルアミン(東京化成工業(株)製 試薬)、塩化マンガン・4水和物(関東化学(株)製 試薬)、5.4N水酸化ナトリウム(水酸化ナトリウム(関東化学(株)製 試薬)を用いて調製)、ジエチルエーテル(関東化学(株)製 試薬)、エタノール(甘糟化学産業(株)製 試薬)を用い、特開平10−140193号公報実施例に準じて配位子(トリス((2−ピリジル)メチル)アミン)を合成した。
得られた配位子の結晶1.0g(0.003mol)をエタノール100mlに溶解し、この溶液に塩化マンガン・4水和物0.68g(0.003mol)を室温下で添加した。減圧下エタノールを約50mlになるまで濃縮した後、5℃下で24時間放置した。析出した結晶をろ別し(トリス((2−ピリジル)メチル)アミン−マンガン錯体(触媒4)の結晶1.1gを得た。
【0084】
漂白活性化剤4:ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムの合成
原料としてp−フェノールスルホン酸ナトリウム(関東化学(株)製 試薬)、N,N−ジメチルホルムアミド(関東化学(株)製 試薬)、ペラルゴン酸クロライド(東京化成工業(株)製 試薬)、アセトン(関東化学(株)製 試薬)を用い、以下の方法で合成を行った。
予め脱水処理したp−フェノールスルホン酸ナトリウム100g(0.51mol)をN,N−ジメチルホルムアミド300g中に分散させ、マグネチックスターラーで攪拌しながらペラルゴン酸クロライド90g(0.51mol)を50℃で30分かけて滴下した。滴下終了後3時間反応を行い、N,N−ジメチルホルムアミドを減圧下(0.5〜1mmHg)、100℃で留去した。アセトン洗浄後、水/アセトン=1/1(mol比)溶媒中にて再結晶を行って精製し、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムの結晶146gを得た。
【0085】
【表1】
Figure 0004143814
【0086】
【表2】
Figure 0004143814
【0087】
【表3】
Figure 0004143814
【0088】
【表4】
Figure 0004143814
【0089】
【表5】
Figure 0004143814
【0090】
【表6】
Figure 0004143814
【0091】
【表7】
Figure 0004143814
【0092】
用いた各パウダーの平均繊維長又は平均粒径を表8に示す。
【0093】
【表8】
Figure 0004143814
【0094】
(I)カレー汚染布の調製
5分間熱湯で温めたレトルトカレー(ボンカレーゴールド中辛(大塚食品(株)製、内容量200g/1パック))5パック分を、カーゼを用いて固形物を取り除き、その液に25×30cmの平織り木綿布(#100)5枚を浸し、30分間温めながら均一に付着させた。布を取り出し、洗液に色の付かなくなるまで水道水ですすぎ、脱水し、自然乾燥した後、5×5cmの試験片とし、実験に供した。
【0095】
(II)漂白力
上記で得られた汚染布5枚を用いて漂白力の試験を行った。
表10及び表11に示す粉末漂白性組成物が0.5質量%濃度(25℃の脱イオン水及び塩化カルシウムを用いて3°DH硬水に調製)の試験溶液200mlを調製し、つけ置きを30分間行った後、水道水すすぎ2分、脱水1分を行い、25℃で12時間風乾した。
【0096】
原布及び洗浄前後の反射率は日本電色工業(株)製 NDR−101DPで460nmのフィルターを使用して測定し、次式により洗浄漂白力を求め、漂白性能の評価を行った。漂白力は5枚の汚染布に対する漂白力の平均値を求め、下記基準で評価した。結果を表10及び表11に示す。
【0097】
基準組成(25℃、3°DH、30分間つけ置き)
過炭酸ナトリウム50%、炭酸ナトリウム50%(漂白力45%)
【0098】
【数1】
Figure 0004143814
【0099】
×:基準組成に比べて漂白力が低い
△:基準組成に比べて漂白力が同等以上0%以上+10%未満
○:基準組成に比べて漂白力が高く、+10%以上15%未満
◎:基準組成に比べて漂白力が著しく高く、+15%以上
【0100】
(III)漂白活性化剤及び/又は漂白活性化触媒/パウダー造粒物の調製
表8のパウダーを用いて漂白活性化剤及び/又は漂白活性化触媒を造粒した。70度で融解したポリエチレングリコール(PEG)に、漂白活性化剤及び/又は漂白活性化触媒、更に必要に応じてラジカルトラップ剤、AOS−Naを均一に分散又は溶解させた後、パウダーを混合し、室温にした後、粉砕造粒を行った。(粒径710μm〜1000μm)
実験に用いた造粒物の略称と混合割合を表9に示す。
【0101】
【表9】
Figure 0004143814
【0102】
(IV)生地の損傷・着色
表10及び表11に示す粉末漂白性組成物について、以下の方法で損傷、着色試験を行った。
【0103】
シャーレの上にレーヨン白布(10×10cm)をおき、その上に表10及び11に示す漂白性組成物2.5gをのせ、さらにレーヨン布(10×10cm)を上からかぶせた。その後、40℃の水道水2.5gを上から静かにかけ、24時間放置した後、穏やかにすすぎ、布の損傷や着色を観察し、以下の基準で評価した。その結果を表10及び表11に示す。
【0104】
生地の損傷の基準
1:布に亀裂が入り、破れる
2:布に小さな穴が開く
3:布が薄くなり、引っ張ると破れる
4:布が薄くなり、引っ張ると小さな穴が開く
5:布が薄くなるが、引っ張っても破れたり、穴が開いたりしない
6:布に損傷は見られない
【0105】
着色の基準
×:着色有り
○:着色なし
【0106】
(V)退色
表10及び表11に示す粉末漂白性組成物について、以下の方法で退色試験を行った。
シャーレの上にReactive Red21で染色した綿布(#100)10×10cmをおき、その上に表10及び表11に示す粉末漂白性組成物2.5gをのせ、さらに上記と同様の染色布(10×10cm)を上からかぶせた。その後、40℃の水道水2.5gを上から静かにかけ、1時間放置した後、穏やかにすすぎ、布の退色を観察し、以下の基準で評価した。その結果を表10及び表11に示す。
【0107】
生地の退色の基準
1:局所的に激しく退色
2:局所的に退色
3:全体的にわずかに退色
4:全体的に極めてわずかに退色
5:退色は見られない
【0108】
(VI)衣類等の風合い評価
市販の木綿タオル3kgを市販の高嵩密度粒状洗剤(ライオン(株)製トップ)35gを用いて全自動洗濯機愛妻号F60K1型(松下電器産業(株)製)の標準コースにより水温50℃の水道水(硬度約3°DH)で2回繰り返し洗濯した後、乾燥し、続いて、繰り返し洗濯された、使い込まれたタオルの風合いを再現するために、同じく標準コースにより約25℃の水道水で水洗いを50回繰り返した後、乾燥し、試験布とした。
【0109】
上記試験布3kgを市販の高嵩密度粒状洗剤(ライオン(株)製トップ)20g及び表10及び表11に示す粉末漂白性組成物100gを用いて、全自動洗濯機愛妻号F60K1型(松下電器産業(株)製)の標準コースにより水道水(水温約25℃、硬度約3°DH)で洗浄後、25℃、65%RHで十分に乾燥させ、評価用タオルとした。
【0110】
評価用タオルの風合いを10人の専門パネラーによる判定により、「工業における官能検査ハンドブック」(日科技連官能検査委員会編、日科技連出版社刊、1963年)第300〜309ページに記載されている方法に従って測定した。
【0111】
即ち、シェッフェ(Scheffe)の一対比較法により、比較すべき2種類の漂白性組成物を添加して洗った一対のタオルの風合いの間にはっきりと差があれば、ごわつかない方のタオルに+2点、ごわつく方のタオルに−2点を与え、やや差があるときにはそれぞれ+1点、−1点を与え、全く差が無ければ両者に0点を与える。こうして得た配点をコンピューターを用いて統計的に処理し、風合いの相対的な優劣順位をつけた。結果を表10及び表11に示す。
【0112】
風合い評価の基準
○:95%信頼限界で比較例1に対して有意差があり、ごわつかない
△:95%信頼限界で比較例1に対して有意差がない
×:95%信頼限界で比較例1に対して有意差があり、ごわつく
【0113】
【表10】
Figure 0004143814
【0114】
【表11】
Figure 0004143814

Claims (6)

  1. (a)水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物、(b)粉末セルロース、シルクパウダー、ウールパウダー、ナイロンパウダー、ポリウレタンパウダーから選ばれる水不溶性又は水難溶性繊維パウダー及び(c)漂白活性化触媒を含有してなることを特徴とする漂白性組成物。
  2. (a)水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物、(b)粉末セルロース、シルクパウダー、ウールパウダー、ナイロンパウダー、ポリウレタンパウダーから選ばれる水不溶性又は水難溶性繊維パウダー及び(c)漂白活性化剤及び漂白活性化触媒を含有してなることを特徴とする漂白性組成物。
  3. 上記(b)成分と、上記(c)成分と、界面活性剤及び/又はバインダー化合物とを含む複合粒子を含有する請求項1又は2記載の漂白性組成物。
  4. 上記(b)成分と上記(c)成分との混合割合が4/1〜1/4であることを特徴とする請求項3記載の漂白性組成物。
  5. (c)漂白活性化触媒が、トリス−μ−オキソ−ビス〔(1,4,7−トリメチル−1,4,7トリアザシクロノナン)マンガン(IV)〕ペンタフルオロリン酸塩、(トリス(サリチリデンイミノエチル)アミン)−マンガン錯体、(N,N’−エチレンビス(4−ヒドロキシサリチリデンイミネート))−マンガン錯体、又はトリス((2−ピリジル)メチル)アミン−マンガン錯体である請求項1〜4のいずれか1項記載の漂白性組成物。
  6. (a)水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物、及び(c)漂白活性化触媒を含有する漂白性組成物に、(b)粉末セルロース、シルクパウダー、ウールパウダー、ナイロンパウダー、ポリウレタンパウダーから選ばれる水不溶性又は水難溶性繊維パウダーを配合することを特徴とする衣類の損傷及び退色抑制方法。
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