JP4123361B2 - 漂白性組成物 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、退色を防止するので色柄衣類にも安心して使用でき、少量配合でしかも短時間で高い漂白効果を示し、かつ過酸化水素や漂白活性化剤では落とせない汚れに対しても高い漂白効果を有し、更に液状漂白性組成物では液安定性に優れ、固体状漂白性組成物では溶解性に優れた漂白性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸素系漂白剤は、色柄物に使用できるといった特徴を有し、衣料用漂白剤の主流となってきているが、その一方で、漂白力の点で塩素系漂白剤に劣っているという問題があり、その改善が第一の課題といえる。酸素系漂白剤の漂白効果は漂白処理液の温度に大きく影響され、多くの汚れに対して高い漂白効果を達成する為には通常60℃を超える必要がある。しかし、家庭で衣類を漂白する際に60℃といった高温作業をすることは、危険を伴うだけでなく非常に注意力・労力を要するし、衣類も縮んだり傷んでしまう。
【0003】
従来技術では、漂白活性化剤を使用することによって前述の問題が一部解決された。有機過酸前駆体として知られている漂白活性化剤は、しばしばカルボン酸エステルの形態で存在する。漂白活性化剤は、過酸化水素とエステルとが反応してペルオキシ酸を生成し、これがシミ汚れを酸化漂白する。これらの技術としては、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)やノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(NOBS)等が代表的で、他にもデカノイルオキシベンゼンカルボン酸やドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(特許文献1,2参照)、特定の構造を有する置換アニリド誘導体(特許文献3,4参照)、ポリフェノール誘導体(特許文献5参照)、イミドカルボン酸活性化剤やスルフィミドカルボン酸活性化剤(特許文献6参照)、アンモニウムニトリル活性化剤(特許文献7参照)、アセトニトリル誘導体等(特許文献8参照)が挙げられる。
【0004】
しかし、TAEDはヨーロッパ等の洗濯条件である中温〜高温条件下、即ち30℃以上でのみ有効で、冷水で洗濯する習慣のある日本や米国では使用され得なかった。一方、デカノイルオキシベンゼンカルボン酸やドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、NOBSはTAEDよりも低温で作用し得る。このため、日本や米国ではデカノイルオキシベンゼンカルボン酸やドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、NOBSが広く使用されている。
【0005】
更に、これら有機過酸前駆体である漂白活性化剤の課題の一つとしては、しみ汚れの色素と有機過酸が当量的酸化作用して漂白をおこなう為に、高い漂白効果を達成するためには比較的多量の漂白活性化剤の配合が必要になることが挙げられ、経済的、環境的にも極少量で有効に漂白性能を向上させる漂白活性化剤が望まれていた。
【0006】
また、漂白活性化剤は漂白効果を高めるだけではなく、過酸化水素に比べて高い酸化力を有しているため過酸化水素では漂白できない種類のしみ汚れを漂白することが可能である。しかし、その汚れの種類の範囲もまだ十分ではなく、漂白活性化剤を用いても頑固なカレーやミートソースといったしみ汚れに対しては消費者が満足するレベルの効果が得られていないといった課題も挙げられ、色柄には影響することなく、過酸化水素や漂白活性化剤では落としきれないしみ汚れを落とせる剤が求められていた。
【0007】
更なる課題としては、漂白活性化剤は過酸化水素と反応し、有機過酸が生成してはじめてその効果が発現することから、有機過酸が生成するまでの時間が必要になることであり、特に低温において高い漂白効果を達成するためには比較的長い漂白時間が必要になる。この様なことから、低温でも短時間で効率的に漂白効果が発現する漂白活性化剤が望まれていた。
【0008】
一方で、上記の漂白活性化剤の課題を部分的に解決する方法として、金属原子を含有する錯体を用いる方法が挙げられる。中心金属の酸化状態の変化を利用した金属錯体を利用する方法が報告されている(非特許文献1,2参照)。漂白活性化剤では化学当量的に生成した有機過酸が汚れに作用するのに対し、金属錯体は洗浄液中で過酸化水素により中心金属の酸化状態が変化、高い酸化力を示す金属錯体となり、汚れに作用する。汚れに作用し酸化状態がもとに戻った金属錯体は、再び過酸化水素と反応するといった触媒的なメカニズムが提唱されている。そのため、少量の錯体で高い漂白力を得ることができる。すなわち、より効率的に過酸化水素を活性化できる特徴を持つ金属原子を含有する錯体を利用する方法は低濃度で効果を示すことから、経済的にも、環境的にも好ましい。
【0009】
ここで、金属錯体による漂白効果は、その中心金属と配位子の組み合わせによって異なるため、種々の配位子と遷移金属の組み合わせが研究されている。例えば、EDTA、NTAやピリジンカルボン酸といった通常用いられるキレート剤とCo、Cu等の遷移金属との組み合わせが開示されている(特許文献9,10,11参照)。しかし、この組み合わせではペルオキシ化合物の分解を触媒するが、実質的な漂白の活性化にはあまり寄与しない。ヒドロキシカルボン酸を配位子とするマンガン錯体(特許文献12,13参照)が、ポリヒドロキシ化合物を配位子とするマンガン錯体(特許文献14参照)が、ポルフィリン又はフタロシアニンを配位子とする鉄又はマンガン錯体(特許文献15,16,17,18,19参照)が、環状ポリアミンを配位子とするマンガン錯体(特許文献20,21,22,23,24,25参照)が、配位性窒素原子を3個以上持つ配位子と遷移金属との錯体(特許文献26参照)が、アミンとサリチルアルデヒドの縮合化合物を配位子とするマンガン錯体(特許文献27参照)が、置換されたジアミンを配位子とする銅錯体がそれぞれ開示されており(特許文献28参照)、これらは漂白性能の向上が確認されている。
【0010】
しかし、これら金属錯体の技術は、高い漂白力が得られる反面、中心金属と過酸化物によりしばしば発生する強い酸化力をもったラジカルによって、衣類の洗浄を繰り返しおこなったり、組成物が直接生地に高濃度で接触した場合には、生地が薄くなったり穴があくといった問題点や着色衣料を退色させるといった問題点、長時間の漬け置き時における過酸化水素の分解の問題点などが指摘されている。これらの金属錯体の問題点を解決する方法としては、特願2002−190449で長時間の浸け置き時でも過酸化水素の安定性を高める技術を、また特願2002−250734では衣類のダメージを抑制させる技術を既に報告している。また、金属錯体技術の中には遷移金属を含まない場合の例が記載されているものもある。例えば、比較例として遷移金属非含有のピリジン系配位子の例が挙げられている(特許文献29参照)。この結果からも明らかなように、触媒としては遷移金属を含有していない配位子では、漂白効果の向上は期待できないと考えられていた。
【0011】
更に、近年の洗濯行動に着目すると、洗濯機の変化等からも伺えるが、洗濯行動に費やす時間を減らしたいという要求が年々高まってきている。そして、その要求は漂白処理についても同様の傾向がみられ、色柄衣類にも安心して使用でき、かつ短時間で高い漂白効果を達成する技術が求められていた。
【0012】
【特許文献1】
特開平8−157876号公報、
【特許文献2】
特開平8−143895号公報
【特許文献3】
特開平7−034098号公報、
【特許文献4】
特開平7−033722号公報
【特許文献5】
特開平6−211746号公報
【特許文献6】
特開平5−306270号公報
【特許文献7】
特表2001−516794号公報
【特許文献8】
特表2001−504883号公報
【特許文献9】
米国特許第3,156,654号公報、
【特許文献10】
米国特許第3,532,634号公報
【特許文献11】
英国特許第984,459号公報
【特許文献12】
特公平6−33431号公報
【特許文献13】
特公平6−70240号公報
【特許文献14】
特公平6−99719号公報
【特許文献15】
特開昭52−155279号公報
【特許文献16】
特開平1−97267号公報
【特許文献17】
特開平2−261547号公報
【特許文献18】
特表平8−503247号公報
【特許文献19】
特表平8−503248号公報
【特許文献20】
特公平7−12437号公報
【特許文献21】
特公平7−65074号公報
【特許文献22】
特公平7−68543号公報
【特許文献23】
特公平7−122076号公報
【特許文献24】
特開平5−263098号公報
【特許文献25】
特開平6−121933号公報
【特許文献26】
特開平10−140193号公報
【特許文献27】
特開2000−54256号公報
【特許文献28】
米国特許第5,021,187号公報
【特許文献29】
特開平10−140193号公報
【非特許文献1】
Ronald Hageら著「nature」Macmillan Magazines Ltd. 出版、1994年6月23日、vol.369 p.637〜639
【非特許文献2】
Wonwoo Namら著「Journal of American Chemical Society」American Chemical Society出版、1993年、vol.115 p.1772〜1778
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、色柄衣類の退色を防止し、少量配合でしかも短時間で高い漂白効果を示し、かつ過酸化水素や漂白活性化剤では落とせない汚れに対しても高い漂白効果を有し、更に液状漂白性組成物では液安定性が良好であり、固体状漂白性組成物では溶解性が良好な漂白性組成物を提供する。また、貯蔵後の漂白成分の安定性及び漂白効果が良好な液状漂白性組成物を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、金属を含有しない特定の構造を有する漂白触媒と過酸化水素又は水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物と界面活性剤を組み合わせることで、色柄衣類の退色を防止し、少量配合でしかも短時間で高い漂白効果を示し、かつ過酸化水素や漂白活性化剤では落とせない汚れに対しても高い漂白効果を有し、液状漂白性組成物では液安定性に優れ、固体状漂白性組成物では溶解性に優れた漂白性組成物が得られることを見出した。更に、フェノール系ラジカルトラップ剤を併用することで、貯蔵後の漂白成分の安定性及び漂白効果が良好な液状漂白性組成物を得られ、これらにより、上記課題を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
従って、本発明は、(A)過酸化水素又は水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物、
(B)下記一般式(I)で表される、遷移金属を含有しない漂白触媒、
(C)界面活性剤
を含有することを特徴とする漂白性組成物を提供する。
【0016】
【化3】
[式中、R1,R2は同一又は異種の、水素原子又は置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、kは0〜2の整数であり、Xはkが0であればR(但し、Rは水素原子又は置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を示す。)であり、kが1であればR’(但し、R’は置換もしくは非置換のアルキレン基又はシクロアルキレン基を示す。)であり、kが2であれば、窒素原子、リン原子又はC(R)(但し、Rは上記の通り。)で表される基であり、n,mは、0〜2の整数であり、A,Bは同一であり、下記一般式(III)
−N=R5 …(III)
(式中、R3,R4は同一又は異種の、水素原子、水酸基、又は置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はベンジル基であり、R5は、炭素数1〜3のアルキリデン基、サリチリデン基、ヒドロキシサリチリデン基である。)
で示される基である。]
【0018】
この場合、漂白性組成物は、液状であっても固体状であってもよく、また漂白剤としても漂白洗浄剤としても使用し得る。ここで、上記漂白性組成物が、更に(D)フェノール系ラジカルトラップ剤を含有する液状漂白性組成物であるとより好適である。
【0019】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の(A)成分は、過酸化水素又は水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物であり、本発明の漂白性組成物が液状漂白性組成物であれば、上記(A)成分として、特に過酸化水素が有効に用いられ、この場合、後述する(C)成分の界面活性剤と(A)成分との相乗効果により液安定性が良好になる。また、本発明の漂白性組成物が粉末、顆粒、タブレット、ブリケット、シート又はバー等の固体状漂白性組成物であれば、上記(A)成分として水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物が用いられる。
【0020】
水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物の具体例としては、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム・3水和物等が挙げられ、使用時の溶解性や貯蔵時の安定性を考慮すると、過炭酸ナトリウムを用いるのが好ましい。本発明では、より過酸化物の安定性を向上させるため、特許2918991号公報に記載されているような、過酸化物にホウ酸水溶液とケイ酸アルカリ金属塩水溶液を噴霧し被覆して用いたり、非危険物化のために種々の無機物等と造粒して用いてもよい。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0021】
本発明の漂白性組成物における(A)成分の配合量は、特に制限されるものではなく、組成物の形態等により適宜選定することができ、例えば本発明の組成物が液体漂白剤組成物であれば、組成物中に1質量%以上が好ましく、より好ましくは2〜5質量%、更に好ましくは4〜5質量%である。液体漂白洗剤組成物であれば、組成物中に1質量%以上が好ましく、より好ましくは2〜5質量%、更に好ましくは3〜4質量%である。配合量が少なすぎると、十分な漂白効果が得られない場合がある。また、固体状漂白剤組成物であれば、組成物中に2質量%以上が好ましく、より好ましくは10〜90質量%、更に好ましくは40〜90質量%である。固体状漂白洗剤組成物であれば、組成物中に1質量%以上が好ましく、より好ましくは1〜5質量%、更に好ましくは2〜4質量%である。配合量が少なすぎると、水に溶解して使用した場合に濃度が薄くなり過ぎ、十分な漂白効果が得られない場合がある。なお、上記配合量は、液体漂白剤組成物、液体漂白洗剤組成物といった液体であれば、過酸化水素としての配合量であり、固体状漂白剤組成物、固体状漂白洗剤組成物といった固体状であれば、水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物としての配合量を示す。
【0022】
本発明の(B)成分は、下記一般式(I)で表される、遷移金属を含有しない漂白触媒である。
【化5】
[式中、R1,R2は同一又は異種の、水素原子又は置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、kは0〜2の整数であり、Xはkが0であればR(但し、Rは水素原子又は置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を示す。)であり、kが1であればR’(但し、R’は置換もしくは非置換のアルキレン基又はシクロアルキレン基を示す。)であり、kが2であれば、窒素原子、リン原子又はC(R)(但し、Rは上記の通り。)で表される基であり、n,mは、0〜2の整数であり、A,Bは同一であり、下記一般式(III)
−N=R5 …(III)
(式中、R3,R4は同一又は異種の、水素原子、水酸基、又は置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はベンジル基であり、R5は、炭素数1〜3のアルキリデン基、サリチリデン基、ヒドロキシサリチリデン基である。)
で示される基である。]
【0023】
ここで、上記一般式(I)中のR、R1及びR2は同一又は異種の、水素原子又は置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であるが、この中で炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜24のアリール基が好ましい。漂白力や漂白処理中液での過酸化水素の安定性の点では、R、R1及びR2としては、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、特にR1及びR2は、水素原子であるものが特に好ましい。
【0024】
R’は置換もしくは非置換のアルキレン基又はシクロアルキレン基であり、この中で炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数3〜8のシクロアルキレン基が好ましく、漂白力や漂白処理中液での過酸化水素の安定性の点では、炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましい。
【0025】
また、R、R1、R2及びR’は、上述した基の水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、シアノ基、アミノ基、四級アンモニウム基、スルホン酸基、チエニル基、カルボン酸基等の置換基で置換されていてもよい。
【0026】
kは0〜2の整数であり、Xはkが0であればR(但し、Rは水素原子又は置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を示す。)であり、kが1であればR’(但し、R’は置換もしくは非置換のアルキレン基又はシクロアルキレン基を示す。)であり、kが2であれば、窒素原子、リン原子又はC(R)で表される基である。kは1又は2が好ましく、kが2の場合、Xは、窒素原子又はC(R)で表される基が好ましい。漂白力や漂白処理液中での過酸化水素の安定性の点では、kが1の場合、R’は炭素数2〜4のアルキレン基が好ましい。
【0027】
n,mは、0〜2の整数であり、nは0又は2、mは0又は2が好ましい。漂白力や漂白処理液中での過酸化水素の安定性の点では、特にn及びmは2が好ましい。
【0028】
A,Bは、同一であり、下記一般式(III)で示される基である。
−N=R5 …(III)
R5は、炭素数1〜3のアルキリデン基、サリチリデン基、ヒドロキシサリチリデン基である。
【0029】
分子中にAが2つある場合、これらAは同一である。A,B共に上記一般式(III)で示される基であり、A,Bが同一である。R5としては、炭素数1〜3のアルキリデン基、サリチリデン基、ヒドロキシサリチリデン基であり、特にサリチリデン基又はヒドロキシサリチリデン基が好ましい。
【0030】
本発明の上記一般式(I)で表わされる漂白触媒として、より具体的には次の化合物が挙げられる。
【0033】
【化9】
【化10】
【0038】
【化15】
【0040】
これらの化合物は、特開平10−140193号公報等に記載した方法や本願発明の実施例、[0104]合成例1又は[0106]合成例2に記載した方法に記載の方法に準じて作製することができる。
【0043】
上記一般式(I)の漂白触媒は単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
【0044】
本発明の(B)成分の漂白触媒の好ましい例としては、より具体的にはトリス(サリチリデンイミノエチル)アミン、N,N’−エチレンビス(4−ヒドロキシサリチリデンイミネート)が挙げられ、漂白効果を考慮するとトリス(サリチリデンイミノエチル)アミンがより好ましい。
【0045】
本発明の漂白性組成物における(B)成分の配合量は、特に制限されるものではなく、組成物の形態等によって適宜選定することができ、例えば本発明の組成物が液体漂白剤組成物や液体漂白洗剤組成物などのような液状漂白性組成物であれば、組成物中に0.0001〜1.0質量%が好ましく、0.0005〜0.2質量%がより好ましい。一方、本発明の組成物が粉末漂白剤組成物や粉末漂白洗剤組成物などのような固体状漂白性組成物であれば、好ましい配合量は、組成物中に0.001〜1.0質量%であり、より好ましくは0.05〜1.0質量%であり、更に好ましくは0.1〜1.0質量%である。この範囲未満では漂白効果の向上が不十分となる場合があり、この範囲を超えてもそれ以上効果は高まらない場合がある。
【0046】
尚、固体状漂白性組成物中においては、ポリエチレングリコール等のバインダー成分と造粒し、複合粒子として用いてもよい。
【0047】
複合粒子の作製方法は、特に制限されないが、造粒方法の例としては、溶融したバインダー化合物と共に(B)成分や後述する(C)成分の界面活性剤等を溶解又は分散させたのち、直径1mm程度のスクリーンを通して押し出し造粒を行なったり、又は放冷させた後に粉砕機で粉砕して作製する方法が挙げられる。
【0048】
複合粒子(造粒物)の粒径は、特に制限されないが、溶解性、安定性等を考慮すれば、平均粒径が200〜1000μm、特に300〜700μmが好ましい。ここで、平均粒径は、ふるいを用いて粒度分布を求め、その粒度分布から算出する等の方法によって確認することができる。
【0049】
本発明の(C)成分は界面活性剤であり、(C)成分を含有することにより、本発明の漂白性組成物が液状漂白性組成物の場合、前述の(A)成分との相乗的な効果により液状漂白性組成物の液安定性が著しく向上し、また固体状漂白性組成物の場合には(B)成分の溶解性を向上させ、漂白効果を高めることができる。
【0050】
界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤が用いられる。これらの界面活性剤の中でも、直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜24、特に10〜20のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1個有する界面活性剤、又は炭素数8〜24、特に10〜20のアルキル基で置換されたアリール基を少なくとも1個有する界面活性剤を用いるのが好ましい。上記アルキル基としては、例えばオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等を挙げることができる。また、アルケニル基としては、上記アルキル基に対応するアルケニル基が挙げられ、例えばデセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基等が挙げられる。
【0051】
ノニオン界面活性剤としては、具体的には、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキル(ポリ)グリコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸アルカノールアミド、アミンオキサイド等が挙げられる。これらの中でも、特にポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、特に好ましいものは、下記一般式(V)で表される化合物である。
R6−O−(CH2CH2O)nav−H …(V)
(式中、R6は炭素数7〜16のアルキル基又はアルケニル基を示し、navはエチレンオキサイド(EO)の平均付加モル数を示す。)
【0052】
上記一般式(V)中、R6で示されるアルキル基又はアルケニル基としては、直鎖状でも、分岐を有するものでもよい。アルキル基又はアルケニル基の炭素数は7〜16であり、好ましくは10〜16、より好ましくは12〜15である。アルキル基としては、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等を挙げることができる。また、アルケニル基としては、上記アルキル基に対応するアルケニル基が挙げられ、例えば、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基等が挙げられる。
【0053】
上記一般式(V)において、エチレンオキサイド(EO)の平均付加モル数navは液状漂白性組成物の場合、液安定性や性能の点より2〜20が好ましく、特に5〜15が好ましい。また、固体状漂白性組成物の場合には、製造性の点からは5〜30が好ましい。
【0054】
例えば、上記一般式(V)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルは、1種又は2種以上のアルコールにエチレンオキサイドを付加させて製造することができる。ここで、navは使用するアルコール1モルに対して反応させたエチレンオキサイドのモル数を意味する。
【0055】
ここで、一般にエチレンオキサイド鎖を有するノニオン界面活性剤の場合、エチレンオキサイドの付加反応によって、通常、平均付加モル数を中心として、付加モル数の異なる分布を有するノニオン界面活性剤が得られる。上記一般式(V)で表されるノニオン界面活性剤の、エチレンオキサイド(EO)の平均付加モル数navが2〜15、特に3〜7の場合、エチレンオキサイドの付加モル数の分布が狭いノニオン界面活性剤(上記一般式(V)のノニオン界面活性剤の合計質量に対する、nav−2〜nav+2の範囲に含まれる上記一般式(V)のノニオン界面活性剤の合計質量(Yi)が55質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上)を用いると、液安定性や製品の香気の点から更に好ましい。
【0056】
このようなエチレンオキサイドの付加モル数の分布が狭いノニオン界面活性剤の製造方法は特に限定されるものでなく、例えば、高級アルコールとエチレンオキサイドから常法により合成した反応生成物から蒸留等により必要分子量範囲のものを分取することにより得られる。また、例えば、特定のアルコキシル化触媒を使用して脂肪族アルコール等にエチレンオキサイドを付加反応させることによって容易に得ることができる。この場合、アルコキシル化触媒としては、例えば特公平6−15038号公報に記載されているアルコキシル化触媒を使用することができる。具体的には、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等を使用することができる。
【0057】
尚、上記一般式(V)で示されるノニオン界面活性剤におけるエチレンオキサイド付加分布は、例えばカラムにZORBAXC8(デュポン製)、移動相にアセトニトリルと水の混合溶媒を使用する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって容易に測定することができる。
【0058】
更に、液状漂白性組成物の場合、これらのノニオン界面活性剤の中でも、性能面において特に高い効果を有している点から、疎水性パラメーターlogP値が2.0〜5.0であるものが好ましい。logP値が2.0〜5.0であるノニオン界面活性剤の具体例を挙げると、上記一般式(V)において、R6=C12H25,nav=5(logP=3.29)、R6=C14H29,nav=5(logP=4.08)、R6=C12H25,nav=10(logP=4.12)、R6=C12H25,nav=15(logP=4.94)である化合物等が挙げられる。更に、logP値が2.5〜4.5のノニオン界面活性剤を使用すると、適度な粘度を発現し、例えば詰め替え時の液はねが低減されるため、更に好ましい。
【0059】
尚、疎水性パラメーターとは、対象とする化合物の性質を示すパラメーターとして一般的に用いられている。logP値におけるP(分配係数)は、水とオクタノールとの間における平衡状態での物質の活動度の比としてP=Co/Cwとして表される(ここでCoはオクタノール中の濃度、Cwは水中の濃度である)。疎水性パラメーターについての詳細は例えば科学の領域増刊号122号(1979年)、第73頁に記載されている。
【0060】
分配係数の測定方法としては、Flask Shaking法や薄層クロマトグラフ法、HPLCによる測定法が知られているが、Ghose,Pritchett,Crippenらのパラメーターを用いて計算によって算出することもできる(J.Comp.Chem.,9,80(1998))。
【0061】
アニオン界面活性剤として、具体的には、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均0.5〜8モルのエチレンオキサイドを付加したアルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、高級脂肪酸塩等が挙げられる。尚、これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
【0062】
上記アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、炭素数8〜16のものが好ましく、上記α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10〜20のものが好ましく、上記アルキル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜20のものが好ましく、アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均0.5〜8モルのエチレンオキサイドを付加したのものが好ましく、上記α−スルホ脂肪酸エステル塩としては、炭素数10〜20のものが好ましく、上記高級脂肪酸塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。上記アニオン界面活性剤としては、特に炭素数14のα−オレフィンスルホン酸ナトリウムが好ましい。上記炭素数を有するものを使用すると、前述の(B)成分を溶解することができると同時にノニオン界面活性剤の曇点を上昇させる効果を発現し、特に液状漂白性組成物においては液が分離や析出を示さず、固体状漂白性組成物においては漂白効果を向上させる場合がある点で好ましい。
【0063】
カチオン界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩であればいずれのものであっても使用できるが、例えばジアルキル型第4級アンモニウム塩の場合は、長鎖アルキル基の炭素数は6〜24、特に10〜20のものが好ましく、短鎖アルキル基の炭素数は1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましい。
【0064】
両性界面活性剤としては、例えばカルボベタイン、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタイン等を挙げることができ、炭素数は10〜20のものが好ましい。
【0065】
本発明の液状漂白性組成物においては、(C)成分の界面活性剤として、上記一般式(V)で表されるノニオン界面活性剤やアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のアニオン界面活性剤が、液安定性や(B)成分の溶解性、漂白効果の面から好ましく、ノニオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤を併用し、含有するのがより好ましい。これらの界面活性剤を使用することにより、液の安定化や(B)成分の溶解により有効に漂白効果を示すことができる。更に被洗物への浸透性が良好で、より高い漂白性能を得ることができる。特に、液状漂白性組成物の場合はノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤のうち、特にアルキルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸系アニオン界面活性剤を併用すると、更に良好な粘度に調整できるので、特に好ましい。
【0066】
本発明の漂白性組成物における(C)成分の配合量は、特に制限されるものではなく、組成物の形態等によって適宜選定することができる。例えば、本発明の組成物が液状漂白剤組成物であれば、好ましい配合量は組成物中に1.0〜15質量%であり、より好ましくは3.0〜12.0質量%であり、本発明の組成物が液状漂白洗浄剤組成物であれば、好ましい配合量は15.0〜50.0質量%、より好ましくは20〜40質量%である。上記範囲未満では良好な液安定性や洗浄力が得られない場合があり、上記範囲を超えても良好な液安定性が得られない場合がある。一方、本発明の組成物が固体状漂白剤組成物であれば、好ましい配合量は組成物中に0.1〜15.0質量%であり、より好ましくは0.1〜10.0質量%であり、本発明の組成物が固体状洗浄漂白剤組成物であれば、好ましい配合量は15.0〜80.0質量%、より好ましくは15.0〜40.0質量%である。上記範囲未満では(B)成分の溶解性不十分で良好な漂白効果が得られない場合があり、上記範囲を超えると製造性が悪くなる場合がある。
【0067】
本発明の漂白性組成物が液状漂白性組成物の場合には、上記成分に加え、更に、成分(D)としてフェノール系ラジカルトラップ剤を配合することが好ましい。フェノール系ラジカルトラップ剤を配合することで、貯蔵後でも高い漂白効果を維持することができる。この現象のメカニズムは明らかではないが、貯蔵時における過酸化水素による(B)成分の分解をフェノール系ラジカルトラップ剤が抑制するためと推測している。特に液状漂白性組成物での漂白力を向上させるためには、製品pHがより高い方が好ましく、pHが4以上の場合にはフェノール系ラジカルトラップ剤添加の効果は顕著である。
【0068】
フェノール系ラジカルトラップ剤は、フェノール性水酸基を有する化合物又はフェノール性水酸基のエステル誘導体、エーテル誘導体が好ましい。このような化合物としては、具体的にクレゾール、チモール、クロロフェノール、ブロモフェノール、メトキシフェノール、ニトロフェノール、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,6−ジ第3ブチル−p−クレゾール、ナフトール、ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0069】
この中で好ましい化合物は、G.E.Penketh,J.Appl.Chem.,Vol7,512〜521頁(1957)に記載されている酸化還元電位(O.P.)0(25℃)が1.25V以下の化合物であり、より好ましくは0.75V以下の化合物である。尚、酸化還元電位(O.P.)0(25℃)の下限は、特に制限されるものではないが、漂白効果への影響を考慮すれば、通常酸化還元電位の(O.P.)0(25℃)の下限としては、0.60V程度が好適である。酸化還元電位が上記範囲を超えると、過酸化水素の安定効果が十分でない場合がある。酸化還元電位が低すぎると、漂白力が低下する場合がある。
【0070】
更に、液状漂白性組成物での配合のしやすさの点から、溶解度の高いラジカルトラップ剤がより効果的であり、前述した溶解性を示す疎水性パラメーターlogP値で3以下のものが好ましい。
【0071】
上述した酸化還元電位及び溶解性の点から、4−メトキシフェノール、4−ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノン、カテコールが好ましく、これらの中で更に過酸化水素と共存したときのラジカルトラップ剤の安定性の点から、4−メトキシフェノール、4−ヒドロキシ安息香酸が特に好ましい。これらフェノール系ラジカルトラップ剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
【0072】
本発明の組成物に、フェノール系ラジカルトラップ剤を配合する場合は、任意の量を添加できるが、好ましい配合量は組成物全体の0.01〜3.0質量%、より好ましくは0.1〜1.0質量%の範囲である。0.01質量%未満では十分な効果が得られない場合があり、3.0質量%を超えても貯蔵後の漂白効果は高まらない場合がある。
【0073】
本発明の漂白性組成物は、液状漂白性組成物であっても固体状漂白剤組成物であっても、本発明の目的を損なわない範囲で、漂白性組成物の漂白効果を更に高めるために、必要に応じて更に漂白活性化剤、金属イオン捕捉剤、ホウ素化合物、pH調整剤等を配合することができる。
【0074】
漂白活性化剤は、漂白効果を高め、特に本発明の漂白触媒と組み合わせて用いることで、相乗的に更に高い漂白効果を示すことができる。漂白活性化剤としては、テトラアセチルエチレンジアミン、ペンタアセチルグルコース、オクタノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ウンデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタノイルオキシ安息香酸、ノナノイルオキシ安息香酸、デカノイルオキシ安息香酸、ウンデカノイルオキシ安息香酸、ドデカノイルオキシ安息香酸、オクタノイルオキシベンゼン、ノナノイルオキシベンゼン、デカノイルオキシベンゼン、ウンデカノイルオキシベンゼン、ドデカノイルオキシベンゼン等が挙げられる。これらの中でも好ましい漂白活性化剤としては、デカノイルオキシ安息香酸、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられ、4−デカノイルオキシ安息香酸、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムが特に好ましい。
【0075】
本発明の漂白性組成物が上記漂白活性化剤を含有する場合、該組成物における漂白活性化剤の好ましい配合量は0.1〜10.0質量%、より好ましくは0.5〜5.0質量%である。0.1質量%未満では漂白効果が十分ではない場合があり、10質量%を超えてもそれ以上漂白効果が高まらない場合がある。これら漂白活性化剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。また、漂白活性化剤は、漂白剤中のアルカリ成分と水の存在により加水分解を起こしてその機能が失われることが知られている。従って、このような分解を防ぐために、上記漂白活性化剤を固体状漂白性組成物に配合する場合は、ノニオン界面活性剤や重量平均分子量1500〜20000のポリエチレングリコール、アニオン界面活性剤、フィルム形成性重合体、脂肪酸等と混合して造粒物として配合することが好ましい。
【0076】
金属イオン捕捉剤は、微量金属イオンを捕捉し、貯蔵中の過酸化水素の安定性や漂白処理液中での過酸化水素の安定性を高める効果を示す。金属イオン捕捉剤としてはエチレンジアミン四酢酸やニトリロ三酢酸、グリコールエチレンジアミン6酢酸等のアミノポリ酢酸類、ポリアクリル酸等のポリカルボン酸やその塩、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP−H)やエタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、ヒドロキシメタンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、2−ヒドロキシエチルイミノジ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等の有機ホスホン酸誘導体やその塩、ジグリコール酸やクエン酸、酒石酸、シュウ酸、グルコン酸等の有機酸類やその塩、ポリアクリル酸、アクリル酸−マレイン酸共重合体やその塩等の高分子化合物、ゼオライト、層状ケイ酸塩等が挙げられる。本発明の組成物が液状漂白性組成物であれば、漂白力への影響や配合適性を考慮すると、これらの中でも1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP−H)、平均分子量8000〜15000のポリアクリル酸が好ましく、より好ましくは1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP−H)である。本発明の組成物が固体状漂白性組成物であれば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸3ナトリウム(HEDP−3Na)、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸4ナトリウム(HEDP−4Na)やエチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)ナトリウム、平均分子量40000〜50000のアクリル酸とマレイン酸の共重合体、ゼオライトが好ましく、漂白力への影響や貯蔵安定性を考慮すれば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸4ナトリウム(HEDP−4Na)がより好ましい。
【0077】
本発明における金属イオン捕捉剤の好ましい配合量は、組成物全体の0.1〜5.0質量%、より好ましくは0.3〜3質量%である。0.1質量%未満では過酸化物の安定化効果が十分ではない場合があり、5.0質量%を超えても安定化効果は高まらない場合がある。これら金属イオン捕捉剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよいし、潮解を抑制するためにノニオン界面活性剤や重量平均分子量1500〜20000のポリエチレングリコール、重量平均分子量1000〜100000のポリアクリル酸やその塩、(B)成分の漂白触媒、アニオン界面活性剤、フィルム形成性重合体、脂肪酸等と混合して造粒物として配合してもよい。
【0078】
本発明の漂白性組成物にホウ素化合物を添加すると、ホウ素化合物が過酸化水素に作用し、紅茶じみ等に対する漂白効果を高めることができる。本発明の漂白性組成物に配合し得るホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、4ホウ酸ナトリウム、4ホウ酸カリウム、4ホウ酸アンモニウム等分子中にホウ素を含有する化合物が好適であり、これらの中でも特に4ホウ酸ナトリウムが好ましい。
【0079】
本発明におけるホウ素化合物の好ましい配合量は、本発明が液状漂白性組成物であれば0.1〜5.0質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。0.1質量%未満では漂白効果が十分ではない場合があり、5.0質量%では液安定性上好ましくない場合がある。また、本発明が固体状漂白性組成物の場合には、好ましい範囲として0.1〜10.0質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。0.1質量%未満では漂白効果が十分ではない場合があり、10.0質量%を超えても漂白効果は高まらない場合がある。これらホウ素化合物は1種を単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
【0080】
本発明の漂白性組成物は、そのpHが特に制限されるものではなく、組成物の形態等によって適宜選定することができる。例えば、液状漂白性組成物では、25℃における組成物のpHは2〜8が好ましく、塗布漂白力、過酸化水素の安定性の点で更に4〜7が好ましい。一方、固体状漂白性組成物では、脱イオン水中1質量%希釈時の25℃におけるpHは9以上が好ましく、より好ましくは10〜11である。上記範囲以外では、漂白性能や貯蔵時の安定性が得られ難くなる場合がある。
【0081】
pHを制御するための手段としては、pH調整剤が用いられるが、通常アルカリ剤によってpH調整が行われる。液状漂白性組成物では、アルカリ剤として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等を使用することができる。これらは1種を単独で用いても2種類以上を併用して用いてもよい。
【0082】
固体状漂白性組成物では、アルカリ剤としてデンス灰や軽灰と総称される炭酸ナトリウムのほか、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、メタ珪酸ナトリウム、珪酸ナトリウム1号、珪酸ナトリウム2号、珪酸ナトリウム3号等の非晶質のアルカリ金属珪酸塩、リン酸水素2ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩等の無機塩を使用することができ、中でも水への溶解性及びアルカリ度の点から珪酸ナトリウムと炭酸ナトリウム、水が55/29/16の比の混合物であるNABION(ローディア社製)を用いるのが好ましい。
【0083】
pHが高くなりすぎることを防止するために、酸等を用いて上記pHの範囲に調整することもできる。酸としては、硫酸、塩酸等が挙げられ、金属捕捉剤も用いることができる。その他、リン酸2水素カリウム等のアルカリ金属リン酸2水素塩や脂肪酸、また、乳酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、グルコン酸、オレイン酸、デカン酸、又はそれらのポリカルボン酸等を使用することができる。また、洗浄時に衣類の汚れに由来する酸成分によるpHの低下を防止するための緩衝剤の使用も可能である。
【0084】
更に、本発明の漂白性組成物には、本発明の目的を損なわない限り、上記成分に加えて、通常、漂白性組成物に配合する各種成分を配合することができ、例えば下記(1)〜(8)の補助成分を含有することができる。
【0085】
(1)香料
香料として使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)及び「Perfume and Flavor Materialsof Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994 )及び「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)及び「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)及び「Flower oils and Floral Compounds InPerfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等で見られ、それぞれを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。
【0086】
代表的な香料としては、脂肪族炭化水素、テルペン炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素類、脂肪族アルコール、テルペンアルコール、芳香族アルコール等のアルコール類、脂肪族エーテル、芳香族エーテル等のエーテル類、脂肪族オキサイド、テルペン類のオキサイド等のオキサイド類、脂肪族アルデヒド、テルペン系アルデヒド、水素化芳香族アルデヒド等、チオアルデヒド、芳香族アルデヒド等のアルデヒド類、脂肪族ケトン、テルペンケトン、水素化芳香族ケトン、脂肪族環状ケトン、非ベンゼン系芳香族ケトン、芳香族ケトン等のケトン類、アセタール類、ケタール類、フェノール類、フェノールエーテル類、脂肪酸、テルペン系カルボン酸、水素化芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の酸類、酸アマイド類、脂肪族ラクトン、大環状ラクトン、テルペン系ラクトン、水素化芳香族ラクトン、芳香族ラクトン等のラクトン類、脂肪族エステル、フラン系カルボン酸族エステル、脂肪族環状カルボン酸エステル、シクロヘキシルカルボン酸族エステル、テルペン系カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル等のエステル類、ニトロムスク類、ニトリル、アミン、ピリジン類、キノリン類、ピロール、インドール等の含窒素化合物等の合成香料及び動物、植物からの天然香料、天然香料及び/又は合成香料を含む調合香料の1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0087】
具体的には、アルデヒドC6〜C12、アニスアルデヒド、アセタールR、アセトフェノン、アセチルセドレン、アドキサール、アリルアミルグリコレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、アルファダマスコン、ベータダマスコン、デルタダマスコン、アンブレットリッド、アンブロキサン、アミルシンナミックアルデヒド、アミルシンナミックアルデヒドジメチルアセタール、アミルバレリアネート、アミルサリシレート、イソアミルアセテート、イソアミルサリシレート、オウランチオール、アセチルユゲノール、バクダノール、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルサリシレート、ベルガミールアセテート、ボルニルアセテート、ブチルブチレート、パラターシャリーブチルシクロヘキサノール、パラターシャリーブチルシクロヘキシルアセテート、オルトターシャリーブチルシクロヘキサノール、ベンツアルデヒド、ベンジルフォーメート、カリオフィレン、カシュメラン、カルボン、セドロアンバー、セドリルアセテート、セドロール、セレストリッド、シンナミックアルコール、シンナミックアルデヒド、シスジャスモン、シトラール、シトラールジメチルアセタール、シトラサール、シトロネラール、シトロネロール、シトロネリルアセテート、シトロネリルフォーメート、シトロネリルニトリル、シクラセット、シクラメンアルデヒド、シクラプロップ、キャロン、クマリン、シンナミルアセテート、デルタC6〜C13ラクトン、ジメチルベンジルカービノール、ジヒドロジャスモン、ジヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、ジメトール、ジミルセトール、ジフェニルオキサイド、エチルワニリン、ユゲノール、フルイテート、フェンチールアルコール、フェニルエチルフェニルアセテート、ガラキソリッド、ガンマーC6〜C13ラクトン、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ミルセン、β−カリオフィレン、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ゲラニルニトリル、ヘディオン、ヘリオナール、ヘリオトロピン、シス−3−ヘキセノール、シス−3−ヘキセニールアセテート、シス−3−ヘキセニールサリシレート、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘキシルサリシレート、ヒヤシンスジメチルアセタール、ハイドロトロピックアルコール、ヒドロキシシトロネラール、インドール、イオノン、イソボルニルアセテート、イソシクロシトラール、イソEスーパー、イソユゲノール、イソノニルアセテート、イソブチルキノリン、ジャスマール、ジャスモラクトン、ジャスモフィラン、コアボン、リグストラール、リリアール、ライムオキサイド、リナロール、リナロールオキサイド、リナリルアセテート、リラール、マンザネート、マイヨール、メンサニールアセテート、メンソネート、メチルアンスラニレート、メチルユゲノール、メントール、アルファメチルイオノン、ベータメチルイオノン、ガンマメチルイオノン、メチルイソユゲノール、メチルラベンダーケトン、メチルサリシレート、ミューゲアルデヒド、ムゴール、ムスクTM−II、ムスク781、ムスクC14、ムスコン、シベトン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデセノン、シクロペンタデカノリド、アンブレットリド、シクロヘキサデカノリド、10−オキサヘキサデカノリド、11−オキサヘキサデカノリド、12−オキサヘキサデカノリド、エチレンブラシレ−ト、エチレンドデカンジオエ−ト、オキサヘキサデセン−2−オン、14−メチル−ヘキサデセノリド、14−メチル−ヘキサデカノリド、ムスクケトン、ムスクチベチン、ノピルアルコ−ル、ノピルアセテ−ト、ネリルアセテ−ト、ネロ−ル、メチルフェニルアセテ−ト、ミラックアルデヒド、ネオベルガメート、オークモスNo.1、オリボン、オキシフェニロン、パラクレジールメチルエーテル、ペンタリッド、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルアセテート、アルファピネン、ルバフラン、ローズフェノン、ローズオキサイド、サンダロア、サンデラ、サンタレックス、スチラリールアセテート、スチラリールプロピオネート、ターピネオール、ターピニルアセテート、テトラハイドロリナロール、テトラハイドロリナリールアセテート、テトラハイドロゲラニオール、テトラハイドロゲラニールアセテート、トナリッド、トラセオライド、トリプラール、チモール、ワニリン、ベルドックス、ヤラヤラ、アニス油、ベイ油、ボアドローズ油、カナンガ油、カルダモン油、カシア油、シダーウッド油、オレンジ油、マンダリン油、タンジェリン油、バジル油、ナツメグ油、シトロネラ油、クローブ油、コリアンダー油、エレミ油、ユーカリ油、フェンネル油、ガルバナム油、ゼラニウム油、ヒバ油、桧油、ジャスミン油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、レモングラス油、ライム油、ネロリ油、オークモス油、オコチア油、パチュリ油、ペパーミント油、ペリラ油、プチグレン油、パイン油、ローズ油、ローズマリー油、しょう脳油、芳油、クラリーセージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スパイクラベンダー油、スターアニス油、タイム油、トンカ豆チンキ、テレピン油、ワニラ豆チンキ、ベチバー油、イランイラン油、グレープフルーツ油、ゆず油、ベンゾイン、ペルーバルサム、トルーバルサム、チュベローズ油、ムスクチンキ、カストリウムチンキ、シベットチンキ、アンバーグリスチンキ等が挙げられる。
【0088】
香料の配合量は、適量を用いることができ、香料組成物として配合することができる。尚、香料組成物とは、香料成分、後述する溶剤及び香料安定化剤等からなる混合物である。漂白性組成物には、香料組成物が0.001〜20質量%配合されるが、好ましくは、0.01〜10質量%配合される。
【0089】
香料の溶剤又は保留剤としては、エタノール、アセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート)、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコールDPG−FC(ジプロピレングリコール)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト−5(1,2−ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA−2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA−4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。漂白性組成物には、これら溶剤又は保留剤の配合量は、香料組成物中に0.1〜99質量%配合されるが、好ましくは、1〜50質量%配合される。
【0090】
また、香料安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンEとその誘導体、カテキン化合物、フラボノイド化合物、ポリフェノール化合物等が挙げられ、これらの中で、ジブチルヒドロキシトルエンが好ましい。香料安定化剤は、香料組成物中に0.0001〜10質量%配合されるが、好ましくは0.001〜5質量%配合される。
【0091】
(2)色素
組成物の外観を良好にするために、各種色素を用いることができる。漂白性組成物に用いられる色素としては、染料や顔料が挙げられる。固体状漂白性組成物の場合は、顔料が好ましく、酸化物等耐酸化性を有するものが特に好ましい。好ましい化合物としては酸化チタン、酸化鉄、銅フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、紺青、シアニンブルー、シアニングリーン等が挙げられる。また、これら色素は錯体と一緒に造粒するのが好ましく、この場合、ポリエチレングリコール(PEG)等のバインダー成分に色素を溶解又は分散したものを用いるのが好ましい。更に、青み付剤として、群青等の青色顔料を硫酸ナトリウムや炭酸ナトリウム、粒状漂白剤組成物等に噴霧して造粒して用いることもできる。液状漂白性組成物の場合は、通常、「染料」として使用されている化合物であれば、その種類は特に制限されるものでないが、耐光性の点等を考慮すれば、このような化合物の中でも分子中にアントラキノン基、ナフチル基を持つ化合物、又はスルホン酸基、カルボン酸基等を持たない構造を有する化合物等が好ましく、これらの中でも、特に好ましくは、分子中にアントラキノン基、ナフチル基を持ち、且つスルホン酸基、カルボン酸基等を持たない構造を有する化合物がより好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。色素の配合量は、適量を用いることができる。
【0092】
(3)蛍光剤
蛍光染料として、4,4’−ビス−(2−スルホスチリル)−ビフェニル塩、4,4’−ビス−(4−クロロ−3−スルホスチリル)−ビフェニル塩、2−(スチリルフェニル)ナフトチアゾール誘導体、4,4’−ビス(トリアゾール−2−イル)スチルベン誘導体、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジルスルホン酸誘導体、ホワイテックスSA(住友化学社製)、チノパールCBS(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等を含有することができる。これらの中でもチノパールCBS、ホワイテックスSAが好ましく、配合量としては、0.1〜1質量%が好ましい。これらは1種を単独で用いても、2種以上併用して用いてもよい。
【0093】
(4)酵素
酵素(本来的に酵素作用を洗浄工程中になす酵素である)としては、酵素の反応性から分類すると、ハイドロラーゼ類、オキシドレダクターゼ類、リアーゼ類、トランスフェラーゼ類及びイソメラーゼ類を挙げることができるが、本発明にはいずれも適用できる。特に好ましいのはプロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ及びペクチナーゼである。プロテアーゼの具体例としては、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、コラーゲナーゼ、ケラチナーゼ、エラスターゼ、スプチリシン、BPN、パパイン、プロメリン、カルボキシペプチターゼA及びB、アミノペプチターゼ、アスパーギロペプチターゼA及びBであり、市販品として、サビナーゼ、アルカラーゼ(ノボインダストリー社)、API21(昭和電工(株))、マクサカル(ギストプロケイデス社)、特開平5−25492号公報記載のプロテアーゼK−14もしくはK−16等を挙げることができる。エステラーゼの具体例としては、ガストリックリパーゼ、バンクレアチックリパーゼ、植物リパーゼ類、ホスホリパーゼ類、コリンエステラーゼ類及びホスホターゼ類等を挙げることができる。リパーゼの具体例としては、リポラーゼ(ノボインダストリー社)、リポサム(昭和電工(株))等の市販のリパーゼ等を挙げることができる。また、セルラーゼとしては、市販品のセルザイム(ノボインダストリー社)、特開昭63−264699号公報記載のセルラーゼ等を挙げることができ、アミラーゼとしては、市販のターマミル(ノボインダストリー社)等を挙げることができる。これらの中でもターマミル、アルカラーゼがより好ましく、配合量としては、0.1〜2質量%が好ましい。これらは1種を単独で用いても、2種以上併用して用いてもよい。尚、本発明の組成物が固体状漂白性組成物である場合、酵素は別途安定な粒子として造粒したものを、洗剤生地(粒子)にドライブレンドした状態で使用すると、より好適である。
【0094】
(5)酵素安定剤
酵素安定剤として、水道水中の塩素を除去するために、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤、カルシウム塩、マグネシウム塩、ポリオール、ホウ素化合物等を配合することができる。これらの中では4ホウ酸ナトリウムが好ましく、配合量としては0.05〜2質量%が好ましい。これらは1種を単独で用いても、2種以上併用して用いてもよい。
【0095】
(6)その他のポリマー類
高密度化する場合におけるバインダーや粉末物性剤として、更には疎水性微粒子に対する再汚染防止効果を付与するために、重量平均分子量が200〜200,000のポリエチレングリコールや重量平均分子量1000〜100000のアクリル酸及び/又はマレイン酸のポリマー、ポリビニルアルコール等を配合することができる。また、本発明の漂白性組成物に色移り防止効果を付与するために、ポリビニルピロリドンを配合することができる。これらの中では、重量平均分子量1500〜7000のポリエチレングリコールが好ましく、配合量としては、0.05〜5質量%が好ましい。これらは1種を単独で用いても、2種以上併用して用いてもよい。
【0096】
(7)ケーキング防止剤
ケーキング防止剤として、パラトルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酢酸塩、スルホコハク酸塩、タルク、微粉末シリカ、粘土、酸化マグネシウム等を配合することができる。ケーキング防止剤としては有効量を用いることができる。
【0097】
(8)消泡剤
消泡剤としては、従来より知られている例えばシリコーン/シリカ系のものを挙げることができ、この消泡剤は、次に説明する特開平3−186307号公報4頁左下欄に記載の方法を用いて製造した消泡剤造粒物としてもよい。具体的には、まず、日澱化学株式会社製マルトデキストリン(酵素変性デキストリン)100gに消泡成分としてダウコーニング社製シリコーン(コンパウンド型、PSアンチフォーム)を20g添加し混合し、均質混合物を得る。次に、得られた均質混合物50質量%、ポリエチレングリコール(PEG−6000、融点58℃)25質量%及び中性無水芒硝25質量%を70〜80℃で混合後、不二パウダル株式会社製押出し造粒機(型式EXKS−1)により造粒し、造粒物を得る。また、本発明の組成物中には、フェノール系ラジカルトラップ剤の酸化反応によって生成する化合物が0.0001〜1質量%入ることがある。これら化合物の例としては、ギ酸、酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、マロン酸、リンゴ酸、シュウ酸等を挙げることができる。
【0098】
更に、一般に衣料用洗浄剤、漂白剤に配合される成分であれば、必要に応じて配合することができる。
【0099】
本発明の漂白性組成物の形態は、液状漂白性組成物であっても、粉末、顆粒、タブレット、ブリケット、シート又はバー等の固体状漂白性組成物であってもよく、より好ましくは液状又は粉末である。
【0100】
本発明の漂白性組成物の調製方法は、特に制限されず、例えば上述したように、必要に応じて上記成分を適宜造粒したり、複合化する以外は、各形態の常法に準じて調製することができる。また、漂白性組成物の容器は、それぞれの使い勝手や安定性等を考慮した容器が使用されるが、特に湿度や光による過酸化物の分解への影響が少ない容器を選ぶことが好ましい。
【0101】
本発明の漂白性組成物は、その被漂白物、使用方法が特に制限されるものではなく、例えば衣類、布巾、シーツ、カーテン等の繊維製品、木材パルプ等の紙製品、食器やガラス、洗濯槽等の硬表面等に通常の漂白性組成物と同様に使用することによって、これらについたしみ、有機物汚れ、黄ばみ物質、ステイン、カビ等を漂白することができる。
【0102】
本発明の漂白性組成物の使用方法は、特に制限されないが、使用方法としては組成物が液状漂白性組成物であれば、例えば被漂白物に原液を塗布した後、組成物の50〜1500倍容となる水中や洗剤溶液に浸け置いたり、又は組成物の50〜1500倍容の希釈液中に被漂白物を浸け置いたり、固体状漂白性組成物であれば、0.02〜2質量%溶液に被漂白物を浸け置く等の方法が好適であり、特に浸け置き時間が15〜120分程度、好ましくは15〜60分程度の短時間の浸け置きに好適に使用することができる。
【0103】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。尚、下記の例において%は特に記載のない場合は、質量%であり、表1,2及び5に示す液状漂白性組成物の各成分の濃度は純分換算、表3,4に示す粉末漂白性組成物は用いた各成分をそのまま配合した。また、漂白触媒、金属触媒、漂白活性化剤については粉砕機を用いて粉砕し、粒径50〜100μmの範囲のものを用いた。
【0104】
[合成例1]
N,N’−エチレンビス(4−ヒドロキシサリチリデンイミネート)の合成
材料として、エチレンジアミン(東京化成工業(株)製、試薬)、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(関東化学(株)製、試薬)、メタノール(関東化学(株)製、試薬)、エタノール(甘糟化学産業(株)製、試薬)を用い、以下の方法で合成を行った。
【0105】
エチレンジアミン30.1g(0.501mol)を反応容器に入れメタノール300mLで溶解し、0℃に冷却した。これに2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド138.1g(1.0mol)をメタノール100mLで溶解した溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後更に0℃で1時間撹拌した。撹拌終了後、0℃で3時間放置後、析出した黄色の結晶を桐山ロートを用いてろ過した。得られた結晶を500mLのエタノールで再結晶を行ない精製しN,N’−エチレンビス(4−ヒドロキシサリチリデンイミネート)の結晶135gを得た。
【0106】
[合成例2]
トリス(サリチリデンイミノエチル)アミンの合成
材料としてトリス(2−アミノエチル)アミン(東京化成工業(株)製、試薬)、サリチルアルデヒド(東京化成工業(株)、試薬)、メタノール(関東化学(株)製、試薬)、エタノール(甘糟化学産業(株)製、試薬)を用い、以下の方法で合成を行った。
【0107】
トリス(2−アミノエチル)アミン48.7g(0.333mol)を反応容器に入れメタノール300mLで溶解し、0℃に冷却した。これにサリチルアルデヒド121.9g(0.998mol)をメタノール100mLで溶解した溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後更に0℃で1時間撹拌した。撹拌終了後、0℃で3時間放置後、析出した黄色の結晶を桐山ロートを用いてろ過した。得られた結晶を500mLのエタノールで再結晶を行ない精製し、トリス(サリチリデンイミノエチル)アミンの結晶143gを得た。
【0108】
[比較合成例1]
トリス((2−ピリジル)メチル)アミンの合成
材料として、2−(クロロメチル)ピリジン塩酸塩(シグマアルドリッチ(株)製、試薬)、2,2’−ジピコリルアミン(東京化成工業(株)製、試薬)、5.4N水酸化ナトリウム(水酸化ナトリウム(関東化学(株)製、試薬)を用いて調製)、ジエチルエーテル(関東化学(株)製、試薬)を用い、特開平10−140193号公報実施例に準じて(トリス((2−ピリジル)メチル)アミン)を合成した。
【0109】
[比較合成例2]
トリス(サリチリデンイミノエチル)アミン−マンガン錯体の合成
材料としてトリス(2−アミノエチル)アミン(東京化成工業(株)製、試薬)、サリチルアルデヒド(東京化成工業(株)、試薬)、塩化マンガン・4水和物(関東化学(株)製、試薬)、メタノール(関東化学(株)製、試薬)、エタノール(甘糟化学産業(株)製、試薬)を用い、以下の方法で合成を行った。
【0110】
トリス(2−アミノエチル)アミン48.7g(0.333mol)を反応容器に入れメタノール300mLで溶解し、0℃に冷却した。これにサリチルアルデヒド121.9g(0.998mol)をメタノール100mLで溶解した溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後更に0℃で1時間撹拌した。撹拌終了後、0℃で3時間放置後、析出した黄色の結晶を桐山ロートを用いてろ過した。得られた結晶を500mLのエタノールで再結晶を行ない精製しトリス(サリチリデンイミノエチル)アミンの結晶143gを得た。
【0111】
上記で得られたトリス(サリチリデンイミノエチル)アミンの結晶1.0g(0.002mol)をエタノール100mLに溶解し、この溶液に塩化マンガン・4水和物0.43g(0.002mol)を室温下で添加した。減圧下エタノールを約50mLになるまで濃縮した後、5℃下で24時間放置した。析出した深緑色の結晶をろ別し(トリス(サリチリデンイミノエチル)アミン)−マンガン錯体の結晶1.1gを得た。
【0112】
[合成例3]
漂白触媒造粒物の作製−(1)
60℃で融解したポリエチレングリコール(PEG)8部に対して、トリス(サリチリデンイミノエチル)アミン1部、AOS−Na 1部を十分に溶解混合した後、常法に準じて粉砕造粒を行った。ふるいを用いて粒径を50〜100μmに調整した。
【0113】
[合成例4]
ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムの合成
予め脱水処理したp−フェノールスルホン酸ナトリウム100g(0.46mol)をジメチルホルムアミド300g中に分散させ、マグネチックスターラーで撹拌しながらラウリン酸クロライドを50℃で30分かけて滴下した。滴下終了後3時間反応を行い、ジメチルホルムアミドを減圧下(0.5〜1mmHg)、100℃で留去し、アセトン洗浄後、水/アセトン(=1/1mol)溶媒中にて再結晶させた。収率は90%であった。
【0114】
[合成例5]
ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムの合成
予め脱水処理したp−フェノールスルホン酸ナトリウム100g(0.46mol)をジメチルホルムアミド300g中に分散させ、マグネチックスターラーで撹拌しながらノナン酸クロライドを50℃で30分かけて滴下した。滴下終了後3時間反応を行い、ジメチルホルムアミドを減圧下(0.5〜1mmHg)、100℃で留去し、アセトン洗浄後、水/アセトン(=1/1mol)溶媒中にて再結晶させた。収率は85%であった。
【0115】
[実施例1〜10,比較例1〜8]
表1,2に示す組成の液状漂白性組成物を、(IV)液安定性試験(1)組成物の調製法に準じて調製し、得られた液状漂白性組成物を下記方法で漂白力(漂白率)、液安定性、退色について評価した。結果を表1,2に併記する。
【0116】
[実施例11〜22,比較例9〜18]
表3,4に示す組成の粉末漂白性組成物を常法に準じて調製し、得られた粉末漂白性組成物を、下記方法により、漂白力(漂白率)、退色、溶解性を評価した。結果を表3,4に併記する。
【0117】
[実施例23〜28,比較例19〜22]
表5に示す組成の液状漂白性組成物を常法に準じて調製し、得られた液状漂白性組成物を、下記方法により、漂白力(漂白率)、液安定性、退色、保存後の過酸化水素濃度、保存後の漂白力(漂白率)を評価した。結果を表5に併記する。
【0118】
(I)ビリルビン汚染布の調製
ビリルビン(東京化成工業(株)製、試薬)0.06gをクロロホルム100mLに分散、溶解した。この溶液を6×6cmの木綿布(金巾#20)1枚に0.14mL滴下、自然乾燥したのち、遮光して1昼夜室温で放置してビリルビン汚染布を得た。
(II)カレー汚染布の調製
沸騰したお湯中で5分間袋のまま温めたボンカレーゴールド21甘口(大塚食品(株)製)5袋の中身をガーゼで固形分を取り除きながらバットに出し、24×18cmの木綿布(#100)5枚を1枚ずつカレーに浸けた。バットの下から沸騰させたウォーターバスで温めながら、5分おきに布の位置を入れ替えながら30分間浸け込んだ。脱イオン水での流水すすぎにより細かい固形物を取り除いたのち、脱水後自然乾燥してカレー汚染布を得た。
【0119】
(III)漂白力
(1)ビリルビン汚染布に対する漂白率
上記で得られたビリルビン汚染布(6×6cm)6枚を用いて、以下の漂白率の試験を行った。
表1,2に示す液状漂白性組成物5mLを500mLの炭酸ナトリウム溶液(0.1質量%、20℃の脱イオン水を使用し、塩化カルシウムを用いて3°DH硬水に調整)に注ぎ入れ、ビリルビン汚染布6枚をつけ置き、15分及び60分後にそれぞれ3枚ずつ抜き取り、それぞれ水道水すすぎ2分間、脱水1分間を行い、25℃で12時間遮光しながら風乾した。
(2)カレー汚染布に対する漂白率
上記で得られたカレー汚染布(2×2cm)6枚を用いて、以下の漂白率の試験を行った。
表3,4に示す粉末漂白性組成物2.5gを塩化カルシウムを用いて3°DH硬水に調整した20℃の脱イオン水500mLが入った500mLビーカーに加え、約5cmの撹拌子とマグネテックスターラーを用いて、3分間400rpmで撹拌し、溶解・分散を行った後、カレー汚染布6枚をつけ置き漂白をした。15分及び60分後にそれぞれ3枚ずつ汚染布を抜き取り、それぞれ水道水すすぎ2分間、脱水1分間を行い、25℃で12時間遮光しながら風乾した。
また、表5に示す液状漂白性組成物5mLを500mLの炭酸ナトリウム溶液(0.1質量%、20℃の脱イオン水を使用し、塩化カルシウムを用いて3°DH硬水に調整)に注ぎ入れ、上記同様にカレー汚染布6枚をつけ置き、15分及び60分後にそれぞれ3枚ずつ抜き取り、それぞれ水道水すすぎ2分間、脱水1分間を行い、25℃で12時間遮光しながら風乾した。
【0120】
漂白率の測定
原布及び洗浄前後の反射率は、日本電色工業(株)製、NDR−101DPで460nmのフィルターを使用して測定し、下記式により洗浄漂白率を求め、漂白性能の評価を行った。尚、原布はビリルビン汚染及びカレー汚染前の布を、漂白処理前は、汚染後漂白処理前の布をいう。漂白率は、汚染布3枚に対する漂白率の平均値を求め、1の位の数字が0〜4の場合には1の位を0に、5〜9の場合には1の位を5にして示した。
【0121】
【数1】
【0122】
(IV)液安定性試験
(1)組成物の調製法
500mLビーカーと長さ5cmの撹拌子を用いて、表1,2に示す液状漂白性組成のうち精製水以外の全成分を全量と精製水の一部を加え全量の95部にし、室温で600rpmで6時間撹拌した。その後、精製水及び水酸化ナトリウム又は硫酸を用いてpHを調整しながら100部にして液状漂白性組成物を得た。
(2)液安定性試験
上記の方法により得られた液状漂白性組成物100mLを内容物が確認できる透明のガラス製のバイアル瓶に入れ、−5℃で24時間保存した後、室温に戻してから液外観を観察し以下の基準で評価した。
○:均一透明
×:濁り又は析出物あり
【0123】
(V)退色
表1〜4に示す漂白性組成物について、以下の方法で退色試験を行った。
シャーレの上にReactive Red21で染色した綿布(#100)10×10cmをおき、その上に漂白性組成物2.5gを塗布又はのせ、更に上記と同様の染色布(10×10cm)を上からかぶせた。その後、表1,2に示す液状漂白性組成物の場合は12時間放置、表3,4に示す固体状漂白剤組成物は40℃の水道水2.5gを上から静かにかけ、1時間放置した。その後、穏やかにすすぎ、布の退色を観察し、以下の基準で評価した。
生地の退色の基準
1:局所的に激しく退色
2:局所的に退色
3:全体的にわずかに退色
4:全体的に極めてわずかに退色
5:退色は見られない
【0124】
(VI)保存後の過酸化水素濃度の測定
表5に示す液状漂白性組成物を、室温で28日間保存した後に、液状漂白性組成物中に残存している過酸化水素の濃度を測定した。測定は、100mLの三角フラスコに液状漂白性組成物0.5gを精秤し、精製水20mL、33%酢酸溶液(関東化学(株)社製の特級試薬を精製水を用いて調製)を10mL、10%ヨウ化カリウム溶液(関東化学(株)社製の特級試薬を精製水を用いて調整)5mL、1%モリブデン酸アンモニウム水溶液(モリブテン酸アンモニウム・4水和物:関東化学(株)社製の試薬を精製水を用いて調製)を2〜3滴加え、0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム(関東化学(株)社製の試薬)を用いて滴定した。溶液の色が茶色から黄色を経て透明になったところを終点とした。下記の式を用いて保存後の過酸化水素濃度を求めた。
【0125】
【数2】
A:0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウムの滴定量(mL)
F:0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウムの力価
S:試料重量(g)
【0126】
(VII)保存後の漂白力
表5に示す液状漂白性組成物を、室温で28日間保存した後の液状漂白性組成物の漂白率を試験した。試験は、前記の(III)漂白力のカレー汚染布に対する漂白率と同様の方法で行った。
【0127】
(VIII)漂白触媒の溶解性
表3,4に示す粉末漂白性組成物2.5gを、500mLビーカー中で長さ5cmの撹拌子で600rpmで撹拌された40℃の脱イオン水500mLに溶解・分散し、5分後に下記の波長の吸光度を測定し、サンプルの吸光度とした。別に、表3,4に示す粉末漂白性組成物のうち漂白触媒を除いた組成物を同濃度、同条件で5分間溶解・分散したものをブランクとして吸光度の測定を行った。また、粉末漂白性組成物のうち漂白触媒を除いた組成物と予めエタノール(甘糟化学産業(株)製、試薬)で溶解・分散した0.1%漂白触媒溶液を同濃度、同条件で5分間溶解・分散したものを100%溶解したときの基準として吸光度を測定した。これらの測定結果をもとに下記式で溶解性を算出し、下記の基準で評価した。
【0128】
【数3】
B−5、トリス((2−ピリジル)メチル)アミン:380nm
B−18:325nm
TTACN:235nm
TACN:265nm
漂白触媒の溶解性評価基準
○:漂白触媒の溶解性が50%以上
×:漂白触媒の溶解性が50%未満
【0129】
【表1】
*1:48%水酸化ナトリウム又は9%硫酸を用いて所定のpHに調整
【0130】
【表2】
*1:48%水酸化ナトリウム又は9%硫酸を用いて所定のpHに調整
【0131】
【表3】
【0132】
【表4】
【0133】
表1〜4から明らかなように、一般式(I)で表わされる漂白触媒を用いることで、退色を起こさない点から色柄衣類にも安心して使用でき、少量配合でしかも短時間で高い漂白効果を示し、かつ過酸化水素や漂白活性化剤では落とせない汚れに対しても高い漂白効果を有することが確認された。
【表5】
*2:9%硫酸を用いて所定のpHに調整
【0134】
表5から明らかなように、液状漂白性組成物にフェノール系ラジカルトラップ剤を添加することで、貯蔵後でも良好な漂白効果が確認された。
【0135】
尚、実施例及び比較例における略称成分は、以下の意味を示す。
過酸化水素:三菱瓦斯化学(株)製、純分:35%、食品添加物規格
過炭酸ナトリウム:三菱化学(株)製、有効酸素:10.9、商品名:SPC−Z
B−5:トリス(サリチリデンイミノエチル)アミン:(合成例2)
B−18:N,N’−エチレンビス(4−ヒドロキシサリチリデンイミネート):(合成例1)
TTACN:1,4,7−トリメチル−1,4,7,−トリアザシクロノナン(シグマ社製、試薬)
TACN(比較品):1,4,7−トリアザシクロノナン・3塩酸塩(東京化成工業(株)製、試薬)
トリス((2−ピリジル)メチル)アミン(比較品):(比較合成例1)
B−5+Mn:トリス(サリチリデンイミノエチル)アミン−マンガン錯体:(比較合成例2)
漂白触媒(B−5)造粒物:(合成例3−(1))
炭酸ナトリウム:トクヤマ(株)製、商品名:ソーダ灰デンス
OBC10:4−デカノイルオキシ安息香酸(三井化学(株)製)
OBS12:ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(合成例4) TAED:エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム(東京化成工業(株)製、試薬)
NOBS:ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(合成例5)
TOEC:o−アセチルクエン酸トリエチル(東京化成工業(株)製、試薬)
POE−AE5:ノニオン界面活性剤、アルキル鎖長12〜14、エチレンオキサイド平均付加モル数5であり、エチレンオキサイド3〜7モル付加体が全体の90%のもの(ライオン(株)製、純分:90%))
POE−AE9:ノニオン界面活性剤、アルキル鎖長12、14の直鎖、エチレンオキサイド平均付加モル数が9のもの(ライオン(株)製、純分:100%、商品名:レオコールCC−90)
POE−AE9−(2):ノニオン界面活性剤、アルキル鎖長12〜14の2級アルコールでエチレンオキサイド平均付加モル数が9のもの(ライオン(株)製、純分:100%、商品名:レオコールSC−90)
LAS−Na:直鎖アルキル(C10〜C14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム(ライオン(株)製)
LAS−K:直鎖アルキル(C10〜C14)ベンゼンスルホン酸カリウム(ライオン(株)製)
AOS−Na:炭素鎖長14 α−オレフィンスルホン酸ナトリウム(ライオン(株)製)
POE−AE15:ノニオン界面活性剤、アルキル鎖長13で直鎖率50%のエチレンオキサイド平均付加モル数が15のもの(ライオン(株)製、純分:90%)
α−SF−Na:アルファスルホ脂肪酸メチルエステルナトリウム、炭素鎖長14/16=2/8のもの(ライオン(株)製)
石鹸:脂肪酸ナトリウム、アルキル鎖長11〜17のもの(ライオン(株)製、純分68%)
PEG:ポリエチレングリコール(ライオン(株)製、純分:100%、商品名:PEG#4000)
HEDP−H:1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(ALBRIGHT&WILSON社製、商品名:BRIQUEST ADPA)
HEDP−4Na:1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸4ナトリウム(ソルーシア・ジャパン(株)製、商品名:デイクエスト2016D)
NaOH:水酸化ナトリウム(鐘淵化学工業(株)製、商品名:液体苛性ソーダ、純分48%)
4ホウ酸ナトリウム:4ホウ酸ナトリウム・5水塩(商品名:Neobor、Borax社製)
NABION:珪酸ナトリウムと炭酸ナトリウム、水が55/29/16の比の混合物からなるアルカリ剤(ローディア社製)
A型ゼオライト:アルミノ珪酸アルカリ塩(東ソー(株)製、商品名:トヨビルダー)
硫酸:濃硫酸(東亞合成(株)社製)を9%に調製して用いた。
酵素:ノボザイム社製 (商品名:デュラザイム8.0T)
香料組成物:香料組成物A〜Hは、下記表6〜23に示す配合にて得られる。
【0136】
【表6】
【0137】
【表7】
【0138】
【表8】
【0139】
【表9】
【0140】
【表10】
【0141】
【表11】
【0142】
【表12】
【0143】
【表13】
【0144】
【表14】
*1:[Flower oils and Floral CompoundsIn Perfumery] Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.
【0145】
【表15】
【0146】
【表16】
【0147】
【表17】
【0148】
【表18】
【0149】
【表19】
【0150】
【表20】
【0151】
【表21】
【0152】
【表22】
【0153】
【表23】
【0154】
【発明の効果】
本発明によれば、色柄衣類にも安心して使用でき、少量配合でしかも短時間で高い漂白効果を示し、かつ過酸化水素や漂白活性化剤では落とせない汚れに対しても高い漂白効果を有し、更に液状漂白性組成物では液安定性が良好で、固体状漂白性組成物では溶解性が良好な漂白性組成物が得られる。
更に、フェノール系ラジカルトラップ剤を併用することで、貯蔵後の漂白成分の安定性及び漂白効果が良好な液状漂白性組成物が得られる。
Claims (3)
- (A)過酸化水素又は水に溶解して過酸化水素を発生する過酸化物、
(B)下記一般式(I)で表される、遷移金属を含有しない漂白触媒、
(C)界面活性剤
を含有することを特徴とする漂白性組成物。
−N=R5 …(III)
(式中、R3,R4は同一又は異種の、水素原子、水酸基、又は置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はベンジル基であり、R5は、炭素数1〜3のアルキリデン基、サリチリデン基、ヒドロキシサリチリデン基である。)
で示される基である。] - 更に、(D)フェノール系ラジカルトラップ剤を含有し、液状である請求項1記載の漂白性組成物。
- 固体状である請求項1記載の漂白性組成物。
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