JP4143216B2 - エアスピンドル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアスピンドルに関し、特に、その回転軸駆動用のビルトインモータを冷却する構造に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種エアスピンドルとして、例えば特開昭58―50317号、特開平9―257037号、特開平9―257038号の各公報等に示されるように、静圧型のラジアル軸受及びスラスト軸受に加圧エアを供給し、これらラジアル軸受及びスラスト軸受から排出されたエアを集めてモータに導入するエア導入通路をハウジングに設けるとともに、このモータ通過後のエアを外部に排出する排気口をモータハウジングに開口させ、さらに、モータハウジングにウォータジャケットを設けることで、モータを外部からの水と静圧型軸受の排出エアとの双方を利用して冷却するようにしたものは知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のエアスピンドルのように、モータを冷却するために水を用いた場合、ウォータジャケットが設けられるモータハウジングの構造が複雑になるばかりでなく、運転中は常に水が必要でランニングコストが上昇するという問題がある。しかも、断水時にはエアスピンドル自体の運転を停止せねばならず、そのための安全システムを具備しておく必要がある。
【0004】
そこで、かかる問題を解決するために、上記の如きモータハウジングへのウォータジャケットの設置をなくし、モータを軸受からの排出エアのみにより冷却するようにすることが考えられる。
【0005】
しかし、その場合、以下に説明する問題がある。すなわち、上記構造のエアスピンドルにおいては、モータを冷却したエア中にゴミ等が含まれているので、例えばエアスピンドルをクリーンルーム中で使用するときには、その排気口に排気配管を接続して排出エアがそのままハウジング外に排出されないようにする必要がある。
【0006】
ところが、上記従来のものでは、軸受に供給される加圧エアの給気口は軸受ハウジングに設けられているのに対し、エアの排気口は、モータの冷却のためにモータハウジングに開口されているので、給気口への給気配管と排気口への排気配管とをそれぞれエアスピンドルの離れた箇所に接続する必要があり、その両配管の接続構造が複雑で、その接続作業や取回し、メンテナンスが面倒になる。特に、軸受ハウジングとモータハウジングとの境界部分に取付フランジを設け、その取付フランジにてエアスピンドルを取付板等に取付固定するようにした場合、上記2種類の配管を取付板等の両側に分けて配置せねばならず、上記問題が顕著となる。
【0007】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、軸受からモータに導入された後にモータから排出されるエアの経路を改良することにより、モータ冷却後のエアの排気口に排気配管を接続する場合に、その排気配管と、軸受に供給される加圧エアの給気口に対する給気配管との接続構造を簡単にし、配管の接続作業や取回し、メンテナンスを容易化しようとすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的の達成のため、この発明では、モータの冷却に供されたエアを排出するための排気口を、軸受に加圧エアに供給するための給気口とハウジングにおいて近い部分に配置し、モータからその排気口までを接続するエア排出通路を設けて、モータからのエアをエア排出通路を介して排気口に流すようにした。
【0009】
具体的には、請求項1の発明では、ハウジング内に、回転軸をエアの静圧により浮動状態で回転可能にかつ軸方向に移動不能に支持するラジアル軸受及びスラスト軸受と、上記回転軸を回転駆動するモータとが設けられたエアスピンドルを前提とする。
【0010】
そして、上記ラジアル軸受及びスラスト軸受に給気口から加圧エアを供給する加圧エア供給通路と、上記ラジアル軸受及びスラスト軸受から排出されたエアの少なくとも一部を上記モータに冷却のために導入するエア導入通路と、上記モータの冷却に供されたエアを排気口に排出するエア排出通路とを設け、上記ハウジングは、ラジアル軸受及びスラスト軸受を有する軸受ハウジングと、モータを内有するモータハウジングとを備えたものとし、上記軸受ハウジングのモータハウジングとの接合部に、エアスピンドルを取り付けるための取付フランジ部が形成され、上記給気口及び排気口を、上記取付フランジ部に対しモータハウジングと反対側の上記軸受ハウジングの外周において互いに並ぶように配置する。
【0011】
上記の構成により、加圧エアは給気口から加圧エア供給通路を通ってラジアル軸受及びスラスト軸受に供給され、そのエアの静圧により回転軸が浮動状態で支持される。この各軸受から排出されたエアの少なくとも一部はエア導入通路によりモータに導入され、その導入エアによりモータが冷却される。この後、モータを冷却したエアはエア排出通路を経て排気口に流れ、この排気口から排出される。
【0012】
この排気口と上記給気口とは、軸受ハウジングのモータハウジングとの接合部に形成されている取付フランジ部に対し、そのモータハウジングと反対側の軸受ハウジングの外周において互いに並ぶように配置されているので、この排気口に排気配管を接続する場合、その排気配管は、給気口に接続される給気配管に対し略近い位置にまとめられて配置されることとなり、取付フランジ部にてエアスピンドルが取付板等に取付固定されていても、上記2種類の配管を取付フランジ部が取り付けられる取付板等の両側に分けて配置する必要はなくなり、いずれも同じ軸受ハウジング側で取り付けることができる。その結果、エアスピンドルをクリーンルームで使用するときでも、両配管の接続構造を簡単にして、それら配管の接続作業や取回し、メンテナンスを容易化することができる。しかも、上記給気口及び排気口が共に軸受ハウジングに設けられているので、給気口から各軸受までの距離を短縮でき、給気口及び排気口のさらに望ましい位置が得られる。
【0013】
請求項2の発明では、上記ハウジングに、軸受から排出されてエア導入通路に導入されないエアを吸引して排出するエア吸引口を設ける。このエア吸引口に吸引配管を接続すれば、軸受からエア導入通路に流入しないエアがあっても、そのエアはそのままハウジング外に放出されなくなり、例えばクリーンルームへのエアによるゴミの放出を防止できる。
【0014】
請求項3の発明では、上記エア導入通路及びエア排出通路は、ハウジングの壁部内に設ける。この構造により、エアスピンドルのハウジング自体にエア導入通路及びエア排出通路を形成でき、その通路の形成のための配管が不要で、配管継手の省略等による構造の簡単化、ハウジング自体の冷却性の向上、外観見映えの向上を図ることができる。しかも、通路の長さを短くできるので、そのエアの圧力損失を低減することができ、加圧エア供給源の負荷を下げて省エネルギー効果を得ることができる。
【0015】
請求項4の発明では、回転軸をエアの静圧により浮動状態で回転可能にかつ軸方向に移動不能に支持するラジアル軸受及びスラスト軸受が設けられた軸受ハウジングと、この軸受ハウジングに接合され、上記回転軸を回転駆動するモータが設けられたモータハウジングとを備えたエアスピンドルを前提とする。
【0016】
そして、上記軸受ハウジングのモータハウジングとの接合部に、エアスピンドルを取り付けるための取付フランジ部が形成され、この取付フランジ部に対しモータハウジングと反対側の上記軸受ハウジングに給気口及び排気口が設けられ、少なくともこの軸受ハウジングの壁部内に、上記給気口からラジアル軸受及びスラスト軸受に加圧エアとして供給された後に排出されたエアの少なくとも一部を上記モータハウジング内に導入するエア導入通路と、モータハウジング内のエアを上記排気口に排出するエア排出通路とが設けられている構成とする。
【0017】
この発明の構成でも、軸受ハウジングの給気口からラジアル軸受及びスラスト軸受に供給された加圧エアが各軸受から排出されると、このエアの少なくとも一部がエア導入通路によりモータハウジング内に導入されてモータを冷却するとともに、このモータハウジング内からエアがエア排出通路を経て排気口に流れる。
【0018】
上記給気口及び排気口はいずれも取付フランジ部に対しモータハウジングと反対側の軸受ハウジングに設けられているので、この排気口に排気配管を接続するとき、その排気配管は給気口への給気配管に対し、同じ軸受ハウジングにまとめられて配置される。このことで、軸受ハウジングのモータハウジングとの接合部の取付フランジ部においてエアスピンドルが取付板等に取付固定されていても、2種類の配管を取付板等の両側に分けて配置する必要はなくて、いずれも同じ軸受ハウジング側で取り付けることができる。よって、上記請求項1の発明と同様に、クリーンルームでの使用でも、両配管の接続構造を簡単にして配管の接続作業や取回し等を容易化できる。
【0019】
請求項5の発明では、上記ハウジングに外部エア給気口が設けられ、ハウジングの壁部内に、上記外部エア給気口に供給されたエアをモータに導入する外部エア導入通路が設けられているものとする。このことで、ハウジングの外部エア給気口に供給されたエアはハウジングの壁部内の外部エア導入通路を経てモータに導入され、このエアによってモータをさらに有効に冷却することができる。尚、このモータの冷却に供されたエアは、上記軸受からのエアと共にエア排出通路を経て排気口に流れ、そこからハウジング外に排出される。
【0020】
請求項6の発明では、上記ハウジングに外部エア給気口が設けられ、ハウジングの壁部内ないし回転軸内に、上記外部エア給気口に供給されたエアをモータに導入する外部エア導入通路が設けられている。この場合、ハウジングの外部エア給気口に供給されたエアは、ハウジングの壁部内ないし回転軸内の外部エア導入通路を経てモータに導入され、このエアによってモータがさらに冷却される。尚、この冷却に供されたエアについても、上記軸受からのエアと共にエア排出通路を経て排気口に流れてハウジング外に排出される。
【0021】
請求項7の発明では、上記モータに対応するハウジング外周に冷却フィンを設ける。こうすると、モータをハウジングのフィンによって外部からさらに効果的に冷却することができる。
【0022】
請求項8の発明では、上記モータに導入されるエアの少なくとも一部は、モータのステータに向かうように構成されているものとする。このことで、モータにおいて発熱の大きいステータを導入エアにより集中して冷却することができ、モータの冷却効率を高めることができる。
【0023】
請求項9の発明では、上記エアスピンドルは、クリーンルームで用いられるものとする。従って、上記本発明の効果が有効に発揮される最適なエアスピンドルが得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1及び図2は本発明の実施形態1に係るエアスピンドルAを示し、このエアスピンドルAは、クリーンルーム内のクリーン雰囲気中で磁気ディスクを回転させてその記憶領域の物理的な欠陥やソフト的な記憶性能等の良否を検査するために使用される。
【0025】
図1及び図2において、1はエアスピンドルAのハウジングで、このハウジング1は、上側に位置する例えばアルミニウム製等の円筒状の軸受ハウジング2と、中間に位置する円筒状のアルミニウム等からなるモータハウジング3と、下側に位置する有底円筒状のエンコーダハウジング4とに分割され、これら軸受ハウジング2、モータハウジング3及びエンコーダハウジング4は同心状にかつ気密状に接合されて一体化されている。
【0026】
上記ハウジング1内には回転軸6が配置収容されている。この回転軸6は、軸受ハウジング2内にその大半部を占めるように位置する大径の支持部6aと、この支持部6aの下端に同心に連続し、軸受ハウジング2内の下端部に位置する円板状のスラストカラー6bと、このスラストカラー6bの下端部に同心に連続し、モータハウジング3内に位置する中径のモータ結合部6cと、このモータ結合部6cの下端に同心に連続し、エンコーダハウジング4内に位置する小径のエンコーダ結合部6dとからなる。上記支持部6aの上端部には、軸受ハウジング2の上端から突出する連結部材7が回転一体に取付固定され、この連結部材7にはエア駆動タイプのディスクチャック(図示せず)が連結固定されており、このディスクチャックにより磁気ディスクを保持して回転させるようになっている。
【0027】
一方、回転軸6のエンコーダ結合部6dの下端部はエンコーダハウジング4の底壁中心部の孔部4aを貫通してハウジング1外に突出し、その突出部には平行板ばね8,8の先端部に取付固定したアースパッド9が常時接触し、平行板ばね8,8の基端部はモータハウジング3に取り付けた支持部3aに固定されており、このことで、浮動状態にある回転軸6をその下端部にてハウジング1に電気的に接続してアースすることにより、磁気ディスクに発生する静電気を回転軸6を介してハウジング1に逃がすようにしている。
【0028】
上記軸受ハウジング2の外周下端部にはエアスピンドルAを図外の取付板等に取付固定するための取付フランジ部2aが一体形成されている。この軸受ハウジング2内には回転軸6をエアの静圧により浮動状態で回転可能にかつ軸方向に移動不能に支持する上下2つのラジアル軸受11,11と1つのスラスト軸受22とが設けられている。すなわち、軸受ハウジング2内には上側及び下側軸受ブッシュ12,23が上下に並んで嵌挿固定されている。上側軸受ブッシュ12は、回転軸6の支持部6aに対応するように軸受ハウジング2内の上側大半部に配置される円筒状のもので、その下端部には上記回転軸6のスラストカラー6bと同径のフランジ12aが一体に形成され、このフランジ12aの下面は回転軸6のスラストカラー6b上面に僅かな隙間をあけて対向している。上側軸受ブッシュ12の内径は回転軸6の支持部6aよりも僅かに大径に設定されており、この上側軸受ブッシュ12の内部に回転軸6の支持部6aが回転可能に嵌挿されている。
【0029】
軸受ハウジング2の内周面には上側軸受ブッシュ12が嵌挿された部分の上端部に環状溝からなる第1給気溝13が、また下端部に同様の第2給気溝14がそれぞれ形成されている。また、軸受ハウジング2の外周上端部には、加圧エア供給源に接続される給気配管(いずれも図示せず)の下流端部が接続可能な給気口15が形成され、この給気口15は、軸受ハウジング2の壁部内に設けた加圧エア供給通路16を介して上記第1及び第2給気溝13,14に連通されている。一方、上側軸受ブッシュ12には、上記軸受ハウジング2内周面の各第1給気溝13と対応する部分に、半径方向に貫通する複数の第1エアノズル孔17,17,…(1つのみ図示する)が、また第2給気溝14と対応する部分に同様の複数の第2エアノズル孔18,18,…(1つのみ図示する)がそれぞれ周方向に等間隔をあけて形成され、この各ノズル孔17,18における軸受ブッシュ12の内周側部分は細径に絞られてノズル部とされている。また、回転軸6の支持部6a外周面には、上記軸受ハウジング2内周面の第1及び第2給気溝13,14にそれぞれ軸方向に対応して第1及び第2環状溝19,20が形成されている。そして、加圧エア供給源からの加圧エアを給気配管及び給気口15を介して加圧エア供給通路16に供給し、その加圧エア供給通路16内の加圧エアの一部を上下の第1及び第2給気溝13,14に送って、その各給気溝13,14からそれぞれ上側軸受ブッシュ12のノズル孔17,18を経て回転軸6の支持部6a外周の第1及び第2環状溝19,20ないしその周辺部に噴出させることで、そのエア圧(静圧)により回転軸6を支持部6aの上下2箇所にて上側軸受ブッシュ12(軸受ハウジング2)に接触しない浮動状態で回転可能に支持するようになっている。
【0030】
一方、上記下側軸受ブッシュ23は、上側軸受ブッシュ12の下側に回転軸6のスラストカラー6bを挟むように配置される略円板状のもので、その上端部に上記回転軸6のスラストカラー6b(上側軸受ブッシュ12のフランジ12a)と同径のフランジ23aを有し、このフランジ23aの上面はスラストカラー6b下面に僅かな隙間をあけて対向している。上記上側軸受ブッシュ12のフランジ12a上面には上記軸受ハウジング2の第2給気溝14に連通する環状溝からなる上側給気溝24が形成されている。また、このフランジ12aには上記上側給気溝24の底面からフランジ12a下面まで上下方向に貫通する複数の上側エアノズル孔25,25,…が周方向に等間隔をあけて形成されている。また、下側軸受ブッシュ23のフランジ23a下面には上記軸受ハウジング2の壁部内の加圧エア供給通路16に常時連通する環状溝からなる下側給気溝26が形成され、また、フランジ23aには上記下側給気溝26の底面からフランジ23a上面まで上下方向に貫通する複数の下側エアノズル孔27,27,…が周方向に等間隔をあけて形成され、これら上下の各エアノズル孔25,27は径方向及び周方向に対応して配置されている。そして、上記給気口15から加圧エア供給通路16に供給された加圧エアの残りを上側及び下側軸受ブッシュ12,23のフランジ12a,23aにおける上下の給気溝24,26に送って、その各給気溝24,26からそれぞれエアノズル孔25,27を経て回転軸6のスラストカラー6bの上下面に噴出させることで、そのエア圧(静圧)により回転軸6を上側及び下側軸受ブッシュ12,23(軸受ハウジング2)に接触しない浮動状態で上下方向(軸方向)に移動不能に支持するようになっている。
【0031】
尚、上記軸受ハウジング2の内周面には上記第1及び第2給気溝13,14間の中央部に各給気溝13,14よりも溝幅の広い第3給気溝29が形成されている。また、軸受ハウジング2の外周部には上記給気口15の斜め下側に、上記加圧エア供給源からの別の給気配管(この配管には加圧エアの供給又は供給停止を切り換えるための開閉切換弁が配置される)が接続可能なチャック給気口30が形成され、このチャック給気口30は、軸受ハウジング2の壁部内に設けたチャック給気通路31を介して上記第3給気溝29に連通されている。上側軸受ブッシュ12には、上記軸受ハウジング2内周面の第3給気溝29と対応する部分に、半径方向に貫通する複数のエア孔32,32,…(1つのみ図示する)が周方向に等間隔をあけて形成されている。回転軸6の支持部6a外周面には、上記軸受ハウジング2内周面の第3給気溝29に軸方向に対応して第3環状溝33が形成され、また、支持部6aの中心には上端面(ディスクチャック側)から穿設した所定深さの中心穴34が形成され、この中心穴34の底部(下端部)と上記第3環状溝33とは回転軸6の支持部6aに周方向に配置した複数の連通路35,35,…により連通されている。そして、上記中心穴34はディスクチャックのチャック機構に接続されており、加圧エア供給源からの加圧エアをチャック給気口30、チャック給気通路31、第3給気溝29、エア孔32及び中心穴34を介してディスクチャックのチャック機構に供給することで、そのディスクチャックによる磁気ディスクの例えばチャッキング又はその解除を行うようになっている。
【0032】
上記モータハウジング3内の空間はモータ室37とされ、このモータ室37には、回転軸6を駆動してディスクチャック及び磁気ディスクと共に所定回転数(例えば20000rpm)で回転させるためのモータ38が装着されている。このモータ38は、モータハウジング3の内周壁に取付固定されたステータ39(固定電極)と、このステータ39の内側にある回転軸6のモータ結合部6cにステータ39に対向して取付固定された永久磁石からなるロータ40とで構成されている。また、モータハウジング3の外周には放熱用の冷却フィン3bが形成されており、この冷却フィン3bによりモータハウジング3の熱を外部に放出してモータ38を冷却するようにしている。
【0033】
また、上記エンコーダハウジング4内には回転軸6の回転数等を検出するためのロータリエンコーダ41が収容されている。
【0034】
さらに、図1に示す如く、上記軸受ハウジング2及びモータハウジング3の各壁部内には、各ラジアル軸受11及びスラスト軸受22から排出されたエアの大半部を上記モータハウジング3内のモータ室37におけるモータ38に冷却のために導入する少なくとも1つのエア導入通路43が設けられている。すなわち、上記回転軸6の支持部6a外周面には、上記第1及び第3環状溝19,33間の部分に第3環状溝33と略同じ溝幅の第4環状溝44が、また第2及び第3環状溝20,33間の部分に同様の第5環状溝45がそれぞれ形成されている。また、軸受ハウジング2の内周面には、上記回転軸6外周面の第4及び第5環状溝44,45と対応する位置(第1及び第2給気溝13,14間の位置)にそれぞれ第1及び第2排気溝46,47が形成されている。さらに、図1に示すように、上側軸受ブッシュ12には複数の第1排気孔48,48,…が上記回転軸6外周面の第4環状溝44ないしその周辺部を上記軸受ハウジング2内周面の第1排気溝46に連通するように、また複数の第2排気孔49,49,…が第5環状溝45ないしその周辺部を第2排気溝47に連通するようにそれぞれ周方向に所定の間隔をあけて貫通形成されている。そして、上記エア導入通路43は軸受ハウジング2の壁部内ないしモータハウジング3の壁部内を上下方向に延びていて、その一端側(上流端側)に上記第1及び第2排気溝46,47が接続され、エア導入通路43の他端部(下流端部)はモータハウジング3の内面上端部に、導入エアがモータ38のステータ39に向かった後にモータ室37の中心部に進むように開口されている。
【0035】
また、上記上側軸受ブッシュ12の下端部には上記各エアノズル孔25,27よりも半径方向内側に上下方向に延びる複数の第3排気孔50,50,…が半径方向に間隔をあけて形成され、この各第3排気孔50の下端部は回転軸6のスラストカラー6bに対向するフランジ12a下面に開口し、また上端部は上記第2排気孔49に連通されている。さらにまた、上記軸受ハウジング2において回転軸6のスラストカラー6b外周縁部の上下両側にはそれぞれエア導入通路43の途中部に連通する上下の連通部51,52が形成されており、図3に模式的に示すように、上側のラジアル軸受11において、回転軸6の第1環状溝19に供給された後のエアのうち下側に向かったエアA2を第4環状溝44から第1排気孔48ないし第1排気溝46を経て、また下側のラジアル軸受11において、回転軸6の第2環状溝20に供給された後のエアのうち上側に向かったエアA3を第5環状溝45から第2排気孔49ないし第2排気溝47を経てそれぞれエア導入通路43に流す。一方、上記下側のラジアル軸受11において、回転軸6の第2環状溝20に供給された後に下側に向かったエアA4と、スラスト軸受22において、上側エアノズル25からスラストカラー6bの上面に供給された後のエアのうち半径方向内側に向かったエアA5とを合流させて、第3排気孔50及びそれに連通する第2排気溝47を経てエア導入通路43に流す。また、スラスト軸受22において、上記上側エアノズル25からスラストカラー6bの上面に供給された後に半径方向外側に向かったエアA6を上側連通部51により、また下側エアノズル27からスラストカラー6bの下面に供給された後のエアのうち半径方向外側に向かったエアA7を下側連通部52によりそれぞれエア導入通路43に流す。そして、これらのエアA2〜A7をエア導入通路43によりモータ室37にモータ38のステータ39に向かうように導入するようにしている。尚、上記下側エアノズル27からスラストカラー6bの下面に供給された後に半径方向内側に向かったエアA8はそのまま直接にモータ室37に導入する。
【0036】
また、上記軸受ハウジング2の外周には上記チャック給気口30の斜め下側にエア吸引口54が形成され、このエア吸引口54は、図示しない通路により回転軸6において支持部6aの上端周囲部分(ディスチャックの取付部分近傍)に連通されている。そして、エア吸引口54には図外の吸引配管が接続可能とされており、このエア吸引口54により、ラジアル軸受11から排出されて上記エア導入通路43に導入されないエア、すなわち上側ラジアル軸受11において、回転軸6の第1環状溝19に供給された後に上側(ディスクチャック側)に向かったエアA1(図3参照)を吸引してハウジング1外に排出するようにしている。
【0037】
図1に示すように、上記軸受ハウジング2及びモータハウジング3の各壁部内には、上記モータハウジング3内のモータ室37に導入されてモータ38の冷却に供されたエアを軸受ハウジング2外周の排気口56に排出する1つのエア排出通路57が設けられている。上記排気口56は、軸受ハウジング2の外周において上記給気口15の下側にそれと近接して、詳しくは給気口15との間に上記エア吸引口54及びチャック給気口30をそれぞれ介在させてそれらが軸受ハウジング2外周で周方向及び軸方向(上下方向)にずれながら螺旋状に並ぶように配置されている。また、排気口56には図外の排気配管が接続可能とされている。
【0038】
そして、上記エア排出通路57は、上記エア導入通路43と異なる位置において軸受ハウジング2の壁部内ないしモータハウジング3の壁部内を上下方向に延びていて、その一端部は(上流端部)は、モータハウジング3の内面上端部に開口されている一方、他端部(下流端部)は上記排気口56に接続されており、モータハウジング3内のモータ室37のエアをエア排出通路57を介して排気口56に流し、この排気口56からハウジング1外の排気配管に排出するようになっている。
【0039】
尚、図1及び図2中、59は通路等の形成のために孔開け加工した後に孔の一部を塞ぐためのプラグである。
【0040】
したがって、この実施形態においては、エアスピンドルAの運転時、加圧エア供給源からの加圧エアが給気配管により軸受ハウジング2の給気口15に供給され、この加圧エアの一部は加圧エア供給通路16を経て上下のラジアル軸受11,11における第1及び第2給気溝13,14に送られ、その各給気溝13,14からそれぞれ上側軸受ブッシュ12のノズル孔17,18を経て回転軸6の支持部6a外周の第1及び第2環状溝19,20ないしその周辺部に噴出する。このエアの噴出に伴うエア圧(静圧)により、回転軸6が支持部6aの上下2箇所にて上側軸受ブッシュ12(軸受ハウジング2)に接触しない浮動状態で回転可能に支持される。一方、上記給気口15から加圧エア供給通路16に供給された加圧エアの残りはスラスト軸受22に供給され、上下の軸受ブッシュ12,23のフランジ12a,23aにおける上下の給気溝24,26に送られて、その各給気溝24,26からそれぞれエアノズル孔25,27を経て回転軸6のスラストカラー6bの上下面に噴出し、そのエア圧(静圧)により回転軸6が上側及び下側軸受ブッシュ12,23(軸受ハウジング2)に接触しない浮動状態で上下方向(軸方向)に移動不能に支持される。
【0041】
そして、このように回転軸6がハウジング1に対し浮動した状態でモータ38により回転駆動され、回転軸6と一体のディスクチャックも回転し、このディスクチャックに保持された磁気ディスクの記憶領域の物理的な欠陥やソフト的な記憶性能等の良否が検査される。尚、上記回転の前後にディスクチャックにより磁気ディスクをチャック又はチャック解除するときには、加圧エア供給源からの加圧エアがチャック給気口30、チャック給気通路31、第3給気溝29、エア孔32、連通路35及び中心穴34を介してディスクチャックのチャック機構に供給されて、そのディスクチャックによる磁気ディスクのチャッキング又はその解除が行われる。
【0042】
そして、上記各ラジアル軸受11及びスラスト軸受22に静圧形成のために使用された後のエアは各軸受11,22から排出されるが、その大半部はエア導入通路43に流入してモータハウジング3内のモータ室37にモータ38の冷却のために導入される。具体的には、上側ラジアル軸受11において回転軸6の第1環状溝19の下側に向かったエアA2は第4環状溝44から第1排気孔48ないし第1排気溝46を経て、また下側ラジアル軸受11において回転軸6の第2環状溝20の上側に向かったエアA3は第5環状溝45から第2排気孔49ないし第2排気溝47を経てそれぞれエア導入通路43に流入する。一方、下側ラジアル軸受11において回転軸6の第2環状溝20の下側に向かったエアA4と、スラスト軸受22において上側エアノズル25から半径方向内側に向かったエアA5とは合流した後に第3排気孔50ないし第2排気溝47を経てそれぞれエア導入通路43に流入する。また、スラスト軸受22において上側エアノズル25から半径方向外側に向かったエアA6は上側連通部51により、また下側エアノズルから半径方向外側に向かったエアA7は下側連通部52によりそれぞれエア導入通路43に流入する。これらエアA2〜A7はエア導入通路43によりモータ室37にモータ38のステータ39に向かうように導入される。また、スラスト軸受22の下側エアノズル27から半径方向内側に向かったエアA8は直接にモータ室37に導入される。このようなエアA2〜A8の導入によりモータ室37のモータ38が冷却される。
【0043】
その際、上記エア導入通路43からモータ38に導入されるエアA2〜A7が、モータ室37に導入された後に最初にモータ38のステータ39に向かうので、モータ38において発熱の大きいステータ39を導入エアにより集中して冷却して、モータ38の冷却効率を高めることができる。しかも、モータハウジング3外周に冷却フィン3bが設けられているので、モータ38をハウジング1外部からも効果的に冷却することができる。
【0044】
尚、上側ラジアル軸受11において回転軸6の第1環状溝19の上側(ディスクチャック側)に向かったエアA1はエア吸引口54に吸引されてハウジング1外の吸引配管に排出される。
【0045】
さらに、上記モータハウジング3内のモータ室37に導入されたエアA2〜A8は、そのモータ38の冷却後にモータ室37からエア排出通路57を経て軸受ハウジング2外周の排気口56に流出し、この排気口56からハウジング1外の排気配管に排出される。
【0046】
この実施形態の場合、上記排気口56と給気口15とは軸受ハウジング2の外周において互いに近接して配置されているので、給気口15に接続される給気配管と、排気口56に接続される排気配管とを略近い位置にまとめて配置でき、クリーンルームでの使用でも両配管の接続構造を簡単にして、それら配管の接続作業や取回し、メンテナンスを容易化することができる。特に、回転軸6が上下方向に向くようにエアスピンドルAが立てて配置され、その軸受ハウジング2の下端部に取付フランジ部2aが設けられていて該取付フランジ部2aにてエアスピンドルAが取付板等に取付固定される取付構造であっても、給気口15及び排気口56は作業のし易い、取付板等の上側に位置することとなり、それら給気口15及び排気口56に対する配管の接続作業がさらに有利となる。
【0047】
また、上記の如く、上記上側ラジアル軸受11からエア導入通路43に流入しないエアA1がエア吸引口54に吸引されて吸引配管に排出されるので、そのエアA1がそのままハウジング1外に放出されるのを防ぐことができる。すなわち、軸受11,22に供給されたエアは全て、ハウジング1外に漏れ出ることなく排気口56及びエア吸引口54により排出されるので、クリーンルームへのエアによるゴミの放出を確実に防止することができる。
【0048】
尚、上記実施形態では、エア導入通路43及びエア排出通路57を、ハウジング1の壁部内に設けているが、それら通路を、ハウジング1外に位置する配管により設けることもできる。しかし、構造の簡単化や外観見映えの向上等を図ることができる点で、上記実施形態のように、エア導入通路43及びエア排出通路57は、ハウジング1の壁部内に設けるのが好ましい。
【0049】
さらに、上記実施形態では、エア導入通路43の下流端開口及びエア排出通路57の上流端開口をいずれもモータハウジング3内面の上端部に開口させているが、図1で仮想線にて示すように、これらエア導入通路43又はエア排出通路57のいずれか一方を延ばしてモータハウジング3内面の下端部に開口させることもできる。こうすると、モータ室37においてモータ38の全体に亘って均等にエアを通過させることができ、モータ38の冷却効果をさらに高めることができる。また、モータ38のステータ39やロータ40の表面にフィン等の凹凸部を形成することで、それらの表面積の増加によって放熱性を高めたり、或いはエアの撹拌を行ったりするようにしてもよい。
【0050】
(実施形態2)
図4は本発明の実施形態2を示し(尚、以下の実施形態2及び3では、図1〜図3と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、軸受11,22を通過した後のエアとは別系統でモータ38に対し外部から冷却エアを供給して冷却するようにしたものである。
【0051】
すなわち、この実施形態では、回転軸6中心の中心穴34が回転軸6のモータ結合部6c下端、つまりモータハウジング3の下端部付近まで延び、この中心穴34のうち、上記実施形態1のように第3環状溝33に対応する部分までが内径の大きい大径部34aとされ、それよりも下側(奥側)の部分は内径の小さい小径部34bとされている。この小径部34bの上端にはプラグ59が嵌装固定されていて、中心穴34はプラグ59により大径部34a及び小径部34bの2つに気密状に区画されており、上記大径部34aは上記実施形態1と同様に、ディスクチャックのチャッキング又はその解除を行うためのエア通路とされている。一方、回転軸6のモータ結合部6c下端には上記中心穴34の小径部34b下端とモータ室37とを連通する連通孔61が貫通形成されている。
【0052】
また、軸受ハウジング2の内周面には上記第3給気溝29と第2排気溝47との間に第4給気溝62が形成されている。また、軸受ハウジング2の外周部には例えば上記排気口56の周方向側方に、上記加圧エア供給源から給気口15への加圧エアの圧力よりも低圧のエアを供給する別の給気配管(この配管にはエア圧を下げるための減圧弁が設けられる)が接続可能な外部エア給気口63が形成され、この外部エア給気口63は、軸受ハウジング2の壁部内に設けた外部エア給気通路64を介して上記第4給気溝62に連通されている。上側軸受ブッシュ12には、上記軸受ハウジング2内周面の第4給気溝62と対応する部分に、半径方向に貫通するエア孔65,65,…(1つのみ図示する)が周方向に等間隔をあけて形成されている。また、回転軸6の支持部6a外周には、上記軸受ハウジング2内周面の第4給気溝62に軸方向に対応して第6環状溝66が形成され、この第6環状溝66と中心穴34の小径部34b上端とは回転軸6の支持部6aに周方向に配置した連通路67,67,…により連通されている。そして、上記外部エア給気通路64、第4給気溝62、エア孔65、第6環状溝66、連通路67、中心穴34の小径部34b及び連通孔61により、軸受ハウジング2の壁部内ないし回転軸6内に亘る外部エア導入通路68が構成され、この外部エア導入通路68により、外部エア給気口63に供給された、軸受に供されないエアをもモータ室37に導入して、その外部エアと各軸受11,22から排出されたエアとの双方によってモータ38を冷却するようにしている。
【0053】
尚、モータ38の冷却に供されたエアを排気口56に排出するエア排出通路57を含めた他の構成は上記実施形態1と同様である。
【0054】
したがって、この実施形態においては、軸受ハウジング2の外部エア給気口63に供給された外部エアは、軸受ハウジング2の壁部内ないし回転軸6内の外部エア導入通路68を経てモータ室37に導入される。このことで、その外部エアと軸受11,22から排出されたエアとの双方によってモータ38が冷却されることとなり、モータ38をさらに効果的に冷却することができる。尚、この冷却に供されたエアは、いずれも上記実施形態1と同様に、エア排出通路57を経て排気口56に流れ、そこからハウジング1外に排出される。
【0055】
(実施形態3)
図5は実施形態3を示し、上記外部エアの供給経路を変えたものである。この実施形態では、上記実施形態2と同様に、軸受ハウジング2の外周に外部エア給気口63が設けられている。また、実施形態2とは異なり、軸受ハウジング2の壁部内に上記エア排出通路57と同様の構造でもって外部エア導入通路68が形成され、この外部エア導入通路68の下流端はモータハウジング3の内周面上端に開口しており、外部エア給気口63に供給されたエアを軸受ハウジング2の壁部内の外部エア導入通路68を介してモータ室37に導入するようにしている。その他は実施形態1と同様の構成である。従って、この実施形態でも上記実施形態2と同様の作用効果を奏することができる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によると、ハウジング内に、給気口から供給された加圧エアによる静圧により回転軸を支持するラジアル軸受及びスラスト軸受と、回転軸を回転駆動するモータとが設けられたエアスピンドルにおいて、ラジアル軸受及びスラスト軸受から排出されたエアの少なくとも一部をエア導入通路によりモータに導入するとともに、このモータ冷却後のエアをエア排出通路により排気口に流すようにし、ハウジングは、ラジアル軸受及びスラスト軸受を有する軸受ハウジングと、モータを内有するモータハウジングとを備えていて、その軸受ハウジングのモータハウジングとの接合部に、エアスピンドルを取り付けるための取付フランジ部を形成し、この取付フランジ部に対しモータハウジングと反対側の軸受ハウジング外周において排気口を給気口と互いに並ぶように配置したことにより、排気口に排気配管を接続する場合、その排気配管を給気口への給気配管と略近い位置にまとめて配置することができ、軸受ハウジングの取付フランジ部にてエアスピンドルが取付板等に取付固定される構造であっても、2種類の配管を取付板等の両側に分けて配置する必要がなく、たとえエアスピンドルをクリーンルームで使用する場合でも、両配管の接続構造を簡単にして配管の接続作業や取回し、メンテナンスの容易化を図ることができるとともに、給気口から各軸受までの距離の短縮化を図ることができる。
【0057】
請求項2の発明によると、ハウジングに、軸受から排出されてエア導入通路に導入されないエアを吸引して排出するエア吸引口を設けたことにより、軸受からエア導入通路に流入しないエアがそのままハウジング外に放出されるのを防止でき、例えばクリーンルームへのエアによるゴミの放出をさらに有効に防止できる。
【0058】
請求項3の発明によると、エア導入通路及びエア排出通路をハウジングの壁部内に設けたことにより、エアスピンドルのハウジング自体にエア導入通路及びエア排出通路を形成でき、構造の簡単化、ハウジング自体の冷却性の向上、外観見映えの向上を図るとともに、エアの圧力損失を下げて省エネルギー化を図ることができる。
【0059】
請求項4の発明によると、ラジアル軸受及びスラスト軸受が設けられた軸受ハウジングと、モータが設けられたモータハウジングとを備えたエアスピンドルにおいて、軸受ハウジングのモータハウジングとの接合部に、エアスピンドルを取り付けるための取付フランジ部を形成し、この取付フランジ部に対しモータハウジングと反対側の軸受ハウジングに給気口及び排気口を設け、少なくとも軸受ハウジングの壁部内に、上記給気口から軸受に加圧エアとして供給された後に排出されたエアの少なくとも一部をモータハウジング内に導入するエア導入通路と、モータハウジング内のエアを上記排気口に排出するエア排出通路とを設けたことにより、排気口に排気配管を接続するとき、その排気配管を給気口に接続される給気配管に対し、同じ軸受ハウジングにまとめて配置でき、軸受ハウジングの取付フランジ部にてエアスピンドルが取付板等に取付固定される構造でも、2種類の配管を取付板等の両側に分けて配置する必要がなく、上記請求項1の発明と同様に、クリーンルームでの使用でも両配管の接続構造の簡単化、配管の接続作業や取回しの容易化等を図ることができる。
【0060】
請求項5の発明では、ハウジングに外部エア給気口を設け、このハウジングの壁部内に、上記外部エア給気口に供給されたエアをモータに導入する外部エア導入通路を設けた。また、請求項6の発明では、ハウジングの壁部内ないし回転軸内に、上記外部エア給気口に供給されたエアをモータに導入する外部エア導入通路を設けた。従って、これらの発明によると、外部エアによってモータをさらに有効に冷却することができる。
【0061】
請求項7の発明によると、モータに対応するハウジング外周に冷却フィンを設けたことにより、モータをハウジング外からさらに効果的に冷却することができる。
【0062】
請求項8の発明によると、上記モータへの導入エアの少なくとも一部は、モータのステータに向かうようにしたことにより、モータにおいて発熱の大きいステータを導入エアにより集中して冷却でき、モータの冷却効率を高めることができる。
【0063】
請求項9の発明によると、エアスピンドルはクリーンルームで用いられるものとしたことにより、本発明の効果が有効に発揮される最適なエアスピンドルが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1に係るエアスピンドルにおいて軸受からの排出エアによるモータの冷却構造を示す断面図である。
【図2】 エアスピンドルにおいて軸受に対する加圧エアの供給構造を示す断面図である。
【図3】 軸受から排出されるエアの経路を模式的に示す概略説明図である。
【図4】 本発明の実施形態2に係るエアスピンドルにおいて外部からの冷却エアをモータに導入する構造を示す断面図である。
【図5】 本発明の実施形態3を示す図4相当図である。
【符号の説明】
A エアスピンドル
1 ハウジング
2 軸受ハウジング
3 モータハウジング
3b 冷却フィン
6 回転軸
6a 支持部
6b スラストカラー
11 ラジアル軸受
12,23 軸受ブッシュ
15 給気口
16 加圧エア供給通路
22 スラスト軸受
34 中心穴
37 モータ室
38 モータ
39 ステータ
40 ロータ
43 エア導入通路
54 エア吸引口
56 排気口
57 エア排出通路
63 外部エア給気口
68 外部エア導入通路
Claims (9)
- ハウジング内に、回転軸をエアの静圧により浮動状態で回転可能にかつ軸方向に移動不能に支持するラジアル軸受及びスラスト軸受と、上記回転軸を回転駆動するモータとが設けられたエアスピンドルにおいて、
上記ラジアル軸受及びスラスト軸受に給気口から加圧エアを供給する加圧エア供給通路と、
上記ラジアル軸受及びスラスト軸受から排出されたエアの少なくとも一部を上記モータに冷却のために導入するエア導入通路と、
上記モータの冷却に供されたエアを排気口に排出するエア排出通路とが設けられ、
上記ハウジングは、ラジアル軸受及びスラスト軸受を有する軸受ハウジングと、モータを内有するモータハウジングとを備え、
上記軸受ハウジングのモータハウジングとの接合部に、エアスピンドルを取り付けるための取付フランジ部が形成され、
上記給気口及び排気口は、上記取付フランジ部に対しモータハウジングと反対側の上記軸受ハウジングの外周において互いに並ぶように配置されていることを特徴とするエアスピンドル。 - 請求項1のエアスピンドルにおいて、
ハウジングに、軸受から排出されてエア導入通路に導入されないエアを吸引して排出するエア吸引口が設けられていることを特徴とするエアスピンドル。 - 請求項1又は2のエアスピンドルにおいて、
エア導入通路及びエア排出通路は、ハウジングの壁部内に設けられていることを特徴とするエアスピンドル。 - 回転軸をエアの静圧により浮動状態で回転可能にかつ軸方向に移動不能に支持するラジアル軸受及びスラスト軸受が設けられた軸受ハウジングと、
上記軸受ハウジングに接合され、上記回転軸を回転駆動するモータが設けられたモータハウジングとを備えたエアスピンドルにおいて、
上記軸受ハウジングのモータハウジングとの接合部に、エアスピンドルを取り付けるための取付フランジ部が形成され、
上記取付フランジ部に対しモータハウジングと反対側の軸受ハウジングに給気口及び排気口が設けられ、
少なくとも上記軸受ハウジングの壁部内に、上記給気口からラジアル軸受及びスラスト軸受に加圧エアとして供給された後に排出されたエアの少なくとも一部を上記モータハウジング内に導入するエア導入通路と、モータハウジング内のエアを上記排気口に排出するエア排出通路とが設けられていることを特徴とするエアスピンドル。 - 請求項1〜4のいずれか1つのエアスピンドルにおいて、
ハウジングに外部エア給気口が設けられ、
ハウジングの壁部内に、上記外部エア給気口に供給されたエアをモータに導入する外部エア導入通路が設けられていることを特徴とするエアスピンドル。 - 請求項1〜4のいずれか1つのエアスピンドルにおいて、
ハウジングに外部エア給気口が設けられ、
ハウジングの壁部内ないし回転軸内に、上記外部エア給気口に供給されたエアをモータに導入する外部エア導入通路が設けられていることを特徴とするエアスピンドル。 - 請求項1〜6のいずれか1つのエアスピンドルにおいて、
モータに対応するハウジング外周に冷却フィンが設けられていることを特徴とするエアスピンドル。 - 請求項1〜7のいずれか1つのエアスピンドルにおいて、
モータに導入されるエアの少なくとも一部は、モータのステータに向かうように構成されていることを特徴とするエアスピンドル。 - クリーンルームで用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つのエアスピンドル。
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