JP4142957B2 - 発光素子収納用パッケージおよび発光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光ダイオード等の発光素子を用いた表示装置等に用いられる、発光素子を収納するための発光素子収納用パッケージおよび発光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、発光ダイオード等の発光素子は、その輝度の向上により電光表示板等の表示装置に多用されるようになってきた。従来の発光素子収納用パッケージ(以下、パッケージともいう)の一例を図11に示す。同図に示すように、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス)等から成る絶縁基体11の表面に縦横の並びに複数の凹部14を配列するとともに、凹部14内に搭載部12と配線層15を形成したパッケージの凹部14内に、発光素子13を収容して搭載部12に搭載するとともに、配線層15にボンディングワイヤ16を介して電気的に接続することで、表示装置として構成される。そして、パッケージの凹部14内に収容された発光素子13に電力を印加し、所定の発光素子13を発光させることによって文字や画像が表示できるようになっている。
【0003】
また、発光素子13が発光する光が絶縁基体11を透過して隣接する凹部14に収容された発光素子13が発光する光と混色するのを防止するために、凹部14の内面にタングステン等のメタライズ層等から成る金属層17を形成している。また、発光素子13が発光する光を効率良く反射して、外部に放出するために金属層17の表面には、高反射率の金属層を被着していることもある。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−335627号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近時、表示装置は表示する文字や画像の解像度や鮮明度を向上させるためにパッケージの単位面積当たりの発光素子13の数が大幅に増大してきており、凹部14を多数形成させるようになってきている。このため、パッケージに多数の発光素子13を収容させた表示装置の場合、多数の発光素子13を発光させて作動させた際に一部の発光素子13が発光し続けることとなり、発光し続ける発光素子13の温度は90℃近くまで上昇し、表示装置全体の温度は60℃近くまで上昇する。このような温度上昇や温度降下に伴う熱膨張や熱収縮を繰り返すうちに、物理的、機械的に構造が疲労してゆき、特に絶縁基体11の4隅の内部応力が集中しやすい場所においては、クラックやひび割れが発生して構造的に劣化するとともに、発光素子13内部においても電気信号の誤動作が発生したり発光素子13が破損してしまい、結果として表示装置の寿命が短くなるという問題点があった。
【0006】
また、発光素子13の発する熱により凹部14の内面に被着した金属層17が剥がれてしまい、発光素子13の発光する光が隣接する凹部14に収容された発光素子13が発光する光と混色したり、外部に向けて効率良く放射することができなくなるという問題点を有していた。
【0007】
従って、本発明は上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、絶縁基体の放熱効果を高めて発光素子の発する熱を効率よく放散させることによって、長期にわたって使用することができる発光素子収納用パッケージおよび発光装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の発光素子収納用パッケージは、上面に発光素子を収容するための凹部と、該凹部の直下の部位に設けられた凹みと、を有する絶縁基体と、前記発光素子が搭載されるべき搭載部から前記絶縁基体の下面に向けて形成された導体層と、を具備し、前記導体層は、前記絶縁基体の内部に設けられるとともに、前記凹みと前記搭載部との間を横断するように設けられてなることを特徴とする。
【0009】
本発明の発光素子収納用パッケージは、絶縁基体の上面に発光素子を収容するための複数の凹部が縦横の並びに配列されたものであって、絶縁基体の下面の凹部の直下の部位に凹みが形成されていることから、絶縁基体の下面に形成された凹みを空気が通ることとなり、絶縁基体の放熱効果が高まって発光素子の発する熱を効率よく放散することができるとともに、凹部の内面に被着した金属層が剥がれるのを有効に防止することができる。従って、長期にわたって使用することができる発光素子収納用パッケージおよび発光装置とすることができる。
【0010】
本発明の発光装置は、本発明の発光素子収納用パッケージと、前記複数の凹部のそれぞれに収容された発光素子と、該発光素子を覆う透明樹脂とを具備していることを特徴とする。
【0011】
本発明の発光装置は、上記の構成により、放熱性が高く金属層の剥がれが防止される信頼性の高いものとなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の発光素子収納用パッケージについて以下に詳細に説明する。図1は本発明のパッケージの実施の形態の一例を示す要部断面図であり、図2は図1のパッケージの平面図であり、図3は図1のパッケージの下面図である。これらの図において、1は絶縁基体、2は搭載部、3は発光素子、4は発光素子3を収容する凹部であり、主にこれらでパッケージが構成されている。
【0013】
本発明のパッケージは、絶縁基体1の上面に発光素子3を収容するための複数の凹部4が縦横の並びに配列されたものであって、絶縁基体1の下面の凹部4の直下の部位に凹み8が形成されている。
【0014】
本発明の絶縁基体1は、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス)、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体等の焼結体(セラミックス)からなり、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)、カルシア(CaO)、マグネシア(MgO)等の原料粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿状となし、これをドクターブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に成形してセラミックグリーンシート(セラミック生シートであり、以下、グリーンシートともいう)を得、しかる後、グリーンシートに凹部4用の貫通孔を打ち抜き加工で形成して、発光素子3を搭載するためのグリーンシートと凹部4用の貫通孔が形成されたグリーンシートとを複数枚積層し、高温(約1600℃)で焼成することによって製作される。
【0015】
また、凹部4の底面には発光素子3を搭載するための導体層から成る搭載部2が形成されており、搭載部2はタングステン(W),モリブデン(Mo),銅(Cu),銀(Ag)等の金属粉末のメタライズ層から成っている。
【0016】
また絶縁基体1は、搭載部2およびその周辺から絶縁基体1の外部にかけて一対の配線層5a,5bが被着形成されている。配線層5a,5bは、WやMo等の金属粉末のメタライズ層から成り、凹部4に収容する発光素子3を外部に電気的に接続するための導電路である。そして、搭載部2には発光ダイオード(LED),半導体レーザ(LD)等の発光素子3が金(Au)−シリコン(Si)合金やAg−エポキシ樹脂等の導電性接合材により固着されるとともに、配線層5bには発光素子3の電極がボンディングワイヤ6を介して電気的に接続されている。そして、絶縁基体1下面の配線層5a,5bが外部電気回路基板の配線導体に接続されることで発光素子3の各電極と電気的に接続され、発光素子3へ電力や駆動信号が供給される。また、発光素子3は搭載部2および配線層5bにフリップチップ実装により接続されても構わない。
【0017】
配線層5a,5bは、例えばタングステン、モリブデン、マンガン等の高融点金属粉末から成り、例えばタングステンの粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加混合して得た金属ペーストを絶縁基体1となるグリーンシートに予めスクリーン印刷法により所定パターンに印刷塗布しておくことによって、絶縁基体1の所定位置に被着形成される。
【0018】
なお、配線層5a,5bおよび搭載部2の露出する表面に、ニッケル(Ni),金(Au),Ag等の耐蝕性に優れる金属を1〜20μm程度の厚みで被着させておくのがよく、配線層5a,5bおよび搭載部2が酸化腐蝕するのを有効に防止できるとともに、搭載部2と発光素子3との固着および配線層5bとボンディングワイヤ6との接続、配線層5a,5bと外部電気回路基板の配線導体との接続を強固にすることができる。従って、配線層5a,5bおよび搭載部2の露出表面には、厚さ1〜10μm程度のNiめっき層と厚さ0.1〜3μm程度のAuめっき層またはAgめっき層とが、電解めっき法や無電解めっき法により順次被着されていることがより好ましい。
【0019】
さらに、絶縁基体1の凹部4の内面には、発光素子3が発光する光が隣接する凹部4内に漏洩して表示装置として表示される文字や画像に滲みが発生するのを防止するとともに、発光素子3が発光する光を凹部4内の内面で反射させて、良好な表示装置とするために金属層7が被着形成されているのがよい。この金属層7は、タングステンやモリブデン−マンガン等のメタライズ層等から成り、例えばタングステンやモリブデン−マンガン等の金属粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加混合して得た金属ペーストを絶縁基体1と成るグリーンシートに予めスクリーン印刷等により印刷塗布しておくことによって、絶縁基体1の凹部4の内面に被着形成される。
【0020】
また金属層7は、その表面に光を反射し易い金属をメッキ法等により被着させるのがよく、この場合、発光素子3の発光する光を金属層7で反射して外部に効率良く放射することができるので、発光素子3を発光させて表示装置として作動させた場合、表示される文字や画像を極めて鮮明なものとすることができる。このため、金属層7の表面に反射率が80%以上である金属を被着させておくことが好ましい。このような金属としては、Ni,Au,Ag等があり、これらの金属を被着させることにより発光素子3が発光する光に対する反射率を80%以上とすることができる。発光素子3が発光する光に対する反射率が80%未満であると、凹部4に収容された発光素子3が発光する光を良好に反射することが困難となる。
【0021】
また、金属層7はNi,Au,Ag等の高反射率の金属を被着したものであっても良い。
【0022】
また、凹部4の内面は、傾斜面になっているとともに凹部4の底面から絶縁基体1の上面に対して35〜70°の角度で外側に広がっていることが好ましい。角度θが70°を超えると、凹部4内に収容された発光素子3が発光する光を外部に対して良好に反射することが困難となる傾向にある。一方、角度θが35°未満であると、凹部2の内面をそのような角度で安定かつ効率良く形成することが困難となる傾向にあるとともに、凹部4が大型化し、隣接する凹部4との間隔が広くなるために、発光装置として表示される文字や画像の解像度が低下して鮮明なものとすることができなくなる。
【0023】
また、凹部4の内面の金属層7の表面の算術平均粗さRaは1〜3μmが好ましい。1μm未満であると、凹部4内に収容される発光素子3が発光する光を均一に反射させることが難しくなり、反射する光の強さに偏りが発生し易くなる。3μmを超えると、凹部4内に収容される発光素子3が発光する光が散乱し、反射光を高い反射率で外部に均一に放射することが困難になる。
【0024】
また、凹部4は、その断面形状が円形状であることが好ましい。この場合、凹部4に収容される発光素子3が発光する光を凹部4の内面の金属層7で全方向に満遍なく反射させて外部に極めて均一に放射することができるという利点がある。
【0025】
そして、本発明においては、凹み8は、絶縁基体1の下面の凹部4の直下の部位に形成されている。凹み8内を空気が通過することにより、凹部4に収容された発光素子3が発する熱を良好に放散することができるとともに、凹部4内で金属層7が剥がれるのを有効に防止することができる。従って、パッケージを長期にわたって発光装置として使用することができる。
【0026】
このような凹み8は、絶縁基体1となる一部のグリーンシートに凹み8となる貫通孔を形成することで設けることができる。また、複数のグリーンシートを積層して成るグリーンシート積層体に、カッター刃等を用いて切り込みを入れ、凹み8を形成する方法等もある。
【0027】
また、凹み8の内面に凹み8の幅の1/2未満の高さの凹凸を形成することで、凹み8の内面の表面積を増大させて放熱効果を高めることができる。凹凸の高さを凹み8の幅の1/2よりも大きくすると、空気が凹み8を通りにくくなる。このような内面に凹凸が形成された凹み8は、凹み8幅の異なるグリーンシートを複数枚積層したり、グリーンシートの凹み8が形成される部位に凹凸形状の金型等を外部から押圧することによって形成することができる。
【0028】
さらに、凹み8の内面に熱伝導性の高いW,Mo,Cu等から成る金属層を形成したり、Cu−W合金等から成る金属板や金属ブロックを接着してもよい。この場合、さらに放熱性が高まることとなる。
【0029】
また、凹み8の幅は発光素子3の幅以上で凹部4の幅以下であることが好ましい。これにより、絶縁基体1の強度を維持しつつ発光素子3の熱を効果的に放熱することができる。凹み8の幅が発光素子3の幅よりも小さいと、発光素子3の熱を効果的に放熱することが困難になる傾向にある。凹み8の幅が凹部4の幅よりも大きいと、絶縁基体1の強度が低下する傾向にある。より好ましくは、凹み8の幅は発光素子3の幅よりも大きく凹部4の幅よりも小さいことがよい。
【0030】
図4〜図8に本発明の実施の形態の他の例を示す。図4,図5に示すように、複数の凹部4にわたる溝状の凹み8を形成しても良い。図6に示すように、図4の凹み8を絶縁基体1の側面に延出させても良い。図7に示すように、図4と図5を組み合わせたような凹み8としても良いし、図8に示すように、横断面形状が円形状の凹み8としても良い。
【0031】
また、図9に示すように、図6の溝状の凹み8の部位で凹部4同士の間および凹部4と絶縁基体1の側面との間に、絶縁基体1の上下面を貫通する貫通孔8aを形成しても良い。
【0032】
また、絶縁基体1の上面の凹部4の外周に沿って溝9を形成しても良いし、図10に示すように、溝状の凹み8と溝9とが交差する部位にそれらを貫通する貫通孔8aを形成しても良い。
【0033】
かくして、本発明のパッケージは、絶縁基体1の上面に発光素子3を収容するための複数の凹部4が縦横の並びに配列されたものであって、絶縁基体1の下面の凹部4の直下の部位に凹み8が形成されていることから、絶縁基体1の凹み8を空気が通ることとなり、発光素子3の発する熱を効率よく放散し、絶縁基体1の放熱効果を高めることができるとともに、凹部4の内面に被着した金属層7が剥がれるのを有効に防止できる。従って、長期にわたって表示装置として使用することができるパッケージとすることができる。
【0034】
また、本発明のパッケージは、絶縁基体1の凹部4の 底面に発光素子3を導電性の接着剤を介して取着し、発光素子3の一方の電極(下面の電極)を一方の配線層5aに電気的に接続するとともに、発光素子3の他方の電極をボンディングワイヤ6を介して他の配線層5bに電気的に接続し、しかる後、発光素子3を覆うように凹部4内にエポキシ樹脂等の透明樹脂を充填し、発光素子3を気密に封入することによって最終製品としての表示装置となる。
【0035】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
【0036】
【発明の効果】
本発明の発光素子収納用パッケージは、絶縁基体の上面に発光素子を収容するための複数の凹部が縦横の並びに配列されたものであって、絶縁基体の下面の凹部の直下の部位に、凹みが形成されていることから、絶縁基体の下面に形成された凹みを空気が通ることとなり、絶縁基体の放熱効果が高まって発光素子の発する熱を効率よく放散することができるとともに、凹部の内面に被着した金属層が剥がれるのを有効に防止することができる。従って、長期にわたって使用することができる発光素子収納用パッケージおよび発光装置とすることができる。
【0037】
本発明の発光装置は、本発明の発光素子収納用パッケージと、複数の凹部のそれぞれに収容された発光素子と、発光素子を覆う透明樹脂とを具備していることにより、放熱性が高く金属層の剥がれが防止される信頼性の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光素子収納用パッケージについて実施の形態の一例を示す要部断面図である。
【図2】図1の発光素子収納用パッケージの平面図である。
【図3】図1の発光素子収納用パッケージの下面図である。
【図4】本発明の発光素子収納用パッケージについて実施の形態の他の例を示す下面図である。
【図5】本発明の発光素子収納用パッケージについて実施の形態の他の例を示す下面図である。
【図6】本発明の発光素子収納用パッケージについて実施の形態の他の例を示す下面図である。
【図7】本発明の発光素子収納用パッケージについて実施の形態の他の例を示す下面図である。
【図8】本発明の発光素子収納用パッケージについて実施の形態の他の例を示す下面図である。
【図9】本発明の発光素子収納用パッケージについて実施の形態の他の例を示す下面図である。
【図10】本発明の発光素子収納用パッケージについて実施の形態の他の例を示す下面図である。
【図11】従来の発光素子収納用パッケージの要部断面図である。
【符号の説明】
1:絶縁基体
3:発光素子
4:凹部
5a,5b:配線層
7:金属層
8:凹み
Claims (4)
- 上面に発光素子を収容するための凹部と、該凹部の直下の部位に設けられた凹みと、を有する絶縁基体と、
前記発光素子が搭載されるべき搭載部から前記絶縁基体の下面に向けて形成された導体層と、
を具備し、
前記導体層は、前記絶縁基体の内部に設けられるとともに、前記凹みと前記搭載部との間を横断するように設けられてなることを特徴とする発光素子収納用パッケージ。 - 前記凹部の内面に被着形成された金属層をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のパッケージ。
- 前記凹部を複数備え、前記絶縁基体を平面視して、前記凹部は、縦横の並びに配列されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパッケージ。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発光素子収納用パッケージと、
前記複数の凹部のそれぞれに収容された発光素子と、
該発光素子を覆う透明樹脂と、
を具備した発光装置。
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