JP4142521B2 - 空気入りランフラットタイヤ - Google Patents

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Description

本発明はパンクした時、その状態のまま相当の距離を走行し得るように、タイヤの内部に配設される環状の支持体が内部に配設された空気入りランフラットタイヤに関する。
空気入りタイヤでランフラット走行が可能、即ち、パンクしてタイヤ内圧が0kg/cm2になっても、ある程度の距離を安心して走行することが可能なタイヤ(以後、空気入りランフラットタイヤまたはランフラットタイヤと呼ぶ。)として、タイヤの空気室内におけるリムの部分に、金属、合成樹脂製の環状の中子(支持体)を取り付けた中子タイプが知られている(例えば、特許文献1,2参照)
この中子タイプでは、リムに組み込む回転中子タイプと、リムに取り付けられるタイヤ径方向断面において2つの凸部を有する形状(二山形状)の中子タイプが知られている(例えば、特許文献3参照)。回転中子タイプは回転中子を固定するための特殊ホイールが必要とされる点で汎用性に問題がある。一方、二山形状の中子タイプは、従来のリムに取り付けられるため汎用性が高い。
かかるランフラットタイヤでは、ランフラット走行時にタイヤ内面に前記中子が接触することによる磨耗を防ぐため、タイヤ内面に潤滑剤が塗布されることがある。
しかし、当該潤滑剤は液状であるため、ランフラット走行が長距離に及ぶと中子との接触面に存在する潤滑剤が減少し、中子の金属面がタイヤ内面に接触しひび割れが生じて走行不良となることがあった。
また、潤滑剤によっては、走行中の磨耗を防ぐことが可能なものもあるが、その場合でも、塗布した潤滑剤の一部がタイヤに浸透しこれを変質させることで耐久性を低下させることがあった。
欧州特許出願公開第EP0796747号明細書 欧州特許出願公開第EP1116607号明細書 特開平10−297226号公報
本発明は、上記事実を考慮し、ランフラット走行時のタイヤ内面の磨耗と変質を防ぎ、高い耐久性を有する空気入りランフラットタイヤを提供することが目的である。
上記目的は、以下に示す本発明により解決される。
すなわち、本発明は、空気入りタイヤの内部に配設され前記空気入りタイヤと共にリムに組み付けられ、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体を備える空気入りランフラットタイヤであって、前記空気入りタイヤのトレッド部裏面側および前記トレッド部裏面に対峙する側の前記支持体表面側、の少なくとも一方の面側の少なくとも一部に、シーリング材組成物を含有する特殊エラストマー層が設けられてなり、前記シーリング材組成物中に粒状のオイルが分散されてなることを特徴とする空気入りランフラットタイヤである。
上記本発明の空気入りランフラットタイヤは、以下に示す態様を少なくとも1つ具備することが好ましい。
(1)前記特殊エラストマー層中に液状のオイルが含浸されてなる態様である。
(2)前記液状のオイルの含有量が、1〜100phrである態様である。
(3)前記粒状のオイルの粒子径が、0.5〜10mmである態様である。
(4)前記粒状のオイルの融点が、30〜200℃である態様である。
(5)前記支持体の支持部が前記トレッド部裏面方向に突出する突出部を1以上有し、前記1以上の突出部のうち、全部もしくは一部の突出部であって、前記突出部表面側の少なくとも一部に、前記特殊エラストマー層が設けられてなる態様である。
(6)前記支持体の支持部が前記トレッド部裏面方向に突出する突出部を複数有し、前記1の突出部とそれに最も近い突出部との間に形成されてなる凹部であって、前記凹部表面側の少なくとも一部に、前記特殊エラストマー層が設けられてなる態様である。
本発明の空気入りランフラットタイヤは、ランフラット走行時に特殊エラストマー層が介在するため、タイヤ内面の磨耗や変質を防ぎ、また支持体表面の磨耗も防ぐことができるので、高い耐久性を発揮することができる。
本発明の一実施形態に係る空気入りランフラットタイヤについて図面を参照して説明する。
ここで、空気入りランフラットタイヤ10とは、図1に示すように、リム12に空気入りタイヤ14と支持体16を組み付けたものをいう。リム12は、空気入りタイヤ14のサイズに対応した標準リムである。
空気入りタイヤ14は、図1に示すように、一対のビード部18と、両ビード部18に跨がって延びるトロイド状のカーカス20と、カーカス20のクラウン部に位置する複数(本実施形態では2枚)のベルト層22と、ベルト層22の上部に形成されたトレッド部24とを備える。
空気入りタイヤ14の内部に配設される支持体16は、図1に示す断面形状のものがリング状に形成されたものであり、支持部26と、支持部26の両端に加硫成形されたゴム製の脚部28とを備える。
なお、支持部26の材料としては、鉄やSUS等の金属の他、プラスチック、FRP等を使用することができる。
空気入タイヤ14のトレッド部24の裏面には、シーリング材組成物を含有する特殊エラストマー層100が設けられている。また、シーリング材組成物中には粒状のオイル(以下、「粒状オイル」という)が分散して存在する。
特殊エラストマー層100は、シーリング材組成物を含有しているため、ランフラット走行時でも固体状として存在することができる。その結果、走行距離によらず常に支持体16とトレッド部24内面との接触面に、特殊エラストマー層100が存在するため、支持体16によるトレッド部内面の磨耗を防ぐことができる。また、液状の潤滑剤のようにその一部がタイヤに浸透しこれを変質させることがなく、ランフラット走行時の耐久性を著しく向上させることができる。
さらに、ランフラット走行時に支持体16とトレッド部裏面の特殊エラストマー層との間の摩擦により、シーリング材組成物中の粒状オイルが表面に露出し表面に滲出する。このようにして滲出したオイルは、ランフラット走行時の熱により流動性が高くなり、潤滑材としての効果を発揮する。その結果、支持体およびトレッド部裏面の摩擦による磨耗を防ぐことが可能となり、ランフラットタイヤの耐久性を向上させることができる。
また、シーリング材組成物中に液状のオイルを均一に混合した場合、オイルの滲み出し効率が低い。その結果、オイルによる耐磨耗性の向上効果も減少してしまう。それに対し、粒状オイルを分散させておくことで、ランフラット走行時に支持体が車重圧力、及びシーリング材組成物の磨耗面が磨り減ることで粒状オイルが表面に出る、といった作用により効率の良いオイルの滲出が可能となり液状のオイルを含浸したような場合に比べ、効率良く磨耗を防ぐことができる。
ここで、粒状オイルとは、室温(0〜30℃付近)で固体状態となっているオイルをいう。
粒状オイルとしては、特に材質に限定はされないが、シリコーン系、炭化水素系、エーテル系、アロマー系等が挙げられ、これらは単独もしくは併用することができる。
粒状オイルの粒子径(直径)は、0.5〜10mmであることが好ましく、1〜7mmであることがより好ましく、1.5〜5mmであることがさらに好ましい。0.5mm未満では粒子径が小さすぎて粒状であることによるオイル滲み出しの効率化が得られないことが多い。液状オイルを使用した均一混合と同等の耐磨耗性向上の効果しか得られず、粒状にすることの意味が無くなってしまうことがある。
一方、10mmを超えると、シーリング材組成物中に分散させる粒状オイルが大きすぎてその数が少なくなり、十分な効果が得られないことがある。
粒状オイルの融点は、30〜200℃であることが好ましく、40〜150℃であることがより好ましく、50〜120℃であることがさらに好ましい。
融点が30℃未満では、室温で粒状オイルが液体となり、オイルを粒状として分散させるには冷却装置の使用やオイルのカプセル化といった特殊な手段が必要となる場合が多く、コストが高くなってしまう。一方、200℃を超えると、ランフラット走行時にオイルが液状にならないため、目的とする耐磨耗性の向上効果が得られない場合がある。
このように、粒状オイルの融点をコントロールすることで、生産性に優れ、かつ、ランフラット走行時の効果を十分に発揮することができるシーリング材組成物を得ることができる。
粒状オイルの含有量は、シーリング材組成物中、5〜70質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましく、20〜50質量%であることがさらに好ましい。
5質量%未満では、粒状オイルの絶対的な量が不足し、十分な耐磨耗性効果を発揮できないことがあり、70質量%を超えて分散させても、大きな効果の向上が得られない場合がある。
シーリング材組成物中への粒状オイルの混合は、特に限定されないが、以下に説明するようにして行うことができる。まず、後述するようなシーリング材組成物はグリース状となっているので、そのグリース状となっているシーリング材組成物中に粒状オイルを分散させた分散物を作製する。この分散物を公知の方法により支持体やトレッド部裏面に塗布すればよい。塗布後は、その材料に応じて適正な温度に加温し、シーリング材組成物を固化(架橋)させれば、粒状オイルが分散したシーリング材組成物が作製される。粒状オイルの選択は、上記固化温度等の条件を考慮して行うことが好ましい。
トレッド部裏面に、特殊エラストマー層100を設ける場合は、図1に示すようにその全面に設けてもよいが、図2に示すように、支持体の支持部との接触部に選択的に設けてもよい。
一方、図3に示すように、トレッド部24の裏面に対峙する側の支持体16の表面に特殊エラストマー層100を設けてもよい。かかる構成としても、図1に示す構成と同様の効果が得られる。この構成の場合、特殊エラストマー層100は、支持体16がトレッド部24の裏面に接触する領域に設けられていればよいため、図4に示すように、支持体16の突出部(支持体16のうち図面上、径方向外側に突出した部分)に形成されていることが好ましい。
さらに、図5に示すように、支持体16の2つの突出部との間に形成されてなる凹部に、特殊エラストマー層100を設けた構成としてもよい。
ここで、シーリング材組成物とは、一般的に使用されているシーリング材(機械・電機・化学等の各種工業において接合部や接触部の水密・気密の目的で使用される材料)からなる組成物という。
具体的は、シリコーン系、変成シリコーン系、アクリル系、ポリウレタン系、アクリルウレタン系等が好ましい。
例えば、シリコーン系のシーリング材には、原料ポリマーとして、両末端に反応性の水酸基(シラノール)を持つ直鎖状オルガノポリシロキ酸(シリコーンポリマー)を使用することが好ましい。その他、メチルトリスアセトキシシラン、メチルトリスオキシモノシラン、メチルトリメトキシシラン等の架橋材や、Sn系、Pd系、Ti系といった微量の触媒等が、前記シリコーン系のシーリング材の原料として使用される。
また、特殊エラストマー層100の耐磨耗性は、トレッド部24裏面より低いことが好ましい。
例えば、支持体16上に特殊エラストマー層100を形成した場合、ランフラット走行時にトレッド部24裏面よりも特殊エラストマー層100の方が先に磨耗する。その結果、タイヤの損傷を少なくすることができる。
また、特殊エラストマー層100をトレッド部24裏面に形成した場合でも、特殊エラストマー層100がある程度磨耗することで、ランフラット走行時に支持体表面を傷めることがない。
すなわち、特殊エラストマー層100の耐磨耗性をトレッド部24裏面より低くすることで、ランフラットタイヤの耐久性を向上させることができる。
耐磨耗性の大小は、例えば、実車試験(ランフラット走行試験)により、実際の磨耗量を比較することで評価することができる。
特殊エラストマー層100の耐磨耗性を低くするには、使用するシーリング材組成物中のシーリング材の架橋密度を低くしたり、シーリング材とインタラクションの少ない第三成分(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)の粒子をシーリング材組成物中に含有させればよい。架橋密度を低くすることで分子が切れやすくなり、また、第三成分の存在により当該成分が破壊の起点となって、磨耗が促進される。上記架橋密度や第三成分の種類、添加量などの条件は、トレッド部24裏面の材質等により適宜変更することが好ましい。
また、シーリング材組成物中には、さらに、液状のオイル(以下、「液状オイル」という)が含浸されていることが好ましい。液状オイルを含浸することは、耐磨耗性を制御することが可能となる点で非常に有効である。
液状オイルを含浸させることで、ランフラット走行時に支持体が特殊エラストマー層に接すると、シーリング材組成物中の液状オイルが染み出し、耐磨耗性をより向上させることができる。
なお、「液状オイル」とは、室温(0〜30℃)で液体状態であるオイルをいう。
液状オイルとしては、シリコーン系、炭化水素系、エーテル系、アロマー系等、種々のオイルを使用することができる。当該液状オイルの含有量は、特殊エラストマー層中で、1〜100phrであることが好ましい。1phr未満では、オイルによる耐磨耗性の向上効果を十分に発揮できないことがあり、100phrを超えてもさらなる効果の向上が見られないことがある。
特殊エラストマー層100は、公知の塗布法により形成することができる。特殊エラストマー層100の厚さは、特殊エラストマー層を形成した直後の初期厚みとして、0.1〜20mmとすることが好ましく、0.1〜15mmとすることがより好ましく、3〜8mmとすることが好ましい。
0.1mm未満では、ランフラット走行時の衝撃吸収性能がほとんど見られなくなることがある。20mmを超えると、タイヤ内圧が通常圧のときでも突起物を乗り越える時にトレッド部24裏面と支持体16上の特殊エラストマー層100、または、支持体16とトレッド部24裏面の特殊エラストマー層100が接触し、操縦安定性の低下や異音の発生が起こることがある。
また、トレッド部24とは、ランフラットタイヤ10(空気入りタイヤ14)を標準リム14に組み付けた状態で、大気圧とした空気入りタイヤ14に標準荷重を付与した場合の地面との接地幅(図1および図2中のL2)の領域のことである。
ここで、標準リムとはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2002年度版規定のリムであり、標準荷重とはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2002年度版の単輪を適用した場合の最大負荷能力に相当する荷重である。
日本以外では、荷重とは下記規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)のことであり、内圧とは下記規格に記載されている単輪の最大荷重(最大負荷能力)に対応する空気圧のことであり、リムとは下記規格に記載されている適用サイズにおける標準リム(または、''Approved Rim'' 、''Recommended Rim'')のことである。
規格は、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では、''The Tire and Rim Association Inc. のYear Book ''であり、欧州では、''The European Tire and Rim Technical OrganizationのStandards Manual''である。
本発明のランフラットタイヤは、粒状オイルを分散保持するシーリング材組成物を含む特殊エラストマー層が所定の場所に設けられている限り、その他の構成に種々の変更を施すことが可能である。
例えば、支持体として以下に説明するようなものを使用することができる。すなわち、図6〜図11に示すように、断面四角形状の支持体で、その側面から内部へ向けて交互に肉抜きしたようなもの(支持体160)を適用することもできる。当該支持体160は、トレッド部裏面と対峙する側の面に突出部(凸部)と凹部を有している。そして、この突出部がトレッド部裏面と接触して支持することで、ランフラット走行が可能となる。支持体160の材料としては、特に限定されず、架橋ゴムやウレタン等種々のものを使用することができる。
図6に示すように、特殊エラストマー層100は、トレッド部裏面に設けてもよく、図7に示すように、トレッド部裏面に対峙する側の支持体160上に設けてもよい。また、支持体160上に特殊エラストマー層100を設ける場合は、図8に示すように凸部上に選択的に設けてもよく、図9に示すように凸部と凹部とからなる表面に、その厚さが均一になるように設けてもよい。
さらに、図10に示すように、凹部に選択的に設けてもよい。ランフラット走行時には、この凹部から熱が放出されることが推察されている。従って、この凹部に特殊エラストマー層100を形成することで、放出される熱により粒状オイルが表面に滲出し、潤滑材としての効果が発揮されることが期待される。なお、凹部に選択的に設ける場合は、図11に示すように、特殊エラストマー層100の厚さが、凸部の高さよりも高いことが好ましい。かかる構成とすることで、特殊エラストマー層100とトレッド部24裏面との摩擦により、上記オイルの滲み出しの効果がより良好なものとなる。
なお、図12に示すように、支持体160が設けられていない箇所に特殊エラストマー層100を形成し、ランフラット走行時にトレッド部24裏面と支持体160との間に特殊エラストマー層100が形成されるような構成としてもよい。すなわち、当該構成によれば、パンク時にトレッド部裏面が特殊エラストマー層100を押圧し、押圧された特殊エラストマー層100の一部がトレッド部24裏面と支持体160との間に移動し、これらの間に特殊エラストマー層100が形成されることになる。
以上のような本発明のランフラットタイヤ(例えば、図2に示すランフラットタイヤ)では、空気入りタイヤ14の内圧が低下した場合、図13に示すように、空気入りタイヤ14のトレッド部24の裏面を支持体16の凸部(支持体16のうち図面上、径方向に突出した部分)30A、30Bが支持して走行可能とする。
このとき、凸部30A、30Bがトレッド部24の裏面に接触するが、特殊エラストマー層100がこれらの間に介在し、粒状オイルの滲出により、支持体16の磨耗や空気入りタイヤ14の内面を損傷を防ぐ。
また、特殊エラストマー層100は母材が固体状であるため、空気入りタイヤ14の内面に浸透することがなく、タイヤの変質が生じることがない。
下記実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
先に説明したランフラットタイヤと同様の構成(図1参照)であり、195/65R15サイズの空気入りタイヤのトレッド部裏面に、粒状オイルが分散したシリコーン系のシーリング材組成物を含有する特殊エラストマー層(厚さ5mm)を形成した。
シーリング材組成物中への粒状オイルの分散混合は、以下に説明するようにして行った。まず、上記シーリング材組成物中に粒状オイル(シリコーン系粒状オイル)を分散させた分散物を作製した。この分散物をコーターでならしながらトレッド部裏面に塗布した。なお、このとき、特殊エラストマー層が形成される領域の両サイドに、高さ5mmのガイドを設け、そのガイドで囲まれた領域に分散物を塗布した。
塗布後は、110℃程度でシーリング材組成物を固化(架橋)し、粒状オイルが分散したシーリング材組成物を含有した特殊エラストマー層を形成した。なお、粒状オイルの粒径は2〜4mmであり、融点は90℃であった。また、粒状オイルの含有量は、シーリング材組成物中で35質量%であった。
その後、支持体をタイヤに挿入し、上記タイヤサイズに対応する標準リム(6.5J)に組み付けてランフラットタイヤを作製した。作製したランフラットタイヤについて、200kmの走行試験を行った。
なお、走行試験は、当該ランフラットタイヤを乗用車に装着して1つの車輪のみ空気圧ゼロとしてランフラット走行して行った。結果を下記表1に示す。
(実施例2)
特殊エラストマー層(厚さ5mm)をトレッド部裏面に対峙する側の前記支持体表面に形成(図3参照)した以外は、実施例1と同様のランフラットタイヤについて、200kmの走行試験を行った。結果を下記表1に示す。
(実施例3)
シーリング材組成物にシリコーン系のオイル(液状オイル)を40phr含浸させた以外は、実施例2と同様のランフラットタイヤについて、200kmの走行試験を行った。結果を下記表1に示す。
(実施例4)
特殊エラストマー層(平均厚さ5mm)をトレッド部裏面に対峙する側の前記支持体表面に形成(図7参照)した以外は、実施例1と同様のランフラットタイヤについて、200kmの走行試験を行った。結果を下記表1に示す。
(比較例1)
特殊エラストマー層を形成しなかった以外は、実施例1と同様のランフラットタイヤについて、実施例1と同様に200kmの走行試験を行った。結果を下記表1に示す。
(比較例2)
特殊エラストマー層の代わりにトレッド部裏面にエーテル系のグリース(潤滑材)を厚さ5mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様のランフラットタイヤについて、実施例1と同様に200kmの走行試験を行った。結果を下記表1に示す。
Figure 0004142521
このように、粒状オイルを分散した特殊エラストマー層を形成した実施例1〜4のランフラットタイヤは200km連続走行してもタイヤが破壊せず、高い耐久性を有することが確認された。また特に、実施例2,3では、特殊エラストマー層がトレッド部裏面より耐磨耗性が低かったため、特殊エラストマー層の磨耗が優先的に起こっていた。
本発明の実施形態に係る空気入りランフラットタイヤのリム装着時の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る空気入りランフラットタイヤのリム装着時の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る空気入りランフラットタイヤのリム装着時の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る空気入りランフラットタイヤのリム装着時の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る空気入りランフラットタイヤのリム装着時の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る空気入りランフラットタイヤのリム装着時の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る空気入りランフラットタイヤのリム装着時の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る空気入りランフラットタイヤのリム装着時の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る空気入りランフラットタイヤのリム装着時の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る空気入りランフラットタイヤのリム装着時の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る空気入りランフラットタイヤのリム装着時の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る空気入りランフラットタイヤのリム装着時の断面図である。 本発明の空気入りランフラットタイヤのランフラット走行時の状態を示す図である。
符号の説明
10 空気入りランフラットタイヤ
12 リム
14 空気入りタイヤ
16,160 支持体
24 トレッド部
26 支持部
100 特殊エラストマー層

Claims (7)

  1. 空気入りタイヤの内部に配設され前記空気入りタイヤと共にリムに組み付けられ、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体を備える空気入りランフラットタイヤであって、
    前記空気入りタイヤのトレッド部裏面側および前記トレッド部裏面に対峙する側の前記支持体表面側、の少なくとも一方の面側の少なくとも一部に、シーリング材組成物を含有する特殊エラストマー層が設けられてなり、
    前記シーリング材組成物中に粒状のオイルが分散されてなることを特徴とする空気入りランフラットタイヤ。
  2. 前記特殊エラストマー層中に液状のオイルが含浸されてなることを特徴とする請求項1に記載の空気入りランフラットタイヤ。
  3. 前記液状のオイルの含有量が、1〜100phrであることを特徴とする請求項2に記載の空気入りランフラットタイヤ。
  4. 前記粒状のオイルの粒子径が、0.5〜10mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りランフラットタイヤ。
  5. 前記粒状のオイルの融点が、30〜200℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りランフラットタイヤ。
  6. 前記支持体の支持部が前記トレッド部裏面方向に突出する突出部を1以上有し、前記1以上の突出部のうち、全部もしくは一部の突出部であって、前記突出部表面側の少なくとも一部に、前記特殊エラストマー層が設けられてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りランフラットタイヤ。
  7. 前記支持体の支持部が前記トレッド部裏面方向に突出する突出部を複数有し、前記1の突出部とそれに最も近い突出部との間に形成されてなる凹部であって、前記凹部表面側の少なくとも一部に、前記特殊エラストマー層が設けられてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りランフラットタイヤ。
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