JP4142411B2 - 包装材料の巻き取り体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械部品、電子部品、宇宙空間での実験用サンプル、飲食品、リンゲル液、輸血液等の医薬品、化粧品等の包装に適したプラスチックフィルムを主素材とするフィルムより構成される包装材料に関するものである。
さらに詳しくは、該フィルムより形成する袋体の内面に微生物等の汚染や異物付着を防止し、衛生性に優れる巻取り状態の包装材料に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、プラスチックを主素材とする積層フィルムや積層シートは、それを単層で製膜し、所望によっては印刷したり、バリア性材料やヒートシール性材料をコーティングしたり、または、フィルムを積層したりして、総合的に機能を持たせた積層フィルムや積層シート、それを使用したプラスチック袋、及び、プラスチックチューブ等の包装材料が広く知られている。
【0003】
これらの包装材料は、多種の材料からなり、そのメーカーも数多くあり、フィルムの積層工程や製袋工程において、材料を断裁したときの断裁屑や、材料の搬出入に伴う塵埃、虫等の異物、細菌や浮遊菌、製造装置のロール等と接触するため、フィルムや袋等の表面だけでなく、内面に付着するという恐れがあり、特に医薬品、食品等の経口品の場合、異物混入はタブーとされており、異物混入の防止の要求レベルが高まってきている。
また、このような異物の付着を防止するために、作業所の内部を除塵したクリーンエアを保ち、加工に供するプラスチックフィルムやその他の材料は、包装した状態で移送し、前室で開梱して作業所に搬入してクリーンルーム内での加工が行われているが、人、微生物(昆虫)の存在を絶無にする作業場とし、プラスチックフィルムやプラスチック袋等に異物の付着を皆無とすることは、費用/効果の点から至難のわざといっても過言ではないのが実情である。
【0004】
このような包装材料の製造工程で発生する異物の付着を防止するために、本出願人は、本件出願に先立ち、従来のプラスチックフィルムやプラスチック袋等としては、例えば、ヒートシール性をもつ筒状フィルムより軟化温度が高い補強層を筒状フィルムの外面に設けた積層体において、補強層が少なくともバリア層をもつ補強層を積層した積層体及びそれを用いた袋体の製造方法を提供した(例えば、特許文献1参照。)。
また、例えば、合成樹脂製のインフレーションフィルムによる筒状フィルム(チューブ状フィルム)の上下層表面に対して、バリア性を有する薄膜が形成されていると共に、補強層(補強用フィルム)を筒状フィルムにドライラミネート接着剤を介して積層してあることを特徴とするバリア性容器形成用の積層フィルムやそれを用いたバリア性容器が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−235773号公報
【特許文献2】
特開平11−105180号公報
【0006】
而して、上記で製造されたプラスチックフィルムやプラスチック袋等の流通方法としては、従来、上記で製造された積層シートを製袋機に取り付けて、ボトム部、サイドシール部をヒートシール後、所望の位置で断裁し、これを包装袋の状態で流通する方法が採用されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の流通方法では、前記の補強層を筒状フィルムの外面に設けた積層体を製造する工程において、クリーンルーム等の清浄な環境下で加工することにより、該フィルムより形成する袋体の内面に微生物等の汚染や異物付着を防止し、衛生性に優れる積層シートを製造し、それを用いて包装袋を製造することができるが、後工程である流通過程で、得られた積層体をクリーンルームから搬出するため、クリーンな状態を保持することができず、結局のところ、袋体の内部が、外気に晒されてしまい、その結果、微生物等の汚染や異物が付着してしまうという問題点がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意研究の結果、本発明は、包装袋を作製するための巻取り状態の包装材料であって、ヒートシール性をもつ筒状フィルムの外面に当該筒状フィルムより熱軟化温度が高い補強材を接着層を介してラミネートして積層する積層シートを、少なくとも、当該積層シートの両サイドを流れ方向に連続してヒートシール部を設けると共に、当該積層シートの切断端部を幅方向に連続してヒートシール部を設け、巻取り状態で包装材料を流通することによって、包装材料をクリーンルームから搬出後も、包装材料の保管、輸送過程、内容物の充填過程等において、包装材料の内面に微生物等の汚染や異物が付着することなく、クリーン度が高い状態を保持することができ、機械部品、電子部品、宇宙空間での実験用サンプル、飲食品、リンゲル液、輸血液等の医薬品、化粧品等の包装に適した包装製品を提供できるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
図1は、本発明の積層シートの断面概略図であり、図2、図3、図4、図5は、本発明の巻取り状態の包装材料の一実施例であり、図6は、本発明を単列で製袋した場合の配置を示す模式図であり、図7は、本発明を多列で製袋した場合の配置を示す模式図であり、図8は、本発明の袋体の模式図であり、図9は、本発明の補強材とヒートシール性チューブとを貼り合わせる押出しラミネータ装置の一例を示す概略図である。
【0010】
本発明において、上記のような本発明にかかる袋体等を構成する包装材料、その製造方法、流通方法等について説明すると、まず、図1は、本発明の積層シート10の断面概略図であり、図1に示すように、積層シート10は、押しつぶして平面状にしたヒートシール性チューブTの外面に接着層31を介して、当該ヒートシール性チューブより軟化温度が高い補強材5(51及び52)を積層したものである。
前記の補強材5は、外側から印刷絵柄層2を設けた基材フィルム1、1種又は2種以上のバリア層4、ヒートシール層9とを接着層3を介して順次積層したものである。
なお、前記の補強材5において、基材フィルム1は、必須の層であり、印刷絵柄層2、接着層3、バリア層4、及び、ヒートシール層9は、後述するように、必須の層ではなく、適宜必要に応じて設けられる層である。
上記において、本発明における積層シートの内面は、外部から遮断されているため、特に生物的に汚染された粉塵等の異物が存在せず、衛生性に優れ、更に、補強材5により強度を付加されるばかりでなく、基材フィルム1の裏面に設けた印刷絵柄層2を設けることができ、またバリア層4を設けることにより、酸素等の透過を防止するバリア性の機能を付加することができるという利点を有するものである。
【0011】
次に、図2は、本発明に係る巻取り状態の包装材料30の一実施例である。
図2に示すように、本発明の巻取り状態の包装材料30は、袋体20を作製するための巻取り状態の包装材料であって、少なくとも、当該積層シート10の両サイドを流れ方向に連続してヒートシール部6を設けると共に、当該積層シートの切断端部、即ち、巻取りの巻き始め、及び、巻き終わりの部分を幅方向に連続してヒートシール部6Eを設け、その後、巻き取るものである。
上記において、当該積層シートの両サイド及び切断端部を連続してヒートシールすることによって、外部から遮断されているため、クリーンルームから搬出された後、包装材料の流通過程においても、引き続き、包装材料の内面に微生物等の汚染や異物が付着することなく、クリーン度の高い状態を保持することができるという利点を有する。
【0012】
次に、図3は、本発明に係る巻取り状態の包装材料30の別態様を示す模式図である。
図3に示すように、本発明の巻取り状態の包装材料30は、当該積層シートの両サイドと中央部に流れ方向に連続して3列のヒートシール部を設けた後、巻き取るものであってもよい。
また、図4に示すように、本発明の巻取り状態の包装材料30は、当該積層シートの両サイドとそれ以外の部分に更に複数列のヒートシール部を設けた後、巻き取るものであってもよい。
【0013】
図5は、本発明に係る巻取り状態の包装材料30の更に別態様を示す模式図である。
図5に示すように、本発明の巻取り状態の包装材料30は、切断端面以外の部分に幅方向に所望の寸法でボトムシール部61を設けた後、巻き取るものであってもよい。
【0014】
次に、本発明に係る積層シート10を構成する材料について説明すると、ヒートシール性チューブTとしては、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリプロピレンなどの単層チューブばかりでなく、これらまたはこれらとエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物、ナイロンとの共押出し多層チューブをも使用することができる。
上記のヒートシール性チューブTの厚さとしては、包装袋の使用目的等によって任意であるが、約10〜300μm位が好ましい。
【0015】
本発明に係るヒートシール性チューブTは、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂をサーキュラダイスによる通常のインフレーション法(ブローチューブ)で製膜するが、ブローを行う気体(空気)は、0.5μm以下の微粒子をフィルターで濾過除去して用いる。
更に、気体を窒素ガス又は炭酸ガスなどの不活性ガスを用いることは、ダイスに樹脂の酸化物などの固形物の発生を抑制し、またヒートシール性チューブ内における煙の微粒子を減少させるという利点を有する。
【0016】
本発明に係る補強材を構成する基材フィルム1としては、ヒートシール性チューブより軟化温度が高い基材フィルム1であれば制限されず、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド(6ナイロン、6,6ナイロン)樹脂、セルロースアセテート樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物等のプラスチックの延伸又は未延伸フィルムないしシ−トや、その他、紙、アルミニウム箔等を使用することができる。
上記のフィルムないしシ−トの厚さとしては、袋体の使用目的等によって任意であるが、約10〜200μm位が好ましい。
【0017】
本発明に係る補強材を構成するバリア層4としては、光バリア性や酸素ガスバリアーを必要とするときは、アルミニウム箔や、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどに金属アルミニウムの蒸着フィルム(部分蒸着を含む)を用いることができる。
また、バリア層4は、透明な酸素ガスバリア性を必要とする場合、例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂のフィルム、あるいは、ポリ塩化ビニリデン系樹脂やポリビニルアルコールを主成分とする組成物をコ−ティングした樹脂のフィルム、延伸ポリアミド系樹脂のフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物のフィルム、酸化珪素、酸化アルミニウム等の金属酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルム等を使用することができる。
上記において、金属、及び、無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、厚さ50〜3000Å位のものを使用することが好ましく、100〜1000Å位のものが望ましい。
本発明において、上記のバリア性を付与する蒸着層を支持する樹脂のフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレイト等のポリエステル系樹脂フィルム、各種ナイロン等のポリアミド系樹脂フィルム、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリブデン樹脂フィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレイト樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデンフィルム、アセタール系樹脂フィルム、フッ素系樹脂、その他等を使用することができる。
なお、本発明においては、特に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムないしシートを使用することが好ましい。
上記のフィルムないしシ−トの厚さとしては、任意であるが、通常、5〜300μm位が好ましく、10〜100μm位が望ましい。
【0018】
本発明に係る補強材を構成するヒートシール層9としては、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂のフィルムないしシートであれば良い。
例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレンーアクリル酸メチル共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体、エチレンープロピレン共重合体等の樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂ないしはこれらをフィルム化したシートを使用することができる。
また、その厚さとしては10〜100μm位が好ましく、15〜70μm位がより好ましい。
上記において、補強材にヒートシール層9を設けることによって、補強材5のヒートシール層9とヒートシール性チューブTとを溶融押出し接着層31を介して凹凸ロールと平滑ロール間を通して貼り合わせる際、補強材5のヒートシール層9と溶融押出し接着層31とヒートシール性チューブTとが熱溶融されるため、皺もなく、外観にも優れ、層間剥離することなく、充分な層間強度が得られ、補強材のバリア層の機能も充分に発揮することができるという利点を有する。
【0019】
なお、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、対候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスティック配合剤や添加剤等を添加することができる。
その添加量としては、極微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
【0020】
また、必要に応じて、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者等の表示、その他等の表示のために、文字、絵柄、図形、記号等の任意の印刷絵柄層2を基材フィルム1の表面、または、裏面に設けることができる。
かかる印刷絵柄層2は、例えば、通常のインキ組成物を使用してオフセット印刷あるいはグラビア印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷、その他等の通常の印刷法等によって形成することができる。
印刷インキの塗布量は、塗布後の乾燥状態で1〜8μm位が好ましく、2〜3g/m2 がより好ましい。
【0021】
次に、上記の本発明において、上記のような材料を使用して補強材を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、基材フィルム1、1種又は2種以上のバリア層4(中間層)、ヒートシール層9との層間を、通常の包装材料をラミネ−トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ション法、共押し出しインフレ−ション法、その他等で行うことができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理、フレ−ム処理、その他等の前処理をフィルムに施すことができる。
中でも、本発明において、ドライラミネーション法が、接着強度に優れ、より好ましいものである。
【0022】
上記において、ラミネート用接着剤としては、例えば、1液、あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他等の溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型等のラミネート用接着剤を使用することができる。
上記のラミネート用接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。
その塗布量としては、0.1〜10g/m2(乾燥状態)位が好ましく、1〜5g/m2(乾燥状態)位がより好ましい。
【0023】
次に、上述したヒートシール性チューブTと補強材5とを積層して積層シート10を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、例えば、ヒートシール性チューブTと補強材5との層間を、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ション法、共押し出しインフレ−ション法、その他等で行うことができる。
中でも、本発明において、溶融押出し接着樹脂による溶融押出し樹脂層31を介して積層する押出しラミネーション法等で行うことができる。
【0024】
上記において、溶融押出樹脂層31としては、熱可塑性樹脂層からなる樹脂層が使用され、基材フィルム1、1種又は2種以上のバリア層4(中間層)、ヒートシール層9との層間を接着するために使用することができる。
具体的には、接着性の溶融押出樹脂層31の材料としては、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン・αオレフィンとの共重合体樹脂、エチレン・ポリプロピレン共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸エチル共重合体樹脂、エチレン・メタクリル酸共重合体樹脂、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体樹脂、エチレン・マレイン酸共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体をグラフト重合、または、共重合した樹脂、無水マレイン酸をポリオレフィン樹脂にグラフト変性した樹脂等を使用することができる。
これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。
中でも、本発明において、溶融押出性脂層31に使用する樹脂は、比較的熱溶融温度が低い樹脂が好ましく、具体的には、低密度ポリエチレンやエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー等を使用することが、ヒートシール性チューブ内部での熱融着を阻止できるという利点を有するため、より好ましいものである。
その樹脂層の厚みとしては、5〜30μm位が好ましい。
【0025】
上記のように構成された積層シート10は、図1に示すように、補強材51及び他の面に設ける補強材52を同一構成としたり、図示はしないが例えば、いずれか一方をアルミニウム箔を含むメタリック調に、他の面を透明なバリア層(例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリ塩化ビニリデンコートフィルム)を使用して、表裏の構成、外観に変化をもたせることができる。
【0026】
次に、本発明に係る積層シート10の製造方法について説明する。
図9は、本発明の補強材5とヒートシール性チューブTとを貼り合わせて積層体10を製造する装置の一例を示す概略図である。
図9に示すように、まず、第1工程で第1給紙101より前記の補強材51の巻取をセットし、必要に応じて、プライマー塗布工程121にて、ポリエステル・イソシアネート系樹脂等のプライマーを塗布後、乾燥してもよく、次に第2給紙102より前記のヒートシール性チューブTの巻取をセットし、補強材51が第1給紙より供給され、その一面側に溶融した接着層31として溶融押出し樹脂層を押出ラミネーターのTダイス106より押出して塗布すると同時に、溶融押出し樹脂層を補強材51とヒートシール性チューブTとでサンドイッチするように第2給紙102からヒートシール性チューブTを供給し、その後、表面が平滑な冷却ロール132と、ゴムロール131の間に通し、補強材51とヒートシール性チューブTとを熱融着により接着させ、巻き取りロール105に巻き取り、積層シート11を得る。
次に、第2工程で、第1給紙101より別の補強材52の巻取をセットし、第1工程と同様にして必要に応じて、プライマー塗布工程121にて、ポリエステル・イソシアネート系樹脂等のプライマーを塗布後、乾燥してもよく、第2給紙102より上記で得られた積層シート11をセットして、同様にして、補強材52が第1給紙より供給され、その一面側に溶融した接着層31として溶融押出し樹脂層を押出ラミネーターのTダイス106より押出して塗布すると同時に、溶融押出し樹脂層を補強材52と積層シート11とでサンドイッチするように第2給紙102から積層シート11を供給し、その後、表面が平滑な冷却ロール132と、ゴムロール131の間に通し、補強材52とヒートシール性チューブTとを熱融着により接着させ、巻き取りロール105に巻き取り、本発明に係る積層シート10を製造することができる。
また、本発明に係る積層シート10の製造方法は、上記方法に限られるものではなく、例えば、押出ラミネーターが2箇所設置されているいわゆるタンデム機で製造してもよい。
【0027】
上記のようにして得られた積層シート10は、ヒートシール性チューブTの製膜時から、製袋を完了するまで、内面となるヒートシール面を外気に晒されることはなく、微生物等の汚染や異物付着を防止することができ、衛生性に優れるものであり、また、表面に美麗な印刷模様等を形成することができ、外観、バリア性、生産性、コストパフォーマンス等に優れるものである。
また、上記のようにして得られた本発明に係る包装材料30は、少なくとも、積層シート10の両サイドを流れ方向に連続してヒートシール部を設けると共に、積層シート10の切断端部、即ち、巻取りの巻き始め、及び、巻き終わりの部分を幅方向に連続してヒートシール部を設け、その後、巻き取ることによって、外部から遮断されているため、クリーンルームから搬出された後、包装材料の流通過程においても、包装材料30の内面に微生物等の汚染や異物が付着することなく、クリーン度の高い状態を保持することができるという利点を有するものである。
【0028】
図6は、本発明を単列で製袋した場合の配置を示す模式図である。
図6に示すように、上記のようにして得られた衛生性に優れる包装材料をクリーンルーム内に搬入後、製袋して袋体を製造する際に、積層シート10の流れ方向に設けるヒートシール部6で、端部の断裁位置7で断裁し、適宜、ボトムシール部61を所望の間隔でヒートシールすると同時にボトムシール部61から若干(0.5mm〜2mm)離れた位置に断裁位置76を設けて、開口部及びボトム部を形成することができる。
而して、図8に示すように、本発明の袋体20は、幅方向にヒートシール部60でヒートシールすると同時に断裁位置76で積層シートを断裁して、ボトムシール部61及び開口部8をもつ袋体を形成できる。
【0029】
図7に示すように、本発明の積層シート10は、積層体の流れ方向Fに設ける両サイドのヒートシール部6及び断裁位置7の他に、更に積層シート10の中央部にヒートシール部66及び断裁位置72を設けて多列による加工ができる。
まず、積層シート10の流れ方向Fに、断裁位置72を中央に設けたヒートシール部66でヒートシールする。
次に、積層シート10の幅方向にボトムシール部61を設け、ボトムシール部61から若干(0.5mm〜2mm)離れた位置に断裁位置76を設けて、及びボトム部を形成することができる。
もちろん、積層体の加工方向に設けるヒートシール部66、及び断裁位置72は増加して、より多列の加工ができることはいうまでもない。
【0030】
上記のように形成された本発明に係る袋体は、少なくとも、得られた積層シートの両サイドを流れ方向に連続してヒートシール部を設けると共に、切断端部を幅方向に連続してヒートシール部を設け、巻取り状態で包装材料を流通することにより、内面となるヒートシール面は、クリーンルームの外に搬出後の流通過程においても外気から遮断されているため、ヒートシール性チューブの製膜工程から、製袋過程を経て、内容物を充填するまで、外気に晒されることはなく、クリーン度の高い状態を保持することができ、衛生的に非常に優れたものである。
【0031】
本発明において、上記のようにして製造した袋体の内容物としては、例えば、インクジェットノズル、カメラのレンズ、CDのピックアップレンズ、VTRヘッド等の機械部品、ハードディスク、シリコンウェハー、IC・LSI等の電子部品に代表される細かい部分に塵埃等の異物が詰まり、輸送中の衝撃等に付着した異物により傷を受けやすく、それによって性能劣化しやすい精密機器の部品類等が挙げられる。
更に、袋体の内容物としては、例えば、宇宙空間で行った実験で作成したサンプル等にも使用できる。
袋体の内容物が、外部からの塵埃等の異物が付着しない状態で、かつ、アルミ箔仕様の袋体であれば、空気に触れることなく、汚染されることなく、地球に持ち帰り、かつ持ち運びも可能である。
また、本発明にかかる袋体は、上記の精密機器の部品類のような物品の他に、例えば、菓子、調味料類、ス−プ類、果汁類、その他等の飲食品、純水、錠剤、粉薬、リンゲル液、輸血液等の医薬品、その他等の種々の固形物、液状、粘体状の物品が挙げられる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の詳細を実施例について更に説明する。
(実施例1)図1に示すように、厚み15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(基材フィルム1)の、グラビア印刷で絵柄層2を設けた面と、厚み9μmのアルミニウム箔(バリア層4)と、厚み15μmの低密度ポリエチレンフィルム(ヒートシール層9)とを順次積層し、各層間をポリエステル・イソシアネート系の接着剤(接着層3)を用いてドライラミネーションして補強材51及び同一構成の補強層52を形成した。
一方、0.5μmのフィルター濾過したブローガスを用いて、所謂インフレーション方法で、両面コロナ放電処理を施した厚み35μmの直鎖状低密度ポリエチレンチューブ(ヒートシール性チューブT)を作製した。
【0033】
そして、図9に示すような貼り合せ装置にて、第1工程で第1給紙101より上記で作製した補強材51の巻取をセットし、第2給紙102より上記で作製したヒートシール性チューブTの巻取をセットした。
次に、補強材51が第1給紙101より供給され、その一面側に溶融したとして溶融押出し樹脂層(接着層31)を押出ラミネーターのTダイス106より押し出し温度305℃で押出して塗布すると同時に、溶融押出し樹脂層(接着層31)を補強材51の低密度ポリエチレンフィルム(ヒートシール層9)の面とヒートシール性チューブTの片面とをサンドイッチするように第2給紙102からヒートシール性チューブTを供給した。
その後、補強材51とヒートシール性チューブTとを熱融着により接着させ、巻き取りロール105に巻き取り、積層シート11を作製した。
【0034】
次に、第2工程で、第1給紙101より別の補強材52の巻取をセットし、第2給紙102より上記で得られた積層シート11をセットした。
同様にして、補強材52が第1給紙23より供給され、その一面側に溶融した溶融押出し樹脂層(接着層31)を押出ラミネーターのTダイス102より押し出し温度305℃で押出して塗布すると同時に、溶融押出し樹脂層(接着層31)を補強材51、補強材52の低密度ポリエチレンフィルム(ヒートシール層9)の面と積層シート11のヒートシール性チューブT面とをサンドイッチするように第2給紙102から積層シート11を供給し、補強材52とヒートシール性チューブTとを熱融着により接着させ、積層体の巻き取りロール105に巻き取り、本発明に係る積層シート10を作製した。
【0035】
次に、積層シート10を製袋機に取り付けて、巻き始めに積層シート10の切断端部6Eを幅方向にシール巾10mmでヒートシールし、次に、積層シートの両サイド及び中央部を流れ方向に連続してシール巾10mmでヒートシールし、断裁位置7で切断し、次に、200mm間隔に幅方向にシール巾10mmでヒートシールしたものを巻取り、最後に切断端部を幅方向にシール巾10mmのヒートシールして、図5に示すような本発明に係る包装材料30を得た。
上記で製造した包装材料30は、外気から遮断されているため、包装材料30をクリーン度の低い環境下においても、包装材料30の内面に微生物等の汚染や異物が付着することなく、クリーン度が高い状態を保持できる優れたものであった。
【0036】
次に、上記で得られた巻取り状態の包装材料をクリーンルームから搬出し、輸送した。
次に、クリーンルーム内に搬入し、幅方向のヒートシール部から0.5mmに設けた断裁位置76で切断して、ボトムシール部61を設けると同時に開口部8を設けて、外寸、200mm×140mm、シール巾10mmの本発明に係る三方製袋体20を作製した。
上記で製造した三方製袋体20は、開口部8を設けるまで、外気から遮断されているため、クリーン度の低い環境下で流通後も包装材料30の内面に微生物等の汚染や異物が付着することなく、クリーン度が高い状態を保持できたため、衛生性に優れたものであった。
【0037】
上記で得られた三方製袋体20に、精製寒天末を収納し、その後端縁シール領域にてヒートシールして端縁シール部を形成して袋を密封することにより包装体が得られた。
上記で製造した包装体は、少なくとも袋体の内面に微生物等の汚染や異物付着がなく、衛生的なものであり、表面に美麗な印刷模様等を形成することもでき、外観、バリア性等にも優れるものであった。
【0038】
(実験1:粒子数測定)
クリーンルームで実施例1の各袋体にクリーン水を100ml封入し、10分間振盪後において、開封し取り出した水に含まれる粒子数を液中パーティクルカウンターで計数した各サイズの個数を単位面積(個/cm2 )に換算して表1に示す。
【0039】
(実験結果)
【表1】
【0040】
上記の表1に示すテスト結果から明らかなように、三方製袋体20の開口部8を設けるまで外気から遮断されているため、クリーン度の低い環境下で流通後も包装材料の内面に微生物等の汚染や異物が付着することなく、クリーン度が高い状態を保持できており、特に生物的に汚染された粉塵等の異物などが混入せず、衛生性に優れることがわかった。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、ヒートシール性をもつ筒状フィルムの外面に当該筒状フィルムより熱軟化温度が高い補強材を接着層を介してラミネートして積層することを特徴とする積層シートを用いて、少なくとも、前記の積層シートの両サイドを流れ方向に連続してヒートシールし、かつ、切断端部を幅方向に連続してヒートシールし、巻取った状態の包装材料を流通することによって、クリーン度の低い環境下で流通後も包装材料の内面に微生物等の汚染や異物が付着することなく、クリーン度が高い状態を保持できており、特に生物的に汚染された粉塵等の異物などが混入せず、衛生性に優れた包装製品を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の積層シートの断面概略図である。
【図2】 本発明の巻取り状態の包装材料の一実施例である。
【図3】 本発明の巻取り状態の包装材料の一実施例である。
【図4】 本発明の巻取り状態の包装材料の一実施例である。
【図5】 本発明の巻取り状態の包装材料の一実施例である。
【図6】 本発明を単列で製袋した場合の配置を示す模式図である。
【図7】 本発明を多列で製袋した場合の配置を示す模式図である。
【図8】 本発明の袋体の模式図である。
【図9】 押出しラミネータ装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 基材フィルム
2 絵柄印刷層
3 接着層
31 溶融押出し樹脂層
4 バリア層
5、51、52 補強材
6 サイドシール部
66 センターシール部
61 ボトムシール部
6E 切断端部
7、72、76 断裁位置
8 開口部
9 ヒートシール層
10 積層シート
11 積層シート(仕掛品)
20 袋体
30 包装材料
T ヒートシール性チューブ
F 流れ方向
100 押出しラミネータ
101 第一給紙
102 第二給紙
105 巻取り部
106 Tダイス
131 ゴムロール
132 冷却ロール
Claims (6)
- クリーンルームで、内面がヒートシール性をもつヒートシール性チューブをインフレーション法で作製するステップと、
前記クリーンルームで、前記ヒートシール性チューブを平面状に押しつぶすステップと、
前記クリーンルームで、前記押しつぶされたヒートシール性チューブの両外面上に、前記ヒートシール性チューブよりも軟化温度が高い補強材を接着し、積層シートを形成するステップと、
前記クリーンルームで、前記積層シート内の前記ヒートシール性チューブの両サイドを流れ方向に連続してヒートシール部を形成するステップと、
ロールに巻き取られる前記積層シートの巻き始め及び巻き終わりの部分の幅方向において、前記クリーンルームで、前記積層シート内の前記ヒートシール性チューブをヒートシールするステップと、
前記両サイドの流れ方向のヒートシール部が残るように、前記積層シートの両サイドを断裁位置で切断するステップと、
前記両サイドが切断された積層シートをロールに巻き取るステップ
とを含むことを特徴とする包装材料の巻き取り体の製造方法。 - 前記補強材がヒートシール層を備え、前記積層シートを形成するステップにおいて、前記ヒートシール層と前記ヒートシール性チューブを溶融押し出し接着層によって貼り合わせることを特徴とする請求項1に記載の包装材料の巻き取り体の製造方法。
- 前記ヒートシール性チューブよりも軟化温度が高い基材フィルムと、酸素ガスをバリアするバリア層とを接着層を介してラミネートし、前記補強材を形成するステップを更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装材料の巻き取り体の製造方法。
- 前記ヒートシール性チューブよりも軟化温度が高い基材フィルムに絵柄層を設けるステップと、
前記絵柄層と、酸素ガスをバリアするバリア層とを接着層を介してラミネートし、前記補強材を形成するステップを更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装材料の巻き取り体の製造方法。 - 前記ヒートシール性チューブは、ポリエチレンからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の包装材料の巻き取り体の製造方法。
- クリーンルームで、内面がヒートシール性をもつヒートシール性チューブをインフレーション法で作製するステップと、
前記クリーンルームで、前記ヒートシール性チューブを平面状に押しつぶすステップと、
前記クリーンルームで、前記押しつぶされたヒートシール性チューブの両外面上に、前記ヒートシール性チューブよりも軟化温度が高い補強材を接着し、積層シートを形成するステップと、
前記クリーンルームで、前記積層シート内の前記ヒートシール性チューブの両サイドを流れ方向に連続してヒートシール部を形成するステップと、
ロールに巻き取られる前記積層シートの巻き始め及び巻き終わりの部分を含む複数の部分の幅方向において、前記クリーンルームで、前記積層シート内の前記ヒートシール性チューブをヒートシールするステップと、
前記両サイドの流れ方向のヒートシール部が残るように、前記積層シートの両サイドを断裁位置で切断するステップと、
前記両サイドが切断された積層シートをロールに巻き取るステップと、
前記ロールに巻かれた積層シートから、三方のヒートシール部が残るように断裁された三方製袋体を作製するステップ
とを含むことを特徴とする三方製袋体の製造方法。
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