JP4142220B2 - 自動2輪車のサイドスタンド取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は自動2輪車のサイドスタンド取付構造に係り、特に、軽合金フレームへサイドスタンドを取付ける場合に好適な構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許2659551号にはサイドスタンドブラケットをエンジンへ共締めする構造が示され、折り曲げられた2平面からなる取付面を有するサイドスタンドブラケットを相手側取付部へ重ね、各取付面とも同一方向から取付けるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車体フレームの軽合金化が進んでおり、サイドスタンドブラケットを取付ける相手側フレームも軽合金になっている場合がある。しかし、アルミ合金等の軽合金フレームは、特別に大荷重のかかるような条件下での締結に有利ではない。特に、サイドスタンドを出したまま乗車しながらキックレバーを踏むようなことのあるオフロード系の車両では、サイドスタンドブラケットを直接締結する相手部材としては適さず、このような場合には、別の補強部材を用いたり、サイドスタンドブラケットを大型化する等の工夫が必要になる。本願発明は係る問題点の解決を目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願発明に係る自動2輪車のサイドスタンド取付構造は、ヘッドパイプ後方へ延びるメインパイプと、その後端から下方へ延びるピボットフレームを備え、このピボットフレーム下部にサイドスタンドを回動自在に取付けるためのサイドスタンドブラケットを取付けた自動2輪車において、サイドスタンドブラケットは、略L字に屈曲した車体側取付部とこの車体側取付部の屈曲部近傍部に上下方向へ当接して溶接されているサイドスタンドの取付面とを備え、前記車体側取付部は前記ピボットフレームの側面と後面に当接する部分を備え、サイドスタンドブラケットの下端部は、前記ピボットフレームの下端部より上方に位置し、前記車体側取付部を前記ピボットフレームの側面と後面に当接させるとともに、各々当接方向に締め付け具により締結したことを特徴とする。
【0005】
【発明の効果】
サイドスタンドブラケットは2つの異なる平面からなる取付面を有するため、それぞれをピボットフレームの側面と後面へ当接でき、当接した状態で互いに当接方向、すなわち互いに異なる方向から締結する。これにより、サイドスタンドブラケットとピボットフレームの接触面積が増大する。また、各当接面で異なる方向の力を受け止めるため締結強度が向上し、特に軽合金化に対する取付の信頼性が増す。その結果、ピボットフレームが軽合金製であっても十分な締結強度が得られ、大荷重の係るような過酷な用途でもサイドスタンドの取付が可能になる。しかも、目につき易い車体側面側の取付面は従来程度の大きさにしておくことができるので外観を損なわない。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて一実施例を説明する。まず、図1により車体の全体構造を概説する。この自動2輪車はオフロード仕様であり、車体フレーム1の前端部に設けられたヘッドパイプ2にフロントフォーク3が回動自在に支持され、ハンドル4にて操向される。フロントフォーク3の下端部には、前輪5が支持され、同心で設けられたブレーキディスク6とブレーキキャリパ7からなる前輪ブレーキ装置が取付けられている。
【0007】
ブレーキキャリパ7にはブレーキホース8の一端が接続され、他端はハンドル4のブレーキレバー(図示省略)近傍に設けられるマスターシリンダ9へ接続している。ブレーキホース8の中間部はフロントフォーク3にほぼ沿って配設されている。符号3aはフロントフォーク3のアウターチューブ、3bはインナーチューブ、10はヘッドライト、11はゼッケンプレートを兼ねたライトケース(小型のフロントカバー)、12は計器である。
【0008】
車体フレーム1の上面には燃料タンク15が支持され、その後方にシート16が配置されている。シート16は車体フレーム1の後方肩部から後方へ延出するシートレール17上に支持されている。車体フレーム1は側面視ループ形状をなし、水冷式エンジン18を支持している。水冷式エンジン18の吸気口にはシリンダ19の後方から気化器20が接続し、気化器20はコンチューブ21を介してシート下方のエアークリーナ22へ接続されている。
【0009】
排気系は、シリンダ19の排気口に排気管23の前端部が接続するとともに、この排気管23は前方へ延出してから急角度に曲がってコンチューブ21等の吸気系部品と同じ側を上下に離れて後方へ延び、車体後部でマフラー24へ接続している。
【0010】
冷却系は、シリンダ19の前方に配置されて、車体フレーム1に支持されているラジエタ25から水冷式エンジン18のクランクケース26に設けられた水ポンプ(本図では見えない)へ供給され、ここからシリンダ19へ送られてシリンダ19を冷却する。なお、リザーブタンク28がクランクケース26とスキッドプレート29との間に収容されている。
【0011】
車体フレーム1の前部側は、メインパイプ30、ピボットフレーム31、ロアーフレーム32及びフロントダウンパイプ33等により、ループ状に構成される。ピボットフレーム31にはスイングアーム35の前端が揺動自在に軸支される。このスイングアーム35の後端には後輪36が支持され、中間部はリヤクッションユニット37の下端がリンクを介して取付けられ、その他端は上方へ延びてピボットフレーム31へ支持されている。
【0012】
符号37aはリヤクッションユニット37の上端部に設けられるリザーバタンクであり、車体のコンチューブ21及び排気管23の配設された側と反対側に設けられ、排気管23等の通過を阻止するかのような位置へ突出している。34はサイドスタンドであり、ピボットフレーム31の下端部へ回動自在に取付けられている。
【0013】
潤滑系は、車体フレームの一部をフレーム内蔵のオイルタンクとし、クランクケース26のオイルポンプへオイルを供給する。
【0014】
次に、車体フレーム1の構成をより詳細に説明する。図2は、車体フレーム1の側面形状を示し、図3はその背面側を示す。これらの図に明らかなように、車体フレーム1は車体中心に沿って一本のみで配設されるパイプ部材である。ピボットフレーム31は上半側のアッパークロス部40と、下半側のピボットプレート部41とに分かれ、ピボットプレート部41はさらに左右一対で設けられている。
【0015】
アッパークロス部40は鋳造品であって、車体中心に沿って上下に延びてその上端でメインパイプ30の後端部へ溶接される首部42と、その下端部で左右に枝分かれして突出する腕部43とを備える。首部42の後部には、シートレール17の取付用ボス44と、その下方に設けられるリヤクッションユニット37上端の取付用ボス45が一体に形成されている。
【0016】
ピボットプレート部41は内側表面に多数のリブが形成された鍛造品であり、その上端46は腕部43に対して側方から重なってはめ合わされ、当接面で溶接一体化されている。ピボットプレート部41の中間部には、ピボット部47が設けられ、ここでスイングアーム35を軸受けし、下端部48はロアークロス部49に対して側方からはめ合わされて溶接されている。
【0017】
また、下端部48の側面にはスタンドブラケットの取付穴50が形成されている。ロアークロス部49は、図3に示すように左右一対のロアーフレーム32の後端部間を連結している。さらに、ロアークロス部49の上方にも、左右のピボットプレート部41の各中間部間を斜めに連結するクロスプレート51が設けられている。
【0018】
図3に示すように、リヤクッションユニット37は、上端を取付用ボス45へ支持されて上下方向へ配設され、その中心は車体の上下方向中心線Cに対して左方へ偏位している。
【0019】
図4はロアーフレーム32部分を下方から示す図であり、ロアーフレーム32は後端部をロアークロス部49で連結されるとともに、前端部側は幅狭になって、フロントダウンパイプ33の下端部に設けられたジョイント部材52へ連結する。ジョイント部材52は、下方が二股状をなす部材であり、その股部にドレイン穴53が設けられている。
【0020】
ジョイント部材52は、内蔵オイルタンクを兼ねるフロントダウンパイプ33の下端部を閉鎖する部材としての機能を備える。図2に示すように、フロントダウンパイプ33は、熱伝導性の優れたアルミ合金を用いてヘッドパイプ2と一体に鋳造されるタンク部54を構成している。タンク部54の後部にはメインパイプ30と連結される補強パイプ55が連結されている。
【0021】
また、ヘッドパイプ2の上部とメインパイプ30の前端との接続部にブリーザパイプ56が設けられ、ブリーザチューブ57によりシリンダ19の上部と接続している。さらにその近傍には、オイル戻し口が設けられ、ここにオイル戻りパイプ58がクランクケース26下部のオイルポンプから配管されている。
【0022】
次に、サイドスタンドブラケットの取付構造を説明する。図5及び図6はサイドスタンドブラケットをそれぞれ異なる方向から示す図であり、サイドスタンドブラケット60はサイドスタンド34の取付面61を有し、ここにサイドスタンド34の回動軸を取付けるための穴62及びリターンスプリング(図示省略)の一端を係止する突起63が設けられている。
【0023】
また、サイドスタンドブラケット60には、車体側取付部65が溶接されている。車体側取付部65は略L字に屈曲した部材であり、この屈曲部66の近傍部を取付面61に当接して溶接している。車体側取付部65はほぼ直交する二平面である取付面67,68を備え、取付面67はピボットフレーム31の下端部側面70、取付面68はピボットフレーム31の下端部後面72にそれぞれ重なる。各取付面67、68はボルト穴69a,69bが設けられている。
【0024】
一方、サイドスタンドブラケット60を取付ける相手側となるピボットフレーム31の下半部側を構成するピボットプレート41は、アルミ合金等の軽合金を用いた鍛造品であり、その下端部側面70に取付面67の重なる座面71が形成され、ここに内周に雌ネジが形成されてナットになっている取付穴50が上下2ヶ所設けられている。
図1・2・5〜8を参照すると明らかなように、サイドスタンドブラケットの下端部は、前記ピボットフレームの下端部より上方に位置している。
【0025】
さらに、この図では明らかでないが、ピボットプレート41の後面72にも、一ヶ所のナット穴73が設けられている。取付穴50は取付面67のボルト穴69aに対応し、ナット穴73は同69bに対応している。
【0026】
次に、本実施例の作用を説明する。サイドスタンドブラケット60をピボットプレート41の下端部に対して、その下端部側面70に取付面67を、後面72に取付面68をそれぞれ重ねボルト穴69aを対応する取付穴50とそれぞれ一致させて、側方よりボルト74で締結する。一方、ボルト穴69bを対応するナット穴73と一致させて、後方よりボルト75で締結する。
【0027】
これにより、サイドスタンドブラケット60は取付面67と取付面68の2面でピボットプレート41側へ接触するので、ピボットプレート41側の接触面積はサイドスタンドブラケット60を強固に取付けるに十分であり、かつピボットプレート41が軽合金製であっても十分大荷重に耐えるに足る大きさを確保でき、その結果、サイドスタンドブラケット60の取付部におけるピボットプレート41側は変形に耐えることができる。
【0028】
したがって、サイドスタンド34を立てて車体に乗ったままの状態で、キックレバーをキックするような、オフロード系特有の用途であって、サイドスタンドブラケット60及びこれを締結したピボットプレート部41側に過酷な使用条件であっても、これに十分に耐えることができる。したがって、軽合金製ピボットプレート41を用いたオフロード系車両に好適なものとなる。
【0029】
そのうえ、サイドスタンドブラケット60を直交した異なる2面で取付けるようにしたので、外観上目につき易い側面側の取付面67は、従来の鉄製ピボットフレーム31におけると同様の大きさに止めることができ、不必要に大きくしないで済むため、外観を良好に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の適用された自動2輪車の全体側面図
【図2】その車体フレーム要部の側面図
【図3】その背面図
【図4】その底面図
【図5】サイドスタンドブラケットの外観を示す図
【図6】これを別方向から示す図
【図7】後輪36の側面図
【図8】取付け法を説明する図
【符号の説明】
1:車体フレーム、18:エンジン、30:メインパイプ、31:ピボットフレーム、41:ピボットプレート、47:クロスプレート、60:サイドスタンドブラケット、67:取付面、68:取付面、70:下端部側面
Claims (2)
- ヘッドパイプ後方へ延びるメインパイプと、その後端から下方へ延びるピボットフレームを備え、このピボットフレーム下部にサイドスタンドを回動自在に取付けるためのサイドスタンドブラケットを取付けた自動2輪車において、サイドスタンドブラケットは、略L字に屈曲した車体側取付部とこの車体側取付部の屈曲部近傍部に上下方向へ当接して溶接されているサイドスタンドの取付面とを備え、前記車体側取付部は前記ピボットフレームの側面と後面に当接する部分を備え、サイドスタンドブラケットの下端部は、前記ピボットフレームの下端部より上方に位置し、前記車体側取付部を前記ピボットフレームの側面と後面に当接させるとともに、各々当接方向に締め付け具により締結したことを特徴とする自動2輪車のサイドスタンド取付構造。
- 前記自動2輪車がオフロード系の車両であることを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車のサイドスタンド取付構造。
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