JP4142140B2 - ワイヤカット放電加工装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤ電極を走行させつつこれと被加工物との間で間欠的に放電を生ぜしめつつ放電加工を行なうワイヤカット放電加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
走行するワイヤ電極と被加工物との間で微細な放電を生ぜしめつつ、加工を行なって金型等を作る装置としてワイヤカット放電加工装置が知られている。この種の装置では、一般に、被加工物を比較的大きい放電エネルギを得られる加工条件で切断し、その後に比較的小さい放電エネルギを得られる加工条件で上記切断された被加工物の端面(加工面)を仕上げ加工している。加工面を仕上げ加工するときには、段階的に加工条件の値を小さくして繰り返し行なうことが多い。これらの複数の加工工程は、その順番に従って、ファーストカット、セカンドカットと呼ばれている。現在、仕上げ工程の簡略化或いは最終的な仕上げ加工面の凹凸をなくす磨き工程の簡略化の要請により、加工面粗度がより小さくなる加工装置或いは加工方法が求められている。
【0003】
このような要請に応えて、例えば、特開平7−266138号公報に開示されたようなワイヤカット放電加工装置においては、水系加工液を媒体としてワイヤ電極と被加工物との間隙に1MHz程度の高周波交流電圧を印加して加工することができるようになり、前後のパルス電流の波形がつながることなく、すなわち放電を持続させずに放電エネルギをより小さくすることが可能になった。その結果、最終的な仕上げ加工面が1μmRmax程度までの加工面粗度で加工できるようになった。
また、例えば[電気加工学会誌]1991年Vol.24,No.48,P45〜P63に発表された[ワイヤ放電加工における高精度仕上の研究]の記事も、1MHz以上の高周波の交流電圧を供給できることが可能であれば、0.5μmRmaxかそれ以下の加工面粗度も期待できることが説示されている。
【0004】
通常、ワイヤカット放電加工によって加工された被加工物の加工面は、放電加工に特有の面状態になっているので、その面粗度に応じて被加工物の加工面に対して所定の磨き工程を必要としている。上述したワイヤカット放電加工の進歩は、加工工程数を減らしたり、この磨き工程が不要になるか、短縮できるものとして、期待されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、微細な加工面粗度(特に1μmRmax前後以下)を得ようとする場合には、前述の通り放電エネルギを小さくしなければならないために、ワイヤ電極と加工面との間隙の距離が狭くなり、静電気力の影響を受け易くなる。
すなわち、間隙の距離が比較的大きく、放電反発力も十分にある場合には、静電気力の影響はほとんど現われないが、1μmRmax以下、特に、0.5μmRmax以下の面粗度を得られるような加工条件になってくるとワイヤ電極は静電気力の支配下に置かれてしまう。図8は間隙距離と静電気力との関係を種々の板厚について示したグラフであり、間隙距離が小さいとそれに略逆比例的に静電気力が大きくなる。
【0006】
ここで問題となるのは、ワイヤ電極とそのワイヤ電極に給電する通電体との接触や加工液噴流などによる影響(以下、外乱という)により、また、ワイヤガイドに微小なクリアランスがあるためにワイヤ電極の軸中心位置が移動することによりワイヤ電極と被加工物との間隙の距離は、加工中も常に微小に変化しているという点である。上述のように静電気力が間隙距離の2乗に反比例する関係にあるため、間隙の距離が変化すると大きな力の変化としてその力がワイヤ電極に働くので、その力が外乱等による微小な間隙の距離の変化を増幅するように作用したとき、ワイヤ電極が被加工物面側に向かって急に引き付けられるように動く。
【0007】
このように、ワイヤ電極が予定された間隙の距離よりも狭くなると、より放電が発生し易くなって放電頻度も多くなり、その結果、ギャップの電圧は低下するので、今度は静電気力が低下してワイヤ電極が被加工物側から本来の位置に向かって戻るように運動する。そして、このような運動が繰り返し生じる結果、加工面形状が所望の平坦な面にはならず、“うねり”が生じた形状になってしまう。上述したような、端面仕上げ加工であって放電エネルギを小さくして加工するワイヤカット放電加工の仕上げ加工において、とりわけ顕著に生じる。
【0008】
この”うねり”は実際上は1μm程度の深さ、或いは高さの縦線状の凹凸であり、加工面に筋が発生しているように見える。これまでのような仕上げ面粗度が3〜5μmRmax以上の場合では、このような小さなうねりはほとんど識別できず、その存在と問題の重要性があまり気が付かれていなかった。しかし、1〜2μmRmax以下の仕上げ面粗度の加工が可能になってくると、このようなうねりも重要な問題になってきた。
【0009】
図10はこのようなうねりが発生する状態を説明する図であり、被加工物の加工面とワイヤ電極との位置関係を拡大して示している。被加工物2の加工面4に沿って例えば直径0.2mm程度のワイヤ電極6を移動させて仕上げ加工を行なうが、ワイヤ電極6は予定の経路8を移動せず、前述のように外乱と静電気力等との関係でワイヤ電極6は加工面4に接近したり、離反したりして例えばジグザグ状に移動する電極軌跡10を描くことになる。尚、図示例では、加工面の基準線12に対して予定の面粗度は1μmRmaxに設定している。
この結果、放電ギャップは推定で1〜5μm程度の範囲内で変化すると考えられるので加工面4に波状のうねりが発生してしまう。電気的な加工条件や送り速度、或いはワイヤ電極径などにもよるが、概ねこのうねりの長さL1は0.1〜0.5mm程度、幅L2は1〜2μm程度である。
実際問題としてこのような被加工物が例えばプラスティック用金型であった場合には、うねりの溝部分から樹脂材料が入り込むことにより金型の寿命が短くなってしまう。また、被加工物が例えば押出ダイスであった場合には、そのダイスで成形される製品にうねり(筋)がはっきりと転写されてしまう。そのため、せっかく極めて高い面粗度の加工を行いながら、結局のところ磨き工程などの加工品の仕上げ工程を従来通りに行なわなければならないといった問題がある。
【0010】
更に、放電ギャップを所要の加工が行えるように維持するために、間隙の電圧が一定になるように加工送りを制御するサーボ方式により間隙の距離をコントロールしているものもあるが、このような加工送り方式は、単位時間当たりの放電の発生する頻度が多くなって間隙の平均加工電圧が低くなったときに、加工送り速度が減速するようにされるので、上述した静電気力の影響による間隙の距離の変化を解消することはできない。そればかりか、予め想定されている加工送り速度よりも遅くなったときには、その場所の加工が他の箇所に比べて進んでしまうので、しばしばうねりを悪化させてしまうことさえある。
【0011】
尚、特開平5−8122号公報には、板厚の変化などにより静電気力と放電反力とのバランスが変化することにより生じるワイヤ電極の撓みに起因して加工形状が太鼓形状になることを防止しようとする点が記載されているので、加工面上に形成されるうねり(筋ないし溝状の窪み)を防止する技術を開示するものではないが、静電気力と放電反力の作用について参照される。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、加工面にうねりが形成されることを防止することができるワイヤカット放電加工装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に規定する発明は、一対のワイヤガイド間に張架されるワイヤ電極と被加工物との間隙に放電加工用の電圧を印加する電源装置と、間隙の電圧を検出する検出装置と、ワイヤ電極と被加工物とを相対的に移動させる相対移動装置と、予め設定された所定の加工経路に沿ってワイヤ電極と被加工物とを相対移動させると共に間隙の電圧に応じて所定の加工経路に対して直交する方向にサーボさせるように相対移動装置を制御する制御装置と、を有するワイヤカット放電加工装置において、制御装置は、少なくとも加工経路に沿ってワイヤ電極と被加工物とが相対移動する方向と移動量とを示す軌跡データと予め設定された送り速度を示す設定速度データとを含む軌跡指令信号と、加工経路が加工面に対してその進行方向のどちら側に位置するかを示すオフセット方向データを含むオフセット方向信号と、を加工経路に基づく相対移動軌跡を所定に分割して得られる分割距離に基づいて出力する主演算装置と、主演算装置から出力された分割距離に基づく軌跡データとオフセット方向データから加工経路に直交する軌跡の方向を示す直交方向データを得るとともに、検出された間隙の電圧と基準電圧とを比較して偏差電圧を得て、ワイヤ電極と被加工物とが加工経路に沿って分割距離相対移動する間に直交方向に偏差電圧に従う移動量相対移動するように得られた直交方向データと偏差電圧とを含むサーボ指令信号を出力するサーボ制御装置と、主演算装置から出力された軌跡指令信号とサーボ制御装置から出力されたサーボ指令信号とから相対移動装置の各移動装置を同期させて移動させるとともに加工経路に基づく相対移動軌跡と直交する方向のサーボに基づく相対移動軌跡との合成された相対移動軌跡にしたがってワイヤ電極と被加工物とを相対移動させる相対移動指令信号を出力する相対移動指令装置と、を含んでなることを特徴とする。
【0014】
請求項2に規定する発明は、一対のワイヤガイド間に張架されるワイヤ電極と被加工物との間隙に放電加工用の電圧を印加する電源装置と、間隙の電圧を検出する検出装置と、ワイヤ電極と被加工物とを相対的に移動させる相対移動装置と、予め設定された所定の加工経路に沿ってワイヤ電極と被加工物とを相対移動させると共に間隙の電圧に応じて所定の加工経路に対して直交する方向にサーボさせるように相対移動装置を制御する制御装置と、を有するワイヤカット放電加工装置において、制御装置は、少なくとも加工経路に沿ってワイヤ電極と被加工物とが相対移動する方向と移動量とを示す軌跡データと予め設定された送り速度を示す設定速度データとを含む軌跡指令信号と、加工経路が加工面に対してその進行方向のどちら側に位置するかを示すオフセット方向データに基づいて得られる加工経路に直交する軌跡の方向を示すデータを含む直交方向信号と、を加工経路に基づく相対移動軌跡を所定に分割して得られる分割距離に基づいて出力する主演算装置と、検出された間隙の電圧と基準電圧とを比較して偏差電圧を得て、ワイヤ電極と被加工物とが加工経路に沿って分割距離相対移動する間に直交方向に偏差電圧に従う移動量相対移動するように偏差電圧信号を出力するサーボ制御装置と、主演算装置から出力された軌跡指令信号および直交方向信号とサーボ制御装置から出力された偏差電圧信号とから相対移動装置の各移動装置を同期させて移動させるとともに加工経路に基づく相対移動軌跡と直交する方向のサーボに基づく相対移動軌跡との合成された相対移動軌跡にしたがってワイヤ電極と被加工物を相対移動させる相対移動指令信号を出力する相対移動指令装置と、を含んでなることを特徴とする。
【0015】
これにより、ワイヤ電極と被加工物の加工面とが過度に接近しようとすると間隙の電圧が下がってワイヤ電極を加工面から遠ざける方向に作用し、逆に、加工面から過度に遠ざかろうとすると間隙の電圧が上がってワイヤ電極を加工面に近付ける方向に作用する。結果的に、ワイヤ電極は被加工面から略一定の距離を維持しつつ、略加工経路に沿って相対移動して行くので、加工面にうねりが発生することを防止することができる。
【0016】
制御装置には、予め設定された所定の加工経路に基づいて前記加工経路に沿って相対移動させる軌跡指令信号を出力する主演算装置と、前記検出された間隙の電圧と基準電圧とを比較して得られた偏差に基づいて前記加工経路に略直交する方向へ相対移動させるサーボ指令信号を出力するサーボ制御装置と、前記サーボ指令信号と前記軌跡指令信号とに基づいて前記ワイヤ電極と被加工物を相対移動させる相対移動指令信号を出力する相対移動指令装置と、前記相対移動指令信号を前記相対移動装置の各モータの制御パルスに変換して出力する駆動パルス発生装置とを含んだ構成とする。或いは前記軌跡指令信号と前記加工経路に略直交する軌跡方向を示す直交方向信号とを出力する主演算装置と、前記偏差に基づく偏差電圧信号を出力するサーボ制御装置と、前記軌跡指令信号と前記直交方向信号と前記偏差電圧信号とに基づいて前記ワイヤ電極と被加工物とを相対移動させる相対移動指令信号を出力する相対移動指令装置と、前記相対移動指令信号を前記相対移動装置の各モータの制御パルスに変換して出力する駆動パルス発生装置とを含んだ構成としてもよい。
また、電源装置から供給する加工用の電圧は、周波数が1MHz以上の高周波とするのが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のワイヤカット放電加工装置の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明の第1実施例のワイヤカット放電加工装置を示す構成図、図2は図1に示す装置の制御装置を示すブロック構成図である。
図1において、2は被加工物であり、これは超硬鋼、鉄、アルミニウム、ステンレス等の導電性材料よりなる。6はワイヤ電極であり、これは主成分が黄銅、タングステン、鉄等の導電性材料よりなる。
【0018】
<ガイド装置>
14は上側ワイヤガイドであり、実施例装置の場合には、ワイヤ電極6は図面上側から供給されて上側ワイヤガイド14に位置決め案内されつつ、被加工物2の加工部を通過し、図示しない下側ワイヤガイドを経て回収される。ワイヤ電極6の供給及び排出の機構は従来公知の装置が利用できる。ワイヤ電極6は、これら少なくとも上下一対のワイヤガイド14に位置決め案内されながら、上方から下方へ走行してワイヤ電極6の新しい部分が常に加工部に供給されて使用した部分が回収される。また、これらのワイヤガイドは、U、V軸方向へ移動可能になされている。
16は通電体であり、電源装置28の直流電源または交流電源の一方の端子に接続されており、これがワイヤ電極6と電気的に接触してワイヤ電極に給電する。尚、図示しないが、通電体は下側ワイヤガイドの近傍にも設置されている。
【0019】
<相対移動装置>
次に、相対移動装置18について説明する。この相対移動装置18は、加工テーブル20X、20Yと、サーボモータ22X、22Yと、位置検出器24X、24Yとよりなる。
一方の、例えばY方向へ移動する加工テーブル20Yは、ベッド26上にY軸方向に移動可能に載置されて、更にこの加工テーブル20Yの上部にX軸方向に移動可能に他方の加工テーブル20Xが搭載されている。このような構造以外に、例えば図示しないコラム上部に設けられた加工ヘッド部を移動可能にする構造など種々のタイプがあり、何れの構造であってもよい。
図示しないZ,U,Vの各軸方向についてもそれらの軸を駆動するモータが設置される。
【0020】
各位置検出器24X、24Yは実施例ではロータリエンコーダを各サーボモータ22X、22Yと同軸に設けているが、好ましくは、検出精度の高いリニアスケールを設置するのがよい。尚、ワイヤ電極の位置は、加工テーブル20X、20Yとワイヤガイド14の相対位置によって決まるのは勿論である。
【0021】
<電源装置>
加工用の電源装置28は直流電源を含み、その一端子を上記通電体16に、他の端子を被加工物2に接続する。極間に交流電流を供給する場合は、例えば電源装置の直流電源と加工間隙との間に直流−交流変換装置を設ける。電源装置中に少なくとも1つのスイッチング素子と、必要に応じて電流制限抵抗やインダクタンス素子などの部材を設け、また、スイッチング素子をオンオフ制御するゲート信号を供給するパルス発生装置が含まれる。
検出装置31はワイヤ電極6と被加工物2との間の加工間隙の電圧を検出する。これは従来公知の構成の装置が利用できる。実施例では、検出した間隙電圧をサンプルホールドしてA/D変換し、この平均加工電圧の信号としてサーボ制御装置32に出力している。
【0022】
<制御装置とその付属装置>
次に、制御装置30とその付属装置について説明する。
この制御装置30は、サーボ制御装置32、主演算装置34、記憶装置36、相対移動指令装置38及び駆動パルス発生装置40を含んで構成される。また、LCDやCRTといった図示しない表示装置が適宜併設される。
【0023】
サーボ制御装置32は検出装置31からの平均加工電圧を入力し、これと予め設定された基準電圧との差を求める。求めた偏差電圧値に基づいて所定のゲインを付与された偏差電圧信号を得る。この偏差電圧信号は、平均加工電圧と基準電圧との差がプラスの時はプラス、マイナスの時はマイナスの信号として連続的に出力される。ある検出期間において出力された信号は、次の検出期間において信号が出力されるまではその信号を出力し続けるので、サーボの応答性が高すぎる場合には、次の検出期間の信号が出力されるまでに目的の位置を通り過ぎてしまい、いわゆるハンチングを発生させる恐れがある。このため、サーボゲインと基準電圧は、間隙の距離を決定する加工条件に応じて適切な値が設定される。更に、この実施例の構成では、サーボ制御装置32は、解読されたNCプログラムで得られる所定の加工経路のデータに基づいて求められた所定分割軌跡毎の移動方向のデータを含む軌跡信号と、前記加工経路が加工面(プログラム軌跡)に対してその進行方向のどちら側に位置するかを示すオフセット方向データを含むオフセット方向信号を入力し、前記加工経路に直交する方向に対してワイヤ電極をサーボ移動させるようなサーボ指令信号を出力する。
【0024】
主演算装置34はNCプログラムの解読、解読されたNCデータやその他の設定データ(変更可能な内部の設定データや入力装置42のスイッチ等を解して入力された所定値)に基づく各装置への指令信号の出力、図示しない表示装置への信号の出力、所要の計算を行う機能などを有する。少なくとも1つのCPUやROMなどの電子部品で構成される回路で成り、制御プログラムにしたがって駆動する。コンパレータなどの他の電子部品でも一定の演算が可能であるので、必ずしも全ての動作をCPUで管理する必要ない。また、各種演算を複数のCPUに分散させて複数の動作を平行に処理できるようにしてもよく、主演算装置の機能を必ずしもこの実施例のように構成する必要はない。
【0025】
この実施例における主演算装置34の重要な機能は、NCプログラムを解読し、解読された相対移動に関するNCデータから所望の加工形状に基づく相対移動軌跡の補間を行って、軌跡信号(所定分割軌跡毎の移動方向と移動量のデータを含む)をサーボ制御装置32と相対移動指令装置38へ出力することである。また、予め設定された送り速度(F値)を示すデータを含む設定速度データを相対移動指令装置38へ、予め設定されたオフセット方向データに関するオフセット方向信号をサーボ制御装置32へそれぞれ出力することである。2つ以上の直線軸方向に移動する相対移動装置18(XY軸方向に移動する加工テーブル等)により相対移動軌跡に沿ってワイヤ電極と被加工物を相対移動させる構成の装置では、一般に、予めNCプログラムでプログラムされた所望の加工形状(NCプログラム軌跡)が円弧形状(円弧補間)である場合は、その円弧軌跡を微小な直線に分割して相対移動指令値を演算している。図3はその時の状態を模式的に示している。従って、実際の移動軌跡は、微小な直線の集合である。主演算装置34において演算可能な相対移動装置18の[最小駆動単位]以下の移動が不可能になる長さに分割しても、実際にそれよりも小さい移動量で相対移動装置18を動かすことができない。
【0026】
図3に示されるように、ここでは、サーボによる相対移動が、加工経路に基づく相対移動軌跡に対して±90°方向にサーボ動作を行わせるようにしている。サーボ制御装置32において、現在ワイヤ電極が存在する相対位置を基準にして移動方向を求めても、ワイヤ電極の位置は常に移動していて、加工面に対して接近させるか開離させるかというサーボの方向も変わるので、上記加工経路が直線である場合(直線補間)でも、サーボの方向を決定するために微小な直線に分割して演算する。このように、直線補間においても微小な直線に分割してサーボ方向を決定する場合は、最小駆動単位に基づいて分割することが、演算処理上も実際の加工の上でも都合がよい。尚、以下では、前記軌跡データと前記設定速度データを含む加工経路に基づく相対移動軌跡に関する相対移動制御に必要なデータ軌跡指令として説明する。
【0027】
尚、ここでは、モータ制御パルスの1パルス(1指令信号)で各相対移動装置が移動する距離を最小駆動単位としており、最小駆動単位は、サーボモータの分解能等の機械装置の条件に基づいて設定され、現在多くは、1パルスで1μm移動するように設定されているが、最近では1パルスで0.1μm移動するように設定できる装置もある。このとき、サーボ制御装置32と相対移動指令装置38には、それぞれに同一の軌跡指令信号が出力されればよい。
【0028】
入力装置42は実施例の装置では、各種スイッチやセンサの他、例えばフロッピーディスクドライブ装置のような外部データを読み取る装置を含む。
記憶装置36はそれぞれの加工に必要なデータを一時的に記憶させておく装置である。
相対移動指令装置38には、サーボ制御装置32のサーボ指令信号と主演算装置34からの軌跡指令信号とが入力される。1つの軸方向に対して移動装置は1つであるから時間的にはそれぞれの信号が同期することになり、各軸において2つの信号が加算された値が相対移動指令信号として出力される。そのため、実際の相対移動装置18は、加工経路に基づく相対移動軌跡の方向とその軌跡に対して±90°の方向とが合成された軌跡に沿って移動するものであり、ワイヤ電極は加工経路に基づく相対移動軌跡の方向とその軌跡に対して±90°方向とに交互に相対移動されるわけではない。テーパカット加工のような場合は、X軸とY軸方向の相対移動の他に、例えばU軸とV軸の相対移動を行うが、その場合は、それらの移動軸のモータ制御ドライバを含むUV軸の相対移動装置を設ける。テーパカット加工では、移動に伴って上下のワイヤガイドの相対座標位置が変化するが、ワイヤ電極の傾きは維持されるので、サーボ動作だけを取り出して考えれば、上側ワイヤガイドと下側ワイヤガイドとの相対位置関係は変化しない。
【0029】
従って、U軸とV軸に限って言えば、NCプログラムにしたがった軌跡指令に基づいて制御されるもので、従来の装置の構成を採用すればよい。このときの実際のワイヤ電極の動きは、NCプログラムでプログラムされた加工経路とテーパ角度に基づく各軸の相対移動と、サーボ指令に基づく相対移動とが合成された動作になる。
【0030】
駆動パルス発生装置40は相対移動指令装置38からの相対移動指令信号(速度指令値)に応じて各軸のモータ制御ドライバ44X、44Y等にモータ制御パルスを所定の比率で分配出力する。従って、所定時間内に出力されるモータ制御パルス数分それぞれの移動装置が同期して移動することにより、換言すれば、各軸の移動装置の速度が制御された状態で、結果的に所定の軌跡にしたがってワイヤ電極と被加工物とが相対移動される。ここでは便宜上、加工テーブル移動用のドライバに言及しているが、実際にはワイヤガイドの移動用のドライバ(Z軸、U軸、V軸)へのパルス分配も行なわれる。
このモータ制御ドライバ44X、44Yは、モータ制御パルスにしたがって各軸のモータ22X,22Yを駆動制御する。また、位置検出器24X、24Yからの信号をフィードバックして位置決め制御を行っている。
【0031】
次に、図2に基づいて制御装置30のブロック図について説明する。
サーボ制御装置32は、基準電圧設定部46、減算器48、直交方向演算部50及びサーボ指令発生部52を含む。
基準電圧設定部46は主演算装置34から出力される予め設定されているサーボ基準電圧に基づいて基準電圧信号を得てホールドする。この基準電圧信号は、減算器48に常時出力される。基準電圧は、一般に間隙の距離を決定する他の加工条件やパラメータに応じて、加工条件として設定される。
【0032】
減算器48はコンパレータなどで構成され、検出装置31からの平均加工電圧が入力されると、これを基準電圧と比較してその偏差を出力する。平均加工電圧が基準電圧よりも高い場合は、間隙の距離が予定された値よりも離れているので近づける方向に偏差電圧信号を出力し、平均加工電圧が基準電圧よりも低い場合は間隙の距離が近いので離れる方向に偏差電圧信号を出力する。
直交方向演算部50は主演算装置34からの所定の分割された軌跡毎の軌跡方向データ(軌跡信号)と加工面方向データ(オフセット方向信号)を得てその経路に対して直交方向(±90°)を演算し、その方向に関するデータを直交方向信号として出力する。すなわち、最小駆動単位の軌跡からその軌跡に直交する直線の方向を求める。サーボ指令発生部52は偏差電圧信号に比例し、且つ直交方向演算部50から得た直交方向に従うサーボ指令信号を出力する。
【0033】
次に、主演算装置34について説明する。
この主演算装置34は、主演算部54、軌跡指令発生部56及び設定値出力部58を含む。
主演算部34はNCプログラムの解読などの加工プログラムの実行などを行っている。軌跡指令発生部56は解読された相対移動に関するデータに従って加工経路に基づく相対移動軌跡を補間して軌跡信号を出力する。設定値出力部58は主演算装置34に入力された設定値を各装置へ出力する。ここでは、特にサーボ制御装置32に基準電圧とオフセット方向データを出力し、相対移動指令装置38に設定速度データを出力する。
【0034】
以下に、相対移動指令装置38において、そこに入力される信号と出力される相対移動指令信号の関係をより具体的に説明する。図4は、入力される信号が含むデータと出力される信号が含むデータとの関係を示す概念図を仮想座標上に描いたものであり、実線で示される2本の座標軸線の方向は相対移動装置18の2つの加工テーブルが移動するX軸及びY軸方向を示すものとし、各軸の最小駆動単位は1μmとする。
加工経路に基づく相対移動軌跡は、その形状に関わらず所定の距離に分割される。図4に示されるように、分割されたある一つの加工経路方向の相対移動指令値は、概念上ベクトルで表すことができる。このベクトルの示す方向が相対移動方向であり、その長さは予め設定された送り速度で移動する移動量すなわち上記分割距離である。従って、この相対移動指令値は、主演算装置34から出力される少なくとも相対移動方向と移動量を示す軌跡データと予め設定された送り速度を示す設定速度データとを含んだ軌跡指令信号を入力して得られる。
【0035】
一方、サーボ制御装置32から出力されるサーボ指令値は、加工経路に基づく相対移動軌跡と直交する相対移動軌跡の方向を示す直交方向データと偏差電圧に従う移動量のデータとを含んでいる。加工経路方向の相対移動指令値と同様にベクトルで表すと、このベクトルの示す方向がサーボする方向であり、このベクトルの長さは、前記設定された送り速度で加工経路方向に前記分割距離移動する間に、相対移動軌跡と直交する方向に移動する移動量である。このとき、加工面に対する加工経路の位置が予めNCコードG41(進行方向左)とG42(進行方向右)を解読したオフセット方向データによりわかるので、[加工面方向]が識別でき、直交方向演算部50において、このオフセット方向データと主演算装置34から入力される軌跡信号に含まれる軌跡方向データとにより、直交方向データが得られている。そして、偏差電圧を得た時点で±90°何れの方向にどれくらいの量サーボさせるかが決定される。尚、上述の通り、加工経路方向の送り速度は一定であり、その間に得られるサーボ方向の移動量は偏差電圧により変化するから、サーボ速度は間隙の状態により変化する。
【0036】
軌跡指令信号(相対移動指令値)とサーボ指令信号(サーボ指令値)が合成された相対移動軌跡指令値は、図4に示されるように、上記2つのベクトル和で求められる。そのベクトルの方向は、前記合成された相対移動軌跡における移動方向を示し、そのベクトルの長さは加工経路方向に設定された送り速度で分割距離移動する間に前記合成された相対移動軌跡方向に移動する移動量を示している。この合成された相対移動指令値のベクトルを相対移動装置18が実際に移動できる方向であるX軸成分とY軸成分に分解すると、図4に示されるようなベクトルで表される。このX軸方向のベクトルがX軸方向の相対移動指令、Y軸方向のベクトルがY軸方向の相対移動指令であり、駆動パルス発生装置40に出力される。この時、相対移動指令信号は、従来の相対移動指令装置がそうであったように、[速度指令値](速度に比例する電圧信号)として出力される。
【0037】
図4に示される例では、最小駆動単位を1μmとすると、所定時間にX軸はマイナス方向におよそ0.75μm、Y軸はプラス方向におよそ0.1μm移動するように、各軸の相対移動指令値を得る。尚、最小駆動単位以下は実際には移動されないので、最小駆動単位以下の値は修正されなければならない。例えば、最小駆動単位以下の端数を四捨五入してX軸を−1μm、Y軸を3μmとする。このような修正は、演算回路により演算して信号を出力しても、論理回路によりモータ制御パルスの出力のタイミングを調整するようにしても可能である。このような修正の結果、駆動パルス発生装置40から所定のタイミングで、モータ制御ドライバ44Xに戻る方向に1パルス、Y軸のモータ制御ドライバ44Yに進む方向に3パルスそれぞれモータ制御パルスが分配出力されて、ワイヤ電極6の相対位置は、OからO’に移動する。
【0038】
上述した相対移動指令信号を得る手法は1つの概念を示したものであり、必ずしも相対移動指令装置の論理回路をこの演算過程をそのままま辿るように構成する必要はなく、結果的に偏差電圧に応じて加工経路と略直交する方向にサーボされればよい。勿論、データ乃至信号がいかなる呼称であるかに関わらず、実質的に同じ情報を含むものであればよい。
【0039】
次に、以上のように構成された装置に基づいて行なわれる本発明方法を説明する。
入力装置42から取り込まれたNCプログラムは、主演算部54にて解読され、これに基づいて軌跡指令発生部56はNCプログラム軌跡を補間して加工経路に基づく相対移動軌跡のデータを得て、所定の分割単位毎に移動方向と移動量のデータを含む軌跡信号を出力する。また、設定値出力部58は、解読結果に基づいてサーボ制御装置32に対しては、基準電圧信号とオフセット方向信号を出力し、相対移動指令装置38に対しては設定速度信号を出力する。
相対移動指令装置38は、入力される軌跡指令信号(軌跡信号+設定速度信号)に応じて相対移動指令信号を出力し、この信号に基づいて駆動パルス発生装置40は、X、Y方向に応じたモータ制御パルス信号を各モータ制御ドライバ44X、44Yに出力する。これと同時に、電源装置28からの例えば1MHz以上の高周波電圧がワイヤ電極6と被加工物2との間に印加され、これにより、相対移動装置18の加工テーブル20X、20Yはワイヤ電極6に対して相対移動し、ワイヤ電極6は、被加工物2に対して、予め設定された加工経路に沿って相対移動しつつ、放電加工が行なわれる。
【0040】
これと同時に、被加工物2と走行移動するワイヤ電極6との間隙の電圧は、検出装置30によって常時検出されており、この検出値に基づいてワイヤ電極6は予め設定された加工経路に対して略直交する方向へ相対的に移動されて加工間隙を維持するように、すなわちワイヤ電極が過度に加工面に接近したり、或いは過度に加工面から遠ざかったりしないようにサーボ制御される。ここでワイヤ電極を相対的に移動させるには、ワイヤ電極6と加工テーブル20X、20Yのいずれか一方、或いは双方を動かす場合がある。結果的に、外乱や静電気力等により間隙の距離が所定の値よりもずれようとしても、上記したサーボ制御によりこの間隙の距離を略一定に維持することができ、加工面にうねり等が発生することを阻止することができる。
【0041】
すなわち、ここではワイヤ電極6が加工軌跡方向に一定速で進みつつ基準電圧と間隙電圧を比較し、間隙電圧が基準電圧よりも低い場合には、加工間隙が狭まったと判断してワイヤ電極6が離れる方向(加工経路に基づく相対移動軌跡に対して90度又は−90度の方向)に移動させる。逆に基準電圧よりも高い場合にはワイヤ電極が加工面から離れて、加工間隙が広がったと判断してワイヤ電極を加工間隙が狭まる方向(相対移動軌跡に対して−90度又は90度)に移動させる。このようなサーボ制御によってワイヤ電極の位置変位を補償する。
具体的には、検出装置30からは、所定の時間毎の平均値が平均加工電圧信号としてサーボ制御装置32に向けて出力される。このサーボ制御装置32の減算器48では、この平均加工電圧と基準電圧との差を求め、これに所定のゲインを付与した偏差電圧信号を出力する。
【0042】
また、直交方向演算部50では、現在の加工経路の方向に対して水平面内において略直交する方向(±90°)を求め、その結果を直交信号として出力する。サーボ指令発生部52は、この偏差電圧信号と比例し、且つ直交方法演算部50から得られる直交方向に従うサーボ指令信号を出力する。そして、相対移動指令装置38は、主演算装置34から入力される予め設定された相対移動軌跡に上記サーボ指令により表される相対移動軌跡を合成し、実際にワイヤ電極が相対移動すべき相対移動軌跡を速度指令値として出力することになる。すなわち、検出された間隙の電圧と基準電圧の差がゼロを維持するようにワイヤ電極は、予め設定された加工経路に沿って移動しつつ加工面から離れる方向(例えば+90°)、或いは近づく方向(例えば−90°)にサーボ制御されることになる。これにより、上述したように、外乱や静電気力等により間隙の距離が所定の値よりずれようとしても上記したサーボ制御によりこの間隙の距離を略一定に維持することができ、加工面にうねり等が発生することを阻止することができる。尚、上述したように、加工経路方向に沿ったワイヤ電極の送り速度(相対移動速度)は、一定値となるように設定されている。
【0043】
図5は上記した本発明装置におけるワイヤ電極の相対移動を模式的に示した拡大図である。図示するように、予定の加工経路に対して略直交する方向(±90°)にワイヤ電極を適宜移動させることによってワイヤ電極6と被加工物2の加工面4とが略一定の間隙(ギャップ)を維持するように制御している。例えば、外乱等によって間隙が小さくなる傾向の部分C1、C3では、ワイヤガイドすなわちワイヤ電極を加工面4から離れる方向(+90°)へ移動させ、逆に間隙が大きくなる傾向の部分C2ではワイヤガイドすなわちワイヤ電極を加工面4に近づく方向(−90°)へ移動させ、結果的に、間隙が略一定値に維持された状態でワイヤ電極6は予定の加工経路に沿って相対移動して行き、図9と比較すると明らかなように加工面4には、ほとんどうねりが生ずることはない。この時の予定の面粗度は1μmRmaxであり、放電ギャップは1〜5μm程度に設定されている。
【0044】
図6は本発明方法と従来の加工電圧一定制御方法で加工を行なった時の相対移動軌跡とX、Y方向の速度の関係を模式的に示す図である。ここでは、便宜上、加工方向をXとし、これと直交する方向をYとしている。
図6(A)に示すように従来の加工電圧一定制御方法では、ワイヤガイドはX方向に対しては加工電圧に応じて速度を変えているが、Y方向に対しては何ら移動されていない。この場合には、ワイヤガイドはX方向に直線状に相対的に進むが、ワイヤ電極は外乱等によってぶれる結果、加工面側に接近した時には静電気力によってより加工面側に接近して振幅が増幅され、加工面にうねりが発生した。
【0045】
これに対して、図6(B) に示す本発明方法では、ワイヤガイドはX方向へは一定の速度で相対的に進むと同時に、Y方向へは、加工電圧(間隙の電圧)の大きさに応じて、すなわち基準電圧との差に応じてY方向(±90°)へ移動させており、結果的にワイヤ電極と加工面との間隙を略一定に保つことができる(図5参照)。
実際に、従来の電圧一定制御方法と従来の速度一定制御方法と本発明方法の3種類で加工仕上げを行なったところ、ワイヤ走行方向の面粗度は、それぞれ0.4μmRmax、0.4μmRmax、及び0.4μmRmaxであり、加工進行方向の面粗度は、それぞれ2.0μmRmax、1.5μmRmax及び0.5μmRmaxであり、本発明方法によれば、加工面の加工進行方向におけるうねりを防止して面粗度を小さくできた。
【0046】
尚、上記した実施例では、直交方向演算部50をサーボ制御装置32内に含ませたが、この機能を図7及び図8に示すように主演算装置34側に含ませるようにしてもよい。図7は本発明装置の第2実施例を示す構成図、図8は図7中の制御装置を示すブロック構成図である。
この場合には、主演算装置34に軌跡指令出力部60を設けて、これに軌跡指令発生部56からの軌跡指令信号と直交方向演算部50からの直交方向信号を相対移動指令装置38へ向けて出力する。相対移動指令装置38では、この軌跡指令(軌跡データ+設定速度データ)と、直交方向信号とサーボ指令発生部52から入力する偏差電圧信号とで得られるサーボ指令とを合成し、相対移動指令を出力することになる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のワイヤカット放電加工装置によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。加工間隙の電圧に応じて、加工経路に対して直交する方向へワイヤ電極を移動させて位置補償するようにしたので、被加工物の加工面にうねり(筋状の不良)が形成されることを防止することができる。特に、所望の仕上げ面粗度が1μmRmax程度以下の面粗度の加工において有益である。その結果、面粗度と形状精度が良好な加工品を得ることができ、ひいては磨き工程における負担を軽くするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のワイヤカット放電加工装置を示す構成図である。
【図2】図1に示す装置の制御装置を示すブロック構成図である。
【図3】加工軌跡を微小な直線部分にサーボ分割する時の状態を示す図である。
【図4】本発明における相対移動指令装置の相対移動指令信号を出力する方式の一例を説明するための各入出力データの関係を示す図である。
【図5】本発明装置におけるワイヤ電極の相対移動を模式的に示した拡大図である。
【図6】本発明方法と従来の加工電圧一定制御方法で加工を行なった時のワイヤガイドの軌跡とX、Y方向の速度の関係を模式的に示す図である。
【図7】本発明装置の第2実施例を示す構成図である。
【図8】図7中の制御装置を示すブロック構成図である。
【図9】間隙距離と静電気力との関係を種々の板厚について示したグラフを示す図である。
【図10】従来の加工方法によって加工面にうねりが発生する状態を示す図である。
【符号の説明】
2 被加工物
4 加工面
6 ワイヤ電極
14 上側ワイヤガイド
16 通電体
18 相対移動装置
20X、20Y 加工テーブル
30 制御装置
31 検出装置
32 サーボ制御装置
34 主演算装置
38 相対移動指令装置
40 駆動パルス発生装置
46 基準電圧設定部
48 減算器
50 直交方向演算部
52 サーボ指令発生部

Claims (2)

  1. 一対のワイヤガイド間に張架されるワイヤ電極と被加工物との間隙に放電加工用の電圧を印加する電源装置と、
    前記間隙の電圧を検出する検出装置と、
    前記ワイヤ電極と前記被加工物とを相対的に移動させる相対移動装置と、
    予め設定された所定の加工経路に沿って前記ワイヤ電極と前記被加工物とを相対移動させると共に前記間隙の電圧に応じて前記所定の加工経路に対して直交する方向にサーボさせるように前記相対移動装置を制御する制御装置と、を有するワイヤカット放電加工装置において、
    前記制御装置は、
    少なくとも前記加工経路に沿って前記ワイヤ電極と前記被加工物とが相対移動する方向と移動量とを示す軌跡データと予め設定された送り速度を示す設定速度データとを含む軌跡指令信号と、前記加工経路が加工面に対してその進行方向のどちら側に位置するかを示すオフセット方向データを含むオフセット方向信号と、を前記加工経路に基づく相対移動軌跡を所定に分割して得られる分割距離に基づいて出力する主演算装置と、
    前記主演算装置から出力された分割距離に基づく軌跡データとオフセット方向データから前記加工経路に直交する軌跡の方向を示す直交方向データを得るとともに、前記検出された間隙の電圧と基準電圧とを比較して偏差電圧を得て、前記ワイヤ電極と前記被加工物とが前記加工経路に沿って前記分割距離相対移動する間に前記直交方向に前記偏差電圧に従う移動量相対移動するように前記得られた直交方向データと前記偏差電圧とを含むサーボ指令信号を出力するサーボ制御装置と、
    前記主演算装置から出力された軌跡指令信号と前記サーボ制御装置から出力されたサーボ指令信号とから前記相対移動装置の各移動装置を同期させて移動させるとともに前記加工経路に基づく相対移動軌跡と前記直交する方向のサーボに基づく相対移動軌跡との合成された相対移動軌跡にしたがって前記ワイヤ電極と前記被加工物とを相対移動させる相対移動指令信号を出力する相対移動指令装置と、
    を含んでなることを特徴とするワイヤカット放電加工装置。
  2. 一対のワイヤガイド間に張架されるワイヤ電極と被加工物との間隙に放電加工用の電圧を印加する電源装置と、
    前記間隙の電圧を検出する検出装置と、
    記ワイヤ電極と前記被加工物とを相対的に移動させる相対移動装置と、
    予め設定された所定の加工経路に沿って前記ワイヤ電極と前記被加工物とを相対移動させると共に前記間隙の電圧に応じて前記所定の加工経路に対して直交する方向にサーボさせるように前記相対移動装置を制御する制御装置と、
    を有するワイヤカット放電加工装置において、
    前記制御装置は、
    少なくとも前記加工経路に沿って前記ワイヤ電極と前記被加工物とが相対移動する方向と移動量とを示す軌跡データと予め設定された送り速度を示す設定速度データとを含む軌跡指令信号と、前記加工経路が加工面に対してその進行方向のどちら側に位置するかを示すオフセット方向データに基づいて得られる前記加工経路に直交する軌跡の方向を示すデータを含む直交方向信号と、を前記加工経路に基づく相対移動軌跡を所定に分割して得られる分割距離に基づいて出力する主演算装置と、
    前記検出された間隙の電圧と基準電圧とを比較して偏差電圧を得て、前記ワイヤ電極と前記被加工物とが前記加工経路に沿って前記分割距離相対移動する間に前記直交方向に前記偏差電圧に従う移動量相対移動するように偏差電圧信号を出力するサーボ制御装置と、
    前記主演算装置から出力された軌跡指令信号および直交方向信号と前記サーボ制御装置から出力された偏差電圧信号とから前記相対移動装置の各移動装置を同期させて移動させるとともに前記加工経路に基づく相対移動軌跡と前記直交する方向のサーボに基づく相対移動軌跡との合成された相対移動軌跡にしたがって前記ワイヤ電極と前記被加工物を相対移動させる相対移動指令信号を出力する相対移動指令装置と、
    を含んでなることを特徴とするワイヤカット放電加工装置。
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