JPH11170118A - ワイヤカット放電加工方法及びその装置 - Google Patents

ワイヤカット放電加工方法及びその装置

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JPH11170118A
JPH11170118A JP35624397A JP35624397A JPH11170118A JP H11170118 A JPH11170118 A JP H11170118A JP 35624397 A JP35624397 A JP 35624397A JP 35624397 A JP35624397 A JP 35624397A JP H11170118 A JPH11170118 A JP H11170118A
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  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工面にうねりが形成されることを防止する
ことができるワイヤカット放電加工方法を提供する。 【解決手段】 ワイヤ電極6と被加工物2との間隙に所
定の放電加工用の電圧を印加しつつ、予め設定された所
定の加工経路に沿って前記ワイヤ電極と被加工物とを相
対移動させると共に、前記間隙の電圧を検出し、この検
出された電圧に応じて前記加工経路に対して略直交する
方向に前記ワイヤ電極と被加工物とを相対移動させる。
これにより、加工面にうねりが形成されることを防止す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤ電極を走行
させつつこれと被加工物との間で間欠的に放電を生ぜし
めつつ放電加工を行なうワイヤカット放電加工方法及び
その装置に関する。
【0002】
【従来の技術】走行するワイヤ電極と被加工物との間で
微細な放電を生ぜしめつつ、加工を行なって金型等を作
る装置としてワイヤカット放電加工装置が知られてい
る。この種の装置では、一般に、被加工物を比較的大き
い放電エネルギを得られる加工条件で切断し、その後に
比較的小さい放電エネルギを得られる加工条件で上記切
断された被加工物の端面(加工面)を仕上げ加工してい
る。加工面を仕上げ加工するときには、段階的に加工条
件の値を小さくして繰り返し行なうことが多い。これら
の複数の加工工程は、その順番に従って、ファーストカ
ット、セカンドカットと呼ばれている。現在、仕上げ工
程の簡略化或いは最終的な仕上げ加工面の凹凸をなくす
磨き工程の簡略化の要請により、加工面粗度がより小さ
くなる加工装置或いは加工方法が求められている。
【0003】このような要請に応えて、例えば、特開平
7−266138号公報に開示されたようなワイヤカッ
ト放電加工装置においては、水系加工液を媒体としてワ
イヤ電極と被加工物との間隙に1MHz程度の高周波交
流電圧を印加して加工することができるようになり、前
後のパルス電流の波形がつながることなく、すなわち放
電を持続させずに放電エネルギをより小さくすることが
可能になった。その結果、最終的な仕上げ加工面が1μ
mRmax程度までの加工面粗度で加工できるようにな
った。また、例えば[電気加工学会誌]1991年Vo
l.24,No.48,P45〜P63に発表された
[ワイヤ放電加工における高精度仕上の研究]の記事
も、1MHz以上の高周波の交流電圧を供給できること
が可能であれば、0.5μmRmaxかそれ以下の加工
面粗度も期待できることが説示されている。
【0004】通常、ワイヤカット放電加工によって加工
された被加工物の加工面は、放電加工に特有の面状態に
なっているので、その面粗度に応じて被加工物の加工面
に対して所定の磨き工程を必要としている。上述したワ
イヤカット放電加工の進歩は、加工工程数を減らした
り、この磨き工程が不要になるか、短縮できるものとし
て、期待されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、微細な加工
面粗度(特に1μmRmax前後以下)を得ようとする
場合には、前述の通り放電エネルギを小さくしなければ
ならないために、ワイヤ電極と加工面との間隙の距離が
狭くなり、静電気力の影響を受け易くなる。すなわち、
間隙の距離が比較的大きく、放電反発力も十分にある場
合には、静電気力の影響はほとんど現われないが、1μ
mRmax以下、特に、0.5μmRmax以下の面粗
度を得られるような加工条件になってくるとワイヤ電極
は静電気力の支配下に置かれてしまう。図8は間隙距離
と静電気力との関係を種々の板厚について示したグラフ
であり、間隙距離が小さいとそれに略逆比例的に静電気
力が大きくなる。
【0006】ここで問題となるのは、ワイヤ電極とその
ワイヤ電極に給電する通電体との接触や加工液噴流など
による影響(以下、外乱という)により、また、ワイヤ
ガイドに微小なクリアランスがあるためにワイヤ電極の
軸中心位置が移動することによりワイヤ電極と被加工物
との間隙の距離は、加工中も常に微小に変化していると
いう点である。上述のように静電気力が間隙距離の2乗
に反比例する関係にあるため、間隙の距離が変化すると
大きな力の変化としてその力がワイヤ電極に働くので、
その力が外乱等による微小な間隙の距離の変化を増幅す
るように作用したとき、ワイヤ電極が被加工物面側に向
かって急に引き付けられるように動く。
【0007】このように、ワイヤ電極が予定された間隙
の距離よりも狭くなると、より放電が発生し易くなって
放電頻度も多くなり、その結果、ギャップの電圧は低下
するので、今度は静電気力が低下してワイヤ電極が被加
工物側から本来の位置に向かって戻るように運動する。
そして、このような運動が繰り返し生じる結果、加工面
形状が所望の平坦な面にはならず、“うねり”が生じた
形状になってしまう。上述したような、端面仕上げ加工
であって放電エネルギを小さくして加工するワイヤカッ
ト放電加工の仕上げ加工において、とりわけ顕著に生じ
る。
【0008】この”うねり”は実際上は1μm程度の深
さ、或いは高さの縦線状の凹凸であり、加工面に筋が発
生しているように見える。これまでのような仕上げ面粗
度が3〜5μmRmax以上の場合では、このような小
さなうねりはほとんど識別できず、その存在と問題の重
要性があまり気が付かれていなかった。しかし、1〜2
μmRmax以下の仕上げ面粗度の加工が可能になって
くると、このようなうねりも重要な問題になってきた。
【0009】図10はこのようなうねりが発生する状態
を説明する図であり、被加工物の加工面とワイヤ電極と
の位置関係を拡大して示している。被加工物2の加工面
4に沿って例えば直径0.2mm程度のワイヤ電極6を
移動させて仕上げ加工を行なうが、ワイヤ電極6は予定
の経路8を移動せず、前述のように外乱と静電気力等と
の関係でワイヤ電極6は加工面4に接近したり、離反し
たりして例えばジグザグ状に移動する電極軌跡10を描
くことになる。尚、図示例では、加工面の基準線12に
対して予定の面粗度は1μmRmaxに設定している。
この結果、放電ギャップは推定で1〜5μm程度の範囲
内で変化すると考えられるので加工面4に波状のうねり
が発生してしまう。電気的な加工条件や送り速度、或い
はワイヤ電極径などにもよるが、概ねこのうねりの長さ
L1は0.1〜0.5mm程度、幅L2は1〜2μm程
度である。実際問題としてこのような被加工物が例えば
プラスティック用金型であった場合には、うねりの溝部
分から樹脂材料が入り込むことにより金型の寿命が短く
なってしまう。また、被加工物が例えば押出ダイスであ
った場合には、そのダイスで成形される製品にうねり
(筋)がはっきりと転写されてしまう。そのため、せっ
かく極めて高い面粗度の加工を行いながら、結局のとこ
ろ磨き工程などの加工品の仕上げ工程を従来通りに行な
わなければならないといった問題がある。
【0010】更に、放電ギャップを所要の加工が行える
ように維持するために、間隙の電圧が一定になるように
加工送りを制御するサーボ方式により間隙の距離をコン
トロールしているものもあるが、このような加工送り方
式は、単位時間当たりの放電の発生する頻度が多くなっ
て間隙の平均加工電圧が低くなったときに、加工送り速
度が減速するようにされるので、上述した静電気力の影
響による間隙の距離の変化を解消することはできない。
そればかりか、予め想定されている加工送り速度よりも
遅くなったときには、その場所の加工が他の箇所に比べ
て進んでしまうので、しばしばうねりを悪化させてしま
うことさえある。
【0011】尚、特開平5−8122号公報には、板厚
の変化などにより静電気力と放電反力とのバランスが変
化することにより生じるワイヤ電極の撓みに起因して加
工形状が太鼓形状になることを防止しようとする点が記
載されているので、加工面上に形成されるうねり(筋な
いし溝状の窪み)を防止する技術を開示するものではな
いが、静電気力と放電反力の作用について参照される。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に
解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、加
工面にうねりが形成されることを防止することができる
ワイヤカット放電加工方法及びその装置を提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、請求項1に規定する発明は、ワイヤ電極と被加工
物との間隙に所定の放電加工用の電圧を印加しつつ、予
め設定された所定の加工経路に沿って前記ワイヤ電極と
被加工物とを相対移動させると共に、前記間隙の電圧を
検出し、この検出された電圧に応じて前記加工経路に対
して略直交する方向に前記ワイヤ電極と被加工物とを相
対移動させるようにしたものである。これにより、ワイ
ヤ電極と被加工物の加工面とが過度に接近しようとする
と間隙の電圧が下がってワイヤ電極を加工面から遠ざけ
る方向に作用し、逆に、加工面から過度に遠ざかろうと
すると間隙の電圧が上がってワイヤ電極を加工面に近付
ける方向に作用する。結果的に、ワイヤ電極は被加工面
から略一定の距離を維持しつつ、略加工経路に沿って相
対移動して行くので、加工面にうねりが発生することを
防止することができる。
【0013】具体的な動作は、前記検出された電圧と予
め設定された基準電圧とを比較し、前記検出された電圧
が前記基準電圧に一致するように前記加工経路に対して
略直交する方向に前記ワイヤ電極と被加工物とを相対移
動させるように動作する。この場合、放電加工用の電圧
は、1MHz以上の高周波電圧とするのがよい。このよ
うに、ワイヤ電極を被加工物に対して所定の加工経路に
沿うように相対移動させながら、予め設定された基準電
圧と検出された間隙の電圧との偏差がなくなるように上
記加工経路に対して直角方向にサーボさせる。このた
め、外乱によりワイヤ電極と被加工物の加工面との間の
微小な距離が変化してもワイヤ電極は略上記加工経路上
に位置し、間隙が所定の距離に維持される。従って、静
電気力による吸引力が増大することがなく、そのためワ
イヤ電極が加工面に近づこうとする動作が阻止される。
また、進行方向に対する速度差が殆どないので、ある箇
所だけ加工が進行することがない。
【0014】請求項4に規定する発明は、一対のワイヤ
ガイド間に張架されるワイヤ電極と被加工物との間隙に
放電加工用の電圧を印加する電源装置と、前記間隙の電
圧を検出する検出装置と、前記ワイヤ電極と前記被加工
物とを相対的に移動させる相対移動装置と、予め設定さ
れた所定の加工経路に沿って前記ワイヤ電極と被加工物
とを相対移動させると共に前記間隙の電圧に応じて前記
所定の加工経路に対して略直交する方向にサーボさせる
ように前記相対移動装置を制御する制御装置とを備える
ようにする。制御装置は、検出装置により検出した間隙
の電圧に応じて、所定の加工経路に対して略直交する方
向にワイヤ電極を相対的にサーボさせる。例えば、前記
制御装置は、前記加工経路に基づく相対移動軌跡と前記
略直交する方向のサーボに基づく相対移動軌跡との合成
された相対移動軌跡にしたがって前記ワイヤ電極と前記
被加工物とを相対移動させるように前記相対移動装置を
制御する。
【0015】これにより、ワイヤ電極と被加工物の加工
面とが過度に接近しようとすると間隙の電圧が下がって
ワイヤ電極を加工面から遠ざける方向に作用し、逆に、
加工面から過度に遠ざかろうとすると間隙の電圧が上が
ってワイヤ電極を加工面に近付ける方向に作用する。結
果的に、ワイヤ電極は被加工面から略一定の距離を維持
しつつ、略加工経路に沿って相対移動して行くので、加
工面にうねりが発生することを防止することができる。
【0016】制御装置には、予め設定された所定の加工
経路に基づいて前記加工経路に沿って相対移動させる軌
跡指令信号を出力する主演算装置と、前記検出された間
隙の電圧と基準電圧とを比較して得られた偏差に基づい
て前記加工経路に略直交する方向へ相対移動させるサー
ボ指令信号を出力するサーボ制御装置と、前記サーボ指
令信号と前記軌跡指令信号とに基づいて前記ワイヤ電極
と被加工物を相対移動させる相対移動指令信号を出力す
る速度指令装置と、前記速度指令信号を前記相対移動装
置の各モータの制御パルスに変換して出力する駆動パル
ス発生装置とを含んだ構成とする。或いは前記軌跡指令
信号と前記加工経路に略直交する軌跡方向を示す直交方
向信号とを出力する主演算装置と、前記偏差に基づく偏
差電圧信号を出力するサーボ制御装置と、前記軌跡指令
信号と前記直交方向信号と前記偏差電圧信号とに基づい
て前記ワイヤ電極と被加工物とを相対移動させる相対移
動指令信号を出力する相対移動指令装置と、前記相対移
動指令信号を前記相対移動装置の各モータの制御パルス
に変換して出力する駆動パルス発生装置とを含んだ構成
としてもよい。また、電源装置から供給する加工用の電
圧は、周波数が1MHz以上の高周波とするのが好まし
い。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のワイヤカット放
電加工方法及びその装置の一実施例を添付図面に基づい
て詳述する。図1は本発明の第1実施例のワイヤカット
放電加工装置を示す構成図、図2は図1に示す装置の制
御装置を示すブロック構成図である。図1において、2
は被加工物であり、これは超硬鋼、鉄、アルミニウム、
ステンレス等の導電性材料よりなる。6はワイヤ電極で
あり、これは主成分が黄銅、タングステン、鉄等の導電
性材料よりなる。
【0018】<ガイド装置>14は上側ワイヤガイドで
あり、実施例装置の場合には、ワイヤ電極6は図面上側
から供給されて上側ワイヤガイド14に位置決め案内さ
れつつ、被加工物2の加工部を通過し、図示しない下側
ワイヤガイドを経て回収される。ワイヤ電極6の供給及
び排出の機構は従来公知の装置が利用できる。ワイヤ電
極6は、これら少なくとも上下一対のワイヤガイド14
に位置決め案内されながら、上方から下方へ走行してワ
イヤ電極6の新しい部分が常に加工部に供給されて使用
した部分が回収される。また、これらのワイヤガイド
は、U、V軸方向へ移動可能になされている。16は通
電体であり、電源装置28の直流電源または交流電源の
一方の端子に接続されており、これがワイヤ電極6と電
気的に接触してワイヤ電極に給電する。尚、図示しない
が、通電体は下側ワイヤガイドの近傍にも設置されてい
る。
【0019】<相対移動装置>次に、相対移動装置18
について説明する。この相対移動装置18は、加工テー
ブル20X、20Yと、サーボモータ22X、22Y
と、位置検出器24X、24Yとよりなる。一方の、例
えばY方向へ移動する加工テーブル20Yは、ベッド2
6上にY軸方向に移動可能に載置されて、更にこの加工
テーブル20Yの上部にX軸方向に移動可能に他方の加
工テーブル20Xが搭載されている。このような構造以
外に、例えば図示しないコラム上部に設けられた加工ヘ
ッド部を移動可能にする構造など種々のタイプがあり、
何れの構造であってもよい。図示しないZ,U,Vの各
軸方向についてもそれらの軸を駆動するモータが設置さ
れる。
【0020】各位置検出器24X、24Yは実施例では
ロータリエンコーダを各サーボモータ22X、22Yと
同軸に設けているが、好ましくは、検出精度の高いリニ
アスケールを設置するのがよい。尚、ワイヤ電極の位置
は、加工テーブル20X、20Yとワイヤガイド14の
相対位置によって決まるのは勿論である。
【0021】<電源装置>加工用の電源装置28は直流
電源を含み、その一端子を上記通電体16に、他の端子
を被加工物2に接続する。極間に交流電流を供給する場
合は、例えば電源装置の直流電源と加工間隙との間に直
流−交流変換装置を設ける。電源装置中に少なくとも1
つのスイッチング素子と、必要に応じて電流制限抵抗や
インダクタンス素子などの部材を設け、また、スイッチ
ング素子をオンオフ制御するゲート信号を供給するパル
ス発生装置が含まれる。検出装置31はワイヤ電極6と
被加工物2との間の加工間隙の電圧を検出する。これは
従来公知の構成の装置が利用できる。実施例では、検出
した間隙電圧をサンプルホールドしてA/D変換し、こ
の平均加工電圧の信号としてサーボ制御装置32に出力
している。
【0022】<制御装置とその付属装置>次に、制御装
置30とその付属装置について説明する。この制御装置
30は、サーボ制御装置32、主演算装置34、記憶装
置36、速度指令装置38及び駆動パルス発生装置40
を含んで構成される。また、LCDやCRTといった図
示しない表示装置が適宜併設される。
【0023】サーボ制御装置32は検出装置31からの
平均加工電圧を入力し、これと予め設定された基準電圧
との差を求める。求めた偏差電圧値に基づいて所定のゲ
インを付与された偏差電圧信号を得る。この偏差電圧信
号は、平均加工電圧と基準電圧との差がプラスの時はプ
ラス、マイナスの時はマイナスの信号として連続的に出
力される。ある検出期間において出力された信号は、次
の検出期間において信号が出力されるまではその信号を
出力し続けるので、サーボの応答性が高すぎる場合に
は、次の検出期間の信号が出力されるまでに目的の位置
を通り過ぎてしまい、いわゆるハンチングを発生させる
恐れがある。このため、サーボゲインと基準電圧は、間
隙の距離を決定する加工条件に応じて適切な値が設定さ
れる。更に、この実施例の構成では、サーボ制御装置3
2は、解読されたNCプログラムで得られる所定の加工
経路のデータに基づいて求められた所定分割軌跡毎の移
動方向のデータを含む軌跡信号と、前記加工経路が加工
面(プログラム軌跡)に対してその進行方向のどちら側
に位置するかを示すオフセット方向データを含むオフセ
ット方向信号を入力し、前記加工経路に直交する方向に
対してワイヤ電極をサーボ移動させるようなサーボ指令
信号を出力する。
【0024】主演算装置34はNCプログラムの解読、
解読されたNCデータやその他の設定データ(変更可能
な内部の設定データや入力装置42のスイッチ等を解し
て入力された所定値)に基づく各装置への指令信号の出
力、図示しない表示装置への信号の出力、所要の計算を
行う機能などを有する。少なくとも1つのCPUやRO
Mなどの電子部品で構成される回路で成り、制御プログ
ラムにしたがって駆動する。コンパレータなどの他の電
子部品でも一定の演算が可能であるので、必ずしも全て
の動作をCPUで管理する必要ない。また、各種演算を
複数のCPUに分散させて複数の動作を平行に処理でき
るようにしてもよく、主演算装置の機能を必ずしもこの
実施例のように構成する必要はない。
【0025】この実施例における主演算装置34の重要
な機能は、NCプログラムを解読し、解読された相対移
動に関するNCデータから所望の加工形状に基づく相対
移動軌跡の補間を行って、軌跡信号(所定分割軌跡毎の
移動方向と移動量のデータを含む)をサーボ制御装置3
2と相対移動指令装置38へ出力することである。ま
た、予め設定された送り速度(F値)を示すデータを含
む設定速度データを相対移動指令装置38へ、予め設定
されたオフセット方向データに関するオフセット方向信
号をサーボ制御装置32へそれぞれ出力することであ
る。2つ以上の直線軸方向に移動する相対移動装置18
(XY軸方向に移動する加工テーブル等)により相対移
動軌跡に沿ってワイヤ電極と被加工物を相対移動させる
構成の装置では、一般に、予めNCプログラムでプログ
ラムされた所望の加工形状(NCプログラム軌跡)が円
弧形状(円弧補間)である場合は、その円弧軌跡を微小
な直線に分割して相対移動指令値を演算している。図3
はその時の状態を模式的に示している。従って、実際の
移動軌跡は、微小な直線の集合である。主演算装置34
において演算可能な相対移動装置18の[最小駆動単
位]以下の移動が不可能になる長さに分割しても、実際
にそれよりも小さい移動量で相対移動装置18を動かす
ことができない。
【0026】図3に示されるように、ここでは、サーボ
による相対移動が、加工経路に基づく相対移動軌跡に対
して±90°方向にサーボ動作を行わせるようにしてい
る。サーボ制御装置32において、現在ワイヤ電極が存
在する相対位置を基準にして移動方向を求めても、ワイ
ヤ電極の位置は常に移動していて、加工面に対して接近
させるか開離させるかというサーボの方向も変わるの
で、上記加工経路が直線である場合(直線補間)でも、
サーボの方向を決定するために微小な直線に分割して演
算する。このように、直線補間においても微小な直線に
分割してサーボ方向を決定する場合は、最小駆動単位に
基づいて分割することが、演算処理上も実際の加工の上
でも都合がよい。尚、以下では、前記軌跡データと前記
設定速度データを含む加工経路に基づく相対移動軌跡に
関する相対移動制御に必要なデータ軌跡指令として説明
する。
【0027】尚、ここでは、モータ制御パルスの1パル
ス(1指令信号)で各相対移動装置が移動する距離を最
小駆動単位としており、最小駆動単位は、サーボモータ
の分解能等の機械装置の条件に基づいて設定され、現在
多くは、1パルスで1μm移動するように設定されてい
るが、最近では1パルスで0.1μm移動するように設
定できる装置もある。このとき、サーボ制御装置32と
相対移動指令装置38には、それぞれに同一の軌跡指令
信号が出力されればよい。
【0028】入力装置42は実施例の装置では、各種ス
イッチやセンサの他、例えばフロッピーディスクドライ
ブ装置のような外部データを読み取る装置を含む。記憶
装置36はそれぞれの加工に必要なデータを一時的に記
憶させておく装置である。相対移動指令装置38には、
サーボ制御装置32のサーボ指令信号と主演算装置34
からの軌跡指令信号とが入力される。1つの軸方向に対
して移動装置は1つであるから時間的にはそれぞれの信
号が同期することになり、各軸において2つの信号が加
算された値が相対移動指令信号として出力される。その
ため、実際の相対移動装置18は、加工経路に基づく相
対移動軌跡の方向とその軌跡に対して±90°の方向と
が合成された軌跡に沿って移動するものであり、ワイヤ
電極は加工経路に基づく相対移動軌跡の方向とその軌跡
に対して±90°方向とに交互に相対移動されるわけで
はない。テーパカット加工のような場合は、X軸とY軸
方向の相対移動の他に、例えばU軸とV軸の相対移動を
行うが、その場合は、それらの移動軸のモータ制御ドラ
イバを含むUV軸の相対移動装置を設ける。テーパカッ
ト加工では、移動に伴って上下のワイヤガイドの相対座
標位置が変化するが、ワイヤ電極の傾きは維持されるの
で、サーボ動作だけを取り出して考えれば、上側ワイヤ
ガイドと下側ワイヤガイドとの相対位置関係は変化しな
い。
【0029】従って、U軸とV軸に限って言えば、NC
プログラムにしたがった軌跡指令に基づいて制御される
もので、従来の装置の構成を採用すればよい。このとき
の実際のワイヤ電極の動きは、NCプログラムでプログ
ラムされた加工経路とテーパ角度に基づく各軸の相対移
動と、サーボ指令に基づく相対移動とが合成された動作
になる。
【0030】駆動パルス発生装置40は相対移動指令装
置38からの相対移動指令信号(速度指令値)に応じて
各軸のモータ制御ドライバ44X、44Y等にモータ制
御パルスを所定の比率で分配出力する。従って、所定時
間内に出力されるモータ制御パルス数分それぞれの移動
装置が同期して移動することにより、換言すれば、各軸
の移動装置の速度が制御された状態で、結果的に所定の
軌跡にしたがってワイヤ電極と被加工物とが相対移動さ
れる。ここでは便宜上、加工テーブル移動用のドライバ
に言及しているが、実際にはワイヤガイドの移動用のド
ライバ(Z軸、U軸、V軸)へのパルス分配も行なわれ
る。このモータ制御ドライバ44X、44Yは、モータ
制御パルスにしたがって各軸のモータ22X,22Yを
駆動制御する。また、位置検出器24X、24Yからの
信号をフィードバックして位置決め制御を行っている。
【0031】次に、図2に基づいて制御装置30のブロ
ック図について説明する。サーボ制御装置32は、基準
電圧設定部46、減算器48、直交方向演算部50及び
サーボ指令発生部52を含む。基準電圧設定部46は主
演算装置34から出力される予め設定されているサーボ
基準電圧に基づいて基準電圧信号を得てホールドする。
この基準電圧信号は、減算器48に常時出力される。基
準電圧は、一般に間隙の距離を決定する他の加工条件や
パラメータに応じて、加工条件として設定される。
【0032】減算器48はコンパレータなどで構成さ
れ、検出装置31からの平均加工電圧が入力されると、
これを基準電圧と比較してその偏差を出力する。平均加
工電圧が基準電圧よりも高い場合は、間隙の距離が予定
された値よりも離れているので近づける方向に偏差電圧
信号を出力し、平均加工電圧が基準電圧よりも低い場合
は間隙の距離が近いので離れる方向に偏差電圧信号を出
力する。直交方向演算部50は主演算装置34からの所
定の分割された軌跡毎の軌跡方向データ(軌跡信号)と
加工面方向データ(オフセット方向信号)を得てその経
路に対して直交方向(±90°)を演算し、その方向に
関するデータを直交方向信号として出力する。すなわ
ち、最小駆動単位の軌跡からその軌跡に直交する直線の
方向を求める。サーボ指令発生部52は偏差電圧信号に
比例し、且つ直交方向演算部50から得た直交方向に従
うサーボ指令信号を出力する。
【0033】次に、主演算装置34について説明する。
この主演算装置34は、主演算部54、軌跡指令発生部
56及び設定値出力部58を含む。主演算部34はNC
プログラムの解読などの加工プログラムの実行などを行
っている。軌跡指令発生部56は解読された相対移動に
関するデータに従って加工経路に基づく相対移動軌跡を
補間して軌跡信号を出力する。設定値出力部58は主演
算装置34に入力された設定値を各装置へ出力する。こ
こでは、特にサーボ制御装置32に基準電圧とオフセッ
ト方向データを出力し、相対移動指令装置38に設定速
度データを出力する。
【0034】以下に、相対移動指令装置38において、
そこに入力される信号と出力される相対移動指令信号の
関係をより具体的に説明する。図4は、入力される信号
が含むデータと出力される信号が含むデータとの関係を
示す概念図を仮想座標上に描いたものであり、実線で示
される2本の座標軸線の方向は相対移動装置18の2つ
の加工テーブルが移動するX軸及びY軸方向を示すもの
とし、各軸の最小駆動単位は1μmとする。加工経路に
基づく相対移動軌跡は、その形状に関わらず所定の距離
に分割される。図4に示されるように、分割されたある
一つの加工経路方向の相対移動指令値は、概念上ベクト
ルで表すことができる。このベクトルの示す方向が相対
移動方向であり、その長さは予め設定された送り速度で
移動する移動量すなわち上記分割距離である。従って、
この相対移動指令値は、主演算装置34から出力される
少なくとも相対移動方向と移動量を示す軌跡データと予
め設定された送り速度を示す設定速度データとを含んだ
軌跡指令信号を入力して得られる。
【0035】一方、サーボ制御装置32から出力される
サーボ指令値は、加工経路に基づく相対移動軌跡と直交
する相対移動軌跡の方向を示す直交方向データと偏差電
圧に従う移動量のデータとを含んでいる。加工経路方向
の相対移動指令値と同様にベクトルで表すと、このベク
トルの示す方向がサーボする方向であり、このベクトル
の長さは、前記設定された送り速度で加工経路方向に前
記分割距離移動する間に、相対移動軌跡と直交する方向
に移動する移動量である。このとき、加工面に対する加
工経路の位置が予めNCコードG41(進行方向左)と
G42(進行方向右)を解読したオフセット方向データ
によりわかるので、[加工面方向]が識別でき、直交方
向演算部50において、このオフセット方向データと主
演算装置34から入力される軌跡信号に含まれる軌跡方
向データとにより、直交方向データが得られている。そ
して、偏差電圧を得た時点で±90°何れの方向にどれ
くらいの量サーボさせるかが決定される。尚、上述の通
り、加工経路方向の送り速度は一定であり、その間に得
られるサーボ方向の移動量は偏差電圧により変化するか
ら、サーボ速度は間隙の状態により変化する。
【0036】軌跡指令信号(相対移動指令値)とサーボ
指令信号(サーボ指令値)が合成された相対移動軌跡指
令値は、図4に示されるように、上記2つのベクトル和
で求められる。そのベクトルの方向は、前記合成された
相対移動軌跡における移動方向を示し、そのベクトルの
長さは加工経路方向に設定された送り速度で分割距離移
動する間に前記合成された相対移動軌跡方向に移動する
移動量を示している。この合成された相対移動指令値の
ベクトルを相対移動装置18が実際に移動できる方向で
あるX軸成分とY軸成分に分解すると、図4に示される
ようなベクトルで表される。このX軸方向のベクトルが
X軸方向の相対移動指令、Y軸方向のベクトルがY軸方
向の相対移動指令であり、駆動パルス発生装置40に出
力される。この時、相対移動指令信号は、従来の相対移
動指令装置がそうであったように、[速度指令値](速
度に比例する電圧信号)として出力される。
【0037】図4に示される例では、最小駆動単位を1
μmとすると、所定時間にX軸はマイナス方向におよそ
0.75μm、Y軸はプラス方向におよそ0.1μm移
動するように、各軸の相対移動指令値を得る。尚、最小
駆動単位以下は実際には移動されないので、最小駆動単
位以下の値は修正されなければならない。例えば、最小
駆動単位以下の端数を四捨五入してX軸を−1μm、Y
軸を3μmとする。このような修正は、演算回路により
演算して信号を出力しても、論理回路によりモータ制御
パルスの出力のタイミングを調整するようにしても可能
である。このような修正の結果、駆動パルス発生装置4
0から所定のタイミングで、モータ制御ドライバ44X
に戻る方向に1パルス、Y軸のモータ制御ドライバ44
Yに進む方向に3パルスそれぞれモータ制御パルスが分
配出力されて、ワイヤ電極6の相対位置は、OからO’
に移動する。
【0038】上述した相対移動指令信号を得る手法は1
つの概念を示したものであり、必ずしも相対移動指令装
置の論理回路をこの演算過程をそのままま辿るように構
成する必要はなく、結果的に偏差電圧に応じて加工経路
と略直交する方向にサーボされればよい。勿論、データ
乃至信号がいかなる呼称であるかに関わらず、実質的に
同じ情報を含むものであればよい。
【0039】次に、以上のように構成された装置に基づ
いて行なわれる本発明方法を説明する。入力装置42か
ら取り込まれたNCプログラムは、主演算部54にて解
読され、これに基づいて軌跡指令発生部56はNCプロ
グラム軌跡を補間して加工経路に基づく相対移動軌跡の
データを得て、所定の分割単位毎に移動方向と移動量の
データを含む軌跡信号を出力する。また、設定値出力部
58は、解読結果に基づいてサーボ制御装置32に対し
ては、基準電圧信号とオフセット方向信号を出力し、相
対移動指令装置38に対しては設定速度信号を出力す
る。相対移動指令装置38は、入力される軌跡指令信号
(軌跡信号+設定速度信号)に応じて相対移動指令信号
を出力し、この信号に基づいて駆動パルス発生装置40
は、X、Y方向に応じたモータ制御パルス信号を各モー
タ制御ドライバ44X、44Yに出力する。これと同時
に、電源装置28からの例えば1MHz以上の高周波電
圧がワイヤ電極6と被加工物2との間に印加され、これ
により、相対移動装置18の加工テーブル20X、20
Yはワイヤ電極6に対して相対移動し、ワイヤ電極6
は、被加工物2に対して、予め設定された加工経路に沿
って相対移動しつつ、放電加工が行なわれる。
【0040】これと同時に、被加工物2と走行移動する
ワイヤ電極6との間隙の電圧は、検出装置30によって
常時検出されており、この検出値に基づいてワイヤ電極
6は予め設定された加工経路に対して略直交する方向へ
相対的に移動されて加工間隙を維持するように、すなわ
ちワイヤ電極が過度に加工面に接近したり、或いは過度
に加工面から遠ざかったりしないようにサーボ制御され
る。ここでワイヤ電極を相対的に移動させるには、ワイ
ヤ電極6と加工テーブル20X、20Yのいずれか一
方、或いは双方を動かす場合がある。結果的に、外乱や
静電気力等により間隙の距離が所定の値よりもずれよう
としても、上記したサーボ制御によりこの間隙の距離を
略一定に維持することができ、加工面にうねり等が発生
することを阻止することができる。
【0041】すなわち、ここではワイヤ電極6が加工軌
跡方向に一定速で進みつつ基準電圧と間隙電圧を比較
し、間隙電圧が基準電圧よりも低い場合には、加工間隙
が狭まったと判断してワイヤ電極6が離れる方向(加工
経路に基づく相対移動軌跡に対して90度又は−90度
の方向)に移動させる。逆に基準電圧よりも高い場合に
はワイヤ電極が加工面から離れて、加工間隙が広がった
と判断してワイヤ電極を加工間隙が狭まる方向(相対移
動軌跡に対して−90度又は90度)に移動させる。こ
のようなサーボ制御によってワイヤ電極の位置変位を補
償する。具体的には、検出装置30からは、所定の時間
毎の平均値が平均加工電圧信号としてサーボ制御装置3
2に向けて出力される。このサーボ制御装置32の減算
器48では、この平均加工電圧と基準電圧との差を求
め、これに所定のゲインを付与した偏差電圧信号を出力
する。
【0042】また、直交方向演算部50では、現在の加
工経路の方向に対して水平面内において略直交する方向
(±90°)を求め、その結果を直交信号として出力す
る。サーボ指令発生部52は、この偏差電圧信号と比例
し、且つ直交方法演算部50から得られる直交方向に従
うサーボ指令信号を出力する。そして、相対移動指令装
置38は、主演算装置34から入力される予め設定され
た相対移動軌跡に上記サーボ指令により表される相対移
動軌跡を合成し、実際にワイヤ電極が相対移動すべき相
対移動軌跡を速度指令値として出力することになる。す
なわち、検出された間隙の電圧と基準電圧の差がゼロを
維持するようにワイヤ電極は、予め設定された加工経路
に沿って移動しつつ加工面から離れる方向(例えば+9
0°)、或いは近づく方向(例えば−90°)にサーボ
制御されることになる。これにより、上述したように、
外乱や静電気力等により間隙の距離が所定の値よりずれ
ようとしても上記したサーボ制御によりこの間隙の距離
を略一定に維持することができ、加工面にうねり等が発
生することを阻止することができる。尚、上述したよう
に、加工経路方向に沿ったワイヤ電極の送り速度(相対
移動速度)は、一定値となるように設定されている。
【0043】図5は上記した本発明装置におけるワイヤ
電極の相対移動を模式的に示した拡大図である。図示す
るように、予定の加工経路に対して略直交する方向(±
90°)にワイヤ電極を適宜移動させることによってワ
イヤ電極6と被加工物2の加工面4とが略一定の間隙
(ギャップ)を維持するように制御している。例えば、
外乱等によって間隙が小さくなる傾向の部分C1、C3
では、ワイヤガイドすなわちワイヤ電極を加工面4から
離れる方向(+90°)へ移動させ、逆に間隙が大きく
なる傾向の部分C2ではワイヤガイドすなわちワイヤ電
極を加工面4に近づく方向(−90°)へ移動させ、結
果的に、間隙が略一定値に維持された状態でワイヤ電極
6は予定の加工経路に沿って相対移動して行き、図9と
比較すると明らかなように加工面4には、ほとんどうね
りが生ずることはない。この時の予定の面粗度は1μm
Rmaxであり、放電ギャップは1〜5μm程度に設定
されている。
【0044】図6は本発明方法と従来の加工電圧一定制
御方法で加工を行なった時の相対移動軌跡とX、Y方向
の速度の関係を模式的に示す図である。ここでは、便宜
上、加工方向をXとし、これと直交する方向をYとして
いる。図6(A)に示すように従来の加工電圧一定制御
方法では、ワイヤガイドはX方向に対しては加工電圧に
応じて速度を変えているが、Y方向に対しては何ら移動
されていない。この場合には、ワイヤガイドはX方向に
直線状に相対的に進むが、ワイヤ電極は外乱等によって
ぶれる結果、加工面側に接近した時には静電気力によっ
てより加工面側に接近して振幅が増幅され、加工面にう
ねりが発生した。
【0045】これに対して、図6(B) に示す本発明
方法では、ワイヤガイドはX方向へは一定の速度で相対
的に進むと同時に、Y方向へは、加工電圧(間隙の電
圧)の大きさに応じて、すなわち基準電圧との差に応じ
てY方向(±90°)へ移動させており、結果的にワイ
ヤ電極と加工面との間隙を略一定に保つことができる
(図5参照)。実際に、従来の電圧一定制御方法と従来
の速度一定制御方法と本発明方法の3種類で加工仕上げ
を行なったところ、ワイヤ走行方向の面粗度は、それぞ
れ0.4μmRmax、0.4μmRmax、及び0.
4μmRmaxであり、加工進行方向の面粗度は、それ
ぞれ2.0μmRmax、1.5μmRmax及び0.
5μmRmaxであり、本発明方法によれば、加工面の
加工進行方向におけるうねりを防止して面粗度を小さく
できた。
【0046】尚、上記した実施例では、直交方向演算部
50をサーボ制御装置32内に含ませたが、この機能を
図7及び図8に示すように主演算装置34側に含ませる
ようにしてもよい。図7は本発明装置の第2実施例を示
す構成図、図8は図7中の制御装置を示すブロック構成
図である。この場合には、主演算装置34に軌跡指令出
力部60を設けて、これに軌跡指令発生部56からの軌
跡指令信号と直交方向演算部50からの直交方向信号を
相対移動指令装置38へ向けて出力する。相対移動指令
装置38では、この軌跡指令(軌跡データ+設定速度デ
ータ)と、直交方向信号とサーボ指令発生部52から入
力する偏差電圧信号とで得られるサーボ指令とを合成
し、相対移動指令を出力することになる。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のワイヤカ
ット放電加工方法及びその装置によれば、次のように優
れた作用効果を発揮することができる。加工間隙の電圧
に応じて、加工経路に対して直交する方向へワイヤ電極
を移動させて位置補償するようにしたので、被加工物の
加工面にうねり(筋状の不良)が形成されることを防止
することができる。特に、所望の仕上げ面粗度が1μm
Rmax程度以下の面粗度の加工において有益である。
その結果、面粗度と形状精度が良好な加工品を得ること
ができ、強いては磨き工程における負担を軽くするとい
う効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のワイヤカット放電加工装
置を示す構成図である。
【図2】図1に示す装置の制御装置を示すブロック構成
図である。
【図3】加工軌跡を微小な直線部分にサーボ分割する時
の状態を示す図である。
【図4】本発明における相対移動指令装置の相対移動指
令信号を出力する方式の一例を説明するための各入出力
データの関係を示す図である。
【図5】本発明装置におけるワイヤ電極の相対移動を模
式的に示した拡大図である。
【図6】本発明方法と従来の加工電圧一定制御方法で加
工を行なった時のワイヤガイドの軌跡とX、Y方向の速
度の関係を模式的に示す図である。
【図7】本発明装置の第2実施例を示す構成図である。
【図8】図7中の制御装置を示すブロック構成図であ
る。
【図9】間隙距離と静電気力との関係を種々の板厚につ
いて示したグラフを示す図である。
【図10】従来の加工方法によって加工面にうねりが発
生する状態を示す図である。
【符号の説明】
2 被加工物 4 加工面 6 ワイヤ電極 14 上側ワイヤガイド 16 通電体 18 相対移動装置 20X、20Y 加工テーブル 30 制御装置 31 検出装置 32 サーボ制御装置 34 主演算装置 38 相対移動指令装置 40 駆動パルス発生装置 46 基準電圧設定部 48 減算器 50 直交方向演算部 52 サーボ指令発生部

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワイヤ電極と被加工物との間隙に所定の
    放電加工用の電圧を印加しつつ、予め設定された所定の
    加工経路に沿って前記ワイヤ電極と被加工物とを相対移
    動させると共に、前記間隙の電圧を検出し、この検出さ
    れた電圧に応じて前記加工経路に対して略直交する方向
    に前記ワイヤ電極と被加工物とを相対移動させるように
    したことを特徴とするワイヤカット放電加工方法。
  2. 【請求項2】 前記検出された電圧と予め設定された基
    準電圧とを比較し、前記検出された電圧が前記基準電圧
    に一致するように前記加工経路に対して略直交する方向
    に前記ワイヤ電極と被加工物とを相対移動させるように
    したことを特徴とする請求項1に記載のワイヤカット放
    電加工方法。
  3. 【請求項3】 前記放電加工用の電圧は、1MHz以上
    の高周波電圧であることを特徴とする請求項1または2
    記載のワイヤカット放電加工方法。
  4. 【請求項4】 一対のワイヤガイド間に張架されるワイ
    ヤ電極と被加工物との間隙に放電加工用の電圧を印加す
    る電源装置と、前記間隙の電圧を検出する検出装置と、
    前記ワイヤ電極と前記被加工物とを相対的に移動させる
    相対移動装置と、予め設定された所定の加工経路に沿っ
    て前記ワイヤ電極と被加工物とを相対移動させると共に
    前記間隙の電圧に応じて前記所定の加工経路に対して略
    直交する方向にサーボさせるように前記相対移動装置を
    制御する制御装置とを含んでなるワイヤカット放電加工
    装置。
  5. 【請求項5】 前記制御装置は、前記加工経路に基づく
    相対移動軌跡と前記略直交する方向のサーボに基づく相
    対移動軌跡との合成された相対移動軌跡にしたがって前
    記ワイヤ電極と前記被加工物とを相対移動させるように
    前記相対移動装置を制御することを特徴とする請求項4
    記載のワイヤカット放電加工装置。
  6. 【請求項6】 前記制御装置は、予め設定された所定の
    加工経路に基づいて前記加工経路に沿って相対移動させ
    る軌跡指令信号を出力する主演算装置と、前記検出され
    た間隙の電圧と基準電圧とを比較して得られた偏差に基
    づいて前記加工経路に略直交する方向へ相対移動させる
    サーボ指令信号を出力するサーボ制御装置と、前記サー
    ボ指令信号と前記軌跡指令信号とに基づいて前記ワイヤ
    電極と被加工物を相対移動させる相対移動指令信号を出
    力する相対移動指令装置と、前記相対移動指令信号を前
    記相対移動装置の各モータの制御パルスに変換して出力
    する駆動パルス発生装置とを含んでなる請求項4または
    5記載のワイヤカット放電加工装置。
  7. 【請求項7】 少なくとも前記加工経路に沿って相対移
    動する方向と移動量とを示す軌跡データと予め設定され
    た送り速度を示す設定速度データとを含む軌跡指令信号
    を出力する主演算装置と、前記加工経路に略直交する軌
    跡の方向を示す直交方向データと前記偏差電圧データと
    を含むサーボ指令信号を出力するサーボ制御装置と、前
    記軌跡指令信号と前記サーボ指令信号とから前記相対移
    動装置の各移動装置を同期させてそれぞれ所定方向に所
    定移動量移動させる相対移動指令信号を出力する相対移
    動指令装置と、前記相対指令信号を前記各移動装置のモ
    ータの制御パルスにそれぞれ変換して出力する駆動パル
    ス発生装置とを含んでなる請求項4または5記載のワイ
    ヤカット放電加工装置。
  8. 【請求項8】 前記制御装置は、前記加工経路に基づい
    て前記加工経路に沿って相対移動させる軌跡指令信号と
    前記加工経路に略直交する軌跡方向を示す直交方向信号
    とを出力する主演算装置と、前記検出された間隙の電圧
    と基準電圧とを比較しその偏差に基づく偏差電圧信号を
    出力するサーボ制御装置と、前記軌跡指令信号と前記直
    交方向信号と前記偏差電圧信号とに基づいて前記ワイヤ
    電極と被加工物とを相対移動させる相対移動指令信号を
    出力する相対移動指令装置と、前記相対移動指令信号を
    前記相対移動装置の各モータの制御パルスに変換して出
    力する駆動パルス発生装置とを含んでなる請求項4また
    は5記載のワイヤカット放電加工装置。
  9. 【請求項9】 少なくとも前記加工経路に沿って相対移
    動する方向と移動量とを示す軌跡データと予め設定され
    た送り速度を示す設定速度データとを含む軌跡指令信号
    を出力するとともに前記加工経路に略直交する軌跡の方
    向を示すデータを含む直交方向信号とを出力する主演算
    装置と、前記偏差電圧信号を出力するサーボ制御装置
    と、前記軌跡指令信号と前記サーボ指令信号とから前記
    相対移動の各移動装置を同期させてそれぞれ所定方向に
    所定移動量移動させる相対移動指令信号を出力する相対
    移動装置と、前記相対指令信号を前記各移動装置のモー
    タの制御パルスにそれぞれ変換して出力する駆動パルス
    発生装置とを含んでなる請求項4または5記載のワイヤ
    カット放電加工装置。
  10. 【請求項10】 前記加工経路に基づく相対移動軌跡を
    分割しその分割された前記相対移動軌跡毎に前記軌跡指
    令信号を出力する主演算装置とを含んでなる請求項6乃
    至9に記載のワイヤカット放電加工装置。
  11. 【請求項11】 前記電源装置は、周波数1MHz以上
    の高周波交流電流を前記間隙に供給することを特徴とす
    る請求項4乃至7のいずれかに記載のワイヤカット放電
    加工装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP2295180A2 (en) 2009-09-11 2011-03-16 Fanuc Corporation Wire electric discharge machining method, apparatus therefor, wire electric discharge machining program creating device, and computer-readable recording medium in which program for creating wire electric discharge machining program is stored
CN102039458A (zh) * 2009-10-16 2011-05-04 发那科株式会社 电火花线切割机的精加工方法及电火花线切割机
JP2020175479A (ja) * 2019-04-19 2020-10-29 ファナック株式会社 ワイヤ放電加工機およびワイヤ放電加工方法

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