JP4141916B2

JP4141916B2 - 生体組織接着剤塗布用具

Info

Publication number: JP4141916B2
Application number: JP2003273091A
Authority: JP
Inventors: 清貴有川
Original assignee: Sumitomo Bakelite Co Ltd
Current assignee: Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date: 2003-07-10
Filing date: 2003-07-10
Publication date: 2008-08-27
Anticipated expiration: 2023-07-10
Also published as: JP2005028009A

Description

本発明は、生体組織接着剤塗布用具に関する。例えば、主に複数成分系製剤として適用される組織接着剤の塗布用具に関するものであり、肝臓や肺の切除断端や消化管、また頭部の硬膜などの術後閉鎖部の止血閉鎖など狭い術野での使用、及び内視鏡的手術等の閉鎖された空間にも適応できる、生体の患部に噴霧して塗布するための生体組織接着剤塗布用具に関する。

繊維素原（フィブリノゲン）は、いわゆる血液凝固カスケードの最終段階に存在する非常に重要な役割を担う凝固因子である。フィブリノゲンは、例えば損傷後の血液凝固系の活性化において、トロンビンにより、その可溶性形態から止血及び創傷治療に重要な寄与をする不溶性のフィブリンに変換される。この血液凝固の最終相の原理を利用した組織接着剤が開発され、外科手術において肝臓または脾臓のような軟部器官の縫合代用の接着剤として、または縫合補助剤として使用されている。同時に、幅広い臨床の現場で応用されている。

一般には、シリンジに別々に収納されたフィブリノゲン溶液およびトロンビン溶液を別々、または同時に適用部位へ滴下する方法が取られていたが、接着効果が不十分であるため近年は、２本のシリンジに収納されたフィブリノゲン溶液およびトロンビン溶液を同時に射出し、無菌ガスを利用して射出させた２液を霧状に噴霧して混合するスプレー塗布法が普及し始めている。このような器具の好適な例は、例えばＷＯ／９４７４２０号に開示されている。

しかしながら、このような無菌ガスを利用したスプレーは、近年頻繁に実施されてきている内視鏡下手術のように閉じた空間での手術には、気腹されているため使用できず、また脳下垂体の手術等のように狭く周囲が囲まれている部位での使用は、接着剤が無菌ガスで飛ばされてしまい、効率のよい塗布ができないという問題があった。

一方、図６に示した特許第２９２３４４８号のように１流体ノズル構造のスプレーヘッド、所謂アトマイザを応用した液体の加圧のみで噴霧を行う塗布用具が実用化されている。これは、スプレーヘッド（２５）内部に２液の混合を行う予備混合室（２６）を設け、混合された液体を噴出口（２７）より噴霧する仕組みであるが、スプレーヘッド（２５）内部で２液の混合が行われるため、噴霧を一時中断した場合の噴霧の再開が不可能であるばかりか、２液の混合により比較的粘度が高くなっている液体を噴霧するため良好な噴霧を得難いという問題があった。

また２液を内部で混合することに起因するスプレーヘッド内での液粘度の増加現象は薬液流通路の長さの制限となり、例えば狭く奥まった部位への塗布の際に必要な薬液流通路の長さを得ることが出来ず、用途が限られていた。

また、内視鏡下で使用する際、塗布目的部位が狭く屈曲した部位にある場合、ノズルを動かして塗布液を均一に噴霧する操作が困難であり、ノズルを動かさずとも広範囲に均一に噴霧できる用具が望まれていた。
ＷＯ／９４７４２０号公報特許第２９２３４４８号公報

本発明は、従来のこのような問題点を解決することを目的とするもので、無菌ガスを用いなくとも生体組織接着剤の安定且つ良好な噴霧による高強度の塗膜が得られ、間欠使用を可能とし、更にチューブ等によるスプレーヘッド部までの薬液流通路の延長が可能で、塗布目的部位からノズルまでの距離が近くても広範囲に噴霧できる噴霧角の大きな塗布用具を提供するものである。

（１）、複数の薬液を塗布するための塗布用具であって、薬液の種類毎に１流体ノズル構造のスプレーヘッド、薬液流通路、薬液注入口を有し、１流体ノズル構造のスプレーヘッドと薬液注入口とがチューブに埋設された薬液流通路によって気密接続された生体組織接着剤塗布用具において、スプレーヘッドが、少なくとも外筒と外筒に挿入固定される中子１から構成され、中子１には総断面積が０．５ｍｍ２以下のらせん状薬液流路が付設されており、中子１の端部は円錐状に広がったことを特徴とする生体組織接着剤塗布用具。
（２）複数の薬液を塗布するための塗布用具であって、薬液の種類毎に１流体ノズル構造のスプレーヘッド、薬液流通路、薬液注入口を有し、１流体ノズル構造のスプレーヘッドと薬液注入口とがチューブに埋設された薬液流通路によって気密接続された生体組織接着剤塗布用具において、前記スプレーヘッドが中空状の中子１と、前記中子１の中に軸方向から側面に通じる流路を持ち、端部が円錐状に広がった形状である中子２が挿入固定されていることを特徴とする生体組織接着剤塗布用具。

本発明の生体組織接着剤塗布用具を用いれば、薬液毎に個別に１流体ノズル構造のスプレーヘッドを設けることにより、無菌ガスを使用せずとも生体組織接着剤の安定且つ良好な噴霧による高強度の塗膜を得られ、間欠使用を可能とし、更にチューブ等によるスプレーヘッド部までの薬液流通路の延長が可能であり、組織接着剤の塗布用具として極めて有用である。

本発明の生体組織接着剤塗布用具は薬液流通路（１）、薬液注入口（２）を有し、１流体ノズル構造のスプレーヘッド（３）と薬液注入口（２）とが薬液流通路（１）によってスプレーヘッド（３）と気密接続されたことを特徴とする生体組織接着剤塗布用具である（図１）。スプレーヘッド（３）は少なくとも、外筒（５）、中子１（６）から構成される。以下スプレーヘッド（３）について詳細に構造を説明する（図２）。

（１）外筒
外筒（５）は、スプレーヘッド（３）の大きさとほぼ等しくなる。塗布操作は、狭い空間での作業となることが多く、スプレーヘッド（３）は、可能な限りコンパクトな形状となっている方が術野を確保しやすく好ましい。外筒（５）は、円筒状で小さい方が好ましく、直径５mm以下であることが好ましい。内径は可能な限り大きく確保する方が好ましい。長さは１０ｍｍ以下であることが好ましい。

外筒（５）には、中子１（６）を固定し位置決めするリブ（５１）が付設される方が、組立てが容易となり好ましい。外筒（５）の一端には、薬液流通路（１）が付設される。外筒（５）は、生体組織と接触するため、生体に対する刺激がない材料で作製することが望ましい。アルミニウムやステンレス、チタニウム合金で作製しても良いが、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂等の汎用のプラスチック樹脂材料で射出成形にて作製するほうが安価であり好ましい。

（２）中子１
中子１（６）は、外筒（５）に挿入固定される（図２）。中子１（６）には、薬液出口方向に円錐状に広がった傘部分（６１）とらせん状流路（６２）が付設される。中子２（７）を付設する場合は、中心軸付近にらせん状流路（６２）とは別の流路（６３）が付設される（図３）。傘部分（６１）の大きさは、外筒（５）の直径と同等程度に設計することが好ましく、直径５mm以下にすることが更に好ましい。傘部分（６１）の角度は、図２に示すように１５〜６０°に設計することが好ましい。らせん状流路（６２）は、複数個付設することが好ましいが、2〜4つ付設すれば十分である。らせん状流路（６２）の寸法は、流路出口の総断面積が０．５mm²以下となるようにした方が少ない流量で微粒子となるため好ましい。

中子１（６）と外筒（５）とのクリアランス（図２のＡ）は、塗布液の実用突出速度で乱流となるようなに寸法値を調整する。アルミニウムやステンレス、チタニウム合金で作製しても良いが、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂等の汎用のプラスチック樹脂材料で射出成形にて作製するほうが安価であり好ましい。

（２）中子２
噴霧半径を大きくしたい場合、中子１（６）の傘部分（６１）の角度を大きくすれば良いが、噴霧される形態がドーナツ型（図４−Ａ）となり、中心への噴霧が少なくなる。このような場合は、中子２（７）を中子１（６）に付設することにより、中心への噴霧が可能となる。噴霧される形態を図４−Ｂに示した。

中子２（７）は、傘部（７１）と中子１（６）に接続する接続部（７２）からなる。中子２の形状は、中子１と同じ構造でよいが、寸法が小さくなり作製が困難となる場合は、図５に示すような構造としても良い。その場合、中子２（７）には流路（７４）が付設され、流路（７４）は、接続部（７２）の内部から傘部（７１）の表面に連通するように付設される。アルミニウムやステンレス、チタニウム合金で作製しても良いが、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂等の汎用のプラスチック樹脂材料で射出成形にて作製するほうが安価であり好ましい。

本発明の生体接着剤塗布用具は、無菌ガスを使用しなくても塗布液を噴霧することが可能であり、噴霧角度が広範囲である。これらの特性が要求されるさまざまな分野例えば、内視鏡下で使用する生体接着剤塗布用具として有用である。

本発明の一実施例の生体接着剤塗布用具を示す斜視図である。本発明のスプレーヘッドの内部構造を示す断面図である。中子２を用いる場合のスプレーヘッドの内部構造を示す断面図である。中子２を用いた場合（Ｂ）と用いない場合（Ａ）の噴霧形態の比較を示す参考図である。中子２を用いた別の実施例のスプレーヘッド内部構造を示す断面図である。従来の塗布用具の斜視図及び断面図である。

符号の説明

１薬液流通路
２薬液注入口
３スプレーヘッド
４シリンジ等の送液手段
５外筒
５１リブ
６中子１
６１傘部
６２らせん状流路
６３流路
７中子２
７１傘部
７２接続部
７３流路

Claims

複数の薬液を塗布するための塗布用具であって、薬液の種類毎に１流体ノズル構造のスプレーヘッド、薬液流通路、薬液注入口を有し、１流体ノズル構造のスプレーヘッドと薬液注入口とがチューブに埋設された薬液流通路によって気密接続された生体組織接着剤塗布用具において、スプレーヘッドが、少なくとも外筒と外筒に挿入固定される中子１から構成され、中子１には総断面積が０．５ｍｍ２以下のらせん状薬液流路が付設されており、中子１の端部は円錐状に広がったことを特徴とする生体組織接着剤塗布用具。
複数の薬液を塗布するための塗布用具であって、薬液の種類毎に１流体ノズル構造のスプレーヘッド、薬液流通路、薬液注入口を有し、１流体ノズル構造のスプレーヘッドと薬液注入口とがチューブに埋設された薬液流通路によって気密接続された生体組織接着剤塗布用具において、前記スプレーヘッドが中空状の中子１と、前記中子１の中に軸方向から側面に通じる流路を持ち、端部が円錐状に広がった形状である中子２が挿入固定されていることを特徴とする生体組織接着剤塗布用具。