JP4141807B2 - 半導体レーザ駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザプリンタの光書き込み、光データ通信、光ディスク装置等に使用される半導体レーザ駆動回路に関し、特にレーザダイオードの駆動を行う半導体レーザ駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体レーザであるレーザダイオードは、小型で安価であり、しかも電流を流すだけで容易にレーザ光を得ることができるため、プリンタ・光ディスク・光通信等の分野で広く使用されている。しかし、そのレーザダイオードの電流−光出力特性は温度依存性を有するため、一定の光出力を得るためにはAPC(Automatic Power Control)と呼ばれる特別な発光量制御を行う必要があった。該APCは、レーザダイオードに内蔵されているPinPD(PIN Photo Diode:以下フォトダイオードと呼ぶ)の出力電流を用いて行われる。フォトダイオードはレーザダイオードの発光量に応じた電流を出力し、該出力電流は温度依存性を持たないため、フォトダイオードの出力電流値をモニタすることでレーザダイオードの光出力を一定に制御することができる。
【0003】
図6は、従来の半導体レーザ駆動装置の例を示した図である。図6において、制御回路109から出力されたDATA信号Sdがアサートされると、スイッチ回路105がオンして電圧−電流変換回路104とレーザダイオードLDのカソードとを接続し、レーザダイオードLDが発光する。また、DATA信号Sdは、遅延回路108で遅延されてASW制御信号Saとしてアナログスイッチ102に出力され、DATA信号Sdがアサートされて該遅延回路108からのASW制御信号Saがアサートされると、アナログスイッチ102はオンしてAPC動作が開始される。
【0004】
フォトダイオードPDは、レーザダイオードLDの発光量に比例した電流を可変抵抗107に供給し、可変抵抗107の両端電圧である電圧Vpdが上昇する。該電圧Vpdは、演算増幅器101の反転入力端に入力され、演算増幅器101の非反転入力端には基準電圧発生回路106からの所定の基準電圧Vrが入力されている。このため、電圧Vpdが基準電圧Vrになるように電圧−電流変換回路104からレーザダイオードLDに供給される電流量が制御される。
【0005】
ここで、遅延回路108が必要な理由について説明する。
図6で示すように、フォトダイオードPDには寄生容量CPが存在し、該寄生容量CPは等価的にフォトダイオードPDに並列に接続されている。レーザダイオードLDが発光した当初は、フォトダイオードPDから供給される電流の多くは寄生容量CPを充電するために使用され、可変抵抗107にはわずかしか電流が流れない。時間が経過するにしたがって、寄生容量CPへの充電電流が減少し、可変抵抗107に流れる電流が増加するようになるため、電圧Vpdは図7に示すようにある程度の時間をかけて上昇する。この上昇速度は、寄生容量CPが大きいほど、またレーザダイオードLDの発光量が小さいほど遅くなり、使用するレーザダイオードLDとそれに組み込まれているフォトダイオードPDの特性によって大きく変動するものである。
【0006】
DATA信号Sdがアサートされると同時にアナログスイッチ102をオンさせてAPC動作を行うと、前述したように電圧Vpdの変化が遅延する影響で、レーザダイオードLDの発光量が目標値に達しているにもかかわらず、電圧Vpdが目標電圧に達していないため、演算増幅器101は出力電圧を増加させてレーザダイオードLDに供給される電流が増加し、レーザダイオードLDの発光量が増加してしまう。逆に、電圧Vpdが基準電圧Vrに達した後は、レーザダイオードLDの電流を低下させ過ぎて、図8に示すようにレーザダイオードLDの発光量はハンチングを起こしてしまい、ACP動作が正常に行われるまでに長い時間を要していた。
【0007】
そこで、DATA信号Sdを、レーザダイオードLDが発光してから、電圧Vpdが基準電圧Vrの近傍になるまでの時間、遅延回路108で遅延させてから、アナログスイッチ102に出力してAPC動作を開始させるようにすることで、図8に示したような発光量のハンチングを防止することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、フォトダイオードPDの寄生容量CPやフォトダイオードPDから流れる電流の各バラツキによって、電圧Vpdの応答時間は、図7に示すように応答の速いフォトダイオードPDの場合と応答の遅いフォトダイオードPDの場合とで大きくばらつく。そこで、遅延回路108の遅延時間は、最も応答の遅いフォトダイオードPDを使用した場合の時間に設定することになるが、このようにすると、応答の速いフォトダイオードPDを使用した場合でも、APC動作を開始までの時間を短縮することができないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、フォトダイオードPDの応答速度に合わせてAPC動作を開始することができるようにして、APC動作開始までの時間を短縮させることができる半導体レーザ駆動装置を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る半導体レーザ駆動装置は、レーザダイオードの発光量をモニタして該発光量に応じた電流を出力するフォトダイオードの出力電流を検出し、該検出した出力電流に基づいて前記レーザダイオードの発光量が所定値になるように制御するAPC動作を行う半導体レーザ駆動装置において、
前記レーザダイオードの発光量を検出し、該検出した発光量を電圧に変換して出力する発光量検出回路部と、
入力された電圧を電流に変換して前記レーザダイオードに供給する電圧−電流変換回路部と、
前記発光量検出回路部からの出力電圧があらかじめ設定された所定値になるように該電圧−電流変換回路部の入力電圧を制御して前記レーザダイオードの発光量を制御する発光量制御回路部と、
入力された第1制御信号に応じて、該発光量制御回路部から出力された電圧の前記電圧−電流変回路部への出力制御を行う第1スイッチ回路部と、
前記発光量制御回路部から該第1スイッチ回路部を介して前記電圧−電流変換回路部に出力された電圧を保持するコンデンサからなる電圧保持回路部と、
入力された第2制御信号に応じて、前記電圧−電流変換回路部から出力された電流の前記レーザダイオードへの出力制御を行う第2スイッチ回路部と、
前記第2スイッチ回路部に対して、第2制御信号を出力して動作制御を行う制御回路部と、
該制御回路部から出力された第2制御信号を設定された時間遅延させて前記第1制御信号を生成し、該生成した第1制御信号を前記第1スイッチ回路部に出力する、抵抗とコンデンサの時定数によって遅延時間が設定される遅延回路部と、
を備え、
前記遅延回路部は、
直列に接続された複数の抵抗と、
該各抵抗に対応して並列に接続された各スイッチ素子と、
前記各抵抗と各スイッチ素子で形成された回路を介して前記第2制御信号が入力される、所定の容量を有するコンデンサと、
を備え、
前記制御回路部は、前記各スイッチ素子のスイッチング制御を行って、前記複数の抵抗と前記コンデンサで形成される回路の時定数を変え前記遅延回路部の遅延時間を所望の値に設定し、前記遅延回路部は、前記第1スイッチ回路部に対して、前記第2スイッチ回路部が前記電圧−電流変換回路部から出力された電流を前記レーザダイオードへ出力すると、設定された遅延時間後に前記発光量制御回路部から出力された電圧を前記電圧−電流変回路部へ出力させ、前記第2スイッチ回路部が前記電圧−電流変換回路部から出力された電流の前記レーザダイオードへの出力を停止すると、設定された遅延時間後に前記発光量制御回路部から出力された電圧の前記電圧−電流変回路部への出力を停止させるものである。
【0013】
また、この発明に係る半導体レーザ駆動装置は、レーザダイオードの発光量をモニタして該発光量に応じた電流を出力するフォトダイオードの出力電流を検出し、該検出した出力電流に基づいて前記レーザダイオードの発光量が所定値になるように制御するAPC動作を行う半導体レーザ駆動装置において、
前記レーザダイオードの発光量を検出し、該検出した発光量を電圧に変換して出力する発光量検出回路部と、
入力された電圧を電流に変換して前記レーザダイオードに供給する電圧−電流変換回路部と、
前記発光量検出回路部からの出力電圧があらかじめ設定された所定値になるように該電圧−電流変換回路部の入力電圧を制御して前記レーザダイオードの発光量を制御する発光量制御回路部と、
入力された第1制御信号に応じて、該発光量制御回路部から出力された電圧の前記電圧−電流変回路部への出力制御を行う第1スイッチ回路部と、
前記発光量制御回路部から該第1スイッチ回路部を介して前記電圧−電流変換回路部に出力された電圧を保持するコンデンサからなる電圧保持回路部と、
入力された第2制御信号に応じて、前記電圧−電流変換回路部から出力された電流の前記レーザダイオードへの出力制御を行う第2スイッチ回路部と、
前記第2スイッチ回路部に対して、第2制御信号を出力して動作制御を行う制御回路部と、
該制御回路部から出力された第2制御信号を、抵抗とコンデンサの時定数によって設定された時間遅延させて前記第1制御信号を生成し、該生成した第1制御信号を前記第1スイッチ回路部に出力する遅延回路部と、
を備え、
前記遅延回路部は、
直列に接続された複数の抵抗と、
該各抵抗に対応して並列に接続された各ヒューズと、
前記各抵抗と各ヒューズで形成された回路を介して前記第2制御信号が入力される、所定の容量を有するコンデンサと、
で構成され、
前記遅延回路部は、前記各ヒューズがあらかじめ選択的に切断されることにより前記時定数が設定されて前記遅延時間が所望の値に設定され、前記第1スイッチ回路部に対して、前記第2スイッチ回路部が前記電圧−電流変換回路部から出力された電流を前記レーザダイオードへ出力すると、設定された遅延時間後に前記発光量制御回路部から出力された電圧を前記電圧−電流変回路部へ出力させ、前記第2スイッチ回路部が前記電圧−電流変換回路部から出力された電流の前記レーザダイオードへの出力を停止すると、設定された遅延時間後に前記発光量制御回路部から出力された電圧の前記電圧−電流変回路部への出力を停止させるものである。
【0014】
また、前記電圧−電流変換回路部、発光量制御回路部、第1スイッチ回路部、電圧保持回路部、第2スイッチ回路部、制御回路部及び遅延回路部は、1つのICに集積されるようにしてもよい。
【0015】
また、この発明に係る半導体レーザ駆動装置は、レーザダイオードの発光量をモニタして該発光量に応じた電流を出力するフォトダイオードの出力電流を検出し、該検出した出力電流に基づいて前記レーザダイオードの発光量が所定値になるように制御するAPC動作を行う半導体レーザ駆動装置において、
前記レーザダイオードの発光量を検出し、該検出した発光量を電圧に変換して出力する発光量検出回路部と、
入力された電圧を電流に変換して前記レーザダイオードに供給する電圧−電流変換回路部と、
前記発光量検出回路部からの出力電圧があらかじめ設定された所定値になるように該電圧−電流変換回路部の入力電圧を制御して前記レーザダイオードの発光量を制御する発光量制御回路部と、
入力された第1制御信号に応じて、該発光量制御回路部から出力された電圧の前記電圧−電流変回路部への出力制御を行う第1スイッチ回路部と、
前記発光量制御回路部から該第1スイッチ回路部を介して前記電圧−電流変換回路部に出力された電圧を保持するコンデンサからなる電圧保持回路部と、
入力された第2制御信号に応じて、前記電圧−電流変換回路部から出力された電流の前記レーザダイオードへの出力制御を行う第2スイッチ回路部と、
前記第2スイッチ回路部に対して、第2制御信号を出力して動作制御を行う制御回路部と、
該制御回路部から出力された第2制御信号を、抵抗とコンデンサの時定数によって設定された時間遅延させて前記第1制御信号を生成し、該生成した第1制御信号を前記第1スイッチ回路部に出力する遅延回路部と、
を備え、
前記遅延回路部は、前記第1スイッチ回路部に対して、前記第2スイッチ回路部が前記電圧−電流変換回路部から出力された電流を前記レーザダイオードへ出力すると、設定された遅延時間後に前記発光量制御回路部から出力された電圧を前記電圧−電流変回路部へ出力させ、前記第2スイッチ回路部が前記電圧−電流変換回路部から出力された電流の前記レーザダイオードへの出力を停止すると、設定された遅延時間後に前記発光量制御回路部から出力された電圧の前記電圧−電流変回路部への出力を停止させ、前記電圧−電流変換回路部、発光量制御回路部、第1スイッチ回路部、電圧保持回路部、第2スイッチ回路部、制御回路部及び遅延回路部のコンデンサは、1つのICに集積され、前記遅延回路部の抵抗は該ICに外付けされるようにしたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、図面に示す実施の形態に基づいて、本発明を詳細に説明する。
第1の実施の形態.
図1は、本発明の第1の実施の形態における半導体レーザ駆動装置の例を示した図である。
図1において、半導体レーザ駆動装置1は、演算増幅器2、アナログスイッチ3、演算増幅器2の出力電圧を記憶するホールドコンデンサ4、電圧−電流変換回路5、入力された制御信号に応じてスイッチングを行うスイッチ回路6、可変抵抗7及び所定の基準電圧Vrを生成して出力する基準電圧発生回路8を備えている。
【0017】
更に、半導体レーザ駆動装置1は、アナログスイッチ3とスイッチ回路6の動作制御をそれぞれ行う制御回路9、該制御回路9から遅延時間が設定される遅延回路10及びフォトダイオードPDを備えている。なお、図1では、演算増幅器2の出力電圧が大きくなるほどレーザダイオードLDに流れる電流が増加する場合を例にして示している。また、演算増幅器2及び基準電圧発生回路8は発光量制御回路部をなし、アナログスイッチ3は第1スイッチ回路部を、ホールドコンデンサ4は電圧保持回路部を、スイッチ回路6は第2スイッチ回路部を、可変抵抗7及びフォトダイオードPDは発光量検出回路部を、制御回路9は制御回路部を、遅延回路10は遅延回路部をそれぞれなす。
【0018】
演算増幅器2の非反転入力端と接地電圧との間に基準電圧発生回路8が接続され、演算増幅器2の非反転入力端には基準電圧発生回路8からの基準電圧Vrが入力されている。演算増幅器2の出力端はアナログスイッチ3の一端に接続され、アナログスイッチ3の他端は電圧−電流変換回路5に接続されており、該接続部と接地電圧との間にはホールドコンデンサ4が接続されている。スイッチ回路6は、制御回路9から制御信号であるDATA信号Sdが入力されており、該DATA信号Sdは、遅延回路10で遅延されてASW制御信号Saとしてアナログスイッチ3に出力される。なお、ASW制御信号Saは第1制御信号を、DATA信号Sdは第2制御信号をそれぞれなす。
【0019】
遅延回路10は、制御回路9からの遅延時間設定信号Scによって遅延時間が設定され、入力されたDATA信号Sdを該設定された遅延時間だけ遅延させてアナログスイッチ3にASW制御信号Saとして出力する。アナログスイッチ3は、入力されたASW制御信号Saに応じてスイッチングを行い、ホールドコンデンサ4の高圧側電圧(以下、ホールドコンデンサ4の電圧と呼ぶ)をホールドするために、ホールドコンデンサ4と演算増幅器2の出力端との接続の切断を行う。
【0020】
電圧−電流変換回路5は、入力された電圧をレーザダイオードLDの駆動電流に変換するものであり、スイッチ回路6を介してレーザダイオードLDのカソードに接続され、レーザダイオードLDのアノードは電源電圧Vddに接続されている。スイッチ回路6は、制御回路9からDATA信号Sdが入力され、該入力されたDATA信号Sdに応じてスイッチングを行う。このことにより、スイッチ回路6は、レーザダイオードLDに駆動電流を供給するために、電圧−電流変換回路5とレーザダイオードLDとの接続制御を行う。DATA信号SdがアサートされてASW制御信号Saがアサートされると、アナログスイッチ3によって演算増幅器2の出力端にホールドコンデンサ4及び電圧−電流変換回路5がそれぞれ接続され、APC動作が開始される。
【0021】
一方、フォトダイオードPDのカソードは電源電圧に接続され、フォトダイオードPDのアノードと接地電圧との間に可変抵抗7が接続されている。また、フォトダイオードPDのアノードと可変抵抗7との接続部の電圧Vpdは、演算増幅器2の反転入力端に出力される。フォトダイオードPDは、レーザダイオードLDの発光量をモニタしレーザダイオードLDの発光量に比例した電流を可変抵抗7に供給する。可変抵抗7は、フォトダイオードPDから供給された電流を電圧Vpdに変換し、該電圧Vpdは演算増幅器2の反転入力端に出力される。
【0022】
演算増幅器2は、入力された電圧Vpdが基準電圧Vrに等しくなるように、電圧−電流変換回路5に入力される電圧を制御してレーザダイオードLDに供給する電流を制御する。また、ホールドコンデンサ4の電圧は、演算増幅器2の出力電圧で充電されているため、演算増幅器2の出力電圧と同じである。アナログスイッチ3がオフすると、このときの演算増幅器2の出力電圧が、ホールドコンデンサ4に記憶される。
【0023】
アナログスイッチ3とホールドコンデンサ4はサンプルホールド回路を形成しており、制御回路9は、APC期間中はスイッチ回路6をオンさせて電圧−電流変換回路5とレーザダイオードLDとを接続した後、遅延回路10に設定した遅延時間後にアナログスイッチ3をオンにし、演算増幅器2の出力電圧でホールドコンデンサ4を充電する。APC動作が終了する場合は、スイッチ回路6をオフさせて電圧−電流変換回路5とレーザダイオードLDとの接続を遮断した後、遅延回路10に設定した遅延時間後にアナログスイッチ3をオフにして、演算増幅器2の出力電圧がホールドコンデンサ4にホールドされる。
【0024】
図2は、遅延回路10の回路例を示した図である。
図2において、遅延回路10は、n(nは、n>1の自然数)個の抵抗R1〜Rnと、抵抗R1〜Rnの対応する抵抗にそれぞれ並列に接続されたn個のスイッチ素子SW1〜SWnと、コンデンサC1で構成されている。抵抗R1〜Rnは直列に接続され、該直列回路の一端にDATA信号Sdが入力され、該直列回路の他端と接地電圧との間にコンデンサC1が接続されている。スイッチ素子SW1〜SWnは、半導体集積回路に組み込まれた電子スイッチで構成され、制御回路9から出力された遅延時間設定信号Scに応じて、それぞれオン/オフが設定され、抵抗R1〜Rnの抵抗回路の合成抵抗値が設定される。該合成抵抗値とコンデンサC1の時定数から遅延回路10の遅延時間が設定される。
【0025】
抵抗R1〜Rnの抵抗値は同じでもよいが、それぞれ異なった値に、例えば2の倍数に重み付けした値にすることで、少ない抵抗で多くの合成抵抗値が得られる。具体的には、抵抗R1の抵抗値を1とすると、抵抗R2の抵抗値を2に、抵抗Rnの値を2n−1にする。
【0026】
このように、本第1の実施の形態における半導体レーザ駆動装置は、制御回路9からのDATA信号Sdに応じて遅延回路10の遅延時間を設定するようにしたことから、使用するレーザダイオードLDの特性に合わせて最適な遅延時間を設定することができ、レーザダイオードLDの発光パワーや発光量制御電圧範囲等の使用条件に合わせて、スイッチ回路のスイッチングを行ってからアナログスイッチをスイッチングさせる遅延時間を最適に設定することができ、APC動作開始までの時間を短縮させることができる。
【0027】
第2の実施の形態.
前記第1の実施の形態では、制御回路9からのDATA信号Sdに応じて遅延回路10の遅延時間を設定するようにしたが、制御回路9からの信号を使用せずに遅延回路の遅延時間を設定できるようにしてもよく、このようにしたものを本発明の第2の実施の形態とする。
図3は、本発明の第2の実施の形態における半導体レーザ駆動装置の例を示した図である。なお、図3では、図1と同じもの又は同様のものは同じ符号で示しており、ここではその説明を省略すると共に図1との相違点のみ説明する。
【0028】
図3における図1との相違点は、図1の遅延回路10の回路構成を変え制御回路9からの遅延時間設定信号Scを使用せずに遅延時間の設定が行えるようにしたことにあり、これに伴って、図1の遅延回路10を遅延回路31にし、これに伴って図1の半導体レーザ駆動装置1を半導体レーザ駆動装置30にしたことにある。
【0029】
図3において、半導体レーザ駆動装置30は、演算増幅器2、アナログスイッチ3、ホールドコンデンサ4、電圧−電流変換回路5、スイッチ回路6、可変抵抗7、基準電圧発生回路8、制御回路9、所望の遅延時間が設定される遅延回路31及びフォトダイオードPDを備えている。遅延回路31は、入力されたDATA信号Sdを該設定された遅延時間だけ遅延させてASW制御信号Saとしてアナログスイッチ3に出力する。なお、遅延回路31は、遅延回路部をなす。
【0030】
図4は、遅延回路31の回路例を示した図である。なお、図4では、図2と同じもの又は同様のものは同じ符号で示している。
図4において、遅延回路31は、抵抗R1〜Rnと、抵抗R1〜Rnの対応する抵抗に並列に接続されたn個のヒューズF1〜Fnと、コンデンサC1で構成されている。抵抗R1〜Rnは直列に接続され、該直列回路の一端にDATA信号Sdが入力され、該直列回路の他端と接地電圧との間にコンデンサC1が接続されている。ヒューズF1〜Fnは、所望の遅延時間が得られるように選択的に切断されて、抵抗R1〜Rnの抵抗回路の合成抵抗値が設定される。該合成抵抗値とコンデンサC1の時定数から遅延回路31の遅延時間が設定される。ヒューズF1〜Fnは、半導体集積回路に組み込まれており、レーザトリミング等を使用してヒューズを切断することで、所望の合成抵抗値を得る。
【0031】
このように、本第2の実施の形態における半導体レーザ駆動装置は、遅延回路31のヒューズF1〜Fnを選択的に切断することにより、遅延回路31の遅延時間を設定するようにしたことから、レーザトリミングを使用して、半導体集積回路に組み込まれたヒューズを切断することで、所望の合成抵抗値を得ることができ、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0032】
第3の実施の形態.
前記第1及び第2の各実施の形態では、複数の抵抗から所望の抵抗を選択して合成抵抗を生成することにより、遅延回路における所望の遅延時間を得るようにしたが、抵抗とコンデンサの時定数で遅延回路の遅延時間を設定する際、該抵抗をICに外付けするようにして、該外付け抵抗の抵抗値を変えることにより遅延回路の遅延時間を設定するようにしてもよく、このようにしたものを本発明の第3の実施の形態とする。
【0033】
図5は、本発明の第3の実施の形態における半導体レーザ駆動装置の例を示した図である。なお、図5では、図3と同じもの又は同様のものは同じ符号で示しており、ここではその説明を省略すると共に図3との相違点のみ説明する。
図5における図3との相違点は、図3の遅延回路31の回路構成を変え制御回路9からの遅延時間設定信号Scを使用せずに遅延時間の設定が行えるようにしたことにあり、これに伴って、図3の遅延回路31を遅延回路41にし、図3の半導体レーザ駆動装置30を半導体レーザ駆動装置40にした。
【0034】
図5において、半導体レーザ駆動装置40は、演算増幅器2、アナログスイッチ3、ホールドコンデンサ4、電圧−電流変換回路5、スイッチ回路6、可変抵抗7、基準電圧発生回路8、制御回路9、所望の遅延時間が設定される遅延回路41及びフォトダイオードPDを備えている。遅延回路41は、入力されたDATA信号Sdを該設定された遅延時間だけ遅延させてアナログスイッチ3にASW制御信号Saとして出力する。なお、遅延回路41は遅延回路部をなす。
【0035】
遅延回路41は、ICに外付けされた抵抗Rと、コンデンサC1で構成されている。抵抗Rの一端が接続された外部端子D2にDATA信号Sdが入力され、抵抗Rの他端が接続された外部端子D1と接地電圧との間にコンデンサC1が接続されている。演算増幅器2、アナログスイッチ3、ホールドコンデンサ4、電圧−電流変換回路5、スイッチ回路6、基準電圧発生回路8、制御回路9及び遅延回路41のコンデンサC1は1つのICに集積されており、該ICには、外部端子D1及びD2が設けられている。
【0036】
また、外部端子D1は、アナログスイッチ3の制御信号入力端に接続されている。制御回路9から出力されたDATA信号Sdは、遅延回路41の入力端をなす外部端子D2にも入力され、抵抗RとコンデンサC1の時定数で設定された遅延時間だけ遅延されて、ASW制御信号Saとしてアナログスイッチ3に出力される。
【0037】
このように、本第3の実施の形態における半導体レーザ駆動装置は、遅延回路41の抵抗RをICに外付けすることによって、前記第2の実施の形態と同様の効果を得ることができると共に、遅延回路の時定数を形成する抵抗値を広範囲に選択することができ、スイッチ素子やヒューズも不要となるため、安価でしかもより多種類のレーザダイオードに対応することができる。
【0038】
なお、前記第1及び第2の各実施の形態では、抵抗R1〜Rnを直列にした接続し、該各抵抗R1〜Rnに対応するスイッチ素子SW1〜SWn又は対応するヒューズF1〜Fnを並列に接続したが、これは一例であり、本発明はこれに限定するものではない。
【0039】
【発明の効果】
上記の説明から明らかなように、本発明の半導体レーザ駆動装置によれば、APC動作を開始させる遅延回路部の遅延時間を可変できるようにしたことから、レーザダイオードの特性に合わせて最適な遅延時間を選択することができ、APC動作を高速に行うことができる。
【0040】
また、遅延回路部の遅延時間の設定を抵抗値の切り替えで行えるようにしたことから、簡単な回路構成で遅延時間を容易に変えることができるため安価にシステムを構成することができる。
【0041】
また、遅延回路部の時定数を形成する抵抗をICに外付けするようにしたことから、より広範囲に時定数の抵抗値を選択することができ、スイッチ素子やヒューズ等も不要になるため、安価な構成で多くの種類のレーザダイオードに対して、それぞれのレーザダイオードの特性に合わせた最適な遅延時間を選択することができ、APC動作を高速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態における半導体レーザ駆動装置の例を示した図である。
【図2】 図1における遅延回路10の回路例を示した図である。
【図3】 本発明の第2の実施の形態における半導体レーザ駆動装置の例を示した図である。
【図4】 図3における遅延回路31の回路例を示した図である。
【図5】 本発明の第3の実施の形態における半導体レーザ駆動装置の例を示した図である。
【図6】 従来の半導体レーザ駆動装置の例を示した図である。
【図7】 APC動作時における図6の各信号例を示したタイミングチャートである。
【図8】 図6におけるレーザダイオードLDの発光量の特性例を示した図である。
【符号の説明】
1,30,40 半導体レーザ駆動装置
2 演算増幅器
3 アナログスイッチ
4 ホールドコンデンサ
5 電圧−電流変換回路
6 スイッチ回路
7 可変抵抗
8 基準電圧発生回路
9 制御回路
10,31,41 遅延回路
PD フォトダイオード
LD レーザダイオード
Claims (4)
- レーザダイオードの発光量をモニタして該発光量に応じた電流を出力するフォトダイオードの出力電流を検出し、該検出した出力電流に基づいて前記レーザダイオードの発光量が所定値になるように制御するAPC動作を行う半導体レーザ駆動装置において、
前記レーザダイオードの発光量を検出し、該検出した発光量を電圧に変換して出力する発光量検出回路部と、
入力された電圧を電流に変換して前記レーザダイオードに供給する電圧−電流変換回路部と、
前記発光量検出回路部からの出力電圧があらかじめ設定された所定値になるように該電圧−電流変換回路部の入力電圧を制御して前記レーザダイオードの発光量を制御する発光量制御回路部と、
入力された第1制御信号に応じて、該発光量制御回路部から出力された電圧の前記電圧−電流変回路部への出力制御を行う第1スイッチ回路部と、
前記発光量制御回路部から該第1スイッチ回路部を介して前記電圧−電流変換回路部に出力された電圧を保持するコンデンサからなる電圧保持回路部と、
入力された第2制御信号に応じて、前記電圧−電流変換回路部から出力された電流の前記レーザダイオードへの出力制御を行う第2スイッチ回路部と、
前記第2スイッチ回路部に対して、第2制御信号を出力して動作制御を行う制御回路部と、
該制御回路部から出力された第2制御信号を設定された時間遅延させて前記第1制御信号を生成し、該生成した第1制御信号を前記第1スイッチ回路部に出力する、抵抗とコンデンサの時定数によって遅延時間が設定される遅延回路部と、
を備え、
前記遅延回路部は、
直列に接続された複数の抵抗と、
該各抵抗に対応して並列に接続された各スイッチ素子と、
前記各抵抗と各スイッチ素子で形成された回路を介して前記第2制御信号が入力される、所定の容量を有するコンデンサと、
を備え、
前記制御回路部は、前記各スイッチ素子のスイッチング制御を行って、前記複数の抵抗と前記コンデンサで形成される回路の時定数を変え前記遅延回路部の遅延時間を所望の値に設定し、前記遅延回路部は、前記第1スイッチ回路部に対して、前記第2スイッチ回路部が前記電圧−電流変換回路部から出力された電流を前記レーザダイオードへ出力すると、設定された遅延時間後に前記発光量制御回路部から出力された電圧を前記電圧−電流変回路部へ出力させ、前記第2スイッチ回路部が前記電圧−電流変換回路部から出力された電流の前記レーザダイオードへの出力を停止すると、設定された遅延時間後に前記発光量制御回路部から出力された電圧の前記電圧−電流変回路部への出力を停止させることを特徴とする半導体レーザ駆動装置。 - レーザダイオードの発光量をモニタして該発光量に応じた電流を出力するフォトダイオードの出力電流を検出し、該検出した出力電流に基づいて前記レーザダイオードの発光量が所定値になるように制御するAPC動作を行う半導体レーザ駆動装置において、
前記レーザダイオードの発光量を検出し、該検出した発光量を電圧に変換して出力する発光量検出回路部と、
入力された電圧を電流に変換して前記レーザダイオードに供給する電圧−電流変換回路部と、
前記発光量検出回路部からの出力電圧があらかじめ設定された所定値になるように該電圧−電流変換回路部の入力電圧を制御して前記レーザダイオードの発光量を制御する発光量制御回路部と、
入力された第1制御信号に応じて、該発光量制御回路部から出力された電圧の前記電圧−電流変回路部への出力制御を行う第1スイッチ回路部と、
前記発光量制御回路部から該第1スイッチ回路部を介して前記電圧−電流変換回路部に出力された電圧を保持するコンデンサからなる電圧保持回路部と、
入力された第2制御信号に応じて、前記電圧−電流変換回路部から出力された電流の前記レーザダイオードへの出力制御を行う第2スイッチ回路部と、
前記第2スイッチ回路部に対して、第2制御信号を出力して動作制御を行う制御回路部と、
該制御回路部から出力された第2制御信号を、抵抗とコンデンサの時定数によって設定された時間遅延させて前記第1制御信号を生成し、該生成した第1制御信号を前記第1スイッチ回路部に出力する遅延回路部と、
を備え、
前記遅延回路部は、
直列に接続された複数の抵抗と、
該各抵抗に対応して並列に接続された各ヒューズと、
前記各抵抗と各ヒューズで形成された回路を介して前記第2制御信号が入力される、所定の容量を有するコンデンサと、
で構成され、
前記遅延回路部は、前記各ヒューズがあらかじめ選択的に切断されることにより前記時定数が設定されて前記遅延時間が所望の値に設定され、前記第1スイッチ回路部に対して、前記第2スイッチ回路部が前記電圧−電流変換回路部から出力された電流を前記レーザダイオードへ出力すると、設定された遅延時間後に前記発光量制御回路部から出力された電圧を前記電圧−電流変回路部へ出力させ、前記第2スイッチ回路部が前記電圧−電流変換回路部から出力された電流の前記レーザダイオードへの出力を停止すると、設定された遅延時間後に前記発光量制御回路部から出力された電圧の前記電圧−電流変回路部への出力を停止させることを特徴とする半導体レーザ駆動装置。 - 前記電圧−電流変換回路部、発光量制御回路部、第1スイッチ回路部、電圧保持回路部、第2スイッチ回路部、制御回路部及び遅延回路部は、1つのICに集積されることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体レーザ駆動装置。
- レーザダイオードの発光量をモニタして該発光量に応じた電流を出力するフォトダイオードの出力電流を検出し、該検出した出力電流に基づいて前記レーザダイオードの発光量が所定値になるように制御するAPC動作を行う半導体レーザ駆動装置において、
前記レーザダイオードの発光量を検出し、該検出した発光量を電圧に変換して出力する発光量検出回路部と、
入力された電圧を電流に変換して前記レーザダイオードに供給する電圧−電流変換回路部と、
前記発光量検出回路部からの出力電圧があらかじめ設定された所定値になるように該電圧−電流変換回路部の入力電圧を制御して前記レーザダイオードの発光量を制御する発光量制御回路部と、
入力された第1制御信号に応じて、該発光量制御回路部から出力された電圧の前記電圧−電流変回路部への出力制御を行う第1スイッチ回路部と、
前記発光量制御回路部から該第1スイッチ回路部を介して前記電圧−電流変換回路部に出力された電圧を保持するコンデンサからなる電圧保持回路部と、
入力された第2制御信号に応じて、前記電圧−電流変換回路部から出力された電流の前記レーザダイオードへの出力制御を行う第2スイッチ回路部と、
前記第2スイッチ回路部に対して、第2制御信号を出力して動作制御を行う制御回路部と、
該制御回路部から出力された第2制御信号を、抵抗とコンデンサの時定数によって設定された時間遅延させて前記第1制御信号を生成し、該生成した第1制御信号を前記第1スイッチ回路部に出力する遅延回路部と、
を備え、
前記遅延回路部は、前記第1スイッチ回路部に対して、前記第2スイッチ回路部が前記電圧−電流変換回路部から出力された電流を前記レーザダイオードへ出力すると、設定された遅延時間後に前記発光量制御回路部から出力された電圧を前記電圧−電流変回路部へ出力させ、前記第2スイッチ回路部が前記電圧−電流変換回路部から出力された電流の前記レーザダイオードへの出力を停止すると、設定された遅延時間後に前記発光量制御回路部から出力された電圧の前記電圧−電流変回路部への出力を停止させ、前記電圧−電流変換回路部、発光量制御回路部、第1スイッチ回路部、電圧保持回路部、第2スイッチ回路部、制御回路部及び遅延回路部のコンデンサは、1つのICに集積され、前記遅延回路部の抵抗は該ICに外付けされることを特徴とする半導体レーザ駆動装置。
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