JP4141180B2 - データ処理装置及びデータ処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両の輪重や横圧に関する時系列データを処理するデータ処理装置及びデータ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鉄道車両の車輪に加わる輪重Pや横圧Q等の荷重データをひずみゲージ等により計測し、これらを解析して脱線係数等を取得するデータ処理システムが知られている。このようなデータ処理システムにおいては、車輪に複数のひずみゲージが貼付されると共に、これらのひずみゲージによってブリッジ回路が構成され、このブリッジ回路から時系列的に出力されるデータを時系列データとして解析する。
【0003】
荷重の取得方法として一般的な間欠法において、ブリッジ回路から出力される時系列荷重データには、所定の周期毎に車輪に加わる荷重のデータが含まれ、また、この時系列荷重データには、車輪の温度変化や零点補正の誤差等により生ずるドリフト量を含んでいる。
【0004】
そして、従来は、例えば、特開平4−340433号公報に開示されているように、ひずみゲージのブリッジ出力に基づいて取得した時系列荷重データをローパスフィルタによって処理してドリフト量を取得し、元の時系列荷重データからこのドリフト量を減算することによりドリフト量を補正した時系列荷重データを取得し、さらに、このドリフト補正後の時系列荷重データから車輪に加わる荷重のデータを抽出していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ブリッジ回路から出力される時系列荷重データは、荷重データ以外の無意味なデータを多く含んでデータ量が大きく、これを用いて種々のデータ処理を行うと計算資源を浪費する。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、時系列荷重データを好適に処理できるデータ処理装置及びデータ処理方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るデータ処理装置は、鉄道車両の車輪に加わる荷重に関する情報を所定の周期で含む時系列荷重データを処理するデータ処理装置であって、所定の周期は鉄道車両の車輪が所定量回転するのに要する時間に対応し、時系列荷重データから荷重に関する情報を抽出し荷重に関する情報を荷重に関する情報が時系列荷重データにおいて含まれた順に配列してなる距離系列荷重データを生成する荷重抽出手段を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るデータ処理方法は、鉄道車両の車輪に加わる荷重に関する情報を所定の周期で含む時系列荷重データを処理するデータ処理方法であって、所定の周期は鉄道車両の車輪が所定量回転するのに要する時間に対応し、時系列荷重データから荷重に関する情報を抽出し荷重に関する情報を荷重に関する情報が時系列荷重データにおいて含まれた順に配列してなる距離系列荷重データを生成する荷重抽出ステップを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明のデータ解析装置及びデータ解析方法によれば、時系列荷重データから荷重に関する情報を抽出したのち、これらをその情報が含まれた順に配列してなる距離系列荷重データが生成される。このような距離系列荷重データにおいては、荷重に関する情報が抽出されているのでデータ量が小さくなり、後のデータ処理を行う場合の計算資源を節約できる。
【0010】
また、距離系列荷重データにおいては、抽出された荷重に関する情報が、時系列荷重データにおいて含まれた順に配列されている。時系列荷重データにおいて、荷重に関する情報は、車輪が所定量回転するのに要する時間毎のデータであるので、これを順に並べることにより車輪が所定量回転する毎の荷重に関する情報、すなわち、走行距離に対する荷重に関する情報である距離系列のデータとなり、この距離系列荷重データは車輪の回転速度、すなわち、鉄道車両の走行速度の要素を含まない。このため、距離系列荷重データに対して、鉄道車両の走行速度を考慮せずにデータ処理ができる。
【0011】
ここで、荷重に関する情報は、時系列荷重データを、水平軸を時間とし垂直軸を時系列荷重データの大きさとなるように表した場合に、時系列荷重データにおいて山状波形のピーク値又は谷状波形の谷底値として含まれ、また、山状波形と谷状波形とは時系列荷重データに交互に含まれ、データ解析装置において、荷重抽出手段は、時系列荷重データが所定の上限閾値を上回ってから所定の下限閾値を下回るまでの第一区間における時系列荷重データの最大値に基づいて荷重に関する情報を抽出し、さらに、時系列荷重データが下限閾値を下回ってから上限閾値を上回るまでの第二区間における時系列荷重データの最小値に基づいて荷重に関する情報を抽出することが好ましい。
【0012】
また、荷重に関する情報は、時系列荷重データを、水平軸を時間とし垂直軸を時系列荷重データの大きさとなるように表した場合に、時系列荷重データにおいて山状波形のピーク値又は谷状波形の谷底値として含まれ、また、山状波形と谷状波形とは時系列荷重データに交互に含まれ、データ解析方法において、荷重抽出ステップは、時系列荷重データが所定の上限閾値を上回ってから所定の下限閾値を下回るまでの第一区間における時系列荷重データの最大値に基づいて荷重に関する情報を抽出し、さらに、時系列荷重データが下限閾値を下回ってから上限閾値を上回るまでの第二区間における時系列荷重データの最小値に基づいて荷重に関する情報を抽出することが好ましい。
【0013】
これらによれば、上限閾値及び下限閾値を適切に設定することにより、山状波形を含む第一区間と、谷状波形を含む第二区間が取得される。ここで、第一区間の始点を定めるための閾値と終点を定めるための閾値とが互いに異なる値とされ、また、第二区間の始点を定めるための閾値と終点を定めるための閾値とが互いに異なる値とされ、閾値付近で時系列荷重データが振動する場合でも、山状波形を含む第一区間と谷状波形を含む第二区間とを好適に取得できる。また、第一区間の始点の閾値と、第二区間の終点の閾値とが同じとされると共に、第一区間の終点の閾値と、第二区間の始点の閾値とが同じとされるため、閾値のデータが2つですみ、より迅速かつ効率的にデータ処理を行える。また、このような第一区間から最大値を取得し、第二区間から最小値を求めることにより、荷重に関する情報を容易に取得できる。このため、荷重に関する情報の取得に、荷重に関する情報が現れる時刻に関する他の信号等を必要としない。
【0014】
ここで、データ解析装置において、荷重抽出手段は、第一区間で最大値に基づいて荷重に関する情報を抽出する際に、最大値が含まれた時刻と、第一区間よりも前の区間において荷重に関する情報が含まれた時刻と、の差に基づいて抽出の妥当性を判断し、さらに、第二区間で最小値に基づいて荷重に関する情報を抽出する際に、最小値が含まれた時刻と、第二区間よりも前の区間において荷重に関する情報が含まれた時刻と、の差に基づいて抽出の妥当性を判断することが好ましい。
【0015】
また、データ解析方法において、荷重抽出ステップは、第一区間で最大値に基づいて荷重に関する情報を抽出する際に、最大値が含まれた時刻と、第一区間よりも前の区間において荷重に関する情報が含まれた時刻と、の差に基づいて抽出の妥当性を判断し、さらに、第二区間で最小値に基づいて荷重に関する情報を抽出する際に、最小値が含まれた時刻と、第二区間よりも前の区間において荷重に関する情報が含まれた時刻と、の差に基づいて抽出の妥当性を判断することが好ましい。
【0016】
これらによれば、最大値や最小値が含まれた時刻と、その区間よりも前の区間で荷重に関する情報が含まれた時刻との差、すなわち、輪重に関する情報が含まれる時間間隔に基づいて、当該最大値や最小値が、真の情報か、ノイズであるかの判断がなされ、パルス状のノイズ等による不適当な最大値や最小値を荷重に関する情報として抽出することを防止できる。
【0017】
また、データ解析装置において、距離系列荷重データをローパスフィルタで処理してドリフト量を抽出し、ドリフト量に基づいて距離系列荷重データのドリフト補正を行う荷重ドリフト補正手段を備えることが好ましい。
【0018】
また、データ解析方法において、距離系列荷重データをローパスフィルタで処理してドリフト量を抽出し、ドリフト量に基づいて距離系列荷重データのドリフト補正を行う荷重ドリフト補正ステップを含むことが好ましい。
【0019】
これにより、距離系列荷重データから、零点ドリフト等のドリフト量がキャンセルされ、より精度の高い距離系列荷重データが得られる。
【0020】
また、データ解析装置において、荷重ドリフト補正手段は、抽出されたドリフト量に生ずる位相遅れを補正して距離系列荷重データのドリフト補正を行うことが好ましい。
【0021】
また、データ解析方法において、荷重ドリフト補正ステップは、抽出されたドリフト量に生ずる位相遅れを補正して距離系列荷重データのドリフト補正を行うことが好ましい。
【0022】
これにより、ローパスフィルタにより抽出されるドリフト量に生じる位相遅れが補正されて距離系列荷重データが補正されるので、一層精度の高い距離系列荷重データが得られる。
【0023】
また、データ解析装置において、距離系列荷重データから、荷重に関する情報を所定の個数以上含む区間であって、区間の両端以外の荷重に関する情報が区間の両端の荷重に関する情報より小さくなる区間を抽出すると共に、当該区間における荷重に関する情報に基づいて静的最小荷重値を取得する静的最小荷重取得手段を備えることが好ましい。これにより、静的最小輪重を簡易に取得することができる。
【0024】
また、データ解析方法において、距離系列荷重データから、荷重に関する情報を所定の個数以上含む区間であって、区間の両端以外の荷重に関する情報が区間の両端の荷重に関する情報より小さくなる区間を抽出すると共に、当該区間における荷重に関する情報に基づいて静的最小荷重値を取得する静的最小荷重取得ステップを含むことが好ましい。これにより、静的最小輪重を簡易に取得することができる。
【0025】
また、荷重は輪重であり、データ処理装置は、さらに、鉄道車両の車輪に加わる横圧に関する情報の時系列的なデータである時系列横圧データを取得し、輪重抽出手段は、時系列荷重データから輪重に関する情報を抽出する際に輪重に関する情報が含まれた各々の時刻に関する情報を取得し、輪重抽出手段で抽出された輪重に関する情報に各々対応して時系列横圧データのうち各々の輪重に関する情報が含まれた時刻を含む所定の時間における横圧に関する情報に基づいて輪重対応横圧情報を生成すると共に、輪重対応横圧情報を対応する時刻の順に配列した距離系列横圧データを生成する横圧抽出手段を備えることが好ましい。
【0026】
また、荷重は輪重であり、データ処理方法は、さらに、鉄道車両の車輪に加わる横圧に関する情報の時系列的なデータである時系列横圧データを取得する時系列横圧データ取得ステップを含み、輪重抽出ステップは、時系列荷重データから輪重に関する情報を抽出する際に輪重に関する情報が含まれた各々の時刻に関する情報を取得し、輪重抽出ステップで抽出された輪重に関する情報に各々対応して時系列横圧データのうち各々の輪重に関する情報が含まれた時刻を含む所定の時間における横圧に関する情報に基づいて輪重対応横圧情報を生成すると共に、輪重対応横圧情報を対応する時刻の順に配列した距離系列横圧データを生成する横圧抽出ステップを備えることが好ましい。
【0027】
これによって、時系列横圧データのデータ数を、輪重に関する情報のデータ数及び輪重に関する情報が含まれた時刻に対応させて好適に減少させることができ、迅速かつ好適に横圧に関するデータ処理を行える。
【0028】
また、データ解析装置において、輪重対応横圧情報として、所定の時間における横圧に関する情報の最大値及び所定の時間における横圧に関する情報の平均値を生成することが好ましい。
【0029】
また、データ解析方法において、輪重対応横圧情報として、所定の時間における横圧に関する情報の最大値及び所定の時間における横圧に関する情報の平均値を生成することが好ましい。
【0030】
これにより、時系列横圧データに含まれる最大値や平均値等の情報を好適に残しつつ、時系列横圧データのデータ数を減少させることができる。
【0031】
また、データ解析装置において、横圧距離系列データから、輪重対応横圧情報の内の最大値と最小値との差が直線判定幅閾値より小さくなり、かつ、輪重対応横圧情報の平均変化率が直線判定変化率閾値よりも小さい区間を抽出する直線区間認識手段を備えることが好ましい。
【0032】
また、データ解析方法において、横圧距離系列データから、輪重対応横圧情報の内の最大値と最小値との差が直線判定幅閾値より小さくなり、かつ、輪重対応横圧情報の平均変化率が直線判定変化率閾値よりも小さい区間を抽出する直線区間認識ステップを含むことが好ましい。
【0033】
これにより、横圧距離系列データから直線区間を認識でき、この直線区間における輪重対応横圧情報に基づいて、横圧距離系列データのドリフト値を好適に求めることができる。
【0034】
また、データ解析装置において、直線区間認識手段によって抽出された区間における輪重対応横圧情報に基づいて、距離系列横圧データのドリフト補正をする横圧ドリフト補正手段を備えることが好ましい。これにより、より精度の高い横圧に関する情報に基づく解析が行える。
【0035】
また、データ解析方法において、直線区間認識ステップによって抽出された区間における輪重対応横圧情報に基づいて、距離系列横圧データのドリフト補正をする横圧ドリフト補正ステップを含むことが好ましい。これにより、より精度の高い横圧に関する情報に基づく解析が行える。
【0036】
また、データ解析装置において、距離系列横圧データから、輪重対応横圧情報がカーブ閾値を超えている区間を抽出するカーブ認識手段を備えることが好ましい。
【0037】
また、データ解析方法において、距離系列横圧データから、輪重対応横圧情報がカーブ閾値を超えている区間を抽出するカーブ認識ステップを含むことが好ましい。
【0038】
これにより、カーブ区間が容易に認識され、カーブ区間毎の輪重や横圧の解析を好適に行える。
【0039】
また、データ解析装置において、時系列横圧データを所定のローパスフィルタで処理し、処理された時系列横圧データのピーク値を取得する代表横圧値取得手段を備えることが好ましい。
【0040】
また、データ解析方法において、時系列横圧データを所定のローパスフィルタで処理し、処理された時系列横圧データのピーク値を取得する代表横圧値取得ステップを含むことが好ましい。
【0041】
このようなデータ処理装置では、Q/P値(脱線係数)の計算等のために、時系列横圧データのピークまわりで所定時間維持された値である代表横圧値Qmを取得する場合がある。上記構成によれば、ローパスフィルタによって時系列横圧データのピークが丸められるので、このローパスフィルタのパラメータを好適な値にすることにより、丸められたピーク値を代表横圧値Qmに近似する値とさせることができる。このため、ローパスフィルタで処理された時系列横圧データのピーク値を取得することにより、代表横圧値Qmが好適に求められる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係るデータ処理装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0043】
図1は、本発明の実施形態に係るデータ処理システムを示す概略構成図である。本実施形態のデータ処理システム100は、鉄道車両1の車輪20に加わる輪重P及び横圧Qを取得しリアルタイムに、あるいは、事後的に解析するデータ処理システムである。
【0044】
このデータ処理システム100は、輪重P(荷重)の変化を検出して時系列輪重データ(時系列荷重データ)を出力する輪重検出部10と、横圧Qの変化を検出して時系列横圧データを出力する横圧検出部15と、これら輪重検出部10及び横圧検出部15からの出力を受けて増幅させる動ひずみ計30と、動ひずみ計30で増幅された時系列輪重データ及び時系列横圧データに対してアンチエリアシング処理を行うローパスフィルタ31と、アンチエリアシング処理された時系列輪重データ及び時系列横圧データをサンプリングしてA/D変換してディジタルデータとするA/D変換器32と、ディジタル化された時系列輪重データ及び時系列横圧データを格納する格納手段35と、格納手段35に格納された時系列輪重データ及び時系列横圧データを取得して処理を行うデータ処理装置40と、を備えている。
【0045】
また、このデータ処理システム100は、動ひずみ計30で増幅されたデータを記録するレコーダ33と、当該データを出力する出力装置34とをさらに備えている。
【0046】
輪重検出部10は、図2(a)、図2(b)に示すように、車輪20で輪軸21を挟んで相対向する位置に一対設置されたゲージ対11とゲージ対12とを有している。ゲージ対11は、車輪20の半径方向のひずみを測定可能なひずみゲージ11a及びひずみゲージ11bを有し、ゲージ対12は、同様に車輪20の半径方向のひずみを測定可能なひずみゲージ12a及びひずみゲージ12bを有している。これらゲージ対11,12は、車輪20の回転により各々のゲージ対11,12が設置された場所が輪軸21の下側に位置したときに、各々の場所に加わる輪重Pを検出する。
【0047】
これらの輪重ひずみゲージ11a〜12bは、図3(a)に示すようなブリッジ回路13を構成している。そして、このようなブリッジ回路13及び動ひずみ計30を介して、図4(a)に示すように、時系列的なデータであって、車輪20が半回転するのに要する時間Tx毎に、輪重Pに関する情報を、正負が交互に逆転された値120,121,122,123,124,125等として含む時系列輪重データが出力される。ここで、時系列輪重データ(時系列荷重データ)は、水平軸を時間とし垂直軸を時系列輪重データの大きさとなるように表した場合に、山状波形130,131,132等のピーク値や谷状波形135,136,137等の谷底値として輪重Pに関する情報を含み、また、ひずみゲージの温度変動等や動ひずみ計の零点設定の誤差等によって発生するドリフト量Poffset(図示一点鎖線)を含んでいる。また、輪重Pに関する情報が現れる周期Txは、車輪20が1/2回転するのに要する時間に対応することとなり、鉄道車両1の速度により変動する。なお、ドリフト量は、輪重Pに関する情報が現れる周期Txよりも十分に長い周期で変動するものである。なお、輪重Pに関する情報や、横圧Qに関する情報に所定の係数をかけること等により、測定された輪重Pや横圧Qの絶対値が求められる。
【0048】
横圧検出部15は、図2(a)、図2(b)に示すように、車輪20の車幅方向の内側の面上で輪軸21から所定距離はなれた位置に輪軸21を取り囲むように等間隔に複数設置されたひずみゲージ15a〜15hと、車輪20の車幅方向の外側の面上にひずみゲージ15a〜15hに対応して複数設置されたひずみゲージ16a〜16hとを備えている。これらのひずみゲージ15a〜15h、16a〜16hは、各々のひずみゲージが設置された場所が輪軸21の下側に位置した際に、車輪20が横圧Qを受けて生ずる曲げ応力を検出する。
【0049】
これらのひずみゲージ15a〜15h、16a〜16hは、図3(b)に示すように、ブリッジ回路17を構成し、このようなブリッジ回路17及び動ひずみ計30を介して、時系列的なデータであって、横圧Qに関する情報を連続的に含む時系列横圧データが出力される(図5参照)。このような時系列横圧データも、ひずみゲージの温度変動等や動ひずみ計の零点設定の誤差等によって発生する、ドリフト量(図示ドリフト量A,B等)を含んでいる。
【0050】
データ処理装置40は、図6に示すように、格納手段35に格納された時系列輪重データ及び時系列横圧データを取得する取得手段41と、時系列横圧データから代表横圧値Qmを取得する代表横圧値取得手段43と、時系列輪重データから距離系列輪重データを生成する輪重抽出手段(荷重抽出手段)45と、距離系列輪重データのドリフトを補正する輪重ドリフト補正手段(荷重ドリフト補正手段)47と、時系列横圧データから距離系列横圧データを生成する横圧抽出手段49と、距離系列横圧データのドリフト補正を行うと共にカーブ区間の認識等をする横圧ドリフト補正手段51と、これらのデータに基づいてデータの解析を行う解析部53と、解析データや時系列データ等を表示する表示手段55と、解析データや時系列データ等をプリンタ等や記憶手段等へ出力する出力手段57と、ユーザの指示等に基づいてカーブ区間の修正を行うカーブ修正手段59と、同様の機能を有するコンピュータである。
【0051】
輪重抽出手段45は、格納手段35から時系列輪重データを取得し、図4(a)に示すように、当該時系列輪重データの内、そのデータ値が上限閾値Pomaxを上回ってから(時刻t01)データ値が下限閾値を下回るまで(時刻t02)の区間を抽出することにより山形波形部分130を含む区間(第一区間)を取得し、その区間の最大値に対応する値、例えば、値120等を輪重Pに関する情報として抽出する。また、当該時系列輪重データの内、そのデータ値が下限閾値Pominを下回ってから(時刻t02)データ値が上限閾値を上回るまで(時刻t03)までの区間を抽出することにより谷状波形部分135を含む区間(第二区間)を検出し、その区間の最小値に対応する値、例えば、値121等を輪重Pに関する情報として抽出する。この一連の手順を順次続けることにより、値120〜値123等を得ることができる。なお、このとき、値120〜値123に各々対応する、輪重に関する情報が含まれた時刻ta、tb、tc、td等を横圧抽出手段49に送信する。
【0052】
ここで、第一区間の始点を定めるための上限閾値Pomaxと終点を定めるための下限閾値Pominとが互いに異なる値とされ、また、第二区間の始点を定めるための下限閾値Pominと終点を定めるための上限閾値Pomaxとが互いに異なる値とされ、閾値付近で時系列荷重データが波形129の部分のように振動する場合でも、山状波形130を含む第一区間等を好適に取得できる。また、第一区間の始点を定めるための閾値Pomaxと、第二区間の終点を定めるための閾値Pomaxとが同じとされると共に、第一区間の終点を定めるための閾値Pominと、第二区間の始点を定めるための閾値Pominとが同じとされるため、閾値のデータが2つですみ、より迅速かつ効率的にデータ処理を行える。また、このような第一区間から最大値を取得し、第二区間から最小値を求めることにより、荷重に関する情報を容易に取得できる。このため、荷重に関する情報の取得に、荷重に関する情報が現れる時刻に関する他の信号等を必要としない。
【0053】
上限閾値Pomaxとしては、輪重Pに関する情報として現れる山状波形のピーク値を超えず、かつ、時系列輪重データに周期的に現れるノイズ127のピーク値を超える値である必要があり、時系列輪重データに対して設定する所定のオフセット設定値に対して時系列輪重データの振幅の40%程度を足したものを使用することが好ましい。また、下限閾値Pominとしては、輪重にPに関する情報として現れる谷状波形の谷底値を下回らず、かつ、時系列輪重データに周期的に現れるノイズ128の谷底値を下回る値である必要があり、時系列輪重データに対して設定するオフセット設定値から時系列輪重データの振幅の半分の40%程度を引いたものを使用することが好ましい。このようなオフセット設定値や、時系列輪重データの振幅等は、例えば、あらかじめ、ユーザ等が時系列輪重データの表示グラフ等から判断して入力することにより設定できる。
【0054】
また、一度、適切な上限閾値Pomaxと下限閾値Pominとによって、輪重Pに関する情報が好適に取得できた後は、取得された2つ又は4つ等の輪重Pに関する情報の平均値等からオフセット設定値を求め、また取得した輪重Pに関する情報のうちの隣り合う2つの値の差等に基づいて振幅値を求めることが好ましく、これにより、オフセット量が大きく変動する場合や、時系列輪重データの振幅値が大きく変化する場合にも好適に、輪重Pに関する情報が抽出できる。
【0055】
なお、時系列輪重データにおいては、まれに、山状波形130等や谷状波形135等よりも大きなノイズ等のパルスピークを含む場合がある。例えば、時刻t05〜時刻t06の区間で山状波形130の後に、真の値124よりも大きなパルスピーク126による偽の値126aを含む場合は、真の値124に代えて偽の値126aを輪重に関する情報として抽出してしまうおそれがある。
【0056】
このような場合は、この区間で取得した値126aが含まれた時刻teと、これより前の、例えば、時刻t04〜時刻t05の区間で輪重に関する情報として抽出した値123が含まれた時刻tdとの差dTを求め、このdTに基づいて、この値126aを輪重に関する情報として抽出することの妥当性を判断することができる。
【0057】
例えば、dTと、時刻tdと時刻tcとの差dT0と、を比較することにより、値126aの妥当性を検討できる。具体的には、例えば、dT/dT0に着目し車両1の減速度が一定であると仮定すると、車両1が時間dTの終端である時刻に停止した場合にdT/dT0は最大値(1+20.5)となり、走行中dT/dT0がこれを上回ることはないので、このdT/dT0に基づいてこの区間での値126aについての妥当性を判定できる。
【0058】
また、例えば、図4(b)に示すように、山状波形132より前に真の値124よりも大きなパルスピーク126による偽の値126aを含む場合でも、時刻t05〜時刻t06の区間で輪重に関する情報として真の値124に代えて偽の値126aを輪重に関する情報として抽出してしまうおそれがある。
【0059】
このような場合でも、この区間で取得した値126aが含まれた時刻thと、これより前の、例えば、時刻t04〜時刻t05の区間で輪重に関する情報として抽出した値123が含まれた時刻tdとの差dTを求め、このdTに基づいて、この値126aを輪重に関する情報として抽出することの妥当性を判断することができる。具体的には、車両1が加速度一定で加速すると仮定すると、時間dT0の始端である時刻に車両1が発進するとした場合にdT/dT0が最小値(20.5−1)となり、走行中にdT/dT0がこれを下回ることはないので、このdT/dT0に基づいてこの区間での値126aについての妥当性を判定できる。
【0060】
これらを合わせて考えると、各々の区間での最大値や最小値に関して、少なくとも(20.5−1)≦(dT/dT0)≦(1+20.5)を満たさない場合は、異常値であると判定できる。なお、異常値であると判定された場合は、例えば、表示手段にその旨を出力し、システムの使用者に警告を与えることができる。
【0061】
そして、輪重抽出手段45は、このようにして取得した輪重Pに関する情報を、当該輪重Pに関する情報が時系列輪重データに含まれていた時刻順に配列し、距離系列輪重データを生成する。
【0062】
このような距離系列輪重データにおいては、輪重に関する情報が抽出されているのでデータ量が小さくなり、後のデータ処理を行う場合の計算資源を節約できる。また、距離系列輪重データにおいては、抽出された輪重に関する情報が、時系列輪重データにおいて含まれた順に配列されている。時系列輪重データにおいて、輪重に関する情報は、車輪20が所定量回転するのに要する時間毎のデータであるので、これを順に並べることにより車輪20が所定量回転する毎の荷重に関する情報、すなわち、走行距離に対する荷重に関する情報である距離系列のデータとなり、この距離系列荷重データは車輪20の回転速度、すなわち、鉄道車両1の走行速度の要素を含まない。このため、距離系列荷重データに対して、鉄道車両1の走行速度を考慮せずにデータ処理ができ好適である。例えば、この距離系列輪重データに対しては、以下に説明するように、鉄道車両の走行速度を考慮せずにフィルタ処理等のデータ処理ができ、従来のように、時系列輪重データをローパスフィルタ等のフィルタで処理する際等に、鉄道車両の最低速度等に合わせてフィルタの遮断周波数等のパラメータを最適化する必要がなくされ、好適にデータの処理が行える。
【0063】
このような距離系列輪重データを、データ値をY軸に対応させ、配列順に等間隔にX軸に対して並べたグラフを図7(a)に示す。図中の黒丸120等が抽出された輪重に関する情報に対応する。このように距離系列輪重データをX軸に等間隔に並べると、このX軸は距離に対応するので、以降横軸を距離と記載する。
【0064】
距離系列輪重データは、図7(a)中に一点鎖線で示すように、徐々に変動するドリフト量113を含んでおり、ドリフト量113を補正しないと精度の高い輪重Pの取得ができない。
【0065】
輪重ドリフト補正手段47は、このようにドリフト量を含む距離系列輪重データをローパスフィルタによって処理して、ドリフト量(図中の一点鎖線の成分)を抽出し、距離系列輪重データからドリフト量を減算することにより、図7(b)に示すようにドリフト補正された距離系列輪重データを生成する。なお、1つおきに現れる負号を持つ輪重Pに関する情報の符号を変換し、図7(c)に示すような、符号が統一されたドリフト補正済みの距離系列輪重データを生成すると後工程での取り扱いが容易となる。
【0066】
ここで、距離系列輪重データからドリフト量を減算する際には、ローパスフィルタによって取得されたドリフト量に発生する位相遅れをキャンセルするように減算することが好ましい。
【0067】
具体的には、距離系列輪重データをx[i],i=0〜n-1とし、長さ2N+1(Nは整数)のフィルタに対して入力としてx[i]を与えたときのドリフト量としての出力をy[i],i=0〜n-1、とすると、フィルタによる位相遅れはNとなる。そして、ドリフト量の減算を、z[j]=x[j]-y[j+N], k=0,1,…,n-N+1により行うことが好ましい。これにより、ドリフト量を補正する際の位相遅れがキャンセルされて、より精度の高い輪重データが得られる。
【0068】
なお、これ以降、便宜的に、図7(a)に示すように、距離系列データのデータ同士のX軸の間隔を1秒に相当する時間とみなして距離系列データの周波数及び周期を定義し、距離系列データの変動等に関する議論を行う。これにより、車輪が半回転する距離毎のデータ列の周期は1となり、データ4個を周期として増減するような変動の周波数は0.25、周期は4となる。このような周波数を用いて考えると、上述のフィルタとしては、輪重Pの変動の周波数よりも十分低く、予想されるドリフト量の変動の周波数よりも大きな周波数であるような遮断周波数を有するローパスフィルタを採用することが好ましく、通常の鉄道車両においては、遮断周波数を0.005Hzにすることにより、好適にドリフト量が抽出できる。
【0069】
図8(a)に、本実施形態で使用したフィルタの周波数応答を、図8(b)に本実施形態で使用したフィルタのフィルタ係数h(l)を示す。
【0070】
横圧抽出手段49は、輪重抽出手段45で抽出された輪重に関する情報に対応して、時系列横圧データのうちの各々の輪重に関する情報が含まれた時刻を含む所定の時間における横圧Qに関する情報に基づいて輪重対応横圧情報を生成し、これを対応する時刻順に配列した距離系列横圧データを生成する。
【0071】
このようにして生成された距離系列横圧データは、時系列輪重データにおいて輪重Pに関する情報が含まれた時刻に対応するように、時系列横圧データから横圧Qに関する情報が抽出されデータの数が減少されている。このため、この距離系列横圧データを用いて後述のカーブ検出等を行うことにより計算精度をそれほど悪化させることなく計算負荷を低減することができる。
【0072】
本実施形態において、横圧抽出手段49は、輪重対応横圧情報として、距離系列横圧最大値データと距離系列横圧平均値データとを生成する。距離系列横圧最大値データは、時系列横圧データのうちで、輪重Pに関する情報が含まれた時刻と、当該輪重Pに関する情報よりも一つ前の輪重Pに関する情報が含まれた時刻との間の時間における、横圧Qに関する情報の最大値を各々取得し、これを各々の時刻順に配列してなるものである。また、距離系列横圧平均値データは、時系列横圧データのうちで、輪重Pに関する情報が含まれた時刻と、当該輪重Pに関する情報よりも一つ前の輪重Pに関する情報が含まれた時刻との間の時間での、横圧Qに関する情報の平均値を各々の時刻の順に配列してなるものである。
【0073】
このように、横圧Qに関してデータ数を減少させる際に、輪重Pに関する情報が含まれた時刻を含む時間での最大値や平均値を抽出するようにしているので、抽出後の距離系列横圧データに含まれる情報の質が高くされ、一層好適に横圧データの処理が行える。
【0074】
横圧ドリフト補正手段51は、図6に示すように、距離系列横圧データに基づいて、直線区間を認識する直線検出手段(直線区間認識手段)61を備え、直線区間における距離系列横圧データに基づいてドリフト量を取得し、当該ドリフト量に基づいて距離系列横圧データのドリフトを補正する。また、横圧ドリフト補正手段51は、このドリフト量を考慮に入れた上で、距離系列横圧データに基づいてカーブ区間を認識するカーブ検出手段(カーブ認識手段)63を具えている。
【0075】
直線検出手段61は、図9に示すように、距離系列横圧平均値データのうち、所定の個数以上のデータからなる区間であって、横圧平均値の内最大値Qmaxと最小値Qminとの差が所定の直線判定幅閾値より小さく、かつ、当該区間内での横圧平均値の平均変化率が所定の直線判定変化率閾値よりも小さい区間を直線区間として認識する。ここで、横圧平均値を用いて直線を判定するので、横圧最大値等を用いる場合に比して、より好適に直線の判定がなされる。
【0076】
なお、当該区間の直線判定変化率閾値は、当該区間での平均変化率に対応する増分が直線判定幅閾値の20%程度となるように定めることが好ましい。また、区間のデータ個数としては、車輪5回転に対応するデータ10点とすることが好ましい。
【0077】
カーブ検出手段63は、図10に示すように、距離系列横圧最大値データに基づいて、横圧最大値が所定のカーブ閾値を超えている区間140等をカーブ区間として認識する。ここで、カーブ検出手段63は、ローパスフィルタを用いて距離系列横圧最大値データから高周波成分を除去し平滑化してなる距離系列横圧データに対してカーブ認識を行うことが好ましい。
【0078】
この平滑化としては、例えば、横圧Qの変動であって、車輪が10回転する距離よりも短い周期の変動が除去されるように設定することが好ましく、具体的には、図11(a)、図11(b)に示すような特性のフィルタを用いることができる。このようにして高周波成分を除去することにより、横圧Qの細かい変動により極めて短いカーブ区間が多数認識されることが防止される。また、横圧最大値を用いることにより、横圧平均値を用いる場合等に比して、カーブの認識が好適に行える。
【0079】
次に、図12(a),図12(b),図13(a),図13(b)を参照して、本実施形態の横圧ドリフト補正手段51における具体的な動作を説明する。なお、本来、平滑化された距離系列横圧最大値データにおける横圧最大値、平滑化されていない距離系列横圧最大値データにおける横圧最大値、距離系列横圧平均値データにおける横圧平均値は、互いに異なる数値であるが、いずれもほぼ同様の傾向を示す波形となるため、図12(a),図12(b),図13(a),図13(b)において、簡潔な図とするため同一の丸点で表している。
【0080】
本実施形態では、距離系列横圧平均値データに基づいて直線区間を認識してドリフト量を抽出し、このドリフト量に基づいて平滑化されていない距離系列横圧最大値データに対するドリフト補正をする一方、平滑化された距離系列横圧最大値データに基づくカーブ区間の認識をドリフト量を考慮に入れて行う。
【0081】
まず、図12(a)に示すような、距離系列横圧平均値データが与えられると、まず直線判定が行われ、山状波形160より手前において上述の条件を満たす直線区間150を認識する。そして、距離系列横圧平均値データの直線区間150の横圧平均値から当該直線区間150に対応するドリフト量Eを、例えば、当該直線区間150における横圧平均値の平均値等として取得する。そして、図12(b)に示すように、平滑化していない距離系列横圧最大値データの直線区間150に対応する部分の横圧最大値からドリフト量Eを減算して平滑していない距離系列横圧最大値データの直線区間150におけるドリフト補正をする。
【0082】
次に、平滑化された距離系列横圧最大値データにおいて所定のカーブ閾値Sを超えている区間をカーブ区間151として認識する。このようなカーブ区間に関する情報は、解析部53(詳しくは後述)において用いられる。ここで、カーブ閾値Sとしては、予め定められた固定値Kと、直前の直線区間150において取得されたドリフト量Eとを加算した値を用いることが好ましい。これにより、ドリフト量が変化する場合でもカーブ区間を好適に認識できる。
【0083】
次に、距離系列横圧平均値データに基づいて、カーブ区間151よりも先の直線区間152を認識する。
【0084】
そして、当該直線区間152に対応するドリフト量Fを距離系列横圧平均値データの横圧平均値から取得した後、図13(a)に示すように、平滑化していない距離系列横圧最大値データにおける直線区間152に対応する横圧最大値からドリフト量Fを減算して当該直線区間152におけるドリフト補正をする。
【0085】
つぎに、直線区間150と直線区間152とに挟まれるカーブ区間151を含む区間153においてドリフト補正をすべく、直線区間150に対応するドリフト量E及び直線区間152に対応するドリフト量Fから、区間153に対応する補間ドリフト量Gを、例えば、線形補間等により生成し、平滑化していない距離系列横圧最大値データの区間153に対応する横圧最大値から補間ドリフト量Gを減算して、図13(b)に示すように、区間153におけるドリフト補正を行う。
【0086】
このような手順を順に続けることにより、平滑化された距離系列横圧最大値データからカーブ区間が好適に認識されると共に、平滑化されていない距離系列横圧最大値データのドリフト量の補正が好適になされる。
【0087】
なお、従来は、連続的に取得される本実施形態のような時系列横圧データのドリフト補正は困難であったが、本実施形態の横圧ドリフト補正手段51によれば、連続的に取得される時系列荷重データのドリフト処理が可能となる。
【0088】
代表横圧値取得手段43は、時系列横圧データを所定のローパスフィルタで処理し、処理された時系列横圧データのピーク値に基づいて、Q/P値の取得に用いる代表横圧値Qmと、当該代表横圧値Qmに対応する時刻と、を取得する。
【0089】
本実施形態のようなデータ処理システムにおいて、Q/P値(脱線係数)を求める際には、図14に示すように、時系列横圧データ(図中の実線)における横圧のピークを含む山状波形190において、横圧値Qとして、横圧のピーク値ではなく、代表横圧値Qm、すなわち、当該ピークにおいて所定の時間t1の間、維持された横圧値を用いることが多い。
【0090】
そして、本実施形態における代表横圧値取得手段43は、時系列横圧データを所定のローパスフィルタで処理してピークの鋭さを緩和させて緩和された時系列横圧データ(図中点線)を生成し、この緩和の際にローパスフィルタの特性を適切なものとすることにより、緩和されたピークの値を、緩和前の時系列データにおける代表横圧値Qmにほぼ対応するようにさせる。これにより、この緩和された時系列横圧データのピークを取得することにより、代表横圧値Qmを好適に取得することができる。
【0091】
このようなローパスフィルタとしては、例えば、図14に示すような、底辺の長さが2t1である三角波が周期T毎に現れるモデル波形に対してフィルタ処理を施した場合に、ピークの高さが元の三角波の約1/2になるようなフィルタを採用することができる。
【0092】
具体的には、例えば、所定の時間間隔t1を1/20sとすると、遮断周波数が5Hzとなるようなフィルタを用いることが好ましく、図15に示すような周波数特性を有するフィルタを用いることができる。
【0093】
解析部53は、図6に示すように、ドリフト補正された距離系列輪重データとカーブ区間のデータとから各カーブ区間毎に最大輪重値を求める最大輪重取得手段71と、ドリフト補正された距離系列輪重データとカーブ区間のデータとから各カーブ区間毎に最小輪重値を求める動的最小輪重取得手段73と、ドリフト補正された距離系列横圧最大値データとカーブ区間のデータとから各カーブ区間毎の最大横圧を求める最大横圧取得手段75と、代表横圧値取得手段によって取得された代表横圧値Qm及びこの代表横圧値Qmに対応する時刻とドリフト補正距離系列輪重データとから各々の代表横圧値Qm毎にQ/P値を取得するQ/P値取得手段77と、静的最小輪重取得手段(静的最小荷重取得手段)79とを備えている。
【0094】
静的最小輪重取得手段79は、ドリフト符号補正済みの距離系列輪重データから、図16に示すように、所定区間以上連続する、輪重Pに関する情報の最小値Pcを取得することにより静的最小輪重値を取得する。
【0095】
本実施形態では、車輪が3回転に対応する距離以上、すなわち、データ7個分以上維持された輪重に関する情報の最小値Pcを取得する。また、この静的最小輪重取得手段79は、カーブ検出手段63により認識されたカーブ区間毎に、当該区間内の最小値Pcのうちの最も小さいものを静的最小輪重値として取得する。
【0096】
具体的には、図16(a)に示すように、カーブ区間205毎に、データ8個以上の区間であって、両端以外のデータが、両端のデータ値の各々よりも低くなるような区間200,210等を抽出し、例えば、当該区間200,210の両端の値の内の低い方の値215,217を最小値Pcとして取得する。そして、このようにして、このカーブ区間205で得られた最小値Pcのなかでの最小値を当該カーブ区間205における静的最小輪重値として取得する。
【0097】
より一般的には、データn個分以上維持された輪重の最小値を求める際は、n+1個以上の輪重Pに関する情報からなる区間であって両端以外のデータが、両端のデータ値よりも低くなるような区間を抽出し、当該区間内のデータ値に基づいて静的最小輪重候補地を取得する。当該区間がm個のデータからなる区間である場合、当該区間のデータ値を値の大きい順から並べた場合、m=n+1なら2番目、m>n+1ならば3番目の値を静的最小輪重候補値として取得することができる。
【0098】
なお、この方法では、谷状波形同士が所定時間ずれて合体したような波形データにおいても静的最小輪重を取得でき、例えば、図16(b)のような場合では、9個の輪重Pに関する情報からなる区間211が抽出され、これらの各輪重Pに関する情報の内上から3番目のデータ216が最小値Pcとなる。このデータ値は、7個以上の区間維持されたものとなり、静的最小輪重値としての条件を満たす。
【0099】
表示手段55は、時系列輪重データ、時系列横圧データ、距離系列輪重データ、ドリフト補正距離系列輪重データ、距離系列横圧最大値データ、ドリフト補正距離系列横圧最大値データ、距離系列横圧平均値データ等の波形や、最大横圧値、最大輪重値、動的最小輪重値、静的最小輪重値、Q/P値等のデータを画面上等に表示する。例えば、図17に示すように、ドリフト補正された距離系列輪重データや距離系列横圧データのグラフ300を表示すると共に、そのグラフ上に取得された輪重や横圧の最大値302や最小値301等を対応して表示するので、データ解析の妥当性のチェックができる。また、時系列輪重データ311のグラフと当該時系列輪重データから抽出した輪重値312や時系列横圧データ313やドリフト量等を重ね合わせたグラフ310を表示することにより、輪重値等の抽出や、ドリフト補正の妥当性を容易にチェックできる。さらに、取得したデータのテーブル320を表示することにより、同様に数値の妥当性を容易にチェックできる。
【0100】
次にこのような、データ処理システムにおいて、図18を参照して、処理がなされる方法について説明する。
【0101】
まず、鉄道車両1の走行により輪重検出部10及び横圧検出部15からの時系列データが、動ひずみ計30,フィルタ31、A/D変換器32を介して、格納手段35に格納される。
【0102】
そして、データ処理装置40においては、まず、ステップ301において格納手段35から時系列輪重データ及び時系列横圧データを取得する。続いて、ステップ303において、時系列輪重データから輪重Pに関する情報を抽出して距離系列輪重データを生成し、さらに、当該輪重Pに関する情報が抽出された時刻に対応して時系列横圧データから横圧Qに関する情報に関する平均値や最大値等を抽出し、距離系列横圧データを生成する。
【0103】
次に、ステップ305において、距離系列輪重データ及び距離系列横圧データの各々についてドリフト補正を行う。このとき、横圧に関するドリフト量を取得する際に、カーブ区間が認識される。
【0104】
次に、ステップ307において、このようにしてドリフト補正された距離系列輪重データ及び距離系列横圧データに基づいて、各カーブ区間における種々の解析を行う。
【0105】
次に、ステップ309において、得られた種々の解析結果や、時系列データや、距離系列データ等をグラフや数表等の形式で画面に出力する。
【0106】
そして、ステップ311において、ユーザがカーブ区間の修正を求める際は、ステップ313に進んで、カーブ区間の修正を行い、修正されたカーブ区間に基づいて、ステップ307に戻って再び解析を行う。一方、カーブ区間の修正が必要ない場合は、ステップ315に進んで、必要に応じて解析結果や時系列データや距離系列データ等を印刷したりファイル出力等を行う。
【0107】
なお、本発明に係るデータ処理装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形態様をとることが可能である。
【0108】
例えば、上記実施形態では、輪重抽出手段45は、輪重を所定の周期で含む時系列輪重データから、輪重に関する情報を抽出しているが、横圧等の他の荷重を所定の周期で含む時系列荷重データが取得される際は、当該時系列荷重データに含まれる荷重に関する情報を抽出してもよい。
【0109】
【発明の効果】
上述したように、本発明のデータ解析装置及び方法によれば、時系列荷重データから荷重に関する情報を抽出したのち、これらをその情報が含まれた順に配列してなる距離系列荷重データが生成される。このような距離系列荷重データにおいては、荷重に関する情報が抽出されているのでデータ量が小さくなり、後のデータ処理を行う場合の計算資源を節約できる。
【0110】
また、距離系列荷重データにおいては、抽出された荷重に関する情報が、時系列荷重データにおいて含まれた順に配列されている。時系列荷重データにおいて、荷重に関する情報は、車輪が所定量回転するのに要する時間毎のデータであるので、これを順に並べることにより車輪が所定量回転する毎の荷重に関する情報、すなわち、走行距離に対する荷重に関する情報である距離系列のデータとなり、この距離系列荷重データは車輪の回転速度、すなわち、鉄道車両の走行速度の要素を含まない。このため、距離系列荷重データに対して、鉄道車両の走行速度を考慮せずにデータ処理ができる。また、時系列荷重データから手動により荷重に関する情報を抽出し、解析するのに比べても、工数の減少や、精度の向上、エラーの減少が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るデータ処理システムを示す概略構成図である。
【図2】図1中の車輪を示す拡大図であって、図2(a)は正面図であり、図2(b)は断面図である。
【図3】図2中の歪みゲージにより構成されるブリッジ回路を示す図であり、図3(a)は輪重取得部のブリッジ回路を示す図、図3(b)は横圧取得部のブリッジ回路を示す図である。
【図4】図1中のデータ処理装置で取得される時系列輪重データの一例を示すと共に、時系列輪重データから輪重に関する情報を抽出する方法を示す図であって、図4(a)は山状波形132の前に異常パルス126を含む場合、図4(b)は山状波形132の後に異常パルス126を含む場合である。
【図5】図1中のデータ処理装置で取得される時系列横圧データの一例を示す図である。
【図6】図1中のデータ処理装置の概略構成図である。
【図7】距離系列輪重データを示すグラフであり、図7(a)は輪重抽出手段によって抽出された距離系列輪重データを示すグラフであり、図7(b)は図7(a)の距離系列輪重データからドリフトを補正した後の距離系列輪重データを示すグラフであり、図7(c)は、図7(b)の距離系列輪重データにおけるマイナス符号を持つデータをプラス符号に変換した距離系列輪重データを示すグラフである。
【図8】距離系列輪重データからドリフト量を抽出するためのフィルタに関する図であり、図8(a)は周波数応答を示すグラフであり、図8(b)はフィルタ係数h(l)を示す図である。
【図9】距離系列横圧平均値データに基づいて直線区間を判定する方法を説明する図である。
【図10】距離系列横圧最大値データに基づいてカーブ区間を判定する方法を示す図である。
【図11】カーブ区間を検出するために距離系列横圧データを平滑化するフィルタに関する図であり、図11(a)は周波数応答を示すグラフであり、図11(b)はフィルタ係数を示す図である。
【図12】図12(a)、図12(b)は、距離系列横圧データに関するカーブ区間の検出及びドリフト補正の方法を説明する図である、
【図13】図13(a)、図13(b)は、距離系列横圧データに関するカーブ区間の検出及びドリフト補正の方法を説明する図である、
【図14】時系列横圧データから、Q/P値を求めるために用いる代表横圧値Qmを求める方法について説明する図である。
【図15】代表横圧値Qmを取得する際に、時系列横圧データの鋭さを緩和するために用いるフィルタの周波数応答を示すグラフである。
【図16】図16(a)、図16(b)は、距離系列輪重データから、静的最小輪重値を求める方法を示す図である。
【図17】表示手段に表示されるデータの一例を示す図である。
【図18】データ処理装置における処理を示すフロー図である。
【符号の説明】
1…鉄道車両、20…車輪、40…データ処理装置、43…代表横圧値取得手段、45…輪重抽出手段(荷重抽出手段)、47…輪重ドリフト補正手段(荷重ドリフト補正手段)、49…横圧抽出手段、51…横圧ドリフト補正手段、63…カーブ検出手段(カーブ認識手段)、61…直線検出手段(直線区間認識手段)、79…静的最小荷重取得手段(静的最小荷重取得手段)、100…データ処理システム。
Claims (20)
- 鉄道車両の車輪に加わる荷重に関する情報を所定の周期で含む時系列荷重データを処理するデータ処理装置であって、前記所定の周期は前記鉄道車両の車輪が所定量回転するのに要する時間に対応し、
前記時系列荷重データから前記荷重に関する情報を抽出し、前記荷重に関する情報を前記荷重に関する情報が前記時系列荷重データにおいて含まれた順に配列してなる距離系列荷重データを生成する荷重抽出手段を備え、
前記荷重に関する情報は、前記時系列荷重データを、水平軸を時間とし垂直軸を前記時系列荷重データの大きさとなるように表した場合に、前記時系列荷重データにおいて山状波形のピーク値又は谷状波形の谷底値として含まれ、また、前記山状波形と前記谷状波形とは前記時系列荷重データに交互に含まれ、
前記荷重抽出手段は、前記時系列荷重データが所定の上限閾値を上回ってから所定の下限閾値を下回るまでの第一区間における前記時系列荷重データの最大値に基づいて前記荷重に関する情報を抽出し、さらに、前記時系列荷重データが前記下限閾値を下回ってから前記上限閾値を上回るまでの第二区間における前記時系列荷重データの最小値に基づいて前記荷重に関する情報を抽出し、
前記荷重抽出手段は、前記第一区間で前記最大値に基づいて前記荷重に関する情報を抽出する際に、
前記最大値が含まれた時刻t e と、前記第一区間よりも1つ前の区間において前記荷重に関する情報が含まれた時刻t d と、の差dT、及び、
前記第一区間よりも1つ前の区間において前記荷重に関する情報が含まれた時刻t d と、前記第一区間よりも2つ前の区間において前記荷重に関する情報が含まれた時刻t c と、の差dT 0 、を用いた判断式である(2 0.5 −1)≦(dT/dT 0 )≦(1+2 0.5 )に基づいて前記抽出の妥当性を判断し、
さらに、前記第二区間で前記最小値に基づいて前記荷重に関する情報を抽出する際に、前記最小値が含まれた時刻t d と、前記第二区間よりも1つ前の区間において前記荷重に関する情報が含まれた時刻t c と、の差dTと、及び、
前記第二区間よりも1つ前の区間において前記荷重に関する情報が含まれた時刻t c と、前記第一区間よりも2つ前の区間において前記荷重に関する情報が含まれた時刻t b と、の差dT 0 、を用いた判断式である(2 0.5 −1)≦(dT/dT 0 )≦(1+2 0.5 )に基づいて前記抽出の妥当性を判断することを特徴とするデータ処理装置。 - 前記距離系列荷重データをローパスフィルタで処理してドリフト量を抽出し、前記ドリフト量に基づいて前記距離系列荷重データのドリフト補正を行う荷重ドリフト補正手段を備えることを特徴とする、請求項1記載のデータ処理装置。
- 前記荷重ドリフト補正手段は、前記抽出されたドリフト量に生ずる位相遅れを補正して前記距離系列荷重データのドリフト補正を行うことを特徴とする、請求項2に記載のデータ処理装置。
- 前記距離系列荷重データから、前記荷重に関する情報を所定の個数以上含む区間であって、前記区間の両端以外の前記荷重に関する情報が前記区間の両端の荷重に関する情報より小さくなる区間を抽出すると共に、当該区間における荷重に関する情報に基づいて静的最小荷重値を取得する静的最小荷重取得手段を備えることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載のデータ処理装置。
- 前記荷重は輪重であり、前記データ処理装置は、さらに、前記鉄道車両の車輪に加わる横圧に関する情報の時系列的なデータである時系列横圧データを取得し、
前記荷重抽出手段は、前記時系列荷重データから前記輪重に関する情報を抽出する際に、前記輪重に関する情報が含まれた各々の時刻に関する情報を取得し、
前記荷重抽出手段で抽出された前記輪重に関する情報に各々対応して、前記時系列横圧データのうち前記各々の輪重に関する情報が含まれた時刻と、それぞれ一つ前の輪重に関する情報が含まれた時刻との間の所定の時間における前記横圧に関する情報に基づいて輪重対応横圧情報を生成すると共に、前記輪重対応横圧情報を対応する時刻の順に配列した距離系列横圧データを生成する横圧抽出手段を備えることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載のデータ処理装置。 - 前記輪重対応横圧情報として、前記所定の時間における横圧に関する情報の最大値及び前記所定の時間における横圧に関する情報の平均値を生成することを特徴とする、請求項5に記載のデータ処理装置。
- 前記距離系列横圧データから、輪重対応横圧情報の内の最大値と最小値との差が直線判定幅閾値より小さくなり、かつ、輪重対応横圧情報の平均変化率が直線判定変化率閾値よりも小さい区間を抽出する直線区間認識手段を備えることを特徴とする、請求項5又は6に記載のデータ処理装置。
- 前記直線区間認識手段によって抽出された区間における輪重対応横圧情報に基づいて、前記距離系列横圧データのドリフト補正をする横圧ドリフト補正手段を備えることを特徴とする、請求項7に記載のデータ処理装置。
- 前記距離系列横圧データから、前記輪重対応横圧情報がカーブ閾値を超えている区間を抽出するカーブ認識手段を備えることを特徴とする、請求項5〜8の何れか一項に記載のデータ処理装置。
- 前記時系列横圧データを所定のローパスフィルタで処理し、処理された時系列横圧データのピーク値を取得する代表横圧値取得手段を備えることを特徴とする、請求項5〜9の何れか一項に記載のデータ処理装置。
- 鉄道車両の車輪に加わる荷重に関する情報を所定の周期で含む時系列荷重データを処理するデータ処理方法であって、前記所定の周期は前記鉄道車両の車輪が所定量回転するのに要する時間に対応し、
前記時系列荷重データから前記荷重に関する情報を抽出し、前記荷重に関する情報を前記荷重に関する情報が前記時系列荷重データにおいて含まれた順に配列してなる距離系列荷重データを生成する荷重抽出ステップを含み、
前記荷重に関する情報は、前記時系列荷重データを、水平軸を時間とし垂直軸を前記時系列荷重データの大きさとなるように表した場合に、前記時系列荷重データにおいて山状波形のピーク値又は谷状波形の谷底値として含まれ、また、前記山状波形と前記谷状波形とは前記時系列荷重データに交互に含まれ、
前記荷重抽出ステップは、前記時系列荷重データが所定の上限閾値を上回ってから所定の下限閾値を下回るまでの第一区間における前記時系列荷重データの最大値に基づいて前記荷重に関する情報を抽出し、さらに、前記時系列荷重データが前記下限閾値を下回ってから前記上限閾値を上回るまでの第二区間における前記時系列荷重データの最小値に基づいて前記荷重に関する情報を抽出し、
前記荷重抽出ステップは、前記第一区間で前記最大値に基づいて前記荷重に関する情報を抽出する際に、
前記最大値が含まれた時刻t e と、前記第一区間よりも1つ前の区間において前記荷重に関する情報が含まれた時刻t d と、の差dTと、前記第一区間よりも1つ前の区間において前記荷重に関する情報が含まれた時刻t d と、前記第一区間よりも2つ前の区間において前記荷重に関する情報が含まれた時刻t c と、の差dT 0 とを用いた式(2 0.5 −1 )≦(dT/dT 0 )≦(1+2 0.5 )に基づいて前記抽出の妥当性を判断し、
さらに、前記第二区間で前記最小値に基づいて前記荷重に関する情報を抽出する際に、前記最小値が含まれた時刻t d と、前記第二区間よりも1つ前の区間において前記荷重に関する情報が含まれた時刻t c と、の差dTと、前記第二区間よりも1つ前の区間において前記荷重に関する情報が含まれた時刻t c と、前記第一区間よりも2つ前の区間において前記荷重に関する情報が含まれた時刻t b と、の差dT 0 とを用いた式(2 0.5 −1)≦(dT/dT 0 )≦(1+2 0.5 )に基づいて前記抽出の妥当性を判断することを特徴とするデータ処理方法。 - 前記距離系列荷重データをローパスフィルタで処理してドリフト量を抽出し、前記ドリフト量に基づいて前記距離系列荷重データのドリフト補正を行う荷重ドリフト補正ステップを含むことを特徴とする、請求項11に記載のデータ処理方法。
- 前記荷重ドリフト補正ステップは、前記抽出されたドリフト量に生ずる位相遅れを補正して前記距離系列荷重データのドリフト補正を行うことを特徴とする、請求項12に記載のデータ処理方法。
- 前記距離系列荷重データから、前記荷重に関する情報を所定の個数以上含む区間であって、前記区間の両端以外の前記荷重に関する情報が前記区間の両端の荷重に関する情報より小さくなる区間を抽出すると共に、当該区間における荷重に関する情報に基づいて静的最小荷重値を取得する静的最小荷重取得ステップを含むことを特徴とする、請求項11〜13の何れか一項に記載のデータ処理方法。
- 前記荷重は輪重であり、
前記鉄道車両の車輪に加わる横圧に関する情報の時系列的なデータである時系列横圧データを取得する時系列横圧データ取得ステップを含み、
前記荷重抽出ステップは、前記時系列荷重データから前記輪重に関する情報を抽出する際に、前記輪重に関する情報が含まれた各々の時刻に関する情報を取得し、
前記荷重抽出ステップで抽出された前記輪重に関する情報に各々対応して、前記時系列横圧データのうち前記各々の輪重に関する情報が含まれた時刻と、それぞれ一つ前の輪重に関する情報が含まれた時刻との間の所定の時間における前記横圧に関する情報に基づいて輪重対応横圧情報を生成すると共に、前記輪重対応横圧情報を対応する時刻の順に配列した距離系列横圧データを生成する横圧抽出ステップを含むことを特徴とする、請求項11〜14の何れか一項に記載のデータ処理方法。 - 前記輪重対応横圧情報として、前記所定の時間における横圧に関する情報の最大値及び前記所定の時間における横圧に関する情報の平均値を生成することを特徴とする、請求項15に記載のデータ処理方法。
- 前記距離系列横圧データから、輪重対応横圧情報の内の最大値と最小値との差が直線判定幅閾値より小さくなり、かつ、輪重対応横圧情報の平均変化率が直線判定変化率閾値よりも小さい区間を抽出する直線区間認識ステップを含むことを特徴とする、請求項15又は16に記載のデータ処理方法。
- 前記直線区間認識ステップによって抽出された区間における輪重対応横圧情報に基づいて、前記距離系列横圧データのドリフト補正をする横圧ドリフト補正ステップを含むことを特徴とする、請求項17に記載のデータ処理方法。
- 前記距離系列横圧データから、前記輪重対応横圧情報がカーブ閾値を超えている区間を抽出するカーブ認識ステップを含むことを特徴とする、請求項15〜18の何れか一項に記載のデータ処理方法。
- 前記時系列横圧データを所定のローパスフィルタで処理し、処理された時系列横圧データのピーク値を取得する代表横圧値取得ステップを含むことを特徴とする、請求項15〜19の何れか一項に記載のデータ処理方法。
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