JP4140866B2 - トリアルコキシシランの直接合成における界面活性添加剤の使用 - Google Patents

トリアルコキシシランの直接合成における界面活性添加剤の使用 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はケイ素金属とアルコールとの接触直接合成でのトリアルコキシシランの製造に関する。特に溶媒とケイ素と触媒を含むスラリーに界面活性剤を添加して反応の開始から定常の反応速度と選択率になるまでの時間を短縮し、収率を向上し且つトリアルコキシシランの直接合成の間の泡の形成を制御又は抑制する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トリアルコキシシラン、特にトリメトキシシラン及びトリエトキシシラン、はシランカップリング剤の製造に用いられている。トリアルコキシシランの1の合成法はケイ素とアルコールの直接反応である。この方法は当該分野では直接合成、直接反応、直接プロセス又はロショウ反応として知られている。トリアルコキシシランの製造はスラリー反応器を用いるのが最も有利である。
【0003】
トリアルコキシシランの直接合成用のスラリー反応器にて、熱的に安定な高沸点溶媒中にケイ素粒子を懸濁状態で保持し加温化にアルコールと反応させる。この種の反応はUS特許3,641,077にロショウによって開示されている。このUS特許ではシリコーンオイル中に懸濁させた銅−ケイ素塊(マス)を250−300℃でアルコールと反応させてトリアルコキシシランを製造している。銅−ケイ素塊は約10重量%の銅を含み1000℃以上の炉中にて水素ガス流下に銅とケイ素を加熱することによってつくられている。
【0004】
US特許3,775,457はアルコールと塩化第1銅触媒で活性化した微細なケイ素金属からのトリアルコキシシランの直接合成で溶媒として多芳香族炭化水素を用いることを開示している。塩化第1銅の使用はUS特許3,641,077の焼結銅−ケイ素塊を用いた場合よりも収率を高めるが、塩化第1銅触媒の使用はまたHClを形成し、これが反応器及び補助機器の材料として高価な耐食性材料の使用を必要とさせる。また反応器及び生成物流中にクロライドが存在するとトリアルコキシシランとアルコールとの引き続く反応の触媒となってテトラアルコキシシランを生じ、その結果トリアルコキシシランの収率を低下させる。
【0005】
また、メタノールを反応剤として用いると、塩化第1銅触媒の使用によってもたらされるHClがメタノールと反応して塩化メチルと水を生ずる。望ましくない副反応にメタノールが失われることは塩化第1銅触媒反応の効率低下をもたらす。またこの反応で生じた水がトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランと反応して可溶性のゲル状シロキサンを生じこれまた直接合成の効率低下をもたらす。反応混合物中での水の存在は経済的に有利な速度でケイ素金属を目的物に変換することを妨げる。他の公知例としては特開昭55−28928、55−28929、55−76891、57−108094及び62−96433等があり、塩化第1銅及び塩化第2銅及びドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン等のアルキル化ベンゼン溶媒の使用が開示されているが前記と同様の制限がある。アルキル化ベンゼンは安価で人体及び環境への危険性が、US特許3,775,457の多芳香族炭化水素溶媒より小さい点で望ましい溶媒である。
【0006】
US特許4,727,173は触媒としての水酸化銅(II)を使用すると塩化第1銅がもつ制限を避けトリアルコキシシランの選択率を高めることを開示している。好ましい溶媒としてジフェニルエーテル、多芳香族炭化水素、たとえばTHERMINOL(R) 59、THERMINOL(R) 60及びTHERMINOL(R) 66、及びアルキル化ベンゼン、たとえばドデシルベンゼンがあげられている。しかし、水酸化銅(II)をドデシルベンゼン等のアルキル化ベンゼン溶媒と組合せて用いると、約25−35重量%のケイ素が反応した後にトリアルコキシシランの直接合成系が不安定になる。アルコール反応剤としてメタノールを約220℃以上で用いると、反応生成物中のトリメトキシシラン含量が約90−95重量%から約50−60重量%に低下し、ケイ素の変換率が約60%をこえるとその含量は80−90重量%にもどる。この選択性の低下と同時に、メタン、水及びジメチルエーテルの生成量がふえる。このメタンとジメチルエーテルの生成はメタノール試薬の非効率的使用を意味する。反応混合物中での水の生成に伴う問題は前記に示されている。
【0007】
直接合成でエタノール及び他の高級同族体を用いる場合はアルコール脱水と脱水素が大きな問題となる。ある温度(>250℃)で、目的とするトリアルコキシシランではなくアルケンとアルデヒドがかなりの量生成する。これらは主生成物でなくともそれらが反応混合物中に存在するとさらなる触媒活性を低下させる。よい低温(たとえば220℃)ではアルコール分解反応は少ないが、直接合成がゆっくりとなりこれは非現実的である。特公昭55−2641は直接合成をドデシルベンゼン中にて上記の低温で行なう際に環状エーテルを用いてトリエトキシシランへの反応率と選択率を向上させることを開示している。ジベンゾ−18−クラウン−6等の環状エーテルは極めて高価であり、12−クラウン−4等の他のものも毒性がある。
【0008】
US特許5,527,937(EP0709388A)はトリエトキシシラン及びトリメトキシシランの直接合成においてCuClを触媒として用いトリ−及びテトラ−トルエン及び/又はそれらのアルキル置換誘導体を溶媒として用い、ジメチルシリコーンオイルを泡抑制剤として用いる方法を開示している。この方法のポリフェニル溶媒は高価な熱交換流体である。
【0009】
泡の問題はUS特許3,775,457(ドイツ特許2,247,872)の例3にも開示されている。発泡すると反応スラリーを反応器から蒸溜及びそれに付設した回収容器に部分的又は完全に排出する可能性がある。これは原料の有効利用の点で不利であるだけでなく、実験、パイロット及び工業的処理での反応での困難にして時間を要する問題である。
【0010】
銅触媒とケイ素を含有するスラリーの熱活性化はたとえばUS特許3,775,457及び4,727,173等の多くの特許に開示されている。ケイ素を直接合成用の銅で活性化する際水素を用いることはUS特許2,380,997;2,473,260;3,641,077及び4,314,908に開示されている。これらに開示されているように、水素活性化は固定床反応器、流動床反応器又は炉中で1.5重量%より多い銅を含有するケイ素−銅触媒混合物と約400℃以上の温度で行なわれる。トリアルコキシシランのスラリー相直接合成における選択率反応率及びケイ素−銅塊の反応安定性の開示はない。
【0011】
日本化学会誌、64(1991)、3445−3447頁には固定床中260℃でのケイ素−CuCl2 混合物(Cu 2.5wt%)の水素活性化により完全なケイ素変換率とトリメトキシシランの高(89%)選択率がメタノールとの固定床直接合成で得られることが開示されている。誘導期間、反応速度及びトリメトキシシランへの選択率は水素活性化温度に大きく依存する。
【0012】
これらのことから、より安価で危険のない溶媒を用い且つ前記した塩化銅及びアルキル化ベンゼンが持つ欠点を解消した安定にして高選択率をもって速い速度のトリアルコキシシランの直接合成法の開発が望まれている。特にアルコール還元及びアルコール脱水副反応を抑制した直接合成法の開発が望まれている。
【0013】
また反応スラリーが反応器に保持されるように発泡を制御した直接合成法の開発も望まれている。さらに、この泡抑制法はトリアルコキシシランの直接合成の選択性、速度及び安定性に悪影響を与えるものであってはならずまた特に2回以上ケイ素を供給するために溶媒を用いる際、再使用溶媒を用いる際、又は連続操作する際には、反応の全工程を通して効果を保持するものである必要がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的はケイ素金属とアルコールから、反応の全期間を通し生成物中のトリアルコキシシラン/テトラアルコキシシラン比が高い状態でトリアルコキシシランを直接製造する方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は発泡とそれに伴う問題を伴わない上記方法を提供することにある。
本発明の更なる目的はケイ素のトリアルコキシシランへの高い選択率と固体反応残渣中の未反応ケイ素含量のほとんどない上記方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は反応開始から高く安定な反応速度と選択率に到達するまでの遅れを短くした上記方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は反応装置に高価な耐食性材料の使用を必要としない上記方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は式:HSi(OR)3 、但しRは1−6の炭素原子をもつアルキル基である、のトリアルコキシシランの製造法であって、(a)ケイ素金属を、熱的に安定な溶媒、好ましくはアルキル化ベンゼン又は多芳香族炭化水素溶媒中にて、触媒有効量の銅触媒前駆体及び後記する定義をもつ界面活性添加剤及び所望により式:ROHのアルコールの存在下に、懸濁させ;(b)たとえばこのスラリーを加熱し且つ攪拌することによって該触媒を活性化し、及び/又は所望によりスラリーに窒素その他の不活性ガス注入し、及び/又は水素、一酸化炭素又はモノシラン等の還元剤又はそれらを含む還元ガスを注入し、存在するゼロ価でない銅をゼロ価の銅に還元し、もって銅活性化ケイ素スラリーをつくり;(c)この銅活性化ケイ素スラリーを式ROHのアルコールと反応させて前記トリアルコキシシランをつくり;そして(d)このトリアルコキシシランを反応生成物から回収することを特徴とするトリアルコキシシランの製造法である。
【0016】
本発明方法は泡の生成を顕著に抑制して優れた反応安定性をもたらす。泡制御に用いる界面活性剤も反応開始から安定な反応速度と選択率に達するまでの時間の短縮に有効である。本発明方法に高い反応速度及び全反応工程を通して計算してトリアルコキシシラン/テトラアルコキシシラン重量比が約9/1より大きいような収量でトリアルコキシシランを生成する。またここに定義する銅触媒前駆体、水素及びオルガノシリコーン及び/又はフルオロシリコーン界面活性添加剤の使用は腐食性物質を生じず、従って反応器材質として高価な材料を必要としない。また本発明方法はケイ素とアルコールから目的物への高い全変換率をもたらす。
【0017】
【発明の実施の形態】
次式はトリアルコキシシランの直接合成の間に起こる基体化学反応を示すものである。
【0018】
Figure 0004140866
【0019】
本発明の直接合成の目的物は一般式HSi(OR)3 、但しRは1−6の炭素原子をもつアルキル基である、で示されるトリアルコキシシランである。Rは好ましくはメチル及びエチルである。この合成の副生物としてはSi(OR)4 、RSiH(OR)2 、RSi(OR)3 、線状、分枝、及び環状シリケート、たとえば(RO)3 SiOSi(OR)3 ,H(RO)2 SiOSi(OR)2 H,HSi(RO)2 SiOSi(OR)3 ,(RO)3 SiOSi(OR)2 R,(RO)3 SiOSi(RO)2 OSi(RO)3 ,(RO)3 SiOSi(OR)HOSi(OR)3 ,(RO)3 SiOSi(OR)ROSi(OR)3 ,(RO)Si[OSi(OR)3 3 ,(RO)3 SiOSi(OR)(OSi(RO)3 )OSi(OR)3 及び[OSi(OR)2 n ,(n=4,5…)、さらには水素、炭化水素(RH)、メタン及びエタン、アルケン(R’CH=CH2 )、たとえばエチレン及びエーテル(ROR)、たとえばジメチルエーテル及びジエチルエーテル等がある。一般式R’CH=CH2 のアルケン副生物においてR’は水素又は1−4の炭素原子をもつアルキル基である。水素ガス、炭化水素及びエーテルは液体生成物の冷却トラップ中には典型的には凝縮されずガス流として装置外に排出する。シリケートのなかには反応器から蒸発除去するもの及び液体反応生成物に可溶のものがある。他は溶媒中に溶解しているか不溶性ゲルとして沈澱する。
【0020】
本発明方法によって得られるトリアルコキシランは液体反応生成物の少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%を占める。アルキルシリケートSi(OR)4 の典型的濃度は9重量%以下、好ましくは6重量%以下である。RSiH(OR)2 及びRSi(OR)3 はそれぞれ2重量%以下、好ましくは1重量%以下である。縮合シリケートは最大1重量%、好ましくは0.5重量%以下である。上記した%範囲に加え、目的物のトリアルコキシシラン選択率はHSi(OR)3 /Si(OR)4 の重量比でも示される。本発明方法において、この比は全反応工程で少なくとも9となる。好ましくは少なくとも15であり反応の定常状態の間30以上を保持しうる。
【0021】
ガスクロマトグラフ(GC)分析は本発明の液体反応生成物の成分の定量にとって信頼性のある正確な方法であることを知った。核磁気共鳴(NMR)及び質量スペクトル分析(MS)も用いうる。これらは反応生成物及び反応溶媒に含まれる高分子量シリケートの同定及び定量に特に有効である。反応生成物の組成及び重量及び各成分中のケイ素のフラクションに関するデータをケイ素変換率の計算に用いる。反応速度は典型的には単位時間当りのケイ素変換率として示す。
【0022】
ケイ素化学の命名において4個の酸素原子に結合したケイ素原子はQ基と称される。Q11はモノマーSi(OR)4 を示し、Q1 は末端にあるOSi(OR)3 の基を示し、Q2 は鎖又は環中にある中間基OSi(OR)2 Oを示し、Q3 は分枝したサイトOSiO(OR)Oを示し、Q4 は十分に架橋した基Si(OR)4 を示す。これらの基は−70から−120の範囲に特徴的な29Si NMR化学シフトをもつ。上記する値はDEPT及び深部パルス分析を用いて求められる。NMR分析の詳細はBrunet等のJournal of Physical Chemistry,95(1991),945−951頁、Journal of Non−Crystalline Solid,163(1993),211−225頁及びBendall等のJournal of Magnetic Resonance,53(1983),365−385頁に示されている。
【0023】
ガス状生成物流は水素ガス、炭化水素、エーテル及び窒素又はアルゴン等の不活性化剤を含む。ガスクロマトグラフィー、フォーリートランスフォーム赤外分析(FTIS)又は質量分析によってガス状流出物中のこれらの成分の同定及び定量を行なうことができる。式〔1〕の反応が流出分中にほとんどの水素ガスを生ずると仮定すると、この直接合成で生ずる水素は反応速度及びケイ素変換率の概略の尺度として用いうる。式〔3−5〕に示す炭化水素及びエーテル生成はアルコール変換の非効率性の尺度となる。反応に供されるアルコールの2%以下が炭化水素とエーテルに変換されることが好ましく、何も変換されないのが最も好ましい。
【0024】
触媒前駆体:
銅及び、水素、アルコール、SiH、SiH2 又はSiH3 基を含有する有機シラン、モノシラン、一酸化炭素によって及び/又は多芳香族炭化水素中での加熱によって容易に銅に還元されるハロゲン不含銅化合物が本発明方法の触媒前駆体として最も好ましい。好ましい例には金属銅粉末(これには超臨界法及び金属原子蒸発法でつくったもの、又は直接合成の反応スラリー中でその場でつくったものも含まれる)、銅コロイド、酸化銅、水酸化銅、3CuO・Cu(OH)2 のような混合水和酸化物、銅アルコキシド(典型例は式Cu(OA)1-2 、但しAは1−6の炭素原子をもつアルキル基である、たとえばCu(OCH3 2 ,Cu(O−tC4 9 ))及びカルボキシレート(典型例は式Cu(OOA)1-2 、但しAは前記のとおりである、たとえばCu(OOCH)2 ,Cu(OOCCH3 2 )がある。水酸化銅(II)のすべての多形体、特に立方晶形及び斜方晶系多形体が本発明の触媒前駆体として特に好ましい。
【0025】
本発明方法で用いる銅触媒前駆体は活性化反応を接触するに有効な量で用いられる。通常有効な量はケイ素金属100重量部当り約0.01−約5重量部である。好ましい量はケイ素金属100重量部当り約0.1−約2.6重量部である。より好ましい量はケイ素金属100重量部当り約0.1−約1.0重量部である。
本発明で用いる水酸化銅(II)は好ましくは無水であるが水和水を含むものも用いうる。市販の水酸化銅(II)の水分量は20重量%程度と高い。水和した触媒前駆体を用いる場合は、装置の設計において生成した水がトリアルコキシシラン反応生成物と接触しないように配置すべきである。
【0026】
水含有量以外に本発明の銅触媒及び触媒前駆体を特徴ずける種々の要件がありうる。触媒前駆体の表面積は0.1m2 /gというほど小さくともよい。しかし10−50m2 /gが好ましい。銅触媒前駆体の粒子径は1ミクロン以下から約100ミクロンまでである。好ましくは0.1−50ミクロン、より好ましくは0.1−30ミクロンである。
【0027】
反応に過剰の錫が存在すると反応速度及び/又はトリアルコキシシランの選択率を低下させので、過剰の錫濃度は避けるべきである。触媒前駆体(及び触媒自体)の錫含量は1000ppm以下、好ましくは300ppm以下、より好ましくは100ppm以下である。反応溶媒のケイ素含量の定量には重量及び原子吸収スペクトルが好ましい。この分析法はたとえばThe AnalyticalChemistry of Silicones (A.L.Smith著),John Willey & Son社、ニューヨーク、1991、チャプター8に記載されている。反応溶媒中に残る可溶性シリケートは式6−8に示すような副反応が起こる程度を示す尺度となる。これらの反応はいずれも、たとえば式〔3−5〕の反応によって生ずる水の存在に依存する。反応溶媒中に含まれるゲル及び可溶性シリケートはUS特許5,166,384に開示されている方法に従ってホウ酸及びホウ酸塩によって除去できる。
【0028】
反応スラリー中の錫の量は重要である。反応開始時のケイ素の重量に基ずき、錫含量は100ppm以下、特に10ppm以下が好ましい。
【0029】
触媒前駆体の亜鉛含量は2500ppm以下、特に1500ppm以下が好ましい。反応器に供給したケイ素の重量に基ずき、反応スラリー中の亜鉛含量は100ppm以下、好ましくは50ppm以下であるべきである。
【0030】
触媒前駆体に通常含まれる他の臨界的微量成分は鉛(Pd)と塩素(Cl)である。スラリー中のそれらの濃度はそれぞれ50ppm以下及び100ppm以下であるべきである。CuCl及びCuCl2 のようなハロゲン化銅化合物は本発明方法で界面活性剤と共に用いるとき有効な触媒源となることが判明した。それ故上記の塩素(クロライド)の制限は触媒効率や効果からのものではなく反応器の腐食からのものである。
【0031】
ケイ素:
本発明方法で用いるケイ素金属反応剤は通常粒状の市販の適宜のグレードのケイ素でよい。たとえばキャスト法、水粒状化法、噴霧法及び酸洗出法等でつくったものも用いうる。これらの方法はSilicon for the Chemical Industry,I、II、III、(H.Oye等)、Tapir Publishersに詳細に記載されている。本発明に用いる市販ケイ素金属の典型的な組成は重量%で示して次の如くである。Si〜98%、Fe<1%、Al〜0.05−0.7%、Ca〜0.01−0.1%、Pb<0.001%、水<0.1%。通常はより小さい粒径が、スラリーへの易分散性、易反応性及び反応器の腐食の最小化の点で好ましい。ふるい分けしていない45ミクロン以下から600ミクロン以上の粒径をもつものも、ふるい分けした75−300ミクロンといった狭い粒径範囲をもつものと同様に用いうる。
【0032】
アルコール:
本発明方法に有用なアルコールは式ROHで示される。ここでRは1−6の炭素原子をもつアルキル基である。好ましいRは1−3の炭素原子をもつアルキル基である。最も好ましいのはメタノールとエタノールである。通常は単一のアルコールが用いられるが、2種以上のアルコールを用いて異なるアルコキシ基をもつトリアルコキシシランをつくったり、低反応性アルコールの反応を促進させることもできる。たとえば5重量%のメタノールをエタノールに加えてトリエトキシシランの直接合成の反応速度と安定性を高めることができる。また1のアルコールで反応を開始し、他の又は混合アルコールで反応を進めることもできる。それ故水素活性化スラリーをまずメタノールと反応させ次いでエタノールと反応させてもよい。
【0033】
通常、反応はバッチ式にスラリー中で行い、アルコールをこのスラリーにガス又は液体として加える。ガスで供給することが好ましい。誘導期間は数分から約5時間である。最初のアルコール供給速度は低く制御して誘導期間後に速めることが望ましい。同様に、アルコール供給速度をケイ素変換率が約70重量%をこえたら低下させてテトラアルコキシシランの生成を最小化することが好ましい。通常一旦反応が起こるとアルコール供給速度は所望のメタノール変換率を与えるように調節される。当業者は生成物組成をモニターすることによって供給速度を容易に調節できる。供給速度が大きすぎると生成物流中の非反応アルコールの割合が増加する。アルコールは無水であることが好ましい。しかし0.1重量%以下の水含量なら選択率、反応性及び安定性に重大な損失をもたらすことなく用いうる。
【0034】
溶媒:
本発明方法に有用な溶媒は活性化及び反応条件下にて分解しない不活性溶媒である。好ましい溶媒は熱交換媒体として用いられているような高温安定性のある有機溶媒である。これらの例としてはTHERMINOL(R) 59、THERMINOL(R) 60、THERMINOL(R) 66、DOWTHERM(R) HT、MARLOTHERM(R) S、MARLOTHERM(R) L、ジフェニルエーテル、ジフェニル、ターフェニル及びアルキル化ベンゼン、アルキル化ジフェニル及びアルキル化ターフェニルで約250℃以上の基準沸点をもつものがある。
【0035】
THERMINOL(R) は熱交換流体のモンサント社の商品名である。THERMINOL(R) 59は−45℃から315℃の間で用いるのが好ましいとされるアルキル置換芳香族化合物の混合物である。
THERMINOL(R) 60は平均分子量が250の多芳香族化合物の混合物である。最適温度範囲は−45℃から315℃である。THERMINOL(R) 66とDOWTHERM(R) HTは平均分子量が240の水素化ターフェニルの混合物である。尚高温度制限は370℃である。THERMINOL(R) 59、THERMINOL(R) 66及びDOWTHERM(R) HTは本発明の好ましい溶媒である。DOWTHERM流体はダウケミカル社製である。
【0036】
MARLOTHERM(R) はヒュルス社の熱交換流体の商品名である。MARLOTHERM(R) Sはジベンシルベンゼン異性体混合物である。MARLOTHERM(R) Lはベンジルトルエン異性体混合物である。いずれも約350℃まで用いうる。いずれも本発明の好ましい溶媒である。
【0037】
好ましいアルキル化ベンゼンにはドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン及びそれらの混合物があり、たとえばビスタケミカル社から販売されている商品名NALKYLENE(R) 、NALKYLENE(R) 550BL、NALKYLENE(R) 550L及びNALKYLENE(R) 600Lは本発明の好ましい溶媒である。
【0038】
銅触媒前駆体−ケイ素混合物の還元的活性化をアルキル化ベンゼン溶媒中で行い、生成スラリーをメタノール蒸気と反応させる場合には、ケイ素変換率が25−35重量%の間ではトリメトキシシランの選択率の低下はみられなかった。アルキル化ベンゼンと多芳香族炭化水素の混合物も本発明の好ましい溶媒である。用いた溶媒はUS特許5,166,384に開示されているようにホウ酸又はホウ酸塩で処理して後の反応に再使用できる。
【0039】
ケイ素金属、触媒、界面活性添加剤及び溶媒はどのような順序で反応器に加えてもよい。溶媒は固体及び気体状反応剤を均一に分散するに十分な量で用いられる。通常、溶媒:固体の重量比が1:2と4:1の間、より好ましくは1:1と2:1の間で反応を開始する。しかし、ケイ素がバッチ的直接合成中に消費されたら溶媒/固体比を増加させる。連続法ではこの比を狭い好ましい範囲に保つことができる。
【0040】
界面活性添加剤:
本発明の界面活性添加剤は疎水化した固体(通常シリカ)及び(a)通常発泡抑制化合物と称されるオルガノポリシロキサン及び/又は(b)オルガノポリシロキサンのいずれか又は両方からなる組成物である。これらの化合物を表現するのにしばしば泡制御剤といった語が用いられる。泡を除く(即ち脱泡)界面活性物質及び泡の生成を防ぐ(即ち泡止め)界面活性物質の両者を意味する。ある種の界面活性物質は両方の性質をもつ。泡制御剤は好ましくは直接合成の開始時に反応スラリーに加えられる。しかし、反応中必要に応じ、連続的又は断続的に追加量を加えうる。泡制御剤はその効果を示し且つ持続する量用いることが好ましい。これは反応条件下に熱的に安定で且つ効果のあるものであるべきであり反応を阻害したり反応に対し毒性を示すものは反応スラリーに加えるべきでない。
【0041】
泡を制御することに加え、界面活性添加剤は反応開始から最大の反応速度と選択率に至るまでの時間を短縮する。それ故ケイ素とアルコール原料物質をより効率的且つ高収率でトリアルコキシシランに変換することができる。MARLOTHERM(R) S中でフルオロシランFS1265を界面活性物添加剤として用いた場合、FS1265のない対照実験に比し、上記の時間はあまり短縮しないが、定常状態の反応速度と選択率がかなりの程度向上する。その結果目的物のトリアルコキシシランの収率が高くなる。
【0042】
泡止め化合物の製造に関する基本的情報はS.RossのChemical Engineering Process、63(1967.9)41頁及びS.RossとG.NishiokaのEmulsion、Latices adDispersions(1978)、237頁に記載されている。典型的な泡止め剤は0.2−5ミクロンの平均粒径と50−400m2 /gの比表面積をもつ疎水化されたシリカ粒子を含む。一般に、泡止め効果は泡止め剤中の疎水化シリカの量に従って増加する。
【0043】
オルガノポリシロキサンは一般式 R”3 SiO−(SiR”2 O)a −SiR”3 のオリゴマー又はポリマー、一般式(R”2 SiO)b の環状物、又は一般式
Figure 0004140866
の分枝オリゴマー又はポリマーでありうる。上記式においてR”はそれぞれの場合同一でも異なっていてもよく、各R”はC1 −C20(好ましくはC1 −C12)アルキル、フェニル、アルキル置換アルキル、シクロアルキル又はアルキル置換シクロアルキルであり、たとえばメチル、エチル、フェニル、トリル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシルが例示される。記号a、b、k、r及びsは0より大きく且つオルガノポリシロキサンが直接合成スラリーの温度より少なくとも10℃高い基準沸点を示す値をもつ。オルガノポリシロキサンは好ましくは疎水化シリカと重量比1:99から99:1で用いられる。
【0044】
本発明で好ましく用いられるものの例として出願人の製品であるSAG(R) 47、SAG(R) 100及びSAG(R) 1000がある。これらは反応スラリーに加える前に反応溶媒又は他の熱的に安定なキャリアと混合しうる。直接合成条件下でのその有効量はアルコールの供給速度、用いたアルコールの種類、反応器圧力、用いた溶媒、スラリー中の縮合シリケートの濃度及び泡止め化合物の泡止め性等の因子によって異なる。たとえばアルコール供給速度が大きいほど泡は生成しやすい。通常、発泡は、アルコール注入後最初の数分で明らかとなり、ある時間反応が進行した後可溶性シリケート濃度が基準(いき)値をこえたときに明らかになる。反応圧力が増加(常温から2気圧)するとしばしば一時的に泡がつぶれる。しかし反応効率は低圧ほど高いので加圧による泡止めは望ましくない。反応器からの発泡反応スラリーの排出は反応器中の液体レベル上の間隔(フリーボード:解放されている高さ)を増加することによって避けうる。しかしこれは最大反応器容積の損失を意味する。用いた泡止め化合物に応じ、有効且つ長続きする濃度は0.0001−5重量%である。この%は反応器に供給したスラリー(溶媒、ケイ素及び触媒前駆体)の全重量に基づく。
【0045】
本発明で有用なオルガノフルオロポリシロキサン(フルオロシリコーン)は1以上の炭素−フッ素結合をもち、典型的にはケイ素に直結している炭素からはなれた少なくとも2個の炭素原子をもつ。オルガノフルオロシロキサンの詳細なProgress in Organic Coatings、13(1985);297−331頁に開示されている。
【0046】
本発明のオルガノフルオロシロキサンは一般式R”Si−(SiR”O)−SiR”で示される化合物、一般式(R”SiO) 示される環状化合物、一般式
R”SiO−(SiR”O)−(SiR”O)−SiR”

(OSiR” SiR”
で示される枝分かれしたオリゴマーもしくはポリマーでありうる。ここで各R’はR”と同様の1価炭化水素基であるが、少なくとも1のR’は部分的又は完全にフッ素で置換されてフルオロカーボン基となっている。XはR’と同じ定義をもつか又は8以下の炭素原子をもつアルコキシ基であり、そしてk、n、r及びsはフルオロシリコーンが直接合成スラリーの温度より少なくとも10℃高い基準沸点をもつように選ばれる。1態様において、R’はすべてフルオロカーボンであるか又はいくつかがフルオロカーボンで残りが炭化水素である。オルガノフルオロポリシロキサンはそのまま又は疎水化した固体を含有する泡制御組成物中にて用いうる。好ましいオルガノフルオロポリシロキサンの例には25℃で10−60000センチポイズの粘度をもつトリアルキルシリル末端封鎖ポリトリフルオロプロピルメチルポリシロキサン、上記と同様の粘度をもつポリ(ジメチルシロキサン−3−トリフルオロプロピルメチルシロキサンがある。この種類の市販品として25℃で1000センチポイズの粘度をもつフルオロシロキサンポリマーであるFS1265は好ましい界面活性添加剤である。
【0047】
他の例として(C8 173 6 SiCH3 O)n (n≧4)、(CH3 3 SiO(C4 9 2 4 SiCH3 O)30(Si(CH3 2 O)200 Si(CH3 )及びC2 5 2 4 Si(C6 5 2 O(Si(CH3 2 O)10 0 (SiCH3 2 4 2 5 O)5 Si(C6 5 2 2 4 2 5 がある。これらの有効濃度は反応スラリー全重量に基づき0.00001−5重量%、好ましくは0.01−0.5重量%である。
【0048】
活性化条件:
活性化は上記のシリコーンに触媒、及び所望により他の補助剤を加えてそれをアルコールに対し反応性にする方法である。活性化はアルコールの直接合成に用いたと同じ反応器中で行ってもまた別の反応器中で行ってもよい。後者の場合活性化したシリコーンを通常無水状態且つ非酸化性雰囲気で合成反応器に移される。反応溶媒中にスラリーとして活性化シリコーンを移すことが特に好ましい。
【0049】
本発明の還元活性化は好ましくは0.01−5重量%の銅、即ち(Cu/(Cu+Si)の比)を含有するケイ素−銅触媒前駆体と20−400℃、より好ましくは150−300℃で行われる。
好ましい還元剤はH2 、CO、SiH4 及びそれらの混合物である。H2 が特に好ましい。活性化は流動床又は固定床反応器中で乾燥状態にあるケイ素及び銅触媒前駆体を用いて行いうる。その後、活性化したシリコーンをスラリー反応器に移してアルコールと反応させる。
【0050】
別法として、水素又は他の還元剤を反応溶媒の存在下ケイ素と銅触媒前駆体の攪拌混合物中に導入する方法がある。好ましくはNALKYLEN(R) 550BL、NALKYLEN(R) 600L等のアルキル化ベンゼン溶媒又はTHERMINOL(R) 59、THERMINOL(R) 60又はTHERMINOL(R) 66又はMARLOTHERM(R) S又はMARLOTHERM(R) L又はDOWTHERM(R) HT等の多芳香族炭化水素溶媒中の上記の攪拌混合物に還元剤が加えられる。水素での活性化中アルコールを存在させてもよい。還元剤の合計量は活性化を行うに十分でまたトリアルコキシシラン選択率の損失、及び/又は炭化水素及び水素の望ましくない副生物の生成を抑えうる量で用いるべきである。
【0051】
水素によるケイ素−銅触媒前駆体の活性化により水、アルコール、カルボン酸及び他の化合物が生ずる。これらの化合物はトリアルコキシシランの直接合成の開始前に蒸発等によって除去することが望ましい。合成反応器又は生成物保存容器にそれらが存在すると、ゲル形成、反応選択率の低下及びトリアルコキシシランの回収率の低下をもたらす。
【0052】
用いる還元剤の量はトリアルコキシシランの安定にして選択的で且つ速やかな直接合成のために触媒的に有効な銅−活性化ケイ素を生ずるに十分なものであるべきである。最小量は2価又は多価の銅をゼロ価の銅に十分に還元するために化学量論的に必要な量である。酸化した銅がバルク触媒中に、たとえば水酸化銅(II)、酸化銅(I)として、または銅粉末として表面に存在しうる。事実、混合物中に存在するケイ素粒子のより大きな塊、数及び表面積により接触機会が減少することを考慮してその量を決めることが多い。
【0053】
本発明の活性化工程で好ましく用いられるのは標準市販級の水素ガス、一酸化炭素又はモノシランである。またアルコールとケイ素の直接反応で副生する水素ガスも好ましい。前記したようにこの水素ガス又は窒素、アルゴン、炭化水素及びエーテルを含有しうる。このガスを活性化工程にリサイクルする前にたとえば吸着によってこれらの水素以外のガスを除くことが望ましいが、この精製工程は絶対的に必要という訳ではない。
【0054】
多芳香族炭化水素、たとえば前記に溶媒及び熱交換流体として記載したものは、本発明の触媒前駆体用の好ましい還元剤である。触媒前駆体又はその混合物のケイ素による還元は多芳香族炭化水素の沸点以下の温度でスラリー反応器中で行われ、次いでアルキル化ベンゼン溶媒中での直接合成前に多芳香族炭化水素を固体から除く、回収した多芳香族炭化水素は後の還元活性化に再利用しうる。
【0055】
ケイ素−銅触媒前駆体の一酸化炭素(CO)又はモノシラン(SiH4 )による活性化も前記した水素におけると同様に行われる。SH4 は発火性なのでこの取扱いには十分な安全性の配慮を要する。400℃以下の温度で水素、一酸化炭素、モノシラン及び/又は多芳香族炭化水素をスラリーの活性化に用いることは同日出願の明細書にも記載した。
【0056】
反応条件:
3相反応器に関するデザイン、記述及び操作上の配慮は次の文献に記載されている。
・Gordon ad Breacle Science Publishers(ニューヨーク)が1983に発行したThree Phase Catalytic Reactors.
・N.Gartsman等、International Chemical Engineering,17(1977),697−702頁.
・H.Ying等、Industrial & Engineering Chemistry,Process Design & Development,19(1980),635−638頁.
・N.Satterfield等、Chemical EngineeringScience,35(1980),195−202頁.
・M.Baxall等、Journal of Metals,(1984.8),58−61頁.
・US特許4,328,175
・US特許4,454,077
【0057】
反応器はバッチ、連続のいずれでも操作できる。バッチ操作では最初にケイ素と銅触媒を反応器に1度に添加し、アルコールをケイ素が十分又は所望の変換率まで反応するまで、連続的又は断続的に添加する。連続操作では、最初にケイ素と銅触媒を反応器に添加し、その後スラリーの固定濃度を所望の範囲に維持する。バッチ方式はUS特許4,727,173に、連続方式はUS特許5,084,590に記載されている。
【0058】
本発明の好ましい態様において、連続的に攪拌しているスラリー反応器中にて泡形成を制御し反応開始から定常状態になるまでの時間を短縮できる界面活性成分を含有する活性化したケイ素−銅触媒混合物を用いてトリアルコキシシランの直接合成を行う。反応器はガス状アルコール導入用の単一ノズル又は複数ノズルを有しうる。活性化したケイ素−銅触媒混合物、又はケイ素、又は界面活性添加剤の連続又は断続添加用の手段も備えうる。揮発性反応生成物及び未反応アルコールの連続的除去及び回収手段も有しうる。トリアルコキシシラン生成物の分離と精製はUS特許4,761,492及び4,999,446に記載の方法で行いうる。
【0059】
本発明に従って表面活性添加剤の存在下に、ケイ素と銅触媒前駆体の最初の添加分を反応溶媒で熱的に活性化するか又は水素、一酸化炭素、モノシラン等の還元剤で活性化したとき、トリアルコキシシランの連続スラリー相直接合成は好ましくはケイ素だけ又は最初に加えたより少ない銅触媒を含有するケイ素を加え、所望により追加の界面活性添加剤を加えて続けられる。このようにしてスラリー中の銅濃度を、アルコールが炭化水素と水にかわる(式3と5)のを最小に制御することができる。水による欠点は前記した。泡形成と安定性、生産性及び選択性を最適化する時間も最小化される。
【0060】
反応は通常約150℃以上でアルコールや溶媒が分解しない温度で行われる。好ましくは約200−約260℃に反応温度が維持される。メタノールと銅−活性化ケイ素との反応は好ましくは220−250℃で行われ、エタノールとの反応は好ましくは200−240℃で行われる。反応を行う圧力は臨界的ではなく大気圧以下でも以上でもよい。通常大気圧が用いられる。
【0061】
好ましくは反応混合物は銅−活性化ケイ素粒子をガス状アルコールが溶媒中で十分に混合したスラリーを維持するよう攪拌される。反応混合物はトリアルコキシシランが還流しないように十分絶縁することが好ましい。還流はトリアルコキシシランとアルコールとのさらなる反応を促し目的物の損失をもたらす。
【0062】
一定温度においては、反応速度はケイ素の表面積及び粒子径及びアルコールの供給速度に依存する。表面積が大きく粒子径が小さく供給速度が大きいほど反応速度も大きくなる。これらの因子は人体、設備及び環境への悪影響なしに安全且つ経済的に目的を達成するように選択される。たとえば25−75ミクロンのケイ素は約230℃において、100−400ミクロンのケイ素を約250℃で用いた場合に比し副反応を最小にし、高い反応速度と選択性をもたらす。
【0063】
発泡はガラス反応器で目視により、また工業ないしパイロット規模ではサイトガラス(観察用窓)を通して目視により確認できる。しばしば反応スラリーの一部又は全部が生成物収集容器に移すことによって発泡を知ることになる。しかし不透明な装置においてたとえば反応器に十分に間隔を置いた熱電対を配して温度をモニターすることによって発泡を確認しうる。反応器からの出口ラインでの温度の急上昇は発泡を示すといえる。逆に温度低下は泡高さの損失を示す。反応器は泡なしか制御しうるわずかな泡形成下に操作することが望ましい。
【0064】
効果:
本発明に従って界面活性添加剤を反応スラリーに存在させてトリアルコキシシランの直接合成を行うと次の効果が得られる。
・反応開始から定常的反応速度及び選択率に到達するまでの時間の短縮。これはトリアルコキシシランの収量の向上と原料物質の効率使用をもたらす。
・反応スラリー中での永続的な脱泡又は発泡抑制、特に前の反応からの可溶性シリケートを含有するリサイクル溶媒を含む反応スラリーの場合。これはより制御の容易な方法と反応器キャパシティの有効利用をもたらす。
【0065】
図1の説明:
反応器とその補助設備の概略を図1に示す。アルコールは容器(1)からポンプ(2)、流量計(3)及び蒸発器(4)を通って反応器(5)ら送られる。メタノールとリサイクル流用の分離コイルが蒸発器内に存在する。反応器には高沸点溶媒に懸濁分散したケイ素と銅触媒前駆体が入れられる。泡制御剤も存在する。図示するように、蒸発器の上流に窒素注入部材がまた下流に水素注入部材が配される。アルコールは反応器中で銅−活性化ケイ素と反応する。反応器は固体用ホッパ(6)、攪拌機(7)、ヒーター及び温度制御器具(8)、熱電対束(9)、内部バックル(10)、分散管(11)、圧力ゲージ(12)及び圧力解放安全弁(13)を備える。ガス状反応混合物は同伴物セパレータ(14)を介して反応器を出る。
【0066】
弁(15)は反応混合物のサンプリングと水素活性化工程中の水蒸気の除去を可能にする。(16)は目的物のトリアルコキシシランからの未反応アルコール及び低沸点物を分離するに適する蒸留カラムのアセンブリであるこのカラムはリボイラ(17)と還流コンデンサ(18)に接続している。
【0067】
目的物のトリアルコキシシランと高沸点副生物を含有する液体反応生成物はポンプ(20)を介して保有容器に出される。カラム及びリボイラの温度は流れ(21)が副生ガス、未反応アルコール、アルコキシシラン及び目的物のトリアルコキシシランより低沸点の共沸混合物を含有するように制御される。液体オーバーヘッド流の一部(22)は還流流として蒸留カラムにもどる。残り(23)は蒸発器を介してリサイクルされ反応器に再注入され、そこに含まれるアルコールが銅−活性化ケイ素と反応される。ベントガス流(24)は合計ガス流量を測定できる流量計に送られる。
【0068】
【実施例】
次の実施例は本発明の好ましい態様を例証するものであり、本発明を制限するものではない。用いた略号と単位:
次表に示す。
【0069】
Figure 0004140866
【0070】
用いた装置:
後記の実験では同じデザインの2つの実験室規模のChemineer(R) 反応器を用いた。一方の容積は3.8L、他方は5.8Lである。5.8Lの反応器と補助機具の詳細を述べる。パイロット規模の実験を5.8Lと同じエネルギーインプット/容積比をもつように設計した400Lのステンレススチール反応器で行なった。
【0071】
メタノール又はエタノールを1Lの保存容器から補正したFMI実験ポンプを介して反応器に供給した。アルコール蒸発器として作用する150℃に制御した4Lシリコーンオイル浴に、内部直径0.32cm×長さ305cmのコイル状ステンレススチール管を配した。同様の蒸発器コイルがリサイクル用にあるがそれはこれらの実験中は用いなかった。アルコール注入ラインを反応器の上部から入れた。これは蒸気の凝集を防ぐため温度トレースした。アルコール蒸気を単一下流点(内径0.63cm)の分散管を介して反応器の底から2.5cm且つ6枚羽根タービンの高さより下に注入した。分散管を止めるとアルコール蒸気注入ラインにとりつけた圧力ゲージがより高い値を示した。通常このゲージはゼロにしてある。追加のアルコールを実験中保存容器に供給しその流れが中断しないようにした。
【0072】
反応生成物と未反応アルコールを91.4cm×2.54cmの内径をもつ充填管を通して反応器外に出した。この管は生成物流から溶融と高沸点シリケートを除くための同伴物セパレータと部分蒸留カラムとして作用する。充填物としてセラミックサドルとステンレススチール網を用いた。管の長さ方向に沿って5個の熱電対を配して温度を記録し発泡を調べた。最下部の熱電対は反応器の上部と同じレベルにした。前記したようにFS1265とSAG(R) 100を用いて発泡を制御した。同伴物セパレータ/部分蒸留カラムの出口を可撓性の管で4方向弁(図1の15)に接続した。
【0073】
2つの10枚プレートOldershow蒸溜カラムが液体反応生成物と相反応アルコールをガスと分離する。反応器からの流出流を、加熱マントルに支持した3ツ首2L丸底フラスコにその下端をとりつけた下方のカラムの上部に入れた。上方のカラムは磁気的に制御した還流コンデンサと熱電対つき蒸溜ヘッドでキャップした。
【0074】
還流コンデンサと別の下流のコンデンサを循環シリコーンオイルによって−25℃に冷却した。凝縮しないガスを蒸気ロックバブラーを介してコンデンサから合計ガス流計(モデルDTM−115,American Meter製)に流した。ガラス機器(カラム・コンデンサ及びバブラー)をとじまた接続部からのもれの原因となる背圧をさけるためにバブラーの下流に広い管を用いた。ガスのサンプリング点をガスメーターにつづくTショイントとした。ガスメーターからのガス流を、実験フードに放出する前に、窒素で稀釈した。
【0075】
熱電対を3ツ口フラスコの第2の開口に配し他方にFMI実験ポンプへの導入口を配した。このポンプはフラスコから液体生成物をテフロンコートしたポリエチレン保存ボトルに移すために用いた。トリメトキシシラン及びトリエトキシシランを保存又はサンプリングするのに用いたすべてのガラス容器を希HClで洗い、メタノール(又はエタノール)で全体をすすぎ使用前に110℃でオーブン乾燥した。
【0076】
一般的活性化及び反応方法:
典型的には5.8Lの反応器に溶媒2kg、ケイ素1kg、銅触媒前駆体(Cu(OH)2 )及び界面活性剤0.6−0.9gを入れ密封した。式〔1〕に従うと、ケイ素1kgの完全変換にメタノール3.43kg(エタノール4.93kg)を要し、HSi(OCH3 3 4.36kg(HSi(OC2 5 3 5.86kg)と298k、1気圧でH2 873Lを生成する。スラリーを〜900rpmで攪拌し250℃に熱して窒素を導入した。この温度を0.25−3時間保って、アルコールの導入前にケイ素粒子の十分な銅活性化を行なった。たとえば12時間までといった長い活性化時間も用いうる。
【0077】
銅−ケイ素スラリーの水素予備処理もときどき用いた。これを用いる場合水素をアルコール分散管を介して150℃で注入し最終温度(250℃)に達するまでその流れを30分維持した。全H2 流量を記録した。
【0078】
THERMINOL(R) 59のような多芳香族炭化水素での活性化も有効である。水酸化銅(II)とTHERMINOL(R) 59を所望によりケイ素存在下に180−250℃で0.5−1時間加熱した。銅含有固体から溶媒を除き、同固体をNALKYLENE(R) 550Lのような別の溶媒にケイ素と共に分散させて直接合成用のスラリーをつくった。
【0079】
活性化中反応器からのガス流を4方向弁を介してとり出しアルコール流の導入を開始する直前まで蒸溜カラムへは入れないようにした。活性化と同時にアルコール蒸発器を〜150℃に加熱し、還流コンデンサを通って循環する再生剤を〜−25℃に冷却した。流出流(図1の24)のガスクロマトグラフ分析でベントガスが窒素だけになったことを確認したら反応器へのアルコール流の注入を開始した。もちろん、比較実験は界面活性剤の添加なしに行なった。
【0080】
アルコール流の注入を開始後水素用のベントガス流(図1の24)のサンプリングと分析を安定組成物が得られるまで10−15分毎に行なった。誘導期間の終点を示した後、ガスのサンプリングを30分毎に行なって水素・炭化水素及びエーテルをモニターした。反応中全ベントガス流を式〔1〕の化学論量に従い反応速度のおおよその尺度として用いた。
【0081】
サンプルを集め、酸洗、アルコール洗し、1.5時間毎に2−5分間4方向サンプリング弁(図1の15)にとりつけた冷凍容器を乾燥した。重量を計りガスクロマトグラフで分析した。液体生成物をリボイラー(図1の17)として作用する3ツ首フラスコに凝縮させ保存容器に移した。これらのデータのすべてを生成物流の一時的組成、トリアルコキシシランへの選択率、反応速度及びケイ素全変換率の計算に用いた。通常反応を反応器に入れたケイ素の85%以上が反応してから反応をとめた。ある場合には実験目的に応じより低いまたより高いケイ素変換率で反応をとめた。
【0082】
GS−Molesieve 30m×0.53m内径(J&W Scientific社)毛管カラムと炎イオン化検知器を備えたHewlett Packard 5840ガスクロマトグラフ上にてガスサンプルの水素、窒素及び炭化水素(メタン、エタン等)の分析を行なった。キャリアガスとしてアルゴンを用いた。ジメチルエーテルの分析にはガスクロマトグラフ−質量分析を用いた。60/80メッシュのChrosorb(Supeleo社)につけた20%OV101を充填した3.66m×3.18mmのステンレススチールカラムをもつHewlett Packard 5890ガスクロマトグラフを用いてアルコキシシランを含有する液体サンプルを分析した。
【0083】
用いた溶媒は全ケイ素含量を重量及び原子吸収スペクトルで、Q0 ,Q1 ,Q2 ,Q3 及びQ4 基への可溶性ケイ素の種形成(speciation)を29Si NMRで分析した。これらの官能基の化学シフト(テトラメチルシランに関する)を下記する。
【0084】
Figure 0004140866
これらの基のモル%は積分面積から計算した。
【0085】
用いた材料:
実施例で用いた工業級ケイ素サンプルを分析データと共に表1に示す。例1、2、3及び5で用いたケイ素サンプルはSi−1用の組成範囲及び粒径範囲を満足する。ケイ素サンプルSi−2は例4で用いた。全サンプルは最低98.5w%のSiを含有した。表2は用いた水酸化同触媒のデータを示す。NALKYLENE(R) 550BL,NALKYLENE(R) 600L,THERMINOL(R) 59,THERMINOL(R) 66及びMARLOTHERM(R) Sを溶媒として用いた。FS1265(ダウコーニング)及びSAG(R) 100(OSiスペシャルティーズ)を界面活性添加剤として用いた。
【0086】
【表1】
Figure 0004140866
【0087】
【表2】
Figure 0004140866
【0088】
例1
この例はHSi(OCH3 3 の直接合成中での脱泡剤又は泡止め剤としてSAG(R) 100の使用を示す。
実験は3.8L Chemineer(R) 反応器に1.4kgのTHEMINOL(R) 66と700gのケイ素Si−1と4.6gのCuCOH/2を入れて行なった。スラリーを攪拌(800rpm)し窒素を通しながら220℃に加熱して反応用のケイ素−銅固体を活性化した。
【0089】
攪拌スラリーの高さを反応器の高さの〜75%とした。反応スラリーが約40分で220℃になった後メタノールを6g/分の割合で加えた。反応器の出口にとりつけた充填同伴物セパレータ/部分蒸溜カラムに沿って記録した温度を表3に示す。熱電対1(T1)を反応器の上部と同じレベルにし、熱電対5(T5)をそれから最も遠い位置にした。データは5個の記録用熱電対の3つについて示す。
【0090】
約3.5時間後T1の温度が〜122℃から181℃に上昇したとき熱に反応スラリーが反応器の上部に上昇するのがわかった。メタノール流速を4g/分に低下させまた4.5時間及び5.5時間後2g/分に低下させても泡の抑制には効果がなかった。熱反応スラリーに0.5gのSAG(R) 100を注入する直前である5.8時にT1が199.6℃を示した。118−120℃に突然T1で温度低下したことによって脱泡が現実に瞬間的であることが示された。メタノール流を再度6g/分に増加し反応をさらに2時間T1でのさらなる温度上昇なしに行なった。
【0091】
【表3】
Figure 0004140866
【0092】
これらのデータは泡制御剤がない場合には発泡が反応時間と伴に増加することを示している。反応スラリー中の可溶性シリケートが時間と共に増加し発泡をうながしている。SAG(R) 100反応中に加えると泡形成が有効に抑制された

【0093】
例2A−C
この例は直接合成開始時に反応スラリーに界面活性添加剤であるSAG(R) 100及びFS1265を加えることにより定常状態の選択率が得られるまでの時間が短縮されることを示すものである。
【0094】
この例の3反応を要約する。各々2.14kgのTHERMINOL(R) 59、1.07kgのシリコーンSi−1、7.06gのCu(OH)2 及び供給速度3g/分でのCH3 OHを含むスラリーを用い5.8LのChemineer反応器にて250℃、800rpmで行なった。攪拌スラリーレベルは合計反応器高さの〜50%だった。例2Aでは界面活性剤を添加せず、例2Bのスラリーには0.64gのSAG(R) 100を、また例2Cのスラリーには0.64gのFS1265を実験の最初に添加した。3つのスラリーすべてを泡化窒素の存在下250℃に加熱して熱的に活性化した。例1にのべたと同様の同伴物セパレータ/部分蒸溜カラムに沿った温度上昇は、5.8Lの反応器では解放領域が長いためこれらの実験では観察されなかった。
【0095】
反応条件を表4に要約する。表4は例2Aでは生成サンプルがHSi(OCH3 3 のほぼ一定(〜80−85wt%)の濃度をもつ前に5時間要したことを示している。例2Bの実験では安定(〜85−88wt%)値は2時間以内に得られた。例2Cでは79−83wt%を得るのに3時間を要した。例2Bと2Cでの粗製HSi(OCH3 3 の合計重量は例2Aを100−200gこえていた。この改良はスラリーの初期全重量に基ずきSAG(R) 100又はFS1265を〜20ppm用いたことにより達成された。
【0096】
【表4】
Figure 0004140866
【0097】
例3A−B
この例はフルオロシロキサンFS1265が、アルキル化ベンゼン(N550BL)又はジフェニルエーテルの混合物(TH59)を反応溶媒として用い反応スラリーを水素で活性化したとき、HSi(OCH3 3 の直接合成において有効且つ耐久性のある泡止め剤であることを示している。
【0098】
例3のスラリーは5.8Lの反応器中で、1kgのシリコーン(Si−1)、2kgのN550BL、7.05gのCu(OH)2 及び0.6gのFS1265を用いて行なった。例3BではN550BLの代りに2kgのTH59を用いた。各々の場合スラリー温度が150℃になったとき水素を導入し、その流速を温度が250℃になるまで30分維持した。水素の全体用量は例3Aでは451.3L、例3Bでは1803.9Lだった。モル基準でこれらの容積は反応器に入れた7.05gの銅触媒を還元するに要する0.064モル(1.56L)をはるかにこえていた。この過剰量はスラリー中の水酸化銅(II)に対しケイ素粒子が大きなマスと表面積をもつことから必要となった。
【0099】
窒素分散器を、メタノールを導入する前に反応器から水素を除くために用いた。メタノールと活性化したケイ素との反応で生じた水素だけをベントガス中で測定するために上記を行なった。メタノール流の開始から水素/窒素の面積比が安定な値になるまで10−15分毎にガスクロマトグラフでベントガスサンプルを分析した。H2 =92面積%、N2 =8面積%が90分以内に観察され、両実験で23時間以上それらの値の±0.5面積%に保たれた。両反応中反応器内にスラリーが残った。目視及び温度のいずれも発泡は示さなかった。
【0100】
供給したケイ素の92−94wt%が両側で粗製反応生成物に変換した。例3Aの反応では3.78kgのHSi(OCH3 3 と0.31kgのSi(OCH3 4 を含有する合計4.8kgの粗製生成物が得られ、例3Bでは3.98kgのHSi(OCH3 3 と0.13kgのSi(OCH3 4 を含有する合計5.3kgの粗製物が得られた。例3Aでは消費したスラリー中の可溶性ケイ素は0.5wt%だった。29Si NMRはシリケート基:Q0 =3.3モル%、Q1 =62.8モル%、Q2 =33.9モル%を示した。例3Bの消費スラリーは0.16wt%の可溶性ケイ素を含み非常に弱い29Si NMR信号をもっていた。
【0101】
例4
この例は溶媒としてMARLOTHERM(R) Sを用い、フルオロシロキサンFS1265を用いた場合と用いない場合のHSi(OC2 5 3 の直接合成を示す。両実験での水素活性化スラリーは、反応をエタノールで続ける前にまずメタノールと反応させた。
【0102】
例4Aでは反応スラリーは0.8gのFS1265を含んでいた。例4Bの実験では界面活性剤は意図的に加えなかった。他方、この例の2実験の各々では1kgのケイ素(Si−2)、14.1gのCu(OH)2 及び2.1kgのMARCOTHERM(R) Sを用いた。各スラリーを前記の一般法に従って水素で活性化した。例4Aでは合計1403.8LのH2 を導入し、例4Bでは1259LのH2 を導入した。それぞれ150〜250℃で65分かけた。両実験共250℃で、メタノールを4.3g/分で導入し5時間その流れを維持した。その間に〜20%のケイ素が主にHSi(OCH3 3 とSi(OCH3 4 に変換した。
【0103】
反応器温度が低下し230℃で安定化した後、エタノールを4.3g/分で導入した。温度が低下している間窒素流を維持した。エタノール供給開始直前までベントガス中にH2 は存在しなかった。エタノール流導入開始後10〜15分でベントガスを分析してH2 の存在を確認した。例4Aではベントガスのガスクロマトグラフ分析でH2 =85面積%、N2 =15面積%を示し、例4BではH2 =76面積%、N2 =15面積%を示した(約30分後)。
【0104】
液体反応生成物のHSi(OC2 5 3 、Si(OC2 5 4 及び他の副生物を周期的に分析した。例4Aの生成物は〜84wt%のHSi(OC2 5 3 、〜20wt%のC2 5 OH及び微量のSi(OC2 5 4 を含有していた(60分後)。トリアルコキシシラン収量は4.5時間でHSi(OC2 5 3 558gだった。対照的に、例4Bの液体生成物は〜60wt%のHSi(OC2 5 3 及び〜40wt%のC2 5 OHを含有していた(60分後)。4.5時間後にはHSi(OC2 5 3 を380.5g生成した。
【0105】
例4Aの実験のベンドガス中のH2 含量が高いのは反応スラリーにフルオロシリコーンを存在させることによってもたらされるHSi(OC2 5 3 の生成速度が大きいことを意味する。両反応共定常状態まで約30分を要したが、界面活性剤のない場合に比しFS1265を含有するスラリーはHSi(OC2 5 3 を20wt%多く生成した。
【0106】
例5
この実験は400Lのステンレススチールパイロット反応器にて250℃、400rpmでのHSi(OC2 5 3 の直接合成の間の発泡の発生と制御を示す。
【0107】
反応器に136kgのTHERMINOL(R) 59と、68kgのケイ素(Si−1)と0.45kgのCu(OH)2 と231kgのメタノールを入れた。この混合物を400rpmで攪拌し窒素スパージ下に250℃に加熱した。この熱活性化を3.25時間続けた。その後メタノール流を7.7kg/時で注入し段階的に11.8kg/時に増加した。反応器の上部の観察窓からの目視で泡形成をモニターした。
【0108】
新鮮なTHERMINOL(R) 59、又はUS特許5,166,384の方法で可溶性シリケートを除去するための処理をしたものを用いると最初はメタノール流速が最大で発泡はみられなかった。THERMINOL(R) 59を前の反応で用い可溶性シリケートを除かなかった場合は、メタノール流速が小さくとも(7.7kg/時)時々発泡が認められた。反応器が長い解放高さをもって設計されているのでほとんどの場合泡は蒸留カラムには供なわれなかった。
【0109】
1の実験では懸濁粒子を1000rpmで遠心分離し但し可溶性シリケート除去の化学的処理はしていない使用済溶媒を用いたところメタノール流速が7.7kg/時から9.1kg/時に増加すると発泡が目視された。594gのTHERMINOL(R) 59中に66gのFS1265を含有させた溶液を反応器に注入し観察窓から応答を観察した。脱泡が瞬間に起こり、蒸気がスラリー表面から反応器出口に上昇するのが観察された。9.1〜11.8kg/時のメタノール流速で反応を行なっている間さらなる発泡は起こらなかった。用いたFS1265の量はスラリーの全重量に基づき322ppmに対応した。実験からの未反応溶媒をさらなる精製をせずに追加ケイ素68kgを3回バッチ的に加えた反応器にリサイクルした。いずれの実験でも発泡は認められなかった。引き続いての実験では50、100及び200ppmといった低濃度のFS1265が400Lの反応器で有効且つ耐久性のある脱泡作用を示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いる装置系の概略図。
【符号の説明】
1 アルコール用受器
5 反応器
16 蒸留カラム
18 還流コンデンサ

Claims (18)

  1. 式HSi(OR)、但しRは1〜6の炭素原子をもつアルキル基である、で示されるトリアルコキシシランの製造法において、
    (a)界面活性剤とハロゲンを含有せず且つ銅をもつ触媒前駆体の存在下に熱的に安定な溶媒にケイ素金属を懸濁させ、
    (b)該触媒前駆体を活性化して工程(c)の反応用の触媒を生じさせ、そして
    (c)該ケイ素金属を工程(b)で生成した触媒の存在下に式ROHで示されるアルコールと反応させて該アルコキシシランを形成せしめると共に、該界面活性添加剤が(i)(A)0.2〜5ミクロンの平均粒径及び50〜400m/gの比表面積をもつ疎水化したシリカ粒子と(B)一般式R”Si−(SiR”O)SiR”で示される化合物、一般式(R”SiO) 示される環状化合物、一般式
    R”SiO−(SiR”O)−(SiR”O)−SiR”

    (OSiR” SiR”
    で示される枝分かれしたオリゴマーもしくはポリマー及びそれらの混合物からなる群から選ばれるオルガノポリシロキサン、但しR”は独立にC〜C20アルキル、フェニル、アルキル置換フェニル、シクロアルキル、又はアルキル置換シクロアルキルであり、a,b,k,r及びsは0より大きく且つ該オルガノポリシロキサンの基準沸点が直接合成スラリーの温度より少なくとも10℃高い値を示すものである、の(A):(B)の重量比が1:99−99:1の混合物、又は(ii)一般式XR’2 SiO−(SiR’O)−SiR’Xで示される化合物、一般式(R’SiO)で示される環状化合物、
    一般式
    XR’SiO−(SiR’O)−(SiR’O)−SiR’

    (OSiR’)s −SiR’
    で示される枝分かれしたオリゴマーもしくはポリマー及びそれらの混合物からなる群から選ばれるオルガノフルオロシロキサン、但しR’はR”と同じ定義をもつが少なくとも1のR’基はフッ素で全体又は一部が置換されており、XはR’と同じ定義をもつか又は8以下の炭素原子をもつアルキル基であり、そしてk,r及びsは正の数であり、nは3より大きい整数であり、そしてk,n,r及びsの値は該オルガノフルオロシロキサンが工程(c)が行なわれるスラリーの温度より少なくとも10℃高い基準沸点をもつものである、からなることを特徴とするトリアルコキシシランの製造法。
  2. Rがメチルである請求項1の方法。
  3. Rがエチルである請求項1の方法。
  4. 触媒前駆体が銅(I)化合物からなる請求項1の方法。
  5. 触媒前駆体が銅(II)化合物からなる請求項1の方法。
  6. 触媒前駆体が、銅(II)の水酸化物からなる請求項1の方法。
  7. 工程(a)でつくられるスラリーが式ROHのアルコールを含有する請求項1の方法。
  8. 工程(a)における溶媒が多芳香族炭化水素であり、触媒前駆体が工程(b)において該溶媒中で加熱することによって活性化され、工程(c)がアルキル化ベンゼンからなる溶媒中で行なわれる請求項1の方法。
  9. 工程(b)が十分に還元されていない該触媒前駆体中にてCu 銅に十分に還元することからなる請求項1の方法。
  10. 工程(b)が該触媒前駆体をガス状水素と反応させることによって行なわれる請求項9の方法。
  11. 工程(b)が該触媒前駆体を一酸化炭素と反応させることによって行なわれる請求項9の方法。
  12. 工程(b)が該触媒前駆体をSiHと反応させることによって行なわれる請求項9の方法。
  13. 工程(b)が該触媒前駆体を1以上のSiH基をもつオルガノシランと反応させることによって行なわれる請求項9の方法。
  14. 工程(b)が該触媒前駆体を1以上のSiH基をもつオルガノシランと反応させることによって行なわれる請求項9の方法。
  15. 工程(b)が該触媒前駆体を少なくとも1のSiH基をもつオルガノシランと反応させることによって行なわれる請求項9の方法。
  16. 工程(a)でつくられるスラリーが式ROHアルコールを含有する請求項9の方法。
  17. 工程(c)の反応で水素がつくられ、該水素の全部又は1部が工程(b)にリサイクルされそして工程(b)の還元に用いられる請求項9の方法。
  18. 工程(a)における該溶媒が多芳香族炭化水素からなり、そして該触媒前駆体が工程(b)において該溶媒中で加熱することによって還元され、そして工程(c)がアルキル化ベンゼンからなる溶媒中で行なわれる請求項9の方法。
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