JP4140283B2 - 非調質鋼クランクシャフト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非調質鋼クランクシャフトに関し、詳しくは、被削性に優れた鋼を素材として熱間加工及び機械加工によって部品形状に成形するだけで、高周波焼入れや軟窒化などの表面硬化処理を省略しても、優れた耐摩耗性を有する非調質鋼クランクシャフト、なかでも軸受と摺動する部位で優れた耐摩耗性を有する非調質鋼クランクシャフトに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のクランクシャフト、ハブ等の機械部品の製造に当たって、熱間加工後に行う「焼入れ−焼戻し」の調質処理を省略することを意図して、C含有量が0.4〜0.6質量%のいわゆる「中炭素鋼」をベースとするフェライト・パーライト型の非調質鋼が広く用いられている。
【0003】
上記クランクシャフト等の機械部品においては、耐摩耗性が要求される。このため、従来は、機械加工の後で、高周波焼入れや軟窒化などの表面硬化処理が施されていた。しかしながら、最近、工程の簡略化や省エネルギーの観点から、部品形状に成形した後の高周波焼入れや軟窒化といった表面硬化処理を施すことなく、所望の耐摩耗性を確保できる非調質鋼クランクシャフトに対する要求が大きくなっている。
【0004】
一般に、鋼の硬さを高めることで耐摩耗性を向上させることができる。しかし、例えばCの含有量を増やして硬さを増大させても、被削性が低下するので、単に硬さを増大させるだけでは問題の解決にならない。
【0005】
一方、クランクシャフトを鋳鉄で製造することも行われている。鋳鉄の場合、鋳込み後の組織はグラファイトと硬質なパーライトとからなるため、表面硬化処理を施すことなく或る程度の耐摩耗性を確保することはできる。しかし、その耐摩耗性は表面硬化処理を施した場合に比べれば劣るものであり、更に、鋳鉄製の製品には多量のグラファイトが含まれることになるため剛性も低い。
【0006】
高周波焼入れや軟窒化などの表面硬化処理を省略して、非調質鋼製品に耐摩耗性を確保させる技術が特開平10−137888号公報及び特開2000−265242号公報に開示されている。
【0007】
すなわち、特開平10−137888号公報には、特定の化学組成を有する鋼に特定の条件で熱間鍛造と空冷とを施した、フェライト面積率が5%以下のパーライトを主体とする金属組織を有する粗部品における他部品との嵌合い部を、その嵌合い部の表面粗さが5から25μmの範囲内になるように仕上げ加工する「耐摩耗性に優れた熱間鍛造部品の製造方法」が開示されている。
【0008】
しかし、前記方法で製造された部品の硬さは、ブリネル硬さ(HB)で250から290であって、従来のパーライト組織を有する非調質鋼部品とほぼ同一の硬さでしかなく、顕著な耐摩耗性の向上が期待できるものではないし、必ずしも被削性に関して配慮された技術とはいえなかった。
【0009】
又、特開2000−265242号公報には、特定の化学組成を有し、熱間鍛造後の組織がフェライト+パーライトであり、初析フェライトの面積率が10%以下である「耐摩耗性にすぐれた熱間鍛造用非調質鋼」が開示されている。
【0010】
しかし、前記公報で提案された鋼は、単にフェライト+パーライト組織からなる非調質鋼の組織をパーライト主体の組織にしただけのものであり、必ずしも表面硬化処理を施した場合と同等の耐摩耗性が得られるというものでもなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、その目的は、被削性に優れた鋼を素材とし、熱間加工及び機械加工により部品形状に成形するだけで、表面硬化処理した場合と同等の優れた耐摩耗性を有する非調質鋼クランクシャフト、特に、軸受と摺動する部位で優れた耐摩耗性を有する非調質鋼クランクシャフトを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、下記に示す非調質鋼クランクシャフトにある。
【0013】
すなわち、「質量%で、C:0.40〜0.60%、Si:0.05〜0.80%、Mn:0.8〜2.0%、S:0.04〜0.3%、Cr:0.5〜2.0%、V:0.03〜0.5%、Ca:0.02%以下(但し、0%を含まない)及びN:0.025%以下(但し、0%を含まない)を含有し、残部がFe及び不純物からなり、表層から200nmまでの領域における組織が、面積率で5%以下の初析フェライトとラメラー間隔が30nm以下のパーライトとの混合組織であることを特徴とする非調質鋼クランクシャフト」である。
【0014】
なお、上記の「面積率で5%以下の初析フェライトとラメラー間隔が30nm以下のパーライトとの混合組織」には、組織に占める初析フェライトの面積率が0となる組織、すなわち、パーライト単相の組織を含む。
【0015】
本発明者らは、前記した課題を達成するために、材料表層部の組織及び硬さを種々変化させて被削性と耐摩耗性に及ぼす影響を調査した。その結果、下記(a)〜(e)の知見を得た。
【0016】
(a)鋼材の組織がマルテンサイトやベイナイトといった低温変態組織の場合よりも、初析フェライトとパーライトの混合組織の場合に良好な被削性が得られる。
【0017】
(b)自動車用機械部品として用いられるクランクシャフトの通常の使用環境を想定した場合、耐摩耗性に影響する製品硬さ(材料硬さ)は表層から200nmまでの領域における硬さである。
【0018】
(c)表層から200nmまでの領域における硬さが、ナノインデンテーション装置を用いて測定した際の硬さ(以下、Hnano硬さという)で10GPa以上であれば、表面硬化処理した場合と同等の優れた耐摩耗性が得られる。
【0019】
(d)したがって、良好な被削性と耐摩耗性とを具備させるには、組織を初析フェライトとパーライトの混合組織とし、且つ、表層から200nmまでの領域におけるHnano硬さを10GPa以上とすればよい。
【0020】
(e)上記の10GPa以上のHnano硬さは、初析フェライトとパーライトの混合組織の場合には、面積率で5%以下の初析フェライトとラメラー間隔が30nm以下のパーライトとの混合組織で確実に得られる。
【0021】
更に、本発明者らは成分元素と耐摩耗性との関係を調査して次の知見(f)を得た。
【0022】
(f)Siを多く含む鋼の場合、摩擦による温度上昇で機械的に脆い酸化層が表面に生じやすい。したがって、摩擦による温度上昇に伴う表面酸化を防止し、酸化層の脱離によって摩耗が促進することを防止するために、Siの含有量を制限することが極めて重要になる。
【0023】
本発明は、上記(a)〜(f)の知見に基づいて完成されたものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
(A)非調質鋼の化学組成
C:0.40〜0.60%
Cはパーライト組織を得るのに最も有効な元素であるが、その含有量が0.40%未満では十分な効果が得られない。一方、0.60%を超えると鋼が大きく硬化して被削性の低下を招く。したがって、Cの含有量を0.40〜0.60%とした。
【0025】
Si:0.05〜0.80%
Siは、脱酸作用及び強化作用を有する。しかし、その含有量が0.05%未満ではこれらの効果が得難い。一方、0.80%を超えると、摩擦による温度上昇に伴う表面酸化が著しくなり、酸化層が脱離して摩耗が大きくなる。したがって、Siの含有量を0.05〜0.80%とした。
【0026】
Mn:0.8〜2.0%
Mnは、強度及び靱性を高める作用がある。更に、焼入れ性を上げてCの共析濃度を下げ、初析フェライトの析出を抑制する作用も有する。これらの効果はMnの含有量が0.8%以上で得られる。一方、Mnの過剰な添加はベイナイト組織の生成を招いて耐摩耗性及び被削性に悪影響を及ぼすこととなり、特に、Mnの含有量が2.0%を超えると耐摩耗性及び被削性の低下が著しくなる。したがって、Mnの含有量を0.8〜2.0%とした。
【0027】
S:0.04〜0.3%
Sは、硫化物として析出して被削性を改善する作用がある。この効果を得るには0.04%以上の含有量が必要である。しかし、0.3%を超えると熱間加工性が低下する。したがって、Sの含有量を0.04〜0.3%とした。
【0028】
Cr:0.5〜2.0%
Crは、強度及び靱性を向上させる作用がある。更に、焼入れ性を高めてCの共析濃度を下げ、初析フェライトの析出を抑制する作用も有する。これらの効果はCrの含有量が0.5%以上で得られる。しかし、Crの過剰な添加はベイナイト組織の生成を招き、耐摩耗性及び被削性に悪影響を及ぼし、特に、その含有量が2.0%を超えると耐摩耗性及び被削性の低下が著しくなる。したがって、Crの含有量を0.5〜2.0%とした。
【0029】
V:0.03〜0.5%
Vは、炭窒化物として析出して強度を上昇させる作用を有する。この効果は、Vの含有量が0.03%で得られる。しかし、0.5%を超えると前記の効果が飽和してコストが嵩むばかりか、靱性の低下を招くようになる。したがって、Vの含有量を0.03〜0.5%とした。
【0030】
Ca:0.02%以下(但し、0%を含まない)
Caは、被削性を高める作用を有する元素である。この効果を得るには、Caは0.0005%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Caの含有量が0.02%を超えても前記効果は飽和し、コストが嵩むばかりである。したがって、Caの含有量を0.02%以下(但し、0%を含まない)とした。なお、Caを添加する場合、その含有量は、0.0005〜0.02%とするのがよい。
【0032】
N:0.025%以下(但し、0%を含まない)
は、窒化物や炭窒化物を形成して組織の微細化、或いは析出強化に寄与する元素である。この効果を得るには、Nは0.007%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Nを多量に添加すると青熱脆性が生じ、特に、その含有量が0.025%を超えると青熱脆性が顕著になる。したがって、Nの含有量を0.025%以下(但し、0%を含まない)とした。
(B)製品表層部の組織
熱間加工後、非調質鋼の粗成形品を最終形状に仕上げ機械加工する場合、被加工材の組織がマルテンサイトやベイナイトといった低温変態組織の場合よりも、初析フェライトとパーライトの混合組織の場合に良好な被削性が得られる。
【0033】
本発明においては、上記の初析フェライトとパーライトの混合組織を有する粗成形品を最終形状の製品(クランクシャフト)に加工した場合の、製品表層から200nmまでの領域における組織を規定する。これは、自動車用機械部品として用いられるクランクシャフトの通常の使用環境を想定した場合、耐摩耗性に影響する製品硬さ(材料硬さ)が表層から200nmまでの領域における硬さであることに基づく。
【0034】
表面硬化処理した場合と同等の優れた耐摩耗性を得るためには、前記領域における硬さが、ナノインデンテーション装置を用いて測定した際にHnano硬さで10GPa以上あればよく、上記の10GPa以上のHnano硬さは、被削性に優れる初析フェライトとパーライトの混合組織の場合には、面積率で5%以下の初析フェライトとラメラー間隔が30nm以下のパーライトとの混合組織で確実に得られる。
【0035】
したがって、本発明に係る非調質鋼クランクシャフトにおいては、その表層から200nmまでの領域における組織を、面積率で5%以下の初析フェライトとラメラー間隔が30nm以下のパーライトとの混合組織と規定した。
【0036】
なお、パーライトのラメラー間隔は微細であればあるほど好ましく、その下限値は特に規定しなくてもよい。
【0037】
又、初析フェライトが組織に占める割合は、5%以下で小さければ小さいほど前記10GPa以上のHnano硬さが安定、且つ確実に確保でき、組織に占める初析フェライトの面積率が0となる場合、すなわち、パーライト単相の組織が最も好ましい。前記の「面積率で5%以下の初析フェライトとラメラー間隔が30nm以下のパーライトとの混合組織」に、組織に占める初析フェライトの面積率が0となる組織、すなわち、パーライト単相の組織が含まれることは既に述べたとおりである。
【0038】
上記(A)で述べた成分組成からなる鋼は、通常の方法で熱間加工して粗成形品にした後、大気中放冷するだけで面積率で5%以下の初析フェライトとパーライトの混合組織になる。
【0039】
又、パーライト組織は、これに一方向の変形を加えることでそのラメラー間隔を小さくすることができる。
【0040】
したがって、最終の非調質鋼クランクシャフトは、例えば、上記粗成形品を切削加工した後、ラッピング加工して粗成形品の表層部に一方向の変形を加えることで、容易に表層から200nmまでの領域を所望の組織、すなわち、面積率で5%以下の初析フェライトとラメラー間隔が30nm以下のパーライトとの混合組織とすることができる。
【0041】
なお、面積率で5%以下の初析フェライトとラメラー間隔が30nm以下のパーライトとの混合組織となる製品表層からの領域、換言すれば、Hnano硬さで10GPa以上となる製品表層からの領域が200nmを超えても当然に良好な耐摩耗性が得られる。しかし、通常の方法で熱間加工して粗成形し、その後に大気中放冷した前記の粗成形品に、上記のような機械加工を施すだけでその表層から200nmを超える領域に10GPa以上となるHnano硬さを確保させることは現実的ではない。
【0042】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
【0043】
【実施例】
表1に示す化学組成を有する5種の鋼を150kgの真空誘導加熱炉で溶製し、直径210mmのインゴットにした。
【0044】
【表1】
Figure 0004140283
【0045】
上記の各インゴットを通常の方法で1250℃に加熱した後、熱間鍛造して直径65mmの丸棒にした。なお、鍛造仕上げ温度は1000℃とし、熱間鍛造後は室温まで大気中放冷した。
【0046】
上記の直径65mmの丸棒に、通常の方法で旋削加工を施し、更にラッピング加工を行った。ここで、ラッピング加工は、ラッピング用砥石に対して旋削加工した丸棒を50MPaの一定荷重で押し付けた上、旋削方向と同一方向である一方向に回転させることで、直径53mmの丸棒に仕上げた。
【0047】
このようにして得た直径53mmの各丸棒について、表層部の組織とHnano硬さを調査した。
【0048】
すなわち、ミクロ試料を切り出し、鏡面研磨した後ナイタルで腐食して光学顕微鏡観察して組織を判定するとともに写真を撮影し、画像解析して初析フェライトの面積率を測定した。
【0049】
パーライトのラメラー間隔は、透過型電子顕微鏡写真から測定した。すなわち、透過型電子顕微鏡観察用試料は、上記直径53mmのラッピング加工を施した丸棒の表層部を観察するために、集束イオンビーム加工(FIB加工)を行うことで断面に切り出し、その後通常のイオンミリング法を施すことで薄膜試料とし、透過型電子顕微鏡写真を撮影して、その写真からパーライトのラメラー間隔を求めた。
【0050】
表層部のHnano硬さは、ナノインデンテーション装置としてハイジトロン社製のトライボインデンターを用いて測定した。
【0051】
すなわち、前記ラッピング加工した面をアルコールで洗浄した後、バーコビッチタイプの探針を最表面から深さ100〜200nmの間に押し込み、その時の荷重と深さ方向位置の関係を求めた。なお、上記の探針の押し込み速度は荷重制御で200μN/秒とした。このようにして測定した「荷重−押し込み曲線」をもとに、一般的に用いられているオリバー・ファー法によってHnano硬さを算出した。
【0052】
前記直径53mmの各丸棒の被削性調査のためにドリル穿孔試験も行った。すなわち、通常の直径が5mmの高速度鋼(ハイス)製ドリルを用いて潤滑剤として水溶性切削油剤(エマルジョン型)を使用し、15m/分の周速、955rev/分の回転数、0.15mm/revの送りの条件で深さが50mmの孔を加工した。なお、異音を生じることなく穿孔可能な個数を調査し、150個の孔を穿孔しても異音が生じない場合には被削性良好として穿孔試験を中止した。
【0053】
前記直径53mmの各丸棒の耐摩耗性についても調査した。すなわち、通常の回転荷重試験機を用いて下記の条件で摩耗試験を行い、その時の摩耗量を摩耗深さとして測定した。試験は一般的な条件である35MPaの面圧、15m/秒の周速で20時間行い、軸受にはAl合金を用いて行った。なお、潤滑油にはモーターオイル#20を用い、入り口温度は130℃、給油圧を0.4MPaとした。
【0054】
表2に、上記の各試験結果を整理して示す。
【0055】
【表2】
Figure 0004140283
【0056】
なお、鋼2の前記直径53mmの丸棒には、比較のために表面硬化処理として通常の高周波焼入れも行った。なお、この高周波焼入れ時の加熱温度は1000℃とした。
【0057】
表層部を高周波焼入れした鋼2の直径53mmの丸棒について、表層部の組織とHnano硬さを調査した。すなわち、ミクロ試料を切り出し、鏡面研磨した後ナイタルで腐食して光学顕微鏡観察して表層部の組織を判定した。又、既に述べた他の直径53mmの丸棒と同様に、アルコールで洗浄した後、表層部のHnano硬さをナノインデンテーション装置として前記ハイジトロン社製のトライボインデンターを用いて測定した。
【0058】
この表面硬化処理した鋼2の直径53mmの丸棒についても、既に述べた他の直径53mmの丸棒と同様に耐摩耗性を調査した。
【0059】
表2には、表面硬化処理した鋼2の直径53mmの丸棒についての各試験結果も併記した。
【0060】
表2から、本発明の条件を満たす試験番号1の場合には、従来タイプの表面硬化処理した試験番号6と同等の良好な耐摩耗性が得られていることが明らかである。更に、ドリル穿孔試験結果から被削性も良好であることがわかる。
【0061】
これに対して、本発明で規定する条件から外れた試験番号2〜5の場合には、従来タイプの表面硬化処理した試験番号6と同等の良好な耐摩耗性と良好な被削性との双方を兼備できないことが明らかである。
【0062】
【発明の効果】
本発明の非調質鋼クランクシャフトは、熱間加工及び機械加工により部品形状に成形するだけで、表面硬化処理した場合と同等の優れた耐摩耗性を有するので、自動車のクランクシャフトに用いることができる。

Claims (1)

  1. 質量%で、C:0.40〜0.60%、Si:0.05〜0.80%、Mn:0.8〜2.0%、S:0.04〜0.3%、Cr:0.5〜2.0%、V:0.03〜0.5%、Ca:0.02%以下(但し、0%を含まない)及びN:0.025%以下(但し、0%を含まない)を含有し、残部がFe及び不純物からなり、表層から200nmまでの領域における組織が、面積率で5%以下の初析フェライトとラメラー間隔が30nm以下のパーライトとの混合組織であることを特徴とする非調質鋼クランクシャフト。
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