JP6776957B2 - 鍛造部品 - Google Patents
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[Si]+[Mn]≦1.2・・・式(1)
ここで、[Si]、[Mn]にはSi、Mnの各含有量が質量%で代入される。
[Si]+[Mn]≦1.2・・・式(1)
ここで、[Si]、[Mn]にはSi、Mnの各含有量が質量%で代入される。
本発明者らは、適正に組織制御されたパーライトを有する鋼材は、摺動によって大きく加工硬化し、優れたナノ硬さを示すことを見いだした。
パーライトは、マルテンサイトやベイナイトと比較して、蓄積歪が小さいため熱的安定性が高い。したがって、摺動面の熱的安定性を向上させる観点からも、パーライト分率の高い組織とすることが好ましい。
熱伝導率の向上には、Si含有量の低減が有効であることが従来から知られている。本発明者らは、他の元素の影響を明らかにするため、中高炭素鋼をベースとして合金元素の添加量を変化させて、その熱伝導率を測定した。結果を図2に示す。図2に示すとおり、C、Siに加えて、Mnも熱伝導率に大きく影響を与える元素であり、Mn含有量の低減によって熱伝導率を向上できることがわかった。したがって、熱伝導率を向上させるためには、Si及びMnの含有量を低くすることが好ましい。
[Si]+[Mn]≦1.2・・・式(1)
ここで、[Si]、[Mn]にはSi、Mnの各含有量が質量%で代入される。
上述のとおり、適量のナノ結晶化層は、摺動面のナノ硬さの向上に寄与する。一方、ナノ結晶化層が厚くなりすぎると、ナノ結晶化層内で割れや剥離が生じやすくなり、かえってナノ硬さが低下する。パーライトのラメラ間隔が小さすぎると、ナノ結晶化層が厚くなりすぎ、ナノ結晶化層内で割れや剥離が生じやすくなる。
本実施形態による鍛造部品を構成する鋼材は、以下に説明する化学組成を有する。以下の説明において、元素の含有量の「%」は、質量%を意味する。
炭素(C)は、パーライト組織を得るために必要な元素である。C含有量が0.35%未満では、パーライト分率の高い組織が得られない。一方、C含有量が0.65%を超えると、鋼の被削性が低下する。したがって、C含有量は0.35〜0.65%である。C含有量の下限は、好ましくは0.4%であり、さらに好ましくは0.5%である。C含有量の上限は、好ましくは0.6%であり、さらに好ましくは0.58%である。
シリコン(Si)は、不純物として鋼中に含有される。Siは、パーライト組織を得るために積極的に含有することができる。Siはまた、パーライト内のフェライトに固溶してパーライトを強化する。一方、Siは鋼の熱伝導率を低下させる。そのため、Si含有量が0.50%以上になると、十分な耐焼付き性が得られない。したがって、Si含有量は0.50%未満である。Si含有量の下限は、好ましくは0.10%である。Si含有量の上限は、好ましくは0.40%であり、さらに好ましくは0.30%である。
マンガン(Mn)は、パーライト組織を得るために必要な元素である。Mn含有量が0.10%未満では、パーライト分率の高い組織が得られない。一方、Mnは鋼の熱伝導率を低下させる。そのため、Mn含有量が0.80%以上になると、十分な耐焼付き性が得られない。したがって、Mn含有量は0.10%以上0.80%未満である。Mn含有量の下限は、好ましくは0.30%であり、さらに好ましくは0.40%であり、さらに好ましくは0.50%である。Mn含有量の上限は、好ましくは0.78%である。
リン(P)は、パーライト内のフェライトに固溶してパーライトを強化する。Pはまた、パーライトの加工硬化性を向上させるとともに、組織の熱的安定性を向上させる。P含有量が0.01%以下では、これらの効果が得られない。一方、P含有量が0.1%を超えると、過剰なPが粒界に偏析して、鋼の疲労強度が低下する。したがって、P含有量は0.01%を超え0.1%以下である。P含有量は、下限の観点では、好ましくは0.02%以上であり、さらに好ましくは0.02%よりも高い。P含有量の上限は、好ましくは0.08%であり、さらに好ましくは0.05%である。
硫黄(S)は、不純物として鋼中に含有される。Sは、積極的に含有させると、硫化物系介在物を形成し、鋼の被削性を向上させる。一方、S含有量が0.06%を超えると、熱間加工性が低下する。したがって、S含有量は0.06%以下である。S含有量の下限は、好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.02%である。S含有量の上限は、好ましくは0.055%である。
クロム(Cr)は、鋼の強度を高める。Crはさらに、セメンタイトの析出形態を制御して、ナノ結晶化層の熱的安定性を向上させる。Cr含有量が0.2%未満では、この効果が十分に得られない。一方、Cr含有量が1.5%を超えると、マルテンサイトやベイナイトが生成しやすくなる。したがって、Cr含有量は0.2〜1.5%である。Cr含有量の下限は、好ましくは0.25%である。Cr含有量の上限は、好ましくは1.4%であり、さらに好ましくは1.3%である。
アルミニウム(Al)は、鋼を脱酸する。Al含有量が0.005%未満では、この効果が十分に得られない。一方、Al含有量が0.05%を超えると鋼の被削性が低下する。したがって、Al含有量は0.005〜0.05%である。Al含有量の下限は、好ましくは0.010%であり、さらに好ましくは0.020%である。Al含有量の上限は、好ましくは0.045%であり、さらに好ましくは0.04%である。
窒素(N)は、鋼の強度を高める。N含有量が0.001%未満では、この効果が十分に得られない。一方、N含有量が0.02%を超えると、鋼の靱性が低下する。したがって、N含有量は0.001〜0.02%である。N含有量の下限は、好ましくは0.0015%であり、さらに好ましくは0.002%である。N含有量の上限は、好ましくは0.015%であり、さらに好ましくは0.01%である。
本実施形態による鍛造部品を構成する鋼材の化学組成は、Feの一部に代えて、バナジウム(V)を含有してもよい。Vは、鋼の強度を高める。一方、V含有量が0.2%を超えると、鋼の被削性が低下する。したがって、V含有量は0〜0.2%である。V含有量が0.05%以上であれば、上記の効果が顕著に得られる。V含有量の下限は、さらに好ましくは0.08%である。V含有量の上限は、好ましくは0.15%であり、さらに好ましくは0.12%である。
本実施形態による鍛造部品を構成する鋼材の化学組成は、下記の式(1)を満たす。
[Si]+[Mn]≦1.2・・・式(1)
ここで、[Si]、[Mn]にはSi、Mnの各含有量が質量%で代入される。
本実施形態による鍛造部品を構成する鋼材は、面積率で90%以上のパーライトを含む組織を有する。パーライトは、摺動によって大きく加工硬化する。パーライトはまた、熱的安定性に優れる。鋼材にマルテンサイトやベイナイト等が含まれていると、組織の熱的安定性が低下する。パーライトの面積率は、好ましくは95%以上である。
lav=0.5×(L/n)・・・(A)
以下、本実施形態による鍛造部品の製造方法の一例を説明する。本実施形態による鍛造部品の製造方法は、これに限定されない。
CI=10x・・・式(2)
ただし、x=0.1×[Al]−[Si]−[Mn]−0.5×[Cr]−5.8×[V]+2.2
ここで、[Al]、[Si]、[Mn]、[Cr]、[V]には素材のAl、Si、Mn、Cr、Vの各含有量が質量%で代入される。冷却速度指数CIの単位は℃/秒である。
PI=500×10−y・・・式(3)
ただし、y=0.6×[Si]+1.7×[Mn]+46×[P]+66×[S]+17×[V]+1.2×[Al]+0.2×[Cr]−1.9
ここで、[Al]、[Si]、[Mn]、[Cr]、[V]、[P]、[S]には素材のAl、Si、Mn、Cr、V、P、Sの各含有量が質量%で代入される。パーライト冷却速度指数PIの単位は℃/秒である。
長時間摺動後のナノ硬さを評価するため、以下に説明するように、各供試材に対して摩耗試験を実施し、摩耗試験後のナノ硬さを測定した。
Claims (2)
- 化学組成が、質量%で、
C :0.35〜0.65%、
Si:0.50%未満、
Mn:0.10%以上0.80%未満、
P :0.01%を超え0.1%以下、
S :0.06%以下、
Cr:0.2〜1.5%、
Al:0.005〜0.05%、
N :0.001〜0.02%、
V :0〜0.2%、
残部:Fe及び不純物であり、
前記化学組成が、下記の式(1)を満たし、
面積率で90%以上のパーライトを含む組織を有し、
前記パーライトの平均ラメラ間隔が50nm未満であって、
転位密度が1015m−2以上である鋼材からなる、鍛造部品。
[Si]+[Mn]≦1.2・・・式(1)
ここで、[Si]、[Mn]にはSi、Mnの各含有量が質量%で代入される。 - 請求項1に記載の鍛造部品であって、
前記化学組成が、質量%で、
V :0.05〜0.2%、
を含有する鍛造部品。
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JP2017047011A JP6776957B2 (ja) | 2017-03-13 | 2017-03-13 | 鍛造部品 |
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