JP4139712B2 - 漂白活性化剤及び漂白剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、漂白活性化剤及び漂白剤組成物に関し、更に詳述すると、衣服についたしみ、食器、陶器、ガラス、プラスチック、義歯等の硬表面についた汚れの漂白、かび取り剤、パルプの漂白、染色排水の処理、洗濯中における染料移動の防止、衣類、硬表面などの殺菌等を行うために広く用いられているペルオキシ化合物の漂白性能を向上させることができる漂白活性化剤及び該漂白活性化剤を含有する漂白剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、過酸化水素、水溶液中で過酸化水素を遊離するか又はそれ自体過酸結合を有する無機の過塩、及び有機過酸(以下、これらの化合物を「ペルオキシ化合物」と略称する。)、並びに漂白浴中で過酸化水素と反応して有機過酸を発生する有機過酸前駆体は、漂白剤の有効成分として、これまでに広く使用されている。
【0003】
ところが、過酸化水素、水溶液中で過酸化水素を遊離するか又はそれ自体過酸結合を有する無機の過塩は、低温では比較的漂白効果が低く、低温で十分な漂白効果を得るため、これらの化合物を活性化する種々の提案がなされている。例えば、漂白活性化剤を用いて漂白力を向上させる方法では、漂白活性化剤として、グルコースペンタアセテート(GPAC)等のO−アセチル化物、テトラアセチルエチレンジアミン等のN−アシル化物、無水マレイン酸等の酸無水物などが用いられている。
【0004】
また、有機過酸前駆体を漂白活性化剤としてより有効に用いる目的のために種々の分子構造が提案されている。該分子構造としては、例えば、脂肪族カルボン酸とフェノール類からなるエステルや安息香酸フェニル、ニトロ置換安息香酸フェニルなどである(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0005】
しかしながら、前記有機過酸前駆体から生じる有機過酸の多くは、水溶性が低いか、或いは水溶性が高い有機過酸は漂白力が弱く、例えば、カビのように濃度の高い汚垢を漂白するために必要な漂白力及び水溶性をともに満足できるものではなかった。
【0006】
そこで、水溶性を向上させた有機過酸前駆体としては、カチオン基を含む置換安息香酸を有するエステルが提案されている(例えば、特許文献3及び4参照)。
しかしながら、前記カチオン基を含む置換安息香酸を有するエステルは、4級アミンによる環境汚染の懸念があり、実用上の問題がある。
【0007】
また、脱離基に電荷を有するタイプのエステルとしては、カチオン基を含む脱離基を有するエステル、アニオン基を含む脱離基を有するエステル、などが提案されている(例えば、特許文献5及び6参照)。
しかしながら、前記脱離基に電荷を有するタイプのエステルは、有機過酸前駆体としての溶解性は向上するものの、その過加水分解反応によって生ずる有機過酸の水溶性が低く、漂白時に析出が生じて漂白効率を低下させてしまうという問題がある。
【0008】
【特許文献1】
英国特許第864798号公報
【特許文献2】
特開平5−31845号公報
【特許文献3】
特開平2−147698号公報
【特許文献4】
特開平1−190654号公報
【特許文献5】
特開平7−216396号公報
【特許文献6】
特開昭59−22999号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、ペルオキシ化合物の漂白性能を向上させることができる有機過酸前駆体である漂白活性化剤、特に、スルホン基を導入した安息香酸由来の分子構造を有する漂白活性剤によって高水溶性が付与され、大きな漂白力を有する新規漂白活性化剤及び該漂白活性化剤を含有する漂白剤組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。即ち、有機過酸前駆体の分子内カルボン酸由来の構造中に、水溶性を与えるスルホン基を導入することにより、高い漂白効果を有し、かつ高い水溶性を有する有機過酸を生成し得、有機過酸の生成効率を自在にコントロール可能な新規な漂白活性化剤が得られ、この漂白活性化剤とペルオキシ化合物とを含む漂白剤組成物が、汚垢に対する高い漂白力を備えていることを知見し、本発明をなすに至った。
【0011】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段は下記の通りである。
<1> 下記構造式(I)で表されるスルホン基を導入した安息香酸由来の分子構造を有することを特徴とする漂白活性化剤である。
【化3】
但し、前記構造式(I)において、Lは、pKaが4〜18の範囲にある脱離基を表す。−SOYは、スルホン基を示し、Yは、−OM(但し、Mは、塩形成カチオン又は水素原子を表す。)及び下記構造式(II)で表される基のいずれかを表す。xは、1〜3の整数を表す。
【化4】
但し、前記構造式(II)において、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は複素環基を表す。
<2> 前記<1>に記載の漂白活性化剤と、ペルオキシ化合物とを含有することを特徴とする漂白剤組成物である。
【0012】
本発明においては、下記の態様も好適である。
<3> 脱離基Lが、スルホン基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基で置換されていても良い置換オキシフェニレン基、又は少なくとも一つのテトラアルキルアンモニウム基を有するオキシアルキル基である前記<1>に記載の漂白活性化剤である。
<4> 4−スルホ安息香酸コリンエステル、4−スルホ安息香酸2,2,2−トリフルオロエタノールエステル、4−スルホ安息香酸フェノールエステル、3,5−ジスルホ安息香酸コリンエステル、3−スルホ安息香酸p−クレゾールエステル、4−スルホ安息香酸N,N−ジピコリルアミノエタノールエステル、4−スルホ安息香酸4−スルホフェニルエステル、4−スルファモイル安息香酸4−スルホフェニルエステル及び4−スルファモイル安息香酸フェノールエステルから選択される少なくとも1種である前記<1>及び<3>のいずれかに記載の漂白活性化剤である。
<5> 漂白活性化剤とペルオキシ化合物との混合割合がモル比で漂白活性化剤:ペルオキシ化合物=1:1〜1:100である前記<2>に記載の漂白剤組成物である。
<6> 更に、界面活性剤、キレート剤、ビルダー、酵素及び香料から選択される少なくとも1種を配合した前記<2>及び<5>のいずれかに記載の漂白剤組成物である。
【0013】
【発明の実施の形態】
(漂白活性化剤)
本発明の漂白活性化剤は、スルホン基を導入した安息香酸由来の分子構造を有し、下記構造式(I)で表される。
【0014】
【化5】
【0015】
前記構造式(I)において、xは、1〜3の整数である。−SOYは、スルホン基を示し、ベンゼン環の任意の位置に任意の数だけ置換され、任意のベンゼン環の水素原子がスルホン基(−SOY)で置換される。これらの中でも、ベンゼン環のオルト位又はパラ位の水素原子が1〜2個置換されるものが好ましく、特に、パラ位のみが置換されるものがより好ましい。
前記Yは、−OM(但し、Mは、塩形成カチオン又は水素原子を表す。)及び下記構造式(II)で表される基のいずれかを表す。
前記塩形成カチオンとしては、例えば、ナトリウム、カリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、などが挙げられ、これらの中でも、ナトリウムが好ましい。
【0016】
【化6】
前記構造式(II)において、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は複素環基を表す。これらは更に置換基で置換されていてもよい。これらの中でも水素原子が特に好ましい。
【0017】
前記脂肪族炭化水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、などが挙げられる。
前記アルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数が1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、シクロペンチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、などが挙げられる。
これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、などが好適である。
前記アラルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、等が挙げられる。
前記アルケニル基としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基、などが挙げられ、これらは置換基で更に置換されていても構わない。
【0018】
前記芳香族炭化水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単環芳香族環の基、芳香族環が4環以下結合してなる基、などが挙げられる。
前記単環芳香族環の基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、スチリル基、メシチル基、シンナミル基、フェネチル基、ベンズヒドリル基、などが挙げられる。
前記芳香族環が4環以下結合してなる基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アズレニル基、ベンズアントラセニル基、などが挙げられる。
これらの中でも、フェニル基、ナフチル基、などが好適である。
【0019】
前記複素環基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ピリジル基(2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル等)、チアゾリル基、ピロリリル基、フリル基、チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、イミダゾイル基、ピリジニル基、ピロロピリジニル基、ピリミジニル基、チオフェニル基、インドリル基、キノリニル基、ピリニル基、アデニル基、などが挙げられる。
これらの中でも、ピリジル基(2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル等)、チアゾリル基、が好適である。
【0020】
前記離脱基Lは、その共役酸pKaが4〜18、より好ましくは4〜10の範囲である。共役酸pKaが小さすぎると脱離性能が過剰になり、水系製品中での安定化が困難となる。一方、大きすぎると脱離性能が不足し、漂白時の過酸生成効率が低下してしまう。
前記Lとしては、スルホン基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基で置換されていても良い置換オキシフェニレン基、又は少なくとも一つのテトラアルキルアンモニウム基を有するオキシアルキル基、などが挙げられる。
前記オキシアルキル基としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜18のものが好ましく、2〜12のものがより好ましく、例えば、オキシメチル基、オキシエチル基、オキシプロピル基、オキシブチル基、などが挙げられる。
前記テトラアルキルアンモニウム基におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、などが挙げられる。
【0021】
前記Lとしては、具体的には、下記式(1)〜(12)で示す構造のものが挙げられ、これらの中でも、式(1)、式(5)が好適である。
【0022】
【化7】
【0023】
【化8】
【0024】
【化9】
【0025】
ただし、前記式中(1)〜(12)中、kは、1〜5を意味する。
は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、若しくはスルホン基で置換されていてもよく、エステル基、アミン基、エーテル基、若しくはフェニレン基が挿入されていてもよい直鎖若しくは分岐鎖の炭素数1〜18のアルキル基又はアルケニル基である。
〜Rは、互いに異なっていても同じであっても良い炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基である。
Wは、塩形成アニオンであり、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、メチル硫酸イオン、などが挙げられる。
Zは、フッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子である。
M及びYは、上記と同じ意味を表す。
【0026】
前記構造式(I)で表される漂白活性化剤としては、例えば、4−スルホ安息香酸コリンエステル、4−スルホ安息香酸2,2,2−トリフルオロエタノールエステル、4−スルホ安息香酸フェノールエステル、3,5−ジスルホ安息香酸コリンエステル、3−スルホ安息香酸p−クレゾールエステル、4−スルホ安息香酸N,N−ジピコリルアミノエタノールエステル、4−スルホ安息香酸4−スルホフェニルエステル、4−スルファモイル安息香酸4−スルホフェニルエステル、4−スルファモイル安息香酸フェノールエステル、などが挙げられる。
なお、前記漂白活性化剤は、スルホ安息香酸又はその塩を出発原料として、公知の方法により合成することができる(例えば、製造例1〜3参照)。
【0027】
(漂白剤組成物)
本発明の漂白剤組成物は、前記本発明の漂白活性化剤とペルオキシ化合物とを含有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有する。
【0028】
前記漂白活性化剤としては、上述した前記構造式(I)で表される漂白活性化剤が用いられ、その配合量は、漂白剤組成物全量に対して0.1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
前記漂白活性化剤の配合量が、0.1質量%未満では、十分な漂白性能が得られない場合がある。一方、20質量%を超えても、それに見合う効果が得られない場合がある。
【0029】
前記ペルオキシ化合物としては、(a)過酸化水素、(b)水溶液中で過酸化水素を遊離するか又はそれ自体過酸結合を有する無機の過塩、などが挙げられる。
前記(b)無機の過塩としては、例えば、アルカリ金属の過炭酸塩、過ほう酸塩、過燐酸塩、過珪酸塩、過硫酸塩などが挙げられる。これらのうち、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過ほう酸ナトリウム、過硫酸カリウムが特に好ましい。
【0030】
前記ペルオキシ化合物の配合量は、漂白剤組成物全量に対して漂白性能、使用性の点で0.5〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
【0031】
本発明においては、前記構造式(I)で表される漂白活性化剤と、ペルオキシ化合物の混合割合はモル比で1:1〜1:100が好ましく、1:1〜1:10がより好ましい。なお、効率良い過酸生成のため、漂白活性化剤の脱離基Lの共役酸pKaが高い場合はペルオキシ化合物をより過剰量添加することが好ましい。
【0032】
本発明の漂白剤組成物には、前記漂白活性化剤及びペルオキシ化合物以外にも、各種界面活性剤、キレート剤、ビルダー、酵素、香料等を併用することができる。また、水性漂白剤組成物のpHが1〜11になるように、pH緩衝剤などを含有させることが好ましい。更に、水性及び粉末いずれの漂白剤組成物においても、漂白浴中のpHが7〜10になることが好ましい。
【0033】
前記界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸、アルキルポリエトキシエーテル硫酸、アルキルフェニルエーテル硫酸エステル、パラフィンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、α−スルホカルボン酸及びそれらのエステル等の水溶性塩、石鹸等のアニオン界面活性剤;ポリオキシアルキルエーテル、ポリオキシアルキルフェニルエーテル等のエトキシ化ノニオン、シュガーエステル、グルコシドエステル、メチルグルコシドエステル、エチルグルコシドエステル、アルキルポリグルコキシド等の糖系界面活性剤、アルキルジエタノールアミド、脂肪酸N−アルキルグルカミド等のアミド系界面活性剤等のノニオン界面活性剤;アルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホキシベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルアラニネート等のアミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体、アルキルアミンオキシド等の両性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤、などが挙げられる。
前記界面活性剤の配合量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜調整されるが、漂白剤組成物全量に対して0〜40質量%が好ましい。
【0034】
前記キレート剤としては、特に限定はされないが、例えば、エチレンジアミン四酢酸塩、アルミン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、アクリル酸・マレイン酸共重合体塩、などが挙げられる。
【0035】
前記ビルダーとしては、特に限定はされないが、例えば、ゼオライト等のアルミノケイ酸塩、層状珪酸塩、アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩、硼酸塩、燐酸塩、ポリ燐酸塩、トリポリ燐酸塩等の無機ビルダー、ニトリロトリ酢酸、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、ポリアクリル酸等のポリカルボン酸塩等の有機ビルダーが挙げられる。
前記ビルダーの配合量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜調整されるが、漂白剤組成物全量に対して0〜40質量%が好ましい。
前記酵素としては、例えば、アルカラーゼ、リパーゼ、等が挙げられる。
その他、香料、蛍光剤、シリコーン等の抑泡剤、過酸化物の安定化剤や、他の金属イオン、Ca、Mg、Si、Al、Zn、等を含んでいてもよい。
【0036】
本発明の漂白剤組成物は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定されるが、低温〜ぬるま湯程度、特に、5〜40℃で優れた漂白効果を示す。
前記漂白剤組成物における被漂白物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定されるが、例えば、浴室をはじめとする住居内のカビ、台所ストレーナーや三角コーナーのぬめり、排水口、便器、衣類、ふきん、じゅうたん、食器、陶器、ガラス、プラスチック、義歯等についたしみ、有機物汚れ、黄ばみ物質、歯牙のステイン、特に染みとしてカレー、ワイン、果汁、トマトケチャップ、ソース、醤油、血液、草汁、紅茶、コーヒー等、洗濯浴中に衣類から溶出した染料(移染防止)、染料廃液やパルプ、紙、織物、糸等が挙げられる。
【0037】
本発明の漂白活性化剤によれば、浴室をはじめとする住居内のカビ、台所ストレーナーや三角コーナーのぬめり、食器の茶渋、衣類などに付いた各種のしみや有機物汚れに対して、室温かつ中性からアルカリ領域においてペルオキシ化合物の漂白力を活性化し得、有効な漂白を行うことができる。
【0038】
従って、本発明の漂白活性化剤を含む漂白剤組成物は、カビ取り剤、ストレーナー・三角コーナー洗浄剤、台所用漂白剤、パイプ詰まり除去剤、トイレ洗浄剤、自動食器洗浄機用洗剤、義歯洗浄剤などの硬表面の洗浄漂白剤、洗濯槽洗浄剤、パルプ漂白剤、染色排水処理剤、各種衣料用漂白剤、洗濯中における染料移動防止剤、衣類・硬表面等の殺菌剤などとして幅広く使用することができる。
【0039】
【実施例】
以下、製造例、実施例及び比較例を示し本発明について更に具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に何ら制限されるものではない。なお、実施例中の「部」及び「%」は、特に明示しない限り「質量部」及び「質量%」を表す。
【0040】
(製造例1)
4−スルホ安息香酸カリウム15.0g(62.4mmol)を水250mlに溶解し、酸型に置換したカチオン交換樹脂(アンバーライトIR−120B)とオープンカラム中で接触させた後で水を留去し、4−スルホ安息香酸12.2g(60.3mmol)を得た。
【0041】
この4−スルホ安息香酸に対しN,N−ジメチルホルムアミド数滴を加え70℃に加熱した状態で、28.7g(241.2mmol)の塩化チオニルを4時間かけて滴下し、さらにその後3時間熟成させてから、残留した塩化チオニルを減圧留去して4−スルホ安息香酸クロライド13.2g(59.8mmol)を得た。
【0042】
得られた4−スルホ安息香酸クロライド13.2gを150mlのジクロロメタンに溶解した。ここに、50mlのジクロロメタンに溶解させた2,2−ジメチルアミノエタノール5.86g(65.7mmol)を室温でゆっくりと滴下し、滴下後6時間放置して生成した4−スルホ安息香酸2,2−ジメチルアミノエタノールエステルを析出させて濾別した。
【0043】
析出物5g(16.1mmol)を水に溶解し、希水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、水を留去した。更に、アセトニトリル/イソプロピルアルコール=5/5の溶媒2リットルに溶解させて、ここに、ジメチル硫酸1.97g(15.6mmol)をゆっくり滴下した。滴下後6時間放置して析出した生成物を濾別し、目的とする4−スルホ安息香酸コリンエステルメチル硫酸塩5.0g(11.9mmol)を得た。
【0044】
(製造例2)
4−スルファモイル安息香酸クロリド21.9g(100mmol)のTHF溶液をフェノール9.41g(100mmol)、及びNaOH6.0g(150mmol)のTHF/水溶液中に0℃において滴下し、30分間攪拌し、濾過することによって、目的とする4−スルファモイル安息香酸フェノールエステル24.9g(90mmol)を得た。
【0045】
(製造例3)
4−スルファモイル安息香酸クロリド21.9g(100mmol)のTHF溶液をヒドロキシベンゼンスルホン酸23.2g(100mmol)、及びNaOH6.0g(150mmol)のTHF/水溶液中に0℃において滴下し、30分間攪拌し、濾過することによって、目的とする4−スルファモイル安息香酸4−スルホフェニルエステル28.3g(75mmol)を得た。
【0046】
参考例1〜3、実施例4〜6、及び比較例1〜2)
表1に示したように、過酸化水素100mM、漂白活性化剤20mMになるように水溶液を調製した(比較例1は過酸化水素のみ)。この水溶液にpH調整剤として炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムを用いてpH11の漂白水溶液を調整し、30℃、2分間の放置により過酸を生成した。この溶液に反応開始2分経過後、スパチュラ半分のカタラーゼを添加し、そこから2分間攪拌することにより残留過酸化水素を完全に分解した。
得られた反応溶液から2.5mlを計り取り、33%酢酸水溶液及び10%ヨウ化カリウム水溶液を各5ml添加し、0.01Nチオ硫酸Na水溶液で滴定し、有機過酸濃度を測定し、有機過酸濃度を2mM、pH=9.5になるように調整して下記の色素漂白試験を行った。結果を表2に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
<色素漂白試験>
色素としては、アリザリンレッドSを0.2mMになるように用い、特定波長(510nm)の100秒後の吸収を吸光度計で測定することにより下記数式1から色素分解率を求めた。
〔数式1〕
色素分解率(%)=100×(1−B/A)
但し、Aは、アリザリンレッドS 0.2mM水溶液の吸光度を意味する。Bは、漂白開始後100秒後の吸光度を意味する。
【0049】
【表2】
【0050】
参考例7〜9、実施例10〜12、及び比較例3〜4)
表3に示した組成の、漂白活性化剤、過酸化水素、界面活性剤、カルシウムキレート剤、及び香料を含む漂白剤組成物を調製した。これを水道水で100倍に希釈し、pH調整剤として炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムを用いてpH10の漂白溶液100mlを調整した。得られた各漂白剤組成物について、下記方法により漂白率を測定した。結果を表3に示す。
【0051】
<漂白率の測定>
各漂白剤組成物を調整直後に、表3に示した各種染みで汚染した木綿の試験布5gを室温で10分間浸漬した。10分経過後、水洗いし、乾燥した布の反射率から下記数式2を用いて漂白率を求めた。
〔数式2〕
漂白率(%)=100×{(C−A)/(B−A)}
但し、Aは、汚染処理前の試験布の反射率を意味する。Bは、汚染処理後試験布の反射率を意味する。Cは、漂白試験後の試験布の反射率を意味する。
【0052】
【表3】
【0053】
参考例13〜15、実施例16〜18、及び比較例5〜7)
表4に示したように、過酸化水素1000mM、漂白活性化剤100mMになるように水溶液を調整した(比較例5は過酸化水素のみ、比較例7は次亜塩素酸ナトリウムのみ)。この水溶液にpH調整剤として炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムを用いてpH9.5(実施例16はpH9、比較例7はpH.13)の漂白剤組成物を調製した。得られた漂白剤組成物について下記方法により漂白率を測定した。結果を表5に示す。
【0054】
【表4】
【0055】
<漂白率の測定>
黒カビ(Cladosporium cladosporioides)を培養し、被着させた素焼きタイル(INAX製:SPKC−1060)をモデルカビプレートとして用いた。このモデルカビプレートを水平に置き、各種漂白剤組成物0.5g(実施例16及び比較例7は20g)をプレートに滴下した。2分間(実施例16及び比較例7は10分間)放置し、水洗、風乾した後、色彩色差計(MINOLTA製;CR−200)を用いて明度(L値)を測定し下記数式3より漂白率を求めた。
〔数式3〕
漂白率(%)=100×{(L−L)/(Ls−L)}
但し、Lsは、カビを被着する前の素焼きタイルのL値を意味する。Lは、漂白前のモデルカビプレートのL値を意味する。Lは、漂白後のL値を意味する。
【0056】
【表5】
【0057】
【発明の効果】
本発明によると、衣服についたしみ、食器、陶器、ガラス、プラスチック、義歯等の硬表面についた汚れの漂白、かび取り剤、パルプの漂白、染色排水の処理、洗濯中における染料移動の防止、衣類、硬表面などの殺菌等を行うために広く用いられているペルオキシ化合物の漂白性能を向上させることができる漂白活性化剤及び該漂白活性化剤を含有する漂白剤組成物が得られる。

Claims (2)

  1. 下記構造式(I)で表されるスルホン基を導入した安息香酸由来の分子構造を有することを特徴とする漂白活性化剤。
    但し、前記構造式(I)において、Lは、スルホン基で置換されていてもよいオキシフェニレン基を表す。−SOYは、スルホン基を示し、Yは、−OM(但し、Mは、塩形成カチオン又は水素原子を表す。)及び下記構造式(II)で表される基のいずれかを表す。xは、1〜3の整数を表す。
    但し、前記構造式(II)において、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は複素環基を表す。
  2. 請求項1に記載の漂白活性化剤と、ペルオキシ化合物とを含有することを特徴とする漂白剤組成物。
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