JP4139169B2 - 起震装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地震の揺れを疑似体験させる機構を車両に搭載して巡回可能とした起震装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の起震装置として、例えば図4に示すものが、特開平7−134541号公報に開示されている。これについて説明すると、起震装置(起震車)1にユニット化された起震機構2が搭載され、この起震機構2は被験者を乗せる起震室3を所定の振動パターンで揺り動かし、起震室3に被験者が入って防災行動の訓練を行える。起震機構2は、車体に対して垂直方向(図においてZ軸方向)と前後方向(図においてX軸方向)について起震室3を揺り動かすようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、ビルや住宅等の建築物において、地震発生時に建物の揺れを抑える免震装置が普及している。この免震装置は例えば積層ゴムまたは転がり軸受等によって構成され、基礎に対して建築物を水平方向について変位可能に支持し、地震発生時に基礎の揺れが建築物に伝わることを抑える働きをする。
【0004】
そこで、起震車においても、免震装置を搭載し、被験者が免震装置の働きを体験できることが望まれる。しかしながら、起震車に免震装置を搭載しようとすると、装置が大型化し、起震床の床が高くなって乗降性が悪くなったり、起震床の天井高さを十分に確保できないため、その実現が難しいという問題点があった。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、装置の小型化をはかり、免震装置の働きを体験できる起震装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、被験者を乗せる起震床と、この起震床を揺り動かす起震機構を備える起震装置に適用する。
【0007】
そして、起震床を支持する起震床フレームと、起震機構によって揺り動かされる起震フレームと、この起震フレームに対して起震床フレームを移動可能に支持する免震支持機構と、起震フレームに対して起震床フレームを起震機構の動きを相殺するように駆動する免震駆動手段とを備え、免震駆動手段の作動を切り換えることにより被験者が免震支持機構の作動時の揺れと非作動時の揺れの両方を体験できる構成とし、起震床フレームはその内側に起震フレームを収める形状とし、かつ起震フレームと同一高さに配置したことを特徴とするものとした。
【0009】
【発明の作用および効果】
第1の発明によると、免震駆動手段がその動きを拘束した作動状態で、起震機構が起震床を所定の振動パターンで揺り動かし、起震床に被験者が乗って防災行動の訓練を行える。免震駆動手段が起震機構の動きを相殺するように起震フレームに対して起震床フレームを駆動することにより、被験者は免震支持機構が起震床の揺れを抑える効果を体験できる。
【0010】
そして、起震床フレームと起震フレームとが同一高さに配置される構造のため、これらが互いに積み重ねられる構造に比べて、起震機構及び免震支持機構の高さを低くできる。この結果、起震床の床を低くして乗降性を高めるとともに、車両の限られたスペースにおいて起震床の天井高さを十分に確保できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1に示すように、起震装置(起震車)1にユニット化された起震機構2が搭載され、この起震機構2は起震室3を所定の振動パターンで揺り動かし、起震室3に被験者が入って防災行動の訓練を行える。
【0013】
図2は起震装置1を車両の後側から見た正面図であるが、図において6は車両のシャシーフレーム(車体)、7は後輪である。起震機構2は、シャシーフレーム6に固定されるサブフレーム10と、サブフレーム10に対して車両の前後方向(図においてX軸方向)に往復動するX軸方向移動フレーム20と、X軸方向移動フレーム20に対して車両の左右方向(図2においてY軸方向)に往復動するY軸方向移動フレーム30と、Y軸方向移動フレーム30に対して垂直方向(図においてZ軸方向)に往復動する起震フレーム(Z軸方向移動フレーム)40とを備え、起震フレーム40上に設けられる起震室3を前後、左右、上下の3軸方向に揺り動かすことができる。
【0014】
サブフレーム10の内側にX軸方向移動フレーム20が配置され、X軸方向移動フレーム20の内側にY軸方向移動フレーム30が配置される。この構造のため、各フレームが互いに積み重ねられる構造に比べて、起震機構2の高さを低くできる。
【0015】
サブフレーム10にX軸方向移動フレーム20を支持する手段として、サブフレーム10には4つのリニアレール18が固定される一方、X軸方向移動フレーム20には各リニアレール18に摺動可能に係合する4つのリニアガイドブロック28が固定される。各リニアレール18は車両の前後方向に延び、各リニアガイドブロック28を介してX軸方向移動フレーム20を車両の前後方向に平行移動可能に支持している。
【0016】
サブフレーム10とX軸方向移動フレーム20の間にX軸方向移動用油圧シリンダ29が介装され、X軸方向移動用油圧シリンダ29の伸縮によってX軸方向移動フレーム20が車両の前後方向に移動する。
【0017】
X軸方向移動フレーム20にY軸方向移動フレーム30を支持する手段として、X軸方向移動フレーム20には4つのリニアレール27が固定される一方、Y軸方向移動フレーム30には各リニアレール27に摺動可能に嵌合するリニアガイドブロック37が固定される。各リニアレール27は車両の左右方向に延び、各リニアガイドブロック37を介してY軸方向移動フレーム30を車両の左右方向に平行移動可能に支持している。
【0018】
X軸方向移動フレーム20とY軸方向移動フレーム30の間にY軸方向移動用油圧シリンダ39が介装され、Y軸方向移動用油圧シリンダ39の伸縮によってY軸方向移動フレーム30が車両の左右方向に移動する。
【0019】
Y軸方向移動フレーム30に起震フレーム40を支持する手段として、Y軸方向移動フレーム30には4つのリニアレール34が固定される一方、起震フレーム40には各リニアレール34に摺動可能に嵌合するリニアガイドブロック44が固定される。各リニアレール34は垂直方向に延び、各リニアガイドブロック44を介して起震フレーム40を垂直方向に平行移動可能に支持している。
【0020】
Y軸方向移動フレーム30と起震フレーム40の間に4つのリンク機構50が伸縮可能に介装され、各リンク機構50の伸縮動作を互いに連動させる連動フレーム60が設けられる。Y軸方向移動フレーム30と連動フレーム60の間にZ軸方向移動用油圧シリンダ49が介装され、Z軸方向移動用油圧シリンダ49の伸縮によって連動フレーム60が車両の前後方向に駆動されるのに伴い、各リンク機構50が同期して伸縮作動し、起震フレーム40を垂直方向に平行移動させる。
【0021】
Y軸方向移動フレーム30には連動フレーム60を着座させる4つのストッパー33が設けられる。各ストッパー33はY軸方向移動フレーム30から上方に突出し、連動フレーム60の下面を当接させることにより、各リンク機構50を介して起震フレーム40がそれ以上に下降するのを係止する。
【0022】
そして本発明の要旨とするところであるが、起震装置1は起震室3を支持するは起震床フレーム65と、起震フレーム40に対して起震床フレーム65をX軸方向(水平方向)に移動可能に支持する免震支持機構70と、起震フレーム40に対して起震床フレーム65を起震機構2の動きを相殺するように駆動する免震駆動手段としての油圧シリンダ80とを備え、この油圧シリンダ80の作動を切り換えることにより被験者が免震支持機構70の作動時の揺れと非作動時の揺れの両方を体験できる構成とする。
【0023】
図3の平面図上において、起震フレーム40は矩形の枠状に形成される一方、起震床フレーム65は起震フレーム40を囲む矩形の枠状に形成される。起震室3は起震床フレーム65上に設けられ、起震室3の起震床66は起震床フレーム65に固定される一方、起震フレーム40に干渉しないように離して設けられる。
【0024】
図1、図2に示すように、起震床フレーム65はその内側に起震フレーム40が収まる形状とし、起震フレーム40と同一高さに配置される。
【0025】
免震支持機構70は起震床フレーム65の4隅に固定されてX軸方向に延びるリニアレール71と、起震フレーム40の4隅に固定されこのリニアレール71に係合するリニアガイドブロック72とを備え、起震床フレーム65を車両の前後方向に平行移動可能に支持している。
【0026】
油圧シリンダ80はそのシリンダ基端部が起震床フレーム65に連結され、そのロッド先端部が起震フレーム40に連結される。油圧シリンダ80はX軸方向移動用油圧シリンダ29と同じくX軸方向に伸縮作動するように配置される。
【0027】
油圧シリンダ80の作動を制御する制御手段として図示しないコントローラ及びサーボ機構が設けられる。このコントローラは非作動モードにて油圧シリンダ80の動きを拘束する一方、作動モードにて起震機構2の動きを相殺するように油圧シリンダ80の作動を制御し、被験者が免震支持機構70の非作動時の揺れと作動時の揺れの両方を体験できる構成とする。コントローラは作動モードにて起震機構2のX軸方向移動用油圧シリンダ29の動きと油圧シリンダ80の動きが略逆位相になるように制御する。
【0028】
以上のように構成されて、次に作用について説明する。
【0029】
コントローラは、予め設定されたマップに基づいて駆動信号を出力し、サーボ機構を介してX軸方向移動用油圧シリンダ29とY軸方向移動用油圧シリンダ39およびZ軸方向移動用油圧シリンダ49の伸縮作動を制御する。
【0030】
コントローラは非作動モードにて油圧シリンダ80の動きを拘束する。このとき、起震フレーム40が前後、左右、上下の3軸方向に揺り動かされるのに対して、免震支持機構70の作動が油圧シリンダ80によって係止され、起震床フレーム65に全方向の揺れが伝わる。これにより、起震室3は起震機構2によって前後、左右、上下の3軸方向に揺り動かされ、起震室3に被験者が乗って防災行動の訓練を行える。
【0031】
コントローラは作動モードにて起震機構2の動きを相殺するように油圧シリンダ80の伸縮作動を制御する。このとき、起震フレーム40が前後、左右、上下の3軸方向に揺り動かされるのに対して、油圧シリンダ80が伸縮作動して前後方向の揺れが起震床フレーム65に伝わることを抑えるため、被験者は起震室3の揺れが前後方向について抑えられることを体験できる。
【0032】
起震床フレーム65と起震フレーム40とが同一高さに配置される構造のため、これらが互いに積み重ねられる構造に比べて、起震機構2の高さを低くできる。すなわち、起震機構2の高さは、起震床フレーム65によってほとんど大きくならないで済む。こうして起震機構2の高さが抑えられることにより、起震室3の床を低くして乗降性を高めるとともに、車両の限られたスペースにおいて起震室3の天井高さを十分に確保できる。
【0033】
なお、免震支持機構70は起震フレーム40のX軸方向の揺れだけでなく、起震フレーム40のY軸方向やZ軸方向の揺れも起震床フレーム65に伝えない構成としても良い。
【0034】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す起震装置の側面図。
【図2】同じく正面図。
【図3】同じく平面図。
【図4】従来例を示す起震装置の側面図。
【符号の説明】
1 起震装置
2 起震機構
3 起震室
6 シャシーフレーム(車体)
40 起震フレーム
65 起震床フレーム
66 起震床
70 免震支持機構
80 油圧シリンダ(免震駆動手段)
Claims (1)
- 被験者を乗せる起震床と、この起震床を揺り動かす起震機構を備える起震装置において、前記起震床を支持する起震床フレームと、前記起震機構によって揺り動かされる起震フレームと、この起震フレームに対して起震床フレームを移動可能に支持する免震支持機構と、起震フレームに対して起震床フレームを起震機構の動きを相殺するように駆動する免震駆動手段とを備え、免震駆動手段の作動を切り換えることにより被験者が免震支持機構の作動時の揺れと非作動時の揺れの両方を体験できる構成とし、前記起震床フレームはその内側に前記起震フレームを収める形状とし、かつ前記起震フレームと同一高さに配置したことを特徴とする起震装置。
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