JP4139161B2 - 油塗布装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は油塗布装置に係り、特にパン焼成用として好適な食用油を食材を載置するための天板上に塗布したり、或いは潤滑油を金属板に塗布する等のための油塗布装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、パンを生産する過程において、オーブンで天板上のパン生地を焼成する前に、天板上に食用油を塗布する必要がある。このため、従来は、例えば、1個の大型のスプレーガンを、天板の流れ方向に対し、30cm程度上方に設けて上記スプレーガンにより天板全体に食用油を噴射させて塗布していた。
また、従来のプレス加工機においては被加工金属板表面に、スポンジローラ、刷毛、スプレーにて全面的に潤滑油を塗布していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに従来の食用油塗布装置によると、上述したように、天板から、かなり離れた上方から食用油を噴射する構成であるので、食用油の使用量が莫大なものとなっていて、無駄に浪費される量もばかにならなかった。
また、天板の汚れがひどいので、その掃除が大変で、大量の洗剤を必要としていた。
或いは従来のプレス加工機では、全面的な塗布のために潤滑油の使用量が大きく、また塗布むらを生じ易く、加工精度を低下させ歩止まりを悪くする原因となっていた。
更に空気中にミストとなって散布されてしまう油の量も大きく、空気を汚染させる問題もあった。
その上、油噴射ノズルの被塗布材対向面に生成される油だまりの落下による被塗布面の汚れを生じる問題もあった。
本発明の目的は、かかる従来装置の欠点を改良した新規かつ独自の油塗布装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の油塗布装置は、加圧された油を噴射する油噴射口及び上記油噴射口の外周に加圧された空気を噴射する空気噴射孔を備えたノズルを複数個配列した油噴射手段と、被塗布材を上記油噴射手段の下方を通過するように搬送させる搬送手段と、上記被塗布材が前記ノズル直下に来た時、該被塗布材上の所望パターンの位置に油が噴射されるように各ノズルをコントロールする制御手段と、を備えた油塗布装置において、上記空気噴射孔の外周に同心円状になだらかな凹みを設けたことを要旨とする。
本発明の油塗布装置において、前記空気を加圧する圧力が前記油を加圧する圧力のほぼ3.5倍以下であるようにしてもよい。
【0005】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を食用油塗布装置に適用した一実施例を示す。同図において、1はコントローラー、2はベルトコンベアー、3は天板、4は近接センサー、5は多数のスプレーガンから成る食用油噴射装置、6は加圧オイルタンク、7及び8はエアーレギュレーター、9はエアーコンプレッサーである。
【0006】
図2及び図3は食用油噴射装置5の一構成例を示す。図2において、5aはオイル口、5bは圧縮空気口、5cはアクチュエーター、5dはニードル弁、5eはオイル噴射口、5fは空気噴出孔、5hは空気溜タンク、5iはスピードコントローラーで、5e及び5fから成るスプレーガンノズル5gは図3に示す如く、例えば、650mmの長さに200個一列に配列されており、各ノズル5gは空気溜タンク5hと空気流量を一定にするためのスピードコントローラー5iを介して連結されている。オイル口5aにはオイルタンク6より食用油が供給され、アクチュエーター5cによって駆動されるニードル弁5dの開閉度に応じてオイル噴射口5eに送られ、圧縮空気口5bからの圧縮空気が空気噴出孔5fから噴出されることにより、食用油が下方を通過する天板3に向かって噴射される。オイルタンク6はエアーレギュレーター8を介してエアーコンプレッサー9によって圧縮空気が供給されて加圧されており、また空気溜タンク5hはエアーレギュレーター7を介してエアーコンプレッサー9から圧縮空気が供給されている。
【0007】
天板3にパン生地を載置して焼成する前に、図4に示すように天板3のパン生地が油塗布後に載置される所望パターンの位置3aに食用油を塗布するため、天板3がベルトコンベアー2によって食用油噴射装置5の直下に来ると、近接センサー4がこれを検出し、その検出信号に応答してコントローラー1が駆動信号を食用油噴射装置5のアクチュエーター5cに送って食用油を噴射させ天板上の前記パターンの位置3aに塗布する。
【0008】
図5はコントローラー1の一構成例を示しており、1aはタイミング信号発生器、1bはパーソナルコンピュータ(パソコン)、1cはプログラマブルタイマー、1dはノイズドライバー、1eはCPU、1fはパラレルI/Oポート、1gはメモリーである。
【0009】
近接センサー4からの検出信号に応答してタイミング信号発生器1aはタイミング信号を出力してプログラマブルタイマー1c、CPU1e、パラレルI/Oポート1f及びメモリー1gに送る。パソコン1bは上記タイミング信号に応答して前記天板3上の各パン生地の油塗布後の載置位置3aの大きさ及び配置状態に応じた指令信号をパラレルI/Oポート1fを介してプログラマブルタイマー1cに送る。プログラマブルタイマー1cの各出力によりノイズドライバー1dは各スプレーガンノズルのアクチュエーター5cを作動させて各ノズルのニードル弁5dを駆動して食用油を噴射させて、所望パターンの上記位置3aのみに食用油を塗布する。
【0010】
天板3とノズルとの間隔は3cm以下と従来より大幅に短縮されており、またノズル数は前記のように200個と大幅に増加して設けたので、天板3上の各パン生地の油塗布後の載置位置3aの大きさ及び配置状態に応じてノズルの開閉を制御することにより上記位置3aのみにしかも所望パターンとなるように食用油を噴射塗布することができる。この場合、図4に示すように、コントローラー1により各ノズル5gの開閉時間を適宜調整してパン生地の各載置位置3aの食用油の塗布量を、変化(濃くしたり、薄くしたり)させるようにすることもできる。
なお、上記塗布量を変化させる必要のない場合は、コントローラー1を図7のように構成するだけでよい。同図で、1hはシフトレジスタである。
【0011】
また、装置のメンテナンスとして、ノズルの底部の被塗布材対向面に生成される油だまりを解決する必要がある。即ち、図6に示すように、ノズル噴射孔5eより噴射された油が被塗布材にぶつかってはね返され、その油がノズルの対向面Aに付着し、これが集まって大きな油だまりBに成長する。そして、これが被塗布材の所望の塗布パターン外の位置に落下して汚れとなり塗布パターンの形成を阻害する。
【0012】
そこで本発明では、図9に示すように、ノズルの空気噴射孔5fの外周に同心円状になだらかな凹み5jを設けることにより、上記大きな油だまりの生成を防止し得ることを究明し得た。上記凹み5jを設けることにより、ノズルの被塗布材対向面Aに前記のように油が付着しても、極く微小の状態でこの油C又は油膜が凹み5jを介して空気噴射孔5fに吸い寄せられてA面上を移動し、最後に空気と一緒に排出されるが、排出される油は極く微小なので実用上問題ない。即ち、A面に油が付着しても、大きく成長する前の極く微小な状態のまま凹み5jの作用により空気噴射孔5fに吸い寄せられてしまうので、被塗布材に落下しても油の塗布パターンを阻害することがない。
【0013】
上述の効果は非常に長く維持され、メンテナンスの上で大変有利である。
更に、空気中にミストとなって散布される油の量を最小にするべく、本発明では、油の加圧力と空気の加圧力との関係を実験的に検討し、下記の結論を得た。即ち、空気を加圧する圧力を、油を加圧する圧力のほぼ3.5倍以下に設定すると、空気中にミストとなって散布される油の量を最小にできることを実験により確認した。
【0014】
図8は本発明を、プレス加工機で加工される金属板に対する潤滑油塗布装置に適用した一実施例を示す。
同図において、20はプレス加工機、21はプレス加工機20によって加工される金属板、22は潤滑油噴射装置であり、他に図1に示したのと同様の各装置は図示を省略した。金属板21には、プレス加工機20による加工パターンに対応した位置に潤滑油を、潤滑油噴射装置22によって塗布し、潤滑油塗布面23の金属板部分がプレス加工機20においてプレス加工される。この場合、潤滑油は金属板21の全面ではなく、加工パターン位置に塗布されるだけであり、潤滑油の消費量は1/10程度に減少する。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、所望パターンの塗布位置にのみ、油を塗布することができる。従って、例えば、本発明を食用油の塗布装置に適用した場合、食材の天板上の所望パターンの各塗布位置にのみ食用油を塗布できるので、食用油の使用量を従来の1/3以下に激減させることができ、また空中への油の散布が減少するので、空気の汚染が減少する。
更に天板の汚れが減少するので、その掃除が簡単になり、洗剤の量も従来の1/10以下に減少する。
なお、本発明の装置は、パンの焼成以外でも、ケーキ、たこ焼き等の事前に天板に食用油を塗布する必要のある場合にも利用できる。
また、前記各位置での食用油の塗布量を任意に調整することもできる。
更に、本発明を、機械加工用潤滑油塗布装置に適用した場合、潤滑油の消費量が1/10程度にまで減少させることができ、しかも塗布むらが少なく、加工精度及び歩止まりが大幅に向上する。
特に本発明によれば、油噴射ノズル底部の被塗布材対向面に油だまりが生成されることを防止でき、メンテナンス上大変有利である。また空気中にミストとなって散布される油の量を最小にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】上記実施例における食用油噴射装置の一構成例を示す概略図である。
【図3】上記装置の底面部におけるノズル群を示す概略図である。
【図4】天板上のパン生地の載置位置を示す図である。
【図5】前記実施例におけるコントローラーの一構成例を示すブロック図である。
【図6】ノズル底面に生成される油だまりの説明図である。
【図7】上記コントローラーの他の構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の他の実施例の要部を示す概略図である。
【図9】本発明において、ノズル底面の油だまりの生成を防止する方法の説明図である。
【符号の説明】
1 コントローラー
2 ベルトコンベアー
3 天板
4 近接センサー
5 食用油噴射装置
6 加圧オイルタンク
5j なだらかな凹み
B 油だまり
C 微小な油

Claims (2)

  1. 加圧された油を噴射する油噴射口及び上記油噴射口の外周に加圧された空気を噴射する空気噴射孔を備えたノズルを複数個配列した油噴射手段と、
    被塗布材を上記油噴射手段の下方を通過するように搬送させる搬送手段と、
    上記被塗布材が前記ノズル直下に来た時、該被塗布材上の所望パターンの位置に油が噴射されるように各ノズルをコントロールする制御手段と、
    を備えた油塗布装置において、
    上記空気噴射孔の外周に同心円状になだらかな凹みを設けたことを特徴とする油塗布装置。
  2. 前記空気を加圧する圧力が前記油を加圧する圧力のほぼ3.5倍以下であることを特徴とする請求項1記載の油塗布装置。
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