JP4139091B2 - タッチパネルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶や有機EL等のディスプレイ素子の上に配置されて、表示素子の表示内容に対応して指やペンを用いた押圧操作で情報を入力する抵抗膜方式のタッチパネルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のタッチパネルを図4を参照して説明する。図4(A)は上面図を示し、図4(B)は断面図を示している。
【0003】
このタッチパネルは固定基板1と、可動基板2と、固定基板1の一主面に形成された第1抵抗膜3と、可動基板2の一主面に形成された第2の抵抗膜4と、固定基板1の周辺に延在された配線パターン5と、固定基板1と可動基板2と周端で貼り合わせる接着剤6とで構成される。
【0004】
固定基板1としては1.1mmの透明なガラス基板を用い、周端を除く全面に酸化インジューム等を蒸着して形成されたITO膜からなる第1抵抗膜3が形成される。
【0005】
可動基板2としてはスイッチとしての弾力を得るために可撓性を有する透明なガラスやフィルムを用い、周端を除く全面に第1抵抗膜3と同様の第2抵抗膜4が形成されている。なお、第2抵抗膜4の上辺および下辺に沿ってY方向の抵抗値を検出するための配線電極7が設けられている。
【0006】
配線パターン5は固定基板1の周辺に延在され、第1抵抗膜3の左辺および右辺に設けた配線電極8と一体に形成され、固定基板1の端部まで引き回されて外部のフレキシブルフィルム基板等と接続される。また可動基板2に設けた配線電極7は配線パターン5の対応する個所で導電接着剤からなる接続電極9で電気的に接続されている。
【0007】
固定基板1と可動基板2とは配線パターン5より外側の周端で接着剤6により貼り合わせられ、対向する第1抵抗膜3と第2抵抗膜4とが30μm程度の間隔を保つ。
【0008】
可動基板2の表面には偏向フィルム10が貼り付けられている。
【0009】
かかる構成において、可動基板2の上面を指またはペンで押圧操作すると、可動基板2が撓んで第2抵抗膜4と第1抵抗膜3とが接触し、第1抵抗膜3の抵抗値は配線電極8から配線パターン5を介して外部で検出され、第2抵抗膜4の抵抗値は配線電極7から接続電極9および配線パターン5を介して外部で検出される。押圧操作を止めると可動基板2はその弾性により元の状態に戻り、第1抵抗膜3と第2抵抗膜4とが離れてオフ状態になる。
【0010】
かかる従来のタッチパネルの製造方法について説明する。
【0011】
まず固定基板1および可動基板2に全面に酸化インジューム等を蒸着してITO膜を形成する。通常は固定基板1および可動基板2は大判のガラスあるいはフィルムを用い、タッチパネルを完成後に割って個別のタッチパネルに分離される。
【0012】
続いて固定基板1および可動基板2はITO膜全面をホトレジスト層で覆い、配線パターン5および接着剤6を設ける周辺のITO膜のエッチング除去を行う。
【0013】
更に配線電極7および8、配線パターン5を形成する導電ペーストをスクリーン印刷し、接着剤6の塗布をしてから、固定基板1および可動基板2の貼り合わせをする。その後、加圧加熱して導電ペーストおよび接着剤6の焼成および乾燥を行う。従って本工程では加圧により可動基板2が薄いので内側に窪み、可動基板2と固定基板1との間隔がパネルの中央部分で一番小さくなる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のタッチパネルの製造方法では固定基板1が厚く、可動基板2は可撓性を持たせるために薄く形成されるので、可動基板2の変形が起こり、タッチパネルのスイッチストロークが不均一となる問題点があった。
【0015】
また、これを防止するために固定基板1に一定の間隔で設けたドットスペーサーで固定基板1と可動基板2の間隔を均一にする提案が為されている(特開平10−144177号公報)。しかしドットスペーサーで両基板の間隔を維持すると両基板の貼り合わせ工程での加圧により、薄いガラス板で形成された可動基板2は割れてしまう恐れもあった。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述した従来の問題点に鑑みてなされ、透明導電膜が片面に形成された厚い固定基板と薄い可動基板とを準備する工程と、前記固定基板および前記可動基板の前記透明導電膜を所望のパターンにエッチングして抵抗膜を形成する工程と、前記固定基板および前記可動基板を前記抵抗膜が対向するように前記固定基板と前記可動基板の周端を一個所に開口部を設けて接着剤で貼り合わせる工程と、前記開口部から不活性ガスを注入して前記可動基板を外側に膨らませてから複数個所を所定の値で押圧して前記抵抗膜が接触するように調整し、前記開口部を樹脂で閉じる工程とを具備することを特徴とする。
【0017】
これにより薄い可動基板が製造工程中に変形しても最後の工程で開口部から不活性ガスを注入して可動基板を外側に膨らませてから複数個所を所定の値で押圧して抵抗膜が接触するように調整し、開口部を樹脂で閉じるので可動基板の変形があっても均一なスイッチストロークを有するタッチパネルが製造できる利点がある。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1から図3を参照して説明する。
【0019】
図1は本発明のタッチパネルの各製造工程を説明する工程フローを示している。また図2および図3は図1の各工程毎の固定基板および可動基板の断面図を示している。図2において左側は固定基板1の製造工程を示し、右側は可動基板2の製造工程を示している。図2に示す(A)から(F)までの工程は図1に付したAからFの工程と対応させている。また図3に示す(G)から(I)までの工程は図1に付したGからIの工程と対応させている。なお従来のタッチパネルと同一構成要素には同一符号を付してある。
【0020】
本発明のタッチパネルの製造方法は、図1に示す如く固定基板1および可動基板2を準備する工程と、ホトレジスト層をロールコーターで塗布する工程と、ホトレジスト層を露光現像する工程と、ホトレジスト層をマスクとしてエッチングする工程と、固定基板1および可動基板2を洗浄する工程と、固定基板1および可動基板2に導電ペーストを印刷する工程と、固定基板1の周端に接着剤を塗布する工程と、固定基板1および可動基板2を貼り合わせる工程と、加圧加熱焼成する工程と、両基板1、2から個別のタッチパネルに分割する工程と、接着剤の1個所に設けた開口部から気体を注入する工程と、タッチパネルの複数個所を押圧してスイッチストロークを均一化する工程と、開口部を閉口する工程から構成されている。
【0021】
第1に、図2(A)に示す如く、固定基板1および可動基板2を準備する工程では、固定基板1および可動基板2に全面に酸化インジューム等を蒸着してITO膜21を形成する。通常は固定基板1および可動基板2は大判のガラスを用い、タッチパネルを完成後に割って個別のタッチパネルに分離される。
【0022】
固定基板1としては1.1mmの透明なガラス基板を用い、可動基板2としては0.3mm以下の透明なガラス基板を用いる。特に、可動基板2はタッチパネルの可撓性を考慮すると0.2mmの厚みが好ましい。従って、可動基板2は固定基板1の1/5以下の厚みしかなく欠けや割れを防ぐために極めて製造工程での取り扱いが難しい。
【0023】
第2に、図2(B)に示す如く、ホトレジスト層22をロールコーターで塗布する工程では、固定基板1および可動基板2のITO膜21全面にホトレジスト層22を均一な厚みに塗布する。
【0024】
本工程は厚みの異なる固定基板1と可動基板2とを共通のロールコーターに流すために、可動基板2にはガラスの補助基板23を密着させて固定基板1との厚みをほぼ同等にしている。補助基板23としては固定基板1を用いることで特別な補助基板23を準備しなくても良い。すなわち、固定基板1の厚みが1.1mmであるのに対して可動基板2と補助基板23との厚みは1.3mmであり、厚み差を0.2mmまでに抑えることができる。なお可動基板2と補助基板23とはロールコーターに通す前に重ねている。
【0025】
第3に、図2(C)に示す如く、ホトレジスト層22を露光現像する工程では、ホトレジスト層22に予定の第1抵抗膜3および第2抵抗膜4の上にホトレジスト層22が残るように露光し、現像をする。
【0026】
本工程での露光後に、可動基板2に密着された補助基板23は剥離される。この剥離は可動基板2と補助基板23の間にN 2 ガス等の気体を注入することで簡単に引き離すことができる。
【0027】
第4に、図2(D)に示す如く、ホトレジスト層22をマスクとしてエッチングをする工程では、残存したホトレジスト層22をマスクとしてITO膜21を塩酸および塩化第2鉄の溶液でエッチングして、固定基板1の一主面には第1抵抗膜3が、可動基板2の一主面には第2抵抗膜4が形成される。
【0028】
第5に、固定基板1および可動基板2を洗浄する工程では、まず残存するホトレジスト層22を水酸化ナトリウム等の溶液で除去し、両基板1、2の洗浄を行い、エッチング工程での薬品や汚れを除去する。
【0029】
なお本工程では、上述した補助基板23の洗浄も合わせて行い、洗浄された補助基板23は再びロールコーターでの可動基板2への密着に利用される。
【0030】
第6に、図2(E)に示す如く、固定基板1および可動基板2に導電ペーストを印刷する工程では、まず固定基板1には配線パターン5および第1抵抗膜3の左辺および右辺に設けた配線電極8とが一体に導電ペーストのスクリーン印刷で形成される。また可動基板2の第2抵抗膜4の上辺および下辺に沿ってY方向の抵抗値を検出するための配線電極7も導電ペーストのスクリーン印刷で形成される。
【0031】
また固定基板1の配線パターン5で可動基板2に設けた配線電極7と対応する配線パターン5の複数個所には導電接着剤24を付着し、配線電極7と配線パターン5を接続する接続電極9の形成を準備しておく。
【0032】
更に固定基板1の抵抗膜3の表面には図示しないが一定の間隔で絶縁性樹脂を点在させた約7μmの高さのドットスペーサーを設け、固定基板1と可動基板2との貼り合わせ後に両者が密着することを防止する。なお固定基板1と可動基板2の設計上の間隔は30μmとなっている。
【0033】
第7に、同様に図2(E)に示す如く、固定基板1の周端に接着剤6を塗布する工程では、固定基板1の配線パターン5を設けた外側にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を塗布する。
【0034】
第8に、図2(F)に示す如く、固定基板1および可動基板2を貼り合わせる工程では、両基板1、2の位置合わせをしてから貼り合わせる。本工程では導電ペーストおよび接着剤6は硬化前であるので仮接着できる。なお、接着剤6には一個所に開口部を設け、全周を囲んでいる。
【0035】
第9に、加圧加熱焼成する工程では、前工程で貼り合わせられた固定基板1と可動基板2を加圧、加熱して、導電ペーストおよび熱硬化性樹脂の加熱焼成を行う。本工程で導電ペーストは配線パターン5、配線電極7、8、接続電極9および硬化した接着剤6が完成する。この際に可動基板2は加圧により内側に窪み、ドットスペーサーで固定基板1と可動基板2との密着を辛うじて防止している。
【0036】
第10に、両基板1、2から個別のタッチパネルに分割する工程では、固定基板1にダイアモンドカッターで縦横に傷を入れて両基板1、2を割って個別のタッチパネルに分離する。
【0037】
第11に、図3(G)に示す如く、接着剤の1個所に設けた開口部から気体を注入する工程では、開口部から気体である窒素ガスN 2 を注入して可動基板2を外側に膨らませている。本工程は本発明の特徴とするもので、前述した加圧加熱焼成工程で可動基板2が加圧により固定基板1のドットスペーサーに当接するまで窪んだ可動基板2を窒素ガスN 2 の圧力で大きく外側に膨らませている。注入された窒素ガスN 2 は小さい開口部から徐々に抜けるが、一気には抜けないので開口部を閉口するまでは元の状態まで戻ることはない。
【0038】
第12に、図3(H)に示す如く、本発明の特徴であるタッチパネルの複数個所を押圧してスイッチストロークを均一化する工程では、テンションゲージを用いて約10〜100グラム重の一定の圧力でタッチパネルの複数個所を押圧して両抵抗膜3、4が接触するスイッチストロークを均一化する。両抵抗膜3、4の接触は配線パターン5に接続した直流電源に接続されたランプや発光ダイオードを点灯させることで容易に検出できる。この作業を数回繰り返すことで可動基板2はすべての領域でのスイッチストロークが均一になるように注入された窒素ガスN 2 を開口部から外部に押し出す。なお押圧する個所は図3(I)に×印で示すように、中央と4角である。
【0039】
第13に、図3(I)に示す如く、開口部を閉口する工程では開口部にUV硬化性樹脂を塗布し、UV照射して硬化させて閉口する。従ってタッチパネル内には適量の窒素ガスN 2 が残存し、両抵抗膜3、4を酸化から防止し、耐湿性を維持して良好なタッチパネルを提供する。
【0040】
【発明の効果】
本発明に依れば、可撓性に富む薄いガラス基板を可動基板として用い、その製造工程で可撓性のために大きく内側に窪んでも、気体を注入して可動基板を大きく外側に膨らませることで平坦な状態以上に復元でき、一定の圧力で複数個所を押圧してスイッチストロークを均一化できる利点を有する。
【0041】
また本発明では、気体として窒素ガスN 2 を用いることでタッチパネルの両抵抗膜の酸化を防止し、耐湿性も維持できるので、タッチパネルの信頼性を大幅に向上できる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタッチパネルの製造工程を説明する図である。
【図2】本発明のタッチパネルの製造工程を説明する図である。
【図3】本発明のタッチパネルの製造工程を説明する図である。
【図4】従来のタッチパネルを説明する図である。
【符号の説明】
1 固定基板
2 可動基板
3 第1抵抗膜
4 第2抵抗膜
5 配線パターン
6 接着剤
7、8 配線電極
9 接続電極
10 偏向フィルム
21 ITO膜
22 ホトレジスト層
23 補助基板
Claims (5)
- 透明導電膜が片面に形成された厚い固定基板と薄い可動基板とを準備する工程と、
前記固定基板および前記可動基板の前記透明導電膜を所望のパターンにエッチングして抵抗膜を形成する工程と、
前記固定基板および前記可動基板を前記抵抗膜が対向するように前記固定基板と前記可動基板の周端を一個所に開口部を設けて接着剤で貼り合わせる工程と、
前記開口部から不活性ガスを注入して前記可動基板を外側に膨らませ、開口部を開けた状態で所定の値の一定の圧力で前記可動基板の複数個所を押圧して前記抵抗膜が接触するスイッチストロークが均一になるように調整し、前記開口部を樹脂で閉じる工程とを具備することを特徴とするタッチパネルの製造方法。 - 前記固定基板および前記可動基板はガラスを用いることを特徴とする請求項1記載のタッチパネルの製造方法。
- 前記固定基板のガラス厚は1.0mm以上とし、前記可動基板のガラス厚は0.3mm以下とすることを特徴とする請求項2記載のタッチパネルの製造方法。
- 前記不活性ガスとしてN2ガスを用いることを特徴とする請求項1記載のタッチパネルの製造方法。
- 複数個所を所定の値で押圧して前記抵抗膜が接触を検知するのに配線パターンに接続された発光素子の点灯を用いることを特徴とする請求項1記載のタッチパネルの製造方法。
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WO2012046621A1 (ja) * | 2010-10-08 | 2012-04-12 | シャープ株式会社 | タッチパネル用母基板及び該タッチパネル用母基板から切り出されたタッチパネル |
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