JP4139002B2 - 液体流通路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、上方流通路と下方流通路により段差を有する流通路の上方流通路に用いられ、上方流通路から下方流通路への液体の流入を効率良く行うための液体流通路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
汚水や雨水等を処理あるいは処分し、河川や海域等への水質汚濁を防ぐ等の目的のために整備されている下水道は、通常、地中に下水用の流通路である配管を接合してなっている。このような配管には、無筋コンクリート管、鉄筋コンクリート管、塩化ビニル管等のものがある。このように配管を接合してなる下水道には、その配管の方向および勾配、配管の管径の変化する個所、配管が段差を生ずる個所、または、配管の合流する個所等にマンホール10が設けられている。
【0003】
このマンホール10は、作業者が配管内を点検、清掃等を行う際に使用される他、配管内の換気の役目も果たすものである。
このようなマンホール10について、例えば図1(b)に示すように、下水の合流地点に設けられたものの場合を以下に説明する。マンホール10は下方に位置する流通路である配管(以下「下方配管11」とする)と上方に位置する流通路である配管(以下「上方配管12」とする)を有している。この上方配管12の流出口13から流出した下水が下方配管11に流入することで2つの流通路が合流する。ここで、下方配管11内の下水の流れは下水を処理するための処理場に通ずる比較的大きな流れ(以下「本流」とする)であり、また、上方配管12内の下水の流れは付近の家屋等からの排水等を本流に導くための流れ(以下「支流」とする)である。
【0004】
一方、製鉄所等で行われている連続鋳造においては、通常、鋳造された鋼はサポートガイドロールにより支持されながら冷却水によって所定の温度まで冷却された後、ガスにより切断されている。この時に、切断による鋼の屑である切断屑Sが生じ、これらの切断屑Sは鋼を冷却している冷却水に混入してしまう。この冷却水は鋳造された鋼の冷却に使用された後、回収され循環されることにより再び冷却水として利用される場合、あるいは、回収され排水される場合等があるが、いずれの場合においても混入した切断屑Sの除去が必要である。
【0005】
このような除去方法としては、図2(b)に示すように、切断屑Sの混入している冷却水を一旦水槽等に貯留し冷却水中の切断屑Sを沈殿し除去する方法が良く知られている。この方法は、先ず、冷却水を循環させるための流通路である冷却水管20が、切断屑Sを沈殿するための水槽(以下「沈殿水槽21」とする)の上方に位置し、この冷却水管20の端部の流出口22から流出した冷却水が沈殿水槽21内に流下する。この流下した冷却水に混入している切断屑Sは比重が大きいため沈殿水槽21の底部に沈殿する。したがって、沈殿水槽21内の上澄みは切断屑Sが沈殿除去された水であり、循環され再び冷却水として利用される等している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記下水道での段差を生じる個所や合流地点等であるマンホール10内において、下水が上方配管12から下方配管11に流下する際に、マンホール10の壁面14に衝突し飛散してしまう場合がよく見られる。これは、上方配管12の流出口13から流出する下水の流速が速いため、流出した下水がすぐに下方に流下せず、流下するときの流れの軌跡b1は、遠方に大きな弧を描いている(図1(b)参照)。すなわち、上方配管12から流出した下水が下方配管11へ到達する地点(以下「到達地点」とする)はマンホール10の幅より遠いが、マンホール10は限られた面積であるために下水が下方配管11に達する前に壁面14に衝突してしまうものである。また、このように下水が流速の速いまま流下することは渦流や乱流を起す原因にもなる。このような下水のマンホールの壁面14への付着、渦流および乱流等は、マンホールの壁面14の破損や悪臭の原因等になる。
【0007】
また、製鉄所等で行われている連続鋳造において使用される冷却水中の前記切断屑Sの除去方法についても、冷却水が上方に位置した冷却水管20の流出口22から流出されているために混入した切断屑S等の不純物がなかなか沈殿する事ができない。これは、冷却水管20の流出口から流出されている冷却水の勢いが強く、冷却水が沈殿水槽21内に流下した時に沈殿水槽21内を攪拌してしまうためである。このため、この切断屑Sの除去方法は沈殿効率の悪いものである(図2(b)参照)。
【0008】
さらに、このような段差を有する液体流通路において、流通路を流れる流水が上方流通路から下方流通路に流出する際の到達地点は、その流通路間の高低差によっても影響される。すなわち、上方流通路から流出する流水の勢いが同じであっても、下方流通路との高低差が小さい場合には、流下する流水の到達地点は上方流通路の流出口に近くなる。一方、上下流通路間の高低差が大きい場合には、その到達地点は上方流通路の流出口から遠くなる。これは、前記マンホール等に限らず、段差を有する流通路、例えば、上方流通路から下方流通路の水面へ液体を放水する放水路等においても同様であり、下方流通路の水面の変動に伴って、流下した流水の到達地点も変動してしまう。このように下方流通路が変動する、すなわち、上下流通路間の高低差が変動してしまう放水路等において、放水された流水の到達地点は一定にならない。
【0009】
そこで、本発明は、液体が上方流通路から下方流通路に流下する時の液体の勢いを弱め流下する液体の到達地点を短くする、さらに、水面高さが変動する下方流通路に対しては液体の到達地点を自由に調節することを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するために、本発明は、上方に位置する上方流通路と下方に位置する下方流通路の段差を有する流通路の、前記上方流通路に用いられる液体流通路であって、液体を前記下方流通路に向けて流下する流出口が、下方に側面視弧状の突出部を有し、前記突出部が、曲率を変化することができる板状部を有する可動性突出部であることを特徴とする液体流通路を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る液体流通路の参考例及び実施の一形態として、下水の支流と本流が合流する地点に使用した例を説明する。
なお、本発明に係る液体流通路においては、本実施の形態に説明されるものに限定されるものではない。
本発明の参考例に係る液体流通路は、上方流通路と下方流通路の段差を有する液体用通路の上方流通路に用いられる液体流通路であって、液体を前記下方流通路に向けて流下する流出口4が、下方に側面視弧状の突出部3を有する構成である。
【0013】
本発明の参考例では、液体流通路である配管1は鉄筋コンクリート製で断面が長方形である管を本体とし、本体の端部である流出口4の一辺には、管の外側に向かって、側面視で半円弧を描く突出部3を突設している。
ここで、「流出口4」の一辺とは配管1の断面で底辺であり、すなわち、液体が流出口4から下方流通路に流下する際に通過する辺である。
【0014】
このような配管1は、図1(a)に示すように、支流と本流の合流地点であるマンホール10において、支流の流れる上方流通路としてマンホール10の連結部に設置される。また、本流とは下方流通路である下方配管11内の流れである。
ここで、配管1は、マンホール10に連結する流出口4に突出部3が位置するように配置されている。
【0015】
[作用]
付近の家屋等より排出された排水等である下水は下水用の流通路として用いられている配管1に流入する。この配管1の流れは支流であり直接処理場には通じていないため、配管1より下方に位置し処理場に通じている本流に合流して処理場に導かれるものである。
このように上方に位置する支流が下方に位置する本流に合流する際には、支流である配管1の流出口4から下水が流下して本流への流入を行っている。この時、流出口4には側面視半円弧状の突出部3が設けられているため、下水はその粘性により突出部3を通って下方に導かれるように流下し、その流下する際の軌跡a1はマンホールとの連結部で折れ曲がったようになる。このように突出部3を通過して流下した下水は勢いが弱まり、また、突出部3により下方に導かれていることで到達地点T1が短くなるためマンホールの壁面14に衝突することなく下方配管11内に流入することができる。
【0016】
このように本発明の参考例を使用することにより、下水が流下する時の流水の勢いを弱くすることができ、また、到達地点を近くすることができる。このため、マンホール10のように液体の流下する場所が限られた面積である場合にも、本発明の参考例を用いることで、下水がマンホール10に直接飛散することにより壁面14が破損する等の問題の発生を抑制することができる。
【0017】
また、本発明の参考例の別の態様として、図2(a)に示すように製鉄所等の連続鋳造を行う過程で使用する冷却水管として本発明の参考例を適用した冷却水用の配管(以下「循環配管2」とする)を用いることが可能である。この場合には、冷却水中の切断屑Sを沈殿させるための沈殿水槽21の上方に循環配管2を位置し、かつ、循環配管2を通る冷却水を沈殿水槽21内に流下させる際に、冷却水が突出部3を通過するように配置する。
【0018】
このように、本発明の参考例を循環配管2に使用した場合には、冷却水が沈殿水槽21内に流下する際に突出部3を通過する。このため、前記の理由により、循環配管2から沈殿水槽21内に流下する流水は勢いが弱まり、また、流出口の真下付近に流下するため、流下する冷却水によって沈殿水槽21内は攪拌されにくくなる。したがって、冷却水とともに流入した切断屑S等の不純物は効率良く沈殿水槽21の底部に沈殿されることになる。
【0019】
また、本発明は、前記のような、下水用配管のマンホールとの連結場所や沈殿操作を有する場所以外にも、段差を有する流通路で上方の流通路から流下する液体の勢いを弱めたい場合や流下する液体の到達地点を短くしたい場合等に非常に有効に用いることができる。
【0020】
発明では、突出部を可動性にしている。このような可動性の突出部とは突出部を動かし曲率を変化できるものであり、例えば図3に示すように、曲率を変化することが可能な板状の調整板7に、調整板7の形状を調整し支持するための伸縮可能な支持棒8を接合した突出部(以下「可動性突出部6」とする)である。
【0021】
このような可動性突出部6を有した本発明である流通管5を放水路の流通路として用いた場合には、下方流通路の水面が変動する場合においても、流下する流水の到達地点を一定に保つことができる。
これは、下方流通路の水面が通常の水面高さ(以下「通常水面m1」とする)より上昇した水面高さ(以下「上昇水面m2」とする)である場合、可動性突出部6の支持棒8を伸ばすことで調整板7の曲率を小さくすることにより、流下する流水の軌跡k2をより遠くに導くことができることによるものである。すなわち、上昇水面m2である場合には上下流通路間の高低差が小さくなるため、その到達地点は通常水面m1への到達地点T2より近くなってしまう。このため、可動性突出部6の調整板7の曲率を小さくすることにより、その調整板7を通過し流下する流水の軌跡をより遠くに導き通常の到達地点T2と一致させることができる。
一方、下方流通路の水面が通常水面m1より下降した水面高さ(以下「下降水面m3」とする)である場合には、支持棒8を縮ませ調整板7の曲率を大きくすることで流下する流水の軌跡k3をより近くすることができる。したがって、前記と同様に調整板7の曲率を調整することにより下降水面m3への到達地点を通常の到達地点T2と一致させることができる。
【0022】
このように可動性突出部6は支持棒8を伸縮させることにより調整板7の曲率を変化させることができるため、下方流通路が変動して上下流通路間に差が生じる流通路においても流下する流水の到達地点を一定に保つことができる。また、上下流通路間が各々に異なるマンホール等においても、その上下流通路の間隔によって突出部の曲率を適宜適応させることで流下する流体の到達地点を調節することが可能である。
さらに、本発明は液体の流通路の流出口4に突出部を設けた簡易的な構成であるため、製造費用も安価である。
なお、本実施の形態では、調整板7に支持棒8を接合し、その支持棒8を伸縮することにより調整板7の曲率が変化する可動性突出部を用いているが、これに限定されず、本発明では変形性を有する金属類等を可動性突出部として用いることもできる。
【0023】
【発明の効果】
以上に説明した本発明に係る液体流通路によれば、液体の流出口に側面視で弧状の突出部を有している構成であるため次のような効果を奏する。
(1)流出口から流出する液体の勢い弱めることができるため、液体の到達地点を短くすることができる。
(2)さらに、液体の流下した場所が攪拌されにくくなり、沈殿等の操作に対して効果的である。
(3)突出部の曲率を変化させることにより、流体の到達地点を調節することができる。
(4)簡易的な構造であるため、製造費用が安価である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 下水の合流地点であるマンホールの断面図であり、(a)は、本発明の参考例を用いたマンホールの断面図であり、(b)は、従来のマンホールの断面図である。
【図2】 冷却水管の斜視図であり、(a)は、本発明の参考例を用いた冷却水管の斜視図であり、(b)は、従来の冷却水管の斜視図である。
【図3】可動性突出部を有する本発明の実施の一形態を用いた流通管の使用状態の説明図である。
【符号の説明】
1・・・配管
2・・・循環配管
3・・・突出部
4・・・流出口
5・・・流通管
6・・・可動性突出部
7・・・調整板
8・・・支持棒
10・・・マンホール
11・・・下方配管(下方流通路)
12・・・上方配管(上方流通路)
13・・・流出口
14・・・壁面
20・・・冷却水管
21・・・沈殿水槽
22・・・流出口
a1、b1・・・軌跡
k2、k3・・・軌跡
S・・・切断屑
T1、T2・・・到達地点
m1・・・通常水面
m2・・・上昇水面
m3・・・下降水面

Claims (1)

  1. 上方に位置する上方流通路と下方に位置する下方流通路の段差を有する流通路の、前記上方流通路に用いられる液体流通路であって、
    液体を前記下方流通路に向けて流下する流出口が、下方に側面視弧状の突出部を有し、
    前記突出部が、曲率を変化することができる板状部を有する可動性突出部であることを特徴とする液体流通路。
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