JP4138991B2 - 人形玩具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、泣いたり笑ったりする人形玩具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、人形を横にすると眠り、人形を立てると泣いたりする人形は数多く提案され実用に供されている。これらの人形において、リアル感を出す為に、泣いた時に涙を流す人形が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際に涙を流す為には、玩具本体内に水タンクを設け、水タンク内の水を導いて涙を流すように目から水を流す必要があり、リアル感のある反面、人形の衣服が汚れたり、水タンクに水を補給しなければならない等、問題点があった。
【0004】
本発明は上記問題点を解消し、水を流すことなく人形が泣いている状態を演出することができ、濡れた部分の掃除や水の補給など、取扱上の煩雑さを解消することのできるリアル感のある人形玩具を提供することをその課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明に係る人形玩具は、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)中空に形成された頭部の顔部が不透明、且つ、透光性を有すること
(ロ)上記頭部の内部には、左右の目部の下方にそれぞれ複数の発光体が所定間隔を置いて縦に配設されていること
(ハ)胴体部には、玩具本体を立てた状態を検出する第1のセンサと、玩具本体を寝かせた状態を検出する第2のセンサとが配置されていること
(ニ)上記胴体部には、人形の泣き声や笑い声を出力する音出力部と、上記第1のセンサと第2のセンサの検出結果に基づいて上記発光体のシフト点灯制御と、上記音出力部の出力制御とを行う制御部とが設けられていること
【0006】
なお、前記発光体の前面には、該発光体の光を集光して前記顔部の内壁面にスポット光を照射する集光部材を設け、光が拡散しないようにすることが好ましい。
【0007】
また、前記記憶部には、人形の泣き声を少なくとも2種類記憶させ、前記制御部は泣き声を選択して前記音出力部に出力させると共に、選択した泣き声に対応して、前記発光体の発光間隔を変更し、大泣きしている時は涙を沢山流し、小泣きしている時は涙を少し流すようにすることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る人形玩具を示し、この人形玩具は、中空に形成された頭部1の顔部1aが不透明でしかも透光性を有する素材(例えば、PVC(塩化ビニル樹脂))で形成された人形で、目部2には、図2(a)に示すように、玩具本体Aを寝かせると錘部材5aの重さで軸5bを中心に矢印方向に回動して眠ったように瞼3を閉じ、図2(b)に示すように、玩具本体Aを立てると錘部材5aの重さで軸5bを中心に矢印方向に回動して目を覚ましたように、瞼3を開け、瞳4が現れる公知の活眼5が配置され、口部6には哺乳瓶7の飲み口7aを差し込む為の開口部8が形成されている。
【0009】
そして、頭部1内には、左右の目部2の下方に、発光体であるLED10がそれぞれ3個ずつ所定間隔をおいて縦に配設された基板11が配置され、この基板11はLアングル12によって、胴体部13内に配置された後述のユニットボックス14の上部に固定されている(図3(a)(b)参照)。
【0010】
なお、上記基板11には、上記口部6に形成された開口部8に対応する位置に、開口部8に哺乳瓶7の先が差し込まれたことを検出する哺乳瓶検出スイッチ22が設けられている。
【0011】
また、上記LED10の前面には集光部材16が配置されている。この集光部材16は、LED10を覆う覆い部材で構成され、この覆い部材の前面にはLED10a〜10cに対応して小孔17がそれぞれ形成され、LED10の発光が拡散することなく顔部1aの内側面にスポット光を照射するように構成されているもので、スポット光の照射された部分の顔部1aが明るく光り、顔部1aを前方から見た時、涙の粒に見えるようにしたものである。なお、上記集光部材は小孔を設けた覆い部材に限定されるものではなく、顔部の内側面にスポット光を照射できるものであればレンズでもよいし、グラスファイバーやアクリル樹脂の導光部材であっても構わない。
【0012】
そして、胴体部13内には、玩具本体Aを立てた状態を検出する第1のセンサ20と、玩具本体Aを横にした状態を検出する第2のセンサ21と、哺乳瓶7の飲み口7aが差し込まれたことを検出する第3のセンサ22と、人形の泣き声や笑い声の音声データを記憶した記憶部23と、記憶部23に記憶された音声データを可聴音として出力する音出力部(スピーカ)24と、上記第1のセンサ20と第2のセンサ21の検出結果に基づいて上記発光体(LED)10の発光制御と、上記音出力部24の出力制御とを行う制御部25とを備えたユニットボックス14が配置されている。なお、符号27は記憶部23と制御部25とLEDやスピーカのドライブ回路(図示せず)をマウントした回路基板を示す。
【0013】
なお、図3において、符号28は、電池を収納する電池ボックスを示す。
【0014】
第1のセンサ20と第2のセンサ21とは、図4に示すように、センサユニット26内の両側にそれぞれ配置されたリーフスイッチで構成され、カバー30と基台31とからなるセンサユニット26の中央には軸受け32が形成され、この軸受け32には先端34aに錘部材33が収容されたレバー34の支軸35が回動可能に軸支されている。このレバー34の両側面には係合突部34a、34bが、それぞれ外方に突出して形成され、レバー34が回動した時に、係合突部34a、34bがリーフスイッチ20、21の一方の板バネ接点20a、21aを押して撓ませ、他方の板バネ接点20b、21bに接触させるように構成されているものである。
【0015】
このセンサユニット26は、玩具本体Aを立てた場合、図5(a)に示すように、第1のセンサ20が下側になるように、しかも、玩具本体Aを仰向けにした場合、図5(b)に示すように、第1のセンサ20より第2のセンサ21が低い位置になるようにユニットボックス内に適宜手段で固定され、玩具本体Aを立てた場合は、図5(a)にしめすように、瞼が開いて瞳が現れるとともに、レバー34が錘部材33の重さで下方(足側)に回動し、係合突部34aがリーフスイッチ20に作用して、これをONさせ、玩具本体Aを寝かせた場合は、図5(b)に示すように、瞼が閉じて瞳が隠れるとともに、レバー34が錘部材33の重さで下方(頭部側)に回動し、係合突部34bがリーフスイッチ21に作用して、これをONさせるように構成されている。
【0016】
図6は、人形玩具の電気回路図を示し、制御部25は、制御プログラムを記憶すると共に、音声データ(小泣きの泣き声、大泣きの泣き声、笑い声、ミルクを飲む音、おくびや寝息の音等)を記憶した記憶部23を備え、第1の検出手段であるリーフスイッチ(以下、立ちセンサという)20、第2の検出手段であるリーフスイッチ(以下、横センサという)21と、哺乳瓶検出スイッチ(以下、口センサという)22と、音出力部であるスピーカ24と、涙を表示する6個のLED10が接続されている。そして、電源スイッチ40を介して電源電池41が接続され、制御プログラムに基づいて、立ちセンサ20、横センサ21、口センサ22の検出状態をチェックし、各センサの状態に応じて上記記憶部23に記憶されている音声データの出力制御と、LED10a〜10cを順番に、しかも繰り返し点滅させるシフト点灯制御とを行うものである。
【0017】
なお、上記制御部25と記憶部23とは音声データを記憶するメモリを備えたプログラマブル音声合成ICで構成すればよい。
【0018】
次に、図7〜図11のフローチャートに基づいて動作玩具の作動態様について説明する。先ず、電源をONすると、ステップST1で初期化がなされ、各カウンタがリセットされた後、スイッチの状態がチェックされる(ステップST2)。玩具本体Aが立たされて立ちセンサ20がONしていれば泣きモードになり、玩具本体Aが横に寝かされて横センサ21がONしていれば眠りモードになり、口に哺乳瓶7の飲み口7aが差し込まれて口センサ22がONしていればミルクのみモードになる。
【0019】
泣きルーチンでは、小泣きを示す音声“エヘッ”が出力され、LED10a、10b、10cの点滅が順番にゆっくりしたサイクルでシフト点灯制御される(ステップST101)。小泣きを示す音声“エヘッ”が所定回数(本発明では4回に設定)出力後、ステップST102で、大泣きを示す音声“ウェーン”が出力され、LED10a〜10cを早いサイクルでシフト点灯させながら、センサの状態をチェックする(ステップST103)。玩具本体Aをあやすように揺すって立ちセンサ20を繰り返しON・OFFさせると、ステップST104に進んで、泣き声が大泣きから小泣きに変わるとともに、LED10a〜10cを消灯し、ディレイ時間(1.4秒)経過すると(ステップST105)、笑いモードになる(ステップST106)。
【0020】
泣き止ませるために哺乳びん7の飲み口7aを開口部8に差し込んで、口センサ22をONさせると(ステップST107)、ステップST108に進んで、泣き声が大泣きから小泣きに変わるとともに、LED10a〜10cを消灯し、ディレイ時間(0.8秒)経過すると(ステップST109)、ミルク飲みモードになる(ステップST110)。
【0021】
寝かせるように横にして横センサ21をONすると(ステップST111)、ステップST112に進んで、ディレイ時間(1.4秒)経過後、眠りモードになる(ステップST113)。
【0022】
大泣き状態を放置すると、ステップST114に進んで、大泣きカウンタをカウントアップ(+1)し、大泣きカウンタが所定の値(本発明では8に設定)になっなったか否かを判断し(ステップST115)、所定の値になっていなければ、ステップST102に戻り、大泣きを繰り返す。大泣きカウンタ46が所定の値になっていれば(大泣きを8回)、泣き疲れて、ステップST116に進み、泣き声が大泣きから小泣きに変わるとともに、LED10a〜10cを消灯し、泣きカウンタ45をカウントアップ(+1)し(ステップST117)、泣きカウンタ45が所定の値(本発明では2に設定)になったか否かを判断する(ステップST118)。所定の値になっていなければステップST119に進み、30秒タイマをスタートさせ、タイマ作動中にいずれかのセンサが作動するかどうかチェックし(ステップST120)、センサが作動していれば、センサに対応したモード(泣きモード、眠りモード、ミルク飲みモード)に進む(ステップST121)。30秒タイマが作動中にセンサが作動することがなければ、ステップST101に戻り、小泣きを再開する。泣きカウンタ45が所定の値になっていれば、ステップST122に進んで、ディレイ時間(0.4秒)経過後にスタンバイモードに入る。
【0023】
笑いモードでは、笑い声を示す音声“アヘッヘッヘッ”を出力するとともに(ステップST201)、センサの状態をチェックする(ステップST202)。横センサ21がONしていれば、寝かされたと判断し、ステップST203に進んで、ディレイ時間(0.8秒)経過後、眠りモードになる(ステップST204)。
【0024】
横センサ21がONになっていなければ、ステップST205で玩具本体Aをあやすように揺すっているかどうか判断する。立ちセンサ20がON・OFFを繰り返していれば、あやしていると判断し、ステップST201に戻り、喜びを示す笑い声“アヘッヘッヘッ”を出力する。揺することなく所定時間(1.5秒に設定)立たせたままにしていると、ステップST206に進んでディレイ時間(0.8秒)経過後、スタンバイモードになる。
【0025】
眠りモードでは、ステップST301で眠りを示す寝息音“グーッスーッ”を一回出力すると、寝息カウンタ47をカウントアップ(+1)し(ステップST302)、寝息カウンタ47が所定の値(本発明では10に設定)になったか否かを判断し(ステップST303)、寝息音が10回出力されていなければ、ステップST301に戻り、寝息カウンタ47が所定の値になっていれば(10回寝息をたてると)、スタンバイモードになる。
【0026】
ミルク飲みモードでは、ステップST401で、ミルクを飲む音声“チュッ”を連続的に出力させながらスイッチの状態をチェックする(ステップST402)。横センサ21がONになると、ステップST403に進んで、ミルクを飲む音声“チュッ”を停止し、ディレイ時間(0.8秒)経過後にスタンバイモードに入る。玩具本体Aを横にすることなく、しかも、哺乳びんを口に差し込んだままでいると、ステップST401に戻って、ミルクを飲む音声“チュッ”を継続して出力する。哺乳びん7を口部6から外すと、口センサ22がOFFになるので、ステップST405に進んで、おくび示す音声“ヒクッ”を出力し、ディレイ時間(1.5秒)経過後(ステップST406)、笑いモードになる(ステップST407)。
【0027】
なお、スタンバイモードでは、何れかのセンサが作動するのを待ち、何れかのセンサが作動することにより、スタンバイ状態は解除され、ステップST1に進んで初期化が行われ、新たに作動態様が始まる。
【0028】
上述のように、泣いている時には、泣き声と同時に、上側のLEDから下側のLEDに向かって順次シフトしながら点滅して顔の内側から頬の部分にスポット光を照射するので、あたかも涙を流しながら泣いている状態を作り出すことができる。しかも、LEDのシフトする時間を変更することにより、涙が少し流れる状態と、たくさん流れる状態とを表現することができる仮想の涙なので、泣き声の大きさや激しさに合わせて流れる涙の量をコントロールすることができ、物理的に涙(水)を流す人形では表現できない泣き状態を作り出すことができる。
【0029】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、寝ている人形を起こすと、起こしたことを検出するセンサが作動し、人形は泣き始めるが、泣き声に合わせて発光部(LED)が順番に点灯し、あたかも涙を流しているような状態を作り出すことができ、この涙は、物理的に涙(水)を流すわけではないので、人形が濡れたり汚れたりすることがないし、水の補給も必要ないので取扱に優れた人形玩具を提供することができる。
【0030】
請求項2の発明によれば、発光部(LED)の発光する光を拡散させることなく、スポット光にして顔部の内壁面に照射するので、顔部を前方から見た時、光を涙の粒のように表示することができる。
【0031】
請求項3の発明によれば、涙を発光部(LED)の発光する光で表現するので、点灯時間やシフト時間を自由にコントロールすることができ、泣き声に合わせて、例えば、大泣きの時はシフト時間を短くしてたくさん涙が流れるようにし、小泣きの場合にはシフト時間を長くして涙が少ししか流れないようにすることができ、泣き声に合わせて流す涙の量を変えることができ、よりリアル感のある人形玩具を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る人形玩具の構成を示す斜視図
【図2】(a)(b)は上記人形玩具の頭部の要部断面図
【図3】(a)(b)はユニットボックスの要部を切断した側面図及び正面図
【図4】センサユニットの構成を示す分解斜視図
【図5】(a)(b)は玩具本体を立てた状態と寝かせた状態を説明する側面図及び、その状態におけるセンサユニットの作動状態図
【図6】上記人形玩具の電気回路図
【図7】上記人形玩具の作動態様を説明するフローチャート図
【図8】上記人形玩具の作動態様(泣きモード)を説明するフローチャート図
【図9】上記人形玩具の作動態様(笑いモード)を説明するフローチャート図
【図10】上記人形玩具の作動態様(眠りモード)を説明するフローチャート図
【図11】上記人形玩具の作動態様(ミルク飲みモード)を説明するフローチャート図
【符号の説明】
1 頭部
2 目部
6 口部
7 哺乳瓶
10 発光体(LED)
20 第1のセンサ(立ちセンサ)
21 第2のセンサ(横センサ)
23 記憶部
24 音出力部
25 制御部
Claims (3)
- 以下の要件を備えることを特徴とする人形玩具。
(イ)中空に形成された頭部の顔部が不透明、且つ、透光性を有すること
(ロ)上記頭部の内部には、左右の目部の下方に複数の発光体がそれぞれ所定間隔をおいて縦に配設されていること
(ハ)胴体部には、玩具本体を立てた状態を検出する第1のセンサと、玩具本体を寝かせた状態を検出する第2のセンサとが配置されていること
(ニ)上記胴体部には、人形の泣き声や笑い声の音声データを記憶した記憶部と、該記憶部に記憶された音声データを可聴音として出力する音出力部と、上記第1のセンサと第2のセンサの検出結果に基づいて上記発光体のシフト点灯制御と、上記音出力部の出力制御とを行う制御部とが設けられていること - 前記発光体の前面には、該発光体の光を集光して前記顔部の内壁面にスポット光を照射する集光部材を設けた請求項1記載の人形玩具。
- 前記記憶部には、人形の泣き声を少なくとも2種類記憶させ、前記制御部は泣き声を選択して前記音出力部に出力させると共に、選択した泣き声に対応して、前記発光体の発光間隔を変更する請求項1記載の人形玩具。
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