JP4138869B2 - 多様性のある有用なオリゴヌクレオチド集合体の合成 - Google Patents
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Description
本発明は、オリゴヌクレオチドの合成、特に一回の自動化された合成でオリゴヌクレオチドの混合物を作製する新しい方法に関する。本手法によりDNAの多様な混合物の作製が可能になり、こうしたDNAを用いてオリゴペプチドまたはポリペプチドおよび/またはタンパク質の大規模な集合体を調製することができる。
発明の背景
混合した組成のDNAを調製する方法は、新しい有用な特性をもつ物質の検索だけでなく生体分子の機能の研究においても重要性を増しつつある。1980年代初期にDNA合成手法が改善されたため、オリゴヌクレオチド混合物の作製法として多重合成を行うことが可能となった。原理的には大規模で多様な集合体は、多重合成によりつくることができる。実際に数人の発明家が実現したところでは、一種類の一量体ヌクレオチドを構成ブロックとして連結するのではなく、モノヌクレオチドの混合物を連結することにより、大規模な数のオリゴヌクレオチドを一回の合成で作製することが可能である。この結果生じるオリゴヌクレオチド集合体もしくはオリゴヌクレオチド「ライブラリー」の複合度は、連結した一量体の数と、一量体の混合物が導入された部位の数により決定される。
混合組成のオリゴヌクレオチドは、タンパク質の構造と機能の研究のための変異導入に用いられることが多くなりつつある。混合組成のDNA配列を発現させることにより、対応する変異タンパク質のライブラリーを作製できる。適当なスクリーニング法を併用すれば、こうしたライブラリーから、特性が変化して生体分子の機能の研究に有用な物質を検索することもできる。変異導入法のもっとも一般的な種類で用いるオリゴヌクレオチドは、野生型遺伝子の配列に基づき、望みのアミノ酸配列の変化を結果として生じるような修飾を取り込んだものである。こうした方法については最近Current Opinion in Structural Biologyの1991年8月号にレビューがある。
タンパク質構造および活性の遺伝学的研究のほとんど全てにおいて、置換変異が用いられる。こうした場合一個または数個のアミノ酸鎖が置換されるが、タンパク質の長さと残基の間隔は保存される。一度の実験での大規模な種類の置換変異の作製を容易にするために、これまでにいくつかの当該技術分野の手法が開発されているが(レビューとしてD.ボトスタインとD.ショートル(Botstein,D.and Shortle,D.)(1985)Science 229,1193-1201とM.J.ゾラー(Zoller,M.J.)(1991)Curr.Opin.Struct.Biol.1,605-610を参照)、それらでもっとも一般的な方法はオリゴヌクレオチドの複合混合物の化学的合成を含んだものであり、こうしたオリゴヌクレオチドはDNA合成の変異原プライマーとして(J.D.ヘルメス,S.M.パレク,S.C.ブラックロー,H.コスター,J.R.クノールス(Hermes,J.D.,Parekh,S.M.,Blacklow,S.C.,Koster,H.,& Knowles,J.R.)(1989)Gene 84,143-151を参照)、あるいは制限酵素断片にライゲーション反応させる変異原二重鎖断片として(M.D.マッチューシとH.L.ハイネッカー(Matteucci,M.D.& Heynecker,H.L.)(1983)Nucl.Acids Res.11,3113-3121を参照)用いられる。必要とされる一個のアミノ酸置換を生じるには、オリゴヌクレオチド合成に用いる一量体ヌクレオチドそれぞれを少量の非野生型モノヌクレオチド3種で「ドーピング」する。原理的にはこの方法により、ある遺伝子部分に一度の実験で、可能な全てのヌクレオチド置換を供給できる。ヌクレオチド置換の分布はポアソン統計に従うので、変異遺伝子あたり一個またはほんの少数のアミノ酸置換を起こすようなドーピングのレベルにおいては、同じコドンに二個のモノヌクレオチド置換が起こるのは比較的稀なことであろう。従って実用上の目的では、変異原オリゴヌクレオチドの混合物を作製するためのこの戦略からは、可能な全アミノ酸置換の三分の一だけの収量で、野生型コドンの配列により決定される特定の位置に起きる型のアミノ酸置換だけしか期待できない。またこれまでの当該技術分野のオリゴヌクレオチド一量体ドーピング法は、挿入または欠失といったDNA配列の他の型の変化を起こすのには用いることができないということも記すべきであろう。
混合DNA合成の関連応用では、新しい有用な特性をもつ物質の発見を目指す過程において、多様性のあるオリゴヌクレオチドの莫大な集合体が用いられる。ペプチドや(S.E.クウィラ,E.A.ピータース,R.W.バレット,W.J.ドーワー(Cwirla,S.E.,Peters,E.A.,Barrett,R.W.,& Dower,W.J.)(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87,6378-6382)、RNA(D.ツァイ,D.ケナン,J.キーネ(Tsai,D.,Kenan,D.,& Keene,J.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89,8864-8868)およびDNA(L.ボック,L.グリフィン,J.ラサム,E.ファーマス,J.トール(Bock,L.,Griffin,L.,Latham,J.,Vermaas,E.,& Toole,J.)(1992)Nature 355,564-566)のライブラリーを、それぞれ混合一量体合成で調製されたオリゴヌクレオチドの集合体から作製し、スクリーニングすることにより特定の標的物質に結合する分子の探索が行われている。この方法ではペプチドライブラリーの有用性は、オリゴヌクレオチド混合物が作製された方法にきわめて高く依存している。これは遺伝コードの縮重、すなわちアミノ酸が同じ数のトリヌクレオチドコドンで表されるのではなく、いくつかのアミノ酸は一つのコドンだけでコードされ、いくつかは6種ものコドンでコードされることによる。従って4種の一量体全ての等量の混合物から調製されたオリゴヌクレオチドが64種のトリヌクレオチドそれぞれを含むにもかかわらず、コードされるアミノ酸は一様には表出されず、また「終止」コドンが不可避的に生じてしまう。結果として最大数のコドンでコードされるアミノ酸が過大に表出されて、一種または二種のコドンでコードされるアミノ酸が犠牲となって少なく表出される。たとえば特定の型の変異(たとえば疎水的なアミノ酸の置換だけ)を望む時に、結果として生じるライブラリーは、高い比率で望まざる種類の変異を含んでしまうであろう。この欠点は、置換が行われる位置の数が増えるにつれて特に重大である。
ペプチドおよびタンパク質のライブラリーを調製するために混合DNA配列を合成するが、この合成の効率を改善する試みの中で、一量体を合理的な方法で混合する機構が導入された。たとえばユーバン(Youvan)は、アミノ酸の特定の組合せを指定するための一量体の最適混合を試算している(A.P.アーキンとD.C.ユーバン(Arkin,A.P.,& Youvan,D.C.)(1992)Bio/Technology,10,297-300)。この混合物を用いればペプチドまたはタンパク質ライブラリー中の望みのアミノ酸の比率を増大させることができる。しかしこの方法では、一量体の特定の結合による望まざる置換が生じるのを排除することはできない。この方法でも望みの置換は、大抵の場合それぞれの部位に導入される一部の置換でしかない。従って、変化させる部位の数が増大すれば、ライブラリー中の望みの変異の比率は減少する。
一量体の混合物を用いるのに付随する問題を認識して、フーズ(Huse)は多重合成を模倣してDNA合成を行う方法(WO92/03461に発表)を記載した。これの成功は、必要な時に混合および再分割できる多数の固体支持体上で合成を行うことによる。この方法では一量体を用いて多様性のあるオリゴヌクレオチド混合物を作製することができ、遺伝コードの縮重に付随する問題も避けることができる。だがこの方法には二つの不利な点がある。すなわち(i)各合成時に、支持体物質の分割と再混合という集中的な作業が必要なこと、(ii)合成できる異なる配列の総数が、合成時に用いる支持体の物理的に分離可能な数、典型的にはほぼ108個に制限されることである。
要約すると既存の多重DNA配列の合成法はいくつかの不利な点を抱えている。
1. 混合一量体でドーピングしたオリゴヌクレオチドを用いて、可能なヌクレオチド置換は全て作製できるが、隣接した二個または三個のモノヌクレオチド置換はきわめて起こりにくい。タンパク質の各アミノ酸は三個の隣接したヌクレオチドで指定されているので、これはタンパク質の変異導入に関して不利な点であり、この戦略では一度の合成で効率良く作製できるのは、各野生型アミノ酸に対して可能な全てのアミノ酸置換のおよそ三分の一だけである。
2. オリゴヌクレオチド混合物の合成を含む戦略のいずれも、これまでの当該技術分野で示されたとおり、合成したオリゴヌクレオチドの二箇所以上の部位に一個またはそれ以上のコドンを挿入した変異タンパク質を作製できていない。
3. 遺伝コードの縮重のため、混合DNAの合成に用いられるモノヌクレオチドの混合物は、望まざるコドンを含んだオリゴヌクレオチドを不可避的に生じ、また望みのコドンの全てを供給する訳ではないということになる。この問題は混合物が導入される位置数が増大するにつれ、重大なものとなる。
4. 多重合成を促進する方法は集中的な作業であり、作製できる配列の多様性は、用いる支持体の物理的に分離できる数に制限される。
本発明はこれらの問題に解決法を提供するものであり、現在の分子生物学で多数の応用が可能な混合オリゴヌクレオチドの調製を可能とする。たとえば本発明に従って調製された混合オリゴヌクレオチドを用いて、ペプチドおよび/またはタンパク質ライブラリーをコードする遺伝子を作製できる。さらにトリヌクレオチドを用いてポリメラーゼ連鎖反応のための縮重プライマーを調製できる。本発明は特にタンパク質変異導入に有用である。すなわちいかなるアミノ酸の組合せをコードする一本鎖変異原プライマーおよび二重鎖「カセット」も、本明細書中に記載されている方法を応用して容易に調製できる。本発明はまた置換、挿入、欠失といった変異導入を可能とする。
本方法は、もっとも効率の良いDNA合成法に適うような、既製の合成オリゴヌクレオチドおよびこれに加えて特別に保護されたモノおよびオリゴヌクレオチドの使用に頼っている。トリヌクレオチドを構成ブロックとして用いることは、以前にもDNA合成で行われているが(たとえばT.ヒロセ,R.クレア,K.イタクラ(Hirose,T.,Crea,R.,& Itakura,K)(1978)Tet.Lett.,2449-2452;K.ミヨシ,T.ミヤケ,T.ホズミ,K.イタクラ(Miyoshi,K.,Miyake,T.,Hozumi,T., & Itakura,K.)(1980)Nucl.Acids Res.,8,5473-5489を参照)、それは段階的な連結反応の収量が低い場合であり、各段階で取り込むオリゴヌクレオチドブロックは可能な限り大きいことがより望ましかった。この早期の仕事は(i)非効率的で時代遅れのホスホジエステル化学に頼っているため多重連結できない、(ii)多様性があり有用な混合オリゴヌクレオチドの集合体を作製することを目指していない、(iii)挿入および欠失変異導入ができないという点で本発明とは異なる。
発明の概要
本発明は、従来の技術における制約を克服し、一回の自動合成に於いてオリゴヌクレオチド混合物を生じるための新規の技術を提供する。本方法は、タンパク質あるいは他の重要な遺伝的要素の体系だった突然変異導入に有用である。本発明を応用することによって生じる多様なオリゴヌクレオチド集団は、特定の標的物質に結合する分子をスクリーニングできるペプチドライブラリーの調製に特に有用である。本発明はまた、タンパク質に突然変異を導入してあらゆる可能性のアミノ酸置換、あらゆる可能性の単一アミノ酸挿入、あらゆる可能性のアミノ酸欠失あるいは望まれる置換および挿入の組合せをコードするように使用することが可能である。
最も一般的な形態では、本発明により、オリゴヌクレオチド構築単位を使用して、DNA分子の合成が可能になる。特に好ましい形態はアミノ酸コドンに対応したトリヌクレオチドの使用である。以下の記述中において、異なる長さのオリゴヌクレオチドの使用は不可能ではないけれども、本方法を例示するためにトリヌクレオチドが使用される。
トリヌクレオチドは自動DNA合成の標準的な方法に適合するように調製される。最も好都合には、遊離の5’部位を酸に対して不安定な保護基(典型的には4、4’−ジメトキシトリチル、DMT)で保護し、リン酸塩をメチルあるいはシアノエチルエステルとして保護し、塩基をベンゾイル(AおよびC)あるいはイソブチリル(G)アミドとして保護し、遊離の3’部位をO−メチルあるいはO−シアノエチル N,N−ジイソプロピルアミノ フォスフォールアミダイトのいずれかとしてカップリングするために活性化する。以下に記述するように、ある場合においては5’部位は異なるように保護されることが望まれる。これはトリヌクレオチド合成の間に容易になされる。本方法は別の方法によって保護および活性化されたトリヌクレオチドの使用を妨げない。
本発明はトリヌクレオチドの化学量論的あるいは準化学量論的なカップリングのいずれにも使用できる。どちらの場合も、自動合成機が野生型DNA配列に特定されたモノマーの配列をカップリングすることによって段階的にオリゴヌクレオチドを合成する。望まれた位置で、合成プログラムが一時停止し、以下に記述したように改変した配列の工程を実施する。
1.化学量論的カップリング
第一の態様において、化学DNA合成のために1つあるいはそれ以上のトリヌクレオチドがモノマーの代わりに用いられる。トリヌクレオチドは本質的に定量的にカップルするので、それゆえ自動DNA合成においてモノマー構築単位と同様に使用できる。一回の合成において、トリヌクレオチド混合物の化学量論的カップリングによってDNAの組成が完全に制御されている望まれた複雑性のDNAが得られる。停止コドンは排除可能で、アミノ酸のあらゆる組合せが各々の位置においてコード可能である。トリヌクレオチドの組合せによる野生型コドンの置換は、合成中の望まれた段階において適切な混合物を利用するようにDNA合成機を操作することによって容易に遂行される。それゆえ、本方法は定義された組成のペプチドライブラリーの生産のために理想的である。また特定のクラスのアミノ酸(例えば疎水性)が1つあるいはそれ以上の位置に導入された変異オリゴペプチドあるいはタンパク質の調製にも非常に適している。
2.準化学量論的カップリング
DNA合成中に使用されるトリヌクレオチドレベルを減少させることによって、適切に保護され活性化されたトリヌクレオチドの準化学量論的カップリングは置換、挿入あるいは欠失変異導入を得るために使用できる。本形式では、本発明は構造ー機能相関の研究のための単一アミノ酸置換をもつ変異タンパク質を生じるのに非常に適している。固相支持体の5’末端の数に対して準化学量論的な量の1つあるいはそれ以上のトリヌクレオチドが加えられる。コドンが挿入される場合には、加えられるトリヌクレオチドの5’末端は、合成に使用されるモノマーと同様の方法で保護される。置換あるいは欠失が望まれる場合には、トリヌクレオチドの5’末端は特別に選択された安定な保護基(以後「X」と呼ぶ)をつける。これに関連して、安定な保護基Xは機能的に自動DNA合成の条件に持ちこたえることができ、必要に応じて選択的に切断可能なものである。トリヌクレオチドは野生型遺伝子配列中の異なる箇所に加えることが可能である。最終産物は、野生型配列に基づくが特有のあるいは縮退したトリヌクレオチド混合物で任意に処理したオリゴヌクレオチド混合物の化合物である。挿入、置換、あるいは欠失突然変異は以下のように準化学量論的カップリングの間に得られる:
(i)挿入(図1参照)
挿入突然変異を生じる第二の態様において、トリヌクレオチドはDMTのような5’部位の保護基として共通に使用されるものの1つを持つように選択される。準化学量論的カップリング条件下でトリヌクレオチド付加を行う合成中の鎖の一部は直ちに脱ブロッキングされ、それからすべての一連の段階において伸長される。実質的な結果は本来ならば野生型である配列中に挿入されたコドンに対応する3つのヌクレオチドの付加である。合成を継続する。アミノ酸を挿入すべき各々の位置で、さらに準化学量論的カップリングを、特有のトリヌクレオチド(1種類の挿入アミノ酸を生じる)あるいはトリヌクレオチド フォスフォールアミダイトの混合物(最高19の異なる残基を単一部位に挿入する場合)のいずれかで行う。
(ii)置換(図2参照)
準化学量論的カップリング中に置換突然変異を生じる第3の態様において、トリヌクレオチドは安定な5’保護基X(上述に定義した)を持つように選択され、異なる脱保護手法が適用される。トリヌクレオチド結合に引き続いて、次の3モノマー付加の間に、トリヌクレオチドの5’保護基はカップルしたモノマーの5’−DMTを切断する酸処理によって除去されない。その結果として、トリヌクレオチド付加を行っている合成中の鎖の一部は伸長されない。すべての他の鎖に配列が野生型コドンに対応する従来法で保護された3つのモノマーを付加した後、トリヌクレオチドの末端の保護基Xを除去するためのさらなる段階を遂行する。合成を継続する。アミノ酸置換を生じさせるべき各々のコドンにおいて、さらにカップリングを、特有のトリヌクレオチド(1種類の置換アミノ酸を生じる)あるいはトリヌクレオチド フォスフォールアミダイトの混合物(最高19の異なる残基が単一部位に導入される場合)のいずれかで行う。
(iii)欠失(図3参照)
第4の態様において、欠失は安定な5’保護基Xのついたモノヌクレオチドを用いて作成される。安定な5’保護基X(上述に定義した)を欠失の片方の境界の輪郭を描き、Xが付いた一部の鎖に続いてカップリングが起こるのを阻害する。続いて起こる通常のモノマーの化学量論的カップリングは合成中に脱保護された鎖でのみ起こる。安定な保護基の除去により全ての鎖への続いたカップリングが可能になり、欠失の第二の境界を決定する。1回のオリゴヌクレオチド合成の間にこの工程を何度も繰り返して、多くの異なる欠失を持つオリゴヌクレオチドを生産することができる。
(iv)置換及び挿入
第5の態様において、置換及び挿入両方が一回の合成の間に作成できる。この場合、5’−Xおよび5’−DMTトリヌクレオチド両方が一回のオリゴヌクレオチド合成の間に使用される。保護基が異なるトリヌクレオチドの取り込みに引き続いて、5’−DMTトリヌクレオチドは脱保護化されそれゆえ引続き伸長を行い、一方5’−Xトリヌクレオチドは保護されたままで伸長されない。5’−X基がついた鎖からの5’−X基の切断によって引続き伸長が可能になる。この方法で、置換および挿入の両方が一回の合成で生じる。
DNA合成のためのトリヌクレオチドを使用して生じた混合組成を有する配列を、標準的なオリゴヌクレオチド突然変異導入反応に使用して、変異遺伝子の非常に複雑な混合物を生産することができる。変異遺伝子の遺伝的選択、遺伝的選別およびヌクレオチドシーケンスによって個々の突然変異を同定し、適切な発現系によって対応する変異オリゴ若しくはポリペプチド、あるいはタンパク質の生産が可能になる。
トリヌクレオチドは(長さが3の倍数でないオリゴヌクレオチドとは異なり)コドン境界に対応する位置のオリゴヌクレオチドにのみ結合するという利点がある。それ故、全ての配列変化は正しい読み枠内でおこる。他の利点は置換用トリヌクレオチドおよび挿入用トリヌクレオチドの両方が同じ合成中に使用できるため、突然変異導入を行うタンパク質の非常に多くの変異型をコードできるオリゴヌクレオチドの非常に複雑な混合物の生産が可能になる。野生型配列中へのトリヌクレオチドのカップリングはタンパク質突然変異導入に有用であるが、本方法はまた様々な長さのオリゴヌクレオチドを結合させるのに使用できる。これがモノマー置換のみが可能であった従来の技術に対する利点である。
最も一般的な形態において、本発明は修飾され、活性化されたオリゴヌクレオチドをカップリングし、配列縮重を起こさせることを含む。トリヌクレオチドはタンパク質突然変異導入に特に重要であるけれども、添加されるオリゴヌクレオチドはいかなる長さでもよい。挿入変異を生じるために、慣用されている5’−DMT保護基が使用できる。置換あるいは欠失変異を生じるために、安定な5’保護基が直列的(differential)あるいは直交する(orthogonal)脱保護手法で使用される。
本発明の第一の目的は一回の自動合成においてオリゴヌクレオチド混合物を生じることである。
本発明の第二の目的は野生型配列中に1つあるいはそれ以上のアミノ酸置換を生じることである。
本発明の第三の目的は野生型配列中に1つあるいはそれ以上のアミノ酸挿入を生じることである。
本発明の第四の目的は野生型配列中に1つあるいはそれ以上のアミノ酸欠失を生じることである。
本発明の第五の目的は野生型配列中に1つあるいはそれ以上のアミノ酸置換、欠失および挿入の混合物を生じることである。
本発明の第六の目的はより効率のよい触媒抗体を生産するためにクローン化した免疫グロブリン遺伝子の可変領域に細胞外で任意変異導入をするような、野生型配列中に非常に多くのアミノ酸配列多様性を生じさせることである。
本発明の第七の目的は遺伝子配列中の選択された位置に置換および/または挿入および/または欠失として(様々な長さの)オリゴヌクレオチドを付加することである。
【図面の簡単な説明】
図1は準化学量論的カップリングにおいて単一コドン挿入を含むオリゴヌクレオチド混合物を合成するために用いた工程の図的概略である。トリヌクレオチドは四角で囲まれた3つの黒い円によって示されている。トリヌクレオチドカップリングに先だって使用されたモノマーの構築単位は黒い円である。トリヌクレオチドの後に加えられたものは線の入った円で示されている。
図2は準化学量論的カップリングにおいて、単一コドン置換を含むオリゴヌクレオチド混合物を合成するために用いた工程の図的概略である。トリヌクレオチドおよびモノマー構築単位は図1で定義されたのと同様である。Xは本文中で定義したように特別に安定な保護基である。
図3は準化学量論的カップリングにおいて、単一コドン欠失を含むオリゴヌクレオチド混合物を合成するために用いた工程の図的概略である。四角で囲まれた灰色の円はXで保護されたモノヌクレオチドの構築単位であり、Xは本文中に定義されたように特別に安定な保護基である。黒い円はXーモノマーの添加に先立って結合する慣用されているモノマーの構築単位であり、線の入った円はコドンを決定するXーモノマーの添加に引き続いて結合する3つのモノマーの構築単位である。灰色の円はX−モノマーの脱保護に引き続いて結合するモノマーの構築単位である。
図4はスタフィロコッカス ヌクレアーゼ遺伝子中の回復したアラニンおよびグリシンコドン挿入変異の分布および頻度を示しているヒストグラムである。2つの実験が行われ、挿入が遺伝子の異なる部位で(4Aおよび4B)起こったことが示された。横の線はコドン境界を示し、縦の線は突然変異の数を示す。アラニン変異は陰を付けた部分、グリシン変異は棒の白い部分である。
好適な態様の詳細な説明
本発明は混合配列のオリゴヌクレオチド合成の効率的な方法、および野生型配列の遺伝子中への挿入、欠失および置換を生じる効率的な方法を提供する。本発明は、従来法の固相合成機を用いて一回の自動合成においてオリゴヌクレオチド混合物を生産することができる。本発明によってクローン化された遺伝子の特定の断片に小さな配列、一般にはトリヌクレオチドを挿入および/あるいは置換することが可能になる。トリヌクレオチド(あるいは3の倍数の長さのヌクレオチドを持つ小さなオリゴヌクレオチド)が使用されるとき、正しい読み枠中でin−phaseのコドン挿入あるいは置換を行うことができる。
本発明の第一の態様は自動DNA合成における1つあるいはそれ以上のトリヌクレオチドの化学量論的カップリングである。典型的に、合成は商業的に入手可能な自動合成機を用いて行われる。トリヌクレオチドを結合する必要があるまでは通常の合成プログラムを使用する。この時点でプログラムを一時停止し、追加の場所に取り付けられた調製されたトリヌクレオチド溶液を含むボトルにアクセスするように合成機を指示する。トリヌクレオチドは保護基および慣用されているDNA化学合成に適合する活性化された3’部位を保持する。例えば、トリヌクレオチドの5’部位はDMTエーテルとして保護し、3’部位はフォスフォールアミダイトとして活性化できる。この後、合成は通常の方法で続ける。合成の完了の時、オリゴヌクレオチドはカラムから放され、塩基およびリン酸エステルは脱保護される。塩基が慣用されているベンゾイルおよびイソブチロイル アミドで、およびリン酸塩がb−シアノエチル エステルとして保護されていれば、熱い濃アンモニアによる処理を完全な脱保護を行うために使用できる。もしリン酸塩がメチルエステルとして保護されていれば、十分に確立された条件を使用して、チオフェノールのようなものでリン酸塩脱保護を行うさらなる段階が熱アンモニア処理の前に含まれなければならない。好適な態様において、混合オリゴヌクレオチドは合成手順のにおいて単一のトリヌクレオチドではなくトリヌクレオチドの混合物を使用することによって調製されうる。混合組成のオリゴヌクレオチドの合成は、所望により2つあるいはそれ以上のトリヌクレオチドを含む溶液を利用する以外は上述に記述したように正確に得られる。
図1に示したように、本発明の第二の態様は準化学量論的カップリングにおいて、野生型配列中にトリヌクレオチドを挿入するのに使用される。本態様は修飾された構造および機能活性をもつタンパク質を生じるために使用されるin−phaseのコドン挿入を作成する場合に価値がある。図1に示したように、オリゴヌクレオチド合成は固相支持体に付着したヌクレオチドから始まりモノヌクレオチドのカップリングによって左から右に継続する。合成が、野生型配列の挿入が為される位置(すなわちコドン境界)まで到達すると、特定のコドンに対応したトリヌクレオチドはすべての合成中のオリゴヌクレオチド鎖の一部(〜1%)に結合する。それからトリヌクレオチドの5’末端のDMT保護基が除去され、さらに3つのモノヌクレオチドがすべてのオリゴヌクレオチド鎖に付加される。この点で、合成は野生型配列中の次のコドン境界に進み、(i)トリヌクレオチドの準化学量論的カップリングの次に(ii)DMT保護基の除去というサイクルが繰り返され、それによって鎖の次の標的部位にトリヌクレオチドが挿入される。その結果、野生型のバックグラウンドの配列がモノヌクレオチドカップリングで合成される一方、トリヌクレオチドを含む全てのカップリングは挿入変異を生じる。
このように長さnの野生型オリゴヌクレオチドの慣用されている自動合成に加えてコドン境界の位置にトリヌクレオチド混合物の準化学量論的カップリングを行うことによって、ヘテロなオリゴヌクレオチドの混合物が生じる。この混合物の正確な組成はトリヌクレオチドカップリングの数およびそのカップリング効率に依存する。その組成がいかなるものであれ、尿素ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて長さに応じて混合物を画分化することができ、すべての1つのコドン挿入をコードするn+3のバンドを野生型のバンドおよび複数の挿入物をコードする他のバンドから分離することが可能である。所望により、複数の挿入物をコードするオリゴヌクレオチドも尿素ポリアクリルアミドゲルで分離できる。
本発明の第3の態様は、置換変異を生じるためのトリヌクレオチドの準化学量論的カップリングである。この態様はまたどんな長さの小さなオリゴヌクレオチドの置換に対しても有用であるけれども、タンパク質突然変異導入において有用である理由から、トリヌクレオチドについて論じる。図2に概略するように、必要な唯一の修飾は、トリヌクレオチドの5’−DMT保護基を弱酸およびDNA合成に使用される他の条件に安定であるが他のゆるい脱保護条件に不安定な保護基5’−Xで置き換えることである。(様々な保護基が使用できる、以下はその一部のリストである:(i)レブリネート(levulinate(van Boom、J.H.&Burgers,P.M.J.(1976)Tetrahedron Lett.4875−4878参照)、(ii)シリル エーテル(silyl ether)(Ogilvie,K.K.,Schifman,A.L.,&Penney,C.(1979)Can J.Chem.57,2230−2238参照),(iii)フルオレン−9−イルメトキシカルボニル(Fmoc)(Xu,Y.,Lehmann,C.,Slim,G.,Christodoulou,C.,Tan,Z.,&Gait,M.J.(1989)Nucl.Acids Res.Symp.Ser.21,39−40参照)、(iv)テルトーブチルジメチルシリル、(v)アリルオキシカルボニル、(vi)ジブロモメチルベンゾイル、(vii)5’−O−b−置換エチルスルフォニル、(viii)テトラヒドロピラニル(Thp)、(ix)メトキシテトラヒドロピラニル(Mthp),(x)1ー[(2ークロロー4ーメチル)フェニル]ー4ーメトキシピペリジンー4イル(Ctmp)、(xi)トリチルオキシアセチルおよび(xii)テトライソプロピルジシロキシ)。鎖の1ー3%にXがブロックされたトリヌクレオチドをカップリングした後、続いて3つのモノマーカップリングはトリヌクレオチドを必要としない鎖の97ー99%に次の野生型コドンを付加するが、トリヌクレオチドに結合した鎖には付加しない。合成のこの点で、すべての鎖の脱保護(DMTを放すためのマイルドな酸;Xがレブリネートならば希釈したヒドラジン水溶液;Xがシリルエーテルならばフルオライド;XがFmocならば希釈した塩基)によってトリヌクレオチドによって特定されるコドン置換のおきた1−3%の鎖およびいまだ配列が野生型である97−99%の鎖が生産される。挿入を生じる手順のように、1準化学量論的トリヌクレオチドカップリングに引き続いて3化学量論的モノマーカップリングという基本サイクルの繰り返しが、オリゴヌクレオチド配列によって特定される遺伝子断片の各々の部位に突然変異を導入するのに使用される。長さに基づいて野生型配列のオリゴヌクレオチドから突然変異を導入されたオリゴヌクレオチドを精製することは不可能であるけれども、1つあるいは2つのフォスフォネート酸あるいはチオフォスフォネートリンカーを含むトリヌクレオチド単位を使用することができ、それによって電価あるいはクロマトグラフィー的な特性に基づいて精製できる。
本発明の第4の態様は、欠失変異導入のための保護基が異なるモノマーの使用である。図3に示したように、準化学量論的カップリングによるXが保護されたモノヌクレオチドの使用に引き続いて全体の脱保護に先だつ4回のDMTモノマー付加サイクルを通してコドン欠失を起こすことができる。再び、欠失されるコドン境界に到達するまで通常に合成を行う。コドン境界で、隣接するコドンの野生型アミノ酸配列を保存できる5’−X−モノヌクレオチド フォスフォールアミダイトの準化学量論的量が結合される。保護基が異なるモノヌクレオチドを受容しなかった全ての鎖への従来の化学量論的モノヌクレオチドカップリング4サイクルによって、結果的には欠失されるコドンと追加のモノヌクレオチドが付加される。この点で、5’−X保護基は除去され、慣用されているモノヌクレオチドカップリングをさらに2回行い、欠失部位のコドン境界の合成を終える。それから、全サイクルが繰り返される。結果的に、単一コドンの欠失をコードする多くのオリゴヌクレオチドが生産され、それらは以前に記述したように突然変異導入を行うのに使用される。
これらの一般的な手法は、より効率のよい触媒抗体を生産するためにクローン化した免疫グロブリン遺伝子の可変領域にin vitroにおいて任意変異導入するような非常に多くの配列多様性が望まれる場合に有用である。同様に、ファージ ディスプレー ライブラリーおよび酵素上のペプチド断片ディスプレーにより強力に結合するリガンドを探索する研究計画で、特に始めは適度な強さの結合配列を後の段階に最適化する場合において、トリヌクレオチドを用いて生じる非常に多くの配列複雑性を利用できる。単純化の目的で、上記に記述した置換態様および挿入態様は1つのトリヌクレオチド挿入あるいは置換を教示した。既に論じたように、トリヌクレオチドの使用はアミノ酸置換あるいは挿入を遂行するときに特に興味深い。しかし、どんな長さの小さなオリゴヌクレオチドでも配列縮重を誘導できる。
上述の説明は、本発明を一般的に記述する。以下の実施例を参照することによって本発明をさらに完全に理解することができる。実施例は、例示のみの目的で本明細書中に提供し、発明の範囲を限定する意図ではない。
省略語:Me=メチル、Bz=ベンジル、Pr=イソプロピル
便宜上、トリヌクレオチドはある場合において例えばdTdTdTのように省略される。
実施例1:トリヌクレオチド合成
A.5’−DMT−dCBz−[PO(OMe)]−dT−[PO(OMe)]−dT−3’−[P(OMe)(NiPr2)]の合成
dT−3’−Fmoc(930mg,2.0mmol)、(トリクロロ酢酸で触媒したデトリチレーションによって相当する5’−DMT誘導体から調製した)および無水アセトニトリル中の5’−DMT−dT−3’[P(OMe)(NiPr2)](1.5g,2.1mmol)溶液にテトラゾール(150mg,2.1mmol)を加えた。室温で30分後、亜リン酸塩をt−ブチルヒドロペロキシド(ジ−t−ブチルヒドロペロキシド中の80%溶液0.31ml,2.5mmol)で酸化し、過剰量のテトラゾールフォスフォールアミダイトをメタノールで失活させた。溶液を濃縮し、DMT基はジクロロメタン中のトリクロロ酢酸(0.82g,5.0mmol)溶液で処理して切断した。DMTカチオンは10mMジカルボンナトリウム溶液で失活させ、5’−HO−dT−[PO(OMe)]−dT−3’−Fmocをジクロロメタンで抽出した。有機相を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、濃縮し、残留物をジクロロメタン中のメタノールの0−8%勾配(10%メタノール/ジクロロメタン中Rf=0.30)を用いてシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、5’−HO−dT−3’−[PO(OMe)]−dT−3’−Fmocが1.1g(70%)得られた。
精製した5’−HO−dT−3’−[PO(OMe)]−dT−3’−Fmoc(780mg,1.0mmol)および無水アセトニトリル中の5’−DMT−dCBz−3’−[P(OMe)(NiPr2)](950mg,1.2mmol)溶液にテトラゾール(83mg,1.2mmol)を加えた。室温30分後、亜リン酸塩をt−ブチルヒドロペロキシド(ジ−t−ブチルヒドロペロキシド中の80%溶液 0.19ml,1.5mmol)で酸化し、過剰量のテトラゾールフォスフォールアミダイトはメタノールで失活させた。溶液を濃縮し、残留物をジクロロメタン中のメタノールの0−8%勾配(10%メタノール/ジクロロメタン中Rf=0.42)を用いて塩基性アルミナクロマトグラフィーで精製し、5’−DMT−dCBz−[P0(OMe)]-dT−[PO(OMe)]−dT−3’−Fmocが790mg(53%)得られた。
ジクロロメタン中の、精製され、十分に保護されたトリヌクレオチド(300mg,0.2mmol)を、3’−Fmoc基を除去するために室温で90分トリエチルアミン(100mg,1.0mmol)で処理した。それから3’−OHトリヌクレオチド(10%メタノール/ジクロロメタン中Rf=0.26)を室温で30分クロローN,N−ジイソプロピルアミノメトキシフォスフィン(40mg,0.3mmol)で処理した。過剰量のクロロフォスフィンをメタノールで失活させ、溶液を水で洗浄し、乾燥した(MgSO4)。トリヌクレオチドフォスフォールアミダイトをヘキサンから沈澱によって回収し、5’−DMT−dCBz−[PO(OMe)]−dT−[PO(OMe)]−dT−3’[P(OMe)(NiPr2)]を230mg(80%)得た。
B.5’−DMT−dCBz−[PO(OMe)]−dT−[PO(OMe)]−dT−3’−[P(OMe)(NiPr2)]を用いたDNAの調製
あらゆる場合において、自動DNA合成はApplied Biosystems ABI 340Bあるいは380B合成機で行われた。フォスフォールアミダイトを濃度10mMになるように無水アセトニトリル中に溶解し、合成機の第5の場所に据え付けた。カラムへの3つのモノマーのカップリングに引き続き、二重カップリング工程においてトリヌクレオチドを誘導した。カップリング収率は放出されたDMTカチオンの測定によって決定された。95%以上の収率が得られた。合成の完了の際に、ヘプタヌクレオチドが固相支持体から放され、塩基は通常の方法で濃アンモニア溶液で処理して脱保護した。ポリアクリルアミドゲル電気泳動(20%)およびHPLC(C18カラム、0.1Mトリエチルアンモニウム酢酸/アセトニトリル)によりヘプタヌクレオチドが形成されたことおよび失敗した配列が存在しないことを確認した。
実施例2:挿入変異導入
A.スタフィロコッカルヌクレアーゼ遺伝子内への1つの単一トリヌクレオチド挿入の一般的手順
合成は、トリヌクレオチドの準化学量論的付加の後キャッピング段階を行わないように改変して、標準的な0.2mmol合成を使用した。トリヌクレオチドフォスフォールアミダイト(25mg)を無水アセトニトリル中に溶解し、バイアルを合成機の第5の注入場所に据え付けた。各々のモノマーおよびトリヌクレオチド付加のカップリング効率は5’−DMT基の放出によって測定した。未精製のオリゴヌクレオチドの濃度は260nmの吸光度によって見積られた。
合成後、10−15nmolの未精製のオリゴヌクレオチドをフェノール抽出し、真空下で乾燥し、5μlの5mM塩化ナトリウム、1mM EDTA、10mM トリス.HCl、pH8.1に65℃30分で再溶解した。等量の95%ホルムアミド、20mM EDTA,0.1%ブロモフェノールブルー、および0.1%キシレンシアノールを加えて、試料を100℃で2分間加熱し、42cmの長さの15−20%ポリアクリルアミドゲルの0.4mmの溝に載せ、キシレンシアノールがゲルの中央より下に来るまで750Vで電気泳動した。ゲルは2mg/ml臭化エチジウムで30分染色し、オリゴヌクレオチドのバンドをUV照射で視覚化し、主要なバンドのすぐ上の0.5−1.0cm部分を切り出し、300mM酢酸ナトリウム、5mM EDTA中で37℃で一晩溶出した。小片を除去するために簡単に遠心した後、オリゴヌクレオチド混合物をエタノール沈澱した。
未精製のオリゴヌクレオチド混合物をポリヌクレオチドキナーゼを用いて[g−32P]ATPで放射ラベルし、n+3バンドの存在を確かめ、その収率を定量した。精製したn+3オリゴヌクレオチドの約1pmolを、スタフィロコッカルヌクレアーゼ遺伝子を持つウラシルを含むM13由来のファージに突然変異導入するのに使用した。変異プラークを呈色性の指示寒天培地を用いて同定し、各々の変異プラークのヌクレアーゼ遺伝子をその全長にわたってダイデオキシ法でシーケンスした。
B.1つあるいは2つのコドンの挿入の一般的な技術
スタフィロコッカルヌクレアーゼ遺伝子の突然変異導入オリゴヌクレオチドの合成において、DMT−dGdCdT−フォスフォールアミダイトおよびDMT−dGdGdT−フォスフォールアミダイトの混合物の準化学量論的カップリングを行った。1−3%カップリングの収率のあったこの反応に続いて、無水酢酸による標準的なキャッピング段階を省略した。(さもなければ、反応を行わなかった97−99%の鎖がさらなるカップリングに対して不活性化される。)続く亜リン酸塩の酸化および5’−DMT基の脱保護の段階は、慣用されているモノマー付加サイクルと全く同様に行った。合成のこの点で、鎖の1−3%は5’末端に追加のdGdCdTあるいはdGdGdTコドンを持ち、残りの97−99%は配列は野生型であった。次に、3モノマー付加サイクルを行い、通常の長さの鎖および過剰のコドンを持つ鎖の両方が次の野生型コドンを受け取った。再び、コドン境界に到達し;この部位に単一コドン挿入を誘導するために、トリヌクレオチド混合物の準化学量論的カップリングを5’キャッピング反応を省略してもう1回行った。合成のこの点で、1−3%の鎖がdGdCdTあるいはdGdGdTのいずれかの第2の挿入を得て、1−3%は第一の挿入を得て、0.1%以下が両方の挿入を得て、残りの大多数は野生型の配列を持った。それからさらに3つのモノマー付加サイクルを行って全ての鎖に次の野生型コドンを付着した。全ての標的部位にコドンが挿入されるまで第3のモノマーカップリングを行った後、さらにトリヌクレオチド混合物のカップリングを行った。それから最終的に6−9モノマーカップリングを行い、オリゴヌクレオチドによる1本鎖DNA鋳型における第2の鎖の合成のプライミングに必要な野生型配列との相同性を増加させた。
C.単一コドン挿入変異導入のためのdGdCdTトリヌクレオチドの使用
トリヌクレオチドdGdCdTの挿入はスタフィロコッカルヌクレアーゼ遺伝子の64/65,65/66,および66/67コドン境界でなされた。精製されたオリゴヌクレオチド混合物は1本鎖ファージの変異導入に使用され、生じたファージプラークの15%はヌクレアーゼ活性が欠如していた。シーケンスされた24の分離した変異のうち、11はdGdCdT挿入を65/66に持ち、11はdGdCdTを66/67に持ち、1つは野生型で、そして、もう1つはオリゴヌクレオチド配列内に単一ヌクレオチド欠失を持っていた(これは、おそらく精製段階でゲルによって除去されなかったn−1オリゴヌクレオチドのコンタミネーションによるものである)。これらの同じ3つの部位にdGdGdT挿入を行った同一の実験では、64/65にdGdGdTが挿入したものが5つ、65/66に挿入したものが10個、66/67に挿入したものが3つ、野生型が1つ、単一ヌクレオチド欠失が1つ、そして、ヌクレアーゼ遺伝子中のオリゴヌクレオチドの他の部分へのミスペアリングのため生じた4つの変異が得られた。
D.多数のコドン挿入変異導入のためのdGdCdTおよびdGdGdTの使用
図4は5’−DMT−dGdCdT−フォスフォールアミダイトおよび5’−DMT−dGdGdT−フォスフォールアミダイトの等モル混合物(4.1mM)を挿入変異導入に使用した2つの実験の結果を示す。ヒストグラムはスタフィロコッカルヌクレアーゼ遺伝子中で回復したアラニン(棒グラフの陰の部分で示される)およびグリシン(棒グラフの白い部分で示される)コドン挿入変異の分布および頻度を示す。第一の実験で、長さn=29の野性型オリゴヌクレオチドを作成し、スタフィロコッカルヌクレアーゼ遺伝子のコドン98および103間の各々5コドン境界を標的に挿入した。38変異プラークのうち24が単一コドン挿入を含み、99/100を除く全ての位置における挿入が現れた(図4A)。残りの変異のうち13はn−1バンドのコンタミネーション由来のオリゴヌクレオチドによる突然変異と一致するオリゴヌクレオチド配列内の単一ヌクレオチド欠失を示した。さらに、1つの単一ヌクレオチド挿入が見つかった。
第二の実験において、スタフィロコッカルヌクレアーゼ遺伝子のコドン33および43の間の10のコドン境界のうち9つに挿入が起こるように、n=46の長さの野性型オリゴヌクレオチドが合成された。この場合、37のシーケンスした変異プラークのうち21が標的部位にdGdGdTあるいはdGdCdT挿入を含んでいた;これらの挿入の分布は図4Bに示した。再び、オリゴヌクレオチド中の単一ヌクレオチド欠失が主要のコンタミネーションで(12分離された)、残りは2つの単一ヌクレオチド挿入と2つの大きな欠失であった。
実施例3:置換変異導入
A.Fmoc(フルオレン−9−イルメトキシカルボニル)保護基を持った、ロイシンをコードするトリヌクレオチドホスホールアミダイトの合成
ロイシンコドンを規定するトリヌクレオチドを、標準的な溶液相化学を用いてカスタム合成することができる。乾燥ピリジン中に5’−OHトリヌクレオチドを再懸濁し、次いで1.5等量のFmoc−Clと共に0℃で1時間インキュベートすることで、50%以上の収率で、5’−Fmoc保護されたトリヌクレオチドを生産することができる。RP−HPLCを用いて5’−Fmocトリヌクレオチドを精製することができ、その構造は1H−NMRスペクトロスコピーを用いて支持することができる(レーマン(Lehmann),C.、ズー(Xu),Y.、クリストドーロー(Christodoulou),C.、タン(Tan),Z.とゲイト(Gait),M.J.(1989)Nucl.Acids Res.17,2379-2389)。標準的な方法(バルゴビン(Balgobin),N.とシャットパディアヤ(Chattopadhyaya),J.(1987)Nucleosides and Nucleotides 6,461-463を参照)を用いて、5’−Fmocトリヌクレオチドをホスフィチル化(phosphitylate)し、得られたホスホールアミダイトを精製することができる。最終産物5’−Fmoc−dCBz−[PO(OMe)]−dT−[PO(OMe)]−dT−3’−[P(OMe)(NiPr2)]の構造は、1Hおよび31P−NMRスペクトロスコピーを用いて支持することができ、該トリヌクレオチドにより誘導される変異のDNAシークエンスを決定することにより確認できる。凍結乾燥した産物は、アルゴン存在下で琥珀色のバイアル中に25mgずつ−70℃で保存すべきである。
B.5’−O−Fmoc−dCdTdTホスホールアミダイトを用いたコドン置換
オリゴヌクレオチドは、340Bアプライドバイオシステムズ DNA合成機で市販提供されている0.2μモル合成ルーチンを用いて合成することができる。本ルーチンは、トリヌクレオチドの準化学量論的な付加後のキャッピング工程を除くよう改変される。別のバイアルから100mMのDBU(1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−ウンデク−7−エン)を添加し、カップルしたトリヌクレオチドの5’−Fmoc保護基の除去を、続けて3回行われるモノヌクレオチドカップリングサイクル後にもたらすような工程が加えられる。モノヌクレオチドおよびトリヌクレオチドのカップリング効率は、遊離のDMTおよびFmoc基の、それぞれ498および305nmでの吸光度を追跡することにより測定することができる。5’−DMT基を含む最終オリゴヌクレオチド産物を固相支持体から切断し、RP−HPLCにより短い産物を除いて精製し、その後に残っている保護基を標準的に除くことができる。
オリゴヌクレオチドの濃度は260nmでの吸光度から計算することができる。およそ1pモルの精製オリゴヌクレオチドを用いて、ウラシルを含むM13ファージ(スタフィロコッカスのヌクレアーゼの遺伝子を持つ)を変異導入することができる(クンケル(Kunkel),T.A.(1985)Proc.Natl.Acad.Sci. USA 82,488-492を参照)。変異体プラークは、呈色性の指示寒天培地(ショートル(Shortle),D.(1983)Gene 22,181-189)を用いて同定し、各変異体ファージのヌクレアーゼ遺伝子をジデオキヌクレオチドチェーンターミネーション法によって隅々までシークエンスすることができる(サンガー(Sanger),F.、ニックレン(Nicklen),S.とクールゾン(Coulson),A.R.(1977)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74,5463-5467を参照)。
実施例4:欠失変異導入
A.5’−Fmoc(フルオレン−9−イルメトキシカルボニル)保護基を持った、デオキシチミジン モノヌクレオチドホスホールアミダイトの合成
乾燥ピリジン中にデオキシチミジンを懸濁し、次いで1.5等量のFmoc−Clと共に0℃で1時間インキュベートすることで、50%以上の収率で、5’−Fmoc保護されたモノヌクレオチドを生産することができる。RP−HPLCを用いて5’−Fmocモノヌクレオチドを精製することができ、その構造は1H−NMRスペクトロスコピーを用いて支持することができる(レーマン,C.、ズー,Y.、クリストドーロー,C.、タン,Z.とゲイト,M.J.(1989)Nucleic.Acids Res. 17,2379-2389)。標準的な方法(バルゴビン,N.とシャットパディアヤ,J.(1987)Nucleosides and Nucleotides 6,461-463を参照)を用いて、5’−Fmocモノヌクレオチドをホスフィチル化し、得られた3’−ホスホールアミダイトを精製することができる。最終産物5’−FmocO−dT−3’−[P(OMe)(NiPr2)]の構造は、1Hおよび31P−NMRスペクトロスコピーを用いて支持することができ、該モノヌクレオチドを用いて誘導される変異のDNAシークエンスを決定することにより確認できる。凍結乾燥した産物は、アルゴン存在下で琥珀色のバイアル中に25mgずつ−70℃で保存すべきである。
B.コドン欠失を伴うオリゴヌクレオチド合成
オリゴヌクレオチドは、340Bアプライドバイオシステムズ DNA合成機で市販提供されている0.2μモル合成ルーチンを用いて合成することができる。本ルーチンは、モノヌクレオチドの準化学量論的な付加後のキャッピング工程を除くよう改変される。別のバイアルから100mMのDBUを添加し、続けて4回行われるモノヌクレオチドカップリングサイクル後に,カップルしたトリヌクレオチドの5’−Fmoc保護基の除去をもたらすような工程を含む。5’−Fmocモノヌクレオチドおよび5’−DMT−モノヌクレオチドのカップリング効率は、遊離のDMTおよびFmoc基の、それぞれ498および305nmでの吸光度を追跡することにより測定することができる。最終オリゴヌクレオチド産物を固相支持体から切断し、サイズに基づいて精製し、その後に残っている保護基を標準的に除くことができる。
オリゴヌクレオチドの濃度は260nmでの吸光度から計算することができる。およそ1pモルの精製オリゴヌクレオチドを用いて、上記のようにしてウラシルを含むM13ファージに変異導入することができる。変異体プラークは呈色性の指示寒天培地を用いることにより同定することができ、各変異体ファージのヌクレアーゼ遺伝子を上記のようにジデオキシヌクレオチドチェーンターミネーション法によって隅々までシークエンスすることができる。
Claims (11)
- モノマーの段階的カップリングを一時停止する工程、そして
それぞれが3’-ホスホールアミダイトを含むトリヌクレオチドの混合集団を、1つまたはそれ以上のコドン境界での化学量論的取り込みのために使用して、混合配列を有する前記DNA分子集団を形成する工程、
を含む、DNA分子内の1またはそれ以上の箇所において互いに相違する、混合配列を有するDNA分子集団を、1回の自動DNA合成において調製する方法。 - 該DNA分子集団がペプチドまたはタンパク質をコードし、そして該トリヌクレオチドが1つ若しくは複数のコドン境界に取り込まれる、請求項1に記載の方法。
- 該トリヌクレオチドが5’-DMT基および3’-ホスホールアミダイトを持つ、請求項1に記載の方法。
- (a)5’-DMT基を持つオリゴヌクレオチド配列を、カップリングされるオリゴヌクレオチド配列の数が、成長中のDNA鎖集団における5’-末端の数よりも少なくなるように、準化学量論的にカップリングさせ、
(b)全ての5’-DMT基を切断し、
(c)モノマーもしくはさらにオリゴヌクレオチド配列をカップリングさせることによりDNA合成を続行する、
工程から成る、DNAの化学合成中に1つ若しくは複数の選択された箇所にオリゴヌクレオチド配列を挿入する方法。 - (a)レブリネート、シリルエーテル、フルオレン-9-イルメトキシカルボニル(Fmoc)、テルトーブチルジメチルシリル、アリルオキシカルボニル、ジブロモメチルベンゾイル、5’-O-b-置換エチルスルフォニル、テトラヒドロピラニル(Thp)、メトキシテトラヒドロピラニル(Mthp)、1-[(2-クロロ-4-メチル)フェニル]-4-メトキシピペリジン-4イル(Ctmp)、トリチルオキシアセチル、およびテトライソプロピルジシロキシからなる群から選択される安定な5’-保護基を持つオリゴヌクレオチド配列を、カップリングされるオリゴヌクレオチド配列の数が、成長中のDNA鎖集団における5’-末端の数よりも少なくなるように、準化学量論的にカップリングさせ、
(b)5’-DMT基を有する選択されたモノマーを、前記安定な5’-保護基を有する該オリゴヌクレオチドを獲得しなかったDNA分子に付加し、
(c)該オリゴヌクレオチド配列を獲得したDNA分子上の5’-保護基を切断し、そして;
−さらにモノマーをカップリングさせる、若しくは
−(a)からの一連の工程を繰り返す
工程から成る、DNAの化学合成中に1つ若しくは複数の選択された箇所にオリゴヌクレオチド配列を置換する方法。 - 該オリゴヌクレオチド配列がトリヌクレオチドで、該選択された箇所がコドン境界である、請求項4もしくは5のいずれかに記載の方法。
- 該オリゴヌクレオチド配列が5’-DMT基および3’-ホスホールアミダイトを持つ、請求項4から6のいずれかに記載の方法。
- 該オリゴヌクレオチド配列が複数の分子種を含む、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
- (a)レブリネート、シリルエーテル、フルオレン-9-イルメトキシカルボニル(Fmoc)、テルトーブチルジメチルシリル、アリルオキシカルボニル、ジブロモメチルベンゾイル、5’-O-b-置換エチルスルフォニル、テトラヒドロピラニル(Thp)、メトキシテトラヒドロピラニル(Mthp)、1-[(2-クロロ-4-メチル)フェニル]-4-メトキシピペリジン-4イル(Ctmp)、トリチルオキシアセチル、およびテトライソプロピルジシロキシからなる群から選択される安定な5’-保護基を持つモノヌクレオチドを、カップリングされるオリゴヌクレオチド配列の数が、成長中のDNA鎖集団における5’-末端の数よりも少なくなるように、準化学量論的にカップリングさせ、
(b)5’-DMT基を有する選択されたモノマーを、前記安定な5’-保護基を有する該モノヌクレオチドを獲得しなかったDNA分子に付加し、
(c)安定な5’-保護基を持つモノヌクレオチドを獲得したDNA分子から5’-保護基を切断し、そして;
−さらにモノマーをカップリングさせる、若しくは
−(a)からの一連の工程を繰り返す
工程から成る、DNAの化学合成中に1つ若しくは複数の選択された箇所でオリゴヌクレオチド配列を欠失させる方法。 - 前記安定な5’-保護基を持つ該モノヌクレオチドがコドン境界を形成するよう付加され、後のコドン境界にて脱保護化がなされる、請求項9に記載の方法。
- 該モノヌクレオチドが3’-ホスホールアミダイトを持つ、請求項9若しくは10のいずれかに記載の方法。
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