JP4138408B2 - 非接触式眼圧計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体を圧縮して被検眼に吹付け、角膜の変形状態を検出することにより眼圧を測定する非接触式眼圧計に関する。
【0002】
【従来技術】
非接触式眼圧計としては、シリンダ内の空気をピストンで圧縮し、シリンダに連通する圧縮室からノズルを通して被検眼に圧縮空気を吹付けて角膜を変形させるようにした機構のものが知られている。被検眼に吹付ける空気の圧縮は、ピストンをソレノイド等の駆動装置に電流を供給することによって駆動させて行う。角膜の変形を検出した後は、ピストンの駆動装置への通電を止め、ばね等の復元力によりピストンを初期位置まで戻す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ピストンが初期位置に戻される過程においては、ノズルから外部の空気が吸い込まれ、空気の吸い込みと共に埃や睫毛などの異物がシリンダ内に吸い込まれやすい。睫毛ぐらいの大きさの物がシリンダとピストンの隙間に入り込んだ場合には、ピストンのロック(ピストンが初期位置に戻らずに、途中停止する状態)が発生することがあった。こうした場合、検者はシリンダ内を覗くことができないためにピストンロックの発生状態を認識することが困難であった。ピストンのロックに気付かないままでいると、次の眼圧測定時にピストンが移動しなかったり、所期する圧縮空気が被検眼に吹き付けられなくなり、適切な眼圧測定が行えない。
【0004】
本発明は、上記従来技術の問題点を鑑み、ピストンのロックの発生を知ることができ、必要な処理が行い易い非接触式眼圧計を提供することを技術課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) ピストンをシリンダ内で往復移動させる移動手段を有し、ピストンによりシリンダ内の空気を圧縮し、圧縮した空気を被検眼角膜に吹き付け、光検出器により角膜変形の検出信号を得たときの圧力検出器によるシリンダ内の検出圧力に基づいて眼圧を得る非接触式眼圧計において、前記ピストンが測定時の初期位置にあるかどうかを検知する検出部と、該検出部からの出力信号に基づいてピストンロックが発生したかどうかを検知するピストンロック検知手段と、を備えたことを特徴とする非接触式眼圧計。
(2) ピストンをシリンダ内で往復移動させる移動手段を有し、ピストンによりシリンダ内の空気を圧縮し、圧縮した空気を被検眼角膜に吹き付け、光検出器による角膜変形の検出信号に基づいて眼圧を得る非接触式眼圧計において、前記ピストンが測定時の初期位置にあるかどうかを検知する検出部と、該検出部からの出力信号に基づいてピストンロックが発生したかどうかを検知するピストンロック検知手段と、該ピストンロック検知手段の検知に基づいて、前記移動手段に眼圧測定時とは異なる駆動エネルギを与え、ピストンロックの状態を解除するピストンロック解除手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本実施例について図面に基づいて説明する。図1は実施例の非接触式眼圧計の流体圧を創出する空気圧縮機構の側方概略構成と制御系を示す図であり、図2はノズル付近の光学系を上方より見た図である。図3はソレノイド位置検出部を上方より見た図である。
【0007】
1は空気圧縮用のシリンダ部であり、眼圧計本体の水平線に対して傾斜して設けられている。2はピストンである。3はロータリソレノイドであり、ロータリソレノイド3は駆動電流が付与されると、アーム4、コネクティングロッド(ピストンロッド)5を介してピストン2を上に押し上げる。
【0008】
ロータリソレノイド3の回転軸には、遮光板50が取り付けられている。遮光板50はロータリソレノイド3の回転にともない、回転軸を中心にアーム4と共に回転するようになっている。また、遮光板50の回転状態を検出する検出部51が、ロータリソレノイド3の付近に設けられている。検出部51は、図3のように、LED等の発光部52とフォトダイオードの受光部53によって構成されている。ピストン2が初期位置にあるときには、遮光板50は検出部51に検出されず、受光部53は発光部52からの検出光を受光する。ピストン2が初期位置から外れたときには、遮光板50は発光部52と受光部53の間に移動し、受光部53は発光部52からの検出光を受光しない状態となる。遮光板50と検出部51とにより、ピストン2が初期位置に戻っているか否かを検知するピストンロックの検知機構が構成される。この検知機構は、エンコーダを使用することもできる。
【0009】
ピストン2の上昇によりシリンダ部1に連通する空気圧縮室34で圧縮された空気は、ノズル6から被検眼7の角膜に向けて噴出される。また、ロータリソレノイド3には図示なきコイルバネが備えられており、付与される電流がカット又は減じられると、コイルバネの下降方向への付勢力により上昇したピストン2を下降させて初期位置に戻す。図5のように、シリンダ部1の気体室内は円形であり、その最上部10の部分は、他の部分に比べ0.3mm程度大きくとってある大径部となっている。ピストン2が最も上昇した時、ピストン2の側部の半分程度が最上部10にかかるようになっている。大径部となる最上部10は、シリンダ部1の内径全体を大きくする場合に限らず、部分的に大きくするような切れ込みでも良い。
【0010】
8は透明なガラス板であり、ノズル6を保持するとともに、観察光やアライメント光を透過させる。またガラス板8は空気圧縮室34の側壁となっている。9はノズル6の背面に設けられた透明なガラス板であり、空気圧縮室34の後壁を構成するとともに、観察光やアライメント光を透過させる。ガラス板9の背後には、観察・アライメント光学系11が配置されるが、本発明とは関連が少ないため、説明は省略する。
12は空気圧縮室34の圧力を検出する圧力センサ、13はエア抜き穴である。エア抜き穴13により、ピストン2に初速が付くまでの間の抵抗が減少され、時間に比例的な立ち上がりの圧力変化を得ることができる。
【0011】
図2おいて、14は角膜圧平検出用の赤外LEDであり、LED14を出射した光はコリメ−タレンズ15により平行光束とされて被検眼の角膜に投光される。角膜で反射した光は受光レンズ16、ピンホ−ル板17を通過して光検出器18に受光される。角膜圧平検出用の光学系は、被検眼が所定の圧平状態のときに光検出器18の受光量が最大となるように配置されている。
【0012】
20は制御回路、21は圧力センサ12からの信号処理を行う圧力検出処理回路、22は光検出器18からの信号処理を行う信号検出処理回路、23はロータリソレノイド3を駆動させるための駆動回路、24は検出部41からの信号処理を行う処理回路である。25は観察時に使用される表示用モニタ、26はピストンロックの解除を指令するためのスイッチである。
【0013】
以上のような構成を備える非接触式眼圧計において、以下に動作について説明する。
検者は被検眼7を所定の位置に配置させ、図示なきジョイスティックを操作してアライメント調整を行う。アライメントが完了したら、検者は測定開始スイッチを押して(あるいは制御回路20がアライメント光学系からの信号に基づき測定開始信号を自動的に発して)測定を開始する。制御回路20は測定開始信号が入力されると駆動回路23を介してロータリソレノイド3に動作可能な駆動エネルギとしての電流(電圧)を付与してこれを駆動させる。
【0014】
ロータリソレノイド3の駆動により、ピストン2は上昇する。ピストン2の上昇により空気圧縮室34の空気が圧縮され、圧縮空気がノズル6から被検眼7の角膜に向けて吹付けられる。被検眼7の角膜は、吹き付けられた圧縮空気によって徐々に変形される。LED14から投光された光の角膜による反射光は光検出器18へ入射し、角膜の変形状態が光検出器18により検出される。制御回路20は、光検出器18からの角膜変形の検出信号と圧力センサ12で検知された圧力とに基づいて眼圧を得る。
【0015】
また、制御回路20は光検出器18により被検眼が所定の圧平状態になったことが検知されると、ロータリソレノイド3への電流供給を止める。ピストン2は、ロータリソレノイド3への電流が止められた後も慣性力で上昇するが、ピストン2にはコイルバネによる下降方向への付勢力が働く。コイルバネの付勢力とピストン2にかかる重力によりピストン2の速度は減衰されて一旦停止し、その後下降するようになる。
【0016】
ピストン2が下降し空気圧縮室34が負圧になると、ノズル6からは空気が吸い込まれる。ピストン2はコイルバネの付勢力とピストン2にかかる重力により速度を増して下降するため、ノズル6からシリンダ1内に急激に空気が吸い込まれてしまう。
【0017】
このような急激な空気の吸込みによって、涙、埃、睫毛などが外部の空気とともにシリンダ1内に進入することがある。そのうえ、これらの異物がシリンダ1とピストン2の間に挟まり、ピストンロックが生じてしまう場合がある(睫毛の場合が多い)。
【0018】
ピストン2が初期位置の状態から上昇し、再び初期位置に戻る間は、検出部51の発光部52からの光が遮光板50によって遮られるため、受光部53の受光信号はOFFとなる。ピストン2が途中で停止せず、初期位置まで戻れば、遮光板50は検出部51から外れ、受光部53の受光信号は再びONとなる。図4(a)は、ピストン2が正常に作動した際の受光部53の出力信号を表したものである。時刻T1は、ソレノイド3の駆動によりピストン2が初期位置を離れた時である。時刻T2は、ソレノイド3の駆動停止後にピストン2が初期位置に戻った時である。
【0019】
ここで、ピストン2が初期位置に戻る際に途中で停止し、ピストンロックが発生した場合、遮光板50が検出部51に位置したままとなるので、受光部43の受光信号もOFFのままとなる。図4(b)はピストンロックが発生した時の受光部の出力信号を表したものである。眼圧測定が終了したときの時刻T3(例えば、ソレノイド3の駆動開始から一定時間後)になっても、受光部53の受光信号がOFFのままの場合、制御回路20はピストン2が途中で停止し、ピストンロックが発生したと判定し、モニタ25にその旨のエラーメッセージを表示させ、検者に知らせる。あるいは、エラー音を発生させる。これにより、検者はピストンロックが発生したことを認識できる。
【0020】
検者がピストンロックの解除用のスイッチ26(これは、眼圧測定の測定開始スイッチを兼用しても良い)を押すと、制御回路20はロータリーソレノイド3を駆動する。このとき、ピストン2が最上部に移動するまでの時間だけロータリソレノイド3に駆動エネルギとしての電流を印加する。通常の眼圧測定時は、ピストン2は最上部までは移動しない。また、同時に、通常の眼圧測定時より大きな駆動力が発生するように、駆動電流値を増大させることが好ましい。ロータリソレノイド3の駆動によりピストン2は動き始め、シリンダ1とピストン2の間に異物が挟まりながらも、シリンダ1の最上部まで移動する。このとき、シリンダ1とピストン2の間に挟まった異物は、シリンダ1の他の部分に比べ径が大きくなっているシリンダ1の最上部10に誘導される。もしくは、ピストン2の上昇により、シリンダ1底部に落下する。シリンダ1とピストン2の間に異物が無くなり、ピストン2が初期位置に戻れば、検出部41の受光部43の受光信号はONとなり、モニタ25に表示されたエラーメッセージが消える。
【0021】
スイッチ26を押した後、一定時間経過してもピストン2のロックが解消されない場合は、再びモニタ25にエラーメッセージが表示される。スイッチ26によるソレノイド3の駆動を実行してもエラーメッセージが解消されない場合は、サービスマンによる保守点検を依頼する等、必要な処理を取れば良い。
【0022】
以上の実施形態ではピストンのロック検知機構をソレノイド3側に設けたが、ピストン2の移動が検知できれば良いので、アーム5やコネクティングロッド5に設けても良い。もちろん、ピストン2の移動を直接検知するようにしても良い。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ピストンのロックの発生を知ることができ、必要な処置を取り易くなる。また、異物の除去が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例である非接触式眼圧計の空気圧縮機構の側方概略構成と制御系を示す図である。
【図2】実施例である非接触式眼圧計の空気圧縮機構のノズル付近の光学系を上方より見た図である。
【図3】ロータリソレノイドに取り付けられた遮光板の検出機構の説明図である。
【図4】ピストンが初期位置に戻る時の受光部の出力信号を表したものである。
【図5】ピストンがシリンダの最上部に達する時の説明図である。
【符号の説明】
1 シリンダ部
2 ピストン
3 ロータリソレノイド
10 最上部
20 制御回路
24 ピストン検出回路
25 モニタ
26 スイッチ
50 遮光部
51 検出部
52 発光部
53 受光部
Claims (2)
- ピストンをシリンダ内で往復移動させる移動手段を有し、ピストンによりシリンダ内の空気を圧縮し、圧縮した空気を被検眼角膜に吹き付け、光検出器により角膜変形の検出信号を得たときの圧力検出器によるシリンダ内の検出圧力に基づいて眼圧を得る非接触式眼圧計において、前記ピストンが測定時の初期位置にあるかどうかを検知する検出部と、該検出部からの出力信号に基づいてピストンロックが発生したかどうかを検知するピストンロック検知手段と、を備えたことを特徴とする非接触式眼圧計。
- ピストンをシリンダ内で往復移動させる移動手段を有し、ピストンによりシリンダ内の空気を圧縮し、圧縮した空気を被検眼角膜に吹き付け、光検出器による角膜変形の検出信号に基づいて眼圧を得る非接触式眼圧計において、前記ピストンが測定時の初期位置にあるかどうかを検知する検出部と、該検出部からの出力信号に基づいてピストンロックが発生したかどうかを検知するピストンロック検知手段と、該ピストンロック検知手段の検知に基づいて、前記移動手段に眼圧測定時とは異なる駆動エネルギを与え、ピストンロックの状態を解除するピストンロック解除手段と、を備えることを特徴とする非接触式眼圧計。
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