JP4138097B2 - 作業車両の走行装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、汎用コンバイン等の農作業車両の走行装置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりコンバイン等の農作業車両の走行装置としてトラックフレームに複数の遊転輪や緊張輪(従動輪)を支持し、走行ミッション装置に駆動される駆動転輪をトラックフレームの前上方に配置して、これらの駆動転輪や遊転輪や緊張輪にゴム製のクローラベルトを巻回して回転させて走行駆動させていた。前記クローラベルトの内周面にクローラベルトの左右幅方向に長い芯金が埋設され、芯金の左右中央部に駆動転輪の両側方と遊転輪の左右のローラ間に位置する爪を突出して、クローラベルトが左右にズレて外れることを防止する技術は公知となっている。さらに、前記遊転輪や緊張輪は、これらの転輪を支持する軸若しくはピンにベアリング等を介して枢支され回動自在にクローラベルトの内周面をガイドする構成となっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記芯金中央部に爪を突出して外れ防止を行う構成では、籾がコンバインのグレンタンクに大量に貯留されクローラ式走行装置に大きな負荷がかかった状態となり、この状態で機体を急旋回させたりするとクローラベルトが横ズレしやすく、芯金の爪への負担が大きくなり磨耗等の損傷が激しくなり、クローラベルトを交換する時期が早くなっていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
トラックフレーム(306)に配設した複数の遊転輪(307)とクローラ緊張輪(308)と、走行ミッション装置側方に軸支される駆動用輪体(305)とに、クローラベルト(309)を巻回した作業車両の走行装置において、該クローラベルト(309)内に前後間隔を開けて芯金(310)を埋設し、該芯金(310)の左右幅方向の中央部の内側に左右の内爪部(310a・310a)を、外側に左右の外爪部(310b・310 b)を、該クローラベルト(309)の内周面に突起し、左右の遊転輪(307・307)の内側面と外側面とをガイドさせ、該遊転輪(307・307)は支点(307c)により支持し、該支点(307c)をベアリング等を介して枢結部(333)で軸受支持し、該枢結部(333)の上部には、取付部(334)を上方へ突出形成し、該取付部(334)は下方を開放したトラックフレーム(306)内に挿入し、該取付部(334)とトラックフレーム(306)を、前記支点(307c)を中心として同一円周上に配置したボルト(313・313・313)により螺合固定し、前記遊転輪(307)を構成する左右のローラ(307a・ローラ307a)の側面にも、前記ボルト(313・313・313)を挿入する複数の孔(307b・307b・・・)を開口し、該複数の孔(307b・307b・・・)は、前記ボルト(313・313・313)と同一円周上に開口したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。まず、本発明に係わる汎用コンバインの全体構成を図1より説明する。図1は汎用コンバインの全体側面図一部断面図である。クローラー式走行装置1上に機枠フレーム13が搭載され、該機枠フレーム13上に選別装置19や脱穀部18と、エンジン48等を収納するエンジンルーム49が載置固定され、脱穀部18上にはグレンタンク30が配置され、該グレンタンク30側部にはその内部に貯留された穀粒を排出する排出オーガ40が配置されている。また、前記機枠フレーム13より前方に刈取部8が突出されている。刈取部8はプラットホーム2内に横送りオーガ3を左右方向に収納し、回転駆動することによって穀稈を略左右中央に集めるようにしている。前記プラットホーム2前端下部には刈刃4が横設され、該刈刃4の前上方には掻込リール5が配設されている。前記プラットホーム2の両側の後部上に昇降リンク6の後部が枢支され、該昇降リンク6の前端に前記掻込リール5が回転自在に支持され、油圧モーター等によって掻込リール5が回転駆動される。また、前記プラットホーム2の両側前端には分草板7が配設されている。
【0006】
前記刈取部8と脱穀部18の間には搬送装置9が配置され、該搬送装置9は、フィーダハウス10内にコンベア11が収納され、前記プラットホーム2の後部左右中心よりやや進行方向に対して左側寄りで、前記横送りオーガ3のスクリュー羽根の送り終端位置に合わせてフィーダハウス10の前端が連通されている。該フィーダハウス10の後端は、脱穀入口12に連通されており、該脱穀入口12には左右水平方向に回転軸心を有する円筒状のビータ34が配置され、穀稈を強制的に脱穀部18へ送るようにしている。フィーダハウス10の後部は機枠フレーム13に昇降回動自在に支持されている。そして、フィーダハウス10の下面と機枠フレーム13との間には油圧シリンダーを介装して、刈取部8を昇降可能としている。さらに、前記フィーダハウス10とビータ34の上方には運転席15や操向ハンドル16等を収納したキャビン17を配置し、該キャビン17は機体左右中央前方の上方位置に配置して視界を良好として、刈取作業を確認し易くしている。
【0007】
次に、前記キャビン17とクローラ式走行装置1及びエンジンルーム49の構成について説明する。図23はキャビンの平面図、図24はキャビンの側面図、図25はキャビンの正面図、図26はクローラ式走行装置の側面図、図27は遊転輪の正面断面図、図28はクローラ緊張輪等の支持構成を示す平面図一部断面図、図29はエンジンルームの吸気構成を示す側方断面図、図30は同じく正面断面図、図31は同じく平面断面図である。
【0008】
前記キャビン17後部は、図24に示すように、機枠フレーム13前部に防振ゴム276を介して載置され、脱穀部18や選別装置19等からの振動が伝わらないように防振支持されている。また、前記キャビン17は載置フレーム275前部に配置した左右回動支点軸277を中心として、後部を前上方に回動させることによって、ビータ34や脱穀部18の前方を開放でき、前方よりこれらのメンテナンスができるようにしている。
【0009】
また、前記キャビン17下部のフロア255の左右側部に、図23に示すように、搭乗ステップ256・256がキャビン17外側方に向かって突設され、該搭乗ステップ256・256の下部に階段状の乗降ステップ257・257上部が固設され、該乗降ステップ257下部を圃場面の直上方まで延出させており、作業者は左右両側の乗降ステップ257・257及び搭乗ステップ256・256を利用してキャビン17左右両側より乗り降りすることができるようにしているのである。
【0010】
また、図24、図25に示すように、前記キャビン17後部にはエアコンユニット258が配設され、該エアコンユニット258下部に外気と熱交換を行うコンデンサー259が配設されている。キャビン17の天井部には、内下方に膨出させたエアダクト260・260が左右両側に形成され、該エアダクト260・260前部に内下方に向けて吹出口260a・260aが設けられており、前記エアコンユニット258で温度調整されたエアーがエアダクト260・260を介して吹出口260a・260aより吹き出されてキャビン17内の温度を調整するようにしている。
【0011】
また、前記キャビン17のフロア255前部の左右中央部より上方にフロントコラム261が立設され、その上部に操向ハンドル268が配置され、フロントコラム261上部側面より主変速レバー262が突設されている。前記フロントコラム261後部左右中央部に運転席263が設けられ、該運転席263右側方の右サイドコラム264には脱穀クラッチレバー265と刈取クラッチレバー266とが配設されている。前記運転席263左側方の左サイドコラム267には副変速レバー269が設けられている。
【0012】
前記副変速レバー269は、下部が左右方向の支軸に軸支され前後に副変速操作可能に軸支され、この操作が前後揺動リンク270よりL型のリンク271を介し、キャビン17後下方に配置した上下動リンク272上部に伝達され、該上下動リンク272下部がキャビン17下方で前記機枠フレーム13前部に配置した走行ミッション装置45後方まで延出され、アーム274を介して副変速操作が走行ミッション装置45に伝達される。このようにリンク機構を介して副変速操作を行うことができ、ワイヤーを用いた構成に比べて操作を正確に伝達することができるのである。
【0013】
次に、前記クローラー式走行装置1に構成について説明する。左右のクローラ式走行装置1・1はいずれも同一構造であるため、以下、進行方向に左側のクローラ式走行装置1についてのみ説明する。
【0014】
図26〜図28において、エンジンからの動力を機体前下部に配置した走行ミッション装置45により変速して、機枠フレーム13前下方に配置した略スプロケット状の駆動用輪体305に伝える構成としている。クローラ式走行装置1は前記駆動用輪体305と、前記機枠フレーム13下部に連結したトラックフレーム306と、該トラックフレーム306に取り付けた複数個の遊転輪307・307・・・及びクローラ緊張輪308と、前記駆動用輪体305及び遊転輪307・307・・・及びクローラ緊張輪308とに巻回するゴム製のクローラベルト309から成り、前記駆動用輪体305に伝えられた動力でクローラベルト309を回転駆動するようにしている。
【0015】
前記クローラベルト309内には適宜間隔を開けて芯金310が埋設されており、その位置はクローラベルト309の左右幅方向の中央部、上下厚み方向の略中央部に配設されている。前後方向の芯金310の間の左右方向中央部位置にはスプロケット状の駆動用輪体305の外周部の突起を挿入できる孔を設けて駆動力を伝達できるようにしている。また、前記芯金310には内方向(図27においては上方)に向けて、左右対称に内爪部310a・310aと外爪部310b・310bが突出され、該内爪部310a・310aと外爪部310b・310bは断面視三角形状に構成されて、内爪部310aと内爪部310aの間には前記駆動用輪体305が嵌まり込むように間隔を開けて突出されている。また、内爪部310aと外爪部310bの間は、図27に示すように、遊転輪307の左右のローラ307a・307aが嵌まり込む間隔として、クローラベルト309が左右方向にズレて外れないようにガイドしている。
【0016】
前記遊転輪307・307・・・は、トラックフレーム306の前部に三個が枢支され、トラックフレーム306後部に二個が枢支されている。前側の三個の各遊転輪307・307・307の左右のローラ間には前後方向に長いそり状のクローラガイド321が配置され、該クローラガイド321は前後遊転輪307・307間のトラックフレーム306に螺合固定され、クローラベルト309の芯金左右中央部を下方に押さえつけて、クローラベルト309から圃場面に駆動力を確実に伝えるようにしている。同様に、後側の二個の遊転輪307・307間にもクローラガイド322が配置され、該クローラガイド322は後側の二個の遊転輪307・307の前方とその間位置でトラックフレーム306に螺合固定して、取付スパンを長くして緩みが発生し難い構成としている。
【0017】
これらの遊転輪307・307・・・は、図27に示すように、遊転輪307の支点ピン307cをベアリング等を介して枢結部333で軸支され、該枢結部333の上部には取付部334が上方に突出して形成され、該取付部334は下方を開放した断面視「コ」字状のトラックフレーム306内に挿入され、支点ピン307cを中心として同一円周上に三本のボルト313・313・313によって、取付部材334とトラックフレーム306を螺合固定している。一方、遊転輪307を構成する左右のローラ307a・ローラ307aの側面には前記ボルト313・313・313と同一円周上に複数の孔307b・孔307b・・・が開口されている。
【0018】
従って、遊転輪307の支点ピン307cを枢結部333で枢結した状態で、トラックフレーム306に取り付けることができ、その取付け方法も遊転輪307の孔307bを利用してボルト313をトラックフレーム306に挿入して螺合固定する構成となっており、予め遊転輪307に支点ピン307cを組付けててトラックフレーム306に組付けることができ、簡単に遊転輪307の交換作業ができるようにしている。
【0019】
また、前記の前側三個の遊転輪307・307・307と後側二個の遊転輪307・307との間位置のトラックフレーム306、つまり、トラックフレーム306の前後中央部には、図26、図28に示すように、可動転輪315が配置されている。即ち、トラックフレーム306の前後中央部には支点ピン318が左右方向に横架され、該支点ピン318の左右端部に支持アーム317・317の前上部を枢支し、該支持アーム317・317後下部に支軸315aを軸支し、該支軸315aの左右中央部には左右幅の狭い可動転輪315を枢支している。
【0020】
前記可動転輪315はクローラベルト309の芯金310aをガイドし、圃場の凹凸によってクローラベルト309が上下しても、その凹凸に合わせて可動転輪315が上方方向に移動して、圃場の凹凸による大きな変化を吸収するとともに、ク6ーラベルト309の左右のズレを防止している。
【0021】
また、前記トラックフレーム306後上部の筒状のホルダー内には前後方向に摺動自在に支持フレーム324が設けられ、該支持フレーム324後部にクローラ緊張輪308が回転自在に取付けられている。前記支持フレーム324前部にテンションボルト325後端部が当接可能に受体が配置されている。該受体は、支持フレーム324前面に当接される板体340と該板体340後面に図示せぬボルトによって螺合される角材等よりなる当接部材341より成り、板体340の左右及び上下中央部に設けた孔内にテンションボルト325後部が挿入され、テンションボルト325後端部を当接部材341に当接させている。一方、前記テンションボルト325はトラックフレーム306後部の上方に前後向きに配置され、トラックフレーム306前後途中部より上方に突設されたナット部326に螺合されている。
【0022】
よって、前記テンションボルト325をネジ締め操作することによって、テンションボルト325がナット部326に対して前後に移動され、テンションボルト325後端部で当接部材341等を介して支持フレーム324の位置を前後に摺動させてクローラベルト309の張力を調整するのである。この時、前記テンションボルト325後端部で当接部材341前面を当接する押圧力が、当接部材341と螺合したネジを介して板体340に伝えられる構成となっており、クローラベルト309に急激な衝撃が生じても、その衝撃がクローラ緊張輪308より支持フレーム324を介して直接にテンションボルト325に伝達されることなく、当接部材341を螺合したネジで吸収することができるのである。従って、従来のようにテンションボルト325に衝撃が伝えられていた構成のように、テンションボルト325のネジ山が崩れたり、テンションボルト325を螺合したナット部326を損傷し、場合によってトラックフレーム306ごと全てを取り替えるといった重大な欠損に繋がることがないのである。
【0023】
また、図28に示すように、前記クローラ緊張輪308を支持する支持フレーム324後部は後方を開放した平面視「コ」字状に開放部324aが形成され、この開放部324a内にクローラ緊張輪308が取付けられている。即ち、前記クローラ緊張輪308は左右幅を狭くしたローラであり、該クローラ緊張輪308の支軸308aをベアリング等を収納する枢結体331・331を介して枢支している。前記枢結体331・331上部は側面視で略半円状に構成して取付部材となる取付縁部331aが形成され、該取付縁部331aを支持フレーム324後部構成した開放部324a内面に沿って配置し、開放部324aの左右外側より他の部材に干渉されることなく取付ボルト328・328・・・を用いて取付縁部331aを螺合固定して、クローラ緊張輪308を取り付けている。
【0024】
このように、クローラ緊張輪308を支持フレーム324に取付ける際にも、クローラ緊張輪308の支軸308aが予め組み付けられた状態で取り付けることができ、前記遊転輪307・307・・・の取付け構成と合わせてクローラ式走行装置1の組立性が向上されており、工場における組立性やメンテナンスにおける交換作業が容易となるのである。
【0025】
次に、図29〜図31よりエンジンへの吸気部の構成を説明する。前記エンジン48の冷却用のエアーは、エンジンルーム49上部に設けたロータリースクリーン280を介してエンジンルーム49内に導入させている。前記エンジン48右側方のラジエータ281の上方のエンジンルーム49上部には導入口49aが開口され、導入口49aを被装するように吸引カバー282が載置されている。該吸引カバー282は、下方が開放された筒状に形成され、エンジンルーム49上部と吸引カバー282下部との一部に隙間が設けられており外気が吸引カバー282内に導かれている。前記吸引カバー282内には円筒状のロータリースクリーン280が配置されている。該ロータリースクリーン280はその外径を導入口49aの外周部より大きくし、円周部が防塵用のメッシュ網で形成されている。
【0026】
また、前記ロータリースクリーン280下部の外周部には、円環状のブラシ291が導入口49a外周側のエンジンルーム49上に固設され、ロータリースクリーン280下部とエンジンルーム49上部との間を被装して、塵等が直接に導入口49a内に侵入することのないようにしている。
【0027】
さらに、前記ロータリースクリーン280の後方の吸引カバー282後部内に清掃用の吸引ファン285の吸引部286が配置されている。前記吸引ファン285の駆動は、ラジエータ281左側方に配置したラジエータファン292の駆動軸よりプーリ291とベルト294を介して、吸引ファン285のファン軸285a端部に固設したファン駆動プーリ293に伝達されている。この駆動で吸引ファン285を回転して吸引部286よりロータリースクリーン280のメッシュ網に付着した塵等を吸引するようにしている。
【0028】
また、円筒状に形成した前記ロータリースクリーン280の中心位置に回動軸283が配置され、該回動軸283の前後途中部よりロータリースクリーン280円周面上部に向けてアーム288・288・288を突設し、端部にロータリースクリーン280円周面上部が固設されている。さらに回動軸283上端部がロータリースクリーン280直上方の吸引カバー282上部に枢支され、回動軸283下部がラジエータ281上部に載置した減速ギヤケース287内に挿入されている。該減速ギヤケース287上部には電動モータ284が固設され、該電動モータ284の出力軸を減速ギヤケース287内に挿入してギヤ289・290を介して回動軸283を駆動し、該回動軸283の駆動でロータリースクリーン280が回転される。
【0029】
よって、収穫作業の為に藁屑等の塵が空気中に舞った環境でエンジン48を駆動し続けても、前記ラジエータファン292の吸引力によって、吸引カバー282へは塵等が多く含まれる外気が吸引されるが、ロータリースクリーン280を介して導入口49aよりエンジンルーム49のラジエータ281左側に案内された時、塵はロータリースクリーン280のメッシュ網に付着され、エンジンルーム49内に塵等が侵入されることがないようにしている。したがって、ラジエータ281や走行用のミッション装置駆動用の潤滑油のコンデンサー295に塵が付着して目詰まりすることがなく、冷却効率を向上できる。
【0030】
そして、前記ロータリースクリーン280に付着された塵等はロータリースクリーン280の回動によって、吸引部286の直前方に位置するとメッシュ網に付着した塵やゴミ等が吸引され清掃吸引ファン285より下方に吐出され、選別装置19後部の後述するスプレッダー62上方に落下され、排稈とともに機外に排出される。したがって、前記ロータリースクリーン280が自動的に清掃されるので、ロータリースクリーン280の清掃のために作業を中断してメンテナンスを行う必要がなくなり作業性が向上されるのである。
【0031】
次に、刈取部8の構成について説明する。図13は刈取部の進行方向に左側面図、図32は刈取部の右側面図、図33は刈取部の部分正面図、図34は刈取部の部分展開図、図35は刈取部のプラットホームとフィーダハウスとの連結構成の側面図、図36はプラットホームの連結構成の部分後面図、図37は同じく部分側面断面図、図38はプラットホーム下部の連結構成の部分底面図、図39はプラットホーム上部の連結構成の部分平面図である。
【0032】
前記のように刈取部8のプラットホーム2は、搬送装置9であるフィーダハウス10前部に連結されている。前記フィーダハウス10、ビータ34及び脱穀入口12は、機体の進行方向に向かって左右中央部よりやや左側寄りに設けられ、該脱穀入口12は第一ロータ(前ロータ)21の左前部に配置して、穀稈を脱穀部18の第一ロータ21の回動によって右方へ搬送するようにしている。
【0033】
また、前記フィーダハウス10のコンベア11前部より刈取部8の横送りオーガ3や刈刃4や掻込リール5の駆動力が取り出されている。図34に示すように、前記フィーダハウス10後部内の左右両側に駆動スプロケット200・200が搬送駆動入力軸201の左右端部に固設されている。該搬送駆動入力軸201端部にはプーリ339が固設され、後述する脱穀部駆動伝達経路を介してエンジン48からの駆動力が伝達される。また、前記フィーダハウス10前部内には従動ローラ202が従動軸203上に固設され、該従動軸203はフィーダハウス10前部の左右側面に軸支されている。前記従動ローラ202外周面の左右端部と前記駆動スプロケット200・200の外周面にチェーン205・205が巻回され、左右のチェーン205・205外周側に適宜間隔を開けて複数のスクレーパプレート204・204・・・の左右端部が固設されコンベア11が形成されている。
【0034】
また、図32〜図34に示すように、前記フィーダハウス10前部の右側面に伝達軸221が枢支され、該伝達軸221上にスプロケット229が固設され、搬送駆動入力軸201右端部のスプロケット248との間にチェーンを巻回して、フィーダハウス10右側面を刈取部への駆動伝達経路として駆動力を伝達軸221に伝達している。
【0035】
一方、前記プラットホーム2後面の右側に動力分岐ケース207が配置され、該動力分岐ケース207に左右に軸芯を有する刈取伝達軸208の前後中央部が回動自在に横架され、該刈取伝達軸208の左端部と、前記伝達軸221の右端部とにユニバーサルジョイント軸206を介して連動連結され、後述する如く刈取部8の左右の傾きを補正するように回動させて刈取伝達軸208の軸心位置が伝達軸221よりズレても刈取伝達軸208に駆動力を伝達するようにしている。該刈取伝達軸208の右端部を動力分岐ケース207より右側のプラットホーム2右側部まで延出させて、端部に刈取プーリ209が固設されている。
【0036】
また、前記刈取プーリ209前方の、プラットホーム2右側面に軸支された横送りオーガ3のオーガ駆動軸211に従動プーリ222が固設されており、刈取プーリ209よりベルト223を介して刈取伝達軸208の駆動が横送りオーガ3に伝達される。
【0037】
また、前記プラットホーム2右側面前部に刈刃駆動ケース213が固設され、オーガ駆動軸211上の別のプーリ210よりベルト215を介して刈刃駆動ケース213に軸支されるプーリ214に動力を伝達して刈刃駆動ケース213内に駆動力が伝達され、リンク機構を介して刈刃4の駆動刃を左右方向に往復動させて穀稈の株元を切断するようにしている。
【0038】
また、前記動力分岐ケース207には、刈取伝達軸208と平行にリール駆動伝達軸217が軸支され、動力分岐ケース207内で刈取伝達軸208より動力が分岐されリール駆動伝達軸217が駆動される。該リール駆動伝達軸217右端部がプラットホーム2右側面より右側に突出され、端部が回動駆動ケース218下部内に挿入されている。該回動駆動ケース218下部がリール駆動伝達軸217に枢支され、該回動駆動ケース218上部に連動枢支軸219が軸支され、リール駆動伝達軸217より図示せぬプーリ、ベルトを介して連動枢支軸219に駆動力が伝達されている。前記回動駆動ケース218上部にはリール駆動ケース220後部が枢結され、該リール駆動ケース220前部に掻込リール5右端部の駆動軸が軸支され、連動枢支軸219より図示せぬプーリ、ベルトを介して掻込リール5へ駆動力を伝達するようにしている。
【0039】
前記リール駆動ケース220左側面の前後途中部には、略上下に長いガイド溝220aが開口され、掻込リール5へ駆動を伝達するベルトを支持するテンションプーリ249の支持軸249aがガイド溝220aに沿って上下に支持位置を調整自在に配置されており、リール駆動ケース220を取り外すことなくベルトのテンションを調整することができるのである。
【0040】
さらに、前記回動駆動ケース218は上部が前後に回動可能に枢支され、該回動駆動ケース218側部に枢結されており、リール駆動ケース220前部、即ち、掻込リール5が上下に回動可能に支持されている。同様に、図13に示すように、前記プラットホーム2後面の左側上部に回動駆動ケース218と対向する位置に回動アーム225が枢結され、該回動アーム225上部のリール駆動ケース220と対向する位置に揺動アーム226が枢支され、該揺動アーム226前端部に掻込リール5左側の枢支軸が枢支され、掻込リール5左右端部が支持されるのである。また、前記プラットホーム2右側の回動駆動ケース218上部のリール駆動ケース220の枢結位置と、プラットホーム2左側の回動アーム225上部の揺動アーム226枢結位置とが補強パイプ216を介して連結され、剛性を高めている。
【0041】
また、前記リール駆動ケース220及び揺動アーム226と、プラットホーム2左右側面の前後途中部との間にそれぞれ油圧駆動式の昇降シリンダー227・227が介装されている。また、プラットホーム2後面の左側部と回動アーム225の途中部との間に前後調整駆動シリンダー224が介装されている。
【0042】
よって、前記前後調整駆動シリンダー224の伸縮駆動によって、プラットホーム2に対して回動アーム225及び回動駆動ケース218の上部を前後に回動して、掻込リール5の前後位置を調整することができるのである。そして、前記昇降シリンダー227・227を伸縮させることによって掻込リール5を適所位置に昇降させることができ、穀稈の稈長に合わせた最適位置に掻込リール5が配置され、穀稈を確実に掻き込んで刈刃4によって穀稈の株元を切断し、横送りオーガ3でプラットホーム2の中央側に搬送してフィーダハウス10に穀稈を送るのである。
【0043】
次に、前記プラットホーム2をフィーダハウス10前部に支持する構成について説明する。図35〜図39に示すように、前記プラットホーム2後面の上部にプラットホーム2の左右幅に渡って上補強フレーム231が固設され、プラットホーム2後面下部の前面に下補強フレーム232が固設されプラットホーム2の剛性が高められている。さらに、前記プラットホーム2後面の左右中央部にフィーダハウス10と連通される連絡口2aが開口され、該連絡口2aの上部にプラットホーム2後部の前面から上補強フレーム231後面に渡って固定プレート250が固設されている。前記連絡口2a左右中央部の上方の固定プレート250にフィーダハウス10後面に対して垂直に回動支点軸230が固設されている。該回動支点軸230後部が左右に伸延する連結フレーム228の左右途中部に固設した枢結パイプ251内に挿入して枢支されている。該連結フレーム228の右端部は連絡口2a右端部まで延出し、連結フレーム228の左端部は連絡口2a左端部よりさらに左側に延出している。また、前記連絡口2a上部の左右端部よりさらに左右側方位置の連結フレーム228前面より前下方にフィーダハウス10の左右幅に合わせて固定プレート241・241が固設されている。
【0044】
また、前記連結フレーム228左端部とフィーダハウス10後面下部との間に電動油圧ポンプ駆動式の油圧シリンダーである水平回動アクチュエータ233が介装されている。前記連結フレーム228を左側に延出して水平回動アクチュエータ233を介装している。これはプラットホーム2の回動支点となる回動支点軸230が連絡口2aの左右中央上部に設けられ、該連絡口2aはプラットホーム2の左右中心位置より若干左側に開口され、さらにプラットホーム2の右側には刈刃4や横送りオーガ3等への駆動伝達経路が設けられており、刈取部8の左右の重心が回動支点軸230より右側に偏るので、左側に水平回動アクチュエータ233を設けて刈取部8の左右のバランスを保つようにしている。
【0045】
また、前記水平回動アクチュエータ233は電動油圧ポンプ駆動式であり、電動モータで油圧ポンプを駆動してシリンダーを駆動させる構成のものであり、機体側とは電気配線で連結されている。したがって、例えば水平回動アクチュエータ233を油圧式のシリンダーとした場合に比べて、機体側より油圧配管等を延出させることが不要となるので、刈取部8のプラットホーム2をフィーダハウス10から外す時には、電気配線途中部に設けた連結部(カプラ)を取り外すのみで行うことができ連結作業が至って簡単なのである。
【0046】
また、前記連絡口2a下部の左右側方のプラットホーム2後面に固定パイプ234・234が後方に突出され、右側の固定パイプ234のさらに右上方のプラットホーム2後面と左側の固定パイプ234のさらに左上方のプラットホーム2後面より後方に固定パイプ235・235が突設されている。右側の二個の固定パイプ234・235の後部にガイドプレート236の左右端部がボルト237・237を用いて着脱可能に螺合され、左側の二個の固定パイプ234・235の後部にガイドプレート236の左右端部がボルトを用いて固設されている。左右のガイドプレート236・236が回動支点軸230を含む上下方向の中心線(フィーダハウス10の左右中心線)を中心として左右対称に後面視で逆「ハ」字状に配置される。このガイドプレート236とプラットホーム2後面との間を受部とし、後述するフィーダハウス10に固設させた係合部としてのガイドローラ238が回動自在に係合される。
【0047】
さらに、図36、図38に示すように、左側のガイドプレート236後面にはステー242が突設され、該ステー242と連結フレーム228の左側途中部との間にダンパー245が介装され、連結フレーム228の回動支点軸230回りの回動を緩衝するようにしている。
【0048】
また、前記プラットホーム2の左側下面には、図13に示す如くセンシングアーム246が後下方に向けて突設されている。該センシングアーム246は圃場面に当接させられており、圃場面とプラットホーム2左側下面との距離が変わるとセンシングアーム246の角度が変わり、その角度が図示せぬセンサーで検出されてコントローラを介して前記水平回動アクチュエータ233を伸縮制御するものである。例えば、センシングアーム246が後下方向きの一定範囲より上方に回動されると、圃場面よりプラットホーム2左側下面が離れたと判断して水平回動アクチュエータ233を収縮駆動させ、逆にセンシングアーム246が後下方向きの一定範囲より下方に回動されると水平回動アクチュエータ233を伸長駆動させるのである。但し、センシングアーム246を用いることなく絶対角を検知する構成とすることも可能である。
【0049】
一方、図35、図36に示すように、前記フィーダハウス10前端部の板状の導入部239が形成されている。該導入部239には前記連絡口2aより小さい導入口239aが開口され、導入部239上縁部がフィーダハウス10上面に沿うよう後方に屈曲されて嵌合部239bが形成されている。該嵌合部239bが前記連結フレーム228とプラットホーム2後面との間に嵌入させてプラットホーム2を嵌合するようにしている。
【0050】
さらに、前記フィーダハウス10前部の左右側面の下部より側下方に支軸240・240が突設され、該支軸240・240下部に係合部としてのガイドローラ238・238が枢支されている。さらに、前記フィーダハウス10前部下面にブラケット244が固設され刈取部8の昇降用の駆動シリンダー338が図13に示す如く連結されるている。なお、フィーダハウス10後下部に固設された板状の部材は穀稈を後方のビータ34に案内するゴムや樹脂で形成された案内プレート243である。また、前記フィーダハウス10前下部とプラットホーム2下部とを回動支点軸230回りに回動自在に係合する係合部は支軸240端部に枢支したガイドローラ238に限定するものでなく、単に棒状の部材により構成しても良く、係合部は個数に限定するものでなく複数を設けることもできる。
【0051】
したがって、刈取部8をフィーダハウス10前部に連結するには、前記駆動シリンダーを伸縮駆動してフィーダハウス10を昇降させて、地上にある刈取部8のプラットホーム2の連絡口2a部分にフィーダハウス10前部を当接するように機体を進行させる。そして、導入部239を連絡口2a位置に配置してフィーダハウス10を上昇させると、嵌合部239bが連結フレーム228とプラットホーム2後面との間に嵌入し、嵌合部239b左右端部が固定プレート241・241間に嵌合され、回動支点軸230を中心として回動自在にプラットホーム2が連結されるのである。したがって、前記プラットホーム2とフィーダハウス10とを連結する際に、回動支点軸230を回動自在に枢結する必要がないので、連結作業が容易となり作業時間の短縮化がはかられている。
【0052】
また、この連結作業時に、前記ガイドプレート236が固定パイプ234・235より取り外されているので、ガイドローラ238は固定パイプ234・235間に配置され、その後にガイドプレート236を固定パイプ234・235に螺合することで、フィーダハウス10前下部とプラットホーム2後面下部とが離れることがないように支持され、かつ、ガイドされ、シリンプルな構成において強固な連結構成となている。
【0053】
このように、前記フィーダハウス10を取り付ける連結フレーム228や水平回動アクチュエータ233がプラットホーム2側に設けられ、機体側に固設されたままの状態であるフィーダハウス10側にはガイドローラ238・238を設けたのみでありフィーダハウス10の構成がシンプルとなり、内部のコンベア11のメンテナンスを容易としている。
【0054】
そして、収穫作業時には前述した如く、前記センシングアーム246を用いて水平回動アクチュエータ233を伸縮制御させて、機体の傾きの関わらず刈取部8を圃場面と平行に維持させている。このときに、フィーダハウス10側に回動自在に連結させた連結フレーム228と刈取部8のプラットホーム2とにダンパー245が介装されているので、水平回動アクチュエータ233の支持負担が軽減されている。さらに、前記刈取部8の駆動はフィーダハウス10より取り入れる構成となっているが、フィーダハウス10前部の伝達軸221よりユニバーサルジョイント軸206を介して伝達させており、刈取部8のプラットホーム2がフィーダハウス10に対して左右に傾くように回動されても、駆動力を正確に伝達させることができるのである。
【0055】
また、プラットホーム2側の連絡口2aの左右幅がフィーダハウス10の導入口239aより大きくなっており、プラットホーム2が回動されても導入口239aの左右側部が塞がれることがなく穀稈をスムースにフィーダハウス10内に導入することができるのである。
【0056】
次に、脱穀部8の構成について説明する。図2は脱穀部及び選別装置の側面断面図、図3は脱穀部の平面断面図、図4は脱穀部の側面断面図、図5は同じく側面断面図、図6は機枠フレーム前部内のビータのメンテナンス構成を示す側面図部分断面図、図7は脱穀部から排稈を排出する第二ロータの別構成の平面断面図、図8は揚穀コンベアの側面図部分断面図、図9は機枠フレームの平面図、図10はロータ右端部を被装する脱穀部開閉カバーの回動構成の正面図一部断面図、図11は同じく進行方向の右側面図、図12は脱穀部開閉カバーを開けた状態の進行方向の右側面図、図14は動力を伝達するエンジンのプーリ位置を示す正面図、図15は脱穀部及び走行装置への動力伝達経路を示す側面図、図16は選別装置への動力伝達経路を示す側面図、図40は上部カバーの支持構成を示す正面図である。
【0057】
前記ビータ34は機枠フレーム13前上部内に収納されている。図6に示すように、機枠フレーム13の左側面にはビータ34を取り出すための取出口64が開口され、該取出口64を覆う如く軸支板65がボルト等によって螺合され、該軸支板65の前後中央部にビータ34の回動軸が軸支されている。軸支板65を螺合したボルトを外して軸支板65を機枠フレーム13から取ることで、取出口64よりビータ34を抜き出してメンテナンスをすることができる。
【0058】
また、脱穀入口12の下面の傾斜板66の前後途中部には、メンテナンス用の掃除口66aが開口され、該掃除口66aを開閉自在に蓋体67が設けられている。即ち、前記掃除口66aの後部に蝶番68の一片が固設され、蝶番68他片が蓋体67後上部の下面に固設され、蓋体67が蝶番68の左右方向の支点を中心として下方に回動される。前記蓋体67の前下部には、蓋体67下面に沿って前下方に突出する縁部67aが形成され、蓋体67で掃除口66aを閉じた時に、縁部67aが掃除口66a直前下方の傾斜板66下面に当接され、ボルト69を用いて縁部67aを傾斜板66に螺合することで、掃除口66aが蓋体67で被装されるのである。そして、メンテナンスを行うときには、傾斜板66より下方の機枠フレーム13左側面の開口70を利用してボルト68を外し、蓋体67を下方に回動させて掃除口66aを開放して、ビータ34のメンテナンスを行うのである。
【0059】
前記脱穀部18は、図1〜図3に示すように、第一ロータ(前ロータ)21と第二ロータ(後ロータ)22と受網23・24等からなり、前記機枠フレーム13上部に収納されている。前記第一ロータ21と第二ロータ22は略同じ形状に構成されており、筒の外周にスクリュー羽根21a・22aを設けたスクリュー型に構成されて、軸心は左右水平方向に向けられて、前後平行に配置されている。前後方向に軸芯を有するロータを配置した脱穀部では前後方向に長くなるが、左右に軸芯を有するロータ21・22を設けた脱穀部18では前後方向に短くすることができ、選別装置19後部の上方の空間を利用してエンジンルーム49を設けることができ、効率良くレイアウトができる。
【0060】
前記第一ロータ21と第二ロータ22の下方には、それぞれ受網23・24が配置され、第一ロータ21と第二ロータ22の上方はそれぞれ上部カバー35・36が配置されて、前ロータ室と後ロータ室を構成している。該上部カバー35・36と機枠フレーム13の間にはゴムや樹脂等で形成されるシール部材39を介装してシールしている。
【0061】
さらに、図9に示すように、前記機枠フレーム13上部(上機枠フレーム13a)は、選別装置19を収納した機枠フレーム13下部(下機枠フレーム13b)より右側に突設された形状となっており、この上機枠フレーム13a内に第一ロータ21と第二ロータ22とが収納され、この両ロータ21・22の回動軸21d・22dを脱穀カバーで枢支している。つまり、脱穀部は選別装置19よりも右側に長く構成し、その突出した部分は第一ロータ室と第二ロータ室の連通部としている。また、前記上機枠フレーム13aの左側面にはエンジン48から第一ロータ21と第二ロータ22へ動力を伝達するベルトやプーリで構成する動力伝達部110が配置されている。さらに、図10〜図11に示すように、上機枠フレーム13a上に側部フレーム77を固設して第一ロータ21右側面を被装し、側部フレーム77上端部にヒンジ78・78やヒンジ78’・78’を介して前記上部カバー35・36の右端部が枢支され、後述する如くグレンタンク30の上方回動にともなわれて上方に回動するように支持されている。
【0062】
また、図10〜図12に示すように、前記第一ロータ21と第二ロータ22右側部下方と右側方の上機枠フレーム13a下面及び左側面と、第一ロータ21右側部の前方及び第二ロータ22右側部後方にかけて正面視及び側面視で略四角形状の脱穀部開閉カバー94を設けて、第一ロータ21と第二ロータ22右側部の前後面及び右側面と下面とを被装するようにしている。また、該脱穀部開閉カバー94上部は上機枠フレーム13a左側面(脱穀カバー)の上下途中部まで形成され、脱穀部開閉カバー94上部の第一ロータ21と第二ロータ22の回動軸21d・22dの回りに凹部94a・94bを設けて、上機枠フレーム13aに回動軸21d・22dを枢支する部分として枢結プレート13c・13dを形成して、上機枠フレーム13a側面(脱穀カバー)に開口13eを設けても第一ロータ21と第二ロータ22の回動軸21d・22dを枢支する剛性を維持している。
【0063】
また、前記脱穀部開閉カバー94下部の内端部直下方の下機枠フレーム13b右側面の上部に前後二箇所に蝶番95・95の一片を固設し、蝶番95・95の他片を脱穀部開閉カバー94下部に固設し、蝶番95・95の前後方向の回動支点を中心に脱穀部開閉カバー94上部を側下方に回動可能としている。さらに、前記機枠フレーム13下部と脱穀部開閉カバー94下部との間にガススプリングからなるダンパー96が介装され、脱穀部開閉カバー94の回動時に大きな力を必要とせず補助するようにし、また、急激な回動を防止している。
【0064】
また、前記脱穀部開閉カバー94側面の上下中央部には、枢支ブラケット97・97が前後二箇所と中央部二箇所に突設され、各々の枢支ブラケット97・97端部を用いて前後方向に伸延するロック操作軸98が枢支されている。該ロック操作軸98の端部は脱穀部開閉カバー94前後端部よりさらに前方及び後方に伸延され、各々端部にフック99・99が固設されている。該フック99・99位置より内方の上機枠フレーム13aには係合凹部103・103が固設され、ロック操作軸98の回動操作で各フック99・99が係合凹部103・103内に係入されロックされるように構成されている。
【0065】
更に、前記ロック操作軸98の前後中央部にはブラケット100が固設され、ロック操作軸98の軸心の円周方向に回動支点を設けて棒状の操作アーム101が枢支されている。該操作アーム101の下方の脱穀部開閉カバー94側面にはL型の収納ガイド板102が固設され、操作アーム101を収納ガイド板102内に配置した時には操作アーム101がロック操作軸98を中心とした回動が規制されている。
【0066】
よって、前記操作アーム101を図11の二点鎖線のように収納ガイド板102より前方に回動させた後に、操作アーム101を手前に引くとロック操作軸98が回動し、両端部のフック99・99が係合凹部103・103から抜け出してロックが解除され、脱穀部開閉カバー94を側下方に回動させて、図12に示すように、受網23・24の右端部が開放され、固定ボルト104・104・・・を取り外して受網23・24を抜き出してメンテナンスを行ったり交換することができるのである。そして、作業後に受網23・24を収納して脱穀部開閉カバー94を閉じ、操作アーム101を回動操作してフック99・99を係合凹部103・103内に係入して脱穀部開閉カバー94で上機枠フレーム13aの開口13eを閉じている。
【0067】
このように構成したことで、第一ロータ21と第二ロータ22の下方のメンテナンスが行い難い場所であっても、受網23・24を第一ロータ21と第二ロータ22への駆動伝達部が配置されることのない右側方の一部が開放されて取り出すことができ、メンテナンスを迅速に行うことができ作業性が向上され、また、品種に合わせて受網23・24を容易に交換できるので収穫する品種に合わせた脱穀構成となり汎用性が向上されるのである。
【0068】
また、前記第一ロータ21の上方を覆う側面斜視図略「コ」字状の上部カバー35前面の一部には開閉可能にロータ掃除蓋35aが設けられている。図6に示すように、ロータ掃除蓋35a下部は上部カバー35前下部とが蝶番73で回動可能に固設され、ロータ掃除蓋35a上部にフック74が上方に突出されて上部カバー35上面の係合体75に係合可能となっている。従って、前記係合体75の外し操作によって、フック74の係合が外れて蝶番73の左右方向の回動支点を中心としてロータ掃除蓋35a上部を前方に回動させて、第一ロータ21の前上部が開放され内部のメンテナンスを行うようにしている。尚、第二ロータ22の後面にも掃除蓋を設けて、第二ロータ22の後上部より内部のメンテナンスを行うこともできる。
【0069】
また、図2〜図4に示すように、前記第一ロータ21下方の受網23右側の後部は前低後高に緩やかな円弧状で傾斜させ、第二ロータ22の上外周の接線方向に向かって延出されて連通部23aが形成され、該連通部23a後端は第二ロータ22の回転軌跡の前端部近傍まで延出されている。さらに、図2、図5に示すように前記受網24の左後部に排出口24aが開口されている。
【0070】
また、前記第一ロータ21と第二ロータ22の上部カバー35・36は、側面視で下方を開放させた略「コ」字状に形成し、図4に示すように、第二ロータ22の上部カバー36右側は前部を第二ロータ22の上端面から第一ロータ21の回動軸21dに向かって円弧状に延出されて連通上部36aを形成し、連通上部36a前端は第一ロータ21の回転軌跡の後端部近傍まで延出されている。そして、前記連通部23aと合わせて第一ロータ21と第二ロータ22との両脱穀空間が連通させる連通口を形成し、該連通口の開口を大きくしている。また、第一ロータ21と第二ロータ22との前後の間隔ができるだけ狭めて並設されて連通口を短くしており、第一ロータ21と第二ロータ22との作用不能な空間を少なくして受継性能を向上させている。
【0071】
また、図5に示すように、第二ロータ22の上部カバー36左側の後部を第二ロータ22の外周面より後上方に離れるように延出し、その傾斜角度を緩傾斜状として排出上部口36bを形成して、前記排出口24aと合わせて排藁を排出する開口を大きくしている。なお、前記上部カバー36の連通上部36aと排出上部口36bは徐々に略コ字状から円弧状に成るように構成している。
【0072】
また、前記第一ロータ21の上部カバー35内周面の後部側(後述する第一ロータ21の回転方向の上流側)に第一ロータ21の外周面に向けて側面視略三角形状の案内板37が固設されている。同様に、第二ロータ22の上部カバー36内周面の前部側(後述する第二ロータ22の回転方向の上流側)に第二ロータ21の外周面に向けて側面視略三角形状の案内板38が固設され、第一ロータ21と第二ロータ22で搬送される穀稈の束を反転させて脱粒を促進させている。
【0073】
さらに、略「コ」字状に形成した前記上部カバー35・36の水平状に成形した上部の内周面に送塵弁59・59・・・が左右幅方向に適宜間隔を開けて設けられ、上部カバー35・36上部に上下方向の回動支点を中心に回動自在に枢支されている。前記上部カバー35側の送塵弁59・59・・・と、上部カバー36側の送塵弁59・59・・・とが個別に回動操作され、穀稈が第一ロータ21内を移動する時間と、第二ロータ22内を移動する時間とを穀稈の品種や穀稈の状態に合わせた各々調整することができ、様々な品種等に合わせた汎用性のある脱穀部18が構成されるのである。
【0074】
また、第一ロータ21のスクリュー羽根21aは、第一ロータ21の左端より連通部23aの直左側までの間に形成され、連通部23a前方の第一ロータ21外周面には第一ロータ21の半径方向に突出する板状の送り羽根21b・21b・・・が形成されている。該送り羽根21b・21b・・・は本数を限定するものでないが、軽量化及び部品数の減少と搬送効率を高めるために三本が形成されている。同様に、第二ロータ22のスクリュー羽根21aは、第二ロータ22の右端部より排出口24aの直右側までの間に形成され、スクリュー羽根22a終端部より左側の排出口24a前方の第二ロータ22外周面に送り羽根22b・22b・・・が形成され、脱穀後の排藁(排稈)を送り羽根22b・22b・・・で送って排出口24aより排出するようにしている。
【0075】
また、図3に示すように、前記第一ロータ21(及び第二ロータ22)のスクリュー羽根21a(スクリュー羽根22a)や送り羽根21b(送り羽根22b)が固設されるドラム21c(ドラム22c)は筒状に成形され、該ドラム21c(ドラム22c)の左右端部内には巻付防止板58・58が配置されている。 図3に示すように、機枠フレーム13内周面の第一ロータ21(及び第二ロータ22)位置の側方に巻付防止板58・58が固設されている。該巻付防止板58は中心部に第一ロータ21の駆動軸を挿入可能な孔58aを開口し、ドラム21cの内径に略等しい外径を有する円板状に形成されている。さらに、該巻付防止板58の外周部を内側に向けて屈曲させて縁部58bを形成し、該縁部58bをドラム21c端部の内周面に沿って若干の隙間を開けて挿入させて機枠フレーム13内周面との間の隙間をなくして、穀稈が第一ロータ21(及び第二ロータ22)の駆動軸に絡み付くことがないようにしている。
【0076】
前記巻付防止板58の縁部58bがドラム21c端部の外周面を被装する形状とせず、内周面に沿って挿入させたことでスクリュー羽根21a端部をドラム21c端部まで延出することができ、第一ロータ21(及び第二ロータ22)端部に搬送された穀稈をスクリュー羽根21aで左右方向に送ることができ、第一ロータ21(及び第二ロータ22)上に穀稈を滞留させることがないのである。
【0077】
また、前記の第一ロータ21と第二ロータ22とは同一の径であり、送り羽根21b・21b・・・と送り羽根22b・22b・・・とを同一形状として、さらに本構成例において、第一ロータ21の回転方向を図2に示す進行方向の左側面視で反時計回りとし、第二ロータ22の回転方向を逆の時計回りとすることで、スクリュー羽根21aとスクリュー羽根22aとの巻回方向も同一とすることができ、第一ロータ21と第二ロータ22とを完全に同一形状として汎用性を高めることができ、コストの削減が図られている。また、第二ロータ22の回転方向を時計回りとすることで、第一ロータ21端部で後上方に搬送された穀稈を搬送方向を略同一方向として第二ロータ22で受け継ぐことができ、受け継ぎ易くしている。
【0078】
また、前記第二ロータ22と該第二ロータ22を被装する受網24及び上部カバー36は、第一ロータ21とこの受網23と上部カバー35より低い配置となっており、連通上部36aと連通部23aとで形成する連通口での受け継ぎがスムースとなって脱穀性能を向上し、また、上部カバー36が低くなることで、この上方に配置するグレンタンク30の容積を大きくすることができる。
【0079】
このような構成において、フィーダハウス10から脱穀入口12へ刈り取った穀稈が送られると、第一ロータ21の回転によって、刈取穀稈は右方へ搬送されながら脱粒される。そして、第一ロータ21の右端に至ると緩傾斜状に形成した連通部23a及び連通上部36aで形成する連通口から第二ロータ22の脱穀空間に送られる。このとき、左側面視で反時計回りに回転する第一ロータ21によって穀稈が後上方に持ち上げられて連通口を介して第二ロータ22の脱穀空間に送られているが、第二ロータ22の高さ位置が第一ロータ21より低いので第二ロータ22の前上部に送ることができ、該第二ロータ22の回転方向が時計回りとなっているので穀稈の搬送方向をそのまま後上方に受け継ぐことができ、受け継ぎ性能が良いのである。
【0080】
そして、前記第二ロータ22の回転によって左方へ搬送されながら脱粒されている。また、第一ロータ21及び第二ロータ22の両スクリュー羽根21a・22aによって穀稈が束となって螺旋状に搬送されて行くが、穀稈の束が前記案内板37・38に当たって螺旋状の搬送方向が変えられたり、スクリュー羽根21a・22aとの間で揉まれて反転し、束状の穀稈の脱粒を促進し、この脱穀部18内で穀稈を確実に脱粒することができ下方の選別装置19前半部に穀粒を確実に落下させている。そして、残された排稈は第二ロータ22の左端に送られると、排出口24aより落下されている。
【0081】
また、排出口24aで落下された排稈が、選別装置19後部に落下されないように、排出口24a下部より後下方にガイドプレート60を延出している。
【0082】
即ち、図2、図3に示すように、前記ガイドプレート60は選別装置19後部の途中位置まで延出され、ガイドプレート60後部の上方とエンジンルーム49底面との間位置には、強制的に排稈を後方に送り出す排稈ビータ61が設けられている。該排稈ビータ61は前記ロータ21・22の外径に比べ外径を小さくしたコンパクトとし組立容易な形状とし、排稈ビータ61の回転速度を第二ロータ22の回転速度より速くして排稈ビータ61の周速度をロータ21・22より同等以上の速さとし、排稈を後方に送り出す性能を高めている。
【0083】
また、前記排稈ビータ61は、左右に回動軸を有する筒体であり、その外周面に複数個の側面視逆V型の送り歯61a・61a・・・を有するものである。また、前記排稈ビータ61は、左端部が排出口24aの左端部と一致し、排稈ビータ61の右端部は排出口24a右端部よりさらに右側に延出し、排出口24aより排出された排稈を後方に左右幅広く搬送して、機体後端部に左右に全幅に渡って横架されたチッパー式のスプレッダー62に受け継いで、該スプレッダー62の複数の鉈状の刃によって切断され、機体後端部より圃場に排出される。なお、前記排稈ビータ61は側面視逆V型の送り歯61a・61a・・・を形成しているが、側面視三角形状の板体を形成したり、単に左右方向に長い板状の送り羽根を設けた構成としても同様に後方に送り出すことができる。
【0084】
また、図7に示すように、第二ロータ22左側に固設した送り羽根22b’・22b’・・・の右側を左側より回転方向の後方側にする傾斜状に固設することで、送り羽根22b’・22b’・・・で後方に送り出す排稈を排出口24aより中央側に向けることができ、前記排稈ビータ61を介して排稈をスプレッダー62の右側に向けて飛ばして、排稈ビータ61による拡散性を向上することができ、スプレッダー62の全幅を有効に利用して機体後端より幅広く排出することもできる。なお、排稈ビータ61の送り歯を傾斜状に形成することによって、排稈をスプレッダー62の右側に向けて飛ばして、排稈ビータ61による拡散性をさらに向上する構成とすることもできる。
【0085】
また、前記ガイドプレート60を前後及び左右方向に長い線状の板体を用いて柵状に形成したり、クリンプ網で形成して脱粒して下方に落下させる脱粒処理ガイドとすることで、排稈ビータ61で後方に送り出すと同時に排稈をほぐして内部に残る穀粒を選別装置19上に落下させて、脱穀精度をさらに向上させることもできる。
【0086】
このように、排出口24aより落下された排稈が、排稈ビータ61によって後方に強制的に送り出されて、排稈を選別装置19上に落下させることがないようにし、選別装置19での選別性能を低下させることがないのである。
【0087】
また、前記排稈ビータ61の駆動軸61bは、選別装置19の左右側方を被装する機枠フレーム13下部の左右側面に枢支され、排稈ビータ61より右側に突出する駆動軸61bを筒体71で被装して排稈や藁屑等が絡み付いて駆動損失とならないようにしている。
【0088】
また、図2に示すように、前記脱穀部18下方には選別装置(揺動選別装置)19が配置され、その構成は、流穀板25、揺動本体50、選別風を発生させる唐箕27、選別された一番物を左右方向に搬送する一番コンベア28と二番物を搬送する二番コンベア31等より構成されている。前記一番コンベア28及び二番コンベア31は側面視でクローラー式走行装置1の後方に横設され、一番コンベア28の左端部に連通して立状に配したバケット式の揚穀コンベア29や、一番コンベア28の左端部の左端部に連設する還元コンベア32とクローラー式走行装置1とが干渉することのない効率的なレイアウトとしてる。さらに、図1に示すように選別装置19は機枠フレーム14の前後途中部より後部の間に収納され、選別装置19前方の機枠フレーム14前部とフィーダハウス10後下方位置に走行駆動用のミッション装置45を配置でき、効率の良いレイアウトとして全長を短くすることができる。
【0089】
前記揺動本体50は、前記第一ロータ21前端の下方より選別装置19の後端までに渡って配置され、揺動リンク機構51によって揺動自在に支持されている。前記揺動本体50前部には第一ロータ21と第二ロータ22の下方に渡って落下された穀稈を受けるグレーンパン50aが形成されている。該グレーンパン50aは側面視で波状に形成され揺動本体50の揺動で後方に搬送するようにしている。前記グレーンパン50a後端に連接してフルイ線52が配置されている。該フルイ線52の下方より揺動本体50の後端部にかけて、揺動本体50の幅方向に横架した複数のチャフフィンより成るチャフ部が配置されている。該チャフ部は、前側より脱粒された穀稈量に応じてチャフフィンの前下がり傾斜角度が変わる可動チャフ53と、手動によってチャフフィンの前下がり傾斜角度が変える手動チャフ54と、チャフフィンの前下がり傾斜角度が固定された固定チャフ55より構成されている。該チャフ部の下方の揺動本体50底面は落下口55bが開口され、図示せぬクリンプ網によって被装されている。
【0090】
また、前記揺動本体50のグレーンパン50aの前後途中部の下方に唐箕27が横設され、ガイドに従って後方に選別風を送り落下口55b等より揺動本体50内に選別風を送風して、前記チャフ部で比重選別と風選別とを行い、一番物と二番物とに選別している。
【0091】
このように構成して、前記第一ロータ21と第二ロータ22の受網23・24より落下された穀粒や藁屑等を揺動本体50のグレーンパン50a上に受け止めらて後方に搬送している。そして、グレーンパン50a後部よりフルイ線52で後方に跳ね飛ばしたり、そのままチャフ部に落下させて比重選別と風選別とを行っているが、前述した如くに脱穀部18後端部より排稈等が落下されることがないので、選別を行っているチャフ部上の流れがスムースとなって選別性能が向上され、一度に大量の穀稈を脱粒してもこの選別装置19で確実に処理することができるのである。そして、二番物を二番コンベア31より還元コンベア32を介して揺動本体50のグレーンパン50aの前後途中部上に落下させて、再度選別するようにし、完全に選別された一番物を一番コンベア28上に落下して揚穀コンベア29で上方に搬送してグレンタンク30に収納している。
【0092】
次に、前記揚穀コンベア29について説明する。図8、図9に示すように、前記一番コンベア28と二番コンベア31の側方より上方に向けて揚穀コンベア29が立設され、グレンタンク30の左側部の上方まで延出されている。前記揚穀コンベア29下部は円弧状の受部29aが形成され、該受部29a前部に一番コンベア28左端部が連通されている。前記揚穀コンベア29下部の一番コンベア28の後方位置に左右に駆動軸を有する揚穀駆動スプロケット80が軸支され、揚穀コンベア29上部に左右に回動軸を有する従動スプロケット81が軸支され、この駆動スプロケット80と従動スプロケット81に適宜間隔おきにバケット82・82・・・が固設されたチェーン(またはベルト)83が巻回されている。該揚穀コンベア29上部の従動スプロケット81周囲のケーシングは、従動スプロケット81直下方位置で分割され、グレンタンク30の左側部の上面へ延出するシュート部85が形成され、揚穀コンベア29とグレンタンク30とを連通させている。
【0093】
そして、前記揚穀駆動スプロケット80が駆動されると、一番コンベア28から揚穀コンベア29下部に搬送されて受部29aに溜まった一番物をカップ状に形成した前記バケット82・82・・・で汲み上げて行き、上方に搬送され従動スプロケット81位置で向きがかえられて、その遠心力によってバケット82内の穀粒を前方のシュート部85に送り込むこみ、グレンタンク30内に穀粒が貯留されるのである。また、バケット82による搬送中に揚穀コンベア29のケーシングとの間に一番物をかみ込むことがないので、スクリュー式のコンベアのように損傷することがないのである。
【0094】
また、前記シュート部85はグレンタンク30側に固設され、後述する如くグレンタンク30を回動させても、シュート部85のみが揚穀コンベア29側から外れて回動しており、揚穀コンベア29とグレンタンク30との連結を外すといった作業が不要となっている。尚、前記揚穀コンベア29のバケット82・82・・・が固設されたチェーン83が被装されたケーシング上部にはスポンジ等のシール部材352が固設され、グレンタンク30を作業位置の水平状とした時にシュート部85後下部がシール部材352を介して載置されており、揚穀コンベア29のシール性が向上され搬送する穀粒が漏れることがないのである。
【0095】
次に、前記脱穀部18内の動力伝達構成について説明する。図14、図15に示すように、機枠フレーム13後部の上方にエンジン48が載置され、該エンジン48の出力軸が左側に突出され、機枠フレーム13左側部より左側に駆動プーリ160が固設されている。また、前記第二ロータ22の回動軸22d左側方の機枠フレーム13にギヤケース161が固設され、該ギヤケース161にプーリ軸162aが軸支され、該プーリ軸162a上に第二ロータ入力プーリ162と小径の伝達プーリ166とが固設されている。また、前記第一ロータ21の回動軸21d左端部が機枠フレーム13より左側に突設されて端部に第一ロータ入力プーリ163と伝達プーリ168が固設されている。前記ビータ34の回動軸34a左端部にビータ伝動プーリ164が固設されている。
【0096】
前記駆動プーリ160と第二ロータ伝動プーリ162との間にベルト165が巻回され、伝達プーリ166と第一ロータ入力プーリ163との間にベルト169が巻回され、伝達プーリ168とビータ伝動プーリ164との間にベルト170が巻回され脱穀駆動伝達経路が構成され、第二ロータ22と第一ロータ21とビータ34とが連動されている。また、前記プーリ軸162aと回動軸22dとがギヤケース161内の図示せぬギヤで連動して回動軸22dに逆回転を伝達して前述した如く、第二ロータ22を第一ロータ21に対して逆回転させている。
【0097】
また、前記伝達プーリ166は二連式のプーリであり、排稈ビータ61の駆動軸61b左端部の排稈ビータ入力プーリ177との間にベルト178が巻回され、前記第一ロータ21や第二ロータ22と連動して排稈ビータ61が駆動されている。
【0098】
また、前記機枠フレーム13の前後途中部の下方に従動プーリ171が軸支され、機枠フレーム13前面下部に走行伝達軸172が軸支され、走行伝達軸172左端部に走行入力プーリ174が固設され、該走行伝達軸172右端部よりミッション装置45内に連動連結されている。前記駆動プーリ160は多連式のプーリであり、従動プーリ171は二連式のプーリであり、駆動プーリ160と従動プーリ171とにテンションローラ167によってテンションが与えられながらベルト173が巻回され、従動プーリ171と走行入力プーリ174との間にテンションプーリ175によってテンションが与えられながらベルト176が巻回されて走行駆動伝達経路が構成されている。該走行駆動伝達経路を介してエンジン48の駆動力がミッション装置45内に駆動力が伝達され、ミッション装置45で走行変速されてクローラー式走行装置1・1に走行駆動力が伝達されている。
【0099】
このように前記走行駆動伝達経路と脱穀駆動伝達経とによって機枠フレーム13の左側面に前記動力伝達部110が形成されている。また、前記排稈ビータ入力プーリ177には、後述する駆動ベルト154が巻回されてグレンタンク30上部内のレベリングコンベア140に駆動力が伝達されるのである。
【0100】
また、図3に示すように、前記排稈ビータ61の駆動軸61bの右端部が機枠フレーム13左側面より側方に突出され、この駆動軸61b右端部には選別装置伝動プーリ188が固設されている。図16に示すように、前記選別装置伝動プーリ188も二連式のプーリであり、ベルト179を介して後方のスプレッダー62を駆動するプーリ180に動力を伝達してる。また、一番コンベア28と二番コンベア31の各々の回動軸28a・31aの右端部が機枠フレーム13右側面より右側に突設された端部にプーリ181・182が固設されている。該プーリ181・182の間には揚穀コンベア29の揚穀駆動スプロケット80のスプロケット軸80a右端部のプーリ183が配置され、これらのプーリ188・181・182・183との間にベルト185が巻回され連動されている。
【0101】
また、前記機枠フレーム13前下部に唐箕27駆動用の唐箕入力プーリ184が配置されており、二連式とした一番コンベア28のプーリ181と唐箕入力プーリ184との間にベルト186が巻回され駆動力が伝達されている。また、二番コンベア31のプーリ182よりベルト187を介して揺動本体50の揺動リンク機構51に駆動力が伝達されている。このように機枠フレーム13右側面に選別装置駆動伝達経路が構成されている。よって、機枠フレーム13の左側と右側に分けてそれぞれの駆動伝達経路が設けられ、メンテナンスが行い易く構成されている。
【0102】
次に、前記グレンタンク30の形状及び支持構成について説明する。図17はグレンタンクの支持構成を示す後面図一部断面図、図18は同じく正面図、図19は同じく進行方向の左側の側面図、図20はグレンタンクの平面図一部断面図、図21はエンジンから排出オーガと排出コンベアへの駆動伝達を示す部分平面断面図、図22は排出コンベアか横送りコンベアへの動力伝達構成を示す部分平面図一部断面図である。図1、図9、図17〜図20に示すように、前記グレンタンク30は正面視で略四角形状に形成され、前記グレンタンク30の左右端部は脱穀部18左右端部よりさらに右側方及び左側方まで延出され、このグレンタンク30の左右幅を機体幅に合わせて幅を広く形成して内部の容積を大きくしている。
【0103】
また、前記グレンタンク30下部が、図1、図19に示す側面視のように、略逆三角形状の漏斗状に形成され、この逆三角形状のグレンタンク30下端部が漏斗状の傾斜に沿って穀粒が集まる桶部30aとなり、この桶部30a内に沿って左右方向にスクリュー式の横送りコンベア89が軸支されている。該横送りコンベア89によってグレンタンク30下部の傾斜に沿って落下する穀粒を右側に搬送するようにしている。また、前記横送りコンベア89が軸支された桶部30aが第一ロータ21と第二ロータ22の上部カバー35・36上部間に配置して、空間を有効に使用した形状となり、グレンタンク30の容積を大きくしている。
【0104】
また、前記グレンタンク30の右上部を傾斜状に形成して、この部分の直上方に排出オーガ40上部の前後向きの収納位置の回動コンベア41が配置されている。
【0105】
さらに、前記脱穀部18より右側に延出されたグレンタンク30右側下部の第一ロータ21と第二ロータ22上部の側方位置に排出コンベア88が配置されている。該排出コンベア88は機枠フレーム13に支持されるものであり、この排出コンベア88のケーシング88aは、グレンタンク30右側部の前下部より機体後端部に配置した排出オーガ40の縦コンベア42の側方まで延出されて排出オーガ40と縦コンベア42とが連通されている。また、前記ケーシング88a内に配置される前後に軸心を有するスクリュー88bは、前記横送りコンベア89より前下方位置から縦コンベア42下端部の側方に渡って配置されている。
【0106】
さらに、図20、図22に示すように、前記桶部30aの右端下部と排出コンベア88のケーシング88aの前後途中部の上面とが連通口30cを介して連通されており、横送りコンベア89で右側に搬送された穀粒が連通口30cより落下してケーシング88a内に流し込まれ、排出コンベア88の駆動で後方に搬送し、排出オーガ40より排出させている。なお、前記グレンタンク30右下部の排出コンベア88が第一ロータ21と第二ロータ22右側方に位置されるが、図10に示すように、前記開閉カバー94の回動軌跡の上方となっており、開閉カバー94が干渉されることがないのである。
【0107】
また、図17、図18、図20に示すように、前記グレンタンク30の前面右側に直角三角形状の補強プレート111が固設され、同様にグレンタンク30の後面右側に直角三角形状の補強プレート111が固設され、前後それぞれの補強プレート111・111下部に剛性の高い枢支部86・87が形成され、前方の枢支部86で排出コンベア88前端部の外周面を枢支し、後方の枢支部87でグレンタンク30後下部の排出コンベア88外周面を枢支し、この枢支部86・87が機枠フレーム13上部に支持させておりグレンタンク30を機枠フレーム13上部に支持された排出コンベア88の回動軸線まわりに回動させることができる。
【0108】
また、図17〜図19に示すように、前記グレンタンク30の前面上部の左右途中部より下方に脚フレーム115が下方に向けて突設され、同様にグレンタンク30の後面上部の左右途中部より下方に脚フレーム115が下方に向けて突設され、グレンタンク30を回動させて水平状に回動させた位置で脚フレーム115・115下部が機枠フレーム13前部の左端部に載置されるようにしている。
【0109】
また、前後各々の前記補強プレート111・11の左側部に回動アーム112・112の一端が回動自在に枢支され、該回動アーム112・112他端と機枠フレーム13の前部と前後途中部との左右中央部に固設したブラケット113・113との間に油圧シリンダーより成る昇降シリンダー114・114が介装されている。該昇降シリンダー114・114とを伸縮させることでグレンタンク30を側方に回動させて脱穀部18上部を開放させることができる。
【0110】
また、前記グレンタンク30下面にブラケット91を固設し、ブラケット91と上部カバー35左端部との間をアーム92で連結することで、グレンタンク30とともに上部カバー35を前述した如くヒンジ78の枢支軸を中心に、図10及び図40に示すように、回動させることができる。また、図40に示すように、上部カバー36は、連通上部36aを含む進行方向に対して右側の固定カバー部36dと該固定カバー部36d左端より左側に延出する回動カバー部36cとに分割されている。前記固定カバー部36d左端上部と回動カバー部36c右端上部とがヒンジ78’・78’を介して枢支されている。前記固定カバー部36d左端部とグレンタンク30下面とを図示せぬアーム等を介して連結することで、該ヒンジ78’・78’の前後向きの枢支軸を中心として図40に示すように上方に回動されるのである。
【0111】
したがって、脱穀部18の上方にグレンタンク30を配置した構成としても、グレンタンク30が上側方に回動可能に構成されているので、脱穀部18上方よりメンテナンスを行うことができる。さらに、グレンタンク30の回動にともなわれて上部カバー36・37がそれぞれ回動されて、第一ロータ21と第二ロータ22とが開放され内部のメンテナンスを容易に行うことができるのである。
【0112】
また、前記グレンタンク30内の横送りコンベア89の駆動力は、排出コンベア88より伝達されるように構成されており、排出コンベア88の駆動軸芯を中心としてグレンタンク30を回動させても動力伝達経路を取り外す等の必要のない構成としている。即ち、図17、図21に示すように、エンジン48右端部より右方向に突出した出力軸にプーリ131が固設され、エンジン48後面の右側部に固設したギヤケース125内に駆動力が伝達され、該ギヤケース125を介して排出オーガ40の縦コンベア42や排出コンベア88に動力が伝達され、排出コンベア88より横送りコンベア89に駆動力が伝達されている。
【0113】
前記ギヤケース125には、左右に軸芯を有する第一伝達軸126と該第一伝達軸126とベベルギヤ127・128を介して連動する前後に軸芯を有する第二伝達軸129が軸支され、前記第一伝達軸126端部のプーリ130と前記エンジン48の出力軸上のプーリ291とがベルトで連動されている。前記第二伝達軸129後端部に固設したプーリ133にはベルト134が巻回され、該ベルト134が縦コンベア42のケーシング下後部に前後に軸支したオーガ入力軸135後端部のプーリ136に巻回されエンジン48の動力が排出オーガ40側に伝達されている。
【0114】
前記オーガ入力軸135前端部が縦コンベア42の駆動軸42a下端部に図示せぬベベルギアを介して連動され、縦コンベア42上端部より回動コンベア41に動力が順に伝達されている。また、前記オーガ入力軸135の前後途中部に軸支したスプロケット137と排出コンベア88のスクリュー88bのスクリュー軸88c後端部に固設したスプロケット138との間にチェーン139が巻回され、排出コンベア88が駆動されている。
【0115】
そして、図22に示すように、前記排出コンベア88のスクリュー軸88c前部のケーシング88a内に駆動ケース119下部が配置され、該駆動ケース119をグレンタンク30右側面より右側に延出させた駆動ケース119右上部を横送りコンベア89の側方位置のグレンタンク30右側面まで延出して固設させている。前記駆動ケース119下部内に左右に軸芯を有する連動軸120が軸支されている。該連動軸120の左端部にベベルギヤ121が固設され、該ベベルギヤ121にスクリュー軸88c前部のベベルギア122が噛合されている。また、前記駆動ケース119上部内に横送りコンベア89の駆動軸89a右端部が挿入され、端部にスプロケット132が固設され、連動軸120右端部のスプロケット124との間にチェーン158が巻回され、排出コンベア88の駆動が横送りコンベア89に伝達されている。
【0116】
よって、前記グレンタンク30内に貯留された穀粒を横送りコンベア89の駆動で右側の排出コンベア88の前部に受け継ぎ、排出オーガ40を介して機外に排出させることができるのである。
【0117】
さらに、前記駆動ケース119下部内にはベアリング117を介してスクリュー軸88c前部が枢結され、ベアリング118を介してベベルギア122のボス部を枢結しており、駆動ケース119がスクリュー軸88cを中心に回動可能となっており、グレンタンク30を回動させても動力伝達経路を途中で断接する等の作業を行うことなく作業性が向上されている。
【0118】
また、前記グレンタンク30内上部には、スクリュー式のレベリングコンベア140が軸支されている。該レベリングコンベア140は、前記揚穀コンベア29のシュート部85直下方のグレンタンク30後上部の左側よりグレンタンク30前上部の右側に向けて対角線状に配置されている。前記シュート部85より落下された穀粒は、先ずグレンタンク30内の後部右側に山状に堆積され、堆積された穀粒の頂部がレベリングコンベア140位置まで成長するとレベリングコンベア140の駆動によって前右側に流されるように崩されて行き、穀粒の山をレベリングコンベア140に沿ってグレンタンク30の対角線状に成長させて行き内部を穀粒で満載するのである。
【0119】
さらに、前記グレンタンク30上部にはレベリングコンベア140の配置方向に沿って、複数の穀粒満載センサー159・159・・・が設けられている。図17、図19、図20に示すように、前記穀粒満載センサー159・159・・・は接触式のセンサーであり穀粒満載センサー159下部をレベリングコンベア140の直側方位置まで延出させており、レベリングコンベア140に沿ってグレンタンク30の対角線状に成長された山状に堆積された穀粒の位置が検出され、最も右前方の穀粒満載センサー159が籾を検出された時がグレンタンク30内に籾が満載されたことを示すものである。
【0120】
前記レベリングコンベア140への駆動力は、グレンタンク30の後部の右側部に上下方向に伸延する筒状の垂直伝動ケース141上部が挿入固定されている。該垂直伝動ケース141上部にL型の上伝動ケース142下端が連設され、該上伝動ケース142上部に軸支される連動三軸151にレベリングコンベア140の駆動軸140a後端部が連動連結されている。
【0121】
また、前記垂直伝動ケース141下部にも後面視L型の下伝動ケース143が連設されている。該下伝動ケース143下部に左右向きの連動一軸144が軸支され、連動一軸144内端部(右端部)に垂直伝動ケース141内に軸支される連動二軸145下部がベベルギヤ146・147を介して連動連結され、該連動二軸145上部が上伝動ケース142内に挿入され、ベベルギヤ149・150を介して前記連動三軸151が連動されている。また、前記連動一軸144の左端部に入力プーリ148が固設され、動力伝達部110より駆動ベルト154を介して駆動力が伝達可能に構成されている。
【0122】
また、前記下伝動ケース143右側部はステー155を介して後方の脚フレーム115に固設され、この下伝動ケース143及び垂直伝動ケース141、上伝動ケース142がグレンタンク30に強固に固定されグレンタンク30の回動にともなわれて入力プーリ148が回動されるようにしている。
【0123】
前記入力プーリ148に駆動力を伝達する駆動ベルト154は、揚穀コンベア29後面の上下途中部にステー156を介して枢支されたガイドプーリ152と、該ガイドプーリ152の後方にアーム153を介して上下に回動可能に枢支したテンションプーリ157に巻回されている。該テンションプーリ157が図示せぬスプリングによって上方に付勢されており、該テンションプーリ157とガイドプーリ152と動力伝達部110内の脱穀部への駆動伝達経路上の例えば排稈ビータ入力プーリ177とによって逆三角形状に駆動ベルト154が巻回されている。
【0124】
よって、前記グレンタンク30が水平状の作業位置に回動されると、ガイドプーリ152とテンションプーリ157との間に前記入力プーリ148が入り込み、この間の駆動ベルト154上部に入力プーリ148の略下半部が巻回されて駆動力が伝達され、収穫作業時に脱穀部18の駆動とともにレベリングコンベア140が駆動され、幅広く形成したグレンタンク30内に穀粒を隙間なく満載させるようにしている。
【0125】
また、前記入力プーリ148の下半分が駆動ベルト154に巻回されるのみなので、グレンタンク30を側方に回動させる際にも、駆動ベルト154の上方側より入力プーリ148が引っ掛かることなく抜き出され、駆動ベルト154を外す等の作業が不要となって作業性が向上されているのである。
【0126】
このように、走行安定性が向上されたクローラ式走行装置1の上方にメンテナンス性の優れた機枠フレーム13が載置され、該機枠フレーム13内に脱穀性能が優れてコンパクトな脱穀部18が収納され、機体の前方に簡単な連結構成としてコストの低減化がはかられた刈取部8より刈り取られた穀稈が脱穀部18に搬送され、排稈を機外にスムースに排出して選別装置19で確実に一番物を選別して、脱穀部18の上方に機体の左右幅に合わせて幅広く形成したグレンタンク30内に一番物を損傷させることなく投入して収穫作業の連続性を向上しており、大規模な圃場において効率良く収穫作業を行うことができ、作業時間を短縮して確実に収穫し、無駄なく選別して貯留することができる汎用コンバインが構成されるのである。
【0127】
農作業車両のクローラ式走行装置のトラックフレームに配設した複数の遊転輪や緊張輪と、走行ミッション装置側方に軸支される駆動両輪体とにクローラベルト内周面を巻回した農作業車両において、前記トラックフレーム下部に上下動自在に可動転輪を設けたので、クローラベルトに圃場の凹凸を吸収する弾性をもたせると同時に、クローラベルトの外れを防止することができ、走行安定性を向上することができるのである。
【0128】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、次のような効果を奏するものである。
トラックフレーム(306)に配設した複数の遊転輪(307)とクローラ緊張輪(308)と、走行ミッション装置側方に軸支される駆動用輪体(305)とに、クローラベルト(309)を巻回した作業車両の走行装置において、該クローラベルト(309)内に前後間隔を開けて芯金(310)を埋設し、該芯金(310)の左右幅方向の中央部の内側に左右の内爪部(310a・310a)を、外側に左右の外爪部(310b・310b)を、該クローラベルト(309)の内周面に突起し、左右の遊転輪(307・307)の内側面と外側面とをガイドさせたので、機体を急旋回させたり傾斜地を走行させてもクローラベルトが左右にズレて外れることのなく、走行安定性が向上する。
また、クローラベルトを左右にズレないように内側と外側の二種類の爪でガイドでき、一方の爪のみに反力が大きくかかり磨耗等による損傷が激しくなり、クローラベルトの交換時期を早める等の不具合がないのである。
【0128】
また、該遊転輪(307・307)は支点(307c)により支持し、該支点(307c)をベアリング等を介して枢結部(333)で軸受支持し、該枢結部(333)の上部には、取付部(334)を上方へ突出形成し、該取付部(334)は下方を開放したトラックフレーム(306)内に挿入し、該取付部(334)とトラックフレーム(306)を、前記支点(307c)を中心として同一円周上に配置したボルト(313・313・313)により螺合固定し、前記遊転輪(307)を構成する左右のローラ(307a・ローラ307a)の側面にも、前記ボルト(313・313・313)を挿入する複数の孔(307b・307b・・・)を開口し、該複数の孔(307b・307b・・・)は、前記ボルト(313・313・313)と同一円周上に開口したので、これらの遊転輪や緊張輪を枢支するピン若しくは軸が予め組み付けられた状態でトラックフレームに取付けることができるので、取付けが簡単となり工場における組立性やメンテナンスにおける交換作業が容易となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 汎用コンバインの全体側面図一部断面図である。
【図2】 脱穀部及び選別装置の側面断面図である。
【図3】 脱穀部の平面断面図である。
【図4】 脱穀部の側面断面図である。
【図5】 同じく側面断面図である。
【図6】 機枠フレーム前部内のビータのメンテナンス構成を示す側面図部分断面図である。
【図7】 脱穀部から排稈を排出する第二ロータの別構成の平面断面図である。
【図8】 揚穀コンベアの側面図部分断面図である。
【図9】 機枠フレームの平面図である。
【図10】 ロータ右端部を被装する脱穀部扉の回動構成の正面図一部断面図である。
【図11】 同じく進行方向の右側面図である。
【図12】 脱穀部扉を開けた状態の進行方向の右側面図である。
【図13】 刈取部の進行方向に左側面図である。
【図14】 動力を伝達するエンジンのプーリ位置を示す正面図である。
【図15】 脱穀部及び走行装置への動力伝達経路を示す側面図である。
【図16】 選別装置への動力伝達経路を示す側面図である。
【図17】 グレンタンクの支持構成を示す後面図一部断面図である。
【図18】 同じく正面図である。
【図19】 同じく進行方向の左側の側面図である。
【図20】 グレンタンクの平面図一部断面図である。
【図21】 エンジンから排出オーガと排出コンベアへの駆動伝達を示す部分平面断面図である。
【図22】 排出コンベアか横送りコンベアへの動力伝達構成を示す部分平面図一部断面図である。
【図23】 キャビンの平面図である。
【図24】 キャビンの側面図である。
【図25】 キャビンの正面図である。
【図26】 クローラ式走行装置の側面図である。
【図27】 遊転輪の正面断面図である。
【図28】 クローラ緊張輪等の支持構成を示す平面図一部断面図である。
【図29】 エンジンルームの吸気構成を示す側方断面図である。
【図30】 同じく正面断面図である。
【図31】 同じく平面断面図である。
【図32】 刈取部の右側面図である。
【図33】 刈取部の部分正面図である。
【図34】 刈取部の部分展開図である。
【図35】 刈取部のプラットホームとフィーダハウスとの連結構成の側面図である。
【図36】 プラットホームの連結構成の部分後面図である。
【図37】 同じく部分側面断面図である。
【図38】 プラットホーム下部の連結構成の部分底面図である。
【図39】 プラットホーム上部の連結構成の部分平面図である。
【図40】 上部カバーの支持構成を示す正面図である。
【符号の説明】
1 走行装置
13 機枠フレーム
305 駆動用輪体
306 トラックフレーム
307 遊転輪
308 クローラ緊張輪
309 クローラベルト
310 芯金
310a 内爪部
310b 外爪部
315 可動転輪
331 枢結体
331a 取付縁部
333 枢結部
334 取付部材
Claims (1)
- トラックフレーム(306)に配設した複数の遊転輪(307)とクローラ緊張輪(308)と、走行ミッション装置側方に軸支される駆動用輪体(305)とに、クローラベルト(309)を巻回した作業車両の走行装置において、該クローラベルト(309)内に前後間隔を開けて芯金(310)を埋設し、該芯金(310)の左右幅方向の中央部の内側に左右の内爪部(310a・310a)を、外側に左右の外爪部(310b・310b)を、該クローラベルト(309)の内周面に突起し、左右の遊転輪(307・307)の内側面と外側面とをガイドさせ、該遊転輪(307・307)は支点(307c)により支持し、該支点(307c)をベアリング等を介して枢結部(333)で軸受支持し、該枢結部(333)の上部には、取付部(334)を上方へ突出形成し、該取付部(334)は下方を開放したトラックフレーム(306)内に挿入し、該取付部(334)とトラックフレーム(306)を、前記支点(307c)を中心として同一円周上に配置したボルト(313・313・313)により螺合固定し、前記遊転輪(307)を構成する左右のローラ(307a・ローラ307a)の側面にも、前記ボルト(313・313・313)を挿入する複数の孔(307b・307b・・・)を開口し、該複数の孔(307b・307b・・・)は、前記ボルト(313・313・313)と同一円周上に開口したことを特徴とする作業車両の走行装置。
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