JP4136711B2 - 電子文書処理装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント、スキャン機能を有する電子文書処理装置に関するものであり、特に電子文書が持つ関連情報と、その電子文書を印刷した利用者情報を、ハードコピー出力した時にも認識可能とするとともに、スキャンした後、再度同様の関連情報を持つ電子データとして利用可能とする電子文書処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特許文献1に示される電子文書処理装置は、電子文書のハードコピーに対して、元の電子文書の属性情報をバーコード等を利用して埋め込み、さらに当該のハードコピーをスキャンする際に、バーコードのデコードを行い、元の電子文書の属性情報を復元する仕組みの基本的なものである。これにより、電子文書とハードコピー文書との間で、情報を相互にやり取りする。
しかしながら、ハードコピーに符号化して埋め込む情報は、「選択された電子文書ファイルの少なくとも一つの属性」、すなわち印刷される電子文書のファイル名、内容、ロケーション、作成者、ファイルサイズなど文書に直接的に関連する情報であり、文書を利用する際のアプリケーション利用者に対応する属性は含まれない。また、ハードコピー文書を複製することによるバーコードの画像劣化についても考慮していない。
【0003】
例えば、特許文献2に示されるアナログおよびデジタルデータ両面印刷方法は、紙またはフィルム等の媒体上に従来方法でアナログ的(人間に読解可能な表現)に印刷すると同時に、その元デジタルデータ(計算機が読解可能なデータ)が符号化されたものを同一媒体に印刷する方法である。印刷されているアナログデータと一致させるデジタルデータとを印刷する方法であるため、アナログデータとして印刷しないデータを、符号化して印刷することは考慮していない。
例えば、特許文献3に示される情報処理装置は、電子文書のハードコピーに対して、元の電子文書の属性情報ないし所在情報と、元の電子文書の属性ではない、元の電子文書を処理するためのアプリケーション情報とをバーコード等を利用して埋め込み、さらに当該のハードコピーをスキャンする際に、バーコードのデコードを行い、元の電子文書の属性情報ないし所在情報およびアプリケーション情報を復元し、電子文書に対する処理を行うものである。
電子文書の属性情報以外の情報として、アプリケーション情報を想定しているが、利用者情報は想定していない。また、ハードコピー文書を複製することによるバーコードの画像劣化についても考慮していない。
【特許文献1】
特許第3219251号公報
【特許文献2】
特開平11−288363号公報
【特許文献3】
特開2001−30587公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ハードコピー文書は、表示や携帯に特別な装置を必要とせず、また印刷されたものは改変が容易ではないため、未だに、閲覧、携帯、記録・保管の主要な媒体の一つである。
このような閲覧性や可搬性、記録性に優れることに加えて、ハードコピー文書は複写機やファクシミリにより安価かつ容易に複製することができるため、ますます多くのハードコピー文書が複製・生成され、文書は作成者を越え広範囲に流通している。さらに、近年はネットワークの発達により、電子文書処理装置で作成された電子文書が、ネットワーク経由で広範囲の利用者に伝達され、文書の作成者ではなく利用者側でハードコピー文書として出力されている。
しかしながら、このように広範囲に流通するハードコピー文書には、電子文書と比較して、いくつかの問題点がある。第一は、ハードコピー文書は、その内容を改変することが容易ではないという点である。例えば、ハードコピー文書中の文章やグラフ、表などの内容を変更したい場合、一般に、ハードコピー文書をスキャンし描写内容を認識技術(例えばOCR)によって計算機による読解が可能な形式に変換する必要があるが完全に達成できる技術はない。
【0005】
第二は、電子文書のハードコピー出力は、しばしば、電子文書の内容の部分表現でしかないという点である。電子文書処理装置により管理される電子文書には、内容以外に、作成者や作成日時、バージョン、あるいは参照文書へのリンクなどの書誌情報が付与されている。またある種の文書、例えばスプレッドシートソフトウェアにより生成される表には、ハードコピー文書に描画されている数値以外に、その数値の計算に必要な計算式などが含まれている。しかし、これらの書誌情報やリンク情報、計算式はハードコピーにはこと実上描写されることはない。
これら第一、第二の課題に対して、特許第3219251号、特開平11−288363号公報は、電子文書の属性(内容や書誌こと項、あるいは計算式など)をバーコードとして、当該の電子文書に対応する人間が読解可能な画像と一緒にハードコピー文書上に印刷することで解決を図っている。
特開平11−288363号公報の技術を利用すれば、電子文書そのものをバーコード化し、ハードコピー文書の例えば表面には人間に読解可能な形式で印刷し、裏面にはバーコード化された電子文書ファイルそのものを印刷することができる。あるいは、電子文書ファイルそのものではなく、電子文書ファイルの所在情報(例えばURL)をバーコード化し、ハードコピー文書に付加的に印刷すれば、バーコード付きハードコピー文書を読み込み、バーコードをデコードすることで、ハードコピー文書に対応する電子文書、あるいはその一部の情報を得ることができる。
ハードコピー文書が持つ第三の課題は、複製の繰り返しや使用に伴う画像の劣化である。特許第3219251号、特開平11−288363号公報のように電子文書の情報をバーコードのような画像劣化に対して相対的にロバストな技術を用いても、特に特開平11−288363号公報のようにハードコピー文書の全体を符号化して印刷すると、画像劣化に対するロバストネスは相対的に低下する。
その場合は、ハードコピーの元電子文書の所在情報のように相対的に情報量の少ない情報を符号化すれば良いが、ハードコピー文書が流通する世界では、ファイヤーウォールなどの制約により元の電子文書に必ずしも到達できない場合もある。これが第四の課題である。ハードコピー文書の世界での問題は、印刷時に予め複製の回数やネットワークを介してに元の電子文書に到達可能かどうかが予測できないことにある。
【0006】
ところで、前述のように電子文書の複製が作成者を越えて広範囲に流通するということは、電子文書作成者も、電子文書利用者も、完全に同一の内容の電子文書を所有し得ることになる。ここで所有とは、当該の電子文書のデータを所有する場合も、当該の電子文書へアクセス可能な場合も含めることとする。したがってハードコピー文書から元の電子文書情報を復元する際の一つのバリエーションとして、電子文書の作成者側の情報ではなく、利用者側の情報を活用する方法が考えられる。
特許第3219251号に示されるような電子文書に付随する属性情報、すなわち当該の文書を作成する際に決定された属性情報ではなく、電子文書を受け取った、あるいは電子文書にアクセスした側が、その電子文書を利用する際に決定する情報も重要となる。別の言い方をすると、作成時に規定されていたオリジナルの文書情報を改変することなく、利用者側の情報を一時的にハードコピー文書に別途印刷できることは有益である。
典型的な例としては、作成者ではない第三者(利用者)がアクセス可能な電子文書、例えば社内のウェブ文書を閲覧中に印刷し、「当該の電子文書にアクセス可能ないし所有する人物」として当該の利用者を特定する情報を符号化し、ハードコピー文書に付与することで、ハードコピー文書を入手し、スキャンした別の第三者が、前述の利用者に元の電子文書を請求するという方法が考えられる。
このような電子文書の持つ属性情報以外の情報を符号化しハードコピー文書に印刷するものには、特開2001−30587公報記載の技術があるがこれは、ハードコピー文書の元電子文書を処理するアプリケーションに関する情報を符号化し、ハードコピー文書がスキャンされるとアプリケーションが起動するというものであって、「当該の電子文書にアクセス可能ないし所有する人物」としての情報を符号化したものではない。
以上から本発明は、ハードコピー文書から対応する電子文書、ないしその一部の情報を得るために、ハードコピー文書に元電子文書の情報を符号化し埋め込む電子文書処理装置に関して、画像劣化やネットワーク経由ではアクセスできない場合にも対処することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、符号化された電子文書のネットワーク上の所在場所を示す所在情報と電子文書自体の情報である電子文書自体情報と電子文書を印刷した利用者へのアクセスを可能とする利用者情報と、が印刷されたハードコピー文書上の情報を読み取る読み取り部と、前記読み取り部によって読み取った、符号化された前記所在情報と前記電子文書自体情報と前記利用者情報とをデコードし、デコード結果を出力する符号化データデコード部と、前記符号化データデコード部から出力されたデコード結果を格納し、テーブルで管理する文書情報・利用者情報格納部と、前記符号化データデコード部において前記所在情報と前記電子文書自体情報と前記利用者情報のそれぞれについてデコードできたか否かを判定したデコード精度判定結果、および前記文書情報・利用者情報格納部のテーブルに格納される前記所在情報を参照して、前記電子文書の所在場所へのアクセスが可能か否かを判定したアクセス判定結果を、前記文書情報・利用者情報格納部のテーブルに各デコード結果に対応づけて格納するデコード精度・アクセス判定部と、前記文書情報・利用者情報格納部のテーブルから前記電子文書自体情報もしくは前記所在情報を参照して電子文書を取得する電子文書取得部と、を有し、前記電子文書取得部は、前記電子文書自体情報を参照した場合に、該電子文書自体情報に対応するデコード精度判定結果がデコードの成功を示すと、前記電子文書自体情報を前記文書情報・利用者情報格納部から取得し、前記電子文書自体情報に対応するデコード精度判定結果がデコードの失敗を示すと、前記利用者情報を出力し、該出力された利用者情報に基づいて前記利用者本人が操作する端末に前記電子文書を要求し、前記所在情報を参照した場合に、前記所在情報に対応するアクセス判定結果がアクセス可能を示すと、前記所在情報が示す前記電子文書の所在場所から前記電子文書を取得し、前記電子文書に対応するアクセス判定結果がアクセス不可を示すと、前記利用者情報を出力し、該出力された利用者情報に基づいて前記利用者本人が操作する端末に前記電子文書を要求する、ことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記ハードコピー文書上にはさらに、前記電子文書自体情報が人間に読解が可能な表現で印刷されることを特徴とした。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記符号化された前記所在情報と前記電子文書自体情報と前記利用者情報は、符号化される情報量に基づき2つ以上の誤り訂正の程度を設定し符号化されたものであることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態に係るハードコピー文書の一例を示す図である。
図1に示されたハードコピー文書に2種類の表現がある。一方は、人間に読解可能な表現形式のものであり、もう一方は、計算機に読解可能な符号化された表現形式のものである。後者の表現形式で、図1には3種類の情報が符号化され埋め込まれている。この符号はバーコードやグリフコードなどの公知の技術を使うことができる。例えばグリフコードは、左向きのスラッシュと右向きのスラッシュによって計算機に読解可能な「0」と「1」とを表現するコード体系である。例えば、600dpiから1200dpiないし2400dpiの印刷装置およびスキャン装置を使用すれば、数メガバイトから数十メガバイト程度のデータをA4の用紙一枚に記録し復元することができる。なお、コードは、誤り訂正の程度によって、一枚に記録できる容量を変えることができる。また、ファイルを所定のアルゴリズムで圧縮した上でグリフコードに基づき印刷することによって、より大容量のデータを記録することができる。
図1の電子文書の左上には、当該の電子文書へのアクセスを可能とする情報(請求項5の実施例)、例えば、URL等の電子文書の所在情報や電子文書処理装置が管理する当該電子文書の識別記号などが符号化され印刷されている。また右上には、当該の電子文書から本ハードコピー文書を印刷した利用者へのアクセスを可能とする情報が符号化され印刷されている。利用者へのアクセス情報は、第三者が当該の人物へアクセスできる情報であればどのような情報でも良い。例えば、当該利用者の氏名、住所、電話番号などの行政上の識別情報であっても良いし、メールアドレス等の通信網における識別情報でも良い。同様に図1の電子文書の下部には、当該の電子文書自体が符号化され印刷されている。
【0010】
なお、本実施例では、請求項10の実施例にあるように、2種類の以上の誤り訂正の程度持たせている。上述の例をあげると、符号化する情報量の少ない、電子文書へのアクセスを可能とする情報および利用者へのアクセスを可能とする情報は、冗長性を高くもたせ、画像劣化に対してロバストにしている。また、電子文書自体を符号化した図1下部については、情報量が多いためハードコピー文書の所定の一にコンパクトに印刷できるよう、相対的に冗長性を低くした形式で符号化・印刷されている。
また、この実施例では、利用者情報以外で、符号化し印刷する情報として、電子文書のアドレスおよび文書自体を例示したが、ファイル名や文書の要約部分など、当該電子文書のどのような情報でも良い。
また、ハードコピー文書の印刷素材は、通常の紙、コート紙、プラスチック、金属など印刷時に所定のドット再現度にて印刷できるようなものであれば何でも良い。また印刷方式も同様に、レーザー、インクジェット、感熱式など、印刷時に所定のドット再現度で印刷できるようなものであれば何でも良い。
これにより、従来通りハードコピー文書を使用して文書を読んだり、携帯したり、複製し他者へ配布したりすることができるとともに、スキャン装置さえあれば、第一に元の電子文書に復元することもできる。またハードコピー文書を繰り返し複写し、ハードコピー文書の画像が劣化したとしても、当該の電子文書へのアクセスするための情報は画像劣化にロバストになるよう符号化・印刷されているため、このような場合でも元の電子文書を復元することができる。
また、利用者へのアクセス情報が符号化・印刷されいることから、当該電子文書へのアクセス情報を利用しても例えばファイヤーウォール等によって元の電子文書へ到達できない場合でも、印刷を行った利用者へ元文書の送付を依頼することができる。
なお、符号の印刷位置や、符号の開始・終了を示す符号、あるいは電子文書の属性情報をユーザーに選択させ電子文書の一部の情報を印刷する場合などの実装上の工夫やバリエーションは、本発明でも利用することができるため、例えば特開2001−344588公報等を参照されたい。
【0011】
図2は本発明の実施の形態に係る電子文書処理装置の機能ブロック図である。好適な例として、利用者がWeb文書をブラウザで閲覧中に本発明に関わるハードコピー文書を印刷し、これを受け取った第三者がハードコピー文書から電子文書情報および利用者情報を復元することとする。
(ハードコピー文書生成)
本電子文書処理装置は、利用者情報獲得手段1により獲得した利用者情報および、符号化を目的とした電子文書情報、さらには人間に読解可能な情報として本来印刷することを目的とした電子文書情報を電子文書情報獲得手段2が取得し、符号エンコーダ3に出力する。符号エンコーダ3は、所定の電子文書情報および利用者情報を符号化し、本来印刷することを目的とした電子文書情報に付加して、プリントデータとしてプリンタ4へ送る。符号5は利用者情報格納手段、6は電子文書格納手段、7はスキャナ、8は符号デコーダである。
図3は電子文書情報獲得手段と符号エンコーダを中心としたブロック図である。図2に示す利用者情報格納手段5から印刷を行う利用者の情報を、利用者情報獲得手段1によって獲得し、例えば利用者のメールアドレスなどの利用者情報データおよび情報の種類を示す予め定められたタグをXML等の記法を使って符号エンコーダ3へ出力する。
また、電子文書情報獲得手段2は、ハードコピー文書生成するための電子文書へアクセスし、ハードコピーに符号化して埋め込む。利用者によって選択された、あるいは所定の情報(例えばURLと電子文書全体)を抽出し、同様に情報の種類を示すタグとともに符号エンコーダ3へ出力する。また、本来利用者が印刷したいと要求していた電子文書情報(電子文書全体)を符号エンコーダ3のフォーマッタ3−1へ出力する。
符号生成部3−2は、利用者情報ならびに符号化したい所定の情報を、逐次符号化し、フォーマッタ3−1へ出力する。フォーマッタ3−1は、予め用意された、あるいは利用者によって定義された印刷レイアウト定義データを参照して、利用者情報、符号化すべき文書情報、ならびに本来印刷しようとした電子文書情報のレイアウトを決定し、結果をプリントデータ生成部9へ出力する。プリントデータ生成部9は、PDLやポストスクリプトあるいはビットマップデータなどのプリントデータを生成し、これがプリンタ4へ出力されハードコピー文書が作成される。なお、符号の生成に関しては、特許第3219251号に参照される方法を参照されたい。
【0012】
(電子文書情報および利用者情報の復元)
次に、入手した符号が埋め込まれたハードコピー文書から、元の電子文書情報および利用者情報を復元する方法について説明する。図2では、まず、ハードコピー文書は複写機やファクスなどのスキャナ7により読み取られ、例えばTIFF形式の画像データとして符号デコーダ8へ出力される。符号デコーダ8は、図4のフローチャートに示す手続により電子文書情報を抽出する。
TIFF形式の画像データを読み込みながら、符号デコーダ8は符号開始位置を検出し、符号終端部分までを1つの符号化データとして抽出する。抽出した符号化データを例えば、特許第3219251号に参照される方法を用いてデコードする。これを画像データがなくなるまで繰り返し実行する。
以上により、ハードコピー文書に埋め込まれた文書情報ならびに、利用者情報が復元されることになる。なお、復元された各々の文書情報あるいは、利用者情報は、各々どのような属性の情報を復元したかを示す識別記号と対にして出力される。
ハードコピー文書の生成に関する機能は、図2に示す電子文書処理装置で可能である。したがって、ここでは、ハードコピー文書から符号化され埋め込まれている情報を復元し、処理を行うための機能に関する説明を行う。
【0013】
図5は符号デコーダを中心としたブロック図である。ハードコピー文書から、電子文書情報、利用者情報を復元するまでの処理は図2に示す電子文書処理装置が利用できる。ここで、デコード精度および文書所在情報到達判定部10、および文書情報・利用者情報格納部11に関する説明を各々行う。
まず、符号化データ抽出部8−1により符号化データの抽出が開始されると、文書情報・利用者情報格納部11に、データ管理テーブルが生成され、符号化データ毎に、デコード結果を格納する(表1参照)。
【表1】
デコード精度の判定は、符号化データデコード部8−2が行うデコード処理の際にデコードプログラムが返すエラーコードによって行われる。一般的にこうしたデコード処理は、誤り訂正処理を含むため、誤り訂正が不能な場合に特別なエラーコードを出力する。前記判定部10は、符号化データデコード部8−2から当該のエラーコードを受け取ると、その符号化データに関する文書情報・利用者情報格納部11のデコード精度判定の項目に、成功/失敗フラグの値を0として格納する。
すべての符号化データのデコードが終了すると、文書情報・利用者情報格納部11には復元された電子文書情報および利用者情報が格納されている。前記判定部10は、格納されている復元情報の中から文書情報の所在情報に関するタグを検索し値を取得し、当該の所在情報から文書情報が取得できるかどうかを判定する。一般的に文書情報の取得が不能な場合にも特別なエラーコードが出力されるので、前記判定部10は当該のエラーコードに基づき判定を行い、結果を文書情報・利用者情報格納部11に格納する。
これらの処理により例えば表2のように文書結果が文書情報・利用者情報格納部11へ出力される。ここで0は判定の結果が失敗(デコード失敗/文書情報を取得できない)、1は成功(デコード成功/文書情報を取得できる)を示す。またタグおよび値は、符号デコードにより復元されたデータが代入されている(表2参照)。
【表2】
ここで、符号化データIDの2は、デコード精度判定でFailのため、タグ情報、値が取得できなかったことを示している。また、タグが所在情報以外のものに関しては、到達判定は行わない。以上の手続を図6のフローチャートに示す。
ここで、前記判定部10の判定結果に基づいて行われる典型的な処理について説明する。処理内容は、符号化されハードコピー文書に埋め込まれている電子文書情報を入手する方法に関するものである。
ハードコピー文書に人間が読解可能な形式で印刷されている元の電子文書の情報が符号化され埋め込まれている場合について説明する。電子文書処理装置は、まず、文書情報・利用者情報格納部11のデコード精度判定の値を参照し、1であればそのまま電子文書情報を出力する。
一方、文書情報・利用者情報格納部11のデコード精度判定の値を参照し、0であれば、文書情報・利用者情報格納部11から利用者情報を検索し利用者情報に対応する値と、当該のハードコピー文書の少なくとも一部の情報を出力する。ここで当該のハードコピー文書の一部の情報とは、ハードコピー文書を読み込んだ際の画像データの一部、あるいは(および)デコード精度判定が成功している電子文書情報の一部もしくすべてのことである。
【0014】
続いてハードコピー文書に人間が読解可能な形式で印刷されている元の電子文書の所在情報が符号化され埋め込まれている場合について説明する。電子文書処理装置は、まず、文書情報・利用者情報格納部11の到達判定の値を参照し、1であればそのまま当該の電子文書情報を、電子文書情報獲得手段2により取得し出力する。
一方、文書情報・利用者情報格納部11の到達判定の値を参照し、0であれば、文書情報・利用者情報格納部から利用者情報を検索し利用者情報に対応する値と、当該のハードコピー文書の少なくとも一部の情報を出力する。以上の手続をフローチャートとして図7に示す。
さらに、スキャン手段にハードコピー文書から電子文書情報を復元しようとする利用者へのアクセス手段に関する情報を入力させる手段を持たせれば、画像劣化により電子文書情報が復元できなかったり、また、ファイヤーウォールなどにより当該の電子文書情報を取得できない場合でも、自動的にハードコピー文書を印刷した利用者、すなわち元の電子文書を利用できる利用者に、文書情報を要求することができる。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によれば、ハードコピー文書と電子文書との間で情報をやり取りする際に、何らかの原因で、電子文書情報がハードコピー文書から復元できないときに、ハードコピー文書に対してそのハードコピーを印刷した第一の利用者の情報を付与することで、すくなくとも元の電子情報を所有する第一の利用者からの入手を、第二の利用者に保証することができる。また、特に、ハードコピー文書の元の電子文書情報に対してアクセスできない場合でも、ハードコピー文書に対してそのハードコピーを印刷した第一の利用者の情報を付与することで、すくなくとも元の電子情報を所有する第一の利用者からの入手を、第二の利用者に保証することができる。また、特に、繰り返しの複写、あるいは持ち歩くことによるハードコピー文書の画像劣化が起こり、電子文書情報がハードコピー文書から復元できないときに、ハードコピー文書に対してそのハードコピーを印刷した第一の利用者の情報を付与することで、すくなくとも元の電子情報を所有する第一の利用者からの入手を、第二の利用者に保証することができる。
請求項2によれば、電子文書自体情報と、機械による読解が可能な形式で符号化された所在情報と電子文書自体情報と利用者情報と、が印刷されたハードコピー文書上の情報を読み取って電子的な情報へと変換する読み取り部を有し、機械による読解が可能な形式の電子文書とハードコピー文書との間で相互に情報を交換することで、より正確に情報を解読することができる。
請求項3によれば、ハードコピー文書と電子文書との間で情報をやり取りする際に、何らかの原因で、電子文書情報がハードコピー文書から復元できないときに、ハードコピー文書に対してそのハードコピーを印刷した第一の利用者の情報を付与することで、すくなくとも元の電子情報を所有する第一の利用者からの入手を、第二の利用者に保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るハードコピー文書の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る電子文書処理装置の機能ブロック図である。
【図3】電子文書情報獲得手段と符号エンコーダを中心としたブロック図である。
【図4】本発明の制御動作を示すフローチャートである。
【図5】符号デコーダを中心としたブロック図である。
【図6】本発明の制御動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 利用者情報獲得手段
3 符号エンコーダ(符号化手段)
4 プリンタ
Claims (3)
- 符号化された電子文書のネットワーク上の所在場所を示す所在情報と電子文書自体の情報である電子文書自体情報と電子文書を印刷した利用者へのアクセスを可能とする利用者情報と、が印刷されたハードコピー文書上の情報を読み取る読み取り部と、
前記読み取り部によって読み取った、符号化された前記所在情報と前記電子文書自体情報と前記利用者情報とをデコードし、デコード結果を出力する符号化データデコード部と、
前記符号化データデコード部から出力されたデコード結果を格納し、テーブルで管理する文書情報・利用者情報格納部と、
前記符号化データデコード部において前記所在情報と前記電子文書自体情報と前記利用者情報のそれぞれについてデコードできたか否かを判定したデコード精度判定結果、および前記文書情報・利用者情報格納部のテーブルに格納される前記所在情報を参照して、前記電子文書の所在場所へのアクセスが可能か否かを判定したアクセス判定結果を、前記文書情報・利用者情報格納部のテーブルに各デコード結果に対応づけて格納するデコード精度・アクセス判定部と、
前記文書情報・利用者情報格納部のテーブルから前記電子文書自体情報もしくは前記所在情報を参照して電子文書を取得する電子文書取得部と、
を有し、
前記電子文書取得部は、
前記電子文書自体情報を参照した場合に、
該電子文書自体情報に対応するデコード精度判定結果がデコードの成功を示すと、
前記電子文書自体情報を前記文書情報・利用者情報格納部から取得し、
前記電子文書自体情報に対応するデコード精度判定結果がデコードの失敗を示すと、
前記利用者情報を出力し、該出力された利用者情報に基づいて前記利用者本人が操作する端末に前記電子文書を要求し、
前記所在情報を参照した場合に、
前記所在情報に対応するアクセス判定結果がアクセス可能を示すと、
前記所在情報が示す前記電子文書の所在場所から前記電子文書を取得し、
前記電子文書に対応するアクセス判定結果がアクセス不可を示すと、
前記利用者情報を出力し、該出力された利用者情報に基づいて前記利用者本人が操作する端末に前記電子文書を要求する、
ことを特徴とする電子文書処理装置。 - 前記ハードコピー文書上にはさらに、前記電子文書自体情報が人間に読解が可能な表現で印刷されることを特徴とした請求項1に記載の電子文書処理装置。
- 前記符号化された前記所在情報と前記電子文書自体情報と前記利用者情報は、符号化される情報量に基づき2つ以上の誤り訂正の程度を設定し符号化されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の電子文書処理装置。
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