JP4136526B2 - 画像形成用トナー及び画像形成装置並びにトナー容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電印刷法などに用いられる画像形成用トナー及び、該トナーを装填した画像形成装置に関し、更に詳しくは、連続相樹脂に島状の他の樹脂が互いに非相溶に分散し、該島状の樹脂にワックスが内包され、かつ疎水性無機微粉末が外添された、安定した定着性が得られる画像形成用トナー、特に2成分オイルレスフルカラートナー、及び該トナーを装填した画像形成装置、並びに該トナーを充填したトナー容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法、静電印刷法、静電記録法等で形成される静電荷像は乾式法の場合、一般に帯電付与部材により摩擦帯電されたバインダー樹脂及び着色剤を主成分とする乾式トナーが電界により現像された後、コピー紙上に転写・定着される。この時高画質な画像を得るためには、現像により感光体上に形成された潜像をどのような状況においても如何に忠実にトナーを用いて表現できるかが最重要な技術課題の一つであり、現在各種検討がなされている。
【0003】
この高画質を達成するために現像剤に求められる特性としては、保存性(耐ブロッキング性)、搬送性、現像性、転写性、帯電性、定着性が求められ、これらの特性のうち定着性以外の改善を目的として、トナーに添加剤を外添することがしばしば行われている。それら添加剤としては、例えば疎水性シリカ等を代表とする疎水性微紛末(特開昭52−30437号公報)、シリカ微粒子に酸化アルミニウムや酸化チタン微粒子等を混入したもの(特開昭60−238847号公報)、或いはアルミナ被覆チタニア微粒子(特開昭57−79961号公報)等を用いることが開示されている。
【0004】
一般には流動性付与効果が最も高いシリカが用いられている。これらシリカ等の疎水性微粉末を使用することによって、保存性、搬送性、現像性、転写性はかなり改善されるが、これらの改善に十分な量を使用すると経時/環境等の帯電性に悪影響を及ぼすのみならず定着性も悪くなるという問題があった。すなわち、帯電性に関しては、帯電量、帯電の速度、帯電量分布、トナー混合性、及び環境安定性等の要求を満足することが求められるが、シリカ等を使用した場合には、帯電量については充分に得られるが、帯電の速度、帯電量分布、トナー混合性及び環境安定性に悪影響を及ぼし、場合によっては画像チリ等の現象も見られる。
【0005】
近年、この改良の目的で酸化チタンも用いられるようになってきた。特に、酸化チタンについては、アナターゼ型酸化チタンをトナーに外添した場合、トナーへの付着性及び分散性が極めて良好で、シリカに匹敵する流動性が得られ、又、トナーに付着した微粒子が離脱しにくく、キャリアのスペントが防止されるという特徴を有している。特にアナターゼ型の酸化チタンは、表面活性が高いことから、表面処理剤により高疎水化され易く、そのため高流動が得られ易い等のメリットがあった。しかし、アナターゼ型酸化チタンは、撹拌によるキャリアとトナーの衝突やトナーとブレード及びスリーブとの摩擦により、トナーに付着した酸化チタンがトナー内部に徐々に埋没し易く、帯電が不安定になるという問題点を有していた。又、アナターゼ型酸化チタンは、体積固有抵抗も低いため、高湿度下での帯電リークが早く、環境中での帯電安定性も、疎水性シリカよりは若干は改善されているものの、大きく優れたものではなかった。
【0006】
これに対してルチル型の酸化チタンを用いた場合は、その紡錘状という結晶構造の関係でアナターゼ型とは異なり、トナーに埋没し難く、経時及び環境変化でも安定した帯電を得られ易いが、表面活性が低いため表面処理によっても十分な疎水性が得られず流動性の付与能力が低くという欠点があった。いずれの酸化チタンにせよ、単独での使用は難しく、他の外添剤との併用で用いられるのが一般的とされ、特にシリカ等との混合系で、流動性と帯電性をバランスを上手く取れるような比率で用いられてきたのが現実であった。
【0007】
これら疎水性シリカ、酸化チタン等の疎水性微粉末を使用することによって、保存性、搬送性、現像性、転写性はかなり改善されるが、これらの改善のために十分な量を使用すると、帯電性に悪影響を及ぼすのみならず定着性も悪くなるという問題があった。
【0008】
また更に最近では、トナーのオイルレス化に伴い、トナー中にワックス等の離型剤を含有させることが一般的となっており、モノクロタイプのトナーのみではなく、トナーにおいても、オイルレス化が進行している。トナーへの離型剤の含有は、トナー表面に離型剤が存在し、トナー母体着色粒子の流動性が低下し、又添加剤が埋め込まれ易く、前記の各種の副作用に対して、より余裕度が低下する方向であった。
【0009】
又、近年市場では高品質の画像の要求が高まり、従来のような体積平均粒径が10〜15μmのトナーでは十分な高画質が得られなくなってきており、さらに小粒径のトナーが求められている。トナーは小粒径になればなるほど、その比表面積が大きくなることから、母体の着色粒子の粉体流動性は低下し、流動性付与の為に表面処理剤として多量の添加剤の外添が必要とされ、所望の流動性を得るためには上記副作用がより顕著に見られる方向となっていた。
【0010】
また特に、近年環境への配慮からマシンより発生するオゾン量を低減するために、特開昭59−46664号公報に示されるような静電荷像保持体表面に形成したトナー像を紙を主とするシート上の転写材に静電的に転写する工程を含む画像形成装置において、回転円筒状、無端ベルト状などの静電荷像保持体を使用し、バイアスを印加した転写装置をこれに圧接してこれら両者間に転写材を通過させることで、電界により静電荷像保持体上のトナーを転写材に転写させる装置が既に提案されている。
【0011】
このような装置は、従来から使用されているコロナ放電を用いた転写装置に比べて、オゾンは低減され、転写材と静電荷像保支持体を圧接しながら転写するので、静電荷像保持体と転写材の密着性がとりやすく、質のよい転写像が得られやすい。一方、当接圧が加えられた場合、静電荷像保持体上のトナー像にも圧力が加わり凝集が起こり、トナーと静電荷像保持体との間でも密着が発生し、極端な場合には、密着が強固な部分が転写されない現象が起こる。この現象は特に、ライン画像で顕著に見られ、中心部が転写されない「中抜け現象」と呼ばれ、問題視されており、特に、最近の高画質化の要求に対しては、この問題が大きく取り上げられ、その解決が切望されている。
【0012】
このような問題に対して、特開平4−27443号公報のような、磁性トナーに限定はされているが、トナーと静電荷像保持体との間にスペーサー粒子として働くような特定の樹脂微粒子を添加し、トナーの凝集による静電荷像保持体への密着を防ぐ方法が既に提案されているが、未だ充分ではない。
【0013】
一般にこの中抜け現象を改良するには、トナーと静電荷像保持体間の付着力を弱めてやればよく、簡単にはトナー添加剤として一般に使用されているシリカ等の添加剤を多量に添加し、トナーの流動性を大きくすることで改良が可能である。
【0014】
しかし、この方法では多量の添加剤により感光体を損傷する問題及び結着樹脂表面が多量の添加剤で覆われることによるトナー定着性の悪化等という問題があるため添加可能な量にも限度があり、又、シリカ等を十分な量を使用すると帯電性に悪影響を及ぼすという問題もある。すなわち、帯電性に関しては、帯電量、帯電の速度、帯電量分布、トナー混合性、及び環境安定性等の要求を満足することが求められるが、シリカ等を使用した場合には、帯電の速度、帯電量分布、トナー混合性及び環境安定性に悪影響を及ぼし、場合によっては画像チリ等の現象も見られる。
【0015】
又、定着性に関しては、結着樹脂のTgの変更により改良することは可能だが、高温高湿環境での保存性との兼ね合いでTgを下げることでの樹脂定着性の改良にも限度があった。一方、シリカ微粒子にアルミナや酸化チタン微粒子等を組み合わせて添加し、前述の問題を改良する方法では、シリカ以外の粒子を多く添加すると、環境安定性に改善は見られるが、帯電量が低下してしまい、流動性が得られないという問題があった。特に、低温定着実現のために使用される末端に親水基を有するポリエステル樹脂との組み合わせにおいてはより顕著であった。
【0016】
又、近年コンピューター等の画像出力に用いられるプリンター等の画像においては、複写機画像よりも経時使用で安定した高濃度のものが求められており、前記オゾンを低減させた転写プロセスを有するマシンで使用されるトナー添加剤としてシリカを十分に添加した様なトナーの使用においては、シリカ自体の絶縁性が非常に高い為、チャージアップされ易く、Q/Mが異常に上昇し画像濃度が低下する等の問題があった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、画像濃度が経時使用においても安定して得られ、初期画像の忠実な再現性が良好で、転写効率が高く、高寿命で、さらに静電荷像担持体表面に形成したトナー像を転写材に静電的に転写する特定のプロセスにおいても転写中抜けがなく、安定した定着性が得られる画像形成用トナー、特に2成分オイルレスフルカラートナー、及び該トナーを装填した画像形成装置、並びに該トナーを充填したトナー容器を提供することことを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、
(1)着色剤、樹脂、離型剤を含有し、更に添加剤を外添した画像形成用トナーにおいて、前記樹脂は海状の連続相を形成する樹脂Aに島状の他の樹脂Bが互いに非相溶に分散し、該樹脂Bに離型剤としてワックスが内包されており、しかも該島状の樹脂Bがポリオレフィン樹脂(b1)、スチレン系モノマー(b2)とアクリル系モノマー(b3)を含む原料単量体から得られる共重合体、およびポリオレフィン樹脂(b1)にスチレン系モノマー(b2)、アクリル系モノマー(b3)を含む単量体をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体から構成されるとともに、前記添加剤が比表面積の異なる2種類の疎水性シリカと、1種類の疎水性ルチル型酸化チタンとからなり、かつ、前記疎水性シリカのBET比表面積が150〜310m 2 /gのものと40〜100m 2 /gのものであり、前記疎水性ルチル型酸化チタンのBET比表面積が70〜120m 2 /gでことを特徴とする画像形成用トナー。
(2)前記樹脂Bが、ポリオレフィン樹脂(b1)、スチレン系モノマー(b2)とアクリル系モノマー(b3)更に/若しくはアクリロニトリル系モノマー(b4)を含む原料単量体から得られる共重合体、およびポリオレフィン樹脂(b1)にスチレン系モノマー(b2)、アクリル系モノマー(b3)更に/若しくはアクリロニトリル系モノマー(b4)を同時にグラフト共重合して得られるグラフト共重合体から構成されることを特徴とする前記(1)に記載の画像形成用トナー。
(3)トナーを構成する前記樹脂成分が、THF不溶解成分を含有せず、GPCによる重量平均分子量が10000〜90000であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の画像形成用トナー。
(4)前記疎水性ルチル型酸化チタンの疎水化処理剤がシランカップリング剤及び/又はシリコーンオイルであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
(5)前記疎水性のシリカの疎水化処理剤がシランカップリング剤及び/又はシリコーンオイルであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
(6)前記疎水性シリカにおいて、大きいBET比表面積の疎水性シリカの添加量a(wt%)と小さいBET比表面積の疎水性シリカの添加量b(wt%)の比b/aが1.5〜6.0の範囲であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
(7)前記疎水性ルチル型酸化チタンが実質的にトナー表面で固定化されていることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
(8)前記トナーの体積平均粒径が2.5〜8.0μmであることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
(9)静電荷像担持体表面に形成したトナー像を転写材に静電的に転写する手段を含む画像形成装置において、トナーとして前記(1)〜(8)のいずれかに記載の画像形成用トナーが装填されていることを特徴とする画像形成装置。
(10)請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成用トナーが充填されていることを特徴とするトナー容器。
(11)前記(10)に記載のトナー容器が装着されていることを特徴とする画像形成装置、
が提供される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、少なくとも着色剤、樹脂、離型剤を含有し、更に2種類以上の添加剤を外添した画像形成用トナーにおいて、該離型剤として用いられるワックスが、樹脂と互いに非相溶で海島状の相分離構造を有し、該相分離構造は連続相の海状の樹脂Aに島状の他の樹脂Bが分散し、該島状樹脂Bの中に実質的にワックスが内包されており、該島状樹脂Bがポリオレフィン樹脂(b1)、スチレン系モノマー(b2)とアクリル系モノマー(b3)更に/若しくはアクリロニトリル系モノマー(b4)との共重合体、および(b1)に(b2)(b3)更に/若しくは(b4)がグラフトしたグラフト共重合体から構成されるものであり、該添加剤が2種類の比表面積の異なる疎水性シリカと、1種類の疎水性のルチル型酸化チタンとからなることにより、前記従来の欠点を解消できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0020】
本発明で用いる2種類のシリカは、比表面積が大きいものと小さいものとからなり、その比表面積の差が好ましくは100m2/g以上、より好ましく130m2/g以上あることで、比表面積が小さい方のシリカが有する良好な流動性と、比表面積が大きい方のシリカが有する良好な転写性の両立を図ることができるもので、さらに疎水性のルチル型酸化チタンを併用することにより、該疎水性ルチル型酸化チタンの持つ帯電安定性の効果により安定した帯電特性を有することができる。
【0021】
本発明のトナーにおいては、すべてのワックスが樹脂Bに内包されている必要はいないが、ワックスは実質的に樹脂Bに内包されている構成をとるものである。更に本発明のトナーでは、ワックスがトナー粒子の表面近傍に存在する場合でも、粒子表面に存在する場合のような問題は起きにくく、ワックスの分散径をある程度大きくでき、その結果容易に染み出しやすく離型効果を高くすることができる。
【0022】
また、島の分散径が大きいほど、樹脂Bの表面存在確率が高くなるため、よりワックスが表面近傍に存在しやすくなる。しかし、島の分散径があまりにも大きすぎると、それに内包されているワックスの分散径も大きくなる場合がある。ワックスと樹脂Bの界面が粉砕界面になる場合もあることを考慮すると、長軸径2.0μmを超える樹脂Bの島は実質的にないことが好ましい。あってもそれがトナー粒子内部であればワックスの粒子表面の存在量という点では影響ないと考えられるが、着色剤の分散やフルカラートナーの場合には透明性に影響する場合がある。したがって、長軸径2.0μmをこえる樹脂Bの島はあっても個数で1%以下であることが好ましい。この程度ならば島のワックスと樹脂Bの界面が粉砕界面となる確立は小さいものである。より好ましくは、長軸径1.5μmを超える樹脂Bの島がないことである。
【0023】
また、トナー中の該樹脂成分がTHF不溶解成分を含有せず、GPCによる重量平均分子量が10000〜90000であることにより、カラートナーとしての適度な光沢を有することが可能となり、好ましい。フルカラー画像は、色再現性の面からその光沢は10%以上あることが好ましく、該樹脂AはTHF不溶分を含有せず重量平均分子量が好ましくは90000以下、より好ましくは50000以下、樹脂BはTHF不溶分を含有せず重量平均分子量が好ましくは60000以下とすることにより達成可能となる。また、樹脂A、樹脂Bともに、重量平均分子量が10000未満では十分なオフセット防止効果が得られないことから重量平均分子量が10000以上が好ましい。
【0024】
さらに、前記酸化チタンの疎水化処理剤がシランカップリング剤及び/又はシリコーンオイルであることにより、より効果的にトナーの表面処理剤として機能することが判明した。
【0025】
さらに、前記シリカの疎水化処理剤がシランカップリング剤及び/又はシリコーンオイルであることにより、より効果的にトナーの表面処理剤として機能することが判明した。
【0026】
また、前記疎水性ルチル型酸化チタンのBET比表面積が70〜120m2/gであることにより、トナーに良好な流動性を付与出来ることが判明した。ここで、70m2/g未満の時は、流動性付与効果が小さく、120m2/gより大きい時は、トナー中でのチタン粒子の凝集が大きくなり、トナーの流動性の付与効果の割には帯電安定性に不具合の発生が見られた。
【0027】
また、前記疎水性シリカのBET比表面積が150〜310m2/gのものと40〜100m2/gのものの2種類であることにより、トナーに良好な流動性を付与出来尚且つ良好な転写性の両立を図ることができる。
【0028】
ここで、BET比表面積の大きいほうのシリカは、該比表面積が150m2/g未満の時は、流動性付与効果が小さく、310m2/gより大きい時は、トナー中でのシリカ粒子の凝集が大きくなり、トナーの流動性の付与効果の割には帯電安定性に不具合の発生が見られた。BET比表面積の小さいほうのシリカは、該比表面積が40m2/g未満の時は、流動性付与の阻害効果が大きく、100m2/gより大きい時は、転写性への改善効果が小さかった。
【0029】
更に前記疎水性シリカにおいて、大きいBET比表面積の疎水性シリカの添加量a(wt%)と小さいBET比表面積の疎水性シリカの添加量b(wt%)の比b/aが1.5〜6.0の範囲であることにより、流動性を維持しながら、転写特性との両立を効果的に図ることができる。ここで、1.5より小さいときは転写特性に不具合が見られ、6.0より大きいときは流動性付与効果の極端な低下が見られた。
【0030】
又更に、疎水性ルチル型酸化チタンが実質的にトナー表面に固定化されていることにより、経時使用での該酸化チタンの他の部材への移行を極力抑えることができ、更にあらかじめ埋め込まれた状態を初期から作り出すことによって経時使用での変化が少なく不具合の抑制が可能となる。特にルチル型酸化チタンはトナー表面に埋め込まれ難いことから、トナーへ固定化し難いために引き起こされる他の部材への汚染等の抑制を図り、経時で安定した帯電性を得ることができる。
【0031】
又本発明のトナーの粒径については特に限定的でないが、細線再現性等に優れた高画質を得るためには、体積平均粒径が2.5〜8.0μmであることが好ましい。ここで、トナー体積平均粒径の測定は、種々の方法によって測定可能であるが、本発明では米国コールター・エレクトロニクス社製のコールターカウンターTAIIが用いられる。
【0032】
次に、本発明は、静電荷像保持体表面に形成したトナー像を紙を主とするシート状の転写材に静電的に転写する手段を含む画像形成装置において、トナーとして、回転円筒状、無端ベルト状などの静電荷保持体を使用し、バイアスを印加した転写装置をこれに圧接してこれら両者間に転写材を通過させることで、電界により静電荷保持体上のトナーを転写材に転写させる装置を有する電子写真プロセスに用いるトナーで、少なくとも着色剤、樹脂、離型剤を含有し、更に2種類以上の添加剤を外添した画像形成用トナーであって、前記離型剤として用いられるワックスが、樹脂が互いに非相溶で海島状の相分離構造を有し、前記相分離構造は連続相の海状の樹脂Aに島状の他の樹脂Bが分散し、前記島状樹脂Bの中に実質的にワックスが内包されており、前記島状樹脂Bがポリオレフィン樹脂(b1)、スチレン系モノマー(b2)とアクリル系モノマー(b3)更に/若しくはアクリロニトリル系モノマー(b4)の共重合体、および(b1)に(b2)(b3)更に/若しくは(b4)がグラフトしたグラフト共重合体から構成され、前記添加剤が2種類の比表面積の異なる疎水性シリカと、1種類の疎水性ルチル型酸化チタンとからなるものを装填したことにより前記欠点を解消出来ることを見出した。この理由については、前記内容と同様であり、本発明の疎水性ルチル型酸化チタンの有する粉体流動性を阻害することなく帯電を安定化させる能力と、疎水性シリカの有する高い粉体流動付与能力を組み合わせることで、前記欠点を解消することが出来る。
【0033】
疎水性シリカは、少量の添加によって流動性付与効果があることから、無機微粉末を多量に添加した場合に生じる帯電等への問題の解決に有効である。又疎水性シリカと疎水性ルチル型酸化チタンを併用することにより、シリカのみの経時使用で見られる帯電量のQ/Mの上昇に伴う画像濃度の低下を酸化チタンがシリカよりも抵抗が低いため、シリカによりチャージアップした電荷を逃がす役目をするため帯電がより安定化することが判明した。ここで酸化チタンのみの使用では、本発明の疎水性ルチル型酸化チタンにおいても流動性は十分ではなく、シリカよりも多量の添加が必要になり、少量の添加では、従来の疎水性酸化チタンより改善はされているものの、転写中抜け等の発生が見られた。
【0034】
ここで、2種類のシリカは、比表面積が大きいものと小さいものとからなり、その比表面積の差が好ましくは100m2/g以上、より好ましく130m2/g以上あることで、比表面積の小さい方のシリカが有する良好な流動性と、比表面積の大きい方のシリカが有する良好な転写性の両立を図ることができるもので、さらに疎水性の酸化チタンを併用することにより、該疎水性ルチル型酸化チタンの持つ帯電安定性の効果により安定した帯電特性を有することができる。
【0035】
本発明のトナーを、一成分現像剤あるいは二成分現像剤のいずれで用いる場合においても、トナーは容器に充填され、トナーが充填された容器は、画像形成装置とは別途に流通され、ユーザーが画像形成装置に装着して画像形成するのが、一般的である。前記容器として用いられるものは限定的でなく、従来のボトル型あるいはカートリッジ型に限らず用いられる。
【0036】
又、画像形成装置とは電子写真法によって画像を形成するための装置であれば限定されず、例えば複写機とかプリンターが包含される。
【0037】
又、本発明のトナーは、粉砕法によって製造されたトナーでも、粉砕法以外の製造方法、例えば重合法によって製造されたトナーでもよく、また、それらの混合物でもよい。
【0038】
次に本発明のトナーに用いられる材料について詳細に説明する。
本発明のトナーにおいてバインダー樹脂として用いられる樹脂Aは、特に限定はされないが、主にポリエステル樹脂やポリオール樹脂が好ましく、各々単独でも又混合しても用いることができる。
ポリエステル樹脂としては、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合によって得られるが、用いられるアルコール成分としては、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等のジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリエキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール成分、その他の2価のアルコール成分を挙げることができる。
【0039】
また、ポリエステル樹脂を得るために用いられるカルボン酸成分としては、例えばマレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価のカルボン酸成分、これらの酸無水物、低級アルキルエステル、リノレイン酸の2量体、その他の2価のカルボン酸成分を挙げることができる。
【0040】
バインダー樹脂として用いるポリエステル樹脂を得るためには、以上の2官能性単量体成分のみによる重合体のみでなく、3官能以上の多官能性単量体をも含有する成分による重合体を用いることも好適である。かかる多官能性単量体である3価以上の多価アルコール単量体としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−サルビタン、ペンタエスリトール、ジペンタエスリトール、トリペンタエスリトール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1.3.5−トリヒドロキシメチルベンゼン、その他を挙げることができる。
【0041】
また3価以上の多価カルボン酸単量体としては、例えば1,2,4−ペンゼントリカルボン酸、1,2,5−ペンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンボール3量体酸、これらの酸無水物、その他を挙げることができる。
【0042】
又、ポリオール樹脂としては、エポキシ骨格を有するポリエーテルポリオール樹脂をいい、▲1▼エポキシ樹脂、▲2▼2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物もしくはそのグリシジルエーテル、▲3▼エポキシ基と反応する活性水素を有する化合物を反応させて得られるポリオール樹脂が好適に用いられる。
【0043】
更に本発明に使用されるバインダー樹脂としては、公知のものが全て使用でき、前述のポリエステル樹脂、ポリオール樹脂との混合系で用いることもできる。例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単独重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレンーイソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体が挙げられる。
【0044】
又下記の樹脂を混合して使用することもできる。
ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。
【0045】
又特に圧力定着用に好適なバインダー樹脂としては下記のものを挙げることができ、混合して使用できる。
ポリオレフィン(低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、酸化ポリエチレン、ポリ4弗化エチレンなど)、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体(モノマー比5〜30:95〜70)、オレフィン共重合体(エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂)、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、マレイン酸変性フェノール樹脂、フェノール変性テルペン樹脂。
【0046】
本発明のトナーにおいてバインダー樹脂として用いられる樹脂Bは、特にポリオレフィン樹脂(b1)、スチレン系モノマー(b2)とアクリル系モノマー(b3)更に/若しくはアクリロニトリル系モノマー(b4)の共重合体、および(b1)に(b2)(b3)更に/若しくは(b4)がグラフトしたグラフト共重合体から構成されるものである。
【0047】
本発明のトナー構成は、海島構成の海への島の分散状態が重要になる。島の分散状態が良ければ、島に内包させるワックスの分散状態も良いものとなる。海島構成で、ポリエステル樹脂やポリオール樹脂の海に対する島としてビニル系樹脂を用いる場合が多いが、種類によって島の分散状態が異なる。これは海を構成する樹脂と島を構成する樹脂のSP値の差に左右され、この差が小さいほど分散が良くなる。しかし、ビニル樹脂として最も一般的なスチレン−アクリル系共重合体は、ポリエステル樹脂やポリオール樹脂とのSP値差が大きい。このSP値差を小さくするためには、樹脂の組成物を変更させ、例えばアクリルニトリルとの共重合体とするのが容易であり好ましい。
【0048】
一方、ポリオレフィン樹脂にビニル系モノマーをグラフトさせたものはポリオレフィン樹脂中にワックスを効果的に取りこむことができるために、ワックスの分散を改良するための相溶化剤として使用することができる。本発明では、ポリオレフィン樹脂(b1)、スチレン系モノマー(b2)とアクリル系モノマー(b3)更に/若しくはアクリロニトリル系モノマー(b4)の共重合体、および(b1)に(b2)(b3)更に/若しくは(b4)がグラフトしたグラフト共重合体から構成されるもので島を形成することにより、ポリエステル樹脂やポリオール樹脂への分散がよく、なおかつワックスを内包しやすく、ワックスと島樹脂との界面、海と島との界面が存在する本発明のトナー構成を容易に得ることができる。
【0049】
本発明におけるポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのオレフィン類の重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレンなどのオレフィン類の重合体の酸化物などが挙げられる。好ましくはポリエチレン、およびポリプロピレンである。
【0050】
本発明におけるスチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン、フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレンなどが挙げられる。好ましくはスチレンである。
【0051】
本発明におけるアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸などが挙げられる。
【0052】
本発明におけるアクリロニトリル系モノマーとしては、(メタ)アクルロニトリル、シアノスチレンなどが挙げられる。好ましくはアクルロニトリルである。
【0053】
なお、共重合体を構成する(b2)(b3)(b4)とオレフィン樹脂にグラフトする(b2)(b3)(b4)は、同じものであることがより好ましい。
【0054】
樹脂Bの含有量は、ワックスを内包し、確実に2種類の界面を存在させるために、ワックス含有量以上であることが好ましい。また、多量の含有量ではポリエステル樹脂やポリオール樹脂の低温定着性、熱保存性を阻害するため、肝要な量の含有が必要である。より好ましくは、主な樹脂に対して2wt%以上20wt%以下が良い。
【0055】
又、本発明のトナーには帯電制御剤を含有させることができ、帯電制御剤としては、従来公知のものが全て使用できる。正帯電制御剤としては、ニグロシン、塩基性染料、塩基性染料のレーキ顔料、四級アンモニウム塩化合物他等が挙げられ、負帯電制御剤としては、モノアゾ染料の金属塩、サリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の金属錯体他等が挙げられる。帯電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、バインダー樹脂100重量部に対して通常0.01〜8重量部、好ましくは0.1〜2重量部の範囲で用いられる。0.01重量部未満では、環境変動時における帯電量Q/Mの変動に対しその効果が小さく、8重量部を超えると低温定着性が劣る結果となる。
【0056】
又本発明においてトナーに使用される離型剤としては公知のものが全て使用できるが、特にエステル系ワックス、脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、モンタンワックス及び酸化ライスワックスを単独又は組み合わせて使用することができる。エステル系ワックスについては、特に分岐構造を有するものが離型効果が高く良い。カルナウバワックスとしては、微結晶のものが良く、酸価が5以下であり、トナーバインダー樹脂中に分散した時の粒子径が1μm以下の粒径であるものが好ましい。モンタンワックスについては、一般に鉱物より精製されたモンタン系ワックスを指し、カルナウバワックス同様、微結晶であり、酸価が5〜14であることが好ましい。酸化ライスワックスは、米ぬかワックスを空気酸化したものであり、その酸価は10〜30が好ましい。各ワックスの酸価が各々の範囲未満であった場合、低温定着温度が上昇し低温定着化が不十分となる。逆に酸価が各々の範囲を超えた場合、コールドオフセット温度が上昇し低温定着化が不十分となる。
【0057】
ワックスの添加量としてはバインダー樹脂100重量部に対して好ましくは1〜15重量部、より好ましくは3〜10重量部の範囲で用いられる。1重量部未満では、その離型効果が薄く所望の効果が得られにくい。又15重量部を超えた場合はキャリアへのスペントが顕著になる等の問題が生じた。
【0058】
更に本発明のトナーはさらに磁性材料を含有させ、磁性トナーとしても使用し得る。本発明の磁性トナー中に含まれる磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれら金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金およびその混合物などが挙げられる。これらの強磁性体は平均粒径が0.1〜2μm程度のものが望ましく、トナー中に含有させる量としては樹脂成分100重量部に対し約20〜200重量部が好ましく、特に好ましくは樹脂成分100重量部に対し40〜150重量部である。
【0059】
本発明のトナーに用いられる着色剤としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色のトナーを得ることが可能な公知の顔料や染料が使用できる。
例えば、黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。
また、橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーが挙げられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、等がある。
黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。
これらは、1種または2種以上を使用することができる。
【0060】
又本発明のトナーは、必要に応じて添加物を混合してもよい。添加物としては、例えばテフロン(R)、ステアリン酸亜鉛のごとき滑剤あるいは酸化セリウム、炭化ケイ素等の研磨剤、あるいは例えばコロイダルシリカ、酸化アルミニウムなどの流動性付与剤、ケーキング防止剤、あるいは例えばカーボンブラック、酸化スズ等の導電性付与剤、あるいは低分子量ポリオレフィンなどの定着助剤等がある。
【0061】
又、本発明で用いる疎水性酸化チタン/疎水性シリカの表面処理剤としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の各種のシリコーンオイル、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、n−オクタデシルジメチル(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アンモニウムクロライド等の各種のアルキルシラン、トリフルオロメチルエチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン等の各種のフルオロアルキルシラン、特にビニルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤に代表させる、シラン系・チタン系・アルミ系・アルミナージルコニア系等の各金属系カップリング剤のいずれの処理剤も使用可能であり、これらを単独、若しくは二種以上を混合して用いても良い。特にシリコーンオイル、又は下記一般式で示されるシランカカップリング剤が好ましい。
X−Si−(OR)3
(式中、Xは有機質と反応する官能基であり、Rは加水分解可能な基である。)
【0062】
更にまた、本発明で用いられる疎水性シリカは、アルキルハロゲノシランと接触させた後、水蒸気の存在下でヘキサメチルジシラザンと接触させることで得ることもできる。
【0063】
又特に、本発明において用いられる比表面積70〜120m2/gの微粒子ルチル型酸化チタンは、公知となっている種々の方法で得られたものを使用することができる。ルチル型の酸化チタン粒子の製造方法は、工業的に一般に用いられている公知の方法によって得ることができ、硫酸法、塩素法等が挙げられる。
【0064】
本発明のトナーは、一成分現像剤用トナーとしても、二成分現像剤用トナーとしても、又モノクロトナーとしても、フルカラートナーとしても用いることが出来る。
【0065】
本発明のトナーの製造法は従来公知の方法が適用できる。
トナー構成材料を混練する装置としては、バッチ式の2本ロール、バンバリーミキサーや連続式の2軸押出し機、例えば神戸製鋼所社製KTK型2軸押出し機、東芝機械社製TEM型2軸押出し機、KCK社製2軸押出し機、池貝鉄工社製PCM型2軸押出し機、栗本鉄工所社製KEX型2軸押出し機や、連続式の1軸混練機、例えばブッス社製コ・ニーダ等が好適に用いられる。
混練の前には、構成材料をヘンシェルミキサーなどで混合しておくことが好ましい。また、着色剤の分散性を均一にするために、あらかじめ少量の樹脂と着色剤とを混練するなどした加工着色剤を使用することも可能である。
得られた溶融混練物は冷却した後粉砕されるが、粉砕は、例えば、ハンマーミルやロートプレックス等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機や機械式の微粉砕機などを使用することができる。得られたトナーの粒度分布によっては、風力式分級機等により、所望の粒度分布に調整される。トナーの体積平均粒径は1〜10μmであることが好ましく、特に2.5〜8.0μmであることが好ましく、これより小さい粒径の場合は現像時に地汚れの原因となったり、流動性を悪化させトナー補給やクリーニング性を阻害する場合がある。また、現像ローラーや現像剤塗布ブレードなどへのトナーの融着を起こす場合がある。逆にこれより大きい場合には、現像中のチリや現像性の悪化などが問題となる場合がある。
【0066】
この母体トナーは必要に応じ外添剤の添加が行われるが、母体トナーと外添剤とをミキサー類を用いて混合・攪拌することにより外添剤が解砕されながらトナー表面に被覆される。
尚、本発明の疎水性ルチル型酸化チタンを固定化させる方法としては、ミキサーの強い攪拌エネルギーを用いて固定化させる方法、メカノケミカル(メカノミル(岡田精工社製)又はメカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製))等を用いて固定化させる方法等公知の方法で行うことができる。本発明では、疎水性ルチル型酸化チタンをミキサーにより、あらかじめ強い攪拌エネルギーを用いてトナー表面に固定化し、その後に疎水性シリカを従来一般的にトナー作成時に用いられる混合方法により混合することができる。
【0067】
本発明のトナーを二成分現像剤のトナーとして用いる場合に使用し得るキャリアとしては、公知のものがすべて使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉のごとき磁性を有する粉体、ガラスビーズ等及びこれらの表面を樹脂などで処理した物などが挙げられる。
【0068】
本発明におけるキャリアにコーティングし得る樹脂としては、スチレン−アクリル系共重合体、シリコーン樹脂、マレイン酸樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等がある。スチレン−アクリル系共重合体の場合は、30〜90wt%のスチレン分を有するものが好ましい。この場合スチレン分が30wt%未満だと現像特性が低く、90wt%を越えるとコーティング膜が硬くなって剥離しやすくなり、キャリアの寿命が短くなるからである。
【0069】
又本発明におけるキャリアの樹脂コーティングは、上記樹脂の他に接着付与剤、硬化剤、潤滑剤、導電材、荷電制御剤等を含有してもよい。
また、本発明は核体粒子表面に導電性微粉末とシランカップリング剤を含有したシリコーン樹脂で被覆することにより、従来のシリコーン樹脂被覆キャリアの有している利点を同様に維持し、キャリアに導電性を付与することによりキャリアへの電荷の蓄積現象と被覆層の剥がれ・導電性微粉末の脱離を効果的に抑止するものである。
【0070】
本発明においてシリコーン樹脂で被覆するキャリア核体粒子としては、従来より公知のものでよく例えば鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金や化合物;ガラスビーズ等が挙げられる。これら核体粒子の平均粒径は通常10〜1000μm、好ましくは30〜500μmである。なお、シリコーン樹脂の使用量としては、通常キャリア核体粒子に対して1〜10wt%である。
【0071】
又本発明で用いられるシリコーン樹脂としては従来より知られるいずれのシリコーン樹脂であってもよく、例えば市販品として入手できる信越シリコーン社製のKR261、KR271、KR271、KR272、KR275、KR280、KR282、KR285、KR251、KR155、KR220、KR201、KR204、KR205、KR206、SA−4、ES1001、ES1001N、ES1002T、KR3093や、東レシリコーン社製のSR2100、SR2101、SR2107、SR2110、SR2108、SR2109、SR2115、SR2400、SR2410、SR2411、SH805、SH806A、SH840等が用いられる。
シリコーン樹脂層の形成法としては、従来と同様、キャリア核体粒子の表面に噴霧法、浸漬法等の手段でシリコーン樹脂を塗布すればよい。
【0072】
被覆層組成物はシリコーン樹脂溶液中に導電性微粉末とシランカップリング剤を添加して適宜のミキサーで分散して調製することができる。
被覆層中に分散される導電性微粉末は、0.01〜5.0μm程度の粒径のものが好ましく、シリコーン樹脂100重量部に対して0.01〜30重量部添加されることが好ましく、さらには0.1〜20重量部が好ましい。導電性微粉末としては従来より公知のカーボンブラックでよく、コンタクトブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックが挙げられる。
【0073】
シランカップリング剤としては、下記一般式で示される化合物が好ましい。
X−Si−(OR)3
(式中、Xは有機質と反応する官能基であり、Rは加水分解可能な基である。)
特に正帯電性用キャリアとしてはアミノ基を有するアミノシランカップリング剤が望ましく、シリコーン樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部添加するのが良い。
【0074】
本発明において使用されるアミノシランカップリング剤の具体的な例としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0075】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的にさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、部数はすべて重量部である。
【0076】
先ずシリコーン樹脂を被覆層に有するキャリアの製造例を示す。これらは、公知の手段により行なうことができる。
キャリア粒子の製造例
シリコン樹脂溶液(SR2100 東レシリコーン社製) 100部
アミノシランカップリング剤 1部
カーボンブラック(#44 三菱化成工業社製) 4部
トルエン 100部
上記処方をホモミキサーで分散して被覆層形成液を調製した。この被覆層形成液をマグネタイト核体粒子(III)1000部の表面に流動床型塗布装置を用いて被覆層を形成しキャリアAを得た。
【0077】
次にトナーの製造例を示す。これらは、公知の手段により行なうことができる。
実施例1
<トナー構成材料>
上記組成の混合物をヘンシェルミキサー中で十分撹搬混合した後、ロールミルで130〜140℃の温度で約30分間加熱溶融し、室温まで冷却後、得られた混練物をジェットミルで粉砕分級し、所望の粒径のトナー母体aを得た。このトナーaの断面を透過型電子顕微鏡で観察したところ、ワックスが樹脂と非相溶で海島状の相分離構造を有し、海状の樹脂Aに島状の他の樹脂Bが分散し、該島状樹脂Bの中に実質的にワックスが内包されていた。
<添加剤>
疎水性ルチル型酸化チタン
(イソブチルトリメトキシシラン
表面処理品、平均一次粒子径:0.02μm) 0.8部
疎水性シリカ(ジメチルシリコーンオイル
表面処理品、比表面積:50m2/g) 3.0部
疎水性シリカ(ヘキサメチルジシラザン
表面処理品、比表面積:230m2/g) 0.6部
をヘンシェルミキサーにて、攪拌羽根先端周速が20m/sec.になるように設定して、300秒間混合を行い、その後、さらに目開き100μmの篩により風篩を行い、本発明のトナーを作成した。
このトナーの画像光沢を確認したところ、光沢度22%とカラートナーとして適した光沢が得られた。
【0078】
実施例2
実施例1の樹脂Bを以下の様に変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを作成し、トナー母体bを得た。
このトナーbの断面を透過型電子顕微鏡で観察したところ、ワックスが樹脂と非相溶で海島状の相分離構造を有し、海状の樹脂Aに島状の他の樹脂Bが分散し、該島状樹脂Bの中に実質的にワックスが内包されていた。
更に添加剤についても実施例1と同様なものを添加した。
<トナー構成材料(樹脂B)>
樹脂B (b1)/(b2)(b3)共重合体/(b1)に(b2)
(b3)がグラフトしたグラフト共重合体を10/30/60
の重量比で構成されたもの 10重量部
(b1)はポリエチレン
(b2)はスチレン
(b3)はアクリル酸ブチル
(THF不溶分なし、Tg66℃、Tm134℃、SP値10.8)
このトナーの画像光沢を確認したところ、光沢度23%とカラートナーとして適した光沢が得られた。
【0079】
実施例3
実施例1の添加剤の混合条件を以下の様に変更した以外は、実施例1と同様にトナーを得た。
ヘンシェルミキサーにて、攪拌羽根先端周速が25m/sec.になるように設定して、疎水性ルチル型酸化チタンのみを300秒間混合を行い、その後、2種類の疎水性シリカを添加し、攪拌羽根先端周速が20m/sec.になるように設定して、300秒間混合を行い、その後、さらに目開き100μmの篩により風篩を行い、本発明のトナーを作成した。
【0080】
実施例4〜7、比較例1〜3
実施例1、2のトナー構成を表1及び表2に示すものに変更した以外は実施例1、2と同様にしてトナーを作成した。
【0081】
実施例17
実施例1の樹脂Aを以下の様に変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを作成し、トナー母体cを得た。
このトナーcの断面を透過型電子顕微鏡で観察したところ、ワックスが樹脂と非相溶で海島状の相分離構造を有し、海状の樹脂Aに島状の他の樹脂Bが分散し、該島状樹脂Bの中に実質的にワックスが内包されていた。
更に添加剤についても実施例1と同様なものを添加した。
<トナー構成材料(樹脂A)>
樹脂A ポリエステル樹脂 80重量部
(THF不溶解分:10wt%、Mw:100000、Tg65℃、Tm145℃、SP値10.7)
このトナーの画像光沢を確認したところ、光沢が全く得られなかった。
【0082】
比較例4
実施例1の樹脂Bを除いて樹脂Aを100重量部に変更した以外は実施例1と同様なトナーを作成し、トナー母体dを得た。このトナーdの断面を透過型電子顕微鏡で観察したところ、ワックスが樹脂と非相溶で海島状の相分離構造を有していた。更に添加剤についても実施例1と同様なものを添加した。
【0083】
表1及び表2に各トナーの内容を示す。尚、表1及び表2中、%はwt%である。
又、表3に各トナーとキャリアAを用いた現像剤の評価結果を示す。
各トナー評価内容に関しては、(株)リコー製プリンターIPSIO 8000の定着部を改造してオイルレストナーを用いることが可能な装置を用いて、各トナーについて画像品質評価を行った。尚、この装置の転写部は紙を搬送するベルトの下から転写ローラー当接させた。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
評価:
(帯電立ち上がり性)
ボールミル攪拌機を用い、10秒後の帯電量A1と10分後の帯電量A2の値を比較し、帯電量の立ち上がり率とし、評価した。尚、符号は無視する。
帯電量立ち上がり率(wt%)=〔(A2−A1)/((A1+A2)/2)〕×100
◎:100wt%〜90wt%、
○:90wt%未満〜80wt%、
△:80wt%未満〜70wt%、
×:70wt%未満
(環境安定性)
10℃、20%の低温低湿環境と30℃、80%の高温高湿環境での帯電量をブローオフ法によって求め、その時の値を以下の式に代入して環境変動率を算出し、判定条件により評価した。
環境変動率(%)=〔(低温低湿帯電量−高温高湿帯電量)/低温低湿帯電量〕×100
◎:0%〜5%未満、
○:5%〜10%未満、
△:10%〜30%未満、
×:30%以上
(転写中抜け)
転写中抜けの尺度としては、初期と20万枚後のコピー画像上の転写中抜けを次の5段階で評価し、その平均値とした。
◎:優、
○:良、
●:普通、
△:悪、
×:最悪
(現像剤寿命)
現像剤寿命の尺度としては、初期と20万枚画像出し後のコピー画像上の地肌汚れの変化を次の5段階で評価した。
◎:優、
○:良、
●:普通、
△:悪、
×:最悪
(スペント性)
30万枚複写試験後の現像剤からブローオフ法によりトナーを除去し、残ったキャリア重量W1をトルエン中に入れ融着物を溶解、洗浄、乾燥し、その時の融解物の重量W2からスペント化率を求め、評価した。
スペント化率(wt%)=〔(W1−W2)/W1〕×100
◎:0wt%〜0.01wt%未満、
○:0.01wt%〜0.02wt%未満、
△:0.02wt%〜0.05wt%未満、
×:0.05wt%以上
(細線再現性)
各現像剤に関して、画像評価テストを行い、細線再現性について以下の判定基準により5段階に評価した。
◎:優、
○:良、
□:普通、
△:悪い、
×:最悪
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によれば、着色剤、樹脂、離型剤を含有し、更に添加剤を外添した画像形成用トナーにおいて、前記樹脂は海状の連続相を形成する樹脂Aに島状の他の樹脂Bが互いに非相溶に分散し、該樹脂Bに離型剤としてワックスが内包されており、しかも該島状の樹脂Bがポリオレフィン樹脂(b1)、スチレン系モノマー(b2)とアクリル系モノマー(b3)を含む原料単量体から得られる共重合体、およびポリオレフィン樹脂(b1)にスチレン系モノマー(b2)、アクリル系モノマー(b3)を含む単量体をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体から構成されるとともに、前記添加剤が比表面積の異なる2種類の疎水性シリカと、1種類の疎水性ルチル型酸化チタンとからなり、かつ、前記疎水性シリカのBET比表面積が150〜310m 2 /gのものと40〜100m 2 /gのものであり、前記疎水性ルチル型酸化チタンのBET比表面積が70〜120m 2 /gでことを特徴とする画像形成用トナーとすることにより、画像濃度が経時使用においても安定して得られ、初期画像の忠実な再現性が良好で、転写効率が高く、転写中抜けがなく、高寿命が得られる画像形成用トナーを提供することができる。
【0089】
請求項2によれば、上記画像形成用トナーにおいて、前記樹脂Bが、ポリオレフィン樹脂(b1)、スチレン系モノマー(b2)とアクリル系モノマー(b3)更に/若しくはアクリロニトリル系モノマー(b4)を含む原料単量体から得られる共重合体、およびポリオレフィン樹脂(b1)にスチレン系モノマー(b2)、アクリル系モノマー(b3)更に/若しくはアクリロニトリル系モノマー(b4)を同時にグラフト共重合して得られるグラフト共重合体から構成されることを特徴とする画像形成用トナーとすることにより、前記樹脂Aのポリエステルやポリオールへの分散がよく、なおかつワックスを内包しやすく、ワックスと島樹脂との界面、海と島との界面が存在する本発明のトナー構成を容易に得ることができ上述のような安定した、忠実な画像が再現され、転写効率が高く、転写中抜けがなく、高寿命が得られる画像形成用トナーを提供することができる。
【0090】
請求項3によれば、前記トナー中の樹脂成分が、THF不溶解成分を含有せず、GPCによる重量平均分子量が10000〜90000であることを特徴とする画像形成用トナーとすることにより、十分なオフセット防止効果もあって、しかもカラートナーとして適度な光沢を有することが可能となる。
【0091】
請求項4によれば、前記ルチル型酸化チタンの疎水化処理剤がシランカップリング剤及び/又はシリコーンオイルであることを特徴とする画像形成用トナーとすることにより、より効果的にトナーの表面処理剤として機能することが可能になる。
【0092】
請求項5によれば、前記シリカの疎水化処理剤がシランカップリング剤及び/又はシリコーンオイルであることを特徴とする画像形成用トナーとすることにより、酸化チタンの場合と同様に、より効果的にトナーの表面処理剤として機能することが可能になる。
【0095】
請求項6によれば、前記疎水性シリカにおいて、大きいBET比表面積の疎水性シリカの添加量a(wt%)と小さいBET比表面積の疎水性シリカの添加量b(wt%)の比b/aが1.5〜6.0の範囲であることを特徴とする画像形成用トナーとすることをより、流動性を維持しながら、転写特性との両立を効果的に図ることができる。1.5より小さいときは転写特性に不具合が見られ、6.0より大きいときは流動性付与効果の極端な低下が見られた。
【0096】
請求項7によれば、前記疎水性ルチル型酸化チタンが実質的にトナー表面で固定化されていることを特徴とする画像形成用トナーとすることにより、経時使用での酸化チタンの他の部材への移行を極力抑えることができ、更にあらかじめ埋め込まれた状態を初期から作り出すことによって経時使用での変化が少なく不具合の抑制が可能となる。特にルチル型酸化チタンはトナー表面に埋め込まれ難いことから、トナーへ固定化し難いために引き起こされる他の部材への汚染等の抑制を図り、経時で安定した帯電性を得ることができる。
【0097】
請求項8によれば、前記トナーの体積平均粒径が2.5〜8.0μmであることを特徴とする画像形成用トナーとすることにより、細線再現性等に優れた高画質を得ることが可能になる。
【0098】
請求項9によれば、静電荷像担持体表面に形成したトナー像を転写材に静電的に転写する手段を含む画像形成装置において、トナーとして前記いずれかに記載の画像形成用トナーを使用することを特徴とする画像形成装置とすることにより、トナーと帯電付与部剤間の摩擦帯電が安定で、温・湿度の変化に影響されない安定した画像を再現し、地汚れやトナー飛散がなく、画像品質の劣化がなく、連続使用時においても摩擦帯電が安定で、初期画像と同等の忠実度の高い画像の得られる画像形成装置を提供することができる。
【0099】
請求項10によれば、前記いずれかに記載の画像形成用トナーが充填されたトナー容器とすることにより、安定した画像を再現し忠実度の高い画像の得られる画像形成装置のためのトナー容器を提供することができる。
【0100】
請求項11によれば、前記トナー容器が装着された画像形成装置とすることにより、安定した画像を再現し忠実度の高い画像の得られる画像形成装置を提供することができる。
Claims (11)
- 着色剤、樹脂、離型剤を含有し、更に添加剤を外添した画像形成用トナーにおいて、前記樹脂は海状の連続相を形成する樹脂Aに島状の他の樹脂Bが互いに非相溶に分散し、該樹脂Bに離型剤としてワックスが内包されており、しかも該島状の樹脂Bがポリオレフィン樹脂(b1)、スチレン系モノマー(b2)とアクリル系モノマー(b3)を含む原料単量体から得られる共重合体、およびポリオレフィン樹脂(b1)にスチレン系モノマー(b2)、アクリル系モノマー(b3)を含む単量体をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体から構成されるとともに、前記添加剤が比表面積の異なる2種類の疎水性シリカと、1種類の疎水性ルチル型酸化チタンとからなり、かつ、前記疎水性シリカのBET比表面積が150〜310m 2 /gのものと40〜100m 2 /gのものであり、前記疎水性ルチル型酸化チタンのBET比表面積が70〜120m 2 /gでことを特徴とする画像形成用トナー。
- 前記樹脂Bが、ポリオレフィン樹脂(b1)、スチレン系モノマー(b2)とアクリル系モノマー(b3)更に/若しくはアクリロニトリル系モノマー(b4)を含む原料単量体から得られる共重合体、およびポリオレフィン樹脂(b1)にスチレン系モノマー(b2)、アクリル系モノマー(b3)更に/若しくはアクリロニトリル系モノマー(b4)を同時にグラフト共重合して得られるグラフト共重合体から構成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成用トナー。
- トナーを構成する前記樹脂成分が、THF不溶解成分を含有せず、GPCによる重量平均分子量が10000〜90000であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成用トナー。
- 前記疎水性ルチル型酸化チタンの疎水化処理剤がシランカップリング剤及び/又はシリコーンオイルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 前記疎水性のシリカの疎水化処理剤がシランカップリング剤及び/又はシリコーンオイルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 前記疎水性シリカにおいて、大きいBET比表面積の疎水性シリカの添加量a(wt%)と小さいBET比表面積の疎水性シリカの添加量b(wt%)の比b/aが1.5〜6.0の範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 前記疎水性ルチル型酸化チタンが実質的にトナー表面で固定化されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 前記トナーの体積平均粒径が2.5〜8.0μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 静電荷像担持体表面に形成したトナー像を転写材に静電的に転写する手段を含む画像形成装置において、トナーとして請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成用トナーが装填されていることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成用トナーが充填されていることを特徴とするトナー容器。
- 請求項10に記載のトナー容器が装着されていることを特徴とする画像形成装置。
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