JP4136060B2 - 自己の部分破壊による切刃再生の可能なアルミナ砥粒、その製造方法及びそれを用いた研削砥石 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、研削の技術分野に属するものであり、特に研削砥石に用いられる砥粒及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
結合材により砥粒を結合保持してなる研削砥石の研削性能を継続させるためには、切刃としての切れ味の低下した砥粒を周囲の結合材とともに脱落させ新規な砥粒を露出させること(自生発刃)が必要であるとされている。このような自生発刃作用を高めるために、砥石の気孔率の設定や結合材と砥粒との組合せの選択などがなされている。
【0003】
自生発刃作用を高めるための砥粒自体についての改善もなされており、そのうちの一例として、砥粒の表面にコーティング処理を施すことで砥石の研磨面からの砥粒の脱落性を高めることが提案されている(特開昭61−86180号公報)。
【0004】
しかしながら、この従来技術によれば、砥石の切れ味を向上させることは可能であるが、砥粒の脱落自体を促進させるので、研削比の向上が困難であるという難点がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、砥石の切れ味とその持続性との双方を良好にすることで研削比が高く研削性能の良好な砥石を可能となす砥粒を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、以上の如き目的を達成するものとして、単結晶アルミナ系粒子をpH8〜9の雰囲気下にて500℃以上で該アルミナ系粒子の融点未満の温度に加熱する加熱工程と、次いで前記単結晶アルミナ系粒子をpH4〜6の弱酸性溶液中への浸漬により0℃以上100℃以下に急冷する急冷工程とを行うことで、前記単結晶アルミナ系粒子の内部応力を増大させることを特徴とする、自己の部分破壊による切刃再生の可能なアルミナ砥粒の製造方法、が提供される。
【0009】
本発明の一態様においては、前記弱酸性溶液のpHは4.5〜5.5である。
【0011】
本発明によれば、以上のような製造方法により得られた自己の部分破壊による切刃再生の可能なアルミナ砥粒、及び、該砥粒を結合材により結合してなる研削砥石、が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
本発明で砥粒の原料として使用されるアルミナ系粒子としては、例えばJIS−R6111に規定されているような、かっ色アルミナ質研削材(A)、白色アルミナ質研削材(WA)、淡紅色アルミナ質研削材(PA)、解砕型アルミナ質研削材(HA)、及び人造エメリー研削材(AE)などのアルミナ質研削材を用いることができる。本発明の目的のためには、特に単結晶からなる解砕型アルミナ質研削材(HA)が好適である。
【0014】
アルミナ系粒子の粒度は、特に制限がなく、従来研削砥石において砥粒として使用されている粒度(例えば#8〜#3000)のものは使用可能である。
【0015】
本発明のマイクロクラックを生じやすくする処理の一例として、アルミナ系粒子を500℃以上に加熱した後に急冷する方法がある。
【0016】
500℃以上に加熱する加熱工程は、pH7〜10の弱アルカリ性雰囲気下で行うことが好ましく、特にpH8〜9の雰囲気が好ましい。雰囲気のpHが酸性側の方へと移行するに従い、加熱工程でアルミナ系粒子の表面にクラックが生じ易くなり、得られる砥粒の強度が低下する傾向にある。また、pHを強アルカリ性側の方へと移行させるに従い、処理操作が面倒になりコスト高となる傾向にある。この雰囲気のpH調整は、例えばNaOHやKOHなどのアルカリ溶液を蒸発させることで形成することができる。この加熱工程の加熱温度は、アルミナ系粒子の融点未満とする。
【0017】
以上のような加熱工程後に急冷する急冷工程は、pH4〜6の弱酸性溶液中への浸漬により行うことが好ましく、特にpH4.5〜5.5が好ましい。弱酸性溶液を用いるのは、加熱工程でアルミナ系粒子の表面に付着したアルカリを中和するためであり、この溶液のpHをアルカリ性側の方へと移行させるに従い、中和機能が低下する傾向にある。また、溶液のpHを強酸性側の方へと移行させるに従い、中和を越えてアルミナ系粒子の表面に酸が付着し更に処理操作が面倒になりコスト高となる傾向にある。この弱酸性溶液としては、例えばHClやHNO3 やCaCl2 などの水溶液を用いることができる。この急冷工程では、アルミナ系粒子を100℃以下に冷却する。冷却温度の下限は弱酸性溶液の凝固点以上(例えば0℃以下)とする。
【0018】
この急冷により、アルミナ系粒子には内部応力が発生し又はアルミナ系粒子の内部応力が増大する。急冷後のアルミナ系粒子の内部応力の大きさは、外力が印加されない場合には粒子にマイクロクラックを生じさせることのない程度の大きさである。
【0019】
以上のような工程で得られた砥粒を用いた研削砥石の模式的部分断面図を図1に示す。図1において、(a)は研削加工開始直後の状態を示し、(b)は研削加工を繰り返した後の状態を示す。図1において、符号2は砥粒を示し、符号4は結合材を示し、符号6は気孔を示す。結合材4としては、例えばSiO2 及びAl2 O3 を含み更にMgO,CaO,K 2Oその他の成分のうちのいくつかを含むビトリファイド結合材を用いることができる。
【0020】
この研削砥石を用いて研削する際には、研削の進行とともに、砥石の研削面に露出せる砥粒2の表面が次第に摩滅して切れ味が低下し、抵抗が大きくなる。砥粒2には相当の内部応力が存在し歪みを生じているので、更に研削抵抗が大きくなろうとする際に砥粒に追加される外力が増加した場合には、砥粒の露出表面にマイクロクラックが発生し、図1(b)に示すように、ここから砥粒の一部(摩滅表面を有する先端部)8が破砕除去される。これにより、当該砥粒の残りの部分の露出表面には破砕により新たな鋭敏な切刃10が生じているので、研削抵抗が増加することなく切れ味の良い研削を継続できる。しかも、砥粒が自己の部分破壊により切刃再生をするので、砥粒を有効に利用でき、砥石の損耗が少なく、研削比を飛躍的に向上させることができる。
【0021】
また、以上のような砥粒を用いて形成された砥石は、ドレッシングの際の抵抗が少ないという利点もある。
【0022】
以下に、本発明の実施例を示す。
【0023】
実施例:
解砕型アルミナ質研削材(HA):粒度#80を、pH8の雰囲気下で600℃に加熱し、次いで15℃のpH5のHCl水溶液中に浸漬した。
【0024】
かくして得られた本発明による砥粒を、ビトリファイド結合材(SiO2 =70重量%;Al2 O3 =17重量%;MgO=3重量%;その他10重量%)と混合してホイール形状にプレス成形し1250℃で焼成することにより、ビトリファイド砥石を作製した。
【0025】
比較例:
実施例1で使用した解砕型アルミナ質研削材からなる砥粒を、実施例1で使用したビトリファイド結合材と混合し、実施例1と同様にしてホイール形状にプレス成形し1250℃で焼成することにより、ビトリファイド砥石を作製した。
【0026】
加工例:
以上の実施例及び比較例で得られたビトリファイド砥石を用いて、鋼材(SUJ焼入)の表面を研削加工した。テーブル送り速度を15m/分とし、砥石の周速を2000m/分とし、設定切込量を1パス当たり20μmとして加工した。
【0027】
その結果、研削比は、比較例のものを1とした場合、本発明実施例のものでは、1.81と極めて大きな値を示した。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、研削比が高く研削性能の良好な研削砥石及びそれに用いる砥粒が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による砥粒を用いた研削砥石の模式的部分断面図である。
【符号の説明】
2 砥粒
4 結合材
6 気孔
Claims (4)
- 単結晶アルミナ系粒子をpH8〜9の雰囲気下にて500℃以上で該アルミナ系粒子の融点未満の温度に加熱する加熱工程と、次いで前記単結晶アルミナ系粒子をpH4〜6の弱酸性溶液中への浸漬により0℃以上100℃以下に急冷する急冷工程とを行うことで、前記単結晶アルミナ系粒子の内部応力を増大させることを特徴とする、自己の部分破壊による切刃再生の可能なアルミナ砥粒の製造方法。
- 前記弱酸性溶液のpHは4.5〜5.5であることを特徴とする、請求項1に記載のアルミナ砥粒の製造方法。
- 請求項1〜2のいずれかに記載の製造方法により得られた自己の部分破壊による切刃再生の可能なアルミナ砥粒。
- 請求項3に記載の自己の部分破壊による切刃再生の可能なアルミナ砥粒を結合材により結合してなる研削砥石。
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JP08982598A JP4136060B2 (ja) | 1998-04-02 | 1998-04-02 | 自己の部分破壊による切刃再生の可能なアルミナ砥粒、その製造方法及びそれを用いた研削砥石 |
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JP08982598A JP4136060B2 (ja) | 1998-04-02 | 1998-04-02 | 自己の部分破壊による切刃再生の可能なアルミナ砥粒、その製造方法及びそれを用いた研削砥石 |
Publications (2)
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JPH11285976A JPH11285976A (ja) | 1999-10-19 |
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JP (1) | JP4136060B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105328586A (zh) * | 2015-10-09 | 2016-02-17 | 芜湖市鸿坤汽车零部件有限公司 | 一种复合钙基树脂砂轮及其制备方法 |
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1998
- 1998-04-02 JP JP08982598A patent/JP4136060B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN105328586A (zh) * | 2015-10-09 | 2016-02-17 | 芜湖市鸿坤汽车零部件有限公司 | 一种复合钙基树脂砂轮及其制备方法 |
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JPH11285976A (ja) | 1999-10-19 |
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