JP4135482B2 - 電動式パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は操舵補助力の発生源としてモータを用いてなる電動式パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用の電動式パワーステアリング装置は、操舵補助用のモータ及び該モータの回転力を舵取手段に伝える減速歯車機構を備えており、操舵手段の操舵に応じた舵取手段の動作を前記モータの回転により補助し、舵取りのための運転者の労力負担を軽減するように構成されている。
【0003】
減速歯車機構はその一端の軸部が前記モータの出力軸に雄形継手部及び雌形継手部を介して継合されるウォームと、該ウォームに噛合し、前記舵取手段に繋がるウォームホイールと、前記ウォームの他端部をウォーム及びウォームホイールの回転中心間距離が長短となる方向へ移動可能に支持する軸受部材とを備えており、該軸受部材を移動操作することにより、前記回転中心間距離を調整し、駆動歯車及び従動歯車の噛合部のバックラッシュ量を少なくして転舵時のバックラッシュによる歯打ち音をなくするように構成されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、ウォームは前記モータの出力軸との継合部に対しモータと反対側へ離隔した部分が転がり軸受を介してハウジング内に回転自在に支持されている。つまり、出力軸の回転力がウォームに伝動される継合部は、ウォームを支持する転がり軸受と前記モータとの間に配置されており、前記軸受部材が操作された際に、ウォームが転がり軸受の支持部を支点として揺動可能となるように構成されている。
【0005】
ところで、減速歯車機構のウォーム歯車等は回転中心線に対しその歯すじが回転方向へ捩じれており、ウォームからウォームホイールへ回転トルクが加わるとき、換言すればモータの回転によって操舵補助する場合、ウォームがウォームホイールの歯すじに沿って径方向へ動くように分力(以下噛合反力と云う)が発生し、該噛合反力によりウォームが径方向へ押圧されて揺動し、雄形継手部の周面が雌形継手部に当接して叩き音が発生し易くなるため、雄形継手部及び雌形継手部の間にグリース(潤滑剤)を塗布により充填し、前記叩き音を低減するようにしてある。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−21943号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ウォームの動きによって雄形継手部及び雌形継手部の間のグリースが雌形継手部の開放口から外部へ流出することになり、グリース量が減少し、叩き音が発生し易くなり、改善策が要望されていた。
【0008】
本発明は斯る事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は雄形継手部及び雌形継手部の間に充填された潤滑剤の流出を防ぐことができ、しかも、雄形継手部及び雌形継手部の周面間の隙間を大きくすることなく前記周面間の潤滑剤量を多くすることができる電動式パワーステアリング装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る電動式パワーステアリング装置は、モータの出力軸に、谷部及び山部が嵌合される嵌合部を有する雄形継手部及び雌形継手部を介して継合される軸部を有する駆動歯車と、該駆動歯車に噛合し、舵取手段に繋がる従動歯車とを備え、前記モータの回転によって操舵補助するようにした電動式パワーステアリング装置において、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方は雄形継手部及び雌形継手部の間に充填される潤滑剤の流出を防ぐための流出止環を備えており、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方の嵌合部は、前記谷部の深さよりも深く、且つその長手方向が周方向となり、潤滑剤を保持すべき溝形の凹所を有することを特徴とする。
【0010】
第1発明にあっては、雄形継手部及び雌形継手部の間に充填(塗布)されている潤滑剤が雌形継手部の開口端から流出するのを防ぐことができるため、雄形継手部及び雌形継手部の叩き音を抑制しつつ経年使用することができる。しかも、雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方の嵌合部の周面に設けられた凹所に潤滑剤を保持することができるため、夫々の周面間の隙間を大きくすることなく前記周面間の潤滑剤量を多くすることができ、叩き音が発生し難い状態で長期間に亘り使用することができる。
【0011】
第2発明に係る電動式パワーステアリング装置は、モータの出力軸に、谷部及び山部が嵌合される嵌合部を有する雄形継手部及び雌形継手部を介して継合される軸部を有する駆動歯車と、該駆動歯車に噛合し、舵取手段に繋がる従動歯車とを備え、前記モータの回転によって操舵補助するようにした電動式パワーステアリング装置において、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方は雄形継手部及び雌形継手部の間に充填される潤滑剤の流出を防ぐための流出止環を備えており、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方の嵌合部は、前記谷部の深さよりも深く、且つその長手方向が軸長方向となり、潤滑剤を保持すべき溝形の凹所を有することを特徴とする。
【0012】
第2発明にあっては、雄形継手部及び雌形継手部の間に充填(塗布)されている潤滑剤が雌形継手部の開口端から流出するのを防ぐことができるため、雄形継手部及び雌形継手部の叩き音を抑制しつつ経年使用することができる。しかも、雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方の嵌合部の周面に設けられた凹所に潤滑剤を保持することができるため、夫々の周面間の隙間を大きくすることなく前記周面間の潤滑剤量を多くすることができ、叩き音が発生し難い状態で長期間に亘り使用することができ、また、雌形継手部の内部空間に充填された潤滑剤を連通孔及び周面間の隙間を経て循環させることができるため、夫々の周面間の隙間を大きくすることなく前記周面間の潤滑剤量を多くすることができ、叩き音が発生し難い状態で長期間に亘り使用することができる。
【0013】
第3発明に係る電動式パワーステアリング装置は、モータの出力軸に、谷部及び山部が嵌合される嵌合部を有する雄形継手部及び雌形継手部を介して継合される軸部を有する駆動歯車と、該駆動歯車に噛合し、舵取手段に繋がる従動歯車とを備え、前記モータの回転によって操舵補助するようにした電動式パワーステアリング装置において、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方は雄形継手部及び雌形継手部の間に充填される潤滑剤の流出を防ぐための流出止環を備えており、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方の嵌合部は、前記谷部の深さよりも深く、且つその長手方向が周方向となり、潤滑剤を保持すべき溝形の凹所を有しており、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方は夫々の周面間の隙間と雌形継手部の内部空間とに連通し、該内部空間に充填される潤滑剤を循環させるべき連通孔を有することを特徴とする。
【0014】
第3発明にあっては、雄形継手部を雌形継手部内に挿入したとき、雄形継手部及び雌形継手部の間に充填されている潤滑剤が雌形継手部の開口端から流出するのを防ぐことができるため、雄形継手部及び雌形継手部の叩き音を抑制しつつ経年使用することができる。しかも、雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方の嵌合部の周面に設けられた凹所に潤滑剤を保持することができ、さらに、雌形継手部の内部空間に充填された潤滑剤を連通孔及び周面間の隙間を経て循環させることができるため、夫々の周面間の隙間を大きくすることなく前記周面間の潤滑剤量を多くすることができ、叩き音が発生し難い状態で長期間に亘り使用することができる。
第4発明に係る電動式パワーステアリング装置は、モータの出力軸に、谷部及び山部が嵌合される嵌合部を有する雄形継手部及び雌形継手部を介して継合される軸部を有する駆動歯車と、該駆動歯車に噛合し、舵取手段に繋がる従動歯車とを備え、前記モータの回転によって操舵補助するようにした電動式パワーステアリング装置において、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方は雄形継手部及び雌形継手部の間に充填される潤滑剤の流出を防ぐための流出止環を備えており、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方の嵌合部は、前記谷部の深さよりも深く、且つその長手方向が軸長方向となり、潤滑剤を保持すべき溝形の凹所を有しており、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方は夫々の周面間の隙間と雌形継手部の内部空間とに連通し、該内部空間に充填される潤滑剤を循環させるべき連通孔を有することを特徴とする。
第4発明にあっては、雄形継手部及び雌形継手部の間に充填(塗布)されている潤滑剤が雌形継手部の開口端から流出するのを防ぐことができるため、雄形継手部及び雌形継手部の叩き音を抑制しつつ経年使用することができる。しかも、雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方の嵌合部の周面に設けられた凹所に潤滑剤を保持することができるため、夫々の周面間の隙間を大きくすることなく前記周面間の潤滑剤量を多くすることができ、叩き音が発生し難い状態で長期間に亘り使用することができ、また、雌形継手部の内部空間に充填された潤滑剤を連通孔及び周面間の隙間を経て循環させることができるため、夫々の周面間の隙間を大きくすることなく前記周面間の潤滑剤量を多くすることができ、叩き音が発生し難い状態で長期間に亘り使用することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1
図1は本発明に係る電動式パワーステアリング装置の減速歯車機構部分の実施の形態1の構成を示す拡大断面図、図2は電動式パワーステアリング装置の全体部分の構成を示す断面図である。
【0016】
電動式パワーステアリング装置は、操舵補助用のモータ1と、該モータ1の出力軸1aに雄形継手部11及び雌形継手部12を介して継合される駆動歯車としてのウォーム2及び該ウォーム2に噛合する従動歯車としてのウォームホイール3を有する減速歯車機構Aと、該減速歯車機構Aに繋がる舵取手段4とを備えている。
【0017】
この舵取手段4は、一端部が舵取りのための操舵輪Bに繋がり、他端部に筒部41aを有する第1の操舵軸41と、筒部41a内に挿入されてその一端部が第1の操舵軸41の筒部41aに連結され、操舵輪Bに加わる操舵トルクの作用によって捩れるトーションバー42と、他端部がトーションバー42の他端部に連結され、減速歯車機構Aに繋がる第2の操舵軸43とを備え、該第2の操舵軸43がユニバーサルジョイントを介して例えばラックピニオン式の舵取機構(不図示)に繋がる。
【0018】
減速歯車機構Aのウォーム2は両端に軸部2a,2bを有しており、一端の軸部2aが転がり軸受5を介して支持部材6に回転自在に支持された状態でモータ1の出力軸1aに継合され、他端の軸部2bが円柱形の軸受部材7を介して支持部材6に支持されている。尚、軸部2aは転がり軸受5の内輪5aに圧入されている。軸部2aの途中には転がり軸受5の内輪5aの一端と向き合い、ウォーム2の内輪5aとの相対移動を規制するフエールセーフとしてのC形リング等の規制環8が着脱可能に取付けられている。ウォームホイール3は第2の操舵軸43の途中に嵌合固定されている。
【0019】
支持部材6はウォーム2を収容し、該ウォーム2の軸部2a,2bを、転がり軸受5及び軸受部材7を介して回転自在に支持した第1収容部6aと、ウォームホイール3を収容し、該ウォームホイール3を第2の操舵軸43及び該第2の操舵軸43に嵌合された2つの転がり軸受9,10を介して支持した第2収容部6bとを有する。
【0020】
第1収容部6aはウォーム2の軸長方向に長くなっており、その長手方向一端部には転がり軸受5を嵌合支持する支持孔61及び該支持孔61に連なるねじ孔62及びモータ取付部63が設けられており、ねじ孔62に転がり軸受5を固定するためのねじ環20が螺着されている。また、モータ取付部63にモータ1が取付けられている。
【0021】
モータ1の出力軸1aとウォーム2の軸部2aとはセレーションを有する雄形継手部11及び雌形継手部12を介して継合されている。雄形継手部11は軸部2aの周面にセレーションを設けることにより構成されており、また、雌形継手部12は出力軸1aに嵌合固定された筒部材13の内側にセレーションを設けることにより構成されており、雄形継手部11と雌形継手部12との谷部及び山部が嵌合される嵌合部間に径方向隙間ができるように雄形継手部11及び雌形継手部12の嵌合部がセレーション嵌合されている。この雄形継手部11及び雌形継手部12の嵌合部間にはグリースからなる潤滑剤が塗布により充填されている。
【0022】
雄形継手部11の反モータ側端部には、セレーションの谷部直径以下の寸法の環状溝11aが設けられており、また、雌形継手部12の開口端部には、セレーションの谷部直径以上の寸法の環状凹部12aが設けられている。環状溝11aにはその外周面が環状凹部12aに接触して雄形継手部11及び雌形継手部12の間に充填されている潤滑剤の流出を防ぐための流出止環14が嵌合により保持されている。尚、環状凹部12aは雌形継手部12の開口側の端縁から設けられている。
【0023】
雄形継手部11の軸長方向途中、詳しくは環状溝11aとモータ側端部との間の嵌合部には、図1に示すようにその長手方向が周方向となり、グリースからなる潤滑剤を保持すべき溝形の凹所15が設けられている。この凹所15はセレーションの谷部よりも深くしてあり、雄形継手部11及び雌形継手部12の嵌合部がセレーション嵌合、換言すると谷部及び山部が嵌合された状態で潤滑剤を保持することができるようにしてある。また、凹所15は環状に形成されているが、その他、例えば略C字形、螺旋形としてもよいし、また、螺旋方向を含む周方向に複数が離隔して配置される構成としてもよく、その形状は特に制限されない。また、凹所15は軸長方向の位置に1つである他、軸長方向の位置に複数であってもよい。
【0024】
雄形継手部11のモータ側端面、換言すればウォーム2の一端には軸長方向へ凹入する凹部11bが設けられている。この凹部11bには出力軸1aの端面にその一端が当接してウォーム2を反モータ側へ付勢する付勢手段としてのコイルバネ16が収容されている。
【0025】
流出止環14はOリング等の可撓性を有する弾性材料からなり、環状溝11aに嵌合された状態で雄形継手部11が雌形継手部12に挿入される際に流出止環14の外周部が撓むようにしてある。
コイルバネ16は、付勢力が軸部2aから規制環8を介して転がり軸受5の内輪5aに伝動され、転がり軸受5の軸長方向隙間をなくする。
【0026】
また、第1収容部6aの他端部には、ウォーム2の他端の軸部2bが挿入される凹孔64及び該凹孔64の内面に臨み、軸部2bの径方向に向けて穿設、換言すればウォーム2をウォームホイール3に向けて押付ける方向に穿設された円柱形の収容孔65が設けられている。この収容孔65には軸部2bが回転自在に嵌合される軸受部材7と、該軸受部材7を前記押付ける方向へ付勢するコイルバネからなる弾性体17と、軸受部材7を移動操作するための操作体18とが収容されている。また、収容孔65の外部への開放側にはねじ部66が設けられており、該ねじ部66に操作体18が螺着されている。
【0027】
軸受部材7はその軸長方向の途中、換言すれば収容孔65に沿って移動する移動方向の途中に前記移動方向と直交するように穿設された軸受孔7aが設けられており、該軸受孔7aに軸部2bが回転可能に嵌合されたすべり軸受19を挿入固定してあり、該すべり軸受19を介して軸部2bを軸受部材7に支持してある。また、軸受部材7の弾性体17側の一端には弾性体17を収容支持する円柱形の凹部7bと、該凹部7bの開口縁に連なる浅底の環状凹部7cとが設けられており、該環状凹部7cにゴム製の環状の弾性板21が挿入支持されている。この弾性板21は、金属製の軸受部材7が金属製の操作体18に直接当接するのを防いでいる。
【0028】
尚、支持部材6内には、前記トーションバー42の捩れに応じた操舵軸41、43の相対回転変位量によって操舵輪Bに加わる操舵トルクを検出するトルクセンサ22が内装されており、該トルクセンサ22が検出したトルク等に基づいてモータ1が駆動制御されるように構成されている。
【0029】
以上のように構成された電動式パワーステアリング装置において、モータ1及び減速歯車機構Aを組み込む場合、例えば雌形継手部12の内部空間12bにグリースからなる潤滑剤が塗布により充填された状態で、ウォーム2の雄形継手部11が出力軸1aの雌形継手部12に挿入され、セレーション嵌合される。この際、雄形継手部11の反モータ側端部に設けられた流出止環14が、雌形継手部12の開口端部に設けられた環状凹部12aに接触するため、雌形継手部12内の潤滑剤が雌形継手部12の開口端部から外部へ流出するのを防ぐことができ、また、雄形継手部11の挿入により内部空間12bの潤滑剤が、雄形継手部11及び雌形継手部12の周面間の隙間Cと、凹所15とに押し出され、隙間C及び凹所15に潤滑剤を溜めることができる。従って、雄形継手部11及び雌形継手部12の叩き音を抑制しつつ経年使用することができる。
【0030】
しかも、雄形継手部11の周面の凹所15に潤滑剤が保持されており、夫々の周面間の隙間Cを大きくすることなく前記周面間の潤滑剤量を多くしてあるため、モータ1による操舵補助によりウォーム2が頻繁に動く場合においても、叩き音が発生し難い状態で長期間に亘り使用することができる。
【0031】
実施の形態2
図3は電動式パワーステアリング装置の実施の形態2の構成を示す要部の拡大断面図である。
この実施の形態2の電動式パワーステアリング装置は、実施の形態1のように雄形継手部11及び雌形継手部12の周面間に潤滑剤を溜める手段として雄形継手部11に環状の凹所15を設ける代わりに、雄形継手部11の環状溝11aとモータ側端部との間にその長手方向が軸長方向となる溝形の凹所23を設けたものである。
【0032】
実施の形態2において、凹所23はセレーションの谷部よりも深くしてあり、雄形継手部11及び雌形継手部12がセレーション嵌合された状態で潤滑剤を保持することができるようにしてある。また、凹所23は周方向に離隔した2つの位置に等間隔で設けられているが、その他、1つ又は3つ以上の位置に設けた構成としてもよく、その個数は制限されない。さらに、凹所23は環状溝11aからモータ側端縁にかけて設けられているが、環状溝11aから途中にかけて設けてもよいし、また、モータ側端縁から途中にかけて設けてもよい。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0033】
実施の形態3
図4、図5は電動式パワーステアリング装置の実施の形態3の構成を示す要部の拡大断面図である。
この実施の形態3の電動式パワーステアリング装置は、雄形継手部11の周面に凹所15,23を設ける代わりに、雌形継手部12の周面に潤滑剤を保持すべき凹所24又は25を設けたものである。
【0034】
実施の形態3において、図4は雌形継手部12の周面にその長手方向が周方向となる凹所24を設けたものであり、また、図5は雌形継手部12の周面にその長手方向が軸長方向となる凹所25を設けたものである。凹所の形状及び個数は実施の形態1、2と同様である。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0035】
実施の形態4
この実施の形態4の電動式パワーステアリング装置は、図示しないが雄形継手部11の周面に凹所15又は23を設け、かつ雌形継手部12の周面に凹所24又は25を設けたものである。
【0036】
実施の形態4において、その長手方向が周方向となる凹所を雄形継手部11及び雌形継手部12の周面に設けてもよいし、また、その長手方向が軸長方向となる凹所を雄形継手部11及び雌形継手部12の周面に設けてもよいし、また、その長手方向が周方向となる凹所を雄形継手部11及び雌形継手部12の一方の周面に設け、その長手方向が軸長方向となる凹所を雄形継手部11及び雌形継手部12の他方に設けてもよい。
【0037】
実施の形態5
図6は電動式パワーステアリング装置の実施の形態5の構成を示す要部の拡大断面図である。
この実施の形態5の電動式パワーステアリング装置は、潤滑剤を保持する凹所15,23,24,25を設ける代わりに、雄形継手部11及び雌形継手部12の周面間の隙間Cと雌形継手部12の内部空間12bとに連通し、該内部空間12bに充填される潤滑剤を循環させるべき連通孔26を雄形継手部11に設けたものである。
【0038】
実施の形態5において、連通孔26は雄形継手部11の環状溝11aとモータ側端部との間の周面から凹部11bにかけて径方向に穿設されている。この連通孔26は周方向に等間隔で離隔する複数を有するが、その他、1つでもよい。
【0039】
周面間の隙間Cは連通孔26と連通する雄形継手部11のセレーションの2つの谷部を他の谷部よりも深く形成してあり、噛合反力などによってウォーム2が動く場合に隙間Cに加わる圧力により潤滑剤を潤滑させることができるようにしてある。尚、隙間Cが、潤滑剤を循環させ得るだけの大きさである場合は連通孔26と連通する谷部だけを深くする必要がない。
【0040】
実施の形態5にあっては、噛合反力などによってウォーム2が動き、雄形継手部11が雌形継手部12内で相対的に動くことにより隙間Cに圧力が加わる。この圧力により隙間C内の潤滑剤が押圧され、この潤滑剤が隙間Cから内部空間12bへ流れ、内部空間12bの潤滑剤が凹部11b及び連通孔26から隙間Cへ流入する循環経路で循環するか、又は隙間C内の潤滑剤が連通孔26から凹部11bへ流れ、凹部11b及び内部空間12bの潤滑剤が隙間Cへ流入する循環経路で循環する。従って、周面間の隙間Cを大きくすることなく前記周面間の潤滑剤量を多くすることができ、叩き音が発生し難い状態で長期間に亘り使用することができる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0041】
実施の形態6
図7は電動式パワーステアリング装置の実施の形態6の構成を示す要部の拡大断面図である。
この実施の形態6の電動式パワーステアリング装置は、雄形継手部11に連通孔26を設ける代わりに、雌形継手部12に連通孔27を設けたものである。
【0042】
実施の形態6において、連通孔27は雌形継手部12の環状凹部12aから反開口側端部との間に軸長方向に離隔した位置で周面間の隙間Cと前記内部空間とに連通するように略U字形に設けられている。この連通孔27は周方向に等間隔で離隔する複数を有するが、その他、1つでもよい。
【0043】
周面間の隙間Cは連通孔27と連通する雌形継手部12のセレーションの2つの谷部を他の谷部よりも深く形成してあり、噛合反力などによってウォーム2が動く場合に周面間の隙間Cに加わる圧力により潤滑剤を循環させることができるようにしてある。尚、周面間の隙間Cが、潤滑剤を循環させ得るだけの大きさである場合は連通孔と連通する谷部だけを深くする必要がない。
【0044】
実施の形態6にあっては、噛合反力などによってウォーム2が動き、雄形継手部11が雌形継手部12内で相対的に動くことにより周面間の隙間Cに圧力が加わる。この圧力により隙間C内の潤滑剤が押圧され、この潤滑剤が隙間Cから内部空間12bへ流れ、内部空間12bの潤滑剤が連通孔27から隙間Cへ流入する循環経路で循環するか、又は隙間C内の潤滑剤が連通孔27から内部空間12bへ流れ、内部空間12bの潤滑剤が隙間Cへ流入する循環経路で循環する。従って、周面間の隙間Cを大きくすることなく前記周面間の潤滑剤量を多くすることができ、叩き音が発生し難い状態で長期間に亘り使用することができる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0045】
実施の形態7
図8は電動式パワーステアリング装置の実施の形態7の構成を示す要部の拡大断面図である。
この実施の形態7の電動式パワーステアリング装置は、雄形継手部11に実施の形態2の凹所23と、実施の形態5の連通孔26とを設けたものである。
【0046】
実施の形態7において、連通孔26は凹所23と雌形継手部12の内部空間12bとに連通し、該内部空間12bに充填される潤滑剤を循環させることができるようにしてある。
【0047】
その他の構成及び作用は実施の形態1、2、5と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0048】
尚、以上説明した実施の形態ではモータ1の出力軸1aが雌形継手部12を有し、ウォーム2の軸部2aが雄形継手部11を有する構成としたが、その他、出力軸1aが雄形継手部11を有し、軸部2aが雌形継手部12を有する構成としてもよい。
また、以上説明した実施の形態では雄形継手部11のモータ側端面(ウォーム2の一端)に凹部11bを設けたが、この凹部11bは必ずしも必要でない。凹部11bをなくする場合、例えば連通孔26は軸長方向の孔及び該孔に連なる半径方向の孔からなる構成とする。
また、以上説明した実施の形態の減速歯車機構Aは、ウォーム2である駆動歯車及びウォームホイール3である従動歯車を備えたウォーム歯車である他、ベベルギヤ、ハイポイドギヤであってもよい。
さらに、以上詳述した実施の形態では、ウォーム2をウォームホイール3に向けて弾性体17により付勢するものを例示したが、弾性体17を設けない構成であってもよい。また、弾性体17ではなく、ボルト等の押付手段によりウォーム2をウォームホイール3に押付ける構成であってもよい。さらに、コイルバネ16を省略した構成であってもよい。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように第1発明、第2発明、第3発明及び第4発明によれば、雄形継手部及び雌形継手部の潤滑剤の流出を防ぐことができ、雄形継手部及び雌形継手部の叩き音を抑制しつつ経年使用することができるとともに、夫々の周面間の隙間を大きくすることなく前記周面間の潤滑剤量を多くすることができ、叩き音が発生し難い状態で長期間に亘り使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の減速歯車機構部分の実施の形態1の構成を示す拡大断面図である。
【図2】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の全体部分の構成を示す断面図である。
【図3】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の実施の形態2の構成を示す要部の拡大断面図である。
【図4】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の実施の形態3の構成を示す要部の拡大断面図である。
【図5】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の実施の形態3の構成を示す要部の拡大断面図である。
【図6】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の実施の形態5の構成を示す要部の拡大断面図である。
【図7】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の実施の形態6の構成を示す要部の拡大断面図である。
【図8】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の実施の形態7の構成を示す要部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 モータ
1a 出力軸
2 ウォーム(駆動歯車)
2a 軸部
3 ウォームホイール(従動歯車)
4 舵取手段
7 軸受部材
11 雄形継手部
12 雌形継手部
12b 内部空間
14 流出止環
15,23,24,25 凹所
26,27 連通孔
C 隙間
Claims (4)
- モータの出力軸に、谷部及び山部が嵌合される嵌合部を有する雄形継手部及び雌形継手部を介して継合される軸部を有する駆動歯車と、該駆動歯車に噛合し、舵取手段に繋がる従動歯車とを備え、前記モータの回転によって操舵補助するようにした電動式パワーステアリング装置において、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方は雄形継手部及び雌形継手部の間に充填される潤滑剤の流出を防ぐための流出止環を備えており、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方の嵌合部は、前記谷部の深さよりも深く、且つその長手方向が周方向となり、潤滑剤を保持すべき溝形の凹所を有することを特徴とする電動式パワーステアリング装置。
- モータの出力軸に、谷部及び山部が嵌合される嵌合部を有する雄形継手部及び雌形継手部を介して継合される軸部を有する駆動歯車と、該駆動歯車に噛合し、舵取手段に繋がる従動歯車とを備え、前記モータの回転によって操舵補助するようにした電動式パワーステアリング装置において、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方は雄形継手部及び雌形継手部の間に充填される潤滑剤の流出を防ぐための流出止環を備えており、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方の嵌合部は、前記谷部の深さよりも深く、且つその長手方向が軸長方向となり、潤滑剤を保持すべき溝形の凹所を有することを特徴とする電動式パワーステアリング装置。
- モータの出力軸に、谷部及び山部が嵌合される嵌合部を有する雄形継手部及び雌形継手部を介して継合される軸部を有する駆動歯車と、該駆動歯車に噛合し、舵取手段に繋がる従動歯車とを備え、前記モータの回転によって操舵補助するようにした電動式パワーステアリング装置において、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方は雄形継手部及び雌形継手部の間に充填される潤滑剤の流出を防ぐための流出止環を備えており、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方の嵌合部は、前記谷部の深さよりも深く、且つその長手方向が周方向となり、潤滑剤を保持すべき溝形の凹所を有しており、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方は夫々の周面間の隙間と雌形継手部の内部空間とに連通し、該内部空間に充填される潤滑剤を循環させるべき連通孔を有することを特徴とする電動式パワーステアリング装置。
- モータの出力軸に、谷部及び山部が嵌合される嵌合部を有する雄形継手部及び雌形継手部を介して継合される軸部を有する駆動歯車と、該駆動歯車に噛合し、舵取手段に繋がる従動歯車とを備え、前記モータの回転によって操舵補助するようにした電動式パワーステアリング装置において、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方は雄形継手部及び雌形継手部の間に充填される潤滑剤の流出を防ぐための流出止環を備えており、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方の嵌合部は、前記谷部の深さよりも深く、且つその長手方向が軸長方向となり、潤滑剤を保持すべき溝形の凹所を有しており、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方は夫々の周面間の隙間と雌形継手部の内部空間とに連通し、該内部空間に充填される潤滑剤を循環させるべき連通孔を有することを特徴とする電動式パワーステアリング装置。
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