JP4135315B2 - 原稿読取装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機やファクシミリ装置の読取装置において、原稿の画像の読取りを行うADFに設け、原稿から落下する紙粉等が走査装置に付着することを防止する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ファクシミリ装置や複写機のような画像形成装置においては、コピーを作成する機能を有する画像形成部に組み合わせて、原稿の画像を読み取るための読取装置を設けている。前記読取装置においては、原稿の画像を読み取った情報を前記画像形成部に向けて伝達し、コピー作成の情報として用いることの他に、ファクシミリ機能を用いて、相手先のファクシミリ装置に画像情報を送信するために用いるようにする。前記読取装置には、ブックものの原稿をプラテンガラスにセットし、その下面で走査装置を移動させながら読取りを行う方式のFBS(フラットベッドスキャナ)と、走査装置をADF用プラテンガラスの下方に固定しておき、移動する原稿の読取りを行うADF(自動原稿搬送装置)とが用いられている。前記2種類のスキャナ機構を組み合わせて、ブックものとシートもの原稿の双方を読取りできるようにすることは、多くの読取装置に設けられているものである。
【0003】
前記ADFにおいては、原稿トレイと排出トレイを上下に配置し、前記2つのトレイの間に横向きU字状の原稿搬送路を設けているもので、前記原稿搬送路の途中の部分にADF用プラテンガラスを設け、走査装置を固定した状態で読取りを行う読取部を設けている。前記ADFに設ける読取部では、ADF用プラテンガラスに対して原稿の画像面を摺動させるようにして搬送し、その下部に配置した走査装置から光を照射して、多数のミラー等を用いて光を反射させ、レンズにより結像させた光情報を、CCD(電荷結合素子)からデジタル信号として出力させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記ADFを用いて読取りを行う原稿には、鉛筆書きや鉛筆等で修正したものや、原稿面に修正液を塗ったものの他に、消しゴムの滓が付着したままのもの等が用いられることがあり、その他に、用紙の種類によっては、紙に含まれる粉状のものが、容易に分離しやすい性質を持つものがある。前記原稿に付着した粉状のもの(紙粉)等が分離しやすい原稿は、前記ADF用プラテンガラスに摺動される部分で、原稿に対する曲げ作用が強く付与されることと、前記ADF用プラテンガラスに摺動させることで、紙粉の分離される量が多くなる。
【0005】
また、前記ADFの読取部は、湾曲路の下部に設けられていることから、原稿搬送路で搬送される際に、ガイド板等に摺動して分離された紙粉等も、前記プラテンガラスの部分に集められるという問題がある。そして、前記原稿から分離された紙粉等がプラテンガラスに付着して、読取り面を汚すことにより、読み取った画像の画質に影響が発生することがある。さらに、前記原稿から分離した紙粉等が、プラテンガラスと支持部材の間の隙間から落下して、走査装置のミラー等に付着すると、読み取った画像情報に汚れの情報が含まれて、画質の劣化という重大な問題が発生する。
【0006】
本発明は、ADFにおいて、紙粉が付着することによる読取り画像の汚れの問題を解消しようとするもので、ADF用プラテンガラスの下部に紙粉等が落下することを防止できる手段を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、原稿トレイから1枚ずつ分離して給紙される原稿を、読取部を通過させながら読み取る原稿読取装置に関する。本願明細書に記載された発明は、読取部のプラテンガラスを支持する支持部材に紙粉落下防止部材を配置したことを特徴とする。したがって、原稿から分離した紙粉が、支持部材とADF用プラテンガラスの隙間から落下することを防止できるので、読取画像に悪影響が生じることがなく、鮮明な画像情報を得ることができる。
【0008】
請求項1の発明は、前記読取部のプラテンガラスを、原稿の搬送方向下流部で支持している支持部材、を備えており、前記支持部材は、掘り込んだ状態の溝部を有しており、前記プラテンガラスは、前記溝部の突部によって支持されるとともに、前記突部に対して前記搬送方向の下流側に突出するように構成されており、前記プラテンガラスと前記支持部材との間の隙間部から落下した異物は、前記溝部に収容されることを特徴とする。そして、ADF用プラテンガラス端部に紙粉をまとめて収容することができるので、走査装置に紙粉が落下して付着することを防止でき、ミラー等が汚れることによる悪影響を防ぐことが可能となる。
【0009】
請求項2の発明は、前記読取部のプラテンガラスを原稿の搬送方向下流部で支持している支持部材と、読取部との間にフィルム部材を配置したことを特徴とする。そして、前記フィルム部材が隙間を塞ぐことで、ADF用プラテンガラスの下部に紙粉が落下することを、より効果的に防止できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図示される例にしたがって、本発明の画像読取装置の構成を説明するが、最初に、本発明のシート搬送装置を組み込むADFの構成を、図1、2にしたがって説明する。図示する画像読取装置1は、FBS(フラットベッドスキャナ)機能に対応させたプラテンガラス3と、ADF(自動原稿搬送装置)機能に対応させたADF用プラテンガラス4とを本体フレーム2の上部に配置しており、前記本体フレーム2の内部に移動可能なスキャナー装置5を設けている。前記スキャナー装置5をFBSに対応させて用いる場合には、図示を省略した駆動手段により定速で移動しながら、ADF用プラテンガラス4の上にセットした原稿の画像を読取る。また、ADF機能を用いる場合には図の仮想線で示した位置にスキャナー装置5を固定し、ADF機能を用いて搬送される原稿の画像を読み取るようにする。
【0011】
前記スキャナー装置5には、原稿の画像面を照射するランプ6と、複数のミラーm1〜m4と、CCD8に光を結像させるレンズ7とを配置しており、前記CCD8により光信号をデジタル信号に変換して、画像読取装置の画像信号処理手段にその信号の伝達を行う。前記画像読取装置に伝達される前記画像信号は、複写機の記録部において、感光体に対する画像書込み信号として用いることの他に、ファクシミリ機能を設けた画像形成装置の場合には、電話回線を通して他のファクシミリ装置に向けて送信することも可能である。
【0012】
前記本体フレーム2の上部にはプラテンカバー10とADF装置20とを一体に組み合わせて、本体フレームのリヤ側端部に配置したヒンジ部(図示を省略)を介して開閉可能に設けている。そして、前記FBS機能を用いる際には、プラテンガラス3上に原稿をセットしてプラテンカバー10の弾性体11により押圧し、画像面をプラテンガラス3上に密着させて画像の読取りを行わせる。また、前記プラテンカバー10の上面には排出トレイ13を配置し、その排出トレイ13の上部には原稿トレイ12を設けて、前記排出トレイ13と原稿トレイ12とをADF装置20に対応させて設けている。前記ADF装置20は、原稿トレイ12に接続される原稿挿入口14から、横向きの略U字状の搬送路を設けており、ADF用プラテンガラス4に至る原稿搬送路21と、読取部22から排出トレイ13に至る排出路24を設け、前記原稿搬送路内での原稿の搬送のためのローラ装置を設けている。
【0013】
前記原稿搬送路に配置するローラ装置は、原稿挿入口14に対して配置するピックアップローラ30と用紙さばき装置31、搬送ローラ装置32およびADF用プラテンガラス4の上下流部に配置する2つの読取ローラ装置33、34および、排出口に設けた排出ローラ装置35とから構成される。そして、前記ピックアップローラ30により原稿トレイ12から原稿を取り込み、用紙さばき装置31で用紙さばき作用を行い、1枚に分離した原稿を原稿搬送路に向けて送り込む。前記原稿搬送路21では、原稿を搬送ローラ装置32により読取ローラ装置33に向けて搬送し、ADF用プラテンガラス4の下流部に配置する読取ローラ装置34との間で原稿を定速で搬送しながら、ADF用プラテンガラス4の位置に固定されているスキャナー装置5により画像の読取りを行う。読取りが終了した原稿は、前記読取ローラ装置34により排出ローラ装置35に送られ、前記排出ローラ装置35により排出トレイ13に排出される。
【0014】
前記ADF装置20は、画像読取装置のフレーム2の上部に設けたヒンジ27を介して、上部フレーム25を開閉可能に設けており、前記上部フレーム25の上面にカバー部材26を設けている。また、前記ADF装置20に設ける略U字状の搬送路で、その内側に配置する内側フレーム28も、図示を省略する支軸を中心にして揺動可能に設けている。そして、読取部22や排出路24の部分での用紙のジャム等が生じた時には、前記上部フレーム25と内側フレーム28とを各々開いて、メンテナンスの作業を行うようにする。前記搬送路のうち、原稿搬送路21は上部フレーム25に設けたガイド板25aと、内側フレーム28の外面のガイド面28aにより区画されて、原稿を読取部22に向けて案内する。
【0015】
前記読取部22においては、原稿の裏面を摺動させる原稿押圧部23をADF用プラテンガラス4に対応させて設けており、読取ローラ装置33、34により搬送される原稿を、前記原稿押圧部23に摺動させる状態で案内する。そして、前記ADF用プラテンガラス4の下面に固定している走査装置により、原稿の画像の読取を行うようにする。前記読取部22においては、ADF用プラテンガラス4の原稿搬送方向の上流側では、フレームから突出させた支持部材を用いて支持し、下流側をペーパーガイド36により支持しており、ガラス端部とペーパーガイドの支持面との間を密着させることができないために、前記ペーパーガイド36とADF用プラテンガラス4の間には、若干の隙間が形成される状態となっている。
【0016】
ところが、湾曲された原稿搬送路を通る際に、曲げ作用や摺動作用が加えられるために、前記原稿搬送路21を搬送される原稿に付着していた消しゴムのかすや、その他の粉状の付着物が分離されやすいという問題がある。これに対して、前記読取部22は、原稿搬送路21の湾曲部の下部に位置されていることから、前記湾曲路で原稿から分離された紙粉やその他の粉状の異物が、読取部22に溜まり易く、前記ADF用プラテンガラス4とペーパーガイド36の隙間から落下し、スキャナー装置5のミラー等に付着することで、ミラーによる光の反射に支障が生じることがある。
【0017】
そこで、本実施例においては、図3に示すように、ペーパーガイド36とADF用プラテンガラス4との間の隙間部に、前記ペーパーガイドに掘り込んだ状態の溝部37を設けておき、原稿から分離された紙粉等の粉状の異物を、前記溝部37に収容するようにしている。また、前記ペーパーガイド36においては、ADF用プラテンガラス4の下流側の端部を支持面36aで受けて位置決めし、突部36bがプラテンガラスの下面を支持することで、ADF用プラテンガラス4と突部36bとの間には大きな隙間が形成されないようにする。したがって、前記図3に示すように、ペーパーガイド36とADF用プラテンガラス4との間に、粉状の異物が落下したとしても、その異物を溝部37に収容することで、ADF用プラテンガラス4の下部には落下させず、スキャナー装置5のミラー等に異物が付着するという問題が発生することを防止できる。なお、前述したように、溝部37に異物を収容しておいた場合に、装置のメンテナンスを行う時等にADF用プラテンガラス4を外すと、ペーパーガイド36が露出されるのであるから、ブラシ等を用いて溝部37から異物を除去することが可能である。
【0018】
図4に示す例は、ペーパーガイド36に貼付けたシート状の封止部材38を用いて、ADF用プラテンガラス4とペーパーガイド36の間に隙間が生じないようにする例を示している。前記封止部材38は薄くて腰の強いプラスチック製のフィルムを用いており、ペーパーガイド36の先端部に形成した斜めの面36cに貼付けて、その先端部をADF用プラテンガラス4の下面に向けて突出させ、封止部材38の先端部をADF用プラテンガラス4に下から押圧させるように取付ける。したがって、前記読取部22において、ADF用プラテンガラス4に摺動した原稿が、紙粉等の異物をペーパーガイド36との接続部に落としたとしても、前記ペーパーガイド36とADF用プラテンガラス4との隙間に落ち込んだ異物をペーパーガイド36と封止部材38の間に保持させることができるので、任意の時期にその異物を除去すれば良いことになる。
【0019】
図5には、前記図3に示した溝部37と、図4に示した封止部材38とを組み合わせて配置し、プラテンガラスの下面への異物の落下をより良好に行い得るようにする例を示している。この実施例において、ペーパーガイド36に設ける溝部37は、任意の形状の凹部や溝として構成することができるものであり、ADF用プラテンガラス4に対応する支持面36aと突部36bを、前記図4と同様に構成できる。また、封止部材38を貼り付けるための斜めの面36cは、前記図5と同様に、任意の角度で形成する傾斜面とすることが可能である。前記図6に示すように、2種類の異物の落下防止手段を設ける場合には、原稿に書き込んだ鉛筆のかすや紙の充填材として用いられている粘土等のように、非常に細かい粉状の異物等がスキャナー装置に落下することも容易に防止できる。そして、原稿から分離された細かい粉状の異物がADF用プラテンガラス4の下面にまで落下して、スキャナー装置の光学系に悪影響を与えたり、ADF用プラテンガラス4の下面を汚したりすることを防止できる。
【0020】
【発明の効果】
本発明の装置は、前述したように構成したものであるから、読取部のプラテンガラスを支持する支持部材に紙粉落下防止部材を配置したことにより、原稿から分離した紙粉が、支持部材とADF用プラテンガラスの隙間から落下することを防止できるので、読取画像に悪影響が生じることがなく、鮮明な画像情報を得ることができる。また、ADFの読取部のプラテンガラスを、原稿の搬送方向下流部で支持している支持部材に、凹所を設けているので、ADF用プラテンガラス端部に紙粉をまとめて収容することができるので、走査装置に紙粉が落下して付着することを防止でき、ミラー等が汚れることによる悪影響を防ぐことが可能となる。さらに、読取部のプラテンガラスを原稿の搬送方向下流部で支持している支持部材と、読取部との間にフィルム部材を配置することにより、前記フィルム部材が隙間を塞ぐことで、ADF用プラテンガラスの下部に紙粉が落下することを、より効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 画像読取装置の構成を示す説明図である。
【図2】 画像読取装置に設けるADFの構成を示す説明図である。
【図3】 読取部の構成の説明図である。
【図4】 読取部の別の構成の説明図である。
【図5】 読取部の他の構成の説明図である。
【符号の説明】
1 画像読取装置、 2 フレーム、 3・4 プラテンガラス、
5 スキャナー装置、 6 ランプ、 7 レンズ、 8 CCD、
10 プラテンカバー、 11 弾性体、 12 原稿トレイ、
13 排出トレイ、 14 原稿挿入口、 20 ADF、
21 原稿搬送路、 22 読取部、 23 原稿押圧部、
24 排出路、 25 上部フレーム、 26 カバー部材、
27 ヒンジ、 28 内側フレーム、 30 ピックアップローラ、
31 用紙さばき装置、 32 搬送ローラ装置、
33・34 読取ローラ装置、 35 排出ローラ装置、
36 ペーパーガイド、 37 溝部、 38 封止部材。

Claims (2)

  1. 原稿トレイから1枚ずつ分離して給紙される原稿を、読取部を通過させながら読み取る原稿読取装置であって、
    前記読取部のプラテンガラスを、原稿の搬送方向下流部で支持している支持部材
    を備えており、
    前記支持部材は、掘り込んだ状態の溝部を有しており、
    前記プラテンガラスは、前記溝部の突部によって支持されるとともに、前記突部に対して前記搬送方向の下流側に突出するように構成されており、
    前記プラテンガラスと前記支持部材との間の隙間部から落下した異物は、前記溝部に収容されることを特徴とする原稿読取装置。
  2. 前記読取部のプラテンガラスを原稿の搬送方向下流部で支持している支持部材と、読取部との間にフィルム部材を配置したことを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。
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