JP4134150B2 - マグネシウム合金、マグネシウム合金を含む混合物の脱脂処理装置および脱脂処理方法 - Google Patents

マグネシウム合金、マグネシウム合金を含む混合物の脱脂処理装置および脱脂処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、付着物が着いたマグネシウム合金、該マグネシウム合金を含む混合物で形成される被処理物の脱脂を行なう脱脂処理装置および脱脂処理方法に関する。
近時、マグネシウム合金で形成される製品(例えば自動車用部品やノート型パソコンの筐体など)が多く登場している。それに伴い、マグネシウム合金をリサイクル材として用いる開発が進められている。リサイクル材としては、マグネシウム合金製の製品(部品を含む)を破砕したときに発生する微細な屑だけでなく、マグネシウム合金で形成されたワークを切削加工したときに発生する微細な切粉や切り屑などが対象となる。
ところで、リサイクル材として利用する切粉や切り屑の表面には、切削加工の際に使用される切削油が付着していたり、破砕した屑の表面には製品を塗装した塗装部が付着していたりする。このため、リサイクル材として利用するときには、こうした付着物を分離させる脱脂処理が必要となる。
ところが、マグネシウム合金は、他の鉄や銅などの一般的な金属とは異なり、活性な金属である。このため、マグネシウム合金を取り扱う場合、大気や水との反応を要因とした燃焼、ガス発生などがつきまとう。特に切粉や切り屑は、表面積が大きく反応速度が促進されやすいので、その問題は大きい。
一般的な鉄や銅などの金属では、特許文献1に開示されている外気に開放する開放型の熱処理炉の中で、過熱水蒸気を用いて、金属部材に付着した付着物を加熱水蒸気で溶融させる脱脂処理の技術がある。しかし、金属がマグネシウム合金だと、熱処理炉の内部で外気中の酸素が接触したり、水分と反応したりすることが要因で、燃焼、爆発などが生じ、外部に影響を及ぼすおそれがある。
そのため、従来、マグネシウム合金を含む被処理物の脱脂処理としては、一般の金属とは異なり、重クロム酸を用いて処理したり、エタノール洗浄によって処理したりするといった特殊な処理が採用されていた。
特開平9−241734号公報
ところが、前者の処理は、有害物質である重クロム酸を用いるので、無害化する処理設備が求められるなど負担が大きい。
後者の処理は、脱脂を完了するまでに、中性洗剤洗浄、水洗浄、乾燥など多くの工程が必要とされるので、同様に設備面での負担が大きい、といった問題がある。
そこで、本発明の目的は、安全に熱処理工程だけでマグネシウム合金の脱脂処理が可能なマグネシウム合金、マグネシウム合金を含む混合物の脱脂処理装置および脱脂処理方法を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、導入部と導出部とを有し、内部が外気に対して遮断されるように構成され、付着物が着いたマグネシウム合金あるいは該マグネシウム合金を含む混合物で形成された被処理物を、導入部から密閉状態が保たれた内部を通じて導出部へ送り可能とした、内部が所定の温度に加熱可能な密閉型の熱処理炉と、被処理物から付着物を分離するべく、熱処理炉内へ過熱水蒸気を供給する過熱水蒸気供給手段と、熱処理炉の内部を所定温度の過熱水蒸気の雰囲気にしてから、熱処理炉の内部へ被処理物を送り、熱処理炉の内部で被処理物を過熱水蒸気雰囲気にさらし、外気との接触を断ちながら固形物と油煙とに分離させる熱処理を行なわせる運転手段とを採用した。
請求項2に記載の発明は、上記目的に加え、分離した固形物や油煙の成分が回収されるよう、さらに熱処理炉で分離された固形物を導出部から収容する収容部と、熱処理炉で分離された油煙の成分を回収する油煙処理手段とを備える構成を採用した。
請求項3に記載の発明は、上記目的に加え、さらに回収された油煙の成分が装置の運転エネルギーとして活用されるよう、油煙処理手段には、水分と油分とに分離する分離手段と、分離された水分を過熱水蒸気供給手段の供給水の一部として利用する水分利用手段と、分離された油分を熱処理炉の熱源の一部として利用する油分利用手段とを有した構成を採用した。
請求項4に記載の発明は、さらに、油分が熱源の一部として利用しやすいよう、油分利用手段には、油分を乳化させてから熱処理炉の熱源へ供給するようにした。
請求項5に記載の発明は、上記目的に加え、さらに最適にマグネシウム合金の脱脂処理が進められるよう、運転手段には、被処理物のマグネシウム合金の平均粒子直径D(mm)を0.1≦Dにし、この状態で、前記過熱水蒸気の蒸気噴霧時の温度W(℃)を200≦W≦350とし、かつ被処理物が熱処理される時間T(分)を10≦T≦30として運転する設定を施した。
請求項6に記載の発明は、上記目的に加え、簡単な設備で、過熱水蒸気雰囲気によるマグネシウム合金の脱脂処理が行えるよう、密閉型の熱処理炉には、外熱式のロータリキルン炉を採用した。
請求項7に記載の発明は、上記目的に加え、リサイクル材の要求に応えられるよう、被処理物には、マグネシウム合金を切削加工したときに発生する微細な切粉や切り屑、あるいはマグネシウム合金製の製品を破砕したときに発生する微細な屑を用いるものとした。
請求項8に記載の発明は、上記目的を達成するために、導入部と導出部とを有する密閉型の熱処理炉の内部に熱を加え、さらに内部に過熱水蒸気を供給して、該熱処理炉の内部を、外気の流入を遮りつつ所定温度の過熱水蒸気の雰囲気にしてから、熱処理炉の内部に導入部から導出部へ、付着物が着いたマグネシウム合金あるいは該マグネシウム合金を含む混合物で形成された被処理物を送り、熱処理炉の内部で被処理物を過熱水蒸気雰囲気にさらして、外気との接触を断ちながら固形物と油煙とに分離させる方法を採用した。
請求項1、請求項8に記載の発明によれば、マグネシウム合金、該合金を含む混合物の被処理物は、外気の流入が遮断された密閉型熱処理炉の内部で、該内部を満たす過熱水蒸気雰囲気により、無酸化状態のまま、脱脂処理(固形物と油煙との分離)が行われるから、酸化反応となる燃焼、爆発、さらには引火、発火はない。しかも、密閉された熱処理炉内部での熱処理なので、たとえガスが発生しても外部に影響を与えずにすむ。
それ故、熱処理工程だけで、安全にかつ簡単にマグネシウム合金、該合金を含む混合物の脱脂処理ができる。
請求項2に記載の発明によれば、さらに上記効果に加え、分離した固形物や油煙の成分が回収されるから、固形物の再利用ができるうえ、油煙の環境に対する影響を回避することができる。
請求項3に記載の発明によれば、さらに上記効果に加え、分離された油煙は、水分と油分とに分離されて、それぞれ装置の各部の運転エネルギーの一部として利用でき、装置の省エネルギー性の向上を図ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、さらに上記効果に加え、分離された油分は、乳化により、油分の燃焼が促進されるので、効果的に油分を熱エネルギーとして利用することができる。
請求項5に記載の発明によれば、さらに上記効果に加え、最適なマグネシウム合金の脱脂処理ができる。
請求項6に記載の発明によれば、さらに上記効果に加え、簡単な設備で、マグネシウム合金の脱脂処理を行なうことができる。
請求項7に記載の発明によれば、リサイクル市場に出回るマグネシウム合金のリサイクル材の要求に応えることができる。
[一実施形態]
以下、本発明を図1〜図4に示す一実施形態にもとづいて説明する。
図1は脱脂処理装置の全体の概略的な構成を示していて、同図中1は、密閉型の熱処理炉としての例えば外熱式のロータリキルン炉を示している。
同ロータリキルン炉1を説明すると、図中2は、回転可能に横置された筒形のキルン本体、3は同キルン本体2を軸心回りに回転させる駆動部としてのモータ、4はキルン本体2の外周壁の大部分に回転可能に嵌挿された筒形の加熱ジャケットである。加熱ジャケット4には、加熱手段として例えば火炎バーナー6が組み込まれていて、火炎バーバー6で発生する燃焼熱により、回転するキルン本体1の内部を外側から所定の温度まで加熱できるようにしている。なお、4aは、加熱ジャケット4に形成された排ガス排出口を示している。
キルン本体2の両端部には、キルン本体2の回転を許すように、入側フード7、出側フード8が嵌挿されている。これら入側フード7、出側フード8により、キルン本体2の一側部に形成された入口2a(本願の導入部に相当)、他側部に形成された出口2b(本願の導出部に相当)はそれぞれ覆われる。
このうち入側フード7には、供給手段として、被処理物供給機構9(以下、単に供給機構9という)が設けられている。供給機構9は、例えば投入用のホッパー11とロータリ式の供給フィーダ12(螺旋状の送り羽12aをもつ構造)を組み合わせた構造が用いられる。この供給機構9により、ホッパー11から、マグネシウム合金のワークを切削加工したときに発生する微細な切粉や切り屑、マグネシウム合金との混合物である例えばマグネシウム合金製の製品(部品を含む)を破砕したときに発生する微細な屑など、表面に付着物(切削油、塗装部分など)13aが着いた被処理物13を投入できるようにしてある。そして、投入された被処理物13が、供給フィーダ12の運転により、所定量づつ、キルン本体2の入口2aへ送り込めるようにしている。このときの供給フィーダ12の内部やホッパー11の内部に収容される微細な切粉、切り屑、破砕屑などで、外気中の酸素がキルン本体2へ流入しないように遮られるようにしてある。つまり、キルン本体2の入口2aが外気に対して遮断される構造にしてある。そして、キルン本体2の回転により、入口2aへ送り込まれた被処理物13が、所定の速度で、周りから加熱されつつ、キルン本体2の内部を移動しながら、出口2bへ送られるようにしてある。
また出側フード8には、上部に位置してガス排出口15が設けられ、下部に位置して固形物排出口16が設けられている。
一方、20は、過熱水蒸気供給装置(本願の過熱水蒸気供給手段に相当)を示す。過熱水蒸気供給装置20には、蒸気ボイラー21と過熱水蒸気発生装置22とを組み合わせた構造が用いられる。このうち蒸気ボイラー21には、図示しないバーナーなどの加熱源により、給水タンク23からの供給水を加熱するボイラーが用いられる。過熱水蒸気発生装置22には、螺旋状の蒸気パイプ24を収容した過熱室25と、蒸気パイプ24を加熱する加熱源、例えば火炎バーナー26とを組み合わせた構造が用いられる。蒸気パイプ24の入口は、蒸気ボイラー21の蒸気出口に接続され、蒸気ボイラー21からの蒸気が過熱水蒸気発生装置22に送られるようにしている。これで、蒸気ボイラー21で発生した蒸気が、蒸気パイプ24を通過する際、火炎バーナー26で、さらに加熱されることによって、過熱蒸気が発生されるようにしている。この発生した過熱水蒸気は、マグネシウム合金の切粉や切り屑の表面から該表面に付着している切削油、マグネシウム合金やマグネシウム合金を含む混合物の破砕屑の表面から該表面に付着している塗装物などの付着物13aを分離するために用いるものである。そのため、蒸気パイプ24の出口は、ロータリキルン炉1の各部、例えば入側フード7に設けた過熱水蒸気導入口体10に接続され、キルン本体2内へ、所定温度の過熱水蒸気が噴射され続けるようにしてある。このときのキルン本体2の内部に加わる過熱水蒸気の圧力を利用して、外気中の酸素(空気)が、ガス排出口15や固形物排出口16から、キルン本体2の内部へ流入しない構造、すなわちキルン本体2の内部が無酸素状態の過熱水蒸気の雰囲気に保ち続けられる構造にしている。つまり、同構造並びに供給機構9により、ロータリキルン炉1は、外気の流入を遮りながら熱処理が進められる構造にしてある。これで、密閉状態が保たれたキルン本体2の内部で、被処理物13が過熱水蒸気雰囲気にさらされるようにしてある。この過熱水蒸気の接触により、被処理物13の付着物13aを熱分解により溶かして、被処理物13の表面から分離されるようにしている。
なお、過熱水蒸気供給装置20において、加熱ジャケット4の排ガス排出口4には、排気ガスの熱エネルギーを過熱水蒸気発生装置22の加熱源の一部として利用するための排気ガス利用配管46が配管されているうえ、過熱水蒸気発生装置22には、蒸気パイプ24との熱交換を終えた排気ガスの熱エネルギーを利用すべく、該排気ガスを加熱ジャケット4に還流させるための排気ガス利用配管47が配管され、排熱エネルギーが有効に回収されるようにしてある。但し、4bは、加熱ジャケット4に設けた、過熱水蒸気発生装置22からの排気ガスを導入するための排ガス導入口を示している。
固形物排出口16には、分離された固形物33bを出口2bから回収する固形物収容室17(本願の収容部に相当)が設けられていて、分離を終えた固形物33bを順に収容できるようにしている。なお、固定物排出口16には、例えば出口2bから落下する固形物33bの挙動で開く開閉ダンパー18aが設けられ、固形物収容室17には、例えば密閉式の扉18bが設けられていて、例えば操業を終えたあと、固形物収容室17内から固形物33bを搬出して、リサイクル材として利用できるようにしている。
ガス排出口15には、分離された油煙33aの成分を回収する油煙処理機構35(本願の油煙処理手段に相当)が設けられている。同油煙処理機構35は、例えばラジエーター構造で、油煙分を冷却して液化する油煙分冷却装置36と、例えば液化した油煙分を比重の違いを用いて水分と油分とに分離する水分・油分分離装置37(いずれも本願の分離手段に相当)とを有している。この水分・油分分離装置37には、分離した水分を給水タンク23へ導く水分利用配管38(本願の水分利用手段に相当)が接続されていて、該水分を過熱水蒸気供給装置20で使用される供給水の一部として利用できるようにしてある。また水分・油分分離装置37には、分離した油分をバーナー6の燃料供給口(図示しない)へ導く油分利用配管39(本願の油分利用手段に相当)が接続されていて、該油分をロータリキルン炉1の熱源の一部として利用できるようにしてある。特に油分利用配管39の一部には、油分を乳化させる油分乳化装置40(水分を混入させてエマルジョン化する装置)が設けられていて、火炎バーナー6において、油分を燃焼しやすくしている(水の微粒子の爆発的な気化で油粒子の燃焼を促進させることによる)。
他方、45は制御部(例えばマイクロコンピュータより構成されるもので、本願の運転手段に相当)である。この制御部45は、ロータリキルン炉1の運転を制御する各制御機器に接続されている。この制御部45には、ロータリキルン炉1の操業の仕方として、キルン本体2の内部全体を所定温度の過熱水蒸気の雰囲気にしてから、供給機構9により、被処理物13を、入口2aからキルン本体2の内部を通じて出口2bへ送る機能が設定されている。さらに述べれば、キルン本体2の内部が所定温度の加熱蒸気雰囲気になったか否かの判定は、例えばキルン本体2内の温度を検出する温度センサ45a、キルン本体2内の酸素分を検出する酸素センサ45bの検出結果により行なわれ、所定の温度でかつ酸素の検出が無い判定を受けると、供給機構9が作動するようにしてある。この設定により、被処理物13が、キルン本体2の内部で、外気との接触を断ちながら、無酸素状態の過熱水蒸気雰囲気にさらされるようにしている。そして、過熱水蒸気のガス特性を利用して、被処理物13が、出口2bへ至るまでの間に、油煙33aとマグネシウム合金の固形物33bとに分離されるようにしている。
すなわち、脱脂処理装置の作用、脱脂処理方法について説明すると、今、ロータリキルン炉1は、供給フィーダ12の内部に収容される被処理物13によって、入口2aから外気の流入がない状態に保たれているとする。
この状態から、制御部45に接続した操作部(図示しない)を操作して、運転を開始させる。すると、まず、キルン本体2の内部を過熱水蒸気で充満させるプレ運転を始める。すなわち、バーナー6の作動により、加熱ジャケット4を通じて、キルン本体2の内部が、所定の温度まで加熱される。また蒸気ボイラー21および過熱水蒸気発生装置22の作動により、過熱水蒸気発生装置22で発生した過熱水蒸気が、過熱蒸気導入口体10からキルン本体2内に噴射し続ける。この加熱および過熱水蒸気の供給の継続により、キルン本体2の内部の空気は次第に排出され、代わりに過熱蒸気が充満する。この運転が、温度センサ45aで検出される温度が所定の温度となり、酸素センサ45bで検出される酸素がほぼゼロとなるまで行なわれる。これにより、キルン本体2の内部全体が、無酸素状態となる過熱蒸気雰囲気で満たされていく。
キルン本体2の内部が所定温度の過熱水蒸気で満たされると、キルン本体2が図1の矢印に示されるように回転駆動を始める。また供給フィーダ12が作動を始め、ホッパー11に投入された被処理物13が、図1中の矢印に示されるように入口2aから導入される。すると、被処理物13は、キルン本体2の回転を受けて、過熱水蒸気の雰囲気にさらされながら、キルン本体2の内部を出口2bへ移動していく。この出口3bへいくまでの間に、過熱水蒸気がもたらす熱分解により、被処理物13の表面に付着した付着物13a、詳しくはマグネシウム合金の切粉や切り屑の表面の切削油、マグネシウム合金の表面や該合金を含む混合物の表面の塗装部などは溶けて油煙33aとなり、残りがマグネシウム合金の固形物33bとなる。つまり、熱処理により、油煙分と固形物分とに分離される。
このうち油煙33aは、ガス排出口15から排出され、油煙分冷却装置36に至る。この油煙分冷却装置36で行なわれる冷却により、油煙33aが液化される。続く水分・油分分離装置37にて、水分と油分とにそれぞれ分離される。そして、分離された水分は、水分利用配管38を通じて、給水タンク23へ戻り、再び過熱水蒸気として利用される。残る分離された油分は、油分利用配管39を通じ、油分乳化装置40で乳化(エマルジョン化)されながら、バーナー6へ至り、キルン本体2の内部を加熱する熱エネルギーとして利用される。
残る固形物33bは、順次、出口2bから落下し、固形物排出口16から、開閉ダンパー18aを通過して、固形物収容室17へ至る。そして、該収容室17に収容され、再利用に備える。
このようにマグネシウム合金やマグネシウム合金を含む混合物の脱脂処理(熱処理)は、外気の流入が遮断されたキルン本体2の内部で、過熱水蒸気により、無酸化状態のまま行われるから、酸化反応となる燃焼、爆発、さらには引火、発火なく、熱処理が進められる。しかも、密閉されたキルン本体2の内部での熱処理なので、たとえガスが発生しても外部に影響を与えることはない。
したがって、熱処理工程だけで、有害物質を使用したり、多くの工程を必要としたりせずに、安全にマグネシウム合金、該合金を含む混合物の脱脂処理を行うことができる。しかも、外熱式のロータリキルン炉1の採用により、簡単な設備で脱脂処理が実現できる。
特にシミュレーションの結果、最適なマグネシウム合金の脱脂処理には、被処理物13の大きさをマグネシウム合金の平均粒子直径D(mm)を0.1≦Dにし、この状態で、過熱水蒸気の蒸気噴霧時の温度W(℃)を200≦W≦350とし、かつ被処理物13が熱処理される時間T(分)を10≦T≦30として運転すると、元のマグネシウム合金と同じ組成(残留カーボン量)となるまで、最適に脱脂ができるものであった。
すなわち、マグネシウム合金の組成として、通常、使用されるAZ−91、AZ−31、AM−61の3種類を用い、マグネシウム合金を構成する微粒子の平均粒子直径Dを、0.05mm、0.1mm、0.5mm、1.0mm、5.0mmの5段階について、処理時間Tを10分、20分、30分にし、温度W(℃)を変化させて脱脂を行ない、例えば燃焼赤外線吸収法を用いて、脱脂状況を評価した。図2〜図4は、このときの処理時間T毎の各平均粒子直径D別の脱脂処理の具合を、酸化被膜の無い状態の被処理物(マグネシウム合金)の基準状態(ここでは、輝度値を基準とした)と比べた線図を示す。
図2〜図4からは、平均粒子直径Dが0.05mmは、粒子直径が小さすぎるために200℃で脱脂状況が不均一になった。また温度Wは、350℃以上は脱脂状況にあまり違いがなく、また処理時間Tは、30分を越えても脱脂状況にあまり違いがないことがわかった。
このことから、被処理物13のマグネシウム合金の平均粒子直径D(mm)を0.1≦Dにし、過熱水蒸気の蒸気噴霧時の温度W(℃)を200≦W≦350とし、被処理物13が熱処理される時間T(分)を10≦T≦30として運転すると、最も適切にマグネシウム合金の脱脂処理が進められるとの確信を得た。このため、特にリサイクル材の要求が高い、リサイクル市場に出回る、マグネシウム合金を切削加工したときに発生する微細な切粉や切り屑、あるいはマグネシウム合金製の製品を破砕したときに発生する微細な屑といった被処理物13には、最適である。
しかも、分離された固形物33bは、固形物収容室17で回収してあるので、即、リサイクル材として再利用できる。また分離された油煙33aは、油煙処理機構35により、成分別に回収して処理するので、外部に排出されずにすみ、環境に対する影響は回避できる。特に油煙33aは、水分と油分とに分離して、水分は過熱水蒸気供給装置20の供給水の一部として用い、油分はロータリキルン炉1の熱源の燃料の一部として用いると、油煙33aの成分も脱脂装置の運転エネルギーとして活用でき、脱脂装置の省エネルギー化を図ることができる。そのうえ、油分は、乳化(エマルジョン化)したことで、油滴中の水粒子が急速に気化して、外側の油を拡散させるという、油分の燃焼の促進化が図れる利点があるので、燃焼しにくい油分を効果的に熱源の一部として活用できる。
なお、本発明は上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。
本発明の一実施形態に係る脱脂装置の概略構成を示す図。 平均粒子直径が異なる複数種のマグネシウム合金を用いて、処理時間が10分で脱脂処理したときの脱脂状況を示す線図。 平均粒子直径が異なる複数種のマグネシウム合金を用いて、処理時間が20分で脱脂処理したときの脱脂状況を示す線図。 平均粒子直径が異なる複数種のマグネシウム合金を用いて、処理時間が30分で脱脂処理したときの脱脂状況を示す線図。
符号の説明
1…外熱式のロータリキルン炉(熱処理炉)、2a…入口(導入部)、2b…出口(導出部)、9…被処理物供給機構(被処理物供給手段)、13a…付着物、13…被処理物、17…固形物収容室(収容部)、20…過熱水蒸気供給装置(過熱水蒸気供給手段)、35…油煙処理機構(油煙処理手段)、36,37…油煙冷却装置、水分・油分分離装置(分離手段)、38…水分利用配管(水分利用手段)、39…油分利用配管(油分利用手段)、40…乳化装置、45…制御部(運転手段)。

Claims (8)

  1. 導入部と導出部とを有し、かつ内部が外気に対して遮断されるように構成され、付着物が着いたマグネシウム合金あるいは該マグネシウム合金を含む混合物で形成された被処理物を、前記導入部から内部を通じて前記導出部へ送り可能とした、内部が所定の温度に加熱可能な密閉型の熱処理炉と、
    該被処理物から前記付着物を分離するべく、前記熱処理炉の内部へ過熱水蒸気を供給する過熱水蒸気供給手段と、
    前記熱処理炉の内部を所定温度の過熱水蒸気の雰囲気にしてから、前記熱処理炉の内部へ前記被処理物を送り、熱処理炉の内部で被処理物を過熱水蒸気雰囲気にさらし、外気との接触を断ちながら固形物と油煙とに分離させる熱処理を行なわせる運転手段と
    を具備することを特徴とするマグネシウム合金、マグネシウム合金を含む混合物の脱脂処理装置。
  2. さらに、前記熱処理炉で分離された固形物を前記導出部から回収する収容部と、
    前記熱処理炉で分離された油煙の成分を回収する油煙処理手段と
    を具備することを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム合金、マグネシウム合金を含む混合物の脱脂処理装置。
  3. 前記油煙処理手段は、水分と油分とに分離する分離手段と、分離された水分を前記過熱水蒸気供給手段の供給水の一部として利用する水分利用手段と、分離された油分を前記熱処理炉の熱源の一部として利用する油分利用手段とを有して構成されることを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム合金、マグネシウム合金を含む混合物の脱脂処理装置。
  4. 前記油分利用手段は、油分を乳化させてから前記熱処理炉の熱源へ供給することを特徴とする請求項3に記載のマグネシウム合金、マグネシウム合金を含む混合物の脱脂処理装置。
  5. 前記運転手段は、被処理物のマグネシウム合金の平均粒子直径D(mm)を0.1≦Dにし、この状態で、前記過熱水蒸気の蒸気噴霧時の温度W(℃)を200≦W≦350とし、かつ被処理物が熱処理される時間T(分)を10≦T≦30として運転されるように設定してあることを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム合金、マグネシウム合金を含む混合物の脱脂処理装置。
  6. 前記密閉型の熱処理炉は、外熱式のロータリキルン炉で構成されることを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム合金、マグネシウム合金を含む混合物の脱脂処理装置。
  7. 前記被処理物は、マグネシウム合金を切削加工したときに発生する微細な切粉や切り屑、あるいはマグネシウム合金製の製品を破砕したときに発生する微細な屑であることを特徴とする請求項1、2、3、5、6のいずれか一つに記載のマグネシウム合金、マグネシウム合金を含む混合物の脱脂処理装置。
  8. 導入部と導出部とを有する密閉型の熱処理炉の内部に熱を加え、さらに内部に過熱水蒸気を供給して、該熱処理炉の内部を、外気の流入を遮りつつ所定温度の過熱水蒸気の雰囲気にしてから、前記熱処理炉の内部に前記導入部から前記導出部へ、付着物が着いたマグネシウム合金あるいは該マグネシウム合金を含む混合物で形成された被処理物を送り、該熱処理炉の内部で被処理物を過熱水蒸気雰囲気にさらして、外気との接触を断ちながら固形物と油煙とに分離させることを特徴とするマグネシウム合金、マグネシウム合金を含む混合物の脱脂処理方法。
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