JP4133372B2 - コークス乾式消火方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コークス乾式消火方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コークス炉から排出される赤熱コークスを冷却するにあたり、赤熱コークスの顕熱を回収して省エネルギーを図るためにコークス乾式消火装置(いわゆるCDQ(Coke Dry Quencher))が用いられる。
【0003】
乾式消火装置は、赤熱コークスの有する顕熱を不活性ガスにて熱交換する冷却室と、該冷却室の上部のプレチャンバーとを有する。赤熱コークスはプレチャンバーの上方のコークス装入蓋を開いてプレチャンバー内に装入される。プレチャンバーは赤熱コークス投入の時間変動を吸収し、かつ操業の安定性を得る目的で設けられている。コークスは冷却室内で不活性ガスと熱交換して200℃近くまで冷却された後、冷却室下方のカットゲートを開いて一定量ずつ切り出される。熱交換後900℃に加熱された不活性ガスは冷却室の上部からリングダクトへ排出され、1次ダストキャッチャーを経て廃熱ボイラーで熱回収され、循環ブロアーで再度冷却室へ圧送される。
【0004】
循環ガス系統において、循環ブロアと冷却室との間の配管を分岐させ、分岐管の途中に放散弁を設け、循環ガスの一部を大気中に放散させる場合がある。ガスを放散させずに回収することもできる。ここでは、大気中に放散させる場合、ガスを回収する場合のいずれにおいても、放散弁との名称を用いる。
【0005】
プレチャンバー内の圧力は、大気圧に対して常に一定の負圧を保つように制御される。通常は、上記放散弁の弁開度の調整によって放散弁を通過するガス量を調整し、これによって消火塔から排出する循環ガス排出量と消火塔に圧送する循環ガス圧送量の差を調整し、プレチャンバー内の圧力を制御することができる。プレチャンバー内に圧力計を配置し、圧力計の検出結果に基づいて放散弁の開度を調整する制御が行われる。プレチャンバー内に空気を吹き込む場合には、空気吹き込みによって系内のガス量が増大するので、ガス量を一定に保持するためには放散弁を通して排出するガス量を増大することによってバランスを保持する。
【0006】
プレチャンバーに赤熱コークスを投入するためにコークス装入蓋を開いた際、あるいは冷却塔からコークスを排出するためにカットゲートを開いた際には、負圧に調整していた消火塔内に空気が入り込み、プレチャンバー内の圧力が設定圧力から外れることとなる。プレチャンバー内圧力については、プレチャンバー内に設置した圧力計の検出結果に基づいて循環ガスの放散弁の開度を調整することにより、設定圧力に一致するように制御されている。コークス装入蓋を開いた際においても、プレチャンバー内の圧力が設定圧力から外れた場合には放散弁の開度が自動制御によって調整され、プレチャンバー内圧力を設定圧力に戻すよう調整される。ところが、放散弁の操作速度には限界があり、また放散弁が操作されてからプレチャンバー内の圧力に変動が生じるまでに時間的なずれがあるため、コークス装入蓋を開いた際あるいはカットゲートを開いた際におけるプレチャンバー内の急激な圧力変動に迅速に対応することができず、圧力の乱調が発生することがある。プレチャンバー内の圧力の乱調が発生し、プレチャンバー内が正圧となると、開いたコークス装入蓋からガスが噴出することとなり、プレチャンバー内が過度の負圧となると開いたコークス装入蓋から空気が過剰に吸い込まれてコークスが燃焼し、蒸気発生量が増加しすぎることとなる。
【0007】
特許文献1においては、プレチャンバー内圧力と設定圧力との差を検出し、圧力差が許容範囲外にある継続時間が設定時間を超えたときに流量制御用バルブ(放散弁)の開度を調整することにより、圧力制御の乱調を防ぐことができるとしている。
【0008】
装入されるコークス中には揮発分や微粉コークスを含んでいる。揮発分は、燃焼性が高く循環ガス中に高い比率で含まれると異常燃焼の可能性がある。そこでプレチャンバー内に空気を吹き込むと、コークス塊中に残存する揮発分や微粉コークスを燃焼させることができる。吹き込んだ空気により赤熱コークスの表層の一部が燃えることもある。その結果、高温になった空気及び燃焼排ガスが不活性ガスに混合することにより、冷却室から排出されるガスの熱量を増大することができる。また、プレチャンバーを経て冷却室に到達するコークスの温度も上昇しているため、冷却室内で不活性ガスに回収される熱量も増大する。その結果、廃熱ボイラーでの蒸気回収量を増大することができる。このためには、プレチャンバー内に空気を吹き込む空気導入設備を設置する。
【0009】
【特許文献1】
特開昭57−165482号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
コークスの乾式消火装置において、前述のようにプレチャンバーへの空気吹き込み実施中において、赤熱コークスを投入するためにコークス装入蓋を開いた際、プレチャンバー内の圧力制御がうまくいかないことがあった。本発明は、プレチャンバーへの空気吹き込みを実施している際において、コークス装入蓋動作時におけるプレチャンバー内の圧力制御を安定化させるためのコークス乾式消火方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)冷却室2とその上部のプレチャンバー3とよりなる消火塔1を用い、プレチャンバー上方から赤熱コークス9を装入し、消火塔1に不活性ガス38を循環させて赤熱コークスの顕熱を回収するようにしたコークス乾式消火方法において、プレチャンバー3内に空気41を吹き込む空気導入設備20を有し、プレチャンバー上方のコークス装入蓋14を開ける際の事前信号から一定時間経過後に前記空気導入設備20の流量調整弁22の開度を記憶すると同時にプレチャンバー3への空気導入路を閉め、その後、前記コークス装入蓋14を開けて前記赤熱コークス9を装入した後に前記コークス装入蓋14を閉め、前記コークス装入蓋閉信号から一定時間経過後に空気導入設備20の流量調整弁22の開度を前記記憶した開度として空気導入路を開け、さらに一定時間経過後にプレチャンバー空気吹き込み量の制御を定常運転に戻すことを特徴とするコークス乾式消火方法
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1に基づいて説明する。
【0015】
赤熱コークスを冷却する消火塔1は縦形に形成され、上下方向にプレチャンバー3と冷却室2を備えている。プレチャンバー3と冷却室2とは、その内壁周囲に形成されたスローピングフリュー部4によってガス流れフローとしては分割されている。
【0016】
980℃前後の温度を有する赤熱コークス9はプレチャンバー3の上方にあるコークス装入蓋14を開けてその開口部から装入され、漸次下方に移動し、冷却室2において冷却室下部の吹き込み菅11から吹き込まれる不活性ガス38によって冷却される。冷却室下部から排出されるときのコークス10の温度は200℃近くとなっている。
【0017】
冷却室内において吹き込まれた不活性ガス38は、冷却室内を上昇しつつ赤熱コークスとの間で熱交換が行なわれ、ガス温度が上昇し、冷却室上部のスローピングフリュー部4からリングダクト5に排出される。更に不活性ガスはリングダクト5から1次ダストキャッチャー6を経て廃熱ボイラー7に送られ、廃熱ボイラー7で熱回収されて温度が180℃前後に低下した後、循環ブロアー8を経て不活性ガス吹き込み管11から再度冷却室2に吹き込まれる。
【0018】
循環ガス系統において、循環ブロア8と不活性ガス吹き込み管11との間の配管を分岐させて放散ガス配管12を設置し、放散ガス配管12の途中に放散弁13を設ける。放散ガス配管12を経由して循環ガスの一部を大気中に放散させることができる。もちろん、ガスを放散させずに回収することもできる。
【0019】
図1に示す例においては、必要に応じて空気導入設備20からプレチャンバー内に空気41を吹き込む。吹き込まれた空気中の酸素が残存揮発分、微粉コークス及び塊コークスの一部と反応する。反応は主に一酸化炭素を生成する発熱反応であり、吹き込んだ空気と生成ガス、及びコークスは温度が上昇しつつプレチャンバー内を下降し、プレチャンバー下部において最も高い温度となる。吹き込んだ空気と生成ガスは、プレチャンバー下部において下方から上昇してきた不活性ガスと混合し、スローピングフリュー部4からリングダクト5に排出される。プレチャンバーへの空気41の吹き込み量の調整は、例えば廃熱ボイラー7における回収蒸気量を常に一定に保持するように調整される。発生蒸気35の系列に発生蒸気流量計26を配置し、該流量計で測定した発生蒸気量に基づき、流量制御装置25によって流量調整弁22の開度を調整し、蒸気発生量を一定に保持する制御を行う。特開2002−256270号公報に記載されているとおりである。また、空気導入設備20からプレチャンバー3への空気吹き込み量の調整手段としては、流量調整弁22の弁開度の調整によって行われる。流量調整弁22を閉として空気吹き込みを停止する場合には、放気弁23を開いて放気弁23から空気を逃がす。放気弁23を開く理由は、流量調整弁22を閉とする際に空気導入設備20(送風機)のサージングを防止するためである。
【0020】
プレチャンバー内の圧力は、大気圧に対して常に一定の負圧を保つように制御される。図1に示す例では、放散弁13の弁開度の調整によって放散ガス配管12を通過するガス量を調整し、これによって消火塔1から排出する排出ガス32の量と消火塔に圧送する吹き込みガス31の圧送量の差を調整し、プレチャンバー内の圧力を制御している。プレチャンバー内に圧力計16を配置し、圧力制御装置24は圧力計16の検出結果に基づいて放散弁13の開度を調整し、プレチャンバー内の圧力を設定圧に一致させる制御を行う。空気導入設備20からプレチャンバー内に空気41を吹き込む場合には、空気吹き込みによって系内のガス量が増大するので、ガス量を一定に保持してプレチャンバー内圧力を一定にするためには、放散弁13を通して排出するガス量を増大することによってバランスを保持することとなる。
【0021】
まず、プレチャンバー上方のコークス装入蓋14の開閉に際しての本発明のコークス乾式消火方法について、図2を参照しつつ説明する。
【0022】
従来は、プレチャンバーへの空気41吹き込み実施中において、赤熱コークスを投入するためにコークス装入蓋14を開いた際にも空気吹き込みを同じように継続しており、その結果としてプレチャンバー内圧力は、放散弁13の開度調整が追従しないために、瞬間的に大量の空気を吸い込むためにプレチャンバー内のコークスガス化反応が急激に起きることで圧力が上昇し、コークス装入口よりガスが吹き出す現象が発生するという状況であった。
【0023】
本発明において、コークス装入蓋14を開く際には、開く時刻の一定時間(t1)前に事前信号を発生する。コークス装入蓋14を開けてからアクションを取ったのでは制御が間に合わないからである。事前信号から一定時間(t2)経過後に空気導入設備20の流量調整弁22の開度を記憶すると同時にプレチャンバーへの空気導入路を閉める。流量調整弁22の開度を記憶するのは、この後コークス装入蓋14を再度閉じたときに、流量調整を再開する際における開度の初期値として使用するためである。プレチャンバーへの空気導入路を閉める手段としては、図2に示すように流量調整弁22の開度を全閉とすることによって対応することができる。別に設けた遮断弁を閉じても良い。
【0024】
コークス装入蓋14を閉めているときも開けているときもプレチャンバー内の圧力は僅かながら負圧に制御しているので、コークス装入蓋14を開くと同時に開口部からプレチャンバー内に空気が流入する。本発明においては、コークス装入蓋14を開けている間はプレチャンバー内への空気吹き込みを中止するので、開口部からの流入空気量増大と相殺することができ、プレチャンバー内圧力はプレチャンバー内のコークスガス化反応が一定に起きることで圧力が上昇することなく、コークス装入口よりガスが吹き出す現象も発生しないという状況に改善される。
【0025】
コークス装入蓋14を開く時刻と事前信号との間の一定時間(t1)については、30秒程度の時間とすると好ましい。コークス開事前信号はコークスバケットがリミットスイッチ位置を切った時間で蓋動作の準備信号、装置構成により異なる。
【0026】
事前信号から空気導入路を閉じるまでの一定時間(t2)については、25秒程度の時間とすると好ましい。コークス蓋が実際に開く際には導入空気が止まっている状態にするために弁動作時間を確保するためである。
【0027】
プレチャンバーへの空気導入路を閉めると同時に、放気弁23を開くこととしても良い。
【0028】
コークス装入が完了し、コークス装入蓋14を閉じたら、コークス装入蓋閉信号から一定時間(t3)経過後に空気導入設備20の流量調整弁22の開度を前記記憶した開度として空気導入路を開ける。
【0029】
一定時間(t3)経過後とするのは、コークス装入蓋14が閉じた直後の変動が抑制される時間を確保するためである。一定時間(t3)については、1〜3秒程度の時間が好ましい。リミット位置、蓋の開閉速度等に基づいて定める。空気導入路を開ける際における流量調整弁22の開度を前記記憶した開度とするので、プレチャンバー3への空気吹き込み量を好適な量として吹き込みを再開することができる。
【0030】
プレチャンバー3への空気導入路を開けると同時に、放気弁23を閉じることとしても良い。
【0031】
空気導入路を開けてからさらに一定時間(t4)経過後にプレチャンバー空気吹き込み量の制御を定常運転に戻す。
【0032】
空気吹き込み量の制御を定常運転に戻すのを一定時間(t4)経過後とするのは、流量調整弁の開動作時間及び実際に流量が増加することを検知できる時間を確保するためである。一定時間(t4)については、5秒程度の時間とすると好ましい。導入空気の管路長及び弁の開閉動作速度等から定める。
【0033】
空気吹き込み量制御の定常運転とは、例えば廃熱ボイラー7における回収蒸気量を常に一定に保持するように空気吹き込み量を制御する方法を採用することができる。
【0034】
コークス装入蓋開閉時におけるプレチャンバー内の圧力を設定圧力一定に保持するためには、上記空気導入設備の空気吹き込み制御とともに、プレチャンバー内の圧力制御を適正に行うことが必要である。プレチャンバー内の圧力制御は、通常は前述のように放散ガス配管12を経由して循環系外に排出される放散ガス36の流量を調整することによって行われる。排出されるガス流量制御は、放散弁13の開度を調整することによって行うことができる。プレチャンバー内の圧力制御を、プレチャンバー内に設置した圧力計16の検出結果に基づいて放散弁13の開度を調整することによって行う、いわゆるフィードバック制御を行っている場合、コークス装入蓋開閉時にもフィードバック制御のみを行っていたのでは、プレチャンバー内圧力がハンチングを起こして正常な圧力制御ができなくなることがある。
【0035】
コークス装入蓋開閉時におけるプレチャンバー内圧力制御としては、従来から行っている方法をそのまま適用することもでき、あるいは特許文献1に記載の方法、即ちプレチャンバー内圧力と設定圧力との差を検出し、圧力差が許容範囲外にある継続時間が設定時間を超えたときに流量制御用バルブ(放散弁)の開度を調整する方法を採用することもできる。
【0036】
本発明においては、コークス装入蓋開閉時におけるプレチャンバー内圧力制御として、コークス装入蓋開の信号に基づいて放散弁13の弁開度の調整を行い、コークス装入蓋閉の信号に基づいて再度放散弁13の弁開度の調整を行うこととすると好ましい。放散弁13の弁開度の調整とは、具体的にはコークス装入蓋開の信号を受け取ったときに放散弁13の弁開度を一定量増加させる手段、またコークス装入蓋閉の信号を受け取ったときに放散弁13の弁開度を一定量減少させる手段を採用することができる。このようなフィードフォワード制御を付加することにより、コークス装入蓋14を開いた直後における流入空気量の増大、コークス装入蓋14を閉じた直後における流入空気量の減少に適切に対応することができ、フィードバック制御のみを実施したときに発生する圧力のハンチングを防止することができる。
【0037】
次に、冷却室下方のカットゲート15の開閉に際しての本発明のコークス乾式消火方法について、複数のカットゲートの開閉でコークスを排出する方法を、図3を参照しつつ説明する。
【0038】
まず、プレチャンバー内に空気を吹き込む空気導入設備20を有する場合であって、カットゲート15の開閉に際しての空気導入設備20からの空気吹き込み量の制御方法について図3(a)(b)に基づいて説明する。
【0039】
従来は、プレチャンバーへの空気吹き込み実施中において、冷却したコークスを排出するためにカットゲート15を開いた際にも空気吹き込みを同じように継続しており、空気吹き込み量の調整も定常運転時と同様のフィードバック制御をおこなっていた。その結果としてプレチャンバー内圧力は、カットゲートがある部分は冷却室(クーリングチャンバー)下部であるために正圧になっており、各々のカットゲートにはリーク量があるがゆえに、1個のカットゲートが開くと循環ガスが系外に吹き出す。このため、各々のカットゲートが開く度にプレチャンバー内の圧力は急激に低下し、プレチャンバー圧力調整弁が閉方向に動作し、今度はプレチャンバー内圧力が正圧になるハンチングが発生する。この結果、プレチャンバーからガスの吹き出しが発生するという状況であった。
【0040】
本発明においては、空気導入設備20の空気流量調整について、定常運転時のフィードバック制御を行わず、カットゲート15の開信号により、空気導入設備20の流量調整弁22の開度をそのときの開度に固定する(図3(a))かあるいはあらかじめ定めた規定開度とする(図3(b))。フィードバック制御では上記のようにプレチャンバー内圧力がハンチングを起こすことがあるが、流量調整弁22の開度をそのときの開度に固定(ロック)するかあるいはあらかじめ定めた規定開度とする(フィードフォワード制御)ことにより、圧力のハンチングを防止することができ、プレチャンバー内圧力は、20hPa以下の変動に抑制されプレチャンバーからのガスの吹き出しもないという状況に改善される。
【0041】
上記規定開度については、各々のカットゲートのガスリーク量に依存し、調整することになる。
【0042】
コークスの排出が終了してカットゲート15を閉じる際においては、空気導入設備20の流量調整をそのまま定常運転時のフィードバック制御に戻せばよい。あるいは図3(b)に示すように、カットゲート開信号を受けたときに空気導入設備の流量調整弁の開度を記憶しておき、カットゲートを閉じたときに流量調整弁の開度を該記憶した開度とした上でフィードバック制御に戻すこともできる。
【0043】
カットゲート15の開閉を行う際においては、空気導入設備20の空気流量調整について上記本発明を実施するのみならず、プレチャンバー内圧力制御についても適正に行うことが必要である。これについては、従来から行っている方法をそのまま適用することもでき、あるいは特許文献1に記載の方法、即ちプレチャンバー内圧力と設定圧力との差を検出し、圧力差が許容範囲外にある継続時間が設定時間を超えたときに流量制御用バルブ(放散弁)の開度を調整する方法を採用することもできる。
【0044】
本発明においては、放散弁13の開度調整によってプレチャンバー内の圧力制御を行っている場合であって、冷却室下方のカットゲート15の開信号により、放散弁13の開度をそのときの開度に固定する(図3(c))かあるいはあらかじめ定めた規定開度とする(図3(d))と好ましい。カットゲート開閉時において定常運転時のフィードバック制御を継続する、あるいは特許文献1に記載の方法を適用するのに比較し、本発明の方法を適用することによって、プレチャンバー内圧力変動を、20hPaの変動から10hPaの変動に抑制することができた。
【0045】
上記規定開度については、各々のカットゲートのガスリーク量に依存し、調整することになる。
【0046】
コークスの排出が終了してカットゲート15を閉じる際においては、プレチャンバー内の圧力制御をそのまま定常運転時のフィードバック制御に戻せばよい。あるいは図3(d)に示すように、カットゲート開信号を受けたときに放散弁13の開度を記憶しておき、カットゲート15を閉じたときに放散弁13の開度を該記憶した開度とした上でフィードバック制御に戻すこともできる。
【0065】
【発明の効果】
本発明により、プレチャンバーへの空気吹き込みを実施するコークスの乾式消火方法において、コークス装入蓋やカットゲート動作時におけるプレチャンバー内の圧力制御を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用する乾式消火設備を示す図である。
【図2】 コークス装入蓋開閉時における空気導入設備流量調整弁開度の時間推移図である。
【図3】 カットゲート開閉時における空気導入設備流量調整弁及び放散弁開度の時間推移図である

Claims (1)

  1. 冷却室とその上部のプレチャンバーとよりなる消火塔を用い、プレチャンバー上方から赤熱コークスを装入し、消火塔に不活性ガスを循環させて赤熱コークスの顕熱を回収するようにしたコークス乾式消火方法において、前記プレチャンバー内に空気を吹き込む空気導入設備を有し、プレチャンバー上方のコークス装入蓋を開ける際の事前信号から一定時間経過後に前記空気導入設備の流量調整弁の開度を記憶すると同時にプレチャンバーへの空気導入路を閉め、その後、前記コークス装入蓋を開けて前記赤熱コークスを装入した後に前記コークス装入蓋を閉め、前記コークス装入蓋閉信号から一定時間経過後に前記空気導入設備の流量調整弁の開度を前記記憶した開度として空気導入路を開け、さらに一定時間経過後にプレチャンバー空気吹き込み量の制御を定常運転に戻すことを特徴とするコークス乾式消火方法
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