JP4132876B2 - 自吸式ポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、羽根車の自吸作用により流体の吸引、吐出を行う自吸式ポンプに関し、特に自吸時間を短縮することのできる自吸式ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自吸式ポンプの1例を、図3に示す縦断面図、及び図4に示すポンプ部横断面図に基づき説明する。
【0003】
図において、自吸式ポンプ100は、吸水口111を有するモータ部110と、ポンプ室121と流水室122からなるポンプ部120と、ポンプ部120に続く吐出路131および吐出口132を有する吐出部130とが一体に構成され、第1ケーシング151と第2ケーシング152がパッキン153を挟み自吸式ポンプ100を形成している。
【0004】
モータ部110では、固定子115の内周に磁性体113を有する回転子112が回転軸114を中心に回転自在に配されている。なお、固定子115は鉄心116とそれに巻回されたコイル117からなり、モータ駆動用の回路基板118と共に、モールド樹脂119にモールドされている。
【0005】
ポンプ室121では、回転子112に接続された羽根車123が設けられ、羽根車123が吸水口111からの流体109をポンプ室吐出孔124から流水室122に送り、流水室122の通水口133を経て吐出路131に渦流を形成した流水108を送り、吐出口132から流体を吐出する。
【0006】
上記自吸式ポンプ100では、本格的な吐水運転に先立ち自吸運転を行い、ポンプ停止中に溜まった空気をポンプ部120や吐出路131から抜いてポンプ100内部を流体で満水にさせる必要があり、効率よく空気をポンプ100外に排出して自吸運転の時間を短縮するほど本格的な吐水運転を早く始めることができる。
【0007】
ポンプ室121と流水室122の間には、自吸運転の際にポンプ部120を早く満水にして自吸時間を短縮するために、ポンプ室121の吐出孔124から流水室122に吐出した流体の一部をポンプ室121に再び戻し、ポンプ室121と流水室122とを同時に満水にするための通水孔125が設けられている。
【0008】
ところが、従来の自吸式ポンプ100では、ポンプ室121の吐出孔124から流水室122に吐出された流体108と気泡135は、吐出孔124の出口側に設けられた整流板142を過ぎると流れが不規則になり、流水室122の側壁154に当たって大きな渦流145を形成し、渦流145の中心付近にある気泡135は上方に送られるが、渦流145の中心から外れた気泡136はポンプ室121に戻る流体107と共に通水孔125を通り再びポンプ室に戻ってしまう。このため、空気がポンプ部120に長時間滞留して自吸時間が長くなり、本格的吐水運転の開始に時間を要している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の自吸式ポンプの問題を解消するものであり、自吸運転においてポンプ内の空気を効率よく排出して自吸性能を改善し、自吸時間を短縮することができる自吸式ポンプを提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、吸水口を有するモータ部と、ポンプ室と前記ポンプ室からの流体を吐出路に導く流水室を有するポンプ部と、前記吐出路および吐出口を有する吐出部とが一体に構成され、前記モータ部では、固定子の内周に磁性体を有する回転子が回転自在に配され、前記ポンプ室に設けられた羽根車が前記吸水口から吸入された流体をポンプ室吐出孔から前記流水室を経て前記吐出路に送り前記吐出口から流体を吐出し、また前記流水室から前記ポンプ室への通水孔を有する自吸式ポンプにおいて、前記流水室の流体が渦流となって前記吐出路に送られ、かつ前記渦流と前記通水孔とを隔てる隔壁を前記流水室に設け、前記隔壁が、前記ポンプ室の吐出孔に設けられた整流板を前記流水室に略インボリュート状に延設したものであることを特徴とする自吸式ポンプである。
【0012】
本発明の自吸式ポンプによれば、自吸運転時にポンプ室の吐出孔から流水室に吐出された流体と気泡は、流水室に設けられた隔壁により流水室の中心付近に吐出路に向かう渦流を形成し、気泡は渦流に乗って上昇し上方の吐出路に送られる。また、この隔壁は前記渦流とポンプ室へ通じる通水孔とを隔てるように設けられているので、比重の軽い気泡は渦流に従って上方の吐出路に向かって流れ、通水孔付近は流体だけとなり、気泡が再び通水孔からポンプ室に戻ることがなく、短時間に空気をポンプ外に排出し自吸時間を短縮することができる。
【0013】
また、この隔壁がポンプ室の吐出孔に設けられた整流板を流水室に延設するものであれば、吐出孔から連続した隔壁をインボリュート曲線状や単一曲率の曲線状に形成することができる。これにより、隔壁の中心に渦流を発生させ、気泡を渦流から外れることなく流体と共に効率よく吐出路に向かって上昇させることができ、かつ渦流を吐出路の中心に発生させることができケーシングを小さくすることもできる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について、図面に基づき説明する。
【0015】
図1は実施形態の自吸式ポンプ1の縦断面図であり、図2はポンプ部の横断面図である。
【0016】
自吸式ポンプ1は、上部に吸水口11を有するモータ部10と、ポンプ室21と流水室22からなるポンプ部20と、ポンプ部20に続く吐出路31および吐出口32を有する吐出部30とが一体に構成され、第1ケーシング51と第2ケーシング52がパッキン53を挟み自吸式ポンプ1を形成している。
【0017】
モータ部10は、円筒状に配された固定子15と、その内周に沿う第1ケーシング51内に配された磁性体13を有する回転子12からなり、回転子12は第1および第2ケーシングの間に挟持された固定軸26に回転軸14を中心に回転自在に支持されている。
【0018】
前記固定子15は、鉄心16とそれに巻回されたコイル17からなり、またモータ駆動用の回路基板18を固定子15の側部に配し、全体がモールド樹脂19によりモールドされ、耐久性を向上している。
【0019】
ポンプ室21には回転子12に接続された羽根車23が設けられ、羽根車23の回転により吸水口11から吸水された流体9はポンプ室21内に旋回流を発生し、ポンプ室の吐出孔24を通過して流水室22に送られる。
【0020】
流水室22には、ポンプ室22の吐出孔24出口側に、ポンプ室からの気泡35を含む流体8の流れを規制するための整流板42、43が設けられている。
【0021】
また、自吸運転時にポンプ部20全体を早く満水にするため、流水室22から流体を再びポンプ室21に戻すための通水孔25が、流水室22とポンプ室21の間に設けられている。
【0022】
ポンプ室21からの流体8と通水孔25を隔てる側の整流板43は、従来の整流板を延設して流水室22内にインボリュート曲線状の隔壁40を形成するもので、ポンプ室21から流れ込む流体8の流れを規制して隔壁40の中心に渦流45を発生させる。
【0023】
上記流水室22の渦流45は、通水口33を経て吐出路31送られ、吐出路31内でも渦流46を維持しながら吐出口32から流体をポンプ外部に吐出する。
【0024】
上記自吸式ポンプ1でも、従来ポンプと同様に、本格的吐水運転に先立ち自吸運転を行って、ポンプ停止中に溜まった空気を抜いてポンプ100内部を流体で満水にさせる必要がある。
【0025】
上記構成のポンプ部20を有する自吸式ポンプ1では、ポンプ室21の吐出孔24から流水室22に吐出された流体8と気泡35は、吐出孔24の出口側に設けられた整流板43とそれを延設した隔壁40に沿って流れ、インボリュート状の隔壁40の中心、すなわち流水室22の中心付近を中心とする内方向に流れながら上方の吐出路31に向かう渦流45を発生し、気泡35はこの渦流45に乗って上昇し、流水室22から吐出路31への通水口33を通過して吐出路31に送られる。
【0026】
この隔壁40は、流水室22に流れ込む流体8の流れとポンプ室21へ通じる通水孔25とを隔てるように設けられているので、渦流45は通水孔25と隔てられ、しかも内側に流れながら上昇するので比重の軽い気泡35は渦流45に従って吐出路31に向かって一層上昇し、気泡35が渦流45から外れて通水孔25付近に流れ込むことがなくなる。
【0027】
従って、通水孔25付近は流体だけとなるので、自吸運転中に気泡が通水孔25を通り再びポンプ室21に戻ることがなくなる。そして流体だけが通水孔25を通過してポンプ部20を満水にし、短時間に空気をポンプ外に排出するので、自吸時間を短縮することができる。
【0028】
また、この隔壁40はポンプ室の吐出孔24に設けられた整流板43をインボリュート状に流水室22に延長したものであり、吐出孔24から連続した隔壁40を形成することができるので、流体は確実に隔壁40に沿って流れ、その中心に渦流45を発生することができ、流体や気泡35を効率よく確実に吐出路31に送ることができる。
【0029】
上記流水室22に発生した渦流45は、通水口33を通過して吐出路31送られた後にも、吐出路31内に渦流46を維持しながら吐出口32に向かって流れるので、渦流46に従う気泡36は吐出路31の中心付近を上昇し効率よくポンプ外部に排出される。
【0030】
さらに、渦流45は吐出路31の先端に設けた吐出口32を中心に発生させると、上記気泡の排出効率の向上に加えて、渦流径を小さくしてケーシングサイズを小さくすることができ、ポンプを小形化し省スペース化を図ることもできる。
【0031】
上記隔壁の形状は、図2に示したインボリュート曲線状の他に、単一曲率の曲線状に形成するなど特に限定されず、また隔壁の終端部も適宜設定することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の自吸式ポンプでは、流水室に設けた隔壁により流水室の流体に渦流を発生させることにより、流体中の気泡を渦流に従わせて上昇させて効率よく吐出路に送り、かつ気泡が流水室の通水孔から再びポンプ室へ戻ることを防ぐことができるので、短時間にポンプ内の空気を外部に排出し、自吸式ポンプの自吸時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の自吸式ポンプの縦断面図である。
【図2】 実施形態の自吸式ポンプのポンプ部の横断面図である。
【図3】 従来例の自吸式ポンプの縦断面図である。
【図4】 従来例の自吸式ポンプのポンプ部の横断面図である。
【符号の説明】
1……自吸式ポンプ
10……モータ部
20……ポンプ部
30……吐出部
40……隔壁
11……吸水口
12……回転子
13……磁性体
14……回転軸
15……固定子
21……ポンプ室
22……流水室
23……羽根車
24……ポンプ室吐出孔
25……通水孔
31……吐出路
32……吐出口
35,36……気泡
42,43……整流板
45,46……渦流

Claims (1)

  1. 吸水口を有するモータ部と、ポンプ室と前記ポンプ室からの流体を吐出路に導く流水室を有するポンプ部と、前記吐出路および吐出口を有する吐出部とが一体に構成され、
    前記モータ部では、固定子の内周に磁性体を有する回転子が回転自在に配され、
    前記ポンプ室に設けられた羽根車が前記吸水口から吸入された流体をポンプ室吐出孔から前記流水室を経て前記吐出路に送り前記吐出口から流体を吐出し、
    また前記流水室から前記ポンプ室への通水孔を有する自吸式ポンプにおいて、
    前記流水室の流体が渦流となって前記吐出路に送られ、かつ前記渦流と前記通水孔とを隔てる隔壁を前記流水室に設け
    前記隔壁が、前記ポンプ室の吐出孔に設けられた整流板を前記流水室に略インボリュート状に延設したものであることを特徴とする自吸式ポンプ。
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