JP4132402B2 - 固体電解質型ガスセンサー - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、基準極を有する固体電解質型ガスセンサ−に関するのものであり、更に詳細には、被検知ガスであるCO2 ,NOx,SOx等のガスに対する応答時間を短くでき、かつ、固体電解質型ガスセンサ−の組み付け精度を良くできる固体電解質型ガスセンサーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
固体電解質型ガスセンサーの一つであるCO2 ガスセンサーは,大気中のCO2 濃度の測定,居住空間,ビル等空調システム,さらに,農工業プロセス,医療関係など多岐の分野等で利用できるものであり、地球温暖化問題との関連で大気中のCO2 ガス濃度を連続的に且つ精度良く検出できるCO2 ガスセンサーの開発が盛んになってきている。
【0003】
こうした中、最近、小型化,低コスト化と保守の容易化,移動可能を図るために,固体電解質を用いてCO2 ガス濃度を検出する種々の固体電解質型CO2 ガスセンサ−が提案されている。このガスセンサ−は、例えば、検知極にアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の炭酸塩を用い、基準極にアルカリ金属を含む遷移金属(Fe,V,Cr,Ti,C等)酸化物の二相共存系混合物を用いることでセンサ−起電力値の安定性を得ており(特開平8−34905号を参照)、この起電力を測定することによってCO2 濃度を求めることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなCO2 ガスセンサ−は、CO2 ガスに対する応答時間が5 〜10分と比較的長く、実用上ではやや難点となっている。
そこで、本発明は、上記従来の固体電解質型CO2 ガスセンサー起電力の精度の向上と経時変化と応答速度を改善し,実用化に耐えうる固体電解質型CO2 ガスセンサーを提供し、上記問題点を解決することを目的とする。また従来の固体電解質型ガスセンサの構成に比較してその組み付け精度を向上させ、生産性の向上を図ることができる固体電解質型CO2 ガスセンサ−を提供することを目的とする。
【0005】
そこで研究の結果、応答性並びに性能の安定性は素子全体のインピーダンスが大きく関与することを見いだした。さらに素子全体のインピーダンスのうち基本的にはごく僅かなイオン伝導性と電子伝導性をもつ基準極の部分のインピーダンスが大きく影響することを見いだし、この部分のインピーダンスの低減のために以下のような手段を発明するに至った。本発明は、CO2 ガスセンサ−を構成する基準極内に、導電率がさらに高く基準極と反応しない電子導電性材料(例えばPt,Au,Rh等)を添加することにより電子伝導性を付与し、インピーダンスを低減することによってCO2 ガスに対する応答時間を半減し測定器としての価値を向上させる。また、基準極8と検知極9の上に配置する集電体14を、基準極内の電子導電性材料(Pt Au Rh等)と同一の材料で構成することにより、加熱工程での焼結効果が促進され、基準極内の電子導電性材料の複合材と集電体14の接合強度が向上し、この結果固体電解質型CO2 ガスセンサ−の組み付け精度も向上する。
【0006】
このため本発明が採用した技術解決手段は、
保持板に断熱材を載置し、同断熱材にヒーターを載置し、さらに同ヒーター上にアルカリイオン導電体を載置し、同アルカリイオン導電体上に基準極8と検知極9を配置し、さらに前記基準極8と検知極9上に集電体14を配置し、さらに集電体上14に断熱材2を載置し、前記断熱材2の上に押しつけ力を発揮するバネを当接し、このバネの付勢力によって、前記各部材を押圧保持してなる固体電解質型ガスセンサ−であって、前記基準極8をアルカリ金属等を含む遷移金属酸化物の二相共存系混合物を用いた基準極材に前記基準極材と反応しない電子導伝性材料を添加した複合材によって構成するとともに、前記集電体を前記電子導電性材料と同じ材料で構成したことを特徴とする固体電解質型ガスセンサ−である。
また、前記集電体と断熱材との間に集電体と接合性の高い材料からなる支持板を配置したことを特徴とする固体電解質型ガスセンサ−である。
【0007】
【実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明すると、図1は本実施形態に係わるCO2 ガスセンサーの構成図、図2は図1中の要部拡大図である。
図において1は網目カバ−、2は断熱材、3はリ−ド線、4はリ−ドピン、5は断熱材、6は保持板、7は支持板、8は基準極材と電子導電性材料の複合材で構成された基準極、9は検知極、10は固体電解質(アルカリイオン導電体)、11はパネルヒ−タ−、12は板バネ、13は板バネステム、14は集電体である。
【0008】
保持板6の上には断熱材5が載置され、断熱材5の上にパネルヒーター11が載置され、パネルヒーター11の上にアルカリイオン導電体10が載置され、このアルカリイオン導電体10の上には、図2に示すように基準極8と検知極9が配置されている。基準極8と検知極9の上にはそれぞれ集電体14を介して支持板7が載置され、その上に断熱材2が載置され、さらに断熱材2の上には押しつけ力を発揮する双子山状の板バネ12が当接し、この板バネ12の付勢力によって断熱材2を介して、ガスセンサーを構成する各部品が押圧保持され、これらによって固体電解質型CO2 センサーが構成されている。なお板バネ12は板バネステム13によって支持されている。
【0009】
板バネによる押し付け力は各素子の大きさと配置によって決まるが、一定値以下の接触抵抗(今回の素子については2×105 Ω)を有すれば可である。このため、スプリング(弾性体)の付勢力(弾性力)による押し付け力としては比較的広範囲の許容値をとることができ、この例では双子状の板バネを採用している。また、保持板6の上部には、上記各部品を保護するために検知ガスの通過が許容される網目カバー1が配置されている。
【0010】
ところで、本実施形態による前述の基準極8は、従来の固体電解質型CO2 ガスセンサ−において使用されている材料〔アルカリ金属等を含む遷移金属(Fe、V、Cr、Ti、Cu)〕酸化物の2相共存系混合物からなる基準極材に、基準極材と反応しない電子導電性材料(Pt Au Rh等)を添加した複合材で構成する。なお、この基準極材については本出願人に係る特開平9−229902号に記載されている固体基準極(基準極材)の材料をその儘使用することも可能である。
さらに、基準極8と検知極9の上に配置する集電体14も、上記電子導電性材料(Pt Au Rh等)と同一の材料で構成する。
【0011】
こうすることで、前述の複合材で構成されている基準極中の電子導電性材料と、図2に示す集電体14の材質が同一であるため、加熱工程での焼結効果が促進し、基準極内の電子導電性材料の複合材と集電体14の接合強度が向上する。また図1に示す支持板7を集電体14と接合性の高い材料で構成することにより、基準極内の電子導電性材料の複合材を直接、もしくは集電体14を介して、支持板7に容易に接合でき、それにより基準極8の素子の中での位置が正確に決まり、組み付け精度を向上させることができる。
【0012】
上記構成からなる固体電解質型センサーの作動を説明すると、図示状態で固体電解質型センサ−を加熱し、動作させると検知極9と基準極8との間に起電力が発生し、この起電力によってガス濃度を測定することができる。測定中、基準極の電極反応は電極反応場(アルカリイオンと基準極と電子特開平酸素の4種が同時に存在する点)で進行する。この時本実施形態では基準極に電子導電性材料を添加した複合材を使用しているため電子導電性材料により基準極内への電子伝導経路が増加する。この結果、基準極内の電極反応場が増加し、CO2 ガス濃度を変更した際のセンサの応答時間を短縮することが可能となる。
【0013】
図3に上記素子を使用した場合の、CO2 濃度を変更した際の、センサーの応答時間と電子導電性材料の添加量との関係を表したグラフを示す。この図からも明らかなように電子導電性材料の添加量を多くすると応答時間は短縮される。なお上記構成において基準極材と電子導電性材料との複合材からなる基準極8と検知極9の配列は上下、左右方向に関わらず自由に設定でき、また各構成材料間の電子、アルカリイオンの伝導性を得る手段としてはバネによる押し付けの他に、焼き付け、接合材等の方法などを採用することができる。なお、上記実施形態は被検知ガスとしてCO2 ガスを対称としたセンサーとして説明したが、同様のガスセンサ−によりNOx,SOx等のガスの測定も可能であり、CO2 ガスの場合と同じように応答時間を短くでき、かつ、固体電解質型ガスセンサ−の組み付け精度を良くできることは当然である。
【0014】
【発明の効果】
以上詳述したように,本発明の固体電解質型CO2 ガスセンサーは、基準極を、アルカリ金属等を含む遷移金属(Fe、V、Cr、Ti、Cu)酸化物の2相共存系混合物からなる基準極材に、基準極材と反応しない電子導電性材料(PtAu Rh等)を添加した複合材によって構成したことにより従来の固体電解質型CO2 ガスセンサー起電力の精度の向上と経時変化と応答速度を改善でき、実用化に耐えうるCO2 ガスセンサーとすることができる。また従来の固体電解質型ガスセンサの構成に比較してその組み付け精度を向上させ、生産性の向上を図ることができる、CO2 ガスセンサーは、その構成が単純であるため,小型化を図ることができる。
さらに、各構成部品が板バネの付勢力によって所定の力で互いに接触されている構造となっているため、各部品同志を接着させた場合に発生する反応生成物の副作用による問題を無くすことができる。また、素子を構成する部品の厚みや、縦横各方向への熱膨張にも充分対応できるため、ガスセンサー素子の長寿命化を図ることができる。さらに、部品毎の熱膨張、熱収縮による隙間や亀裂の発生がないため形状の設計や寸法設定の自由度が大きくなる、等の優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係わるCO2 ガスセンサーの構成図である。
【図2】図1中の要部拡大図である。
【図3】本実施形態に係る固体電解質型CO2 ガスセンサ−を使用した場合の、CO2 濃度を変更した際の、センサーの応答時間と電子導電性材料の添加量との関係を表したグラフである。
【符号の説明】
1 網目カバ−
2 断熱材
3 リ−ド線
4 リ−ドピン
5 断熱材
6 保持板
7 支持板
8 基準極材と電子導電性材料の複合材で構成された基準極
9 検知極
10 固体電解質(アルカリイオン導電体)
11 パネルヒ−タ−
12 板バネ
13 板バネステム
14 集電体
Claims (2)
- 保持板に断熱材を載置し、同断熱材にヒーターを載置し、さらに同ヒーター上にアルカリイオン導電体を載置し、同アルカリイオン導電体上に基準極8と検知極9を配置し、さらに前記基準極8と検知極9上に集電体14を配置し、さらに集電体上14に断熱材2を載置し、前記断熱材2の上に押しつけ力を発揮するバネを当接し、このバネの付勢力によって、前記各部材を押圧保持してなる固体電解質型ガスセンサ−であって、前記基準極8をアルカリ金属等を含む遷移金属酸化物の二相共存系混合物を用いた基準極材に前記基準極材と反応しない電子導伝性材料を添加した複合材によって構成するとともに、前記集電体を前記電子導電性材料と同じ材料で構成したことを特徴とする固体電解質型ガスセンサ−。
- 前記集電体と断熱材との間に集電体と接合性の高い材料からなる支持板を配置したことを特徴とする請求項1に記載の固体電解質型ガスセンサ−。
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1999
- 1999-05-20 JP JP14063099A patent/JP4132402B2/ja not_active Expired - Fee Related
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