JP4132371B2 - 新規キノロン誘導体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、発酵生産物である新規なキノロン誘導体又はその塩、並びに該誘導体を有効成分とする医薬、好ましくは抗ヘリコバクター・ピロリ剤である医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)は、1983年に発見された病原性細菌であり、消化性潰瘍(例えば胃潰瘍又は十二指腸潰瘍等)、炎症(例えば胃炎等)又は胃ガン等の消化管上部の疾患、もしくは慢性心疾患の病因と言われている。現在、ヘリコバクター・ピロリ感染症の治療に関する研究は活発になされており、該治療法としては、除菌を目的としたもの、再発防止を目的としたもの等下記の如く多数報告されている。例えば、ビスマス、抗生物質、プロトンポンプ阻害剤(PPI)、抗潰瘍剤等の単剤投与又は前記薬物等を組み合わせた多剤併用法(2剤併用、3剤併用)が挙げられる(内科、特集、78巻1号(1996)、南江堂)。しかしながら、上記治療法は、例えば投与回数の頻度の多さ、常用量以上の大量投与を要する場合があること、薬物投与による下痢・便秘等の発症、耐性菌の発生等まだまだ解決しなければならない点が多い。
【0003】
特開平7-189号公報には各種グラム陽性細菌に活性を有し、アルスロバクター(Arthrobacter)属に属する微生物が産生する抗生物質が報告されているが、抗ヘリコバクター・ピロリ作用については記載されていない。特開平11-29479号公報には下記式で示される2−(2−ノネニル)−3−メチル−4(1H)−キノロン誘導体を有効成分とする抗ヘリコバクター・ピロリ剤が報告されている。
【0004】
【化2】
Figure 0004132371
(式中の記号R1は、水素原子又は水酸基を意味する。)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、優れた抗ヘリコバクター・ピロリ活性を有する発酵生産物、さらには当該発酵生産物を有効成分とする医薬を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記状況下、天然に存在する多くの微生物が生産する物質について鋭意検討した結果、アルスロバクター(Arthrobacter)属に属する微生物を培地に培養することによって、当該培地中に抗ヘリコバクター・ピロリ活性を有する新規物質が生産されていることを見出した。更に当該物質を単離することにより本発明を完成した。
即ち本発明は下記一般式(I)で示される、2−(2−ノネニル)−4(1H)−キノロン誘導体又はその塩、当該キノロン誘導体を有効成分とする医薬、並びに、抗ヘリコバクター・ピロリ剤である医薬に関する。
【0007】
【化3】
Figure 0004132371
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳述する。
本発明物質の塩としては、無機酸若しくは有機酸との酸付加塩、あるいは無機若しくは有機塩基との塩であり、製薬学的に許容しうる塩が好ましい。これらの塩としては、具体的には塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸若しくはリン酸等の鉱酸、又は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸若しくはエタンスルホン酸等の有機酸、又はアスパラギン酸若しくはグルタミン酸などの酸性アミノ酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムなど無機塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミンなどの有機塩基、リジン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸との塩等を挙げることができる。
【0009】
本発明物質は、二重結合を有するのでシス体、トランス体の幾何異性体、さらに互変異性体が存在する。本発明にはこれら各種異性体をすべて包含し、さらに水和物、各種溶媒和物等も含まれる。更に、本発明には、結晶多形を有する物もあり、それらの結晶形をすべて包含するものである。
【0010】
(製造法)
本発明物質を生産する微生物としてはアルスロバクター(Arthrobacter)属に属する細菌が挙げられ、その性質は特開平7−189号公報に記載の通りである。代表的な製造方法についても、特開平7−189号公報に開示された製造方法が挙げられ、具体的には、アルスロバクター(Arthrobacter)属に属する細菌、例えば生命工学工業技術研究所に国際寄託された寄託番号FERM BP−6326号のアルスロバクター エスピー(Arthrobactersp.)YL−02729株を使用し、該株を培養し、該培養物から単離・精製する方法が挙げられる。
【0011】
培養に用いられる培地は、使用する微生物が生育可能な培地であればよく、合成培地、半合成培地あるいは天然培地を用いることができる。培地に添加する栄養物としては、細菌の栄養源として公知のものを使用できる。例えば窒素源(炭素源)としては、市販されているペプトン類、肉エキス類、コーンスティープリカー、綿実粕、落花生粉、大豆粉、酵母エキス、NZ−アミン、小麦胚芽、カゼイン類、魚粉、デンプン類、オウギ、及び硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の無機又は有機物、炭素源としては市販されている糖蜜、グルコース、マルトース、フルクトース、マンニトール、ポテトスターチ、コーンスターチ、デキストリン、可溶性デンプン等の炭水化物あるいは油脂、脂肪類などが使用できる。
【0012】
また金属塩としては、Na、K、Mg、Ca、Zn、Fe、Mn、Co、Cu、等の硫酸鉛、塩酸塩、硝酸塩、燐酸塩、炭酸塩等を必要に応じて添加できる。さらに必要に応じてバリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、リジン、アルギニン、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸や、ビタミン類、オレイン酸、オレイン酸メチル、ラード油、シリコン油、界面活性剤等の二次代謝物生産促進物質又は消泡剤を適宜使用できる。これらのもの以外でも、本発明化合物生産菌が利用し、本発明物質の生産に役立つものであれば、いずれの添加物も使用することができる。
【0013】
培養法としては、一般の抗生物質などの培養法と同様に行えば良く、その培養方法は固体培養でも液体培養でも良い。液体培養の場合は静置培養、振とう培養、攪拌培養のいずれを実施してもよいが、特に通気攪拌培養が望ましい。培養条件として、培養温度は生産菌が発育し、本発明の抗生物質を生産しうる温度、すなわち15℃〜37℃の範囲で適宜適用できるが約28℃が好ましい。pHは、pH4〜9の範囲で適宜適用できるが、pH6〜8が好ましい。培養時間は種々の条件によって異なり、10時間〜168時間であるが、通常24〜120時間程度で培養液中に蓄積される本発明の物質が最高力価に達する。
【0014】
培養物から目的とする化合物を単離するには、微生物の産生する代謝産物を単離する際に用いる通常の抽出、精製の手段が適宜利用できる。培養物中の該物質は培養液をそのままか、又は遠心分離あるいは培養物に濾過助剤を加えて濾過して得られた培養濾液に酢酸エチル、クロロホルム、ベンゼン、トルエン等の水と混和しない有機溶剤を加えて抽出する。また、培養液を適宜の坦体に接触させ、濾液中の生産物質を吸着させ、次いで適当な溶媒で溶出することにより該物質を抽出することができる。例えば、アンバーライトXAD−2、ダイヤイオンHP−20、ダイヤイオンCHP−20、又はダイヤイオンSP−900のような多孔性吸着樹脂に接触させて該物質を吸着させる。次いでメタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル等の有機溶媒と水の混合液を用いて該物質を溶出させる。このときの有機溶媒の混合比率を低濃度より段階的に又は連続的に高濃度まで上げていくことにより、該物質の含まれる比率のより高い画分を得ることができる。
次に、上記の各操作法を用いて得た該物質含有画分は、シリカゲル、ODS等を用いたカラムクロマトグラフィー、遠心液々分配クロマトグラフィー、ODSを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の常法により、さらに純粋に分離精製することができる。
【0015】
以下に本発明物質を有効成分とする医薬の製剤化法、投与方法を詳述する。
本発明物質又はその塩の1種又は2種以上を有効成分として含有する医薬組成物は、通常用いられている製剤用の担体や賦形剤、その他の添加剤を用いて、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、液剤、注射剤、坐剤、軟膏、貼付剤等に調製され、経口的又は非経口的に投与される。本発明物質のヒトに対する臨床投与量は適用される患者の症状、体重、年令や性別等を考慮して適宜決定される。通常成人1日当り経口で0.1〜500mg、非経口で0.01〜100mgであり、これを1回あるいは数回に分けて投与する。投与量は種々の条件で変動するので、上記投与量範囲より少ない量で十分な場合もある。
【0016】
本発明による経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、一つ又はそれ以上の活性物質が、少なくとも一つの不活性な希釈剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸、アルミン酸マグネシウムと混合される。組成物は、常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤や繊維素グリコール酸カルシウムのような崩壊剤、ラクトースのような安定化剤、グルタミン酸又はアスパラギン酸のような可溶化乃至は溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要によりショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどの胃溶性あるいは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
【0017】
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水、エチルアルコールを含む。この組成物は不活性な希釈剤以外に可溶化乃至溶解補助剤、湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤を包含する。水性の溶液剤、懸濁剤の希釈剤としては、例えば注射剤用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水溶性の溶液剤、懸濁剤の希釈剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エチルアルコールのようなアルコール類、ポリソルベート80(商品名。ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル)等がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤(例えばラクトース)、可溶化乃至溶解補助剤のような添加剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。これらは又無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解して使用することもできる。
【0018】
本発明物質の溶解性が低い場合には、可溶化処理を施してもよい。可溶化処理としては、医薬製剤に適用できる公知の方法、例えば界面活性剤(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール類、ショ糖脂肪酸エステル類等)を添加する方法、薬物と可溶化剤例えば高分子[ハイドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)等の水溶性高分子、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、ハイドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、メタアクリル酸メチル−メタアクリル酸共重合体{オイドラギットL、オイドラギットS、(商品名);ローム・アンド・ハース社製}等の腸溶性高分子]との固体分散体を形成する方法が挙げられる。更に必要により、可溶性の塩にする方法、サイクロデキストリン等を用いて包接化合物を形成させる方法等も採用できる。可溶化の手段は、目的とする薬物に応じて適宜変更できる[「最近の製剤技術とその応用」、内海勇ら、医薬ジャーナル157−159(1983)及び「薬学モノグラフNo.1、生物学的利用能」、永井恒司ら、ソフトサイエンス社、78−82(1988)]。このうち、好ましくは、薬物と可溶化剤との固体分散体を形成させ溶解性を改善する方法が採用される(特開昭56−49314号、FR2460667号)。
【0019】
本発明によれば本発明物質を単独ばかりでなく、他の抗菌剤と組み合わせて(好ましくは1〜3種)使用することができる。このような他の抗菌剤とは、例えば、ニトロイミダゾール抗生物質(例えばチニダゾール及びメトロニダゾール)、テトラサイクリン系薬剤(例えば、テトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン)、ペニシリン系薬剤(例えばアモキシリン、アンピシリン、タランピシリン、バカンピシリン、レナンピシリン、メズロシリン、スルタミシリン)、セファロスポリン系薬剤(例えば、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、セフポドキシムプロキセチル、セフィキシム、セフジニル、セフチブテン、セフオチアムヘクセチル、セフタメットピボキシル、セフロキシムアクセチル)、ペネム系薬剤(例えば、フロペネム、リチペネムアコキシル)、マクロライド系薬剤(例えば、エリスロマイシン、オレアンドマイシン、ジョサマイシン、ミデカマイシン、ロキタマイシン、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシン、アジスロマイシン)、リンコマイシン系薬剤(例えば、リンコマイシン、クリンダマイシン)、アミノグリコシド系薬剤(例えば、パロモマイシン)、キノロン系薬剤(例えば、オフロキサシン、レボフロキサシン、ノルフロキサシン、エノキサシン、シプロフロキサシン、ロメフロキサシン、トスフロキサシン、フレロキサシン、スパフロキサシン、テマフロキサシン、ナジフォキサシン、グレパフロキサシン、パズフォキサシン)並びにニトロフラントインを上げることができる。また、酸に関連した疾患の治療に用いられる医薬化合物{例えば、酸ポンプ阻害剤(オメプラゾール及びランソプラゾール)}又はH2アンタゴニスト(例えば、ラニチジン、シメチジン及びファモチジン)と本発明物質との組み合わせも、本発明の範囲内に含まれる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はもちろんこれらの例に限定されるものではない。
【0021】
実施例1
グルコース1.0%、ポテトスターチ2.0%、酵母エキス0.5%、ポリペプトン0.5%、炭酸カルシウム0.4%を含む種培地(pH7.0)を作成し、500mlの三角フラスコに100mlずつ分注した。この培地を121℃で20分間滅菌した後、特開平7−189号公報記載のアルスロバクター(Arthrobacter)属の菌体をベネット寒天上に良く生育させた後、かき取って接種し、28℃で48時間振盪培養を行って種培養液とした。次に、グルコース1.0%、ポテトスターチ2.0%、酵母エキス0.5%、ポリペプトン0.5%、炭酸カルシウム0.4%を含む培地(pH7.0)を作成し、2000mlの三角フラスコに400mlを分注した。この培地を121℃で20分間滅菌した後、上記種培養液で得られた培養物を2%の割合で接種し、28℃で48時間振盪培養した。次に、グルコース1.0%、ポテトスターチ2.0%、酵母エキス0.5%、ポリペプトン0.5%、炭酸カルシウム0.4%を含む培地(pH7.0)を作成し30LのJarに18Lを分注した。この培地を121℃で20分間滅菌した後、上記種培養液で得られた培養物を2%の割合で接種し、28℃で72時間攪拌培養した。次にグリセロ−ル5.0%、酵母エキス0.25%、ポリペプトン1.0%、炭酸カルシウム0.4%を含む種培地(pH7.0)を作成し300LのJarに200L分注した。この培地を121℃で20分間滅菌した後、上記種培養液で得られた培養物を2%の割合で接種し、28℃で48時間攪拌培養した。
【0022】
このようにして培養した200Lの培養液をpH 3.0に調整し濾過して上清と菌体に分離する。得られた上清を、ダイヤイオンHP−20(三菱化学社製)20Lに吸着し、60Lの水で水洗後、30%アセトン水60Lで洗浄後、100%アセトン水で溶出し減圧下で濃縮しアセトンを除去した後、得られた濃縮液をpH8.5に調整し、酢酸エチル20Lで2回抽出した。一方の菌体の方に関しては、80%アセトン水50Lを加え、攪拌して一夜放置した後、濾過して上清と沈澱物に分離した。上清を減圧下で濃縮しアセトンを除去した後、得られた濃縮液をpH8.5に調整し、酢酸エチル20Lで2回抽出した。上清と菌体から得られた酢酸エチル層を混合し減圧下で濃縮乾固し、粗抽出物を得た。この粗抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ワコ−ゲルC−300:和光純薬工業社製)に供し、初めにクロロホルム、次いでクロロホルム:酢酸エチル(20:1)、次いでクロロホルム:酢酸エチル(9:1)、次いでクロロホルム:酢酸エチル(4:1)、次いでクロロホルム:酢酸エチル(2:1)、次いでクロロホルム:酢酸エチル(1:2)で順次溶出分画し、目的物質(以下YM−176005とする)を含む活性画分を得た。最終的にHPLCにより精製を行い、19.5分に溶出されてくる活性画分YM−176005を63.8mg単離した。HPLCの条件は以下の通りである。
カラム:SUPELCOSIL LC−ABZ+PLUS
(スペルコ社製、21.2φ×250mm)
溶出溶媒:テトラヒドラフラン/アセトニトリル/水(10/80/10)の混合溶液
流出速度:6ml/min
検出波長:210nm
【0023】
上記抽出、分離、精製されたYM−176005は下記の物理化学的性質を有する。
(1)色及び形状:微黄色または白色の無定型半透明個体。
(2)酸性、中性、塩基性の区分:中性。
(3)溶解性:メタノール、クロロホルムには溶けるが水、ヘキサンにはほとんど溶けない。
(4)紫外部吸収スペクトル:214、242、330、337nmに吸収極大を示す(第1図)。
(5)分子量:286.1805
(6)分子式:C1823NO2
(7)赤外吸収スペクトル(KBr):(第2図)
(8)1H−NMRスペクトル(500MHz, CDCl3):(第3図)
(9)13C−NMRスペクトル(125MHz, CDCl3):(第4図)
上記の物理化学的性質からYM−176005の化学構造式は下記のように決定された。
【0024】
【化4】
Figure 0004132371
【0025】
実施例2
YM−176005のインビトロ活性測定を以下の方法により行った。
抗菌活性の測定
抗菌物質含有寒天平板の作製
評価する物質を100%ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、2倍系列希釈した。本希釈液を滅菌丸シャーレに入れ、そこに滅菌後50℃に保温しておいた10mlのブルセラ寒天培地(0.1%β−サイクロデキストリン)に加え、混和後、固めた。DMSOの最終濃度は1%以下となる。
接種材料の調製と結果判定
ブルセラ寒天培地(5%仔牛血清含有)を用いてマルチガスインキュベーター(N2:80%、CO2:15%、O2:5%)で37℃にて3日間培養したヘリコバクター・ピロリ菌、例えばヘリコバクター・ピロリATCC43504を、濁度により約108個/1mlになるようにブルセラブロスを用いて調製した。本菌液を、同様にブルセラブロスを用いて100倍希釈した液を、薬剤を含有する寒天培地に、ミクロプランターを用いて約5μlを寒天表面に接種した。接種した寒天平板を、上記マルチガスインキュベーターに37℃で3日間(72時間)培養した。培養を終了した寒天平板を観察し、増殖の観察されない薬剤濃度をMICとした。その結果、YM−176005のMICは0.013μg/mlであった。
【0026】
実施例3
通性嫌気性菌、好気性菌に対するインビトロ活性測定を以下の方法により行った。
抗菌物質含有寒天平板の作製
評価する物質を100%ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、2倍系列希釈した。本希釈液を滅菌丸シャーレに入れ、そこに滅菌後50℃に保温しておいた10mlのミューラーヒントン寒天培地に加え、混和後、固めた。DMSOの最終濃度は1%以下となる。
接種材料の調製と結果判定
ミューラーヒントンブロスを用いて、37℃に設定したフラン器で終夜培養した菌液を、ミューラーヒントンブロスを用いて約106個/1mlになるように希釈調製した。本菌液を、薬剤を含有する寒天培地に、ミクロプランターを用いて約5μlを寒天表面に接種した。接種した寒天平板を、37℃のフラン器で18時間培養した。培養を終了した寒天平板を観察し、増殖の観察されない薬剤濃度をMICとした。その結果、YM−176005は、スタフィロコッカスアウレウス(Staphylococcus oureus)FDA209A、エシェリシアコリ(Escherichiacoli)O−1、シュードモナス エルギノザ(Pseudomonasaeruginosa)NCTC10490のような代表的通性嫌気性菌、好気性菌に対するMICが50μg/mlよりも大きな値を示した。
【0027】
実施例4
嫌気性菌に対するインビトロ活性測定を以下の方法により行った。
抗菌物質含有寒天平板の作製
評価する物質を100%ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、2倍系列希釈した。本希釈液を滅菌丸シャーレに入れ、そこに滅菌後50℃に保温しておいた10mlのGAM寒天培地に加え、混和後、固めた。DMSOの最終濃度は1%以下となる。
接種材料の調製と結果判定
GAMブイヨンを用いて、混合ガス(N2:80%、CO2:10%、H2:10%)中でガス置換した嫌気性菌培養装置を用いて37℃にて終夜培養した菌液を、同じGAMブイヨンを用いて約106個/1mlになるように調製した。本菌液を、薬剤を含有する寒天培地に、ミクロプランターを用いて約5μlを寒天表面に接種した。接種した寒天平板を、上記の37℃に設定してある嫌気性菌培養装置で18時間培養した。培養を終了した寒天平板を観察し、増殖の観察されない薬剤濃度をMICとした。その結果、YM−176005は、ビフィドバクテリウムビフィダム(Bifidobacterium bifidum) CAYA21−1、ペプトストレプトコッカスプロダクタス(Peptostreptococcusproductus) CAYA12−2、バクテロイデス フラジリス(Bacteroidesfragiris) GA15562のような扁性嫌気性菌に対するMICは50μg/mlより大きな値を示した。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、ヘリコバクター・ピロリに対して抗菌作用を示し、ヒトにおけるヘリコバクター・ピロリ及び動物における関連するヘリコバクター属に属する細菌感染の治療に有効である。また、本発明抗ヘリコバクター・ピロリ剤は、消化性潰瘍(例えば胃及び十二指腸潰瘍)、炎症(胃炎、十二指腸炎)、胃癌等の消化管上部の疾患、もしくは慢性心疾患等の治療にも有効である。
【0029】
【図面の簡単な説明】
【図1】YM−176005の紫外部吸収スペクトルを示す(溶剤:メタノール)。
【図2】YM−176005の赤外吸収スペクトル(KBr)を示す。
【図3】YM−176005の1H−NMRスペクトル(500MHz,CDCl3)を示す。
【図4】YM−176005の13C−NMRスペクトル(125MHz,CDCl3)を示す。

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 0004132371
    で示される2−(2−ノネニル)−4(1H)−キノロン誘導体又はその塩。
  2. 請求項1記載のキノロン誘導体を有効成分とする医薬。
  3. 請求項2記載の医薬が抗ヘリコバクター・ピロリ剤である医薬。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH08291988A (ja) * 1994-12-27 1996-11-05 Lg Electronics Inc 熱交換器の構造

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