JP4132314B2 - プレストップロール用ドクター装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は抄紙機のプレストップロール用ドクター装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3には従来における抄紙機のプレストップロール用ドクター装置を示してある。この図に示すように、プレストップロール10の表面10aにおける垂線から15度程度の所に、ドクター装置11のドクターブレード12が、刃先12aが下側となるように傾斜した姿勢で押しつけられ、この状態でドクターリングが行われる。ドクターリングに際しては、ロール10の直上に位置するシャワーノズル13からドクターブレード12の刃先12aに水が吹き付けられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように配置されるプレストップロール用ドクター装置においては次のような問題点がある。まず、シャワーノズル13から吹き出された水は、ロール表面とドクターブレード12の上に溜まる。ここにはロール表面から掻き落とされた紙滓等も溜まる。これらシャワー水および紙滓等の異物を除去する必要があるが、従来では、溜まったシャワー水が異物と共にドクターブレードの刃幅方向に流れて、その両端から流れ落ちるに任せていた。
【0004】
このために、プレストップロール用ドクター装置の全体が水浸しの状態となってしまうという欠点があった。また、ドクター装置の下方部分も同様に水浸しの状態になってしまうという欠点があった。
【0005】
この問題を解消するためには、例えば、吸引ノズルを用いて、シャワー水および掻き落とされた異物を吸引除去することが考えられる。しかし、この方法では、吸引ノズル、その駆動機構を配置する必要があるので、装置が大型化し、製造コストも高くなるので、好ましくない。
【0006】
また、図3(B)に示すように、通紙時に、通紙部分(トリム)がドクターバックに乗ってしまい、横から通紙部分を手作業により取り出す必要があり、不便であるという欠点があった。
【0007】
本発明の課題は、簡単な構成の排水処理機構を備えたプレストップロール用ドクター装置を提案することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
図1を参照して説明すると、本発明は、ロール10の表面10aに刃先2aが圧接されるドクターブレード2と、このドクターブレード2を保持したブレードホルダ3と、このブレードホルダ3を支持しているドクターバック4とを有するプレストップロール用ドクター装置1において、前記ドクターブレード2は、その刃先2aの側が上方に位置するように、水平に対して傾斜した姿勢で前記ロールの表面10aに圧接されるようになっており、前記ブレードホルダ3は、前記ドクターブレード2の上面2bに連続して、同一方向に傾斜した傾斜上面3aを備えており、前記ドクターバック4は、前記ドクターブレード2および前記ブレードホルダ3の傾斜上面3aに沿って流下する液体を受け入れる樋4aを備えていることを特徴としている。
【0009】
本発明のドクター装置においては、傾斜配置したドクターブレード2と、ブレードホルダの傾斜上面3aとに案内されて、ドクターブレードの刃先部分およびロール表面に溜まったシャワー水は、図1(A)において矢印で示すように、ドクターバック4の樋4aに流れ落ちて、この樋4aに集められ、排水口4bから所定の部位に排出される。従って、ドクター装置1がシャワー水で水浸しになることがない。また、シャワー水の排水経路は、ドクターブレード、ブレードホルダを利用しているので、装置寸法の増加、製造コストの増加を招くこともない。
【0010】
これに加えて、通紙時における通紙部分(トリム)が、ドクターブレード2、ブレードホルダ3に乗り上げた場合には、図1(B)に示すように、これらの部分を流れるシャワー水によって、通紙部分がドクターバック4の樋4aに洗い落とされる。よって、ドクターバック4の側に乗り上げた通紙部分を手作業により取り除く作業が不要となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、図2を参照して、本発明を適用したプレストップロール用ドクター装置の実施例を説明する。
【0012】
図示のドクター装置20は、第1ドクター装置30および第2ドクター装置40を備えた、所謂、ダブルドクター装置である。第1ドクター装置30は、ドクターブレード32と、これを保持しているブレードホルダ33と、このブレードホルダ33を支持しているドクターバック34とを有している。ドクターバック34はV状に折り曲げられた鋼板から形成されており、その両端にはブラケット35を介してジャーナル軸36が取り付けられ、当該ジャーナル軸36を中心としてドクターバック34は旋回可能である。このドクターバック34の姿勢は、当該ドクターバック34と固定側部材37との間に架け渡したドクターバック38により調整可能である。
【0013】
ドクターブレード32はその刃先32aが上に位置するように水平に対して傾斜配置されており、このドクターブレード32を保持しているブレードホルダ33の上面も同様に傾斜した傾斜上面33aとされている。この傾斜上面33aの後端に連続して、上方に開口したU状断面の樋34aが取り付けられている。この樋34aには、下方に開口した排水口34bが形成されている。
【0014】
次に、第2ドクター装置40は第1ドクター装置30の直下に位置しており、ドクターブレード42と、これを保持しているブレードホルダ43と、ブレードホルダ43を支持しているドクターバック44とを有している。ドクターバック44はV状に折り曲げられた鋼板から形成されており、その垂直板部分45の上端が第1ドクター装置30のドクターバック34の背面に固着され、ジャーナル軸36を中心として、第1ドクター装置30と一体となって旋回可能となっている。
【0015】
ドクターブレード42はその刃先42aが上に位置するように水平に対して傾斜配置されており、このドクターブレード42を保持しているブレードホルダ43の上面も同様に傾斜した傾斜上面43aとされている。この傾斜上面43aの後端に連続して、上方に開口したU状断面の樋44aが取り付けられている。この樋44aには、下方に開口した排水口44bが形成されている。
【0016】
次に、この排水口44bの直下には、結露防止型(蒸気配管付き)のセーブオール50が配置されており、排水口44bから流下する水を回収して、排水管51を介して、所定の回収位置まで案内することが可能となっている。
【0017】
なお、第1ドクター装置30のドクターブレード32の刃先部分の表面側にシャワー水を噴射する第1シャワーノズル61と、このドクターブレード32の刃先部分の裏面側にシャワー水を噴射する第2シャワーノズル62が配置されている。
【0018】
この構成のドクター装置20において、ドクターリング時には、第1、第2シャワーノズル61、62からドクターブレード32の刃先部分に向けて両側からシャワー水が吹き付けられる。上側から吹き付けられたシャワー水は、ドクターブレード32の上面、この後側のブレードホルダの傾斜上面33aに沿って流れて、その後ろ側のドクターバック34の樋34aに集められる。この後は、この樋34aに形成された排水口34bから、下側の第2ドクター装置40の樋44aに流れ落ちる。
【0019】
ドクターブレード32の下側に吹き付けられたシャワー水は、第2ドクター装置40のドクターブレード42の上面、この後ろ側のブレードホルダの傾斜上面43aに沿って流れて、その後ろ側のドクターバック44の樋44aに集められる。この樋44aに集められたシャワー水は、排水口44bから、その直下に配置されているセーブオール50に流れ落ちる。
【0020】
このように、本例のドクター装置20では、シャワー水は、各ドクター装置30、40のドクターブレード32、42、ブレードホルダの傾斜上面33a、43aにより案内されて、ドクターバック34、44に配置した樋34a、44aに集められ、セーブオール50に回収される。
【0021】
よって、ドクター装置20がシャワー水で水浸しになることはない。また、通紙時における通紙部分がドクターブレード32、ブレードホルダ33に乗り上げたとしても、そこを流れるシャワー水によって、ドクターバック34の樋34aに洗い流される。よって、手作業により、通紙部分を取り除く作業も不要になる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のプレストップロール用ドクター装置では、ドクターブレードをその刃先側が上に位置するように傾斜配置し、ブレードホルダの上面も同様な傾斜上面とし、これらによってドクターブレードの刃先に吹き出されたシャワー水をドクターバックまで導き、しかる後に、ドクターバックに配置されている樋に集めるようにしている。
【0023】
従って、本発明によれば、ドクターブレードおよびブレードホルダを利用してシャワー水の排水経路を形成しているので、装置の大型化、製造コスト高を招くことなく、シャワー水の排水機構を構成できる。
【0024】
また、ドクターブレードおよびブレードホルダの上面にシャワー水を流すようにしているので、この部分に乗り上げた通紙部分が、当該部分を流れるシャワー水で樋に洗い流されるので、人手により当該部分に乗り上げた通紙部分を除去する作業が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるドクター装置の排水機構を説明するための説明図および、通紙部分が洗い流される状態を示す説明図である。
【図2】本発明を適用したドクター装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図3】従来のプレストップロール用ドクター装置の欠点を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1、11、20、30、40 ドクター装置
2、12、32 ドクターブレード
2a、12a、32a ドクターブレードの刃先
3、33、43 ブレードホルダ
3a、33a、43a ブレードホルダの傾斜面
4、34、44 ドクターバック
4a、34a、44a 樋
4b、34b、44b 排水口
10 プレストップロール
10a ロール表面

Claims (2)

  1. ロールの表面に刃先が圧接されるドクターブレードと、このドクターブレードを保持したブレードホルダと、このブレードホルダを支持しているドクターバックとを有するプレストップロール用ドクター装置において、
    前記ドクターブレードは、その刃先側が上方に位置するように、水平に対して傾斜した姿勢で前記ロールの表面に圧接されるようになっており、
    前記ブレードホルダは、前記ドクターブレードの上面に連続して、同一方向に傾斜した傾斜上面を備えており、
    前記ドクターブレードおよび前記ブレードホルダは、前記ドクターブレードの前記刃先部分および前記ロールの表面に溜まったシャワー水が、前記ドクターブレードの前記上面および前記ブレードホルダの前記傾斜上面に沿って流下するように、それらの向きが設定されており、
    前記ドクターバックは上方に開口する状態でV状に折り曲げられた鋼板から形成されており、
    前記ドクターバックは、前記ドクターブレードの前記上面および前記ブレードホルダの前記傾斜上面に沿って流下する液体を受け入れる樋として機能することを特徴とするプレストップロール用ドクター装置。
  2. ロールの表面に刃先が圧接されるドクターブレードと、このドクターブレードを保持したブレードホルダと、このブレードホルダを支持しているドクターバックとを有するプレストップロール用ドクター装置において、
    前記ドクターブレードは、その刃先側が上方に位置するように、水平に対して傾斜した姿勢で前記ロールの表面に圧接されるようになっており、
    前記ブレードホルダは、前記ドクターブレードの上面に連続して、同一方向に傾斜した傾斜上面を備えており、
    前記ドクターブレードおよび前記ブレードホルダは、前記ドクターブレードの前記刃先部分および前記ロールの表面に溜まったシャワー水が、前記ドクターブレードの前記上面および前記ブレードホルダの前記傾斜上面に沿って流下するように、それらの向きが設定されており、
    前記ドクターバックは、前記ドクターブレードの前記上面および前記ブレードホルダの前記傾斜上面に沿って流下する液体を受け入れる樋を備えており、
    前記ドクターバックは、上方に開口する状態でV状に折り曲げられた鋼板から形成され、V形の断面形状をしており、
    前記樋は、前記ブレードホルダの前記傾斜上面の後端に連続して、上方に開口したU状断面のものであり、V形の断面形状をした前記ドクターバックの内部に取り付けられていることを特徴とするプレストップロール用ドクター装置。
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