JP4132263B2 - ディスクブレーキのブレーキパッドの支持機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、ディスクブレーキのブレーキパッドの支持機構、具体的にはパッドクリップに関するものであり、ブレーキパッドとサポート間で生じるラトル音を低減しながら、ブレーキパッドとサポート間の摺動抵抗が大きいことに伴って生じる、ブレーキの引き摺りトルクを軽減することができるものである。
【0002】
【従来の技術】
ブレーキパッドの左右両端の凸部とサポートの凹部(摺動溝)との間で生じるラトル音を低減するために、上記の凸部にU字状のパッドクリップを嵌めて、これを当該凸部と上記凹部との間に介在させ、パッドクリップを介して、凸部を凹部に弾力的に支持させることが従来知られている。このパッドクリップの形状、構造については種々のものがあり、その一例が特開平9−229112号公報に記載されている。このような従来のパッドクリップの基本的な構造は図7に示す如くであり、このパッドクリップ10は、サポートSの凹部11に嵌め込まれていて、全体としてこの当該凹部に着脱自在に固定された状態になっており、対向する両片10a、10bのうちの一方(下方)の片10aだけがフリーであって、これがバネ作用部として機能するものである。この一方の片、すなわち下方の弾性片10aの弾性力によってブレーキパッド12の凸部12aを他方(上方)の片10bに圧接させて、凸部12aの凹部11に対するガタツキによるラトル音を防止している。弾性片による圧接力が不足のときは、上記のガタツキによるラトル音を生じるので圧接力を大きくせざるを得ず、他方、この圧接力が大きいと、上記凸部12aの摺動抵抗が大きく、それだけ、ブレーキの引き摺りトルクが大きくなることが避けられないので、その兼ね合いが微妙で難しいという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解消することを目的とし、そのために、ブレーキパッドの制動面と平行な平面内において、サポートの凹部内で移動することによって、パッドクリップの弾性片によるブレーキパッドの圧接力が変化するようにパッドクリップの構造を工夫することを、その課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題解決のために、本発明のディスクブレーキのブレーキパッドの支持構造は、パッドクリップの形状を略J字状にし、当該J字状のパッドクリップをサポートの凹部に、ブレーキパッドに車両の振動等の外力が作用したとき、このブレーキパッドの制動面と平行な平面内で(若干の)回動可能なフローティング状態で装着している。又、上記パッドクリップの一方の弾性片の先端部を上記ブレーキパッドの凸部の一方の面に当接させ、他方の片の先端を凸部の他方の面に当接させている。、上記パッドクリップの回動に伴い、上記両片同士の間隔が変化する。そして、このパッドクリップにより上記ブレーキパッドの凸部を上記凹部の内面に圧接する力(圧接力、押し付け力)が変化する
【0005】
【作 用】
上記手段の作用を、図1、図2を参照しながら説明する。
サポートSの凹部3にJ字状のパッドクリップ1がフローティング状態に装着されており、当該J字状のパッドクリップ1の一方(下方)の片、すなわち弾性片1aの先端部がブレーキパッド2の凸部2aの一方の面(下面)に当接し、他方(上方)の片1bの先端を、上記凸部2aの他方の面(上面)に当接して、凸部2aを支持している。図1、或いは図2(A)においては、車両の振動等の外力がブレーキパッド2に作用していないので、パッドクリップ1の弾性復元力で、両片1a、1bの先端間の間隔Dが最小になるように復元している。この復元時にパッドクリップ1は反時計回りに若干回動して、同図の状態になっている。この状態から、ブレーキパッド2に車両の振動等の外力が作用すると、凸部2aがパッドクリップ1の上記他方の片1bを押して、これをサポートSの凹部3の内面(上面)に圧接された状態、すなわち図2の(B)の状態になる。この状態での一方の片1aの先端と、他方の片1bの先端との間隔が、図2の(A)の状態における同間隔Dから拡開されて大きな間隔D1になっている。このとき、パッドクリップ1が図2(A)から時計方向に若干回動して、その他方の片1bが上記凹溝の内面に圧接されているのであるから、一方の片、すなわち弾性片1aが大きく弾性変形して、上記間隔が拡開されていることになる。従って、ブレーキパッドに車両の振動等の外力が作用した時に弾性片1aが大きく弾性変形して、ブレーキパッド2の凸部2aに対する圧接力が増大することになり、それだけ、上記の凸部2aの凹部3に対するガタツキによるラトル音が防止される。他方、車両の振動等の外力が作用していないときは、上記一方の片1aは図2の(A)のように弾性復元して、その押し付け力は減少しているから、他方の片1bに対する押し付け力は微小になっている。従って、車両の振動等の外力が作用していない時は、ブレーキパッドは十分に戻され、引き摺りトルクは殆どゼロになる。
【0006】
【実 施 例】
図3、図4、図5を参照しつつ一実施例を説明する。
サポートSの凹部3にステンレス製の支持部材30のコの字部31を嵌着させ、その係止部30a、30b及び30cでサポートSの端部を、図3、図5に示すように弾性挟持させて、サポートSに支持部材30を固定している。支持部材30のコの字部31の内側に本発明のJ字状のパッドクリップ1を図1と同様にして装着している。支持部材30の舌片をU字状に折り返して形成したバネ部32を、ブレーキパッド2の裏板2bの左右の端部エッジ(凸部2aの端部エッジ)に当接させて、ブレーキパッド2を戻し方向に付勢している。J字状のパッドクリップ1は、一対の係止片33によって抜け止めされるので、結果的に、支持部材30のコの字部31(サポートSの凹部3)内に支障なく保持される。すなわち、パッドクリップ1の両側に係止片33を設けて、これをサポートSの両側面に緩く係止させて上記パッドクリップ1をサポートSの凹部3内に支障なく保持させることができる(図6参照)。
このように、J字状のパッドクリップ1が、サポートSの凹部3内にフローティング状態に保持されるので、図2(A)、図2(B)に示すように動作して、その弾性片1aで、ブレーキパッドに振動等の外力が作用していない時は極めて弱く、外力が作用した時には極めて強く、ブレーキパッド2の凸部2aを付勢する。
【0007】
【効 果】
パッドクリップの形状をJ字状にし、これをフローティング状態でサポートの凹部に装着して、これによってブレーキパッドの凸部を弾性的に支持させるだけの単純な構成によって、ブレーキパッドのラトル音を効果的に低減できると共に、ブレーキパッドの凸部とサポートの凹部間の摩擦抵抗の増大に伴って生じるブレーキの引き摺りトルクを略完全に解消することができる。
又、本発明のJ字状のパッドクリップを、従来の支持部材のパッド戻し機構と併用することも可能であり、これによって、ブレーキパッドの支持機構を特に複雑にすることなしに、上記の本発明特有の効果を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるブレーキパッドの支持機構において、ブレーキパッドに振動等の外力が作用していない状態を示す正面図である。
【図2】(A)図1に示すブレーキパッドの支持機構において、ブレーキパッドに外力が作用していない状態を示す正面図、(B)同ブレーキパッドの支持機構において、ブレーキパッドに外力が作用した状態を示す正面図である。
【図3】本発明における一実施例の正面図である。
【図4】図3におけるA−A断面図である。
【図5】図3の実施例における戻しバネ(バネ部)のサポートへの装着状態を示す断面図である。
【図6】(イ)本発明による一つの形態のパッドクリップの正面図、(ロ)前記(イ)のパッドクリップの側面図である。
【図7】従来のパッドクリップを用いたブレーキパッドの支持機構である。
【符号の説明】
1・・・本発明のフローティングなパッドクリップ(パッドクリップ)
1a・・・パッドクリップの一方の片(弾性片)
1b・・・パッドクリップの他方の片
2・・・ブレーキパッド
2a・・・ブレーキパッドの凸部
3・・・サポートの凹部
30・・・支持部材
30a、30b、30c・・・支持部材の係止片
31・・・支持部材のコの字部
32・・・バネ部
33・・・パッドクリップの係止片
S・・・サポート
D・・・振動等の外力がブレーキパッドに作用していない状態におけるパッドクリップの両片1a、1bの先端の間隔
1・・・振動等の外力がブレーキパッドに作用してパッドクリップの両片1a、1bの先端が拡開された間隔

Claims (1)

  1. パッドクリップの形状を略J字状にし、当該J字状のパッドクリップをサポートの凹部に、ブレーキパッドに外力が作用したとき、このブレーキパッドの制動面と平行な平面内で回動可能なフローティング状態に装着し、上記パッドクリップの一方の弾性片の先端部を上記ブレーキパッドの凸部の一方の面に当接させ、このパッドクリップの他方の片の先端をブレーキパッドの凸部の他方の面に当接させており、このパッドクリップの回動に伴い、上記両片同士の間隔が変化し、このパッドクリップにより上記ブレーキパッドの凸部を上記凹部の内面に圧接する力が変化するディスクブレーキのブレーキパッドの支持機構。
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