JP4132191B2 - 抵抗膜型透明タッチパネル用電極部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は特に透明性とペン慴動耐久性とが改良された抵抗膜型透明タッチパネル用電極部材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
抵抗膜型透明タッチパネル(以下単にタッチパネルと呼ぶ)は、タッチ面をペン(ペン先が円弧状のポリアセタール樹脂により作製されている入力用ペン)等でタッチし慴動して必要な情報を入力する電子情報デバイスの一つであるが、これを液晶ディスプレイ等と組合せてその入力情報を画面に表示して、それを読み取る手段として多用されてきている。
【0003】
タッチパネルの構成は、タッチ側の透明基体の一面に透明抵抗膜が設けられた電極部材と、ディスプレイ側の透明基体の一面に透明抵抗膜が設けられた電極部材とをその各々の抵抗膜面を絶縁スぺーサ(微細ドット)を介して端子と共に対向配置してなる。ここでタッチ側の透明基体は、軽いタッチでもディスプレイ側の該抵抗膜に容易に忠実に接してスイッチングする必要があるので、ディスプレイ側の該基体よりも薄くて、かつ弾力的なシート(厚さ約0.1〜0.3mm程度)状物が使用される。ディスプレイ側の該基体は逆に硬直的である必要があるので、硬くて厚い板状体(厚さ0.5〜1.5mm程度)が使用される。
【0004】
タッチパネルに必要な透明性と入力の為のペン慴動に対する耐久性の改良は、一つの永遠的なテーマであり、常に向上が求められている。その改良技術には種々あり、特許出願公報でも知ることができる。例えば本出願人の出願に係わるものとして特開平8−64067号公報と、他に特開平8−132554号公報が挙げられる。これは基本的には、いずれも透明基体上に酸化ケイ素薄膜層と透明抵抗膜とを順次積層した2層よりなるタッチパネル用透明電極部材を開示しているものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記各号公報は、従来からの透明基体上に直接透明抵抗膜を設けた電極部材とは、透明性、ペン入力慴動耐久性においてかなり向上するものとして評価され、実用もされている。ところが、最近更なる改良の要求が強くなり、早急に解決すべき大きなテーマとなってきている。そこで本発明者らはより改良する為に、その技術開発に鋭意努力し、種々検討してきた。その結果ここに新たな手段を見出すことができ、本発明に到達した。その手段は下記のとおりであり、これによって更に大きく改良することが可能になった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明において請求項1は透明基体(1)上に、透明導電性金属酸化物からなる抵抗膜層(2)、二酸化ケイ素よりなる薄膜層(3)及び透明導電性金属酸化物からなる抵抗膜層(4)とが、
透明基体(1)、透明導電性金属酸化物からなる抵抗膜層(2)、二酸化ケイ素よりなる薄膜層(3)透明導電性金属酸化物からなる抵抗膜層(4)の順で積層されてなる抵抗膜型透明タッチパネル用電極部材である。また、請求項2〜7は該請求項1に従属する発明として提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
まず、本発明において、図1に示した透明基体(1)は、タッチ側又はタッチ側とディスプレイ側の基体を指すが、前記したようにタッチ側では、柔軟で弾力的である必要がありこれは一般に厚さ約0.1〜0.3mm程度の透明な熱可塑性樹脂シートであり、ディスプレイ側では硬直で板状の厚さは約0.5〜1.5mm程度の透明な熱可塑性樹脂板、熱硬化性樹脂板又はガラス板である。ここで透明性は全光線透過率で100%に近い程良いがタッチパネルとしては少なくとも80%以上であることが望まれる。
【0009】
また、前記熱可塑性樹脂は、透明性の他に耐熱性、耐薬品性、寸法安定性、耐屈曲性等が優れていることも必要であり、このような観点から見て例示すると、次のような樹脂が対象になる。ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、非晶性環状ポリオレフィン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアクリレート等が挙げられる。
【0010】
また、熱硬化性樹脂は三次元構造を有するエポキシ系、ポリエステル系、アクリル系、アリルフタレート系等の樹脂が例示できる。
【0011】
次に、図1に示したように、前記透明基体(1)に中間層としての二酸化ケイ素薄膜層(3)の両サイドに設けられる抵抗膜層(2)と(4)を形成する透明導電性金属酸化物について説明する。
まず、該金属酸化物が特に選択される理由は次の通りである。
まず、タッチパネルとして必要な電気抵抗として、高抵抗では電磁誘導の影響が大きく、逆にあまりにも低抵抗では、消費電力が大きく望ましくない。その点では該金属酸化物は、他の透明導電体と比較して、最も適性な抵抗値を有している。そして、重要な透明性に関しても他のものより優れており、しかもこれを中間にかつ二酸化ケイ素による薄膜という構成をとることでこの透明性はより大きく相乗効果となって発現するということからである。
【0012】
前記、金属酸化物は具体的には、酸化インジウム、二酸化スズ、酸化亜鉛、酸化カドミウム、インジウム酸化カドミウム(Cd/In2O4)、酸化スズカドミウム(Cd2SnO4)、酸化スズ亜鉛(Zn2SnO4)、酸化インジウムを主成分として二酸化スズ又は酸化亜鉛または酸化ガリウムをドーピングして焼結した焼結体が挙げられる。これらの中でも、インジウム元素を含むものが好ましく、更には後者の3種のドーピングによる焼結体が好ましい。特に、酸化インジウムを主成分として二酸化スズをドーピングして焼桔したものは、ITOとして良く知られている。
尚、抵抗膜層(2)と(4)とは、同種の前記導電性金属酸化物によることが好ましいが、異種であってもかまわない。
【0013】
本発明は前記3種の各膜層により、かつ該層(2)(3)(4)の順で積層されるという構成をとることによって、透明性(特に波長450〜600nm光に対しての反射防止特性)とペン入力摺動耐久性(以下ペン耐久性と呼ぶ)がより向上する。従って、いずれかの膜層が欠けても、またその構成の順序が変わっても、更なる改良効果は得られない。つまり三者不可避的に結合し、相乗して効果を発現していることになるが、個々についての作用については次の通りである。
【0014】
まず、中間の二酸化ケイ素薄膜層(3)は透明性の他にペン耐久性(これはペン入力動作時に起こるタッチ側の透明抵抗膜とディスプレイ側の透明抵抗膜との間のスリップによる該抵抗膜の摩耗とか、クラックをいう)改良に寄与する。また他に、該薄膜層が電気的に導通して、下層の抵抗膜層(2)と上層の抵抗膜層(4)とが短絡する。一般に二酸化ケイ素薄膜(3)は電気絶縁性を有しているが、本発明において導電性を有しているということが、新たな事実として確認されたことは驚くべき事である。逆にこの事が確認されたことでより大きな透明性を得ることが可能にもなったといえる。この導電性の発現の理由は明らかではないが、薄膜形成時に、透明導電性金属酸化物が二酸化ケイ素薄膜層の内部に拡散侵入し、そこで固定され、導電性が付与されたのではないかと考えられれる。ここでの前記薄膜層(3)の厚さ範囲は約200〜1000Å、好ましくは400〜800Å程度が例示できる。これはこの範囲で前記にいう導電性を持って透明性とペン慴動性とをより効果的に向上せしめることができるからである。
【0015】
一方、下層の透明導電性金属酸化物による抵抗膜層(2)は、勿論、全体の透明性向上に寄与するが、上層の該酸化物による抵抗膜層(4)の膜厚よりも厚くして構成すると、次のような別の効果も得られる。つまりこの抵抗膜層(2)の膜厚を厚くしておけば、タッチパネルとして必要な電気抵抗は、該抵抗膜層で得られているので、仮に抵抗膜層(4)が抵抗膜層(2)よりもかなり薄い膜厚でも、また厚み精度が悪くとも、タッチパネルとしての機能は問題なく発揮するという効果を得ることができる。このような相加的効果も考えて、該抵抗膜(2)の膜厚は200〜1000Åの範囲、好ましくは400〜900Åで成膜されるようにして、上層の抵抗膜層(4)よりも厚い方が良い。
【0016】
一方、上層の透明導電性金属酸化物による抵抗膜層(4)は、主として透明性への寄与の他、ペン等によるタッチ入力動作に対して、軽タッチでも瞬時に、正確に対向する電極部材の抵抗膜に電流を流す働きを有している。
ここで、該膜層の膜厚範囲は前記したように、下層の抵抗膜層(2)の膜厚よりも薄くしても良いことから、50〜400Å、好ましくは100〜300Åに設定すると良い。
【0017】
尚、前記抵抗膜層(4)の50〜400Åの膜厚は、前記した作用効果のより有効な発現のために望まれるものであるが、その膜厚内での抵抗分布精度については、下層の抵抗膜層(2)よりも悪くても良い。つまり、多少のばらつきがあっても、全体の抵抗分布には殆ど影響しない。これは、前記するようにタッチパネルとして必要な電気抵抗をあえてこの抵抗膜層(4)で付与することもないからである。つまり該抵抗膜層(4)の作用効果は、主として全体の透明性向上にあり、入力電気信号は単にタッチ接点で、中間の薄膜層(3)を経由して、対向する抵抗膜に接して伝われば良いということになる。
【0018】
次に前記抵抗膜型透明タッチパネル用電極部材の製造方法について説明する。該製造方法については種々の方法があるが、その中で好ましい1つの形態として請求項7に記載する製造方法がある。
これは、全光線透過率(以下Ttと略す)80%以上のシート状熱可塑性樹脂を透明基体(1)とし、これの片面にまず下層の抵抗膜層(2)として酸化インジウム又は酸化インジウムを主成分とする二酸化スズ、酸化亜鉛又は酸化ガリウム(Ga2O3)との焼結体のいずれかをターゲットとして、これをスパッタリング法によって膜厚200〜1000Åになるようにスパッタ蒸着し、薄膜を形成する。このスパッタリングに際しては、前記基体種類によってはその片面を前処理する場合もある。その前処理は一般に行われるグロー放電処理とか、コロナ放電処理等の物理的方法が利用されるが、これに限定されるというものではない。尚、ここで得られる薄膜の電気抵抗は表面抵抗で約200〜500Ω/sq.であり、これはタッチパネルとして電気的特性を十分に具備している値である。
【0019】
前記スパッタリング法は一般に知られている薄膜形成手段における物理的方法の中の1つである。これは他の真空蒸着法とか、イオンプレーティング法に比較して、低温で且つ迅速に薄膜が形成できる点で有利である。勿論スパッタリング法に限定されず、他の前記2方法が使用されないということではない。
尚、スパッタリング法は一般的条件に従って行えば良いが、低ガス(ガスはアルゴン等の不活性ガス)圧スパッタ、つまり10-1〜10-2トール以下の低圧でのスパッタリングが薄膜の純度も、形成速度も速いので望ましい。低ガス圧スパッタは、3極DCグロー放電、2極RFグロー放電、マグネトロン、イオンビームの各スパッタが相当するが、就中より好ましいのは、マグネトロンスパッタである。
尚、スパッタリング時の真空構内の温度上昇はせいぜい100℃前後以下である。
【0020】
次に、前記得られた抵抗膜層上に、膜厚200〜1000Åの二酸化ケイ素薄膜層を設ける。この方法としては、ペルヒドロポリシラザンの溶液又はアルコキシシランを含むゾル−ゲル液のいずれかをコーティングし、そしてそのコーティング物を分解処理(必要的)して、該二酸化ケイ素薄膜層を形成し積層する。
【0021】
そこでまずペルヒドロポリシラザンの溶液による形成方法から説明する。
まず、ペルヒドロポリシラザンは、例えば特開平9−157594号公報でも開示されているように、基本的には化1にて示すように分子量が約100〜50,000程度の直鎖状のポリ窒化シリコーンであるが、これが部分的に又は全部環化して、環状ポリ窒化シリコーンであったりもする。いずれでも分解処理によって二酸化ケイ素薄膜に変化する。
【0022】
【化1】
【0023】
前記ペルヒドロポリシラザンのコーティングは、例えば次のようにして行われる。
まず、コーティングしやすい溶液濃度になるように、ペルヒドロポリシラザンの所定量を有機溶媒に溶解する。有機溶媒としては一般に脂肪族又は芳香族の炭化水素であるが、この選択に際しては使用する透明基体自身と親和性のないものであることが好ましい。
次に、該溶液をコーティングするが、精度良く、効率的にコーティングするためには、スピンコーティング法か、ロールコーティング法が好ましい。コーティングしたら予め有機溶媒を蒸発除去して、その後に、分解処理するのが良い。蒸発除去されたら、該ポリシラザンが薄膜状で付着しているので、次にこれを反応促進剤と水分の存在する下に、常温〜450℃で所定時間放置する。分解して、硬質で透明な二酸化ケイ素薄膜に変化する。
【0024】
反応促進剤は、例えばパラジウム錯体、金属アルコキシド、有機アミン又は/及び脂肪族モノカルボン酸が例示できる。ここで全2者の該促進剤は高湿領域での加熱が必要であるが、後2者は100℃以下常温でも分解するので、後2者による反応促進剤の使用が好ましい。
尚、有機アミンは、例えばC1〜C7のアルキル基を有する第1〜第3級の脂肪族アミン、脂肪族モノカルボン酸は、例えばC1〜C7のアルキルモノカルボン酸の有機酸が挙げられる。
【0025】
一方、アルコキシシランを含むゾル−ゲル液による二酸化ケイ素薄膜形成方法は次の通りである。まずアルコキシシランは、例えばアルコキシ基を2〜4個結合する多官能アルコキシシランで、具体的にはジメトキシジメチルシラン、トリメトキシメチルシラン、テトラメトキシシラン、ジエトキシジエチルシラン、トリメトキシエチルシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。そしてこれをゾル−ゲル液にするためには、水とアルコール類と酸触媒(塩酸など)との混合溶液を使って、該アルコキシシランを所定のモル比でもって混合して調整する。例えば、使用するアルコキシシランに対して、水6モル、脂肪族アルコール(C2〜C4)6モル、塩酸0.01〜0.03モルの混合液である。このゾル−ゲル液は販売もされている。例えば三菱化学株式会社製の「MKCシリケート」、コルコート株式会社製の「コルコートN−103X」がある。
【0026】
前記ゾル−ゲル液のコーティングは、前記ペルヒドロポリシラザンの場合と同様のコーティング方法によって行う。コーティングしたら、所定時間、常温放置して、溶媒を蒸発せしめた後、所定温度(一般に100℃前後)で所定時間加熱する。二酸化ケイ素に変化し、必要な膜厚をもって薄膜層が前記抵抗膜層(2)面に、強固に密着し形成される。
尚、二酸化ケイ素薄膜層は、二酸化ケイ素などをスパッタリングすることでも形成できるが、抵抗膜層に対して、抵抗値分布がばらつくなどの悪影響をもたらし、タッチパネル用途として好ましく作用しないので十分とはいえない。
【0027】
そして、前記二酸化ケイ素薄膜層の形成が終ったら、最後にもう一度前記下層の抵抗膜層の形成と同じ方法で、酸化インジウム又はこれを主成分とする前記焼結体のいずれかをターゲットにして、スパッタリングし、膜厚50〜400Åになるように蒸着し、3層の積層を行う。ここでの抵抗膜は下層の抵抗膜と同じターゲットによって形成するのが良いが、異なっていても良い。
また、ここでのスパッタリングに際しては、二酸化ケイ素薄膜層を何らかの前処理をすることなく、直接にスパッタ蒸着し形成することができるが何らかの前処理をする必要はないという意味ではない。
【0028】
尚、本発明における抵抗膜型透明タッチパネル用電極部材は、主としてタッチ側の電極部材として使用することでより大きな効果を発現するが、ディスプレイ側の電極部材にも使用することもできる。この場合には、特に透明性においてより向上する。
【0029】
次に比較例と共に、実施例によって更に詳述する。
【0030】
【実施例】
尚、本文中を含め該例でデータとして記載する透明性、ペン耐久性、電気抵抗値は次によって求めた値である。
(a)透明性:JIS K 7105に基づく、日本電色工業株式会社製のデジタル濁度計「NDH−20DH型」で測定した全光線透過率(%)(以下Ttと略す)をもっていう。
(b)ペン耐久性:タッチパネルを組み立て、ポリアセタール製のペン先(R=0.8mm)へ500gの加重を行い、タッチ側の同位置を往復摺動する。摺動距離は50mmで、片道1回と数え、これを5〜10〜20万回行う。そして、所定回数に達したら、次の方法によって摺動部で発生した電位差ΔVを測定し、印加電圧(5V)で除して、耐久性として%で示す。この値が小さいほど、ペン耐久性に優れていることになる。
(c)電気抵抗値:スパッタ蒸着して得られた抵抗膜の両端に銀ペースト印刷による電極端子を設け、この両端子にテスタを連結し、その時表示された抵抗値をΩ/sq.(表面抵抗)に換算して示した。
【0031】
(実施例1)
特に全処理は行わない厚さ175μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(Tt=88.8%)(以下PETフィルムと呼ぶ)の片面に、まず次の条件にて酸化インジウムに二酸化スズをドーピングして焼結した焼結体(以下ITOと呼ぶ)をターゲットとしてスパッタ蒸着し、下層となる抵抗膜層を形成した。
・スパッタリング方式:直流マグネトロン方式
・希ガス :酸素を8%含有するアルゴンガス
・真空構内の希ガス圧:2×10-3Torr
・投入電力 :0.8kW
・スパッタリング時間:30sec
前記条件にて形成されたITO抵抗膜層の膜厚は600Åで、電気抵抗値は300Ω/sq.であった。
【0032】
次に前記ITO薄膜層に、まずペルヒドロポリシラザン(東燃株式会社製の「東燃ポリシラザンN−V110」)の5重量%をm−キシレンに溶解した溶液をスピンコータにてコーティング(4000rpmで10秒間)し、次にm−キシレンを蒸発除去した。次にこのコーティング面を水蒸気の共存するトリエチルアミン蒸気に接触した後、95℃、RH80%の雰囲気下に5min放置した。
これによって、ペルヒドロポリシラザンは完全に二酸化ケイ素に変化した。形成された該薄膜の膜厚は800Åであり、極めて均一であった。
【0033】
次に、前記二酸化ケイ素薄膜層上に、次の条件にてITOをターゲットとしてスパッタ蒸着し、上層となる抵抗膜層を形成した。
・スパッタリング方式:直流マグネトロン方式
・希ガス :酸素を5%含有するアルゴンガス
・真空構内の希ガス圧:2×10-3Torr
・投入電力 :0.8kW
・スパッタリング時間:8sec
スパッタ蒸着されたこの層のITO抵抗膜層の膜厚は150Åであり、電気抵抗値は1.5kΩ/sq.であった。そして、この3層からなるPET電極フィルム(タッチ側用)は青みを増し、Tt=93.0%であり、高い透明性を有していた。
【0034】
(実施例2)
透明基体として、厚さ0.1mmの非晶性ポリオレフィンフィルム(日本合成ゴム株式会社製「アートン」Tt=92.5%)を使用し、これにまず下層となる抵抗膜層を形成するが、ここでのスパッタリング条件は、実施例1における場合と同一条件とした。得られたITO抵抗膜層の膜厚は780Åであった。
【0035】
次に、前記抵抗膜層の上にコルコート株式会社製のゾル−ゲル液「コルコートN−103X」(固形分濃度2%)をロールコーティングし、溶媒を蒸発後、60℃で5時間加熱した。その結果、硬質の二酸化ケイ素膜に変わり、その膜厚は700Åであり、実施例1のペルヒドロポリシラザンによる二酸化ケイ素薄膜と外観上差はなかった。
【0036】
最後に、前記二酸化ケイ素薄膜上に実施例1と同じ条件でITOのスパッタリングを行い、膜厚180ÅのITO抵抗膜層を形成した。
前記による3層からなる非晶性ポリオレフィン電極フィルムは、タッチ側の電極部材として使用するが、これのTtは94.5%であった。
【0037】
(実施例3)
厚さ0.5mmのポリカーボネート板(Tt=90.0%)を透明基体として、この片面に熱硬化型シリコーン樹脂を5μmコーティングした。そして実施例1に準じて、順次下層の抵抗膜層、中間の二酸化ケイ素薄膜層、上層の抵抗膜層を形成し、積層して、ディスプレイ側の電極板を作成した。
かくして得られた3層よりなるポリカーボネート電極板のTtは94.4%であった。
【0038】
次に前記ポリカーボネート電極板の電極面に透明なアクリル系感光性樹脂を使って、微細ドット(直径40〜50μm、高さ7μm、ドット間ピッチ2mm)を植設し、そして、これに実施例1で得られたPET電極フィルムを電極面をあわせて、周囲に内設した両面テープ(厚さ15μm、幅3mm)で接着固定し、パネル化した該パネルのTtは88.1%であった。
尚、タッチ側からのタッチによる電圧変化を引き出す為に、両電極から導線を設けておいた。
【0039】
そして、前記タッチパネルについて、ペン耐久性を調べた結果、20万回時点でも摺動部で発生した電位差は0.025V(印加電圧の0.5%)で、この時点でペン摺動試験は中止したが、ペン耐久性は更に高耐久性を有していることになる。
また、このタッチパネルを使って、タッチ入力できるようにして液晶ディスプレイと組合せて、ペンにて入力動作を試したところ、軽タッチでもまったく問題はなく、その入力情報が瞬時に、正確に、鮮明に画面に映し出された。このことは二酸化ケイ素薄膜層が接点で容易に電気的に導通していることを証明していることにもなる。
【0040】
(実施例4)
厚さ0.7mmのガラス板(Tt=92.5%)に、実施例1でスパッタリング時間を15secとし、それ以外は同一条件にてITOをスパッタリングして、ITO抵抗膜層を設けた。該膜層の膜厚は300Åであった。
そして該抵抗膜面に、実施例3と同じ微細ドットを植設した。そしてこれに実施例2で得られた非晶性環状ポリオレフィン電極フィルムを電極面をあわせて、周囲に内設した両面テープ(厚さ15μm、幅3mm)で接着固定して、ガラス板をディスプレイ側電極板とするタッチパネルに組立てた。該パネルのTtは86.5%であった。
尚、タッチ側からのタッチによる電流変化を引き出す為に、両電極に端子を設けておいた。
【0041】
そして、前記タッチパネルについてペン耐久性を調べた結果、500g負荷で20万回時点でも、摺動部で発生した電位差は0.3V(印加電圧の0.6%)であった。実施例3と同様にペン耐久性は更に高いレベルにあることがわかる。また、このタッチパネルを使って、実施例3と同様に液晶ディスプレイと組合せてペン入力動作を行ったが、同様に問題なく機能することも確認した。
【0042】
(比較例1)
実施例1においてまず175μmのPETフィルムの片面に次の条件で二酸化ケイ素をターゲットとしてスパッタ蒸着した。
・スパッタリング方式:高周波スパッタリング方式
・希ガス :酸素を2%含有するアルゴンガス
・真空構内の希ガス圧:5×10-3Torr
・投入電力 :2.0kW
・スパッタリング時間:20min
これにより、蒸着された二酸化ケイ素を主体とする酸化ケイ素薄膜の厚さは 500Åであった。
【0043】
次に前記酸化ケイ素薄膜層上に次の条件でITOをスパッタ蒸着した。(実施例1の下層形成条件と同じ)
・スパッタリング方式:直流マグネトロン方式
・希ガス :酸素を5%含有するアルゴンガス
・真空構内の希ガス圧:2×10-3Torr
・投入電力 :0.8kW
・スパッタリング時間:16sec
これによって得られたITO抵抗膜層の膜厚は320Åであった。また、この2層によりなるPET電極フィルムのTtは88.5%であった。
【0044】
一方、実施例3において作製したと同じ条件にて、まずポリカーボネート電極板を作製し、同様に微細ドットを植設し、これに前記PET電極フィルムの電極面をあわせて、周囲に内設した両面テープで接着固定してタッチパネルを作製した。該パネルのTtは84.2%であった。
尚、同様に両電極には電流引き出しの為の端子を設けておいた。
【0045】
そして、前記タッチパネルについてペン耐久性を調べた結果、20万回での電位差は0.12V(印加電圧の2.4%)であった。なお、1.0%を超えたのは、12万回であった。
【0046】
(比較例2)
実施例1におけるPETフィルムと同じ該フィルムを使って、まずこの片面をグロー放電処理(前処理)した後、この面に実施例1で行ったと同じ条件でペルヒドロポリシラザンのコーティング、二酸化ケイ素への化学変化を行って、二酸化ケイ素薄膜層を形成した。該薄膜の膜厚は490Åであった。
【0047】
次に、前記二酸化ケイ素薄膜層上に実施例1で行った下層のITO抵抗膜層形成条件と同一条件にてITOをスパッタ蒸着した。このときのITO抵抗膜層の膜厚は280Åであった。
ここでの2層よりなるPET電極フィルムのTtは90.5%であった。
【0048】
一方、実施例4で用いたのと同じ条件で、ITO抵抗膜層を片面に持つガラス電極板を作製し、同様にして、この電極面に微細ドットを植設した。そして前記PET電極フィルムをこのガラス電極板とあわせて、同様に両面テープにて接着固定して、両電極からの引出し用端子の結合と共に、タッチパネルとして組立てた。このタッチパネルのTtは82.1%であった。
【0049】
そして前記タッチパネルについて、ペン耐久性を調べた結果、20万回での電位差は0.09V(印加電圧1.8%)の変化があった。なお、1.0%を超えたのは13万回であった。
【0050】
【発明の効果】
本発明による透明電極部材が抵抗膜型タッチパネルの少なくともタッチ側電極部材として使用されることによって、従来からのタッチパネルよりも特に透明性とペン耐久性が改良され、より高品質で高性能の該タッチパネルを提供することが可能になった。
尚、これらの効果発現は、中間層としての二酸化ケイ素薄膜層が、タッチ接点で電気導通作用をするということが、新たに見出されたことにもよる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるタッチ側電極部材の構成断面図である。
【符号の説明】
1.透明基体
2.抵抗膜層
3.二酸化ケイ素薄膜層
4.抵抗膜層
Claims (7)
- 透明基体(1)上に、透明導電性金属酸化物からなる抵抗膜層(2)、二酸化ケイ素よりなる薄膜層(3)及び透明導電性金属酸化物からなる抵抗膜層(4)とが、
透明基体(1)、透明導電性金属酸化物からなる抵抗膜層(2)、二酸化ケイ素よりなる薄膜層(3)透明導電性金属酸化物からなる抵抗膜層(4)の順で積層されてなることを特徴とする抵抗膜型透明タッチパネル用電極部材。 - 前記抵抗膜層(4)の膜厚が前記抵抗膜層(2)の膜厚より薄いことを特徴とする請求項1に記載の抵抗膜型透明タッチパネル用電極部材。
- 前記抵抗膜層(2)及び(4)を形成する透明導電性金属酸化物が、酸化インジウム又は酸化インジウムを主成分とする二酸化スズ、酸化亜鉛又は酸化ガリウムとの焼結体のいずれかである請求項1に記載の抵抗膜型透明タッチパネル用電極部材。
- 前記抵抗膜層(2)の膜厚が200〜1000Åである請求項1に記載の抵抗膜型透明タッチパネル用電極部材。
- 前記薄膜層(3)の膜厚が200〜1000Åである請求項1に記載の抵抗膜型透明タッチパネル用電極部材。
- 前記抵抗膜層(4)の膜厚が50〜400Åである請求項1に記載の抵抗膜型透明タッチパネル用電極部材。
- 前記透明基体(1)が全光線透過率80%以上のシート状熱可塑性樹脂よりなる請求項1に記載の抵抗膜型透明タッチパネル用電極部材。
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