JP4131931B2 - 往復動型圧縮機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば往復動ピストン、揺動ピストン(ロッキングピストン)等をシリンダ内で往復動させることにより、空気等の気体を圧縮するのに好適に用いられる往復動型圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、往復動型圧縮機としては、例えば往復動ピストン、揺動ピストン等を用いた各種の圧縮機が知られており、これらの圧縮機は、例えば電動モータ等の回転源を用いてシリンダ内でピストンを往復動させることにより、空気等の圧縮を行うものである。
【0003】
この種の従来技術による空気圧縮機として、往復動ピストンを用いた圧縮機を例に挙げて述べると、この圧縮機は、クランクケースと、該クランクケースに回転可能に設けられたクランク軸と、クランクケースに設けられたシリンダと、前記クランク軸に連接棒を介して連結され該シリンダ内で往復動することにより気体を圧縮するピストンとを備えている。この場合、クランク軸と連接棒とは、電動モータ等の回転をピストンの往復動に変換する動作変換機構を構成している。
【0004】
そして、空気圧縮機の運転時には、電動モータ等によってクランク軸を回転駆動すると、その回転がクランク軸、連接棒等を介してピストンの往復動に変換され、ピストンがシリンダ内で摺動する。これにより、空気圧縮機は、ピストンの往復動に応じてシリンダ内に空気を吸込んで圧縮し、この圧縮空気を外部のエアタンク等に向けて吐出するものである。
【0005】
ここで、圧縮機の運転中には、例えばクランク軸、連接棒、ピストン等の部品に異常が生じると、これらの部品が高温となって劣化したり、他の部品が連鎖的に損傷することがある。特に、ピストンの連接棒が折損した場合には、圧縮機を正常に運転できないばかりでなく、折れた連接棒によってシリンダ、ピストン等を損傷する虞れがあるため、運転を速やかに停止する必要がある。
【0006】
このため、従来技術では、例えば振動センサ等を用いて圧縮機の運転中に発生する振動を検出し、検出結果を用いて故障診断を行う構成とした圧縮機もある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−153583号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、圧縮機の振動を検出して故障診断を行う構成としている。しかし、圧縮機の使用中には、例えば外部から振動、衝撃等が加わったり、圧縮機の運転開始、停止等によって振動レベルが変化すると、圧縮機が正常であっても、これらの振動、衝撃等が圧縮機の故障として誤診断されるという問題がある。
【0009】
特に、例えば圧力式運転等の運転モードで圧縮機を用いる場合には、圧縮機の運転、停止を繰返すことによってエアタンク側の圧力を調整するため、運転の停止時、再開時に発生する大きな振動が故障として誤診断され易い。また、例えばアンロード式の圧縮機等では、アンロード弁を開,閉することによってエアタンク側の圧力を調整するため、アンロード弁の開,閉動作時に発生する大きな振動によって正確な故障診断を行うのが難しくなる。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、簡単な構造によって故障を診断でき、故障以外の振動、衝撃等による誤診断を防止できると共に、耐久性、信頼性を向上できるようにした往復動型圧縮機を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために本発明は、ケーシングと、該ケーシングに設けられ回転源の回転を往復動に変換する動作変換機構と、前記ケーシングに設けられたシリンダと、前記動作変換機構に連結され該シリンダ内で往復動することにより気体を圧縮するピストンとを備えた往復動型圧縮機に適用される。
【0012】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記ケーシングの振動を検出する振動検出手段を設け、該振動検出手段により検出される振動のうち正常運転時に発生する振動レベルよりも大きな振動発生するときに、1つの振動が発生してから次の振動が発生するまでの時間を振動の発生周期として計測する周期計測手段を設け、該周期計測手段により計測された前記振動の発生周期が予め定められた診断用周期と一致しているときに故障と診断する故障診断手段を設ける構成としたことにある。
【0013】
このように構成することにより、圧縮機の運転時には、例えば汎用的な圧電素子等からなる振動検出手段を用いて比較的簡単な構造で圧縮機の振動を検出でき、検出した振動のうち正常運転時の振動レベルよりも大きな振動(異常振動)の発生周期を周期計測手段によって計測することができる。このとき、周期計測手段は、1つの異常振動が生じてから次の異常振動が生じるまでの時間を振動の発生周期として計測するから、単発の異常振動が生じても振動の発生周期は計測されない。このため、単発の異常振動によって故障と診断することがない。そして、故障診断手段は、異常振動の発生周期と予め定められた診断用周期とを比較することにより、往復動機構の故障によって真の異常振動が発生したのか、または他の原因により異常振動が発生したのかを判別でき、往復動機構が実際に故障したときにのみ、故障と診断することができる。
請求項2の発明によると、前記故障診断手段は、前記振動の発生周期が予め定められた診断用周期と一致する回数が予め定められた所定数を越えたときに故障と診断する構成としている。
これにより、振動の発生周期が予め定められた診断用周期と一致する回数が所定数を越えたときに故障と診断できると共に、所定数よりも少ないときには故障以外の原因により異常振動を検出したものとして判別することができる。
請求項3の発明によると、前記故障診断手段は、前記周期計測手段により計測した前記振動の発生周期が予め定められた診断用周期として前記回転源の回転周期と一致しているときに前記動作変換機構と前記ピストンとを含む往復動圧縮機構を故障と診断する構成としている。
このように構成することにより、故障診断手段は、異常振動の発生周期と診断用周期としての回転源の回転周期とを比較する。これにより、例えば1気筒のシリンダが故障したときには、故障診断手段は、異常振動の周期が回転源の回転周期と一致することによって故障を診断することができる。
【0014】
また、請求項の発明によると、シリンダは回転源の回転に対し位相差をもって複数気筒設け、故障診断手段は振動の発生周期が予め定められた診断用周期と一致しているときに故障と診断する構成とし、前記診断用周期は、前記回転源の回転周期に等しい周期として設定された第1の診断用周期と、前記複数気筒のシリンダ間の位相差に相当する周期として設定された第2の診断用周期とを含む構成、前記故障診断手段は、前記周期計測手段により計測した前記振動の発生周期が第1,第2の診断用周期のうち少なくともいずれか一方の診断用周期と一致しているときに故障と診断する構成としている。
【0015】
これにより、例えば複数気筒のシリンダのうち1気筒のシリンダで往復動機構が故障したときには、この故障による異常振動が回転源の回転に同期して発生する。また、例えば2気筒以上のシリンダで往復動機構が故障したときには、故障したシリンダ間の位相差に相当する周期をもって異常振動が発生する。従って、故障診断手段は、異常振動の発生周期と第1,第2の診断用周期のうち少なくともいずれか一方の診断用周期と一致しているときに故障と診断するから、1気筒のシリンダが故障した場合だけでなく、2気筒以上のシリンダが故障した場合も故障を診断することができる。
【0016】
また、請求項の発明によると、前記診断用周期は、回転源の回転数が変化するときに、当該回転数に応じて可変に設定される構成としている。
【0017】
これにより、例えば回転源の回転数が高いときには、往復動機構が故障すると、回転源の回転周期に対応して発生する異常振動の周期が時間的に短くなるので、診断用周期を短い周期に設定することができる。また、回転源の回転数が低いときには、異常振動の周期が時間的に長くなるので、診断用周期を長い周期に設定することができる。従って、回転源の回転周期に応じて異常振動の周期が変化する場合でも、これらに追従して診断用周期を可変に設定することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による往復動型圧縮機を、添付図面に従って詳細に説明する。
【0019】
ここで、図1ないし図12は第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、往復動ピストンまたは揺動ピストンを用いた圧縮機のうち、往復動ピストンを用いた3気筒型の空気圧縮機を例に挙げて述べる。
【0020】
1は圧縮空気を貯蔵するエアタンクで、該エアタンク1の上部側には、後述の電源回路29から給電されることによりクランク軸6を回転駆動する回転源としての電動モータ2が設けられている。そして、電動モータ2の出力側は、プーリ3、ベルト4等を介してクランク軸6と連結されている。
【0021】
5はエアタンク1上に設けられたケーシングとしてのクランクケースで、該クランクケース5は金属ケース等からなり、その上部側には、図2、図3に示す如く、後述のシリンダ7,8,9が搭載されている。
【0022】
6はクランクケース5に軸受等を介して回転可能に設けられたクランク軸で、該クランク軸6は、後述の連接棒18と協働して電動モータ2の回転をピストン16の往復動に変換する動作変換機構を構成している。そして、クランク軸6は、その端部側がクランクケース5から突出してプーリ3と連結され、電動モータ2により図3中の軸線O−Oを中心として回転駆動されるものである。
【0023】
7,8,9はクランクケース5上に設けられた例えば3気筒のシリンダで、該シリンダ7,8,9は、図2に示す如く、電動モータ2によるクランク軸6の回転に対し間隔(位相差)をもって配置され、これらの間隔はクランク軸6の中心O(軸線O−O)を基準として例えば60°程度の角度θに設定されている。また、シリンダ7〜9を左側から順番に第1シリンダ7、第2シリンダ8、第3シリンダ9とした場合に、第1シリンダ7と第3シリンダ9との間には、角度θと径方向の反対側に位置して例えば240°程度の間隔が設けられている。
【0024】
ここで、シリンダ7〜9のうち第1シリンダ7を例に挙げて説明すると、該第1シリンダ7の上部側には、図3に示す如く、弁板10を介してシリンダヘッド11が搭載されている。また、シリンダヘッド11内には、弁板10との間に位置して吸込室12、吐出室13が画成され、弁板10には、吸込室12と後述の圧縮室17との間を連通,遮断する吸込弁14と、吐出室13と圧縮室17との間を連通,遮断する吐出弁15とが取付けられている。一方、第2,第3シリンダ8,9も、第1シリンダ7とほぼ同様に構成されているものである。
【0025】
16はシリンダ7〜9内にそれぞれ往復動可能に設けられたピストンで、該各ピストン16は、ピストンピン16Aを介して後述の連接棒18と連結され、シリンダ7〜9内に圧縮室17を画成している。
【0026】
ここで、シリンダ7〜9内の各ピストン16が上死点に達するタイミングは、クランク軸6の回転角に対して角度θ分だけ互いに位相差をもって設定されている。このため、圧縮機の運転時には、クランク軸6が角度θだけ回転する毎に第1,第2及び第3シリンダ7,8,9が順次上死点となる。
【0027】
18はクランク軸6とピストン16との間を連結する連接棒で、該連接棒18は、図3に示す如く、その大端部側が軸受18Aを介してクランク軸6に回転可能に連結され、その小端部側が他の軸受18Bを介してピストン16のピストンピン16Aに揺動可能に連結されている。
【0028】
19は吸気時の騒音を低減するためにシリンダ7〜9の吸込室12側に設けられた吸込サイレンサ、20はシリンダ7〜9の吐出室13側をエアタンク1に対して並列に接続する吐出配管である。
【0029】
そして、電動モータ2によりクランク軸6が回転駆動されると、その回転がクランク軸6、連接棒18等を介してピストン16の往復動に変換され、シリンダ7〜9内で各ピストン16がそれぞれ往復動する。これにより、シリンダ7〜9は、吸込サイレンサ19、吸込室12、吸込弁14等を介して圧縮室17内に空気を吸込んで圧縮し、この圧縮空気を吐出弁15を介して吐出室13側に吐出すると共に、吐出配管20を介してエアタンク1に貯留するものである。
【0030】
次に、図4を参照しつつ、圧縮機の故障診断装置について説明する。21はエアタンク1に取付けられた故障診断装置で、該故障診断装置21は、後述の圧電素子22と、診断処理回路23とを含んで構成されている。
【0031】
そして、診断処理回路23は、シリンダ7〜9内でピストン16が往復動するときの振動を圧電素子22を用いて検出し、例えばクランク軸6、ピストン16、ピストンピン16A、連接棒18、軸受18A,18B、ピストンリング等を含めた往復動機構の故障診断を行うものである。
【0032】
22は圧縮機の振動を検出する振動検出手段としての圧電素子で、該圧電素子22は、例えば歪み変形することにより電荷(電圧)を発生する汎用的な圧電材料等を用いて形成され、図3に示す如く、リード線等の配線22Aを用いて診断処理回路23と接続されている。また、圧電素子22は、3気筒のシリンダ7〜9から伝わる振動の伝達状態がシリンダ7〜9間でほぼ均等となるように、例えばクランク軸6の軸線O−O上となる位置でクランクケース5の外面側に取付けられ、シリンダ7〜9に対する圧電素子22の距離は互いにほぼ等しくなっている。
【0033】
そして、圧電素子22は、シリンダ7〜9内でピストン16が往復動するときに発生する振動を検出し、この振動波形に対応する検出信号Sを診断処理回路23に出力するものである。この場合、圧電素子22に伝わる振動は、例えば個々のシリンダ7〜9が上死点の近傍で空気の圧縮、吐出動作を行うときに大きくなり、これらの上死点はクランク軸6の回転方向に対して角度θだけ互いにずれている。
【0034】
このため、検出信号Sの信号波形は、図6に示す如く、シリンダ7〜9が順次上死点の近傍となる毎に周期的に増大するようになり、その周期は、シリンダ7〜9間の角度θに対応する一定の周期tθとなる。また、シリンダ7〜9のうちいずれか1気筒のシリンダに着目すると、このシリンダが上死点の近傍に達する毎に検出信号Sが増大するときの周期は、クランク軸6が1回転する周期(回転周期)tREVと等しくなる。
【0035】
23は圧電素子22の出力側に接続された診断処理回路で、該診断処理回路23は、圧電素子22の検出信号Sを増幅する増幅器24と、検出信号Sのノイズを除去するフィルタ25と、検出信号Sの信号波形の包絡線とほぼ等しい波形の包絡線信号S′(図6中に点線で図示)を出力する包絡線検波器26と、後述の比較器27、CPU28、警報器30等を含んで構成されている。
【0036】
27は包絡線検波器26の出力側に接続された比較器で、該比較器27は、予め定められた故障判定値Vk(図7参照)と包絡線信号S′との大小関係を比較し、包絡線信号S′が故障判定値Vkを超えたときには、パルス状の故障信号KをCPU28に出力するものである。
【0037】
ここで、シリンダ7〜9を構成する往復動機構の各部品に異常が生じた場合には、ピストン16が円滑に往復動できなくなるため、故障したシリンダの上死点近傍では、圧電素子22に伝わる振動レベルが異常に大きくなる。このため、故障判定値Vkは、例えば圧縮機の正常運転時に発生する振動レベルよりも大きな振動(異常振動)に対応する電圧値として予め設定されているものである。
【0038】
これにより、例えばシリンダ7でピストンリング等の摩耗が進んだり、連接棒18が折損した場合には、図7に示す如く、その上死点の近傍で検出信号S(包絡線信号S′)が判定値Vkを超えるようになり、故障信号Kが出力される。また、シリンダ8,9でも同様に、往復動機構に異常が生じると、各シリンダの上死点の近傍で故障信号Kが出力される。
【0039】
28は電源回路29により給電されるCPUで、該CPU28は、例えばROM、RAM等の記憶部28Aを有するマイクロコンピュータ等からなり、後述の周期計測タイマと待機移行用タイマとによる計時機能を備えている。そして、記憶部28Aには、後述の図10ないし図12に示す故障診断プログラムと、後述の周期別カウンタC1,C2,C3,C4,C5,C6、故障判定用カウンタ値Ck等とが記憶されている。
【0040】
ここで、CPU28は、比較器27により1つの故障信号Kが入力されてから次の故障信号Kが入力されるまでの時間(即ち、圧縮機の正常運転時に発生する振動レベルよりも大きな振動の発生周期)Tを計測し、この周期Tを用いて故障信号Kが圧縮機の故障による真の故障信号であるか否かを判別する。
【0041】
このため、故障診断プログラムには、故障信号Kの周期Tを判別する複数個の周期帯が予め設定されており、本実施の形態では、下記表1に示す如く、例えば6個の周期帯A,B,C,D,E,Fが所定の境界値T1〜T5を用いて設定されている。
【0042】
【表1】
Figure 0004131931
【0043】
そして、CPU28の記憶部28Aには、図5に示す如く、これらの周期帯A〜Fに対応して周期別カウンタC1〜C6が設けられている。これにより、CPU28は、カウンタC1〜C6によって故障信号Kの発生回数を周期帯A〜F毎に個別に計数、記憶し、後述の理由によりカウンタC3,C5のいずれかが故障判定用カウンタ値Ck以上となったときには、往復動機構が故障したと診断する。そして、故障診断時には、警報器30を作動させると共に、リレー駆動回路31を介して電源リレー32を開成(OFF)し、圧縮機を停止させるものである。
【0044】
30はCPU28の出力側に接続された警報器で、該警報器30は、例えば警報ランプ、表示モニタ、ブザー等を含んで構成され、圧縮機が故障したときに警報を発生する。また、31はCPU28の出力側に接続されたリレー駆動回路で、該リレー駆動回路31は、電動モータ2と電源回路29との間に設けられた電源リレー32を開,閉するものである。
【0045】
ここで、圧縮機の故障モードと故障信号Kの周期Tとの関係について説明する。まず、例えばシリンダ7〜9のうちいずれか1気筒のシリンダが故障した場合(1気筒故障モード)には、図7に示す如く、故障したシリンダが上死点の近傍となる毎に故障信号Kが発生するため、故障信号Kは電動モータ2(クランク軸6)の回転に同期して出力され、その周期はクランク軸6の回転周期tREVと等しくなる。
【0046】
このため、周期帯Eは、下記数1の式に示すように、1気筒故障モードに対応する第1の診断用周期としての周期tREVを含んで設定されている。
【0047】
【数1】
T4≦tREV<T5
【0048】
次に、例えば3気筒型の圧縮機において、シリンダ7〜9のうち2気筒以上のシリンダが故障した場合(多気筒故障モード)について述べる。まず、例えばシリンダ7,8が故障した場合には、図8に示す如く、これらの上死点近傍で発生する故障信号Kの周期がシリンダ7,8間の角度(位相差)θに相当する周期tθとなる。また、シリンダ7,9が故障したときには、図9に示す如く、故障信号Kの周期がシリンダ7,9間の角度2θに相当する周期t2θ(=tθ×2)となる。さらに、シリンダ8,9が故障した場合と、全てのシリンダ7〜9が故障した場合(いずれも図示せず)には、故障信号Kの周期に周期tθが含まれるようになる。
【0049】
このため、周期帯Cは、下記数2の式に示す如く、多気筒故障モードに対応する第2の診断用周期としての周期tθ,t2θを含んで設定されている。
【0050】
【数2】
T2≦tθ<t2θ<T3
【0051】
そして、CPU28は、故障信号Kの周期Tが周期帯Eに含まれるとき(電動モータ2およびクランク軸6の回転周期tREVと一致、同期しているとき)、または故障信号Kの周期Tが周期帯Cに含まれるとき(周期tθ,t2θに一致しているとき)に、これらの周期帯C,Eで発生する故障信号Kの発生回数をカウンタC3,C5によって計数する。これにより、カウンタC3,C5のいずれかが許容限度であるカウンタ値Ck以上となったときには、圧縮機の往復動機構が故障したことを診断できると共に、他の周期帯A,B,D,Fで発生する故障信号Kを誤った信号として判別できるものである。
【0052】
本実施の形態による空気圧縮機は上述の如き構成を有するもので、次に図10ないし図12を参照しつつ、CPU28による診断処理について説明する。
【0053】
まず、圧縮機に電源が投入されると、図10に示す如く、ステップ1で各種のタイマ、メモリ等を含めてCPU28の初期設定を行い、このときにカウンタC1〜C6等を零にクリアする。そして、ステップ2では、比較器27から故障信号Kが入力されたか否かを判定する。
【0054】
この場合、圧縮機の運転中には、図7に示す如く、シリンダ7〜9のいずれかが故障すると、比較器27から故障信号Kが入力されるようになるので、ステップ2で「YES」と判定し、後述のステップ3に移る。また、ステップ2で「NO」と判定したときには、故障信号Kが入力されるまで待機する。
【0055】
次に、ステップ3では、後述の計測実行フラグをチェックすることにより、故障信号Kの周期を計測していない状態(待機状態)であるか否かを判定する。そして、ステップ3で「YES」と判定したときには、ステップ4で周期計測タイマをスタートし、ステップ5で待機移行用タイマをスタートし、ステップ6で計測実行フラグを1(周期計測状態)にセットした後に、ステップ2に戻る。
【0056】
これにより、圧縮機の運転中に故障信号Kが発生したときには、最初の故障信号Kを起点として周期計測が開始され、CPU28が周期計測状態となる。この場合、2回目の故障信号Kが一定の時間内に入力されないときには、後述の図12に示す待機移行処理によってCPU28が再び待機状態となる。
【0057】
また、CPU28が周期計測状態であるときに2回目の故障信号Kが入力されると、ステップ3で「NO」と判定するので、ステップ7に移る。そして、ステップ7では、周期計測タイマの値を読込み、この読込値を故障信号Kの周期Tとして記憶し、ステップ8では、次回の周期計測を行うために周期計測タイマを零から再スタートする。このとき、待機移行用タイマも零から再スタートする。
【0058】
次に、ステップ9では、計測した周期Tを用いて後述の図11に示す故障判定処理を行い、ステップ10では、この判定結果を用いて圧縮機が故障しているか否かを判定する。そして、ステップ10で「YES」と判定したときには、シリンダ7〜9のいずれかで往復動機構が故障しているので、ステップ11では、警報器30を作動させ、ステップ12では、電源リレー32を開成して圧縮機を停止し、ステップ13で終了する。
【0059】
また、ステップ10で「NO」と判定したときには、ステップ2に戻って故障信号Kの待受状態となり、圧縮機の電源スイッチがOFFされない限りは、ステップ2〜ステップ13の処理を繰返し実行する。
【0060】
次に、図11を参照しつつ、故障信号Kの計測周期を用いて行う故障判定処理について説明する。
【0061】
まず、ステップ21では、故障信号の周期Tが境界値T1よりも小さいか否かを判定し、「YES」と判定したときには、計測した周期Tが図5中の周期帯Aに含まれるので、ステップ22で周期帯AのカウンタC1を1だけ加算し、後述のステップ32に移る。
【0062】
また、ステップ21で「NO」と判定したときには、ステップ23で周期Tが境界値T2よりも小さいか否かを判定し、「YES」と判定したときには、ステップ24で周期帯BのカウンタC2を1だけ加算し、ステップ32に移る。また、ステップ23で「NO」と判定したときには、ステップ25〜ステップ31で同様の処理を行う。これにより、圧縮機の運転中には、CPU28に故障信号Kが入力される毎に、周期別カウンタC1〜C6のうち故障信号Kの周期Tに対応するカウンタが増加するようになる。
【0063】
このため、ステップ32では、周期帯C(多気筒故障モード)のカウンタC3と、周期帯E(1気筒故障モード)のカウンタC5の少なくとも一方が故障判定用カウンタ値Ck以上となったか否かを判定する。
【0064】
そして、ステップ32で「YES」と判定したときには、ステップ33で圧縮機を故障と判定する。また、ステップ32で「NO」と判定したときには、ステップ34で圧縮機が正常であると判定し、ステップ35でリターンする。
【0065】
これにより、圧縮機の運転中には、正常運転時の振動レベルよりも大きな振動によって故障信号Kが発生し、かつ故障信号Kの周期Tが予め想定された1気筒故障モードの周期帯Eまたは多気筒故障モードの周期帯Cに一致したときにのみ、圧縮機を故障と診断することができる。そして、これ以外の周期帯A,B,D,Fで故障信号Kが発生したとしても、この信号を故障以外の原因による誤った故障信号として判別することができる。
【0066】
次に、図12を参照しつつ、CPU28の待機移行処理について説明すると、この処理は、例えば待機移行用タイマのオーバフローをトリガとする割込処理等として設定され、図10に示す処理と並列に実行されるものである。
【0067】
まず、ステップ41では、1つの故障信号Kを受けてから次の故障信号Kが入力されるまで一定の時間が経過したか否かを、待機移行用タイマがオーバフローしたか否かによって判定する。そして、ステップ41で「YES」と判定したときには、入力された故障信号が単発の信号であるか、またはこの入力を最後として故障信号が停止したと判断し、後述のステップ42に移る。また、ステップ41で「NO」と判定したときには、タイマがオーバフローするまで待機する。
【0068】
次に、ステップ42では、周期計測タイマを零にクリアして停止し、ステップ43では、待機移行用タイマをクリアして停止する。そして、ステップ44では、計測実行フラグを0(待機状態)にセットし、ステップ45で待機移行処理を終了する。
【0069】
これにより、CPU28は、故障信号Kが新たに入力されるまで待機状態となるので、圧縮機の運転中には、図7に示す如く、例えば故障以外の原因により圧電素子22から検出信号Sxが出力されたとしても、これに伴って生じる単発の故障信号Kや周期帯C,Eに含まれない故障信号Kを故障診断の処理から除外でき、誤診断を確実に防止することができる。
【0070】
かくして、本実施の形態によれば、故障診断装置21には、圧縮機の振動を検出する圧電素子22と、該圧電素子22により検出される振動が異常に大きくなったときに出力される故障信号Kの周期Tを計測し、この周期Tが所定の周期帯C,Eとなったときに圧縮機の往復動機構を故障と診断する診断処理回路23とを設ける構成としている。
【0071】
これにより、圧縮機の運転時には、例えば汎用的な圧電素子22等を用いて比較的簡単な構造でシリンダ7〜9の振動を検出でき、検出した振動が正常運転時の振動レベル等と比較して異常に大きくなったときには、比較器27から故障信号Kを出力することができる。
【0072】
そして、故障信号Kの周期TをCPU28の周期計測タイマ等によって計測でき、この周期Tが予め設定された周期帯C,Eに一致した場合にのみ、圧縮機を故障と診断できると共に、これ以外の場合には、故障信号Kを故障以外の原因による誤った信号として確実に判別することができる。
【0073】
従って、圧縮機の運転時には、例えば振動、衝撃等の外力が加わったり、圧縮機の運転開始、停止時に振動等が生じることによって圧縮機が故障と誤診断されるのを確実に防止することができる。これにより、例えば圧力式運転等の運転モードで圧縮機を運転する場合、またはアンロード式の圧縮機等を用いる場合でも、往復動機構の故障診断を高い精度で行うことができ、故障診断装置21を各種の圧縮機に対して容易に適用することができる。
【0074】
そして、故障が発生したときには、これを診断して圧縮機を直ちに停止できるから、故障部品の周囲に位置する他の部品等を保護できると共に、圧縮機の耐久性、信頼性を向上させることができる。また、従来技術のように高価な加速度センサやFFT用の信号処理回路等を用いる必要がなくなり、診断装置の簡略化やコストダウンを促進することができる。
【0075】
また、故障診断用の周期として、クランク軸6の回転周期tREVを含む1気筒故障モード用の周期帯Eと、シリンダ7〜9間の角度θに対応する周期tθ,t2θを含む多気筒故障モード用の周期帯Cとを設けたので、例えばシリンダ7〜9のうち1気筒のシリンダが故障したときには、故障信号Kの周期Tが周期帯E(周期tREV)と一致することによって故障を診断でき、また2気筒以上のシリンダが故障したときには、故障信号Kの周期Tが周期帯C(周期tθ,t2θ)と一致することによって故障を診断することができる。これにより、1気筒故障モードだけでなく、多気筒故障モードの故障診断も行うことができ、信頼性をより高めることができる。
【0076】
また、圧電素子22をクランク軸6の軸線O−O上となる位置でクランクケース5に取付けたので、3気筒のシリンダ7〜9からクランクケース5を介して圧電素子22に伝わる振動レベルをシリンダ7〜9間でほぼ等しくすることができる。これにより、シリンダ7〜9のうちいずれのシリンダが故障した場合でも、故障による振動レベルの変化を圧電素子22によって均等に検出でき、その故障診断を安定的に行うことができる。
【0077】
次に、図13ないし図16は本発明による第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、クランク軸の回転数に応じて診断用周期を可変に設定する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0078】
41は空気圧縮機に搭載された故障診断装置で、該故障診断装置41は、第1の実施の形態とほぼ同様に、圧電素子22と、診断処理回路42とにより構成され、診断処理回路42は、増幅器24、フィルタ25、包絡線検波器26、比較器27、警報器30と、後述のCPU43を含んで構成されている。
【0079】
43はマイクロコンピュータ等からなるCPUで、該CPU43は、第1の実施の形態とほぼ同様に、例えばROM、RAM等の記憶部43Aを有し、計時機能を備えている。また、記憶部43Aには、図14に示す如く、例えば所定の境界値T1′〜T5′により区分された周期帯A′,B′,C′,D′,E′,F′毎に故障信号Kの発生回数を個別に計数する周期別カウンタC1,C2,C3,C4,C5,C6と、故障判定用カウンタ値Ck等とが記憶されている。
【0080】
そして、CPU43は、故障信号Kの周期Tを計測し、カウンタC1〜C6によって故障信号Kの発生回数を周期帯A′〜F′毎に個別に計数、記憶する。また、CPU43は、後述のモータ駆動回路44から入力される回転数信号に応じて周期帯A′〜F′のうちいずれか1個の周期帯を、診断用周期としての周期tREV,tθ,t2θ等が含まれる監視周期帯として可変に設定する。そして、この監視周期帯のカウンタがカウンタ値Ck以上となったときには、故障信号Kの周期Tが周期tREV,tθ,t2θ等のいずれかと一致、同期していると判断し、往復動機構が故障したと診断する。
【0081】
これにより、故障診断装置41は、例えば電動モータ2の回転数が変化するタイプの空気圧縮機等において、周期帯A′〜F′のうち故障診断を行う監視周期帯をモータ2の回転数に追従して変化させることにより、常に適切な周期帯で故障診断を行うものである。
【0082】
44は例えばインバータ回路等を含んで構成されたモータ駆動回路で、該モータ駆動回路44は、電動モータ2に駆動信号を出力し、例えばエアタンク1内を所望の圧力に保持するために電動モータ2(クランク軸6)の回転数を可変に制御する。また、モータ駆動回路44は、電動モータ2の回転数に対応する回転数信号をCPU43に出力するものである。
【0083】
本実施の形態による空気圧縮機は上述の如き構成を有するもので、次に図15、図16を参照しつつ、CPU43による診断処理について説明する。
【0084】
まず、圧縮機の運転時には、図15に示す監視周期帯設定処理を行う。この処理は、例えばタイマのオーバフローをトリガとする割込処理等として設定され、例えば10〜100msec程度の一定時間毎に繰返されるものである。
【0085】
そして、ステップ51では、例えばタイマがオーバフローしたか否かによって一定の時間が経過したことを判定し、「YES」と判定したときには、ステップ52に移り、「NO」と判定したときには、タイマがオーバフローするまで待機する。
【0086】
次に、ステップ52では、モータ駆動回路44から入力される回転数信号を読込み、ステップ53では、この回転数信号に応じて周期帯A′〜F′のうちいずれか1個の周期帯を、故障信号Kの発生回数を監視するための監視周期帯として選択する。
【0087】
この場合、例えば電動モータ2の回転数が高いときには、クランク軸6の回転周期に同期して発生する故障信号Kの周期tREV,tθ,t2θ等が時間的に短くなり、これらの周期は、周期帯A′〜F′のうち短周期側に位置する周期帯(例えば図14中の周期帯A′,B′等)に含まれるようになるので、この短周期側の周期帯を監視周期帯として設定する。
【0088】
また、電動モータ2の回転数が低いときには、故障信号の周期tREV,tθ,t2θ等が時間的に長くなり、これらの周期は、長周期側に位置する周期帯(例えば周期帯E′,F′等)に含まれるようになるので、この長周期側の周期帯を監視周期帯として設定するものである。そして、監視周期帯を設定した後には、ステップ54で監視周期帯設定処理を終了する。
【0089】
次に、図16を参照しつつ、故障判定処理について説明する。ここで、本実施の形態では、圧縮機を運転するときに、前述した監視周期帯設定処理と並行して第1の実施の形態とほぼ同様の診断処理(図10のステップ1〜13参照)を実行する。そして、図16に示す故障判定処理は、第1の実施の形態の故障判定処理(図11参照)に代えて実行するものである。
【0090】
まず、ステップ61では、周期帯A′〜F′のうち計測した故障信号Kの周期Tが含まれる周期帯を判定し、この周期帯に対応するカウンタCi(i=1〜6)を1だけ加算する。この加算処理は、例えば第1の実施の形態における図11中のステップ21〜31とほぼ同様の処理によって実行される。
【0091】
次に、ステップ62では、故障信号Kの周期Tを含む周期帯が監視周期帯であるか否かを判定し、「YES」と判定したときには、ステップ63で、この周期帯のカウンタCiが故障判定用カウンタ値Ck以上となったか否かを判定する。
【0092】
そして、ステップ63で「YES」と判定したときには、クランク軸6の回転周期に対応する監視周期帯で故障信号Kが発生しているので、ステップ64で圧縮機を故障と判定する。また、ステップ63で「NO」と判定したときには、ステップ65で圧縮機が正常であると判定し、ステップ66でリターンする。
【0093】
一方、ステップ62で「NO」と判定したときには、クランク軸6の回転周期と関係ない周期帯で故障信号Kが発生しているので、ステップ65で圧縮機が正常であると判定し、ステップ66でリターンする。
【0094】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、クランク軸6の回転数に応じて周期帯A′〜F′のうちいずれか1個の周期帯を監視周期帯として設定する構成としたので、クランク軸6の回転周期に応じて故障信号Kの周期Tが変化する場合でも、これに追従して監視周期帯を適切に設定することができる。
【0095】
これにより、故障診断装置41は、圧縮機が高回転側と低回転側のいずれで運転される場合でも、これらの運転状態で故障が発生したときに生じる故障信号のみを確実に検出、診断でき、圧縮機の回転数が変化したとしても、故障以外の振動、衝撃等による誤診断を防止することができる。従って、例えば回転数可変型の空気圧縮機等においても、故障診断を高い精度で行うことができる。
【0096】
なお、前記各実施の形態では、図10中のステップ2〜8が周期計測手段の具体例を示し、ステップ9が故障診断手段の具体例を示している。
【0097】
また、各実施の形態では、故障信号Kの周期Tを6個の周期帯A〜F,A′〜F′に区分する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば5個以下の周期帯、または7個以上の周期帯に区分する構成としてもよい。
【0098】
また、実施の形態では、圧縮機の電源を投入したときにCPU28の初期設定を行い、カウンタC1〜C6等を零にクリアする構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば圧縮機が正常に運転されている状態で一定の時間が経過したときに、カウンタC1〜C6等を零にクリアする構成としてもよい。
【0099】
また、実施の形態では、比較器27をCPU28,43と別個に設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば比較器27を廃止して検出信号S(包絡線信号S′)をCPU28,43に直接入力し、包絡線信号S′と判定値Vkとの比較判定処理をソフトウェアによって行う構成としてもよい。
【0100】
また、実施の形態では、3気筒型の空気圧縮機を例に挙げて説明した。しかし、本発明は多気筒型の圧縮機に限るものではなく、例えば1気筒のシリンダを有する単気筒型の圧縮機に適用してもよい。
【0101】
また、実施の形態では、往復動ピストンを用いた圧縮機を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、揺動ピストン(ロッキングピストン)を用いた空気圧縮機に適用してもよい。
【0102】
また、本発明は、例えば2気筒のシリンダまたは4気筒以上のシリンダがエアタンク1に対して並列に接続された多気筒型の圧縮機や、例えば複数気筒のシリンダが直列に接続され、低圧側のシリンダから高圧側のシリンダに向けて空気を複数段階で順次高圧に圧縮する構成とした多段式の圧縮機に適用してもよい。さらに、本発明は、空気以外の気体を圧縮する各種の往復動型圧縮機にも適用できるのは勿論である。
【0103】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、圧縮機には、振動検出手段、周期計測手段および故障診断手段を設ける構成としたので、例えば汎用的な圧電素子等を用いて比較的簡単な構造で圧縮機の振動を検出でき、診断装置の簡略化やコストダウンを促進することができる。また、周期計測手段は、1つの異常振動が生じてから次の異常振動が生じるまでの時間を振動の発生周期として計測するから、単発の異常振動が生じても振動の発生周期は計測されない。このため、単発の異常振動によって故障と診断することがない。そして、異常に大きな振動が予め定められた診断用周期と一致するときには、圧縮機を故障と診断でき、これ以外の振動は、故障以外の原因によるものとして確実に判別することができる。これにより、例えば圧力式運転等の運転モードで圧縮機を運転する場合、またはアンロード式の圧縮機等を用いる場合でも、故障以外の振動等によって故障と誤診断されるのを確実に防止することができる。従って、各種の圧縮機の故障診断を高い精度で行うことができ、耐久性、信頼性を向上させることができる。
請求項2の発明によれば、故障診断手段は、振動の発生周期が予め定められた診断用周期と一致する回数が予め定められた所定数を越えたときに故障と診断するから、振動の発生周期が診断用周期と一致する回数が所定数を越えたときに故障と診断できると共に、所定数よりも少ないときには故障以外の原因により異常振動を検出したものとして判別することができる。
請求項3の発明によれば、故障診断手段は、周期計測手段により計測した振動の発生周期が診断用周期としての回転源の回転周期と一致しているときに往復動圧縮機構を故障と診断するから、故障診断手段は、例えば1気筒のシリンダが故障したことを診断することができる。
【0104】
また、請求項の発明によれば、診断用周期、回転源の回転周期に等しい周期として設定された第1の診断用周期と、複数気筒のシリンダ間の位相差に相当する周期として設定された第2の診断用周期とを含む構成とし、故障診断手段は、周期計測手段により計測した前記振動の発生周期が第1,第2の診断用周期のうち少なくともいずれか一方の診断用周期と一致しているときに故障と診断する構成とした。このため、例えば1気筒のシリンダが故障したときには、異常振動の周期が第1の診断用周期と一致することによって故障を診断でき、また2気筒以上のシリンダが故障したときには、異常振動の周期が第2の診断用周期と一致することによって故障を診断することができる。これにより、1気筒故障モードだけでなく、多気筒故障モードの故障診断も行うことができ、信頼性をより高めることができる。
【0105】
また、請求項の発明によれば、回転源の回転数が変化するときに診断用周期を回転数に応じて可変に設定する構成としたので、圧縮機の故障時に生じる異常振動の周期が回転源の回転周期に応じて変化する場合でも、これに追従して監視周期帯を適切に設定することができる。これにより、圧縮機が高回転側と低回転側のいずれで運転される場合でも、これらの運転状態で故障が発生したときに生じる異常振動のみを確実に検出、診断でき、圧縮機の回転数が変化したとしても、故障以外の振動、衝撃等による誤診断を防止することができる。従って、例えば回転数可変型の圧縮機等においても、故障診断を高い精度で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による3気筒型の空気圧縮機を示す正面図である。
【図2】図1中のクランクケース、各シリンダ等を拡大して示す空気圧縮機の部分拡大正面図である。
【図3】図2中の矢示III−III方向からみたシリンダ等の拡大断面図である。
【図4】圧縮機の故障診断装置を示す回路構成図である。
【図5】故障信号の周期を区分する複数個の周期帯と各周期帯のカウンタとを示す特性線図である。
【図6】全てのシリンダが正常なときの圧電素子の検出信号と故障信号とを示す特性線図である。
【図7】第1シリンダが故障した1気筒故障モードにおける圧電素子の検出信号と故障信号とを示す1気筒故障モードの特性線図である。
【図8】第1,第2シリンダが故障した多数気筒故障モードにおける圧電素子の検出信号と故障信号とを示す特性線図である。
【図9】第1,第3シリンダが故障した多数気筒故障モードにおける圧電素子の検出信号と故障信号とを示す多数気筒故障モードの特性線図である。
【図10】圧縮機の診断処理を示す流れ図である。
【図11】図10中の故障判定処理を示す流れ図である。
【図12】図10の診断処理と並列に実行される待機移行処理を示す流れ図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態による空気圧縮機の故障診断装置を示す回路構成図である。
【図14】故障信号の周期を区分する複数個の周期帯と各周期帯のカウンタとを示す特性線図である。
【図15】監視周期帯設定処理を示す流れ図である。
【図16】故障判定処理を示す流れ図である。
【符号の説明】
2 電動モータ(回転源)
5 クランクケース(ケーシング)
6 クランク軸(動作変換機構)
7,8,9 シリンダ
16 ピストン
18 連接棒(動作変換機構)
21,41 故障診断装置
22 圧電素子(振動検出手段)
23,42 診断処理回路
28,43 CPU
REV 回転周期(第1の診断用周期)
θ,t2θ 周期(第2の診断用周期)
θ 角度(位相差)
A〜F,A′〜F′ 周期帯
C1〜C6 カウンタ

Claims (5)

  1. ケーシングと、該ケーシングに設けられ回転源の回転を往復動に変換する動作変換機構と、前記ケーシングに設けられたシリンダと、前記動作変換機構に連結され該シリンダ内で往復動することにより気体を圧縮するピストンとを備えた往復動型圧縮機において、
    前記ケーシングの振動を検出する振動検出手段を設け、
    該振動検出手段により検出される振動のうち正常運転時に発生する振動レベルよりも大きな振動発生するときに、1つの振動が発生してから次の振動が発生するまでの時間を振動の発生周期として計測する周期計測手段を設け、
    該周期計測手段により計測された前記振動の発生周期が予め定められた診断用周期と一致しているときに故障と診断する故障診断手段を設ける構成としたことを特徴とする往復動型圧縮機。
  2. 前記故障診断手段は、前記振動の発生周期が予め定められた診断用周期と一致する回数が予め定められた所定数を越えたときに故障と診断する構成としてなる請求項1に記載の往復動圧縮機。
  3. 前記故障診断手段は、前記周期計測手段により計測した前記振動の発生周期が予め定められた診断用周期として前記回転源の回転周期と一致しているときに前記動作変換機構と前記ピストンとを含む往復動圧縮機構を故障と診断する構成としてなる請求項1または2に記載の往復動圧縮機。
  4. 前記シリンダは前記回転源の回転に対し位相差をもって複数気筒設け、前記診断用周期は、前記回転源の回転周期に等しい周期として設定された第1の診断用周期と、前記複数気筒のシリンダ間の位相差に相当する周期として設定された第2の診断用周期とを含む構成
    前記故障診断手段は、前記周期計測手段により計測した前記振動の発生周期が第1,第2の診断用周期のうち少なくともいずれか一方の診断用周期と一致しているときに故障と診断する構成としてなる請求項1,2または3に記載の往復動型圧縮機。
  5. 前記診断用周期は、前記回転源の回転数が変化するときに、当該回転数に応じて可変に設定される構成としてなる請求項1,2,3または4に記載の往復動型圧縮機。
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