JP4131377B2 - 減速装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、歯車を用いた減速装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
図8は従来の減速装置の一例を示す分解斜視図で、80は原動機であるモ−タ92の回転軸に装着してある小歯車である。
【0003】
小歯車80の回転は大歯車81に伝達され、この回転は大歯車81と一体的に回転する第2の小歯車82によって第2の大歯車83に減速して伝達される。
大歯車83の回転は出力軸85によって外部に出力され被駆動装置の動力源となる。
【0004】
そして、回転軸84は、前支承板86、後支承板87によって支承され、出力軸85は、後支承板87に設けた軸受けを通して大歯車83に軸着してある。
【0005】
前支承板86と後支承板87とは中空の間隔柱88、89で固定されて減速装置が構成されている。
この減速装置は、取付螺子90、91を間隔柱88、89の内孔を通してモ−タ92に取付けて組立てられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図8に示した上記減速装置の減速比は、使用する歯車の歯数によって定められる。
したがって、減速比を変更する場合には、歯車の歯数の変更や歯車の輪列の増設が必要となる。
【0007】
そのため、回転機構を持つ機械装置の開発において、動作速度の変更やトルクの変更が必要なときは、減速装置を新たに開発試作しなければならない。
【0008】
そして、この開発試作には、時間と費用が必要であり、また、必ずしも一度の修正試作ですむことなく、数度の試作を行なう場合がある。
【0009】
さらに、減速機メ−カにおいて、得意先が必要とする減速比を持つ減速装置を開発し、生産することには多大な費用が必要であり、特に生産数が少量の場合には販売価格が高価なものとなる。
【0010】
本発明は上記した実情にかんがみ、既成の減速比を持つ減速器を複数連結させて所望の減速比、あるいは、その減速比に近い減速比が得られる減速装置を提案することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するため、本発明では、第1の発明として、外部回転部材の回転に応動して回転する回転部材を配設した入力部と、上記外部回転部材の回転速度に対し所定の減速比を持って回転し、この回転を他の装置に伝達する出力部とを持った減速装置において、減速比が各々異なる少なくとも3つの減速器を設け、上記した少なくとも3つの減速器の減速比Ru、Rv、Rwが、A、Bをある定数とし、指数Cu、Cv、Cwを各々異なる整数として、A^(Cu・B)、A^(Cv・B)、A^(Cw・B)となる構成としたことを特徴とする減速装置を提案する。
【0012】
第2の発明としては、上記した第1の発明の減速装置において、上記した減速器には、その減速比の対数値である指数を表示したことを特徴とする減速装置を提案する。
【0013】
第3の発明としては、上記した第1または第2の発明の減速装置において、3つ以上の減速器を1組として包装体に収納した商品形態を特徴とする減速装置を提案する。
【0017】
【作用】
複数の減速器の減速比Rを、各々の減速器U、V、W…………に対しRu、Rv、Rw………とする。
ここで減速比Rは、「入力軸の回転速度/出力軸の回転速度」とする。
【0018】
減速比Rを定数BのC乗とする。これをR=B^Cで表わす。
上式R=B^Cの両辺の対数をとると、logR=ClogBとなる。
Bは定数であるから、その対数logBも定数であり、logB=Dとすると、logR=D・Cとなる。
【0019】
ここで、減速比RのRu、Rv、Rw………に対するCの値を、各々Cu、Cv、Cw………とする。
そして、Ru、Rv、Rw………が等比数列の中の何れかの項であれば、Cu、Cv、Cw………は等差数列の中の同順位項となる。
【0020】
また、n、mを任意の附番としてlog(Rn・Rm)=D(Cn+Cm)が成り立つ。
なお、上記のDは、Cu、Cv、Cw………が整数となるように選定する。
【0021】
複数の減速器を連結させた減速装置の減速比は各々の減速器の減速比の積となる。
そして、Cu、Cv、Cwの値は指数として当該減速器の外部に明示する。
したがって、例えば、減速比Ru、Rvの減速器には、各々指数Cu、Cvを明示した指標があるので、この二つの減速器Ru、Rvを連結させたときの減速装置の減速比は、指数Cu、Cvの和によって特定することができる。
このことは、減速器を3つ以上連結させた場合でも同様である。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の減速装置を電気モ−タ(以下モ−タと称する)に装着した実施形態について図面と表に沿って説明する。
図1は、本実施形態の減速装置に備える減速器の斜視図であり、図2は同減速器の裏面を示す斜視図である。
【0023】
図1、図2で、11は減速器本体であり、内部に所定の減速比を持つ減速機構が内装してある。
【0024】
12は前側端板であり、13は後側端板である。
これら前側端板12と後側端板13とは、内部に装備した歯車の回転軸を支承している。
【0025】
14はモ−タあるいは他の減速器に締結するための螺子である。
15は他の減速器と連結したときの、他の減速器に用いられている螺子14の頭部の逃げ孔である。
【0026】
16はモ−タあるいは前段に連結した減速器の出力歯車を挿入する孔であり、また、これらモ−タあるいは減速器の出力歯車回転軸の中心位置を規整する機能を持っている。
【0027】
17は上記出力歯車の回転を受け継ぐ歯車である。
18は次段の減速器あるいは被駆動装置へ回転出力を伝達するための出力歯車である。
【0028】
19は出力歯車18の回転軸の中心位置を規整する胴付である。
20はカバ−21上に設けた指標で、これには減速器の減速比に対応した指数、トルク耐力等の属性が明示してある。
22は後側端板13に設けた次段の減速器あるいは被駆動装置を締結するための雌螺子である。
【0029】
図3は、上記のように構成した3つの減速器41、42、43を連結した状態を示す一部切欠き斜視図である。
【0030】
減速器41、42、43は、各々所定の減速比を持つ減速器である。
31は減速器42が有する中空柱で、減速器42の前側端板12と減速器41の後側端板13とを保持しており、内部に螺子14が挿入してある。この中空柱31と螺子14については後述する。
【0031】
減速器42の螺子14は、減速器41の後側端板13に設けた雌螺子22にねじ込み、減速器41と減速器42とを一体的に連結している。
【0032】
また、減速器43の螺子14は、減速器42の後側端板13に設けた雌螺子22にねじ込み、減速器42と減速器43とを一体的に連結している。
減速器41の螺子14は、歯車17を駆動するモ−タなどの装置を連結するのに用いられる。
【0033】
図4はこれら減速器41、42、43とモ−タ40を連結させた状態の側面図である。
ここで、減速器41の減速比をRu、減速器42の減速比をRv、減速器43の減速比をRwとすると、減速器41、42、43を連結させた減速装置の総合減速比Rsは、Rs=Ru・Rv・Rwとなり、減速器43の出力歯車18は、モ−タの回転速度に対し1/Rsの回転速度となる。
【0034】
46は出力歯車18の回転を被駆動装置に伝達するための出力軸であり、出力歯車18に嵌め合せ、押し螺子47で固定する構造としてある。
【0035】
さらに、減速器41、42、43の指標20に表示された指数を各々Cu、Cv、Cwとすると、
log(Ru・Rv・Rw)=D(Cu+Cv+Cw)………(1)
となる。
【0036】
以降、減速比Rと指標20に明示した指数C及び定数Dについて具体的な数値例によって説明する。
【0037】
第1例として、等比数列である減速比Rの公比rを10^(1/10)とする。
したがって、等差数列である指数Cを、C0=0、C1=1、C2=2、C3=3………とすると、D=1として、減速比Rの等比数列は次のようになる。
【0038】
R0=r^0=1、R1=r^1=r、R2=r^2、………
R10=r^10=10………R20=r^20=100………
R30=r^30=1000………となる。
【0039】
ここで、指標20に表示された指数Cが「4」と「16」の二つの減速器を連結すると総合減速比Rsは、
Rs=(r^4)・(r^16)=r^(4+16)=r^20=100となる。
【0040】
さらに、上記(1)式を準用すれば、log(R4・R16)=D(C4+C16)となる。
但し、D=1としたときlogの底は10^(1/10)であり、D=0.1としたとき、logの底は常用対数の10である。
このようにDの数値設定によって指数を調整することができる。
【0041】
第2例として、等比数列である減速比Rの公比qを10^(1/5)とする。
したがって、等差数列であるCを、C0=0、C1=1、C2=2、C3=3………とすると、D=1として、減速比Rの等比数列は次のようになる。
【0042】
R0=q^0=1、R1=q^1=q、R2=q^2、………R10=q^5=10………R20=q^10=100………R30=q^15=1000………となる。
【0043】
上記と同様に、指数Cが「2」と「8」の二つの減速器を連結すると、総合減速比Rsは、
Rs=(q^2)・(q^8)=q(2+8)=q^10=100となる。
【0044】
また、上記(1)式を準用すれば、log(R2・R8)=D(C2+C8)となる。
但し、D=1としたとき、logの底は10^(1/5)であり、D=0.2としたときは、logの底は常用対数の10である。
【0045】
上記のようにlogの底はD=1とし、nを整数として、10^(1/n)と定めることにより、減速比1から10迄の間にn通りの減速比を得ることができる。
このときの減速比数列の公比は、10^(1/n)となる。
【0046】
次に、上記した第1例において、必要な減速比Rの上限を1000としたとき、指数Cは「1」から「30」迄となる。(指数0は、減速比が1であり範囲外とする。)
【0047】
この指数Cの数値「1」〜「30」は、各々異なる減速比であり、この減速比はいくつかの異なる減速比をもつ減速器を、単独あるいは複数個組み合わせ連結させることによって得られる。
上記のように組み合わせ連結によって得られる指数値を配列番号と呼ぶことにする。但し、減速器が1つの場合も含むものとする。
【0048】
ここで、上記特定の減速器を各々G1、G2、G3………として、これ等の減速器の中で、使用する減速器を”1”として表し、非使用の減速器を”0”とする。
【0049】
このように、使用の有無を2進法の”1”、”0”として配列番号の末項値30を2進法で表わせば5桁の11110となる。
したがって、5つの異なる減速比を持つ減速器によって配列番号1〜31までの減速比を持つ減速装置を構成することができる。
【0050】
そして、2進法による5桁の数字を10進法と対応させるための2進法の各桁の重み付けは、16、8、4、2、1であるので、減速器G1、G2、G3、G4、G5の減速比の指数は、各々上記重みつけ数値と同一の16、8、4、2、1である。
すなわち、指標の数値が、16、8、4、2、1の5つの減速器によって30種類(最大31種類)の減速比が得られる減速装置を構成することができる。
【0051】
図5の表1に、上記第1例として示したこれ等の関係事項と数値例を示す。
この表1において、例えば、12.589の減速比を持つ減速装置が必要なとき、この減速比の配列番号は11であり、左側のコ−ド表で、減速器の指数が1、2、8の3つの減速器を組み合わせれば、12.589の減速比を持つ減速装置が構成されることが分かる。
この場合、減速器の指数は、各々1、2、8であり、これ等の数値を加算すれば配列番号の11となる。
【0052】
図5の表2は、上記第2例として示したこれ等の関係事項と数値例を示したものであり、配列番号に対する減速比の変化を大きくしたものである。
【0053】
この表で、例えば、必要な減速比が15.849であれば、配列番号は6であり、指数が「2」と「4」の2つの減速器を組み合わせれば、減速比15.849の減速装置が構成される。
【0054】
以上は、モ−タなどの回転数を減速する場合について説明したが、上記配列番号および指数を負領域に拡張することができる。
すなわち、負減速は増速であり、本発明を増速装置に適応させることは、本発明の主旨を逸脱するものではない。
【0055】
また、各減速器間の回転の伝達は、歯車間の連結によるものとしたが、その他、磁気力による結合、キ−とキ−溝による嵌合等回転を伝達できるものであればよく、伝達方法を限定するものではない。
【0056】
さらに、複数の減速器を一体化したとき、隣り合う2つの減速器の前側端板12と後側端板13とを支承する中空柱31が同軸とならない位置で結合できる構造のため、図3に示した螺子14の長さは減速器に合わせた長さでよく、また、図6に示したように中空柱31の内部の一部に雌螺子32を設けて、螺子14の脱落を防止する構造としてあるので、減速器の連結作業が容易に行なえる。
【0057】
これに対し、減速器の中空柱を同軸として、各々の中空柱内部に螺子を連通させて減速器を連結させる方法では、連結させる減速器の数量に応じた多種類の長さの異なる螺子を準備しておかなければならず不便であり、螺子の紛失にも注意を払わなければならない。
【0058】
図7は、減速器メ−カが利用者へ本発明による減速装置を商品として提供する商品形態の一実施形態を示すもので、40はモ−タであり、41、42、43、44、45は減速比の異なる減速器である。
【0059】
46は利用者の便を図るため出力形態を変更するための出力軸であり、51はボ−ル紙製の箱の身、52は内容物の移動を防ぐ発泡材等のパッキングである。
さらに、53はボ−ル紙製の箱の蓋であり、中央部には、内容物が確認できるように、透明フイルムによる窓54が設けてある。
【0060】
一般に減速器の歯車の歯数は整数で構成されるので、減速比には誤差が生ずるが、配列番号の順列に対して減速装置の減速比の増減が逆行しなければよい。
【0061】
【発明の効果】
上記した通り、本発明に係る減速装置は少数の減速器を複数個組み合わせ連結することによって、さまざまな減速比を持つ減速装置を構成することができる。
【0062】
また、減速器を複数個組み合わせ連結することによって得られる減速比は等比数列とすることができるので、配列番号の増減に対する減速比の変化率は一定であり、製品の開発、実験の結果の解析が容易なものとなる。
【0063】
なお、個々の減速器には、各々の減速比に対応する指数が明示してあり、複数の減速器を連結させた減速装置の減速比を指数の和として算出できるので便利性に優れた取扱いができる。
【0064】
そして、入力部の回転伝達要素に対し出力部の回転伝達要素が対応しているので、複数の減速器を連結する際に、減速器の指数を大小の順番で連結させる必要がなく、連結作業が容易なものとなる。
【0065】
この他、減速比の異なる3つ以上の減速器を1組として包装体内に収納した商品形態であるので、多様な減速比を必要とする機械装置の開発、実験等に迅速に対応させることができる。
【0066】
また、減速装置メ−カでは、得意先の様々な減速装置の出荷要求に対し、減速器を複数個組み合わせて連結するだけで希望の減速比の減速装置を提供できるので、コストの削減、納期の短縮等、事業経営においても益するところ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の減速装置を構成する減速器の一例を示す斜視図である。
【図2】上記減速器の裏面側を示す斜視図である。
【図3】本発明による減速装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図4】上記減速装置の側面図である。
【図5】本発明の説明に用いる数値表である。
【図6】上記減速器に備えた中空柱と連結用の螺子を示す断面図である。
【図7】上記減速装置を商品形態とした一実施形態を示す斜視図である。
【図8】従来の減速装置の簡略的な分解斜視図である。
【符号の説明】
11 減速器本体
12 前側端板
13 後側端板
14 螺子
15 孔
16 入力用歯車の挿入孔
17 入力用歯車とかみ合う歯車
18 出力用歯車
19 胴付
20 指標
21 カバ−
22 雌螺子
31 中空柱
32 雌螺子部
40 モ−タ
41、42、43、44、45 減速器
46 出力軸
47 押し螺子
51 箱の身
52 パッキング
53 箱の蓋
54 窓
Claims (3)
- 外部回転部材の回転に応動して回転する回転部材を配設した入力部と、上記外部回転部材の回転速度に対し所定の減速比を持って回転し、この回転を他の装置に伝達する出力部とを持った減速装置において、減速比が各々異なる少なくとも3つの減速器を設け、上記した少なくとも3つの減速器の減速比Ru、Rv、Rwが、A、Bをある定数とし、指数Cu、Cv、Cwを各々異なる整数として、A^(Cu・B)、A^(Cv・B)、A^(Cw・B)となる構成としたことを特徴とする減速装置。
- 請求項1に記載した減速装置において上記した減速器には、その減速比の対数値である指数を表示したことを特徴とする減速装置。
- 請求項1又は2に記載した減速装置において、3つ以上の減速器を1組として包装体に収納した商品形態を特徴とする減速装置。
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