JP4131278B2 - 鍵盤楽器用力覚制御装置 - Google Patents
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Description
前記鍵の動きに応じて前記センサから出力される信号に基づき、反力情報を発生させる反力発生手段と、前記反力情報に基づき、前記ソレノイドに対するPWM指令値を出力するPWM指令値発生手段と、を備え、前記PWM指令値は、前記ソレノイドを駆動して反力を発生させるものであり、前記PWM指令値発生手段は、複数のテーブルを有するとともに、ダンパーペダルのオン/オフに基づいていずれかのテーブルを選択し、該選択したテーブルに基づきPWM指令値を生成することを特徴とする。
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の構成を示すブロック図である。
この図において、符号1はCPUであり、装置各部を制御する。なお、CPU1において用いられる基本プログラムを記憶するROMや、ワーキングエリアとなるRAMについては、簡略化のため図示省略した。
また、ドライブアクチェータ4は、ソレノイドに限らず、鍵2に反力を付与できるものであればよい。例えば、モータ(リニアモータ、ロータリーモータ)、ブレーキ装置、あるいは油圧、空圧装置等の付勢手段等を用いてもよい。
図1に示す力覚付与テーブル30〜33は、このような観点から各種パラメータに応じた反力を出力するようになっており、各力覚付与テーブル30〜33から出力された反力は加算器35、36、37によって合成され、これにより、アコースティックピアノの鍵から得られる反力と同等の反力を再現する。
(1)力覚特性付与動作
上述した構成によれば、鍵2が操作されると、その位置、速度、加速度に応じた反力が力覚付与テーブル30〜33から出力され、これらが合成されて合成信号Sumとなる。そして、合成信号Sumと位置を示す信号Spに応じたPWM指令値がPWM指令値発生手段50から出力され、これに応じた駆動電流が電流フィードバック回路51を介して出力される。この結果、ドライブアクチェータ4が駆動され、指3に対して反力を与える。
前述したように、ヒステリシス切換回路25は、力覚付与テーブル30、31を選択的に切り替えることにより、押鍵行程の反力と離鍵行程の反力とを切り換えているが、鍵速度の正負だけに基づいて、この切り換えを行うと妥当でない場合がある。この点について説明する。
図6(イ)は、一般的な鍵の軌跡を示す図であり、横軸が時間、縦軸が鍵の位置を示している。また、同図(ロ)は、同図(イ)の軌跡に対応する鍵速度を示している。さて、図6(イ)に示す軌跡は、鍵が押鍵された後、時刻t1からt2にかけて僅かに戻り、時刻t2からt3に向かってエンド位置まで押下されている。そして、時刻t3からt4に至る間は、エンド位置で押下され続け、時刻t4から時刻t5に至る間で離鍵が行われている。この鍵軌跡における時刻t1からt2までの部分P1においては、僅かに鍵が戻されているがこれを離鍵行程として判断すると、時刻t2以降から再び押鍵行程としなければならず、テーブルの切換が頻繁になる。テーブルの切換があまりに頻繁に行われると、付与する反力の値がテーブル切換の前後において不連続になることがあり、滑らかな反力、すなわち、タッチ感が損なわれてしまう。また、演奏者も部分P1の部分は、離鍵というよりも、押鍵行程において僅かに間をおく程度のつもりで演奏している場合が殆どあり、離鍵行程に移ったと判断すべきものではない。
同様にして、図6(イ)の部分P2に示すようなノイズの重畳があっても、テーブル切換が行われることがなく、安定した力覚付与が行われる。
(1)バックチェック振動再生
ピアノには、打弦後のハンマーがハンマーアクション機構に戻ったときのハンマーの暴れを防止するために、バックチェックが設けられている。この場合、強い打弦があると、ハンマーがバックチェックにあたった後に振動する。この振動の感触はピアニストにとっては重要な感覚であり、また、生ピアノとエレキピアノの大きな差でもある。
ここで、バックチェック振動について図7を参照して説明する。まず、図7(イ)に示すように、弦Sを打弦したハンマーHは、バックチェックBに衝突し、これにより、同図(ロ)に示すように振動する。そして、ハンマーHの振動は、ハンマーアクション機構を介して鍵2に伝達され、さらに指3に伝わる。この指3に伝わる振動は、ハンマーHの動きを伝えるものであり、たとえば、早い連打などを演奏する場合にはピアニストにとっては重要な感覚である。したがって、バックチェック振動を再現することは、生ピアノの感触を高精度に再現する上で重要である。
例えば、
0.2(m/s)<Velkかつ1.2<α
であればバックチェック振動ありと判定し、
Velk≦0.2(m/s)かつα≦1.2で
あれば、バックチェックなしと判定する。
この場合、CPU1は所定のメモリ(図示略)にバックチェック振動のデータを記憶しておき、これを離鍵行程の所定タイミングにおいて出力する。また、バックチェック振動のデータは、打鍵の強さに応じて複数記憶しておき、測定点K1〜K4のいずれかで得られた鍵速度に応じたものを選択すればよい。さらに、バックチェック振動データの出力タイミングも、上記と同様に測定点K1〜K4のいずれかで得られた鍵速度に応じて可変してもよい。
図4において説明したように、ダンパーペダルをオンした場合とオフした場合とで、反力が異なる。そこで、ダンパーペダルのオン/オフを検出するとともに、このオン/オフに従って使用する力覚付与テーブルを切り換えるようにしてもよい。
力覚付与テーブルは、上記実施形態で説明したもの以外を増設することもできる。すなわち、何らかの感触を演奏者に与える要素があれば、それを再現する力覚データを記憶した力覚付与テーブルを設定し、パラメータとしては、鍵位置、鍵速度、鍵加速度など任意のものを2つ以上選択して読み出すように構成すればよい。この場合の構成例を、図1に増設部60として示す。なお、増設する力覚付与テーブルのパラメータとしては実施形態で用いたもの以外を用いてもよい。なお、力覚付与テーブルは、3次元(パラメータが2つ)に限らず、より多くのパラメータを用いて多次元構成としてもよい。
パラメータとして、加速度の変化分、すなわち、加加速度を用いてもよい。この加加速度は、自動車などの乗り心地などの指標として用いられることもあり、人間の感覚に重要な要素として知られている。したがって、加加速度を検出し、これを用いて力覚制御をしてもよい。
(5)上述の実施形態においては、押鍵行程と離鍵行程のヒステリシス特性を模倣するために、鍵位置に関する力覚付与テーブル30、31を鍵速度の符号に応じて選択するようにしているが、鍵加速度の符号などの他の選択情報により選択するようにしてもよい。また、鍵速度あるいは鍵加速度のヒステリシス特性をも模倣するようにしてもよく、その場合には、鍵速度あるいは鍵加速度に関する力覚付与テーブルを複数設け、鍵速度や鍵加速度の符号などの選択情報に応じて選択するようにしてもよい。このとき、鍵速度あるいは鍵加速度に関する力覚付与テーブルの切り換えは、鍵位置の場合と同様に、選択情報の変化が基準期間を越えた場合にのみ行うことは勿論である。さらに、基準期間を鍵位置、鍵速度、鍵加速度で各々独立に設定可能にすれば、よりきめ細かい制御が可能となる。
(6)上述した実施形態においては、鍵の位置に関する時間に関する情報を、ヒステリシス特性を模倣するための力覚付与テーブルの切り換えに利用するようにしていたが、これに限らず、所定タイミング(例えば、押鍵が開始された瞬間、あるいは、鍵位置/鍵速度/鍵加速度が0を含む所定値になった瞬間など)から時間経過に応じて力覚を制御するようにしてもよい。これにより、例えば、所定タイミングからの時間が長くなるほど反力を大きくするか、あるいは小さくするといった制御が可能になる。
(7)上述の実施形態においては、離鍵過程においても力覚制御をしているが、離鍵時の感触があまり問題ない場合は、押鍵過程のみの力覚を制御してもよい。
(8)上述の実施形態においては、アコースティックピアノの力覚の再現を行う例を示したが、他の鍵盤楽器の力覚を再現するように、力覚付与テーブル内のデータを設定してもよく、さらに、任意の力覚を付与するように構成してもよい。この場合、少なくとも鍵位置に基づき鍵のオン/オフを検出する回路と、楽音信号を電子的に発生する楽音信号発生回路と、この楽音信号発生回路で発生される楽音信号の音色を選択する回路とを設け、操作された鍵に応じた音高であって、選択された音色の楽音信号を発生するとともに、選択された音色に対応する力覚を付与するようにしてもよい。これにより、選択された音色がピアノであれば、ピアノの音色の楽音信号を力覚がピアノの鍵盤で発生させたり、選択された音色がオルガンであればオルガンの音色の楽音信号を力覚がオルガンの鍵盤で発生させたりすることができ、聴覚と触覚から、あたかも、選択した音色の楽器を弾いているような感覚が得られる。
すなわち、第1の鍵盤用力覚制御装置として、鍵の運動に関する物理量を検出する鍵挙動検出手段と、前記鍵挙動検出手段が検出した物理量に基づいて押鍵行程か離鍵行程かを判定し、この判定結果と当該物理量に応じて力覚制御値を出力する力覚特性付与手段と、前記鍵に力を付与する力覚付与手段と、前記力覚特性付与手段が出力した力覚制御値に基づいて前記力覚付与手段の付与力を制御する制御手段とを具備する構成でも良い。
また、第2の鍵盤用力覚制御装置として、鍵の運動に関する物理量を検出する鍵挙動検出手段と、前記鍵挙動検出手段が検出した物理量および当該物理量の変化時間に基づいて力覚制御値を出力する力覚特性付与手段と、前記鍵に力を付与する力覚付与手段と、前記力覚特性付与手段が出力した力覚制御値に基づいて前記力覚付与手段の付与力を制御する制御手段とを具備する構成でも良い。
さらに、第3の鍵盤用力覚制御装置として、鍵の運動に関し、少なくとも鍵速度を含む2以上の物理量を検出しする鍵挙動検出手段と、前記鍵挙動検出手段が検出した物理量に基づいて力覚制御値を出力する力覚特性付与手段と、前記鍵に力を付与する力覚付与手段と、前記力覚特性付与手段が出力した力覚制御値に基づいて前記力覚付与手段の付与力を制御する制御手段と、前記鍵挙動検出手段が検出した鍵速度からバックチェック振動の有無を判定するバックチェック判定手段と、前記バックチェック判定手段がバックチェック振動ありと判定した場合には、所定のバックチェック振動に対応した力覚制御値を前記制御手段に出力するバックチェック制御手段とを具備する構成でも良い。
すなわち、第1の鍵盤用力覚制御方法として、鍵の運動に関する物理量を検出する第1の過程と、前記第1の過程で検出した物理量に基づいて押鍵行程か離鍵行程かを判定し、この判定結果と当該物理量に応じて力覚制御値を出力する第2の過程と、前記第2の過程で出力した力覚制御値に基づいて前記鍵に力を付与する第3の過程とを有しても良い。
また、第2の鍵盤用力覚制御方法として、鍵の運動に関する物理量を検出する第1の過程と、前記第1の過程で検出した物理量および当該物理量の変化時間に基づいて力覚制御値を出力する第2の過程と、前記第2の過程で出力した力覚制御値に基づいて前記鍵に力を付与する第3の過程とを有しても良い。
さらに、第3の鍵盤用力覚制御方法として、鍵の運動に関し、少なくとも鍵速度を含む2以上の物理量を検出する第1の過程と、前記第1の過程で検出した物理量に基づいて力覚制御値を出力する第2の過程と、前記第1の過程で検出した鍵速度からバックチェック振動の有無を判定する第3の過程と、前記第3の過程でバックチェック振動ありと判定した場合には、所定のバックチェック振動に対応した力覚制御値を出力する第4の過程と、前記第2の過程で出力した力覚制御値および前記第4の過程で出力した力覚制御値に基づいて前記鍵に力を付与する第5の過程とを有しても良い。
すなわち、第1の記憶媒体として、鍵の運動に関する物理量に基づいて押鍵行程か離鍵行程かを判定し、この判定結果と当該物理量に応じて力覚制御値を出力する第1の処理と、前記第1の処理で出力した力覚制御値に基づいて前記鍵に付与する力を制御する第2の処理とをコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶しても良い。
また、第2の記憶媒体として、鍵の運動に関する物理量および当該物理量の変化時間に基づいて力覚制御値を出力する第1の処理と、前記第1の処理で出力した力覚制御値に基づいて前記鍵に付与する力を制御する第2の処理とをコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶しても良い。
さらに、第3の記憶媒体として、鍵の運動に関し、少なくとも鍵速度を含む2以上の物理量に基づいて力覚制御値を出力する第1の処理と、前記鍵速度からバックチェック振動の有無を判定する第2の処理と、前記第2の処理でバックチェック振動ありと判定した場合には、所定のバックチェック振動に対応した力覚制御値を出力する第3の処理と、前記第1の処理で出力した力覚制御値および前記第3の処理で出力した力覚制御値に基づいて前記鍵に付与する力を制御する第4の処理とをコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶しても良い。
Claims (1)
- 鍵と、
前記鍵を駆動するソレノイドと、
前記鍵の動きを検出するセンサと、
前記鍵の動きに応じて前記センサから出力される信号に基づき、反力情報を発生させる反力発生手段と、
前記反力情報に基づき、前記ソレノイドに対するPWM指令値を出力するPWM指令値発生手段と、
を備え、
前記PWM指令値は、前記ソレノイドを駆動して反力を発生させるものであり、
前記PWM指令値発生手段は、複数のテーブルを有するとともに、ダンパーペダルのオン/オフに基づいていずれかのテーブルを選択し、該選択したテーブルに基づきPWM指令値を生成する
ことを特徴とする鍵盤楽器用力覚制御装置。
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