JP4131008B2 - 内視鏡の先端部 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は内視鏡の先端部に関し、特に、挿入部の先端に設けられた照明窓と観察窓とが同じ透明カバーによって被覆された内視鏡の先端部に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、内視鏡を介しての患者から患者への感染を未然に確実に防止する必要性が高まっている。
【0003】
その方策として、内視鏡の挿入部に対して被脱自在な水密性のシースを設けて、内視鏡にシースを被覆した状態で使用し、使用後にそのシースを新しいものと交換するのが一つの有力な手段である。そのようにする場合、照明窓と観察窓の表面にあたるシース部分は透明に形成しなければならない。
【0004】
しかし、両窓の表面を連続的な一枚の透明カバーで被覆すると、例えば図2に示されるように、照明窓101から出射された照明光が透明カバー102の厚みの中で反射を繰り返して観察窓103内に入射し、観察視野にフレアーやゴーストが発生してしまう。
【0005】
そこで従来は、透明カバーの厚みを例えば照明窓側から観察窓側へ次第に厚く形成し、照明窓から射出された光が透明カバーの厚みの中で観察窓側に向かう方向に反射を繰り返すと次第に反射角度が大きくなって、観察窓に対する入射光が観察光学系の最大入射角より大きくなるようにしてフレアーやゴーストの発生を抑制していた(特許第2868228号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、透明カバーの厚みを照明窓側から観察窓側へ次第に厚く形成する等の対策を施しても、照明窓から射出された照明光のうち観察窓以外の方向に向かった光が周辺部等で反射されて観察窓に到達すると、それが観察窓に対して対物光学系の最大入射角より小さな入射角で入射して観察視野にフレアーやゴーストが発生してしまう場合がある。
【0007】
そこで本発明は、照明窓の表面と観察窓の表面とが同じ透明カバーで被覆された内視鏡の先端部において、フレアーやゴーストのない良好な観察像を得ることができる内視鏡の先端部を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡の先端部は、照明光を射出する照明窓と光像をとり入れる観察窓とが挿入部の先端に並んで配置され、照明窓の表面と観察窓の表面とが同じ透明カバーで被覆された内視鏡の先端部において、透明カバーの照明窓に被覆された部分の外表面を凹レンズ状の凹面に形成したものである。
【0009】
なお、照明窓から射出された照明光が全て凹面に当たる程度に、凹面の外縁の径が照明窓より大きく形成されているとよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1において、1は、内視鏡の挿入部可撓管の先端部分であり、その先端に連結された先端部本体2の先端面に、光像をとり入れる観察窓3と照明光を射出する照明窓4とが並んで配置されている。
【0011】
観察窓3の内側には対物光学系5が配置され、その対物光学系5による被写体の投影位置にイメージガイドファイババンドル6の像入射面(又は固体撮像素子の撮像面)が配置されている。照明窓4には、ライトガイドファイババンドル7の射出端面が配置されている。
【0012】
10は、挿入部可撓管1に着脱自在に被覆される被覆シースであり、その先端部分には先端部本体2の先端面を被覆する例えばポリプロピレン又はポリエチレン等のような透明なプラスチックからなる透明カバー11が取り付けられており、観察窓3と照明窓4とが同じ透明カバー11により各々密着被覆された状態になっている。
【0013】
そのような透明カバー11は、全体として一定の厚みに形成されているが、照明窓4を被覆する部分の外表面には、凹レンズ状の凹面12が形成されており、ライトガイドファイババンドル7から射出された照明光が全て凹面12に当たるように、凹面12の外縁の径がライトガイドファイババンドル7の射出端面(即ち照明窓4)よりある程度以上大きく形成されている。
【0014】
このように構成された実施例の内視鏡の先端部においては、照明窓4から射出された照明光が透明カバー11を通り、その大半は凹面12を通過して被写体に照射されるが、図1にAで示されるように、一部の光は凹面12で反射されて透明カバー11の厚み内に戻される。
【0015】
しかし、A点で光が透明カバー11の厚み内に反射される際には、そこが平行平面板ではなく凹面12になっているので、平行平面板の場合に比べて反射角度が大きくなる。
【0016】
その結果、その光が透明カバー11の厚み内で反射を繰り返して観察窓3に入射しても、その入射角度が対物光学系5の最大入射角より大きくなる確率が大きくなり、フレアーやゴーストの発生が抑制される。
【0017】
また、照明窓4から射出されて透明カバー11の厚み内で反射を繰り返す照明光のうち、観察窓3に直接向かわずに、一旦は観察窓3以外の方向に向かった後に透明カバー11の周辺部等で反射されて観察窓3に向かって来る光があるが、それらの光も全て凹面12における反射により反射角度が大きくなっている。
【0018】
したがって、透明カバー11の厚み内を通って観察窓3にどの方向から入射する光も、入射角度が対物光学系5の最大入射角より大きくなっている確率が大きく、フレアーやゴーストの発生が抑制される。
【0019】
このようにして、透明カバー11における内面反射に起因するフレアーやゴーストの発生がほとんど皆無になり、観察窓3を通してコントラストのよい良好な観察像を得ることができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、透明カバーの照明窓に被覆された部分の外表面を凹レンズ状の凹面に形成したことにより、照明窓から射出された後に透明カバーの厚み内で反射を繰り返して観察窓に達する光は、照明窓からどの方向に向かう光も凹面における反射の際に反射角度が大きくなっているので、観察窓への入射角度が対物光学系の最大入射角より大きくなる確率が大きく、フレアーやゴーストのない良好な観察像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の内視鏡の先端部の側面断面図である。
【図2】従来の内視鏡の先端部の側面断面図である。
【符号の説明】
1 挿入部可撓管
2 先端部本体
3 観察窓
4 照明窓
5 対物光学系
10 被覆シース
11 透明カバー
12 凹面
Claims (1)
- 照明光を射出する照明窓と光像をとり入れる観察窓とが挿入部の先端に並んで配置され、上記照明窓の表面と上記観察窓の表面とが同じ透明カバーで被覆された内視鏡の先端部において、
上記透明カバーの上記照明窓に被覆された部分の外表面を凹レンズ状の凹面に形成して、上記凹面の中心位置における上記透明カバーの厚みを上記凹面の外縁位置における上記透明カバーの厚みの半分より薄く形成すると共に、上記凹面の外縁を、上記照明窓の外縁部分から最も外方に向かう角度で射出された照明光線が通る位置より外側位置に形成したことを特徴とする内視鏡の先端部。
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