JP4130958B2 - ビタミンdアッセイ - Google Patents
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Description
ビタミンDは、食物の中に広く見つけられるものではなく、むしろ、皮膚で生産される。一度生産されると、25-ヒドロキシル化されて肝臓で25-ヒドロキシ-D(25-OH-D)を形成する。25-OH-Dの循環濃度は、ヒトにおけるビタミンDの状態の重要な指標であると考えられる。例えば、皮膚でのビタミンDの不十分な内生的生産、及び不十分な栄養補充、及び/又は栄養源からビタミンDの充分量を吸収する小腸の不能から生じるビタミン欠乏症は、低カルシウム血症及び低リン酸血症、及び対応する二次的な副甲状腺機能亢進症を招く。また、ビタミンD欠乏症は、鉱質代謝の障害(即ち、子供と成人において、それぞれ、くる病と骨軟化症)を招く。
また、腸吸収不良症候群、肝臓疾患(慢性及び急性)、及びネフローゼ症候群では、血漿25-OH-Dレベルが正常よりも低いことが分かる。骨減少症、特に老人において、血漿25-OH-Dレベルが、しばしば正常よりも低いことが分かる。ビタミンD中毒の場合、血漿25-OH-Dレベルは、予想通り、正常よりも高いことが分かる。
一度ヒドロキシル化されると、25-OH-Dは、腎臓で再びヒドロキシル化され、ホルモンの形である1,25-ジヒドロキシ-ビタミンD(1,25-(OH)2-D)になる。また、血中の1,25-(OH)2-Dレベルは、一定の病気の重要な指標である。例えば、低いレベルの1,25-(OH)2-Dは、腎不全及び/又は骨粗鬆症の指標である。
これらの病理学上の重要性を考えると、すばらしい効果が、循環における25-OH-D及び/又は1,25-(OH)2-Dの正確な測定濃度の開発中のアッセイに向けられている。
例えば、血中の25-OH-D濃度は、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)と競合タンパク質結合アッセイによって測定される(Eismanら、Anal. Biochem. 80:298-305(1977);及びHaddadら、J. Clin. Endocr. 33:992-995(1971))。例えば、結合25-OH-Dに対して強い選択性を有する、DBPとして知られるビタミンD輸送タンパク質は、競合結合アッセイに使用される(Bouillionら、J. Steroid Biochem. 13:1029-1034(1980))。
また、様々な競合結合アッセイが1,25-(OH)2-Dの存在をアッセイするのに使用される(Shigeharuら、Anal. Biochem. 116:211-222(1981);Eismanら、Arch. Biochem. Biophys. 176: 235-243 (1976); Perryら、Biochem. Biophys. Res. Comm. 112:431-436 (1983);Bouillionら、Ann. Endocrin. 41:435-436(1980);Bouillion, Clin. Chem. 26:562-567(1980);Bouillion, Eur. J. Biochem. 66:285-291(1976))。このようなアッセイで、ビタミンD及びその代謝産物を、血清又は血漿から有機溶媒で抽出した。次に、抽出物を、カラムクロマトグラフィー及びHPLCで精製し、1,25-(OH)2-Dを得た。次に、精製された1,25-(OH)2-Dを測定した。
現存するアッセイシステムは有用であるが、ビタミンD及び/又はビタミンD代謝産物を遊離するのに、有機溶媒に頼るのは問題がある。有機溶媒を使用することに伴う問題点には以下が挙げられる:(A)揮発性有機溶媒の取り扱いが難しく、(B)面倒なマニュアル抽出法であり、(C)2つの移す工程が要求されることによって患者の識別ができなくなり、及び(D)測定の正確さが失われる。
ヘテロジニアス抽出は、非常に技術依存的であるので、ヘテロジニアス抽出工程によって正確さが失われることが起こり得る。例えば、ヘテロジニアス抽出工程において、幾つかのマトリックス成分が代謝産物を含む有機層と一緒に抽出され得る。このようなマトリックス成分の一つが脂質であり、代謝産物の値の測定を上昇させることが示される。
哺乳類の体液中のビタミンD及びその代謝産物の濃度を決定するための改良されたキット及び方法が必要とされている。
本発明に従って、キットは、ビタミンD成分の濃度を測定することを特徴とする。広い態様において、このキットは、遊離組成物を含む。遊離組成物は、ビタミンD成分結合タンパク質からビタミンD成分を遊離するのを促進する。一つの態様において、遊離組成物は、実質的に有機溶媒を含まない。一つの態様において、更に、キットは、検出組成物を含む。検出組成物は、ビタミンD成分の濃度を測定するのを促進する。
更に本発明に従って、本発明によるキットは、哺乳類の体液に存在するビタミンD成分の濃度を測定するのに有用であろう。哺乳類の体液は、乳汁、全血、血清、血漿及びこれらの混合物でよい。例えば、哺乳類の体液は、ヒト血清を含むことができる。
更に本発明に従って、ビタミンD成分は、ビタミンD、ビタミンDの前駆体、ビタミンDの代謝産物及びこれらの混合物でよい。例えば、ビタミンD成分は、25-OH-Dを含むことができる。
更に本発明に従って、遊離組成物は、水溶性塩基成分、例えば、NaOH又はKOHを含む。一つの態様において、遊離組成物は、約0.1〜1.0Mの水溶性塩基成分を含む。一つの態様において、遊離組成物は、実質的に有機溶媒を含まない。一つの態様において、遊離組成物は、ビタミンD成分をアッセイするための様々なバイオアッセイシステムに適合できる。
更に本発明に従って、遊離組成物は更に、シクロオリゴマー成分、例えば、シクロデキストリン、これらの誘導体及びこれらの混合物を含む。一つの態様において、遊離組成物は、約0.01〜5%のシクロオリゴマー組成物を含む。
更に本発明に従って、遊離組成物は、更に約0.5〜5%の、サリチル酸ナトリウムを含む、サリチル酸金属を含む。
更に本発明に従って、遊離組成物は、約0.01〜0.1%の界面活性剤を更に含む。
更に本発明に従って、遊離組成物は、哺乳類の体液と均一な混合物を形成する。
更に本発明に従って、検出組成物は、ホスト成分とパートナー成分を含み、ホスト成分は、パートナー成分と結合して、パートナー/ホスト複合体を形成する。複合体の濃度は、ビタミンD成分の濃度に比例するであろう。一つの態様において、複合体の濃度は、ビタミンD成分の濃度に反比例する。一つの態様において、ホスト成分は、抗体及び/又はその一部を含む。
更に本発明に従って、ホスト成分は、標識される。一つの態様において、ホスト成分は、化学発光ラベル、例えばアクリジニウム、蛍光ラベル及び/又は放射性ラベルで標識される。
更に本発明に従って、パートナー成分は、セパレーター成分に結合したビタミンD成分を含み、セパレーター成分は、固相、例えば抗体や磁性粒子である。
更に本発明に従って、パートナー成分は、少なくとも1種類の中間結合成分、例えばビタミンD結合タンパク質を介してホスト成分と結合する。
更に本発明に従って、測定工程は、(a)検出組成物をホルダーに添加する工程であって、検出組成物がホスト成分とパートナー成分とを含み、ホスト成分は、パートナー成分と結合してパートナー/ホスト複合体を形成する工程、(b)試験管に複合体を単離する工程、(c)複合体のホスト成分の濃度を測定することによって、複合体の濃度を測定する工程であって、複合体の濃度がビタミンD濃度に比例する工程、を含む。
ここで述べた特徴又は特徴の組合せは、規定された本発明の範囲内に含まれ、このような組合せに含まれる特徴は、相互に矛盾せず、文脈、本明細書、及び当業者の認識から明白であろう。
本発明の付加的な利点及び解釈は、以下の詳細な説明及びクレームに明らかである。
広い態様において、本発明は、ビタミンD成分の濃度を測定するキットを提供する。一つの態様において、キットは、哺乳類、例えばヒトに見出だされたビタミンD成分の濃度を測定するのに有用である。好ましい態様において、キットは、哺乳類の体液中のビタミンD成分の濃度を測定するのに有用である。体液には、乳汁、全血、血清、血漿又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。体液は、好ましくは、ヒトの血清である。
ビタミンD成分には、ビタミンD、ビタミンD前駆体及びビタミン代謝産物が挙げられる。ビタミンD成分には、例えば、ビタミンD2、D3、D4、D5及びD6、例えば7-デヒドロコレステロール等のビタミンDの前駆体、及び例えばビタミンD2、D3、D4、D5及びD6、好ましくは1,25-OH-D2、より好ましくは25-OH-Dの代謝産物等のビタミンDの代謝産物が挙げられるが、これらの例に限定されない。多くの場合、ビタミンD成分は、ビタミンD成分結合タンパク質と結合している。例えば、ヒト血清において、25-OH-Dは、たんぱく質に結合しており、このたんぱく質は、当業者に一般にDBPと呼ばれる。
本発明のキットは、遊離組成物を含む。本発明の遊離組成物は、ビタミンD成分の濃度を測定するのに、当業者に知られている様々なバイオアッセイに、又は一緒に使用するのに適合し得る。好ましくは、本発明の遊離組成物は、ビタミンD成分の濃度を測定する前にビタミンD成分を精製する必要性を実質的に除去する。また好ましくは、本発明の遊離組成物を含むバイオアッセイキットは、ビタミンD成分の測定における改善された正確さを有する。
好ましい態様において、遊離組成物は、約0.1〜1Mの水溶性塩基成分を含む。より好ましくは、遊離組成物は、約0.35〜0.5Mの水溶性塩基組成物を含む。例えば、本発明による遊離組成物は、約0.35〜0.5MのNaOHを含めることができる。
実施の一定の理論又は方法に本発明を制限することを求めることなく、水溶性塩基組成物は、ビタミンD結合タンパク質、即ちDBPを変性し、好ましくは不可逆的に変性し、結合ビタミンD成分に遊離を起こさせると信じられている。更にまた、水溶性塩基成分は、他の血漿又は血清タンパク質、例えばアルブミンを不可逆的に変性することが可能である。更に、これらのタンパク質は、ビタミンD成分の検出を妨げることがあると信じられており、それらの変性はこの効果を減少させる。
好ましい態様において、シクロオリゴマー成分は、α-シクロデキストリンから成る。より好ましい態様において、シクロオリゴマー成分は、β−ランダムメチル化シクロデキストリンから成る。また、シクロオリゴマー成分は、α-シクロデキストリンの誘導体、β-シクロデキストリン、β-シクロデキストリンの誘導体、γ-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンの誘導体、カルボキシメチル-β-シクロデキストリン、カルボキシメチル-エチル-β-シクロデキストリン、ジエチル-β-シクロデキストリン、ジメチル-β-シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリン、ランダムメチル-β-シクロデキストリン、グルコシル-β-シクロデキストリン、マルトシル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン等、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ここで使用される、シクロデキストリンに関係する用語「誘導体」は、置換された又は他の変更された化合物を意味し、親シクロデキストリンの特徴的な化学構造を有している。
一つの態様において、遊離組成物は、約0.01〜5%のシクロオリゴマー成分を含む。例えば、好ましい態様において、遊離成分は、約2%のα-デキストリンを含む。別の好ましい態様において、遊離組成物は、約0.05%のβ-ランダムメチル化シクロデキストリンを含む。別の態様において、遊離組成物は、実質的に、シクロオリゴマー成分を含まない。
一つの態様において、更に、遊離組成物は、サリチル酸塩等、例えば8-アニリノ-1-ナフタレンスルホン酸(ANS)を含む。実施の一定の理論又は方法に本発明を制限することを求めることなく、本発明のサリチル酸塩等は、ビタミンD成分を、タンパク質への結合から遊離し、及び/又は遊離組成物のビタミンD成分を可溶化するのに少なくとも効果的である。好ましい態様において、サリチル酸塩は、サリチル酸金属であり、例えばサリチル酸ナトリウムである。遊離組成物は、好ましくは、約0.5〜5%のサリチル酸金属、例えばサリチル酸ナトリウムを含む。別の態様において、遊離組成物は、実質的に、サリチル酸塩等を含まない。
本発明の遊離組成物は、水溶性塩基成分から成り、実質的に、シクロオリゴマー成分、サリチル酸塩及び界面活性剤を含まない。好ましい態様において、遊離成分は、水溶性塩基成分及び少なくともシクロオリゴマー成分と、サリチル酸塩及び/又は界面活性剤を含む。より好ましい態様において、遊離組成物は、水溶性塩基成分及びシクロオリゴマー成分を含む。更により好ましい態様において、遊離組成物は、水溶性塩基成分、シクロオリゴマー成分及びサリチル酸塩を含む。例えば、好ましい遊離成分は、約0.1〜1Mの水溶性塩基成分、約0.01〜5%のシクロオリゴマー成分及び約0.01〜5%のサリチル酸塩を含む。
前述したように、本発明の遊離組成物は、ビタミンD成分の濃度を測定するのに、当業者に知られている様々なバイオアッセイ技術に、又は一緒に使用するのに適合され得る。例えば、一つの態様において、本発明のキットは、遊離組成物及び検出組成物を含む。
一定の抗原に対して特異的な抗体、例えばパートナー成分を製造する、様々な方法が当業者に知られている。例えば、抗体は、抗原を注射したウサギから生じ、抗原は、パートナー成分又はその部分である。更に、合成抗体も作れる。(米国特許第5,110,833号参照のこと、その開示は参照によってそのままここに組み込まれる。)
パートナー成分の特定の組成物は、アッセイの性質に依存する。例えば、競合アッセイ技術を使用すると、パートナー成分は、パートナー/ホスト複合体を形成するホスト成分の結合部位で、遊離されたビタミンD成分と競合することができる競合分子を含めることができる。好ましくは、この競合分子が、セパレーター成分と結合し、セパレーター分子はパートナー/ホスト分子の分離及び単離を、最終的に促進する。セパレーター分子には、ペプチド、抗体、小分子、ポリマー粒子及び/又は磁性粒子が含まれるが、これらに限定されない。競合する分子は、当業者に知られる様々な方法によって分離する成分に結合することができる。例えば、この分子を、セパレーター分子に化学結合を介して又は抗体を経由して結合することができる。
一つの態様において、セパレーター成分は、セパレーター成分に現に付着された他のもの、例えば競合分子と一緒に、様々な方法によって溶液から単離できる。例えば、分離する成分が抗体の場合、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)の技術などが、分離する成分を単離するのに使用できる。分離する成分が磁性粒子の場合、次に磁界を、分離する成分を溶液から単離するのに使用できる。
一つの態様において、パートナー成分は、ビオチンD成分、例えば遊離された25-OH-Dと競合して、ホスト成分、例えば抗体と結合し、パートナー/ホスト複合体を形成する。次に、パートナー/ホストは単離され、その濃度が測定される。ビタミンD成分、例えば25-OH-Dの濃度は、パートナー/ホストの濃度に直接比例するであろう。
別の態様において、セパレーター成分に結合した競合分子を含むパートナー成分は、ビタミンD成分と競合して、1以上の中間結合成分に結合する。中間結合成分の少なくとも1つは、ビタミンD成分のための結合部位を有する。この場合、ホスト成分は、中間結合成分を介してパートナー成分と複合体を形成する。(パートナー成分が中間成分を介してホスト成分と複合体を形成すると、パートナー/中間/ホスト複合体が形成される。パートナー/中間/ホスト複合体は、明瞭にするために、「パートナー/ホスト」複合体としてここで時々言及され得る。)例えば、一つの態様において、パートナー成分は、ビオチンを介して磁性粒子に結合した25-OH-Dを含み、このパートナー成分は、中間結合成分、例えばDBPの結合部位で、遊離された25-OH-Dと競合する。パートナー成分が中間結合成分に結合した後、ホスト成分、例えば抗体は、中間成分に結合することによって、中間結合成分を介してパートナー成分と複合体を形成することができる。好ましい態様において、DBPに結合したホスト成分抗体(以下「抗DBP」とする)は、デンマークのダコ(DAKO)からウサギ抗ヒトGcグロブリンの商標名で購入されたウサギ抗体である。
更に、ホスト成分は、パートナー成分がビタミンD成分と競合して中間結合成分に結合する場合に存在し得、又はまずパートナー/中間複合体が溶液から単離されて、続いてホスト成分が導入されてパートナー/中間/ホスト複合体を形成する。本発明に従って形成されたパートナー/ホスト複合体の濃度は、測定されたビタミンD成分の濃度に比例するであろう。(以下通じて、「パートナー/ホスト複合体」は、パートナー/ホスト複合体又はパートナー/中間/ホスト複合体にあてはめることができる)。一つの態様において、パートナー/ホスト複合体の濃度は、パートナー/ホスト複合体を単離し、かつホスト成分のレベルを測定する及び/又はパートナー成分が中間成分を介してホスト成分と複合体を形成する場合、中間成分のレベルを測定することによって、測定することができる。当業者に知られる様々な方法は、ホスト成分及び/又は中間成分の濃度を測定するのに適当及び使用され得る。
本発明に有用な化学発光分子には、ルシフェリン、ルミノール、ピロガロール、イソルミノール、エクオリン、サイクリックアリールヒドラジド、ジオキセタン、ロジウムキレート(電気化学発光)、シュウ酸エステル、熱化学発光標識、アクリジニウム等が挙げられるが、これらに限定されない。これらのラベルは、当業者に周知の技術で、タンパク質、例えば抗DBPに結合できる。(米国特許5,284,952号を参照されたい。この開示は、参照によってそのままここに組み込まれる。)一つの態様において、抗DBPのようなシグナル成分は、米国特許第5,284,952号に見出される方法を使用することによって、アクリジニウムで標識できる。(米国特許第5,110,932号、5,338,847号も参照されたい。これらの開示は、参照によってそのままここに組み込まれる。)この態様において、アクリジニウムは、抗DBPのリジン残基を標識する。充分な数の抗DBPが、標識されたホスト成分として有効であるように適切な場所に標識される。
本発明に有用な蛍光分子は、ウンベリフェロン、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッドダイ、フタロシアニン(pthalocyanine)、クマリン、スクアライン(squaraine)、アントラセン、エリトロシン、ユーロピウムキレート等が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、DBPのようなシグナル化合物を、ウンベリフェロンで標識することができる(米国特許第3,901,654号を参照のこと、その開示は、参照によってここに全て含まれる)。
本発明に有用な酵素は、反応物質に触媒作用を及ぼして生成物を作ることができる酵素が挙げられ、この生成物は検出することができる。開発されてアッセイで使用される模範的な酵素は、米国特許第3,654,090号、第3,791,932号、第3,839,153号、第3,850,752号、第3,817,837号、第3,879,262号、Journal of Immunological Method 1、247(1972)、およびJournal of Immunology 109、129(1972)に記載されているものが挙げられ、これらの記載は、参照によって、ここに全て組み込まれる。本発明に従って使用できる他の酵素には、ガラクトシダーゼ、グルコニダーゼ、フォスファターゼ、ペプチダーゼ、アルカリフォスファターゼ等が挙げられる。一つの態様において、本発明に従う酵素は、化学発光反応物質に触媒作用を及ぼすことができ、生じた生成物の一つは、明るいシグナルであり、検出可能である。
本発明に有用な補酵素には、反応物質に触媒作用を及ぼす酵素を促進し、検出可能な生成物、例えば光を生成する、分子及び/又はタンパク質が挙げられる。補酵素として、AFD及びNADが挙げられるが、これらに限定されない。一つの態様において、抗DBPをNADで標識することができる(例えば米国特許第4,380,580号を参照のこと、この記載は、参照によってここに全て組み込まれる)。
本発明に有用なアイソトープには、H3、P32、F18が挙げられるが、これらに限定されない。他の標識には、分光光度的活性物質の非活性前駆物質(英国特許第1,392,403号及び仏国特許第2,201,299号を参照のこと、これらの特許は米国特許第3,880,934号に対応する)及び電子スピン共鳴成分(米国特許第3,850,578号)が挙げられる。
本発明に有用な感作物質は、米国特許第5,705,622号に開示されているものが挙げられ、その開示は参照によってここに全て含まれるが、これらに限定されない。例えば、受容体分子をDBPに付着でき、また受容体分子をビタミンD成分に付着できる。
表1は、本発明の遊離組成物を使用できる、幾つかの一般的なアッセイ(A〜H)を確認するが、これらに限定されない。アッセイAは、前に議論されたものである。
アッセイBは、体液サンプルのビタミンD成分を遊離する遊離組成物を同様に使用できる。一旦遊離されると、組成物又は標識されたDBPと、セパレーター成分、例えば磁性粒子に結合したビタミンD成分とを含む一連の組成物に、ビタミンD成分を添加できる。好ましくは、遊離されたビタミンD成分は、前記組成物に添加する前に精製しなくてよい。換言すれば、標識されたDBPと、セパレーター成分に結合したビタミンD成分とを含む組成物を、体液サンプル及び有利組成物の均一な混合物に添加できる。
アッセイCからGは、体液サンプルからビタミンD成分を遊離するのに遊離組成物を同様に使用できる。一旦遊離されると、検出組成物又はそれぞれのアッセイで同定される成分を含む、一連の検出組成物を添加することができる。アッセイGでは、ビオチンをアビジンに結合するのに助けになる条件を、米国特許第5,395,938号(名称:ビオチン化された化学発光標識及びそれらのコンジュゲート、アッセイ及びアッセイキット)に開示されているのと同様にすることができ、その開示は、参照によってここにすべて組み込まれる。
また、アッセイHは、ビタミンD成分を体液サンプルから遊離する本発明の遊離組成物を使用することができる。遊離後、ビタミンD成分は、例えば、抗体のような、ホスト成分に直接結合することができる。また、遊離されたビタミンD成分は、標識された抗体に結合することができる。好ましくはホスト成分及び標識された抗体は、遊離されたビタミンD成分の異なる決定因子に結合することができる(米国特許第5,641,690号、イムノメトリックアッセイ法を開示しており、その開示は参照によってここに全て組み込まれる)。ホスト/ビタミンD/標識抗体の複合体は、当該技術分野で知られている通常利用される技法、例えばELISAで単離され計算される。
現在、25-OH-Dの濃度を測定するイムノアッセイは、25-OH-Dを遊離する有機溶媒を使用する。有機溶媒を血清に添加することによって、沈殿物又は2層の液体のいずれかを生ずる。その後、遊離された25-OH-Dを含む層を(手動で)分離し、他の組成物と混合して25-OH-Dの濃度を測定する。25-OH-Dを分離する工程は、特に分離工程が手動で行われると、(a)時間がかかる、かつ(b)アッセイのエラーの原因となる。
本発明は、濃度を測定する前に、遊離された25-OH-Dの精製又は実質的に精製の必要性が除去され、アッセイの自動化を可能にする。この例において結合タンパク質からの25-OH-Dの自動化された遊離及び25-OH-D濃度の測定が、ニコルスアドバンテージシステムで行われる。この工程は、完全に自動化される。手動でのピペッティング及び遠心分離は必要ない。ニコルスアドバンテージシステムと併せたアッセイキットの使用には、遊離組成物及び検出組成物が含まれる。
遊離組成物は、水溶性塩基成分(0.1〜1.0M NaOH)、β−ランダムメチル化シクロデキストリン(0.01〜5%)、及びサリチル酸ソーダ(0.01〜5%)を含む。遊離組成物のpHは、約13である。
検出組成物
検出組成物は、表面に固定化された25-OH-Dを有する磁性粒子懸濁液、DBP、抗DBP及び安定剤を含む。また、検出組成物はpH約6〜9であり、好ましくは8.3である。更にまた、検出組成物は、全混合物(均一な混合物及び検出組成物)のpHを、DBPが安定でかつ25-OH-Dを結合できる範囲にする緩衝能を有する。好ましくは全混合物は、pH約6〜9、好ましくは8.3を有する。使用されるバッファー系は、200mMトリス、150mM NaCl、0.9%ゼラチン、1%ウシ血清アルブミン及び0.09%アジ化ナトリウムを含む。
ストレプトアビジン被覆粒子は、粒径約0.5〜5μmであり、セラダイン(Seradyne)、ダイナル(Dynal)、バングス(Bangs)ラボラトリーズから購入できる。25-OH-Dは、ビオチン等を介して粒子に付着する(ホリックら、米国特許第5,981,779号参照のこと、その開示は参照によってここに全て組み込まれる)。アッセイに使用する粒子の量は、1.25〜2.5mg/mL懸濁液の約5〜30μL(好ましくは25μL)である。
DBPの濃度は、約0.2〜1.0μg/mLであり、約10〜280μL、好ましくは約250μLの量でアッセイに添加される。
好ましくはダコ(DAKO)から購入した、抗DBPを、アクリジニウムスルホニルクロライド誘導体、化学発光標識で標識する。好ましくは、アクリジニウム誘導体は、米国特許第5,284,952号で開示された方法で標識され、その開示は参照によってここにすべて組み込まれる。端的に言えば、コンジュゲートは、アセトニトリル中の活性標識をpH9.6のカーボネートバッファー中の抗体に添加することによって調製される。反応は約30分間の周囲温度で進み、未付着標識は、ゲル濾過クロマトグラフィーで除去される。標識された抗DBPは、pH約6.0のバッファーで濃度約0.2〜10μg/mLに希釈する。アッセイに添加されたアクリジニウム標識抗DBPの量は、約10〜280μL、好ましくは約50μLである。
好ましい態様において、安定剤をアッセイの組成に添加できる。例えば、安定剤を検出組成物に添加できる。安定剤には、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、卵アルブミン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等及びこれらの混合物が挙げられる。これらの安定剤は、アッセイ成分の非特異的結合をブロックするのに効果的である。
約10〜100μL、好ましくは20μLの患者体液サンプルと、約10〜100μL、好ましくは60μLの遊離組成物をホルダー、例えばキュベットウエルにピペットでとり、均一な混合物を作る。遊離組成物を、インキュベーターで、定温(約25〜37℃、好ましくは37℃)で、特定の時間(1〜60分、好ましくは21分)、患者サンプルに作用させる。遊離が完了したら、検出組成物を均一な混合物に直接ピペットでとり、全混合物を作る。全混合物を約30分〜60分、好ましくは42分インキュベートする。このインキュベーション中、25-OH-D-ビオチン磁性粒子は、患者サンプルの25-OH-Dと競合して、標識したDBPとの複合体を形成する。実質的に、25-OH-D-ビオチン磁性粒子/標識DBP複合体を洗浄によって単離する。複合体の濃度を、化学発光リーディングで測定する。複合体の濃度は、患者サンプルの25-OH-D濃度の濃度に反比例する。
必要労働量を減少する以外に、このアッセイ方法は、陽性患者の識別を可能にする。陽性患者の識別は、ニコルスアドバンテージシステムが遊離組成物と体液とを含むサンプルホルダーに直接検出組成物をピペットでとり、どのサンプルホルダーも結果を合わせるためのバーコードがついている。
25-OH-Dの測定のイントラ変動係数(CV)試験を、ニコルス自動化アッセイ機器、ニコルスアドバンテージを合わせた本発明のキットを使用したシステムを含む、様々なシステムで検討した。本発明のキットとニコルスアドバンテージ自動化技術を使用する検討には、患者サンプルを得ること及びアッセイ20回を行うことを含む。その結果を表IIに示す。
表II
各用量の範囲において、ニコルスアドバンテージシステムと併せた本発明のアッセイキットを使用するアッセイのCVDは、他のアッセイシステムよりも良好である。例えば、本発明のアッセイキットは、用量46.8でCVD2.6%であり、125Iアッセイキット#2は、用量49.0でCVD12.5%であり、125Iアッセイキット#1は、用量58.4でCVD5.0%である。
約1mgのビタミンD結合タンパク質、即ちDBPを、pH8.2の100mM PBSで3回バッファー交換した。最終量は、200μLであった。スクシニルアミノブチルエチルイソルミノールNHSエステル(4.6mg)をDNFに溶解した。イソルミノール(17μL)をDBPに添加して、混合物を室温に約1時間おき、ときどきシェーキングした。未反応標識をセファデックス-G25(23×1cm)と移動相として100mM PBS、pH6.0を使用してサイズ排除クロマトグラフィーで除去した。
約1mgのビタミンD結合タンパク質、即ちDBPを、pH9.6の20mM炭酸ナトリウムバッファーで3回バッファー交換した。最終量は、500μLであった。フルオレセイン-5-イソチオシアネート(FITC)の2つのアリコートを、濃度1.25mg/mlになるように添加する直前に、DNFに溶解した。第一FITCアリコート(5μL)を添加し、混合物が室温で反応可能になる。15分後、第二アリコート(5μL)を添加して更に15分間反応を進める。未反応標識をセファデックスG-25(2cm×33cm)と100mM、pH7.4の移動相を使用してサイズ排除クロマトグラフィーで除去した。
約2.0mgのDBPを、pH9.6の20mM重炭酸で3回バッファー交換し、最終量1.0mLを得た。スルホ-NHS-LCビオチン(ピアス)の2つのアリコートを、添加直前に水に溶解して1mg/mL溶液にした。第一アリコート(10μL)を添加して室温で5分間反応させた。第二アリコート(10μL)を添加して、更に4分間反応を進めた。未反応ビオチンを、セファデックスG-25と移動相として100mMPBS、pH7.4を使用するサイズ排除クロマトグラフィーで除去した。
2.5mgの抗体を、pH9.6の20mM重炭酸バッファーで3回バッファー交換し、最終量1.75mlを得た。スルホニルクロライドアクリジニウムエステルを十分なアセトニトリルに溶解し、1.75mg/mLにした。アクリジニウムエステル(52.5μL)を抗体に添加し、反応混合物を室温で約0.5時間おいた。未反応標識を、セファデックスG-75と移動相としてpH6.0の100mM PBSを使用するサイズ排除クロマトグラフィーで除去した。
抗DBP(ダコ)をバッファー交換して、pH9.6、20mM重炭酸バッファー1.1mLに存在するタンパク質2.2mgを得た。スルホニルクロライドアクリジニウムエステルの溶液(1.6mg/mL)は、アセトニトリルであった。アクリジニウム(4.4μL)を抗体に添加し、反応混合物を室温で15分間おく。アクリジニウムの第二アリコート(4.4μL)を添加し、更に15分間おく。未反応標識を、混合ベッドカラム(セファロース6B/セファデックスG-75、1.5cm×48cm)のクロマトグラフィーで除去する。
ベーリンガーマンハイムバイオケミカの活性化ペルオキシダーゼを標識に使用した。DBP(4mg)をpH9.8、100mM炭酸バッファー(1mL)に溶解した。この溶液をPOD(8mg)に添加した。室温で1時間反応を進めた。コンジュゲーションを120μLのトリエタノールアミン溶液(pH8、30%)の添加でクエンチした。水に新しく溶解したホウ化水素ナトリウム(150μL)を室温で約0.5時間おいた溶液に添加した。追加のホウ化水素ナトリウム(75μL)を供給し、更に2時間室温で反応を進めた。コンジュゲートをグリシンの入ったpH6.0のPBSで透析した。
本発明を、様々な特定の例及び態様に関し述べたが、本発明は、それらに限定されることなく、また以下のクレームの範囲内において様々に実施できることは理解されるべきである。
Claims (28)
- ビタミンD成分の濃度を測定するキットであって、遊離組成物及び検出組成物を含み、前記遊離組成物が、0.01〜5%のシクロデキストリン、0.01〜5%のサリチル酸ナトリウム、及び0.1〜1.0MのNaOHを含み、前記シクロデキストリン、サリチル酸塩、及びNaOHは、哺乳類のサンプル中に存在するビタミンD成分に及ぼす結合タンパク質又は結合脂質からの干渉を減少させる有効量で供給され、及び、
前記検出組成物が、前記ビタミンD成分が哺乳類のサンプル中に存在する場合、検出可能なシグナルを生じるための量で供給される標識を含むことを特徴とする、キット。 - 前記哺乳類のサンプルが、乳汁、全血、血清、及び血漿から成る群から選択される、請求項1記載のキット。
- 前記哺乳類のサンプルが、ヒト血清である、請求項1記載のキット。
- 前記ビタミンD成分が、ビタミンD2、D3、D4、D5及びD6の代謝物から成る群から選択される、請求項1記載のキット。
- 前記ビタミンD成分が、25-OH-Dから成る、請求項1記載のキット。
- 前記ビタミンD成分が、1,25-(OH)2-Dから成る、請求項1記載のキット。
- 前記遊離組成物が、0.35〜0.5MのNaOHから成る、請求項1記載のキット。
- 前記遊離組成物が、有機溶媒を含まない、請求項1記載のキット。
- 前記シクロデキストリンが、α-シクロデキストリン及びβ-ランダムメチル化シクロデキストリンから成る群から選択される、請求項1記載のキット。
- 前記遊離組成物が、0.5〜5%の、サリチル酸ナトリウムを含む請求項1記載のキット。
- 前記遊離組成物が、0.01〜0.1%の界面活性剤を更に含む、請求項1記載のキット。
- 前記検出成分が、ホスト成分とパートナー成分とから成り、前記ホスト成分が、前記パートナー成分と結合してパートナー/ホスト複合体を形成し、前記複合体の濃度が、前記ビタミンD成分の濃度に比例又は反比例する、請求項1記載のキット。
- 前記ホスト成分が、抗体、その一部、又はそれらの混合物から成る、請求項12記載のキット。
- 前記ホスト成分が、アクリジニウムで標識された抗体である、請求項12記載のキット。
- 前記パートナー成分が、セパレーター成分と結合したビタミンD成分から成り、前記セパレーター成分が固相又は抗体である、請求項12記載のキット。
- 前記セパレーター成分が、磁性粒子から成る、請求項15記載のキット。
- 前記パートナー成分が、磁性粒子と結合したビタミンD成分から成る、請求項15記載のキット。
- 前記パートナー成分が、ビタミンD成分と競合して、前記ホスト成分と複合体を形成し、前記パートナー成分が、磁性粒子と結合したビタミンD成分から成り、前記パートナー成分が、ビタミンD結合タンパク質を介して前記ホスト成分に結合し、前記ホスト成分が、アクリジニウムで標識した抗体から成る、請求項12記載のキット。
- 前記複合体の濃度が、前記ビタミンD成分の濃度と反比例する、請求項18記載のキット。
- 前記遊離組成物が、0%〜0.1%の界面活性剤を更に含み、前記検出組成物が、アクリジニウムで標識された抗体を含む、請求項1記載のキット。
- 哺乳類のサンプル中の25-ヒドロキシビタミンD(25-OH-D)の量を測定するキットであって、
シクロデキストリン、サリチル酸塩、及びNaOH及びKOHから成る群から選択される水溶性塩基成分を含み、前記シクロデキストリン、前記サリチル酸塩、及び前記水溶性塩基成分が、前記哺乳類のサンプル中に存在する25-OH-Dに及ぼす結合タンパク質又は結合脂質からの干渉を減少させるための有効量で供給される組成物、及び
固相に結合した25-OH-D、及び25-OH-Dが哺乳類のサンプル中に存在する場合に検出可能なシグナルを生じるための量の標識、
を含むことを特徴とするキット。 - 前記固相に結合した25-OH-D及び前記標識とともに、ビタミンD-結合タンパク質(DBP)、及びDBPに結合する標識された抗体のうち少なくとも1種をさらに含む、請求項21記載のキット。
- 前記抗体が、化学発光標識で標識されている、請求項21に記載のキット。
- 前記抗体が、アクリジウム標識された抗-DBP抗体である、請求項23に記載のキット。
- 前記組成物が、0.1M〜1.0MのNaOH又はKOH、0 . 01%〜5%のシクロデキストリン、及び0 . 01%〜1%のサリチル酸塩を含む、請求項21に記載のキット。
- 前記固相が、磁性粒子である、請求項21に記載のキット。
- 前記固相に結合した25-OH-D及び前記標識が、6〜9の間のpHを有する組成物中に供給される請求項21に記載のキット。
- 前記組成物が、界面活性剤を更に含む、請求項21に記載のキット。
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