JP2023544297A - ビタミンd及びその代謝産物のレベルを決定するための方法 - Google Patents

ビタミンd及びその代謝産物のレベルを決定するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定するための方法及びその使用に関する。さらに、本発明の目的は、ビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定するためのキット及びその使用を提供することである。

Description

発明の分野
本発明は、ビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定するための方法及びその使用に関する。さらに、本発明の目的は、ビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定するためのキット及びその使用を提供することである。
発明の背景
血清及び血漿試料中のビタミンD代謝産物の大部分(85%)は、ビタミンD結合タンパク質に強く結合している。その後の分析物の精製及びLC-MS/MSによる定量のためにビタミンD結合タンパク質からビタミンD代謝産物を放出するために、例えばアセトニトリルを介したタンパク質沈殿を適用するか、又は放出試薬としてサリチル酸ナトリウム塩を使用する。ヒト血清又は血漿中のビタミンD代謝産物、好ましくは25-OH-D3、25-OH-D2、24R,25(OH)2-D3は、例えば以下を用いて定量される:
(1)タンパク質沈殿と、それに続くオンライン試料調製及びLC-MS/MS(Clinical Biochemistry 45(2012)1491-1496を参照)又は
(2)サリチル酸ナトリウム塩溶液と、それに続く免疫ビーズ捕捉及び化学発光検出法を使用する分析物放出工程(米国特許第7,087,395号明細書参照)。
サリチル酸塩は、ビタミンDをタンパク質リガンドとして置換し(Varshney et al.:Ligand Binding Strategies of Human Serum Albumin.Chirality,2010,22,pp 80-81)、ビタミンDのタンパク質への逆結合を回避する(米国特許出願公開第2010/0068725号明細書)。
ビタミンD及びサリチル酸の両方は、MS分析物ポートフォリオ、例えば、次々に自動的に測定することができるコバスMS分析物ポートフォリオの一部である。
したがって、サリチル酸も分析物ポートフォリオの一部である限り、iVitDアッセイ(iVitDアッセイは、質量分析計で使用するビタミンDアッセイ、好ましくはLC-MSベースのビタミンDアッセイを意味する)のための潜在的な分析物放出試薬(前処理)としてサリチル酸ナトリウム塩(サリチル酸ナトリウム)を避けることが強く推奨される。iVitD(前)処理試薬の残留物が、その後のサリチル酸測定の結果を改ざんするリスクがある。
サリチル酸ナトリウム塩(サリチル酸ナトリウム)のさらなる欠点は、その高い動粘度(0.01M PBS/メタノール9/1中の5.6M溶液について6°Cで23mPas)のために液体取り扱い(ピペッティングプロセス)が困難であり、塩がビタミンDワークフロー後に機器上に残り、その後のサリチル酸測定を改ざんする可能性があるため、高い消費量が必要とされ、キャリーオーバーリスクが生じることである。サリチル酸ナトリウム塩(サリチル酸ナトリウム)のさらなる欠点は、好ましくは145:45~193:36の範囲の満足できる血清:前処理体積比に達するために、この塩を高濃度溶液として適用しなければならないことである。
したがって、上記の問題を克服することが当技術分野において緊急に必要とされている。
本発明の目的は、ビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定するための方法及びその使用を提供することである。さらに、本発明の目的は、ビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定するためのキット及びその使用を提供することである。
この目的(複数可)は、独立請求項の主題によって解決される。さらなる実施形態は、従属請求項の対象となる。
発明の概要
以下において、本発明は以下の態様に関する:
第1の態様では、本発明は、試料中のビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定するための方法であって、
a)試料を放出試薬で処理することであって、放出試薬は、試料中に存在するタンパク質又は脂質からビタミンD及びその代謝産物を放出するのに有効なレベルで提供され、
方法は、放出試薬としてサリチル酸ナトリウムを添加せず、
放出試薬は、
ベンゾエートアニオン、
ベンゾエートアニオンのフェニル基に結合した1つ又は2つのヒドロキシル基、
任意に、少なくとも15g/molのモル質量を有する少なくとも1つの残基であって、ベンゾエートアニオンのフェニル基に結合している、少なくとも1つの残基、
ナトリウムカチオン若しくはアンモニウムカチオン
を含む塩であるか、又は
放出試薬は、3-ヒドロキシ安息香酸又は2,4-ジヒドロキシ安息香酸である、
放出試薬で処理すること、
b)任意に、工程a)から得られた試料の精製、並びに
c)質量分析を使用してビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定すること、を含む方法に関する。
第2の態様では、本発明は、試料中のビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定するための本発明の第1の態様の方法の使用に関する。
第3の態様では、本発明は、試料中のビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定するためのキットであって、本発明の第1の態様による方法を実施するのに適しており、
試料中に存在するタンパク質又は脂質からビタミンD及びその代謝産物を放出するのに有効なレベルで提供される放出試薬を含み、キットは、放出試薬としてサリチル酸ナトリウムを含まず、
放出試薬は、
ベンゾエートアニオン、
ベンゾエートアニオンのフェニル基に結合した1つ又は2つのヒドロキシル基、
任意に、少なくとも15g/molのモル質量を有する少なくとも1つの残基であって、ベンゾエートアニオンのフェニル基に結合している、少なくとも1つの残基、
ナトリウムカチオン若しくはアンモニウムカチオン
を含む塩であるか、又は
放出試薬は、3-ヒドロキシ安息香酸又は2,4-ジヒドロキシ安息香酸である、キットに関する。
第4の態様では、本発明は、本発明の第1の態様による方法における本発明の第3の態様のキットの使用に関する。
図1は、検量線(面積比対濃度比)を示す:処理された試料のように濃縮された内部標準を含有する溶媒(60% MeOH)中のビタミンD標準のLC-MS/MSによって較正を行う。 図2は、25-OHビタミンD3(図2)の放出試薬候補の回収を示す。 図3は、25-OHビタミンD2(図3)の放出試薬候補の回収を示す。 図4は、24R25-ジ-OHビタミンD3(図4)の放出試薬候補の回収を示す。 図5は、24R25-ジ-OHビタミンD2(図5)の放出試薬候補の回収を示す。 図6は、25-OHビタミンD3の面積比を示す。正確な前処理組成に応じた4つの異なる試料タイプにおける25-OHビタミンD3の面積比が示されている。pH調整なし(0% FA)、2.275Mの3-メチルサリチル酸ナトリウム塩及び溶媒中35%(v/v)メタノールの設定を強調している。 図7A及び図7Bは、2.3Mの3-メチルサリチル酸ナトリウムで処理した患者血清(15PPTA5144)中の25-OHビタミンD3の時間の関数としての強度を示す。PT1による試料処理(図7A)及び新たに開発された(前)処理(図7B)の効果を比較するために、クロモグラムを示す。25-OHビタミンD3の質量トレースを適用する。
発明の詳細な説明
本発明を以下に詳細に説明する前に、本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態及び実施例に限定されず、これらは変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図しないことも理解されるべきである。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当該技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。
いくつかの文献が本明細書中で引用されている。本明細書に引用されている各文献(すべての特許、特許出願、科学出版物、製造者の仕様書、説明書等を含む)は、上記であろうと以下であろうと、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。このように組み込まれた参照の定義又は教示と、本明細書に引用された定義又は教示との間に矛盾がある場合には、本明細書の本文が優先する。
以下、本発明の各要素について説明する。これらの要素は特定の実施形態とともに列挙されているが、これらは任意の方法及び任意の数で組み合わせて追加の実施形態を作成することができることを理解されたい。種々の説明された実施例及び好ましい実施形態は、本発明を明示的に説明された実施形態のみに限定するように解釈されるべきではない。この記載は、明示的に記載された実施形態を任意の数の開示、及び/又は好ましい要素と組み合わせる実施形態を支持し、かつ包含するものと理解されるべきである。さらに、本出願に記載されているすべての要素の任意の順列及び組合せは、文脈が別段の意味を示さない限り、本出願の説明によって開示されていると考えるべきである。
定義
単語「含む(comprise)」、並びに「含む(comprises)」及び「含むこと(comprising)」のような変形は、記載された整数若しくは工程又は整数若しくは工程のグループの包含を意味するが、いかなる他の整数若しくは工程又は整数若しくは工程のグループの除外を意味しないことが理解されよう。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別途内容が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
比率、濃度、量、及び他の数値データは、「範囲」の形式で本明細書に表す又は提示することができる。このような範囲の形式は、便宜上及び簡潔にするために単に使用されているに過ぎないことが理解され、したがって、その範囲の境界として明示的に列挙されている数値を含むだけではなく、各数値及び部分範囲があたかも明示的に列挙されているかのごとく、その範囲内に包含される個々の数値又は部分範囲のすべてを含むことを柔軟に解釈するべきである。例示として、「4%~20%」の数値範囲は、4%~20%という明示的に列挙されている値を含むだけではなく、表示されている範囲内の個々の値及び部分範囲を含むと解釈されるべきである。したがって、この数値範囲には、4、5、6、7、8、9、10、...18、19、20%等の個々の値と、4~10%、5~15%、10~20%等のサブレンジとが含まれる。この同じ原理は、最小値又は最大値を列挙する範囲に適用される。さらに、このような解釈は、その範囲の幅又は記載されている特性にかかわらず、適用すべきである。
「約」という用語は、数値に関連して使用される場合、示された数値よりも5%小さい下限値を有し、かつ示された数値よりも5%大きい上限値を有する範囲内の数値を包含することを意味する。
本明細書で使用される場合、ビタミンD及びその代謝産物のレベルを「決定する」という用語は、ビタミンD及びその代謝産物の定量、例えば、本明細書の他の箇所に記載される適切な検出方法を用いて、試料中のビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定又は測定することを指す。
これに関連して、「レベル」又は「レベル値」は、絶対量、相対量又は濃度、並びにそれらと相関するか又はそれらから導出され得る任意の値又はパラメータを包含する。
本明細書で使用される「試料」又は「患者試料」という用語は、インビトロでの評価を目的として得られた生物学的試料を指す。本発明の方法において、試料又は患者試料は、好ましくは、任意の体液を含み得る。試料は、血液、血清、血漿、尿、唾液、及び滑液を含むことができる。好ましい試料は、全血、血清又は血漿である。当業者が理解するように、任意のそのような評価はインビトロで行われる。患者試料はその後廃棄される。患者試料は、本発明のインビトロ方法にのみ使用され、患者試料の材料は、患者の体内に戻されない。
用語「ビタミンD及びその代謝産物」は、この文脈において、ビタミンDが、ヒトの体内に見出されるいくつかのセコステロイドの包括的な用語として使用され、2つの基本的な系統:ビタミンD2及びビタミンD3から本質的になるか、又はこれらを含むことを意味する。ビタミンD2及びその代謝産物は、身体によって産生されるのではなく、薬用又は真菌由来のいずれかの食物とともに産生される。ビタミンD3は、皮膚において日光/UVB照射下で前駆体分子7-デヒドロコレステロールから体内で大量に合成され、したがって生理学的形態である。さらなるUV-B照射により、ビタミンD3は再び不活性代謝産物に分解され、これが皮膚における合成プロセスを自己制限する。ビタミンD2の同義語はエルゴカルシフェロールであり、ビタミンD3の同義語はコレカルシフェロール及びカルシオールである。ビタミンD2及びビタミンD3並びにそれらの代謝産物はいずれも高度に親油性であり、血漿中でビタミンD結合タンパク質(DBP、VDBP)である担体分子に結合し、輸送に不可欠である。両方の分子は肝臓に輸送され、そこで25位でヒドロキシル化され、ビタミンD3系カルシジオール/カルシフェジオール又は25-OH-ビタミンD/25ヒドロキシコレカルシフェロールのために産生される。これは次に、1位の腎臓でヒドロキシル化され、それによって生物学的に活性な1,25ビタミンD/1,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール、カルシトリオールが形成される。ビタミンD2系統の場合、対応する代謝産物は、エルカルシジオール/25-ヒドロキシエルゴカルシフェロール、エルカルシトリオール/1,25-ジヒドロキシエルゴカルシフェロールと呼ばれる。好ましくは、ビタミンDの代謝産物は以下を含む:25-OHビタミンD3、25-OHビタミンD2、24R,25(OH)2-ビタミンD3、24R,25(OH)2-ビタミンD2、1,25(OH)2ビタミンD2及び/又は1,25(OH)2ビタミンD3:
ビタミンD及びその代謝産物は、目的の分析物である。さらに、サリチル酸及びその塩、例えばサリチル酸ナトリウムは、目的の分析物であり得る。本開示の文脈において、用語「分析物」、「分析物分子」、又は「目的の分析物」は、質量分析によって分析される化学種(chemical specis)を相互交換的に参照して使用される。質量分析によって分析されるのに適した化学種(chemical specis)、すなわち分析物は、核酸(例えば、DNA、mRNA、miRNA、rRNA等)、アミノ酸、ペプチド、タンパク質(例えば、細胞表面受容体、細胞質タンパク質等)、代謝産物又はホルモン(例えば、テストステロン、エストロゲン、エストラジオール等)、脂肪酸、脂質、炭水化物、ステロイド、ケトステロイド、セコステロイド(例えば、ビタミンD)、別の分子のある特定の修飾を特徴とする分子(例えば、タンパク質上の糖部分又はホスホリル残基、ゲノムDNA上のメチル残基)、若しくは生物によって内在化されている物質(例えば、治療薬、依存性薬物、毒素等)、又はそのような物質の代謝産物を含むが、これらに限定されない、生存生物内に存在する任意の種類の分子であり得る。このような分析物は、バイオマーカーとして役立つことがある。本発明の文脈において、用語「バイオマーカー」とは、生物学的システムの生物学的状態のインジケータとして使用される、上記システム内の物質を指す。
本開示の文脈において、「試料を放出試薬で処理する」という用語は、試料と放出試薬とが相互作用する、例えば互いに反応する可能性を有するために一緒になることを意味する。これは、放出試薬が試料に添加され得ること、又はその逆を意味し得る。
用語「放出試薬」は、この内容において、ビタミンD及びその代謝産物をタンパク質又は脂質から放出することができる化学物質を意味する。例えば、放出試薬は、タンパク質又は脂質とビタミンD及びその代謝産物との相互作用及び/又は干渉を低減するのに適している。
「放出試薬の有効レベル」という用語は、この内容において、ビタミンD及びその代謝産物をタンパク質又は脂質から放出するのに適している、有効絶対量、有効相対量又は有効濃度、並びにそれらと相関する又はそれらから誘導することができる任意の有効値又は有効パラメータを意味する。好ましくは、結合したビタミンD及びその代謝産物の少なくとも10%が、タンパク質及び/又は脂質から放出される。
「方法は、放出試薬としてサリチル酸ナトリウムを添加せず」という用語は、この内容において、方法において放出試薬としてサリチル酸ナトリウムを添加しないことを意味する。任意に、それはまた、方法及び/又は試料が放出試薬としてサリチル酸ナトリウムを含まないことを意味し得る。
「放出試薬が塩である」という用語は、この文脈において、放出試薬が2つのイオン-正に帯電したイオンであるナトリウムカチオン又はアンモニウムカチオンと、負に帯電したイオンであるベンゾエートアニオンとを含むか又はそれらからなることを意味する。追加的又は代替的に、「放出試薬が塩である」という用語は、この文脈において、放出試薬が塩水溶液であることを意味する。
「ベンゾエートアニオン」という用語は、この文脈において、以下の式を有する負に帯電したイオンを意味する。
ベンゾエートアニオンは、フェニル基と、ベンゾエートアニオンのフェニル基に共有結合したカルボキシレートアニオンとを含む。1つ又は2つのヒドロキシル基は、フェニル基にさらに連結又は結合することができる。
「タンパク質」という用語は、この文脈において、1つ又は複数のアミノ酸の長鎖で構成される大きな分子を有し、特に筋肉、毛髪などの身体組織の構造成分として、並びに酵素及び抗体として、すべての生物の必須部分である窒素有機化合物のクラスのいずれかを意味する。タンパク質は、例えば、ビタミンD結合タンパク質又は血清アルブミンである。
「脂質」という用語は、この文脈において、脂肪酸又はその誘導体であり、水に不溶性であるが有機溶媒に可溶性である有機化合物のクラスのいずれかを意味する。それらには、多くの天然油、ワックス、及びステロイドが含まれる。「脂質」という用語は、遊離脂肪酸を含む。
「質量分析」(「Mass Spec」若しくは「MS」)又は「質量分析による決定」若しくは「質量分光分析」という用語は、化合物をその質量によって同定するために使用される分析技術に関する。MSは、その質量対電荷比又は「m/z」に基づいて、イオンをフィルタにかけ、検出し、測定する方法のことである。MS技術は、概して、(1)化合物をイオン化して荷電化合物を形成すること;及び、(2)荷電化合物の分子量を検出し、質量電荷比を計算することを含む。化合物は、任意の好適な手段によってイオン化されて、検出され得る。「質量分析計」は、一般に、イオン源及びイオン検出器を含む。一般に、1つ以上の目的の分子がイオン化されて、続いて、このイオンは、質量分析機器に導入されて、この機器において、磁場及び電場の組合せにより、イオンは、質量(「m」)及び電荷(「z」)に依存して空間の経路をたどる。「イオン化」又は「イオン化する」という用語は、1つ以上のユニットに等しい正味の電荷を有する分析物のイオンを発生させるプロセスを指す。陰イオンは、1つ以上の単位の正味の負電荷を有するものである一方、陽イオンは、1つ以上のユニットの正味の正電荷を有するものである。MS法は、ネガティブイオンを発生させ検出する「ネガティブ・イオン・モード」、又はポジティブイオンを発生させ検出する「ポジティブ・イオン・モード」のいずれかで実施することができる。「質量分析による決定によるフラグメンテーション後」は、例えば、化合物、組成物又は複合体が質量分析計を通過し、フラグメント化されたことを意味し得る。
「タンデム質量分析」又は「MS/MS」は、分析物のフラグメンテーションが段階間で生じる、質量分析の選択の複数工程を含む。タンデム質量分析計では、イオンをイオン源で生成し、質量分析の第一段階(MS1)で質量電荷比により分離する。特定の質量電荷比(前駆イオン又は親イオン)のイオンが選択され、フラグメントイオン(娘イオン)が、衝突誘起解離、イオン分子反応、又は光解離によって生成される。次いで、得られたイオンを分離し、質量分析の第二段階(MS2)で検出する。
質量分析計は、わずかに異なる質量のイオンを分離して検出するので、所与の元素からなる異なる同位体を容易に区別する。したがって、質量分析は、以下に限定されないが、低分子量の分析物、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を含めた、分析物の正確な質量決定及び特徴づけにとって重要な方法である。その用途は、タンパク質及びその翻訳後修飾の同定、タンパク質複合体、そのサブユニット及び機能的相互作用の解明、並びにプロテオミクスにおけるタンパク質の全測定を含む。質量分析によるペプチド又はタンパク質のデノボ配列決定は、通常、アミノ酸配列のこれまでの知識なしに行うことができる。
MSにおけるほとんどの試料ワークフローは、さらに、試料調製、及び/又は濃縮工程を含む。ここで、例えば目的の分析物は、ガス又は液体クロマトグラフィを用いてマトリックスから分離する。通常、質量分析測定の場合、以下の3つの工程が行われる:
1.目的の被分析物を含む試料が、通常は陽イオンとの複合体形成によって、多くの場合、陽イオンへのプロトン化によってイオン化される。イオン化源は、エレクトロスプレイイオン化(electrospray ionization:ESI)及び大気圧化学イオン化(atmospheric pressure chemical ionization:APCI)を含むが、これらに限定されない。
2.該イオンをその質量及び電荷に応じて分類し、分離する。高電場非対称波形イオン移動度分光分析(FAIMS)をイオンフィルタとして使用することができる。
3.分離されたイオンを、例えば多重反応モード(multiple reaction mode:MRM)で検出し、その結果をチャートに表示する。
「エレクトロスプレーイオン化」又は「ESI」という用語は、溶液を長さの短いキャピラリー管に沿って通過させて、キャピラリー管の端部に高い正電位又は負電位を印加する、方法を指す。チューブの端に到達した溶液は、溶媒蒸気中の非常に小さな液滴のジェット又はスプレイへと気化(噴霧)される。液滴のこの霧は、エバポレーションチャンバーを通り、このチャンバーは、わずかに加熱されて、縮合を予防して溶媒をエバポレートする。液滴が小さくなるほど、同じ電荷間の自然な反発によってイオンと中性分子が放出されるまで、電気的な表面電荷密度が向上する。
「大気圧化学イオン化」又は「APCI」という用語は、ESIに類似した質量分析法を指す。しかしながら、APCIは、大気圧のプラズマ内で起こるイオン分子反応によってイオンを生成する。プラズマは、スプレーキャピラリーと対電極との間の電気放電により維持される。次いで、イオンは、典型的には、差動的にポンピングされたスキマステージのセットを使用して質量分析器に抽出される。溶媒の除去を改善するために、乾燥及び予熱されたNiガスの対向流を使用してもよい。APCIにおける気相イオン化は、極性がより低い実体を分析するためにESIよりも有効となり得る。
「高電界非対称波形イオン移動度分光法(FAIMS)」は、気相イオンを強電界及び弱電界での挙動によって分離する大気圧イオン移動度技術である。
「多重反応モード」又は「MRM」は、前駆イオン及び1つ以上のフラグメントイオンが選択的に検出される、MS機器の検出モードである。
質量分析決定は、ガスクロマトグラフィ(GC)、液体クロマトグラフィ(LC)、特にHPLC、及び/又はイオン移動度に基づく分離技法等のクロマトグラフィ法を含めた追加の分析法と組み合わされてもよい。
本開示の文脈において、試料は、「個体」又は「対象」に由来し得る。典型的には、対象は、哺乳動物である。哺乳動物には、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト、及びサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれるが、これらに限定されない。
質量分析による分析前に、試料は、試料及び/又は分析物に特有の方法で処理又は前処理されてもよい。本開示の文脈において、「処理」又は「前処理」という用語は、質量分析による所望の分析物の後の分析を可能にするために必要な任意の手段を指す。(前)処理手段としては、典型的には、固体試料の溶出(例えば、乾燥血液スポットの溶出)、全血試料への溶血試薬(hemolizing reagent:HR)の添加、及び尿試料への酵素試薬の添加が挙げられるが、これらに限定されない。同様に、内標準(ISTD)の添加は、試料の前処理と見なされる。
用語「溶血試薬(HR)」とは、試料中に存在する細胞を溶解する試薬を指し、本発明の文脈においては、溶血試薬とは特に、全血試料中に存在する赤血球を含むがこれに限定されない、血液試料中に存在する細胞を溶解する試薬を指す。よく知られた溶血試薬は水(HO)である。溶血試薬のさらなる例としては、脱イオン水、高浸透圧の液体(例えば、8M尿素)、イオン性液体、及び異なる界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
通常、内部標準(ISTD)は、質量スペクトル検出のワークフローに施すと、目的の分析物と類似の特性を示す、既知量の物質である(すなわち、任意の(前)処理、濃縮及び実際の検出工程を含む)。ISTDは目的の分析物と同様の特性を呈するが、目的の分析物とは明確に区別できる。例示すると、ガス又は液体クロマトグラフィのようなクロマトグラフ分離の間、ISTDは、試料からの目的分析物とほぼ同じ保持時間を有する。したがって、分析物及びISTDの両方が同時に質量分析計に入る。ISTDは、しかしながら、試料からの目的分析物とは異なる分子量を呈する。これにより、異なる質量/電荷(m/z)比を用いて、ISTDからのイオンと分析物からのイオンとを質量分析で区別することができる。両方をフラグメンテーションに供し、娘イオンを得る。これらの娘イオンは、互いのm/z比及びそれぞれの親イオンによって区別することができる。結果として、ISTD及び分析物からのシグナルの別個の決定及び定量化を行うことができる。ISTDは既知量で添加されているので、試料からの分析物のシグナル強度は、特定の定量的量の分析物に帰属し得る。かくして、ISTDの添加は、検出された分析物の量の相対的比較を可能にし、分析物(複数可)が質量分析計に到達した際、試料中に存在する目的の分析物の明白な同定及び定量化を可能にする。典型的には、必ずしもそうではないが、ISTDは目的の分析物の同位体標識されたバリアントである(例えば、H、13C、又は15N等の標識を含む)。
前処理に加えて、試料をまた、1つ以上の濃縮工程に供してもよい。本開示の文脈において、用語「第1の濃縮プロセス」又は「第1の濃縮ワークフロー」とは、試料の(前)処理に続いて発生し、初回試料と比べて濃縮された分析物を含む試料を提供する、濃縮工程を指す。第1の濃縮ワークフローは、化学沈殿(例えば、アセトニトリルを用いる)又は固相の使用を含むことができる。好適な固相は、固相抽出(Solid Phase Extraction:SPE)カートリッジ及びビーズを含むが、これらに限定されない。ビーズは、非磁性、磁性、常磁性又は超磁性であり得る。ビーズは、対象の分析物に特異的であるように、異なってコーティングされてもよい。コーティングは、意図された用途、すなわち意図された捕捉分子によって異なることがある。どのコーティングがどの分析物に適しているかは当業者によく知られている。ビーズは種々の異なる材料で作ることができる。ビーズは様々なサイズを有し得、細孔のある又は細孔のない表面を含み得る。
本開示の文脈において、用語「第2の濃縮プロセス」又は「第2の濃縮ワークフロー」とは、試料の(前)処理及び第1の濃縮プロセスに続いて発生し、初回試料及び第1の濃縮プロセス後の試料と比べて濃縮された分析物を含む試料を提供する、濃縮プロセスを指す。
「クロマトグラフィ」という用語は、液体又はガスによって運ばれる化学混合物が、静止した液相又は固相の周り又は上を流れる際に化学成分の異なる分布の結果として成分中に分離される、プロセスを指す。
「液体クロマトグラフィ」又は「LC」という用語は、細かく分かれた物質のカラム又は毛管路を通って流体が均一に浸透する際に、流体溶液の1つ以上の成分を選択的に遅延させるプロセスを指す。遅延は、この流体が固定相(複数可)に対して移動する際の、1つ以上の固定相とバルク流体(すなわち、移動相)との間の混合物成分の分布に起因する。固定相が移動相よりも高い極性である(例えば、移動相としてトルエン、固定相としてシリカ)方法は順相液体クロマトグラフィ(normal phase liquid chromatography:NPLC)と呼ばれ、固定相が移動相よりも低い極性である(例えば、移動相として水-メタノール混合物、固定相としてC18(オクタデシルシリル))方法は逆相液体クロマトグラフィ(reversed phase liquid chromatography:RPLC)と呼ばれる。
「高速液体クロマトグラフィ」又は「HPLC」とは、圧力下において固定相、典型的には高密度に充填されたカラムに移動相を通すことによって分離の程度が増加する、液体クロマトグラフィの方法を指す。典型的に、カラムには、不規則又は球形の粒子、多孔質モノリシック層、又は多孔質膜で構成される固定相が充填されている。HPLCは、歴史的に、移動相及び固定相の極性に基づいて2つの異なるサブクラスに分けられる。固定相が移動相よりも高い極性である(例えば、移動相としてトルエン、固定相としてシリカ)方法は順相液体クロマトグラフィ(NPLC)と呼ばれ、反対の(例えば、移動相として水-メタノール混合物、固定相としてC18(オクタデシルシリル))方法は逆相液体クロマトグラフィ(RPLC)と呼ばれる。マイクロLCとは、典型的には1mm未満、例えば約0.5mmの狭い(norrow)内径を有するカラムを用いるHPLC法を指す。「超高速液体クロマトグラフィ」又は「UHPLC」とは、120MPa(17,405lbf/in2)又は約1200気圧の圧力を用いるHPLC法を指す。ラピッドLCとは、上記のような内径であり、長さが2cm未満、例えば1cmの短いカラムを用いて、上記のような流量及び上記のような圧力を加えるLC法を指す(マイクロLC、UHPLC)。短いラピッドLCプロトコルは、単一の分析カラムを用いるトラッピング/洗浄/溶出工程を含み、1分未満の非常に短い時間でLCを実現する。
さらに、「親水性相互作用クロマトグラフィ」(HILIC)、サイズ排除型LC、イオン交換型LC、及びアフィニティ型LCがよく知られている。
LC分離は、並列に配置された複数のLCチャネルを含むシングルチャネルLC又はマルチチャネルLCであってもよい。LCにおいて、分析物は、当業者に一般的に知られているように、それらの極性又はログP値、サイズ、又は親和性に従って分離され得る。
「キット」は、少なくとも1つの試薬、例えば障害の処置のための薬品、又は本発明のバイオマーカー遺伝子若しくはタンパク質を特異的に検出するためのプローブを含む、任意の製品(例えば、パッケージ又は容器)である。キットは、好ましくは、本発明の方法を実行するためのユニットとして、奨励、流通、又は販売される。典型的には、キットは、バイアル、チューブ等の1つ以上の容器手段を密接に閉じ込めて受け入れるように区画化された担体手段をさらに含むことができる。特に、容器手段の各々は、第1の態様の方法で使用される別個の要素のうちの1つを備える。キットは、反応触媒を含むがこれに限定されない1以上の他の試薬をさらに含み得る。キットは、緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、注射器、及び使用説明を伴う添付文書を含むがこれらに限定されない、さらなる材料を含む1つ以上の他の容器をさらに含んでもよい。錠剤は、組成物が特定の用途に使用されることを示すために容器上に提示され得、インビボ使用又はインビトロ使用のいずれかに関する指示も示し得る。コンピュータ・プログラム・コードは、光記憶媒体(例えば、コンパクトディスク)等のデータ記憶媒体若しくは装置上に、又はコンピュータ若しくはデータ処理装置に直接提供されてもよい。その上キットは、較正目的のために、本明細書の別の箇所に記載されるような酸の標準量を含み得る。
実施形態
第1の態様では、本発明は、試料中のビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定するための方法であって、
a)試料を放出試薬で処理することであって、放出試薬は、試料中に存在するタンパク質又は脂質からビタミンD及びその代謝産物を放出するのに有効なレベルで提供され、
方法は、放出試薬としてサリチル酸ナトリウムを添加せず、
放出試薬は、
ベンゾエートアニオン、
ベンゾエートアニオンのフェニル基に結合した1つ又は2つのヒドロキシル基、
任意に、少なくとも15g/molのモル質量を有する少なくとも1つの残基であって、ベンゾエートアニオンのフェニル基に結合している、少なくとも1つの残基、
ナトリウムカチオン若しくはアンモニウムカチオン
を含む塩であるか、又は
放出試薬は、3-ヒドロキシ安息香酸又は2,4-ジヒドロキシ安息香酸である、
放出試薬で処理すること、
b)任意に、工程a)から得られた試料の精製、並びに
c)質量分析を使用してビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定すること、を含む方法に関する。
工程(a)によれば、試料は、放出試薬で処理される。放出試薬は、試料中に存在するタンパク質又は脂質からビタミンD及びその代謝産物を放出するのに有効なレベルで提供される。放出試薬は、ベンゾエートアニオン、ベンゾエートアニオンのフェニル基に結合した1つ又は2つのヒドロキシル基、任意にベンゾエートアニオンのフェニル基に結合した少なくとも15g/molのモル質量を有する少なくとも1つの残基、ナトリウムカチオン又はアンモニウムカチオンを含む塩であるか、又は放出試薬は3-ヒドロキシ安息香酸又は2,4-ジヒドロキシ安息香酸である。
本発明の第1の態様の実施形態では、放出試薬は、3-メチルサリチル酸ナトリウム、サリチル酸アンモニウム、3-ヒドロキシ安息香酸ナトリウム、3-ヒドロキシ安息香酸及び2,4-ジヒドロキシ安息香酸からなる群から選択される。
本発明の第1の態様の実施形態では、放出試薬は、3-メチルサリチル酸ナトリウム、サリチル酸アンモニウム及び3-ヒドロキシ安息香酸ナトリウムからなる群から選択される塩である。好ましくは、放出試薬は3-メチルサリチル酸ナトリウムである。
本発明の第1の態様の実施形態では、放出試薬は以下の式を有する:
本発明の第1の態様の実施形態では、放出試薬は、以下の式を有する以下の化合物から選択される:
本発明の第1の態様の実施形態では、放出試薬は、0.7M~2.8Mの範囲、好ましくは1.5M~2.5Mの範囲、例えば2.0Mの濃度を有する3-メチルサリチル酸ナトリウムである。
本発明の第1の態様の実施形態では、放出試薬は、好ましくは5.6Mの濃度を有する、サリチル酸アンモニウムである。
本発明の第1の態様の実施形態では、放出試薬は、好ましくは2.8Mの濃度を有する、3-ヒドロキシ安息香酸ナトリウムである。
本発明の第1の態様の実施形態では、放出試薬は、0.05Mの濃度を有する3-ヒドロキシ安息香酸である。
本発明の第1の態様の実施形態では、放出試薬は、0.05Mの濃度を有する2,4-ジヒドロキシ安息香酸である。
本発明の第1の態様の実施形態では、放出試薬は、アンモニウム塩又はナトリウム塩として製剤化される。したがって、試料、例えば血清試料中の溶解度を増加させることができる。
本発明の第1の態様の実施形態では、放出試薬は、メチルサリチル酸ナトリウム、例えば3-メチルサリチル酸ナトリウムである。
本発明の第1の態様の実施形態では、放出試薬は、4-メチルサリチル酸ナトリウムである。
本発明の第1の態様の実施形態では、放出試薬は、5-メチルサリチル酸ナトリウムである。
本発明の第1の態様の実施形態では、放出試薬は、6-メチルサリチル酸ナトリウムである。
本発明の第1の態様の実施形態では、放出試薬は、メチルサリチル酸アンモニウムである。
本発明の第1の態様の実施形態では、放出試薬は、3-メチルサリチル酸アンモニウムである。
本発明の第1の態様の実施形態では、放出試薬は、4-メチルサリチル酸アンモニウムである。
本発明の第1の態様の実施形態では、放出試薬は、5-メチルサリチル酸アンモニウムである。
本発明の第1の態様の実施形態では、放出試薬は、6-メチルサリチル酸アンモニウムである。
本発明の第1の態様の実施形態では、放出試薬は、ヒドロキシ安息香酸アンモニウム又はヒドロキシ安息香酸ナトリウムである。
本発明の第1の態様の実施形態では、pH値は、酸、例えばギ酸の添加によって調整される。例えば、タンパク質又は脂質からビタミンD及びその代謝産物を放出し、pH値を適合させるために、145μlの血清試料、45μlの放出試薬及び10μlの酸を混合する。好ましくは、ギ酸は0~1.8%(450mM)の濃度範囲で使用される。
本発明の第1の態様の実施形態では、ギ酸は25~450mMの範囲の濃度を有する。
本発明の第1の態様の実施形態では、酸、例えばギ酸は、工程a)で添加される。そのため、性能を損なうことなく、酸(例えばギ酸)添加により放出試薬の必要量(塩溶液の濃度)を低減することができる。放出試薬と酸との共作用がある。例えば、以下の2つの組み合わせは、患者血清試料中の同等のビタミンD放出の両方をもたらす:450mMのギ酸/0.7Mの3-メチルサリチル酸ナトリウム及び0mMのギ酸/2.3Mの3-メチルサリチル酸ナトリウム。
本発明の第1の態様の実施形態では、本方法は、工程a)の後又は前に、少なくとも1つのさらなる工程a1)若しくはa2)又はその両方:
a1)工程a)から得られたビタミンD及びその代謝産物の固相へカップリングすること、
a2)試料に内部標準を添加すること、を含む。好ましくは、内部標準は、工程(a)の前に試料に添加される。好ましくは、工程a)から得られたビタミンD及びその代謝産物の固相へのカップリングは、工程(a)の後に行われる。
好適な固相は、固相抽出(Solid Phase Extraction:SPE)カートリッジ及びビーズを含むが、これらに限定されない。
本発明の第1の態様の実施形態では、1つ又は複数のビーズは、非磁性、磁性、常磁性又は超磁性であり得る。ビーズは、対象の分析物に特異的であるように、異なってコーティングされてもよい。コーティングは、意図された用途、すなわち意図された捕捉分子によって異なることがある。どのコーティングがどの分析物に適しているかは当業者によく知られている。ビーズは種々の異なる材料で作ることができる。ビーズは様々なサイズを有し得、細孔のある又は細孔のない表面を含み得る。例えば、分析物特異的抗体でコーティングされたElecsysビーズ(Roche Diagnosticsから購入)を工程(a1)の固相として使用することができる。あるいは、例えば、抗体に共有結合する他の磁気ビーズを、工程(a1)において固相として使用することができる。
本発明の第1の態様の実施形態では、工程(a)の後かつ工程(b)の前に、試料は、望ましくない試料成分(タンパク質、脂質)、塩(例えば、塩化ナトリウム又は3-メチルサリチル酸ナトリウム塩)又は防腐剤(例えば、アジ化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、オキシピリオン、メチルイソチアゾリノン)を除去又は少なくとも濃度減少させるために洗浄される。洗浄工程は、水又はリン酸緩衝生理食塩水、例えば0.01M PBSを使用することによって行うことができる。記載された洗浄工程の後に、目的の分析物から磁気ビーズを溶出するためのさらなる洗浄工程を行うことができる。さらなる洗浄工程は、溶媒、例えばメタノールを使用することによって行うことができる。
任意に工程(b)に従って、工程a)から得られた試料を精製する。以下の精製方法又はそれらの組み合わせを使用することができる:液体クロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、親水性相互作用クロマトグラフィ(HILIC)、サイズ排除LC、イオン交換LC、親和性LC。原則として、他の精製方法が当業者に知られており、試料を精製するために使用することができる。したがって、他の公知の精製方法、例えば抽出については詳細に説明しない。
工程(c)によれば、質量分析を使用してビタミンD及びその代謝産物のレベルが決定される。
本発明の第1の態様の実施形態では、ビタミンD及びその代謝産物以外の目的の分析物のレベルは、質量分析を使用して、好ましくは前記方法の工程(c)の後又は工程(a)の前に決定することができる。
本発明の第1の態様の実施形態では、サリチル酸及びその塩のレベルは、質量分析を使用して決定される。好ましくは、サリチル酸のレベルは、質量分析を使用して決定される。サリチル酸は、サリチル酸のレベルを決定する前に適切な方法で処理することができる。
本発明の第1の態様の実施形態では、少なくとも1つの残基はアルキル、好ましくはメチル(15g/mol)、エチル(29g/mol)又はプロピル(43g/mol)である。特に、正確に1つの残基がベンゾエートアニオンのフェニル基に結合している。より好ましくは、残基は、ベンゾエートアニオンのフェニル基の3位、4位及び/又は5位に結合している。
本発明の第1の態様の実施形態では、工程(a)は添加剤を含み、添加剤は緩衝剤、水及び/又はアルコールである。緩衝液は、以下の群から選択することができる:リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、酢酸アンモニウム溶液、ギ酸アンモニウム溶液。アルコールは、以下の群から選択することができる:メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール。
好ましくは、緩衝液はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。
本発明の第1の態様の実施形態では、PBSの濃度は0.01Mである。
好ましくは、アルコールはメタノールである。例えば、メタノールは5%~50%(v/v)の範囲である。
本発明の第1の態様の実施形態では、アルコール対緩衝液の比は、5:95~40:60(v/v)、好ましくは20:80~50:50(v/v)、より好ましくは35:65~40:60(v/v)である。
本発明の第1の態様の実施形態では、試料は、血清、血漿又は全血試料である。例えば、試料が全血試料である場合、追加の分離工程、例えば遠心分離を行うことができる。
本発明の第1の態様の実施形態では、試料はヒト試料である。
本発明の第1の態様の実施形態では、ビタミンD及びその代謝産物が、25-OHビタミンD3、25-OHビタミンD2、24R,25(OH)2-ビタミンD3、1,25(OH)2ビタミンD2、1,25(OH)2ビタミンD3及び24R,25(OH)2-ビタミンD2からなる群から選択される。
本発明の第1の態様の実施形態では、タンパク質は、ビタミンD結合タンパク質又はアルブミン、好ましくはビタミンD結合タンパク質である。
本発明の第1の態様の実施形態では、ビタミンD及びその代謝産物の決定されたレベルは、25-OHビタミンD3又は25-OHビタミンD2について2~150ng/mlの範囲内である。
本発明の第1の態様の実施形態では、ビタミンD及びその代謝産物の決定されたレベルは、24R,25(OH)2-ビタミンD3又は24R,25(OH)2-ビタミンD2について0.2~15ng/mlの範囲内である。
本発明の第1の態様の実施形態では、ビタミンD及びその代謝産物の決定されたレベルは、1,25(OH)2ビタミンD2について7~150pg/mlの範囲内、又は1,25(OH)2ビタミンD3について7~150pg/mlの範囲内である。
本発明の第1の態様の実施形態では、本方法は自動的に実行される。本明細書で使用される「自動的に」又は「自動化」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、少なくとも1つのコンピュータ及び/又はコンピュータネットワーク及び/又は機械によって、特に手動の動作及び/又はユーザとの相互作用なしに完全に実行されるプロセスを指すことができる。
本発明の第1の態様の実施形態では、工程b)は、クロマトグラフィ、好ましくは液体クロマトグラフィ(LC)及び/又は高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によって行われる。
本発明の第1の態様の実施形態では、工程c)は、トリプル四重極質量分析を使用することによって実行される。
本発明の第1の態様の実施形態では、ビタミンD及びその代謝産物は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)を使用することによってイオン化される。
第2の態様では、本発明は、試料中のビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定するための本発明の第1の態様の方法の使用に関する。本発明の第1の態様について述べたすべての実施形態は、本発明の第2の態様に適用され、逆もまた同様である。
第3の態様では、本発明は、試料中のビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定するためのキットであって、本発明の第1の態様による方法を実施するのに適しており、
試料中に存在するタンパク質又は脂質からビタミンD及びその代謝産物を放出するのに有効なレベルで提供される放出試薬を含み、キットは、放出試薬としてサリチル酸ナトリウムを含まず、
放出試薬は、
ベンゾエートアニオン、
ベンゾエートアニオンのフェニル基に結合した1つ又は2つのヒドロキシル基、
任意に、少なくとも15g/molのモル質量を有する少なくとも1つの残基であって、ベンゾエートアニオンのフェニル基に結合している、少なくとも1つの残基、
ナトリウムカチオン若しくはアンモニウムカチオン
を含む塩であるか、又は
放出試薬は、3-ヒドロキシ安息香酸又は2,4-ジヒドロキシ安息香酸である、キットに関する。
本発明の第1の態様及び/又は本発明の第2の態様について述べたすべての実施形態は、本発明の第3の態様に適用され、その逆も同様である。
第4の態様では、本発明は、本発明の第1の態様による方法における本発明の第3の態様のキットの使用に関する。
本発明の第1の態様及び/又は本発明の第2の態様及び/又は本発明の第3の態様について述べたすべての実施形態は、本発明の第4の態様に適用され、逆もまた同様である。
本発明の少なくとも1つの態様又はすべての態様の実施形態において、本発明の第1の態様の方法及び/又は本発明の第3の態様のキットは、デバイスにおいて使用される。好ましくは、装置は臨床診断システムである。
「臨床診断システム」とは、体外診断のための試料の分析専用の検査室用自動化装置である。臨床診断システムは、必要性に応じて、かつ/又は所望の実験室ワークフローに応じて、異なる構成を有することができる。さらなる構成は、複数の装置及び/又はモジュールを共に結合することによって得ることができる。「モジュール」は、専用機能を有する、臨床診断システム全体よりサイズが典型的には小さい作業セルである。この機能は、分析的であるとすることができるが、事前分析的又は事後分析的であるとすることもできる、あるいは、機能は、事前分析機能、分析機能、又は事後分析機能のうちの任意の機能に対する補助機能であるとすることができる。具体的には、例えば、1つ又は複数の事前分析、及び/又は事後分析工程を実行することによって、モジュールは試料処理ワークフローのうちの専用作業を行うために1つ又は複数の他のモジュールと共働するように構成され得る。特に、臨床診断システムは、特定の種類の分析、例えば臨床化学、免疫化学、凝固、血液学、液体クロマトグラフィ分離、質量分析などのために最適化されたそれぞれのワークフローを実行するように設計された1つ又は複数の分析装置を備えることができる。したがって、臨床診断システムは、1つの分析装置、又はそれぞれのワークフローを有するそのような分析装置のいずれかの組み合わせを含むことができ、事前分析及び/又は事後分析モジュールは、個々の分析装置に結合されるか、又は複数の分析装置によって共有され得る。代替法において、事前分析、及び/又は事後分析機能は、分析装置に統合されたユニットによって実施することができる。臨床診断システムは、試料及び/又は試薬及び/又はシステム流体のピペッティング及び/又は圧送及び/又は混合のための液体ハンドリングユニット等の機能ユニット、及び同様に、ソートする、格納する、輸送する、識別する、分離する、検出するための機能ユニットを備えることができる。臨床診断システムは、目的の分析物を含む試料の自動調製のための試料調製ステーション、任意に複数のLCチャネルを備える液体クロマトグラフィ(LC)分離ステーション、及び/又は任意に調製された試料をLCチャネルのいずれか1つに入力するための試料調製/LCインタフェースを備えることができる。臨床診断システムは、それぞれが予め定義された一連の試料調製工程を含み、目的の分析物に応じて完了のために予め定義された時間を必要とする予め定義された試料調製ワークフローに試料を割り当てるようにプログラムされたコントローラをさらに備えることができる。臨床診断システムは、質量分析計(MS)、及びLC分離ステーションを質量分析計に接続するためのLC/MSインタフェースをさらに備える。本明細書で使用される「自動的に」又は「自動化」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、少なくとも1つのコンピュータ及び/又はコンピュータネットワーク及び/又は機械によって、特に手動の動作及び/又はユーザとの相互作用なしに完全に実行されるプロセスを指すことができる。
本発明の少なくとも1つの態様又はすべての態様の実施形態では、臨床診断システムは試料調製ステーションを含む。
「試料調製ステーション」は、1つ以上の分析装置又は分析装置内のユニットに結合した分析前モジュールであり得、試料中の妨げとなるマトリックス成分を除去又は少なくとも低減し、かつ/又は試料中の関心の分析物を濃縮することを目的とした一連の試料処理工程を実行するように設計される。このような処理工程は、試料又は複数の試料について順次、並列、又は時差をつけた様相で実行される以下の処理作業、すなわち流体のピペット操作(吸引及び/又は送出)、流体の圧送、試薬との混合、特定の温度での培養、加熱又は冷却、遠心分離、分離、フィルタ処理、ふるい分け、乾燥、洗浄、再懸濁、分取、移送、保管などのうちの1つ以上を含むことができる。
臨床診断システム、例えば試料調製ステーションはまた、新しい試料調製開始シーケンスが開始される前に複数の試料を受け取るためのバッファユニットを備えてもよく、試料は個別にランダムにアクセス可能であってもよく、その個々の調製は試料調製開始シーケンスに従って開始されてもよい。
臨床診断システムは、質量分析をより便利で信頼性高く利用し、したがって臨床診断に適している。特に、質量分析へのオンライン接続を可能にしながら、ランダムアクセス試料調製及びLC分離を用いてハイスループット、例えば最大100試料/時間又はそれ以上を得ることができる。さらに、プロセスを完全に自動化して、立ち去り時間(walk-away time)を増やし、必要な技能のレベルを下げることができる。
本発明者らは、驚くべきことに、前記方法を完全自動化装置、例えば、cobas i601分析装置(血清作業領域溶液)で実施できることを見出した。これは、軟質分析物放出工程の後にLC-MS/MSによる免疫ビーズ捕捉及び検出が存在することを意味し得る。
本発明者らは、広範な研究において、cobas MSワークフロー内の(前)処理としてサリチル酸ナトリウム塩を置換するための適用性について22の試薬が評価されたことを示すことができた。第1のスクリーニング研究の結果は、ほとんどの試薬が有意な放出能力を有さず、5つの試薬のみが潜在的な放出能力を有することを示した。3-メチルサリチル酸ナトリウム塩溶液は、最も高い分析物回収率をもたらすので、最良の選択であると思われる。その後の包括的な実験計画では、3-メチルサリチル酸ナトリウム塩溶液が最適化され、詳細に評価されている。それは最も有望な(前)処置である。この試薬を適用すると、サリチル酸ナトリウム塩による回収に匹敵する高い分析物回収率が達成される。さらに、サリチル酸ナトリウム塩と比較した3-メチルサリチル酸ナトリウム塩の利点は、この試薬がサリチル酸結果の改ざんをもたらし得る関連するMRM転移を妨げないことである。
さらなる実施形態では、本発明は、以下の態様に関する:
1.試料中のビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定するための方法であって、
a)試料を放出試薬で処理することであって、放出試薬は、試料中に存在するタンパク質又は脂質からビタミンD及びその代謝産物を放出するのに有効なレベルで提供され、
方法は、放出試薬としてサリチル酸ナトリウムを添加せず、
放出試薬は、
ベンゾエートアニオン、
ベンゾエートアニオンのフェニル基に結合した1つ又は2つのヒドロキシル基、
任意に、少なくとも15g/molのモル質量を有する少なくとも1つの残基であって、ベンゾエートアニオンのフェニル基に結合している、少なくとも1つの残基、
ナトリウムカチオン若しくはアンモニウムカチオン
を含む塩であるか、又は
放出試薬は、3-ヒドロキシ安息香酸又は2,4-ジヒドロキシ安息香酸である、
放出試薬で処理すること、
b)任意に、工程a)から得られた試料の精製、並びに
c)質量分析を使用してビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定すること、を含む方法。
2.放出試薬が、3-メチルサリチル酸ナトリウム、サリチル酸アンモニウム、3-ヒドロキシ安息香酸ナトリウム、3-ヒドロキシ安息香酸及び2,4-ジヒドロキシ安息香酸からなる群から選択される、態様1に記載の方法。
3.放出試薬が、3-メチルサリチル酸ナトリウム、サリチル酸アンモニウム、3-ヒドロキシ安息香酸ナトリウムからなる群から選択される塩である、態様1又は2に記載の方法。
4.放出試薬が、3-メチルサリチル酸ナトリウムである、態様1~3のいずれか一項に記載の方法。
5.少なくとも1つの残基がアルキル、好ましくはメチル又はエチルである、態様1~4のいずれか一項に記載の方法。
6.放出試薬が、0.7M~2.8Mの範囲の濃度を有する3-メチルサリチル酸ナトリウムである、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
7.放出試薬が、好ましくは5.6Mの濃度を有する、サリチル酸アンモニウムである、態様1~6のいずれか一項に記載の方法。
8.放出試薬が、好ましくは2.8Mの濃度を有する、3-ヒドロキシ安息香酸ナトリウムである、態様1~7のいずれか一項に記載の方法。
9.放出試薬が、0.05Mの濃度を有する3-ヒドロキシ安息香酸である、態様1~8のいずれか一項に記載の方法。
10.放出試薬が、0.05Mの濃度を有する2,4-ジヒドロキシ安息香酸である、態様1~9のいずれか一項に記載の方法。
11.放出試薬が、アンモニウム塩又はナトリウム塩として製剤化される、態様1~10のいずれか一項に記載の方法。
12.工程c)の後に少なくとも1つのさらなる工程d):
d)質量分析を使用してサリチル酸及びその塩のレベルを決定すること、を含む、態様1~11のいずれか一項に記載の方法。
13.放出試薬がメチルサリチル酸ナトリウム、例えば3-メチルサリチル酸ナトリウムである、態様1~12のいずれか一項に記載の方法。
14.放出試薬が、4-メチルサリチル酸ナトリウムである、態様1~13のいずれか一項に記載の方法。
15.放出試薬が、5-メチルサリチル酸ナトリウムである、態様1~14のいずれか一項に記載の方法。
16.放出試薬が、6-メチルサリチル酸ナトリウムである、態様1~15のいずれか一項に記載の方法。
17.放出試薬が、サリチル酸アンモニウムである、態様1~16のいずれか一項に記載の方法。
18.放出試薬が、3-サリチル酸アンモニウムである、態様1~17のいずれか一項に記載の方法。
19.放出試薬が、4-サリチル酸アンモニウムである、態様1~18のいずれか一項に記載の方法。
20.放出試薬が、5-サリチル酸アンモニウムである、態様1~19のいずれか一項に記載の方法。
21.放出試薬が、6-サリチル酸アンモニウムである、態様1~20のいずれか一項に記載の方法。
22.放出試薬が、ヒドロキシ安息香酸アンモニウム又はヒドロキシ安息香酸ナトリウムである、態様1~21のいずれか一項に記載の方法。
23.pH値が、例えば、酸、例えばギ酸の添加によって調整される、態様1~22のいずれか一項に記載の方法。
24.ギ酸が25~450mMの範囲の濃度を有する、態様1~23のいずれか一項に記載の方法。
25.工程a)の後又は前に、少なくとも1つのさらなる工程a1)若しくはa2)又はその両方:
a1)工程a)から得られたビタミンD及びその代謝産物の固相へカップリングすること、
a2)試料に内部標準を添加すること、
を含む、態様1~24のいずれか一項に記載の方法。
26.工程a)が添加剤を含み、前記添加剤が、緩衝剤及びアルコールである、態様1~25のいずれか一項に記載の方法。
27.緩衝液がリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である、態様1~26のいずれか一項に記載の方法。
28.PBSの濃度が0.01Mである、態様1~27のいずれか一項に記載の方法。
29.アルコールがメタノールである、態様1~28のいずれか一項に記載の方法。
30.アルコール対緩衝液の比が5:95~40:60(v/v)、好ましくは35:65~40:60(v/v)である、態様1~29のいずれか一項に記載の方法。
31.試料が血清、血漿又は全血試料である、態様1~30のいずれか一項に記載の方法。
32.試料がヒト試料である、態様1~31のいずれか一項に記載の方法。
33.ビタミンD及びその代謝産物が、25-OHビタミンD3、25-OHビタミンD2、24R,25(OH)2-ビタミンD3、1,25(OH)2ビタミンD2、1,25(OH)2ビタミンD3及び24R,25(OH)2-ビタミンD2からなる群から選択される、態様1~32のいずれか一項に記載の方法。
34.タンパク質がビタミンD結合タンパク質又はアルブミンである、態様1~33のいずれか一項に記載の方法。
35.ビタミンD及びその代謝産物の決定されたレベルが、25-OHビタミンD3又は25-OHビタミンD2について2~150ng/mlの範囲内である、態様1~34のいずれか一項に記載の方法。
36.ビタミンD及びその代謝産物の決定されたレベルが、24R,25(OH)2-ビタミンD3又は24R,25(OH)2-ビタミンD2について0.2~15ng/mlの範囲内である、態様1~35のいずれか一項に記載の方法。
37.ビタミンD及びその代謝産物の決定されたレベルが、1,25(OH)2ビタミンD2について7~150pg/mlの範囲内、又は1,25(OH)2ビタミンD3について7~150pg/mlの範囲内である、態様1~36のいずれか一項に記載の方法。
38.方法が自動的に実行される、態様1~37のいずれか一項に記載の方法。
39.工程b)が、クロマトグラフィ、好ましくは液体クロマトグラフィ(LC)及び/又は高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によって行われる、態様1~38のいずれか一項に記載の方法。
40.工程c)が三重四重極質量分析法を使用することによって実施される、態様1~39のいずれか一項に記載の方法。
41.ビタミンD及びその代謝産物が、エレクトロスプレーイオン化(ESI)を使用することによってイオン化される、態様1~40のいずれか一項に記載の方法。
42.試料中のビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定するための、態様1~41のいずれか一項に記載の方法の使用。
43.試料中のビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定するためのキットであって、態様1~41のいずれか一項に記載の方法を実施するのに適しており、
試料中に存在するタンパク質又は脂質からビタミンD及びその代謝産物を放出するのに有効なレベルで提供される放出試薬を含み、キットは、放出試薬としてサリチル酸ナトリウムを含まず、
放出試薬は、
ベンゾエートアニオン、
ベンゾエートアニオンのフェニル基に結合した1つ又は2つのヒドロキシル基、
任意に、少なくとも15g/molのモル質量を有する少なくとも1つの残基であって、ベンゾエートアニオンのフェニル基に結合している、少なくとも1つの残基、
ナトリウムカチオン若しくはアンモニウムカチオン
を含む塩であるか、又は
放出試薬は、3-ヒドロキシ安息香酸又は2,4-ジヒドロキシ安息香酸である、キット。
44.態様1~41のいずれかに記載の方法における態様43のキットの使用。
以下の実施例は、本明細書で特許請求される発明を例示するために提供されるのであって、限定するものではない。
分析物(ビタミンD及びその代謝産物)及び内部標準物質、それぞれ:
・24R,25(OH)2-D2 13C5(Endotherm Life Science Molecules,Saarbrucken)
・24R,25(OH)2-D3 13C5(Endotherm Life Science Molecules,Saarbrucken)
・25-OH-D2 13C5(Endotherm Life Science Molecules,Saarbrucken)
・25-OH-D3 13C5(Endotherm Life Science Molecules,Saarbrucken)
・24R,25(OH)2-D2(Endotherm Life Science Molecules,Saarbrucken)
・24R,25(OH)2-D3(Sigma,Schnelldorf)
・25-OH-D2(Sigma,Schnelldorf)
・25-OH-D3(Sigma,Schnelldorf)
試料マトリックス:
・天然血清プール(Roche,Penzberg)
・ビタミンD非含有血清(Golden West Diagnostics,Temecula/米国)
・患者の血清及び血漿
溶媒、試薬添加剤及びHPLC溶出添加剤:
・メタノール(Biosolve,Valkenswaard/オランダ)
・ギ酸(FA)(VWR,Radnor/米国)
・MilliQ水(Merck,Darmstadt)
免疫ビーズ懸濁液の成分:
・プレコートElecsysビーズ懸濁液(Roche,Penzberg)
・抗体溶液(Roche,Penzberg)
・0.1M PBS(Roche,Mannheim)
潜在的放出試薬として評価される化学物質:
・サリチル酸ナトリウム(Sigma,Schnelldorf)
・サリチル酸フェニル(Sigma,Schnelldorf)
・ジフルニサル(Sigma,Schnelldorf)
・エチル-5-エトキシ-2-ヒドロキシ安息香酸(Sigma,Schnelldorf)
・スルファサラジン(Sigma,Schnelldorf)
・サリチル酸メチル(Sigma,Schnelldorf)
・アスピリン(Sigma,Schnelldorf)
・メチル-4-ヒドロキシ安息香酸(Sigma,Schnelldorf)
・3-ヒドロキシ安息香酸(Sigma,Schnelldorf)
・3-メチルサリチル酸(Sigma,Schnelldorf)
・4-メチルサリチル酸(Sigma,Schnelldorf)
・エチレングリコールモノサリシレート(Sigma,Schnelldorf)
・サリチル酸(Sigma,Schnelldorf)
・2-ヒドロキシ-5-メチル安息香酸(Sigma,Schnelldorf)
・2-メトキシ-安息香酸(Sigma,Schnelldorf)
・4-ヒドロキシイソフタル酸(Sigma,Schnelldorf)
・メチルパラベンナトリウム(Carbosynth,Newbury/UK)
・2,4-ジヒドロキシ安息香酸(ABCR,Karlsruhe)
・3-メチルサリチル酸ナトリウム塩(ABCR,Karlsruhe)
・3-ヒドロキシ安息香酸ナトリウム塩(ABCR,Karlsruhe)
・2-ヒドロキシ-4-トリフルオロメチル安息香酸(ABCR,Karlsruhe)
・サリチル酸アンモニウム(ABCR,Karlsruhe)
・塩化ナトリウム(Merck,Darmstadt)
試料:
0.30mlのジOHビタミンDストック溶液(メタノール中0.74μg/mlの24R,25-ジ-OHビタミンD3及び2.00μg/mlの24R,25-ジ-OHビタミンD2)及び0.55mlのモノOHビタミンDストック溶液(メタノール中10.00μg/mlの25-OHビタミンD3及び10.00μg/mlの25-OHビタミンD2)を99.15 mlの天然血清プールに添加し、ホモジナイズする。したがって、添加プール中の結果として生じる濃度は以下の通りである。
・3.9ng/mlの24R,25-ジ-OHビタミンD3
・6.0ng/mlの24R,25-ジ-OHビタミンD2
・55.0ng/mlの25-OHビタミンD2
・84.9ng/mlの25-OHビタミンD3
元の天然血清プール中の内因量を考慮に入れる。(内部LC-MS/MSの結果によれば、25-OHビタミンD3の内因量は19.9ng/mlである。24R,25-ジ-OHビタミンD3の対応する値は、約1.9ng/mlである。)
(前)処置の調製:
すべての放出試薬候補をメタノール/0.01 M PBS 1/9(v/v)に溶解する(可能な限りほぼ濃縮する)。評価された化学物質のモル濃度は以下の通りである。
濃度 潜在的放出試薬 略称
・5.6M サリチル酸ナトリウム ‘PT1’
・0.0009M サリチル酸フェニル ‘PT17’
・0.0004M ジフルニサル ‘PT18’
・0.004M エチル-5-エトキシ-2-ヒドロキシ安息香酸 ‘PT19’
・0.009M スルファサラジン ‘PT11’
・0.01M サリチル酸メチル ‘PT16’
・0.01M アスピリン ‘PT10’
・0.03M メチル-4-ヒドロキシ安息香酸 ‘PT14’
・0.05M 3-ヒドロキシ安息香酸 ‘PT5’
・0.01M 3-メチルサリチル酸 ‘PT15’
・0.02M 4-メチルサリチル酸 ‘PT6’
・0.05M エチレングリコールモノサリシレート ‘PT3’
・0.03M サリチル酸 ‘PT12’
・0.01M 2-ヒドロキシ-5-メチル安息香酸 ‘PT13’
・0.03M 2-メトキシ-安息香酸 ‘PT9’
・0.001M 4-ヒドロキシイソフタル酸 ‘PT4’
・1.4M メチルパラベンナトリウム ‘PT8’
・0.05M 2,4-ジヒドロキシ安息香酸 ‘PT7’
・1.4M 3-メチルサリチル酸ナトリウム塩 ‘PT21’
・2.8M 3-ヒドロキシ安息香酸ナトリウム塩 ‘PT20’
・0.006M 2-ヒドロキシ-4-トリフルオロメチル安息香酸 ‘PT22’
・5.6M サリチル酸アンモニウム ‘PT2’
・2.9M 塩化ナトリウム ‘PT23’
各試薬のモル濃度は、溶解度に応じて選択される。特にナトリウム塩及びアンモニウム塩では、1.4M以上の高いモル濃度が可能である。
内部標準ストック及び作業溶液:
内部標準ストック溶液(11μg/mlの24R,25-ジ-OHビタミンD3 13C5;44μg/mlの25-OHビタミンD3 13C5;44μg/mlの25-OHビタミンD2 13C5)をメタノール中で調製する。内部標準作業溶液(73 ng/mlの24R,25-ジ-OHビタミンD3 13C5;291ng/mlの25-OHビタミンD3 13C5;291ng/mlの25-OHビタミンD2 13C5)を水/メタノール6/4(v/v)中で調製する。
免疫ビーズ懸濁液:
1507μlのプレコートElecsysビーズ懸濁液(21.24 mg/ml)を5732μlの0.01M PBS及び762μlの抗体溶液(1.05mg/ml)と混合する。室温で2時間のインキュベーション期間後、免疫ビーズ懸濁液はすぐに使用できる。
試料の調製:
試料の調製は、調整された自動液体処理ロボット(Hamilton,Bonaduz/Switzerland)で実施される。
10μlのビタミンD非含有血清(ISTDダミーを表す)をプラスチック容器中の145μlの試料にピペットで移す。37°Cで231秒間定期的に振盪しながらインキュベートした後、45μlの前処理試薬を添加する。ここでも、37°Cで640秒間、周期的に振盪しながらインキュベートする。したがって、ビタミンDは、ビタミンD結合タンパク質から穏やかに放出されるべきであるか、又は放出される。次の工程では、50μlの免疫ビーズ懸濁液を混合物にピペットで入れる。ここでも、37°Cで393秒間、周期的に振盪しながらインキュベートする。0.01M PBSを用いた2回のビーズ洗浄及び磁気分離の後、60μlの溶出試薬水/メタノール2/8(v/v)を添加し、40秒間のインキュベーション期間を行う。40μlの上清をHPLCガラスバイアルに移すことが可能であるが、20μlは上清へのビーズのキャリーオーバを回避するために容器内に留まる必要がある。最終工程では、40μlの内部標準作業溶液を上清に添加し、シップ・スピット・ピペッティング技術によって均質化する。
LC-MS/MS:
HPLC-MS/MS分析は、1290 Infinity Multisampler及び1290 Inifinity LC System(Agilent Technologies,Santa Clara/米国)を使用して、Triple Quad 6500+MS(Sciex,Darmstadt)に連結させて行なわれる。
分析物を分離するために、各試料40μlを分析C18カラム(50×2.1mm、2.6μm、日立、東京/日本)に注入する。これは、流速1.0ml/分及びカラム温度50°Cで実現される。分析物の分離は、以下の50mMギ酸(A)及びメタノール(B)の勾配で達成される。
0.00分:80% B
0.70分:90% B
0.75分:98% B
1.70分:98% B
1.80分:80% B
2.40分:80% B
結合されたMS検出器は、正のエレクトロスプレーイオン化(ESI)モードで動作している。ビタミンD分析物は、多重反応モニタリング(MRM)技術を使用して検出される。この2つの期間を行うことは、以下のように適用される。24R,25-ジ-OHビタミンD2/D3の測定には0.00~0.60分、25-OHビタミンD2/D3の検出には0.60~2.40分。イオン源設定及びMRMパラメータは以下の通りである。
・第1の期間:0.00~0.60分
ソース温度:500°C
ネブライザガス:40ユニット
加熱ガス:70ユニット
IonSpray電圧:3000V
カーテンガス:35ユニット
衝突ガス:10ユニット
Figure 2023544297000007
・第2の期間:0.60~2.40分
ソース温度:500°C
ネブライザガス:60ユニット
加熱ガス:70ユニット
IonSpray電圧:3000 V
カーテンガス:35ユニット
衝突ガス:10ユニット
Figure 2023544297000008
処理された試料のように濃縮された内部標準を含有する溶媒(60% MeOH)中のビタミンD標準のLC-MS/MSによって較正を行う。例えば、25-OHビタミンD3の較正レベルは2、5、10、25、50及び100ng/mlであり、25-OHビタミンD3 13C5の濃度は30ng/mlに設定される。その結果を図1に示す。
したがって、補正係数
Figure 2023544297000009
試料調製中の分析物濃度の変化の補償)がさらに適用される場合、処理されたすべての試料中の分析物の質量濃度を決定することが可能である。
内部標準濃度がキャリブレータ及び処理試料の両方で同一であるという事実により、以下の式を用いて各分析物の回収率を計算することが可能である。
Figure 2023544297000010
例えば、25-OHビタミンD3及びPT1の場合:
Figure 2023544297000011
結果を図2~図5に示し、25-OHビタミンD3(図2)、25-OHビタミンD2(図3)、24R25-ジ-OHビタミンD3(図4)及び24R25-ジ-OHビタミンD2(図5)の放出試薬候補の回収率を示す。
図2及び図5の各エラーバーは、データのmin及びmaxを使用して構築される。
PT2~23:2連
PT1:4連
最も低い回収率は、PT8(1.4Mメチルパラベンナトリウム塩)及びPT14(0.03Mメチルパラベン)によって達成される。一般に、安息香酸メチルエステルの群は、ビタミンD及びその代謝産物を放出するのに適していないようである。
最も高い回収は、PT1(5.6Mのサリチル酸ナトリウム)、続いてPT21(1.4Mの3-メチルサリチル酸ナトリウム塩)、PT2(5.6Mのサリチル酸アンモニウム)、PT20(2.8Mの3-ヒドロキシ安息香酸ナトリウム塩)、PT5(0.05Mの3-ヒドロキシ安息香酸)及びPT7(0.05Mの2,4-ジヒドロキシ安息香酸)によって達成される。
PT21(1.4Mの3-メチルサリチル酸ナトリウム塩)は、最も高い分析物回収率、比較的低い塩消費量、並びに適切な親イオン及びプロダクトイオンを示し、したがってビタミンD前処理においてサリチル酸を置き換えるための最良の選択肢である。
「実験の設計」設定(DoE)の枠内でのさらなる前処理の最適化
予備試験により、以下の要因が最も高いレベルの影響を示し、分析物の回収に関して詳細に評価される。
Figure 2023544297000012
図6は、25-OHビタミンD3の面積比を示す。図6から分かるように、
・酸性pH調整は、添加されたビタミンD非含有血清を分析する場合、分析物の回収に悪影響を及ぼす。したがって、ギ酸(FA)の添加は、このマトリックスがキャリブレータ溶液の製造に使用されることになるので推奨されない。
・最適な回収結果は、以下の組成を使用してすべてのマトリックス(血清、血漿、ビタミンD非含有血清)について得られる。
0% FA(これは、pH調整が不要であることを意味する)
2.3Mの3-メチルサリチル酸ナトリウム塩
35/65(v/v)メタノール/0.01M PBS
・2.3Mの3-メチルサリチル酸ナトリウム塩を用いた最適化された前処理は、5.6Mのサリチル酸ナトリウム塩(PT1)を含有する前処理と同様の分析物回収をもたらす。例えば、例えば、3.8ng/mlの25-OHビタミンD3を含有する患者血清について、両方のクロマトグラムが示されている(図7A及び図7B参照)。
実施例から分かるように、35/65 MeOH/0.01M PBS(v/v)に溶解した2.3Mの3-メチルサリチル酸ナトリウム塩が最良の放出試薬候補である。放出試薬として5.6Mのサリチル酸ナトリウム塩(PT1)を含有する(前)処理と比較した改善点は以下の通りである。
低い動粘度(3-メチルサリチル酸Na塩については6°Cで8.3mPa・s、サリチル酸Na塩については6°Cで23mPa・s)によるピペッティングの向上
塩の消費量は少ないが、性能は同程度(ビタミンD放出、各試料約18mgの3-メチルサリチル酸Na塩対各試料約26mgのサリチル酸Na塩)
キャリーオーバーリスクなし:サリチル酸の測定は、先行するビタミンDの後処理とは無関係である
本特許出願は、欧州特許出願20199000.9の優先権を主張し、この欧州特許出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (15)

  1. 試料中のビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定するための方法であって、
    a)前記試料を放出試薬で処理することであって、前記放出試薬は、前記試料中に存在するタンパク質又は脂質からビタミンD及びその代謝産物を放出するのに有効なレベルで提供され、
    前記方法は、前記放出試薬としてサリチル酸ナトリウムを添加せず、
    前記放出試薬は、
    ベンゾエートアニオン、
    前記ベンゾエートアニオンのフェニル基に結合した1つ又は2つのヒドロキシル基、
    任意に、少なくとも15g/molのモル質量を有する少なくとも1つの残基であって、前記ベンゾエートアニオンの前記フェニル基に結合している、少なくとも1つの残基、
    ナトリウムカチオン若しくはアンモニウムカチオン
    を含む塩であるか、又は
    前記放出試薬は、3-ヒドロキシ安息香酸又は2,4-ジヒドロキシ安息香酸である、
    前記試料を放出試薬で処理すること、
    b)任意に、工程a)から得られた前記試料の精製、並びに
    c)質量分析を使用してビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定すること、
    を含む、方法。
  2. 前記放出試薬が、3-メチルサリチル酸ナトリウム、サリチル酸アンモニウム、及び3-ヒドロキシ安息香酸ナトリウムからなる群から選択される塩である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記放出試薬が3-メチルサリチル酸ナトリウムである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記少なくとも1つの残基が、アルキル、好ましくはメチル又はエチルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記放出試薬が、0.7M~2.8Mの範囲の濃度を有する3-メチルサリチル酸ナトリウムである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 工程c)の後に少なくとも1つのさらなる工程d):
    d)質量分析を使用してサリチル酸及びその塩のレベルを決定すること、
    を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 工程a)の後又は前に、少なくとも1つのさらなる工程a1)若しくはa2)又はその両方:
    a1)工程a)から得られたビタミンD及びその代謝産物を固相へカップリングすること、
    a2)前記試料に内部標準を添加すること、
    を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 工程a)が添加剤を含み、前記添加剤が、緩衝剤及びアルコールである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. ビタミンD及びその代謝産物が、25-OHビタミンD3、25-OHビタミンD2、24R,25(OH)2-ビタミンD3、1,25(OH)2ビタミンD2、1,25(OH)2ビタミンD3及び24R,25(OH)2-ビタミンD2からなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記タンパク質が、ビタミンD結合タンパク質又はアルブミンである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記方法が自動的に実行される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 工程b)がクロマトグラフィによって実施され、工程c)が三重四重極質量分析法を使用することによって実施される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 試料中のビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定するための、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法の使用。
  14. 試料中のビタミンD及びその代謝産物のレベルを決定するためのキットであって、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法を実施するのに適しており、
    前記試料中に存在するタンパク質又は脂質からビタミンD及びその代謝産物を放出するのに有効なレベルで提供される放出試薬を含み、前記キットは、前記放出試薬としてサリチル酸ナトリウムを含まず、
    前記放出試薬は、
    ベンゾエートアニオン、
    前記ベンゾエートアニオンのフェニル基に結合した1つ又は2つのヒドロキシル基、
    任意に、少なくとも15g/molのモル質量を有する少なくとも1つの残基であって、前記ベンゾエートアニオンの前記フェニル基に結合している、少なくとも1つの残基、
    ナトリウムカチオン若しくはアンモニウムカチオン
    を含む塩であるか、又は
    前記放出試薬は、3-ヒドロキシ安息香酸又は2,4-ジヒドロキシ安息香酸である、
    キット。
  15. 請求項1~12のいずれか一項に記載の方法における態様14に記載のキットの使用。
JP2023519272A 2020-09-29 2021-09-27 ビタミンd及びその代謝産物のレベルを決定するための方法 Pending JP2023544297A (ja)

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