JP4130947B2 - 内視鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内視鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
医療の分野では、消化管等の検査、診断などに、内視鏡が使用されている。この内視鏡は、体腔内に挿入される挿入部(内視鏡用可撓管)と、この挿入部の基端側に設置され、挿入部の先端部を湾曲操作する操作部とを有している。また、この内視鏡は、操作部から延設され、光源装置や制御装置に接続される接続部を有する。
【0003】
挿入部は、曲がった体腔内に挿入され、これに追従できるよう、可撓性を有する可撓管と、その先端側において湾曲操作される湾曲部とを有する。
【0004】
ところで、この挿入部内には、先端方向に存在する湾曲部を湾曲させる湾曲機構、前記光源装置からの光を先端部に伝達するライトガイド、被写体の画像を操作部に伝達するイメージガイド、治療・細胞検査等を行う鉗子を挿通するチューブ、薬液等を注入する送気・送液チューブなどの長尺部材が必要に応じ長手方向に配設されている。
【0005】
そして、この可撓管や湾曲部を湾曲させると、湾曲させたことにより内蔵する各長尺部材に摩擦が生じ、圧力が作用する。この摩擦や圧力から各長尺部材を保護するため、各長尺部材の周囲には潤滑剤が配されている。
【0006】
この内視鏡で用いられる潤滑剤には、潤滑性に優れることはもちろんのこと、その潤滑性が長期間に亘って維持され、さらに、繰り返し行われる内視鏡の滅菌処理等によっても変質、劣化し難いことが求められる。このような要求を満足する潤滑剤として、各種の固体潤滑剤が用いられている。
【0007】
しかしながら、固体潤滑剤が、例えば内視鏡の滅菌処理等に際して挿入部内に侵入・残留した水分を吸収すると、固化し、本来の減摩効果が損なわれるという問題がある。また、内視鏡を高湿熱帯地域で使用する場合には、特に、内視鏡内部に水分が溜まり易く、固体潤滑剤の減摩効果はより急速に失われてしまうという問題がある。このように潤滑剤の減摩効果が損なわれてしまうと、可撓管や湾曲部を湾曲させるに際して生じる摩擦によって、ライトガイドやイメージガイドを構成する光学繊維(光ファイバー)が、損傷、破損してしまうおそれがある。
【0008】
また、潤滑剤の吸湿により、光学繊維にヤケ等による劣化が生じるという問題もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高湿度の環境下に曝された場合でも、湾曲抵抗の増大、損傷、破損を生じ難い内視鏡を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(10)の本発明により達成される。
【0015】
(1) 管状の芯材と、該芯材の外周に被覆された外皮とを有する内視鏡用可撓管を備える内視鏡であって、
前記芯材の内面に、水分子を結晶水として分子構造内に取り込み得る吸湿物質を主成分とする乾燥剤を含有する被覆層が、剥離することにより取替え可能に形成されていることを特徴とする内視鏡。
【0016】
これにより、高湿度の環境下に曝された場合でも、湾曲抵抗の増大、損傷、破損を生じ難い内視鏡を提供することができる。
また、前記被覆層が取替え可能であることにより、内視鏡にかかるコストの低減を図ることができる。
【0017】
(2) 前記被覆層の平均厚さは、0.05〜1mmである上記(1)に記載の内視鏡。
【0018】
これにより、内視鏡用可撓管の湾曲が妨げられることなく、十分な量の乾燥剤を内視鏡用可撓管の内部に付与することができる。
【0020】
(3) 前記被覆層は、前記乾燥剤の吸湿に伴って、その色が変化し得るよう構成されている上記(1)または(2)に記載の内視鏡。
これにより、被覆層の吸湿の程度を目視により確認することができる。
【0021】
(4) 前記乾燥剤は、粉末である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の内視鏡。
【0022】
これにより、外皮や被覆層の構成材料へ乾燥剤の混練をより容易かつ確実に行うことができるとともに、構成材料へより均一に混合する(分散させる)ことができる。
【0023】
(5) 前記乾燥剤の平均粒径は、1〜30μmである上記(4)に記載の内視鏡。
【0024】
これにより、その比表面積を十分に確保することができ、吸湿能力がより向上する。
【0025】
(6) 前記乾燥剤の含有量は、乾燥剤を含む部分において1〜40wt%である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の内視鏡。
【0026】
これにより、外皮や被覆層の成形性を低下させることなく、内視鏡用可撓管の内部を十分に低湿度とすることができる。
【0027】
(7) 前記吸湿物質は、硫酸マグネシウムである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の内視鏡。
【0028】
硫酸マグネシウムは、吸湿能力に優れ、各種樹脂材料への分散性が良好であり、吸湿によって腐食性・潮解性等を示さない、また、破砕が生じ難く、ダストの発生が極めて少ない。
【0029】
(8) 前記硫酸マグネシウムは、MgSO4・nH2O(ただし、0≦n≦3)で表される上記(7)に記載の内視鏡。
これらの硫酸マグネシウムは、特に吸湿能力に優れている。
【0030】
(9) 前記芯材の内部には、固体潤滑剤が配されている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の内視鏡。
これにより、内視鏡用可撓管を湾曲させる際の湾曲抵抗が小さいものとなる。
【0031】
(10) 前記固体潤滑剤は、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、フッ化炭素、フッ素系樹脂のうち少なくとも1種である上記(9)に記載の内視鏡。
これらのものは、特に潤滑性に優れる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内視鏡を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明の内視鏡を電子内視鏡(電子スコープ)に適用した場合の実施形態を示す全体図、図2は、図1に示す電子内視鏡が備える挿入部可撓管の縦断面図である。以下の説明では、図1中の上方を「基端」、下方を「先端」と言う。
【0034】
図1に示す電子内視鏡10は、可撓性(柔軟性)を有する長尺の可撓管11と、可撓管11の先端部に設けられた湾曲部12とを備える挿入部可撓管(内視鏡用可撓管)1と、挿入部可撓管1の基端部に設けられ、術者が把持して電子内視鏡10全体を操作する操作部6と、操作部6に接続された接続部可撓管7と、接続部可撓管7の先端側に設けられた光源差込部8とで構成されている。
【0035】
挿入部可撓管1は、生体の管腔内に挿入して使用される。また、操作部6には、その側面に操作ノブ61、62が設置されている。この操作ノブ61、62を操作すると、挿入部可撓管1内に配設されたワイヤー(図示せず)が牽引されて、湾曲部12が4方向に湾曲し、その方向を変えることができる。
【0036】
湾曲部12の先端部内側には、観察部位における被写体像を撮像する図示しない撮像素子(CCD)が設けられ、また、光源差込部8の先端部に、画像信号用コネクタ82が設けられている。この画像信号用コネクタ82は、ケーブルを介してモニタ装置(図示せず)に接続された光源プロセッサ装置(図示せず)に接続される。また、光源差込部8の先端部には、光源用コネクタ81が設置され、この光源用コネクタ81が光源プロセッサ装置に接続される。
【0037】
光源プロセッサ装置から発せられた光は、光源用コネクタ81、および、光源差込部8内、接続部可撓管7内、操作部6内および挿入部可撓管1内に連続して配設されたライトガイド(図示せず)を通り、湾曲部12(挿入部可撓管1)の先端部より観察部位に照射され、照明する。このようなライトガイドは、例えば、石英、多成分ガラス、プラスチック等により構成される光ファイバーが複数本束ねられて構成されている。
【0038】
前記照明光により照明された観察部位からの反射光(被写体像)は、撮像素子で撮像される。撮像素子では、撮像された被写体像に応じた画像信号が出力される。この画像信号は、挿入部可撓管1内、操作部6内および接続部可撓管7内に連続して配設され、撮像素子と画像信号用コネクタ82とを接続する画像信号ケーブル(図示せず)を介して、光源差込部8に伝達される。
【0039】
そして、光源差込部8内および光源プロセッサ装置内で所定の処理(例えば、信号処理、画像処理等)がなされ、その後、モニタ装置に入力される。モニタ装置では、撮像素子で撮像された画像(電子画像)、すなわち動画の内視鏡モニタ画像が表示される。
【0040】
<挿入部可撓管1>
図2に示すように、挿入部可撓管1は、芯材2と、その外周を被覆する外皮3とを有している。この挿入部可撓管1(芯材2)の空間24には、例えば、光ファイバー、電線ケーブル、ケーブルまたはチューブ類等の長尺部材(図中省略)が配設されている。
【0041】
芯材2は、螺旋管21と、螺旋管21の外周を被覆する網状管(編組体)22とで構成され、全体としてチューブ状の長尺物を構成している。この芯材2は、挿入部可撓管1を補強する効果を有する。特に、螺旋管21と網状管22を組合わせたことにより、挿入部可撓管1は、十分な機械的強度を発揮することができる。
【0042】
螺旋管21は、帯状材を間隔25をあけて、螺旋状に旋回して形成されたものである。また、螺旋管21の内径は、その全長に亘ってほぼ均一となるように設定されている。帯状材の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、銅合金等が好ましく用いられる。
【0043】
網状管22は、金属製または非金属製の細線23を複数並べたものを編組して形成されたものである。細線23の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、銅合金等が好ましく用いられる。また、網状管22を構成する細線23のうち少なくとも1本を樹脂材料で被覆するようにしてもよい。
【0044】
網状管22の外周には、編組された細線23の編み目により隙間26が形成されている。この隙間26は、螺旋管21の外周と重なる位置では凹部となり、螺旋管21の間隔25と重なる位置では空間24に連通する孔となって、芯材2の外周に多数の孔および凹部を形成している。
【0045】
また、芯材2(挿入部可撓管1)の内部には、固体潤滑剤が配されている。この固体潤滑剤は、前述したような長尺部材の周囲に配されている。これにより、各長尺部材同士の間や、各長尺部材と芯材2との間における摺動抵抗(摩擦抵抗)を小さくすることができる。このため、挿入部可撓管1(可撓管11および湾曲部12)を湾曲させる際に、各長尺部材の芯材2の長手方向(軸方向)への移動が円滑になされ、その湾曲抵抗が小さいものとなる。また、ライトガイドを構成する光ファイバーの引張り、圧迫、挫屈が抑制され、その結果、損傷、破損等を効果的に防止することができる。
【0046】
この固体潤滑剤としては、例えば、二硫化モリブデン、窒化ホウ素(BN)、4フッ化エチレン重合体(フッ素系樹脂)、黒鉛、フッ化炭素((CF)n)等が挙げられるが、これらの中でも、二硫化モリブデン、窒化ホウ素(BN)、フッ化炭素、4フッ化エチレン重合体(フッ素系樹脂)は、特に潤滑性に優れることから好ましい。これらの固体潤滑剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0047】
固体潤滑剤の形状は、いかなるものであってもよいが、粉末であるのが好ましい。固体潤滑剤が粉末であると、狭い間隙等にも容易に入りこむことができ、潤滑性をより好適に発揮できるようになる。
【0048】
固体潤滑剤が粉末である場合、その平均粒径は、特に限定されないが、0.1〜15μm程度であるのが好ましく、0.1〜8μm程度であるのがより好ましい。平均粒径が前記下限値未満であると、固体潤滑剤の製造が困難になるとともに、取り扱いも難しくなる。一方、平均粒径が前記上限値を超えると、固体潤滑剤の種類等によっては、十分な潤滑性が得られない可能性がある。
【0049】
芯材2の外周には、外皮3が被覆されている。外皮3は、消化管のような管状臓器の内壁に直接接触する部位であり、体液等が挿入部可撓管1の内部に侵入するのを防止する機能を有する。
【0050】
外皮3の内面には、多数の突出部(アンカー)4が外皮3から連続して内側に向かって突出形成されている。各突出部4は、芯材2の外周に形成された多数の孔および凹部内にそれぞれ進入している。前記凹部内に進入した突出部4の先端は、螺旋管21の外周に達するまで形成されている。また、前記孔内に進入した突出部4は、より長く形成され、その先端が螺旋管21の間隔25に入り込んでいる。
【0051】
これらの突出部4によりアンカー効果が生じ、芯材2に対し外皮3が確実に固定される。このため、外皮3は、挿入部可撓管1が湾曲した場合にも、芯材2と密着した状態を維持し、芯材2の湾曲に合わせて十分に大きく伸縮する。このように大きく伸縮した外皮3の復元力は、強く発揮され、挿入部可撓管1の湾曲を復元させる力に大きく寄与する。
【0052】
また、突出部4を形成することにより、外皮3と網状管22との結合力が強いので、繰り返し使用しても外皮3が網状管22から剥離し難い。したがって、挿入部可撓管1は、耐久性に優れる。
【0053】
網状管22を構成する細線23のうちの少なくとも1本を、樹脂材料で被覆したものを用いる場合には、この被覆された樹脂材料(被覆層)の少なくとも一部は、溶融して外皮3に結合(溶着)する。
【0054】
このような外皮3は、繰り返し施される消毒・滅菌処理等の際に、各種消毒薬等の薬品に曝されることから耐薬品性を有し、かつ、摩擦により体腔内の組織に損傷を与えることを防止するため、柔軟性(可撓性)を有する材料で構成されているのが好ましい。
【0055】
このような材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂、ポリイミドのような各種可撓性を有する樹脂や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリスチレン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ラテックスゴムのような各種エラストマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
外皮3の平均厚さ(突出部4の部分を除く。)は、芯材2およびその内部に配置される各長尺部材を体液等の液体から保護することができ、かつ、挿入部可撓管1の湾曲性を妨げなければ、特に限定されないが、0.08〜0.9mm程度が好ましく、0.1〜0.8mm程度がより好ましい。
【0057】
また、外皮3の厚さは、長手方向に沿って変化する部分を有するものであってもよいが、ほぼ一定であるのが好ましい。これにより、挿入部可撓管1を体腔に挿入する際の操作性がより向上し、患者の負担もより軽減される。
【0058】
このような外皮3は、図2に示すように、乾燥剤5を含有している。これにより、電子内視鏡10を、例えば高湿熱帯地域で使用したり、洗浄・消毒・滅菌処理等を繰り返して施したり等して(高湿度の環境下に曝して)、仮に、その内部に水分が侵入・残留した場合でも、この水分を乾燥剤5が取り込む(吸湿する)ので、電子内視鏡10(特に挿入部可撓管1)の内部は、低湿度に維持される。このため、挿入部可撓管1の内部に配された固体潤滑剤が吸湿して固化するのを防止することができ、固体潤滑剤の減摩効果が低減するのを好適に防止することができる。このため、湾曲部12を湾曲させる湾曲操作の際の湾曲抵抗の増大や、これに伴う光ファイバーの損傷、破損等、あるいは、光ファイバーのヤケ等が効果的に防止される。
【0059】
この乾燥剤5は、水分子を結晶水として分子構造内に取り込み得る吸湿物質を主成分とするものである。かかる吸湿物質は、水分子をその分子構造内に非可逆的に取り込むため、単に水分子を吸着により保持する物質(例えば、シリカゲル、塩化カルシウム、ゼオライト等)と比べて、吸水量(吸湿量)が多く、すなわち、優れた吸湿能力(除湿効果)を有し、さらに、使用環境の変化(例えば温度変化等)によっても放湿し難い。このため、かかる吸湿物質を主成分とする乾燥剤5を用いることにより、電子内視鏡10は、高湿度の環境下に曝された場合でも、その内部(特に挿入部可撓管1の内部)の湿度をより確実に低いものに維持することができる。
【0060】
かかる吸湿物質としては、特に限定されないが、例えば、硫酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ケイ素等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、吸湿物質としては、硫酸マグネシウムを用いるのが好適である。
【0061】
硫酸マグネシウムは、次のような▲1▼〜▲4▼の利点を有する。
すなわち、▲1▼:吸湿能力(例えば、水分子の取り込み量や、取り込み速度等)に優れる。▲2▼:各種樹脂材料への分散性が良好であるため、外皮3の構成材料中への混合を容易に行うことができる。▲3▼:吸湿によって腐食性・潮解性等を示さないので、外皮3に形状変化を生じさせることがない。▲4▼:破砕が生じ難く、ダストの発生が極めて少ない。
【0062】
また、硫酸マグネシウムは、MgSO4・nH2O(ただし、0≦n≦3)で表されるものが好ましい。すなわち、硫酸マグネシウムは、無水物、1水和物、2水和物、3水和物のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの硫酸マグネシウムは、特に吸湿能力に優れている。なお、硫酸マグネシウムとして、3水和物を超える水和物のものを用いると、乾燥剤5と外皮3の構成材料(以下、「外皮材料」と言う。)とを混練(混合)する際に、その混練時の温度等によっては、硫酸マグネシウムから水分子(結晶水)が放出され、乾燥剤5の外皮材料への混練が困難となる場合がある。
【0063】
なお、乾燥剤5は、前記吸湿物質を主成分(例えば70wt%以上)とするものであればよく、他の乾燥剤として使用される物質(例えば、シリカゲル等)を含むものであってもよい。
【0064】
乾燥剤5の形状は、いかなるものであってもよいが、粉末であるのが好ましい。粉末の乾燥剤5を用いることにより、乾燥剤5の外皮材料への混練をより容易かつ確実に行うことができるとともに、外皮材料へより均一に混合する(分散させる)ことができる。
【0065】
また、乾燥剤5が粉末である場合、その平均粒径は、特に限定されないが、1〜30μm程度であるのが好ましく、2〜20μm程度であるのがより好ましい。平均粒径が前記範囲の乾燥剤は、その比表面積を十分に確保することができ、吸湿能力がより向上する。
【0066】
乾燥剤5の含有量は、特に限定されないが、乾燥剤を含む部分において1〜40wt%程度であるのが好ましく、1〜25wt%程度であるのがより好ましい。乾燥剤5の含有量が少なすぎると、電子内視鏡10の使用環境の条件等によっては、挿入部可撓管1の内部を十分に低湿度とすることができない場合があり、一方、乾燥剤5の含有量が多すぎると、外皮材料の種類等によっては、その溶融粘度が低下して、外皮3の成形が困難になる場合がある。
【0067】
なお、図示の構成では、乾燥剤5を、外皮3全体に均一に含有する(混合された)構成のものであったが、外皮3の各部で異なるものであってもよい。例えば、乾燥剤5の含有量は、外皮3の厚さ方向および/または長手方向に連続的または段階的に変化するものであってもよい。また、外皮3は、その少なくとも内面付近に、乾燥剤5を含有するものであればよい。これらの場合、外皮3には、乾燥剤5を含む部分(または、乾燥剤5を含む層)が形成されるが、かかる部分(または、かかる層)における乾燥剤5の含有量を、前記範囲となるようにすればよい。
【0068】
また、外皮材料中には、必要に応じて、例えば、可塑剤、無機フィラー、顔料、各種安定剤(酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、滑剤)、X線造影剤等の各種添加物を配合(混合)するようにしてもよい。
【0069】
以上説明したような挿入部可撓管1は、例えば、乾燥剤5を含む外皮材料を芯材2の外周に押出成形によって被覆することにより、連続的に製造することができる。また、押出口からの外皮材料の吐出量(押出量)や、芯材2の引き速度を調整することにより、各層の厚さを調節することができる。
【0070】
押出成形時の材料温度は、特に限定されないが、130〜220℃程度であるのが好ましく、165〜205℃程度であるのがより好ましい。押出成形時の材料温度が、かかる温度範囲の場合、外皮材料は、外皮3への成形加工性に優れる。このため、外皮3の厚さは、その均一度が向上する。
【0071】
次に、電子内視鏡10が備える挿入部可撓管1の他の構成例について説明する。
【0072】
図3および図4は、ぞれぞれ、挿入部可撓管の他の構成例を示す縦断面図である。
【0073】
以下、図3に示す挿入部可撓管1Aおよび図4に示す挿入部可撓管1Bについて、それぞれ、前述した挿入部可撓管1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0074】
<挿入部可撓管1A>
挿入部可撓管1Aは、外皮3が、内層31と中間層32と外層33とを有する積層体で構成され、それ以外は、前記挿入部可撓管1と同様である。
【0075】
この外皮3は、内層31、中間層32、外層33のうちのいずれか1層が、他のいずれか1層と比べて物理的特性または化学的特性が異なる材料で構成されたものである。物理的特性としては、例えば、剛性(弾力性)、硬度、伸び率、引張り強さ、せん断強さ、曲げ弾性率、曲げ強さ等が挙げられ、化学的特性としては、例えば、耐薬品性、耐候性等が挙げられる。なお、これらは一例であり、これらに限定されるものではない。
【0076】
本構成例では、内層31が乾燥剤5を含有しており、この内層31の構成(構成材料、形状等)が挿入部可撓管1における外皮3と同様とされている。
【0077】
なお、内層31の構成材料としては、特に、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーまたはポリエステル系熱可塑性エラストマーを用いるのが好ましい。これらを用いることにより、突出部4の形成を制御し易くなる。
【0078】
また、内層31の平均厚さ(突出部4の部分を除く。)は、特に限定されないが、0.03〜0.8mm程度が好ましく、0.03〜0.4mm程度がより好ましい。
【0079】
中間層32は、後述する外層33より弾力性に優れた層とされているのが好ましい。これにより、中間層32が内層31と外層33との間のクッション機能を発揮する。また、中間層32は、内層31よりも柔軟な層であるのが好ましい。
【0080】
中間層32のクッション機能についてより詳しく説明する。挿入部可撓管1Aが湾曲したとき、中間層32の弾力性が優れていることにより、変形した中間層32の復元力は、強く発揮される。そして、中間層32が比較的硬度の高い内層31と外層33との間に挟まれているので、中間層32の復元力は、内層31と外層33とに効率良く伝わる。このため、中間層32の復元力のほぼすべてが挿入部可撓管1Aの曲げを復元させる力に生かされる。このような構成とすることにより、挿入部可撓管1Aの弾力性を優れたものとすることができる。
【0081】
中間層32の構成材料としては、各種可撓性を有する樹脂や、各種エラストマー等を用いることができるが、これらの中でも、特に、低硬度のポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、弾力性に優れるため好ましい。
【0082】
中間層32の平均厚さは、特に限定されないが、0.02〜0.8mm程度が好ましく、0.02〜0.4mm程度がより好ましい。
【0083】
外層33は、外皮3の中でも最も外側に設けられる層であり、耐薬品性に優れる材料で構成されているのが好ましい。これにより、電子内視鏡10に対して、繰り返し洗浄・消毒・滅菌処理等を施しても、外皮3が劣化して芯材2から剥離したり、外皮3が硬化して可撓性が低下したり等することが好適に防止される。
【0084】
外層33の構成材料としては、各種可撓性を有する樹脂や、各種エラストマー等を用いることができるが、これらの中でも、特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、フッ素ゴムは、耐薬品性に優れるため好ましい。
【0085】
外層33の平均厚さは、特に限定されないが、0.03〜0.8mm程度が好ましく、0.03〜0.4mm程度がより好ましい。
【0086】
なお、外皮3は、このような複数の層が積層された積層部をその長手方向の全長に渡って有するものであっても、その長手方向の少なくとも一部に有するものであってもよい。
【0087】
このように、外皮3を、耐薬品性に優れた外層33と、弾力性に優れた中間層32と、芯材2に対する密着性に優れ、かつ、乾燥剤5を含有する内層31とで構成することにより、各層がそれぞれの機能を好適に発揮する。その結果、外皮3は、それらの相乗効果により、極めて優れた特性を有するものとなる。
【0088】
このような挿入部可撓管1Aは、複数の押出口を備えた押出成形機を用いて、芯材2の外周に、内層31、中間層32および外層33の積層体を被覆することにより、連続的に製造することができる。
【0089】
このような構成の挿入部可撓管1Aを備える電子内視鏡10であっても、前記と同様の効果が得られる。
【0090】
なお、外皮3は、図示の構成のものに限定されず、例えば、中間層32が省略された2層構造のもの、4層以上の積層構造のもの等であってもよい。
【0091】
<挿入部可撓管1B>
挿入部可撓管1Bは、外皮3が乾燥剤5を含有せず、芯材2の内面に、乾燥剤5を含有する被覆層9が形成され、それ以外は、前記挿入部可撓管1と同様である。
【0092】
被覆層9の構成材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂が挙げられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等が挙げられる。
【0093】
被覆層9の平均厚さは、特に限定されないが、0.05〜1mm程度が好ましく、0.1〜0.7mm程度がより好ましい。被覆層9の厚さが薄すぎると、挿入部可撓管1Bの内部に付与される乾燥剤5の量が少なくなり、挿入部可撓管1Bの内部を十分に低湿度とすることができない場合があり、一方、被覆層9の厚さが厚すぎると、被覆層9の剛性等によっては、挿入部可撓管1Bが自由に湾曲するのが妨げられる場合がある。
【0094】
また、被覆層9の全体の厚さは、長手方向に沿って変化する部分を有するものであってもよいが、ほぼ一定であるのが好ましい。これにより、挿入部可撓管1Bの内部への各長尺部材の配設を容易に行うことができる。
【0095】
このような被覆層9は、前記挿入部可撓管1で説明したのと同様の組成および構成の乾燥剤5を含んでいる。また、乾燥剤5の含有量も、前記挿入部可撓管1で説明したのと同様である。
【0096】
以上説明したような被覆層9は、例えば、乾燥剤5を含有し、前記被覆層9の構成材料を液体に溶解または分散させた塗布液を、挿入部可撓管1(芯材2)の内面に接触させた後、固化または硬化させることにより、容易に形成することができる。
【0097】
前記液体(溶媒または分散媒)としては、水や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0098】
このような被覆層9は、塗布液を塗布し、固化または硬化させて形成されたものであるので、比較的容易に芯材2の内面から剥離することができる。換言すれば、被覆層9は、取替え可能なものである。
【0099】
また、被覆層9は、例えば塩化コバルトのような水分に感応して変色する化合物(図示せず)を含有し、乾燥剤5の吸湿に伴って色が変化し得るよう構成されているのが好ましい。すなわち、被覆層9は、インジケータ機能を有しているのが好ましい。
【0100】
被覆層9をこのような構成とすることにより、例えば電子内視鏡10のメンテナンスの際に、被覆層9の変色により、被覆層9(乾燥剤5)の吸湿の程度を目視により確認することができる。このとき、被覆層9の変色度合いにより、被覆層9の取替え時期を判断して、乾燥剤5が吸湿能力の限界を超えている場合には、被覆層9を剥離した後、再度、前述のようにして新たな被覆層9を形成し、電子内視鏡10を組み立てるようにすることができる。このようなことから、電子内視鏡10にかかるコストの低減を図ることができる。
【0101】
このような構成の挿入部可撓管1Bを備える電子内視鏡10であっても、前記と同様の効果が得られる。
なお、被覆層9は、取替え可能なものでなくてもよい。
【0102】
以上、本発明の内視鏡について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部材(各部)の構成は、同様の機能を有する任意のものに置換することができる。
【0103】
各前記実施形態では、内視鏡用可撓管として挿入部可撓管1を代表に説明したが、このような内視鏡用可撓管の構成は、接続部可撓管7に適用することができることは言うまでもない。
【0104】
また、各前記実施形態では、医療用に用いられる内視鏡について説明したが、本発明の内視鏡は、工業用(産業用)に用いられる内視鏡に適用することもできる。
【0105】
【実施例】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0106】
(実施例1)
まず、幅3.2mmのステンレス製の帯状材を巻回して、外径9mm、内径7mmの螺旋管を作製した。次に、直径0.08mmのステンレス製の細線を10本ずつ並べたものを編組みした網状管を作製した。この網状管で螺旋管を被覆し、芯材を得た。
【0107】
次に、芯材の外周に、押出成形により、乾燥剤を含有するポリウレタン系熱可塑性エラストマー(大日精化(株)社製、レザミン)で構成される外皮(厚さ0.4mm)を被覆して、長さ1.5mの挿入部可撓管(内視鏡用可撓管)を作製した。
【0108】
なお、乾燥剤は、MgSO4・2H2Oで構成された粉末(平均粒径5μm)を用い、その含有量が、外皮において1wt%となるように混合した。
【0109】
次に、このような挿入部可撓管の内部に、各種長尺部材を配設するとともに、各長尺部材の周囲に、固体潤滑剤として二硫化モリブデン粉末(平均粒径2μm)を配し、図1に示すような電子内視鏡(上部消化管用内視鏡)を製造した。
【0110】
(実施例2、3)
外皮における乾燥剤の含有量を、表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして電子内視鏡を製造した。
【0111】
(実施例4〜18)
乾燥剤の種類を、表1に示すように変更した以外は、前記実施例2と同様にして電子内視鏡を製造した。
【0112】
(実施例19)
外皮の構成を、内層が乾燥剤を含む層とし、中間層と外層とからなる積層体とした以外は、前記実施例2と同様にして挿入部可撓管を作製し、電子内視鏡を製造した。
【0113】
なお、積層体の形成は、3個の押出口を備えた押出成形機を用いて行った。すなわち、内層、中間層および外層を同時に押出し、その積層体を芯材に被覆することにより積層構造を有する外皮を連続的に形成した。
【0114】
なお、内層には前記実施例2と同様の材料を、中間層にはポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(三菱化学(株)社製、サーモラン)を、外層にはエチレン−酢酸ビニル共重合体(三菱化学社(株)製、ウルトラセン)を、それぞれ使用した。
【0115】
また、内層、中間層および外層の厚さは、それぞれ0.15mm、0.1mm、0.15mmとした。
【0116】
(実施例20)
まず、乾燥剤を含有しないポリウレタン系熱可塑性エラストマー(前記と同様)を用いて前記実施例1と同様にして挿入部可撓管を作製した。
【0117】
次に、前記実施例1と同様の乾燥剤を含む塗布液を、挿入部可撓管内に満たし、この塗布液を廃棄した後、乾燥・固化させて、芯材(挿入部可撓管)の内面に被覆層(平均厚さ0.5mm)を形成した。なお、乾燥剤の含有量は、被覆層において20wt%となるように混合した。
【0118】
また、前記塗布液は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(前記と同様)を20wt%となるように、トルエン(40vol%)−メチルイソブチルケトン混合溶媒に溶解して調製したものを使用した。
【0119】
また、前記塗布液中には、無水塩化コバルトをエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、1重量部となるように混合した。
次に、前記実施例1と同様にして、電子内視鏡を製造した。
【0120】
(比較例1)
乾燥剤として、シリカゲル粉末(平均粒径5μm)を用いた以外は、前記実施例2と同様にして電子内視鏡を製造した。
【0121】
(比較例2)
乾燥剤として、塩化カルシウム粉末(平均粒径5μm)を用いた以外は、前記実施例19と同様にして電子内視鏡を製造した。
【0122】
(比較例3)
乾燥剤として、ゼオライト粉末(平均粒径5μm)を用いた以外は、前記実施例20と同様にして電子内視鏡を製造した。
【0123】
(比較例4)
乾燥剤を含有しない以外は、前記実施例1と同様にして電子内視鏡を製造した。
【0124】
(比較例5)
乾燥剤を含有しない以外は、前記実施例19と同様にして電子内視鏡を製造した。
【0125】
(比較例6)
乾燥剤を含有しない以外は、前記実施例20と同様にして電子内視鏡を製造した。
【0126】
[評価]
各実施例および各比較例で製造した電子内視鏡に対して、それぞれ、以下のような評価を行った。
【0127】
エチレンオキサイドガス(濃度:100%、湿度:70%RH、時間:2時間45分間)による滅菌処理を1000回繰り返し行った。
【0128】
そして、各電子内視鏡について、それぞれ、アングル力量(湾曲部を湾曲させる湾曲操作にかかる負荷)の変化を確認し、その変化を、以下の4段階の基準に従って評価した。
◎:滅菌処理1000回後も、アングル力量に変化なし
○:滅菌処理1000回後に、若干のアングル力量の増大あり
△:滅菌処理800回程度から、アングル力量の増大あり
×:滅菌処理500回程度から、アングル力量の増大あり
この結果を表1に示す。
【0129】
【表1】
【0130】
表1に示すように、実施例1〜20の電子内視鏡(本発明の内視鏡)は、いずれもアングル力量の増加が防止され、繰り返し施される滅菌処理に耐え得るものであった。
【0131】
また、実施例1〜20の電子内視鏡を分解して、潤滑剤の状態を確認した結果、吸湿により固化した潤滑剤は、確認されなかった。さらに、光ファイバーの中に、折れやヤケが生じているものも確認されなかった。
【0132】
また、実施例20の電子内視鏡を分解して、被覆層の色を確認したところ、変色が確認され、乾燥剤による吸湿も良好に行われていることが確認された。
【0133】
これに対し、比較例1〜6の電子内視鏡は、いずれも滅菌処理を繰り返すことにより、早い段階でアングル力量が増大し、湾曲部の湾曲操作を円滑に行うことができないようになった。
【0134】
また、比較例1〜6の電子内視鏡を分解して、潤滑剤の状態を確認した結果、潤滑剤は、吸湿により固化していた。さらに、光ファイバーの中に、折れやヤケが生じているものが多数確認された。
【0135】
(実施例21〜40、比較例7〜12)
固体潤滑剤として、窒化ホウ素粉末(平均粒径3μm)を用い、それ以外は、それぞれ、前記実施例1〜20、比較例1〜6と同様にして、挿入部可撓管を作製し、電子内視鏡を製造した。
【0136】
これら実施例21〜40、比較例7〜12の電子内視鏡を、前記と同様に評価した結果、前記表1とほぼ同様の結果が得られた。
【0137】
(実施例41〜60、比較例13〜18)
固体潤滑剤として、4フッ化エチレン重合体粉末(平均粒径4μm)と二硫化モリブデン粉末(平均粒径2μm)との混合物を用い、それ以外は、それぞれ、前記実施例1〜20、比較例1〜6と同様にして、挿入部可撓管を作製し、電子内視鏡を製造した。
【0138】
なお、4フッ化エチレン重合体粉末と二硫化モリブデン粉末とは、重量比で70:30となるように混合した。
【0139】
これら実施例41〜60、比較例13〜18の電子内視鏡を、前記と同様に評価した結果、前記表1とほぼ同様の結果が得られた。
【0140】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、高湿度の環境下に曝された場合でも、乾燥剤の除湿効果により、潤滑剤の減摩効果が長期間に亘って維持され、湾曲抵抗の増大、損傷、破損等が生じ難い。
【0141】
また、乾燥剤として、水分子を結晶水として分子構造内に取り込み得る吸湿物質、特に、硫酸マグネシウムを主成分とするものを用いることにより、前記効果がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内視鏡を電子内視鏡(電子スコープ)に適用した場合の実施形態を示す全体図である。
【図2】図1に示す電子内視鏡が備える挿入部可撓管の縦断面図である。
【図3】挿入部可撓管の他の構成例を示す縦断面図である。
【図4】挿入部可撓管の他の構成例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 電子内視鏡
1、1A、1B 挿入部可撓管
11 可撓管
12 湾曲部
2 芯材
21 螺旋管
22 網状管
23 細線
24 空間
25 間隔
26 隙間
3 外皮
31 内層
32 中間層
33 外層
4 突出部
5 乾燥剤
6 操作部
61、62 操作ノブ
7 接続部可撓管
8 光源差込部
81 光源用コネクタ
82 画像信号用コネクタ
9 被覆層
Claims (10)
- 管状の芯材と、該芯材の外周に被覆された外皮とを有する内視鏡用可撓管を備える内視鏡であって、
前記芯材の内面に、水分子を結晶水として分子構造内に取り込み得る吸湿物質を主成分とする乾燥剤を含有する被覆層が、剥離することにより取替え可能に形成されていることを特徴とする内視鏡。 - 前記被覆層の平均厚さは、0.05〜1mmである請求項1に記載の内視鏡。
- 前記被覆層は、前記乾燥剤の吸湿に伴って、その色が変化し得るよう構成されている請求項1または2に記載の内視鏡。
- 前記乾燥剤は、粉末である請求項1ないし3のいずれかに記載の内視鏡。
- 前記乾燥剤の平均粒径は、1〜30μmである請求項4に記載の内視鏡。
- 前記乾燥剤の含有量は、乾燥剤を含む部分において1〜40wt%である請求項1ないし5のいずれかに記載の内視鏡。
- 前記吸湿物質は、硫酸マグネシウムである請求項1ないし6のいずれかに記載の内視鏡。
- 前記硫酸マグネシウムは、MgSO4・nH2O(ただし、0≦n≦3)で表される請求項7に記載の内視鏡。
- 前記芯材の内部には、固体潤滑剤が配されている請求項1ないし8のいずれかに記載の内視鏡。
- 前記固体潤滑剤は、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、フッ化炭素、フッ素系樹脂のうち少なくとも1種である請求項9に記載の内視鏡。
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